JPH08187922A - インパクトプリンター用のインクリボン用基布 - Google Patents

インパクトプリンター用のインクリボン用基布

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JPH08187922A
JPH08187922A JP27319095A JP27319095A JPH08187922A JP H08187922 A JPH08187922 A JP H08187922A JP 27319095 A JP27319095 A JP 27319095A JP 27319095 A JP27319095 A JP 27319095A JP H08187922 A JPH08187922 A JP H08187922A
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JP
Japan
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ink
base fabric
ink ribbon
denier
impact printer
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JP27319095A
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English (en)
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Kenji Hama
健二 浜
Kozaburo Isshiki
高三郎 一色
Susumu Kano
進 加納
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】インク残留率が低く、融着部の耐久性、基布耐
久性が良好で、かつ、インク寿命が長く、グラフィック
斑に優れたインパクトプリンター用のインクリボン。 【解決手段】インクリボン基布は、酸化チタン含有率が
0.15重量%以下であるポリアミドマルチフィラメン
トからなり、基布の長さ方向の単糸繊度が1.5デニー
ル以上の繊維を含む糸で構成され、かつ、幅方向の単糸
繊度に比して長さ方向の単糸繊度が大きい糸で構成され
ている。インクリボン用基布は、印字濃度が0.4PC
Sになるまで打字した時の次式によるインク残留率が5
0%以下である。 インク残留率(%)=A/B×100 式中 A:インクリボン用基布に残留したインク量 B:初期のインク付着量

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インパクトタイプ
のプリンターに使用されるインクリボンの融着部の耐久
性、基布耐久性、インク寿命およびグラフィック斑に優
れたインクリボン基布に関する。
【0002】
【従来の技術】インクリボンはタイプライターやレジス
ターさらにはコンピュータリボンとして使用されている
ことは周知の通りである。かかるインクリボンは、打字
によりリボンの中のインクをプリント用紙に転写するも
のであるため、その素材としては衝撃に対して機械的抵
抗力の大きいポリアミドやポリエステルなどの合成繊維
が主として用いられるようになってきた。しかし、これ
らの合成繊維からなるインクリボンは、従来の綿、絹に
比べると耐久性に勝るものの、インクの保持性が劣って
いる。そのため、最近の急激な高速化や高インパクト化
されたプリンターに十分に対応できるものではなく、良
好なインク保持性、印字の鮮明性を有し、かつインク寿
命の長いものが切望されている。一方、最近、インパク
トタイプのプリンターに使用されるインクリボンは、従
来のスプールタイプが減少し、カセットに長いテープ状
のインクリボンを折り曲げて収納し、インクリボンの両
端を超音波ウエルダーによって融着(溶着)し、エンド
レス状にした融着部を有するエンドレスタイプのものが
増加してきている。通常、インクリボンは印字する際に
プリンターのヘッドピンによって衝撃を受け、徐々に破
壊されるが、上述の融着部は通常の基布部分に比べ、耐
久性が弱く、融着部の寿命がインクリボンの寿命を左右
