JP3909610B2 - 成形用カーペットの裏打ち構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は成形用カーペットの裏打ち構造に関し、特に自動車用フロアカーペットの裏打ちに適した構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車用フロアカーペットにはタフテッドカーペットやニードルパンチカーペットを用い、自動車のフロアパネルに合う形状に成形して敷設している。カーペットに成形性を付与するために、カーペットの裏面に熱可塑性樹脂の裏打ち材をほどこし、加熱によって裏打ち材を軟化させた上で所要形状のプレス成形型によって絞り成形していた。
裏打ち材として従来用いられてきたのは、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等の比較的融点の低い熱可塑性樹脂であり、シート押出機によって厚さ数ミリのシート状に押し出してカーペットの裏面に積層付与することが一般的であった。
自動車用フロアカーペットとして用いる場合には、フロアカーペットとフロアパネルとの間に緩衝材としてフェルト類を配置する敷設態様が一般的である。このフェルトは緩衝、防音等の目的であり、カーペットの敷設感を向上させるためにはカーペットの裏面にフェルトが貼着されている必要がある。フェルトのカーペット裏面への貼着は、カーペットの裏打ち材が絞り成形のために加熱され、軟化することを利用してアンカー効果で(接着剤を用いずに)貼着するのが合理的である。カーペットのプレス成形型内にあらかじめ貼着するフェルトを配しておき、カーペットの成形に際して加熱、軟化せられたカーペットの裏打ち材と成形型間でフェルトを押圧することによって、フェルトの毛羽が裏打ち材中に入り込んでアンカー効果で固着できる。(たとえば特公昭64−6053号)
このようにフェルトが裏打ち材に対して接着剤を用いることなくアンカー効果によって固着されるためには、裏打ち材は(少なくともフェルトに接する面で)フェルト固着に十分な軟化状態を保っている必要がある。(融点に近い温度である必要がある)
一方でフェルトの貼着と同時のカーペットの絞り成形を考慮した場合、裏打ち材の温度をあまり高くすることはできない。裏打ち材の温度が高すぎると、その熱がカーペットの繊維パイルに伝わる。パイルが高熱と圧力の同時作用を受けると倒伏して容易に回復せず、製品の意匠性が著しくそこなわれることになる。したがって、裏打ち材の加熱はこれを考慮して制限する必要があり、カーペット繊維や裏打ち材の種類、目付量によっては裏打ち材を十分に加熱できず、軟化が不足し、フェルトをアンカー効果で貼着できない場合もあった。この加熱条件の矛盾を解決する好適な方法が従来なかった。たとえば、1つの解決策として、融点の異なる2種類の樹脂によって裏打ちすることが考えられるが、裏打ち材によっての熱収縮率の違いが成形後のカーペットに変形をもたらし好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決するものであって、成形用カーペットの成形と同時にフェルトをアンカー効果で貼着するに適した成形用カーペットの裏打ち構造を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する本発明の手段は、カーペットの裏面に核形成剤を添加した熱可塑性樹脂の第1層と、第1層と同系統の熱可塑性樹脂の第2層とを積層付与してなる成形用カーペットの裏打ち構造により、特に第1層および第2層の熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレン樹脂であり、第1層の熱可塑性樹脂に添加される核形成剤がポリエチレン樹脂を含むリサイクル樹脂である成形用カーペットの裏打ち構造が好ましい。
【0005】
【作用】
本発明ではカーペットの裏面に第1、第2の同系統の熱可塑性樹脂を積層付与しているが、第1の熱可塑性樹脂層には核形成剤が含まれているために、核形成剤が含まれていない第2の層に比して溶融状態から固化していく段階で結晶化温度が高く、より高い温度で固化が始まるので、樹脂温度が下がりやすく、カーペット側に配することで、カーペットのパイルに伝わる熱量を低減することができ、一方、同じ温度でも核形成剤を添加してない第2層は結晶化が遅れ十分軟らかいため、フェルト側に配することによって、フェルトとのアンカー効果による貼着を容易にすることができる。
第1層、第2層の熱可塑性樹脂は同系統の樹脂であるために相溶性がよく、界面が隙間なく溶着一体化される。また、熱収縮率も近いので、カーペットの成形後の変形等を誘発することもない。
実験の結果、第1層および第2層の熱可塑性樹脂を低密度ポリエチレン樹脂にし、第1層に添加する核形成剤としてエチレン樹脂を含むリサイクル樹脂を導入すると、両者の相溶性がよく物性が安定し、第1層の結晶化温度を上げる効果も顕著であるとわかった。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1は本発明による裏打ち構造をほどこした成形用カーペット10および(アンカー効果によって貼着付与した)フェルト16の断面図である。
カーペット11の裏面には第1層、第2層の熱可塑性樹脂14、15を介してフェルト16が貼着されている。カーペットは図では基布12にタフティングによってパイル13(立毛)を形成したタフテッドカーペットであるが、この他にニードルパンチカーペットもある。いずれでも、この用途に公知の構成を用いることができる。