するため、特にインクリボンの融着部の耐久性向上に対
する要求には強いものがあった。
【0003】インク保持性を高め、インク寿命を長くす
る手段として、繊維形成性ポリアミドとN−置換ピペラ
ジン環含有ポリアミドとを溶融混合紡糸して得た繊維か
ら、N−置換ピペラジン環含有ポリアミドを流液処理に
よって除去し、繊維中に中空部分を有する技術が、特公
昭49−6564号公報によって提案されている。ま
た、繊維断面において、主として外周の少なくとも一部
が開口している複数の溝状或いは蹄状の中空部分を有す
る技術が特公昭64−44772号公報によって提案さ
れている。しかしながら、上記中空部分を有する技術は
インク保持性を高め、インク寿命を長くする手段として
は有効であるが、インクリボンが嵩高なものになり、特
にカセットタイブのインクリボンでは収納性に劣り、収
納長が短くなるばかりか、融着部の耐久性向上に対して
は何ら効果のないものであった。一方、融着部耐久性を
向上する手段として、融着する2枚のインクリボンの間
に基布より融点の低い熱可塑性合成樹脂を挿入して融着
する技術が、特公昭57−13431号公報によって提
案されている。また、我々は特願平5−513949に
ポリアミド系ポリマ−を芯とし、該ポリアミド系ポリマ
−より低融点のポリアミド系ポリマ−を鞘とする芯鞘複
合糸から構成されるインクリボン用基布の提案を提案し
ている。しかしながら、融着する2枚のインクリボンの
間に基布より融点の低い熱可塑性合成樹脂を挿入して融
着する技術は、融着するインクリボンにはインクが含浸
されているため、融点の異なるポリマー間の融着が不十
分であり、融着部の耐久性の向上幅が充分でなく、融着
時の作業性も悪いものであり、インク寿命を長くする効
果に対しては何ら効果のないものであった。また、ポリ
アミド系ポリマ−を芯とし、該ポリアミド系ポリマ−よ
り低融点のポリアミド系ポリマ−を鞘とする芯鞘複合糸
から構成されるインクリボン用基布は融着部の耐久性を
向上させる技術としては効果が大きいが、インク寿命を
長くする効果に対しては何ら効果のないものであった。
【0004】また、エンドレスタイプのものはインクリ
ボンをカセット内に折り曲げられてし収納されるため、
プリンターにかけて印字すると、この折り曲げ部分が濃
く印字されるグラフィック斑といわれる印字斑が発生す
る品質上の欠点があり、改良要求には強いものがある。
特に近年、レーザープリンター、熱転写プリンター、お
よびインクジェットプリンター等のグラフィック斑が全
く発生しない新しい印字方式によるプリンターの進出に
よって、グラフィック斑の発生しないインクリボン用基
布の要求が益々強まってきているのが実情である。該グ
ラフィック斑を改良する技術として、高圧流体処理を施
し単繊維の配列を乱してインク吸収性を高めることによ
って改良する技術が特開平3−281277号公報で提
案されている。また、織物組織を特定することによって
改良する技術が特開平3−34883号公報、および特
開平3−73378号公報でそれぞれ提案されている。
しかしながら、基布のインク吸収性を高める手段として
提案されている高圧流体処理を施す方法は高価で新規設
備投資が必要であるうえ、加工工程が増えること等コス
ト的に相当高くなる問題がある。また、基布の織物組織
を特定する技術についてはグラフィック斑の改良が充分
とはいえず、また、織物組織がルーズであり、シリアル
ドットプリンターのヘッドピンの引っ掛かりをまねくな
ど実用面でまだ問題が残っている。また、インクリボン
用基布の製造においてコストダウンは重要な課題であ
り、撚糸工程を省略する検討がなされている。しかしな
がら、経糸を無撚化するとグラフィック斑が著しく悪く
なるため実用化されていないのが現状である。
【0005】一方、近年、袋状に製織した織物を幅方向
にカットしてエンドレス状にしたシームレスタイプのリ
ボンが普及してきているが、融着部を有しないため、袋
状織物の周長がインクリボンの長さになり、その長さは
極めて短く、更にインクを補給しながら繰り返し印字す
るため、基布耐久性が要求されている。基布耐久性を向
上する手段として、1デニール以下で硫酸相対粘度3以
上のマルチフィラメント糸を使用し、高倍率で延伸する
技術が特開昭60−161184号公報で提案されてい
る。しかしながら、該技術は1デニール以下の細い繊維
のみを使用するため、基布耐久性の向上効果が満足でき
るものではなく、また延伸工程での糸切れが発生しやす
く、操業性が低い等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インク残留
率が低く、融着部の耐久性、基布耐久性が良好で、か
つ、インク寿命が長く、グラフィック斑に優れたインパ
クトプリンター用のインクリボンを提供せんとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような手段を採用する。
【0008】すなわち、本発明のインパクトプリンター
用のインクリボン基布は、酸化チタン含有率が0.15
重量%以下であるポリアミドマルチフィラメントからな
るインクリボン用基布であって、該基布の長さ方向の単
糸繊度が1.5デニール以上の繊維を含む糸で構成さ
れ、かつ、該基布が、幅方向の単糸繊度に比して長さ方
向の単糸繊度が大きい糸で構成されていることを特徴と
するものであり、また、本発明のインパクトプリンター
用のインクリボン用基布は、酸化チタン含有率が0.1
5重量%以下であるポリアミドマルチフィラメントから
なるインクリボン用基布において、印字濃度が0.4P
CSになるまで打字した時の次式によるインク残留率が
50%以下であることを特徴とするものである。
【0009】インク残留率(%)=A/B×100 式中 A:インクリボン用基布に残留したインク量 B:初期のインク付着量
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、特定なポリアミドマル
チフィラメントからなるインクリボン用基布で、かつ、
該基布の長さ方向の単糸繊度が太く、幅方向の単糸繊度
が細い繊維からなり、かつ、幅方向と長さ方向の単糸繊
度比が大きい糸を使用して織成すると、その基布は意外
にも融着部耐久性や基布耐久性がよい上に、インクの出
がよくて、インク残留率の低い優れたインクリボンを提
供することを究明したものであり、もちろん、グラフィ
ック斑およびインク寿命も大幅に改善することを究明し
たものである。
【0011】本発明でいうポリアミドマルチフィラメン
トとしては、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン
6、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等で
ある。従来、インクリボン用基布を構成するマルチフィ
ラメントは40デニール、34フィラメント糸が通常用
いられているが、その単糸繊度は約1.2デニールであ
るが、本発明は、かかる基布を構成する該基布の長さ方
向の糸を構成する繊維を単糸繊度の太い繊維で構成し、
かつ、幅方向と長さ方向の単糸繊度比が大きい糸を使用
して織成したところ、上記の如く驚くべき効果を達成す
ることを究明したものである。本発明においては、長さ
方向の単糸繊度が1.5デニールを越えて太い単糸繊度
であれば、その単糸繊度に略比例して大きい効果を発揮
するが、まず、該単糸繊度が3デニールを越えれば、十
分な効果を発揮する。さらに、好ましくは3.5デニー
ル以上の単糸繊度の太い繊維からなる糸で基布を構成す
る。本発明において、かかる太い単糸繊度を有する繊維
を長さ方向の糸に使用されるが、該太い単糸繊度を有す
る繊維が含まれていればよい。すなわち、該糸の少なく
とも50重量%,好ましくは70重量%以上該太い繊維
が含まれていれば、本発明の効果は発揮される。残りの
繊維としては、別に繊度の細い繊維が含まれていてもよ
いし、さらに太い繊度の繊維が含まれていればそれだけ
効果の大きい基布を提供するものである。さらに本発明
においては、幅方向と長さ方向の単糸繊度比に略比例し
て大きい効果を発揮するが、まず、単糸繊度比が1:
2.5以上であれば、十分な効果を発揮する。好ましく
は1:3.0以上の単糸繊度比の糸で構成する。本発明
によれば、かかるインク残留率の他に、従来の単糸繊度
が3.0以下のもので、単糸繊度比のないものでは得ら