第1層および第2層の熱可塑性樹脂14、15としては、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチエレン−酢酸ビニル共重合樹脂、その他の低融点の熱可塑性樹樹脂を用いることができる。好ましい目付量は200〜3000g/m2 である。
第1層に添加する核形成剤17としては有機、無機の各成分が可能であるが、特に好ましいのはエチレン樹脂を含むリサイクル樹脂である。このリサイクル樹脂として好ましいのは、自動車、家電等の各種樹脂廃材のうち、特にオレフィン系の熱可塑性樹脂廃材を粉砕回収したものが好ましい。
この廃材70〜20重量%と、純粋な熱可塑性樹脂30〜80重量%、またはさらに両者の相溶を促進する相溶化剤2.5〜15重量%とを混合し、混練して再ペレット化したものが好適である。相溶化剤は廃材成分と純粋な樹脂成分の相方に反応する官能器を有するものが好ましく、たとえば廃材がナイロンカーペット廃材の場合、スチレン系エラストマー、無水マレイン酸変性オレフィン、不飽和カルボン酸などがある。
フェルト16は綿フェルト、合繊フェルト、およびこれらに熱可塑性、熱硬化性のバインダーを含むもの、不織布、発泡体の粉砕品を成形したものなど、表面が毛羽だったものが好ましい。
カーペットの成形時の加熱条件は、カーペットの裏打ち材を付与した側から遠赤ヒーター等でおこなうことが好ましく、第1層の樹脂温度を100〜160℃に、第2層の樹脂温度を120〜180℃にすることが好ましい。
カーペットの成形時の押圧(フェルトと裏打ち材間に作用する押圧)は0.3〜2.0kg/cm2 が適する。
【実施例】
(カーペット)
ナイロンタフトカーペット(基布ポリエステル)
目付量650g/m2
(第1層の熱可塑性樹脂)
低密度ポリエチレン樹脂(宇部興産株式会社製J3519)
密度=0.919g/cm3
融点=104℃
結晶化度=95%
核形成剤(第1層樹脂への添加率=50重量%)
ナイロンカーペットリサイクル樹脂(ポリアミド:ポリエステル:ポリエチレン=400:120:400)
リサイクル条件は、270℃にて溶融処理後、再ペレット化したもの。
(第2層の熱可塑性樹脂)
低密度ポリエチレン樹脂(第1層に同じもの)
図3に第1層の熱可塑性樹脂の温度特性を、DSC(示差熱分析器)によって核形成剤を添加してない第2層の熱可塑性樹脂との比較で示した。いったん200℃まで加熱した サンプル樹脂を、冷却速度20℃/分下で冷却しながら、熱流量を測定した結果、核形成剤を添加した第1層の樹脂の結晶化開始温度、結晶化のピーク、結晶化の終了温度等は第2層樹脂に比して5〜15℃高く(早く)結晶化を開始(かつ終了)することがわかる。
(フェルト)
雑綿にフェノール樹脂バインダー10〜30重量%混合したレジンフェルト、密度0.05g/cm3 、厚さ15mmを用いた。
(工程)
裏打ち:図2によって、裏打ち工程を説明すれば、ロールaに巻き取られたカーペット10を一定速度で基布12面を上向きに送り出しながら、第1の押出機21からシート状に押し出された核形成剤17を含む第1の樹脂層14を基布上に付与し、押圧ロールb−b’によって押圧を加える。次に第2の押出機22からシート状に押し出された第2の樹脂層15を第1の樹脂層の上に重ね付与し、押圧ロールc−c’によって押圧を加える。この時の第1、第2層の樹脂温度はそれぞれ、250℃と230℃であり、目付量は400g/m2 および200g/m2 である。
成形時加熱:
ヒーター=インフラ型ヒーター、60秒加熱
実温度、第1層=120℃、第2層=140℃
成形:
上下プレス成形型によって、下型内にあらかじめフェルトを載置しておいて、押圧1.0kg/cm2 で、カーペットを成形した。
(評価)
本実施例により成形したカーペットとフェルトの剥離強度は十分に強く、少なくともフェルトの材破強度以上あり、しかもカーペットのパイルの倒伏は極微であり、カーペット表面の意匠性は良好であった。
同じ成形条件で第1層に核形成剤を添加しない比較例では、フェルトの貼着は可能であったものの、カーペット表面への伝熱からパイルが多く倒伏し、製品の意匠性が損なわれた。
【発明の効果】
本発明によって、自動車の成形カーペットの成形と同時にフェルトをアンカー効果で貼着することが可能であり、この際カーペットのパイル等が熱と圧力によって倒伏することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーペットの断面図
【図2】裏打ち材の付与工程
【図3】各層樹脂の温度特性を示す
【符号の説明】
10・・・成形用カーペット
11・・・カーペット
14・・・第1層の熱可塑性樹脂
15・・・第2層の熱可塑性樹脂
16・・・フェルト
17・・・核形成剤
Claims (1)
- カーペットの裏面に核形成剤を添加した熱可塑性樹脂の第1層と、第1層と同系統の熱可塑性樹脂の第2層とをそれぞれ押出機からシート状に押し出し、直に積層付与してなり、ここで、前記核形成剤を添加した第1層の熱可塑性樹脂は、前記第2層の熱可塑性樹脂に比して樹脂温度が下がりやすくされているものであり、前記第2層の裏面にはフェルトが前記カーペットの成形と同時に貼着されたことを特徴とする自動車用の成形用カーペットの裏打ち構造。
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- 1996-02-15 JP JP05104996A patent/JP3909610B2/ja not_active Expired - Fee Related
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