れなかった融着部耐久性、基布耐久性、グラフィック斑
およびインク寿命を大幅に改善することができるのであ
る。かかる単糸繊度から構成されるインクリボン用基布
の長さ方向および幅方向の糸の糸デニールは、別に変更
する必要はなく、一般に用いられる5〜150デニール
のものでよい。
【0012】また、本発明に使用されるポリアミドマル
チフィラメントを構成するポリマーの硫酸相対粘度は、
好ましくは2.4〜3.8であり、3.0〜3.8のも
のが融着部耐久性、基布耐久性の面からさらに好まし
い。また、糸に含まれる酸化チタンの含有率は、含有率
0重量%を含む0.15重量%以下が好ましく、0.1
0重量%以下であることがさらに好ましいが、特にこれ
に限定されるものではない。本発明の基布は150〜7
00T/mの撚りを施して用いることもできるが、好ま
しくは無撚糸を用いた方が、撚糸省略によるコストダウ
ンの面から好ましい。また、本発明では、従来の単糸繊
度より太い糸を用いるため、原糸製造段階での圧縮空気
による交絡処理を施さなくても良好な製織性を得られる
が、更に製織性を高める意味で5〜100ケ/m程度の
交絡処理を施すこともできる。かかるインクリボン用基
布の織物組織としては平織、誘導平織、綾織、朱子織、
およびその変化組織等が使用されるが特にこれに限定さ
れるものではない。かかる織物の織密度は、経糸が、好
ましくは130〜600本/in、さらに好ましくは14
0〜550本/inでよく、緯糸は、好ましくは100〜
400本/in、さらに好ましくは110〜350本/in
程度でよい。かくして得られるインクリボン用基布は、
製織された後、通常の精練、仕上げセットを施される。
好ましくは液流精練で精練し、ピンテンターで160℃
〜240℃の範囲で仕上げセットするのがよい。その
後、通常の油性インク等のインク材料を該基布に適宜量
付着(含浸)せしめた後、融着してエンドレス状インク
リボンを形成する。かかる融着は、該インクリボン用基
布の両端を超音波ウエルダーを用いて実施される。
【0013】かくして得られたインクリボンは、24ピ
ンドットプリンターで印字濃度が0.4PCSになるま
で打字した時のインクリボンに残る次式によるインク残
留率が50%以下になり、従来のインクリボンに比べ
て、インク残留率が少ないものになる。さらに好ましく
は、インク残留率が45%以下である。
【0014】インク残留率(%)=A/B×100 式中 A:インクリボン用基布に残留したインク量 B:初期のインク付着量 このインク残留率が少なくなることは、従来のインクリ
ボンに比べて、初期にインクリボン中に保持したインク
を吐き出しやすいことになり、インク寿命が向上するこ
とになる。本発明品のインク寿命が長くなる原因は、イ
ンクリボンに一定量のインクを含有させた場合、インク
リボンを構成する単糸繊度が太いほど、単糸に接触する
インクが少なくなり、かつ、インクリボンの非打字部分
から打字部分へのインクの移動が大きくなるため、イン
クを吐き出しやすいことになると推定される。
【0015】本発明のインクリボン用基布は、高圧流体
処理、気流処理、プラズマ処理、界面活性剤処理、およ
び樹脂加工等の適宜の後加工が施されたものであっても
よい。かくして得られた本発明のインクリボン用基布を
用いて構成されたインクリボンは、インク残留率が低
く、融着部の耐久性、基布耐久性、グラフィック斑が良
好であり、もちろん、インク寿命も優れている。
【0016】
【実施例】以下に本発明を実施例によって詳しく説明す
る。本発明で使用する評価方法は次の通りである。◎ [融着部耐久性]作成されたインクリボン用基布を13
mm巾に溶断し、一度ハサミで全長1mに切断し、その
後これらの基布に基布重量に対し、油性インクを22重
量%塗布して、次に超音波ウエルダー(ブランソン社製
M−8400)によって融着したが、該融着部はインク
リボンの中にほぼ等間隔に7個設けて、エンドレス状イ
ンクリボンを作成した。
【0017】このインクリボンを24ピンドットプリン
ター(エプソン社製UP−130K)用カセットに収納
し、このカセットを上記プリンターにセットし、英字、
および数字を印字し、融着部にピンホールが発生した時
の印字数を読取り、その平均値をインクリボンの融着部
耐久性とした。評価基準は次の通りである。
【0018】 ◎ : 91万字以上 ○ : 71〜90万字 △ : 51〜70万字 × : 50万字以上 [基布耐久性]上記融着部耐久性と同様にインクリボン
を長さ1mにハサミで切断し、次に超音波ウエルダー
(ブランソン社製M−8400)によって融着し、エン
ドレス状のインクリボンを作成した。このエンドレス状
のインクリボンを24ピンドットプリンター(エプソン
社製UP−130K)用カセットに収納し、このカセッ
トを上記プリンターにセットし、英字、および数字を印
字し、基布部にピンホールが発生した時の印字数を読取
り、その平均値から13m当たりの印字数を換算し、こ
れを基布耐久性とした。
【0019】評価基準は次の通りである。
【0020】 ◎ : 841万字以上 ○ : 771〜840万字 ○〜△: 701〜770万字 △ : 631〜700万字 △〜×: 561〜630万字 × : 491〜560万字 ×× : 490万字以下 [グラフィック斑]作成されたインクリボン用基布を1
3mm巾に溶断し、一度ハサミで全長1mに切断し、そ
の後これらの基布に基布重量に対し、粘度が6.5ポイ
ズ(20℃)の染料系の油性インクを22重量%塗布し
て、次に超音波ウエルダー(ブランソン社製M−840
0)によって融着した後、このインクリボンを9ピン
(東京電気製M−1550)用カセットに長さ10mを
折り畳んで収納し、ベタ打ち印字し肉眼でグラフィック
斑のレベルを評価した。評価基準は次の通りである。
【0021】 ◎:斑が全く発生しない ○:斑がほとんど発生しない △:斑が薄く発生する ×:斑が濃く発生する ××:斑が非常に濃く発生する [インク寿命]作成されたインクリボン用基布を13m
幅に溶断し、一度ハサミで1mに切断し、その後これら
の基布に基布重量に対し、油性インクを22重量%塗布
して、次に超音波ウエルダー(ブランソン社製M−84
00)によって融着し、エンドレス状インクリボンを作
成した。
【0022】このインクリボンを24ピンドットプリン
ター(エプソン社製VP−2000)用カセットに収納
し、このカセットを上記プリンターにセットし、15℃
×90%RH条件下の恒温槽内で3.2分間隔で600
字の#文字を印字し、2万字毎の文字濃度をMacbe
thd社製の濃度計PCM−IIによって測定し、印字
濃度が0.4PCSになった時までの印字数をラボグラ
フによって求め、インク寿命とした。
【0023】[インク残留率]インク寿命測定と同様、
作成されたインクリボン用基布を13m幅に溶断し、一
度ハサミで1mに切断し、その後これらの基布に基布重
量に対し、油性インクを22重量%塗布して、次に超音
波ウエルダー(ブランソン社製M−8400)によって
融着し、エンドレス状インクリボンを作成した。このイ
ンクリボンを24ピンドットプリンター(エプソン社製
VP−2000用カセットに収納し、このカセットを上
記プリンターにセットし、15℃×90%RH条件下の
恒温槽内で3.2分間隔で600字の#文字を印字し、
2万字毎の文字濃度をMacbethd社製の濃度計P
CM−IIによって測定し、印字濃度が0.4PCSに
なるまで印字を行い、途中文字濃度が0.4PCSにな
る前後のインクリボン重量を測定し、ラボグラフによっ
て文字濃度0.4PCS時の該インクリボンのインク残
量を求め、次式によりインク残留率を求めた。 インク残留率(%)=A/B×100 式中 A:インクリボン用基布に残留したインク量 B:初期のインク付着量 [硫酸相対粘度]絶乾した試料(ナイロンマルチフィラ
メント等)0.2gを98%硫酸25mlに溶解し、15
ccをオスワルド粘度計に注入し、25℃下でオスワル
ド粘度計の上部線から下部線までの溶液の流下時間t
(sec)を測定する。同様の操作で98%硫酸だけの
25℃下で流下時間t0 (sec)を測定し、次式によ
って硫酸相対粘度を求める。
【0024】硫酸相対粘度(ηr)=(t/t0 )+
1.891(1.000−C) C=(試料重量×1.831/試料溶液重量)×100 [酸化チタンの含有率]予想酸化チタンの含有率が0.
01〜0.05重量%の場合、絶乾した試料10gを採
取、該含有率が0.05〜0.3重量%の場合は、該試
料を0.7gを採取、該含有率が0.3〜1重量%の場
合は0.1g採取して使用する。かかる試料を50mlの
磁製ルツボに入れ、電熱器で燃焼させ炭化する。さら
に、700〜800℃の電気炉で2時間かけて灰化す
る。これを室温まで冷却した後、2〜4gのピロ硫酸カ
リウムを加え、ガス炎で加熱融解し、酸化チタンを可溶
性塩にする。この可溶性塩を室温まで冷却した後、該ル
ツボに20%硫酸溶液25mlを加え、塩を溶解する。さ
らに、溶解物を50mlのメスフラスコに少量の水ととも
に洗い移し、3%過酸化水素5mlを加えて発色させ、5
0ml標線まで水を加えて合せる。分光光度計で410m
μにおける水をブランクとした吸光度(λ0 )を測定
し、この吸光度(λ0 )から酸化チタン量(Ti)を求め
る。
【0025】酸化チタン量(Ti)は、下記の方法で求め
た検量線の該吸光度(λ0 )点でのX軸の酸化チタン量
として求めることができる。この値(Ti)を次式に代入
して酸化チタン含有率を求める。
【0026】酸化チタン含有率(%)=(Ti×50ml/
絶乾試料重量)×100 (検量線の作成方法)酸化チタン(特級試薬)約1gを
105℃で4時間乾燥後100mgをルツボに入れ、ピ
ロ硫酸カリウム10gを加え、ガス炎で加熱融解する。
さらに、20%硫酸20mlで該融解物を溶解し、500
mlのメスフラスコに移し、5%硫酸を加えて標線に合せ
る。この溶液を5、10、15および20ml、それぞれ
採取し50mlのメスフラスコにとり、3%過酸化水素5
mlを加えて発色させた後、5%硫酸で標線に合せる。
【0027】これら各溶液について分光光度計で410
mμにおける水をブランクとした吸光度をそれぞれ測定
し、X軸に酸化チタン濃度(mg/ml)、Y軸に吸光度
をとったグラフを作成する。このグラフが検量線であ
る。
【0028】実施例1〜4 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル5フィラメント(単糸繊度8.0デニール),40デ
ニール10フィラメント(単糸繊度4.0デニール),
40デニール13フィラメント(単糸繊度3.1デニー
ル)、40デニール34フィラメント(単糸繊度1.2
デニール)、40デニール68フィラメント(単糸繊度
0.6デニール)に50ケ/mの交絡処理を施したマル
チフィラメント糸を、それぞれ作製した。該マルチフィ
ラメント糸に撚糸を施さず表1に示す組み合わせにより
経糸および緯糸に用い、織密度が経208本/in、緯
123本/inの平織組織からなる織物を作製した後、
これらの織物を通常の方法による精練、仕上げセットし
てインクリボン用基布を作製した。これらのインクリボ
ン用基布について、前記基布の融着部耐久性、インク寿
命、インク残留率、基布耐久性、グラフィック斑の試験
方法に基づいてインクリボンを作製し、それぞれの基布
の融着部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久
性、グラフィック斑をそれぞれ測定しその結果を表1に
示した。
【0029】実施例5 硫酸相対粘度が3.10、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメント、40デニール34フィラメントに
50ケ/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸
を、それぞれ作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸
を施さず、40デニール13フィラメントを経糸に、4
0デニール34フィラメントを緯糸に用い、織密度が経
208本/in、緯123本/inの平織組織からなる
織物を作製した後、これらの織物を通常の方法による精
練、仕上げセットしてインクリボン用基布を作製した。
これらのインクリボン用基布について、前記基布の融着
部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グ
ラフィック斑の試験方法に基づいてインクリボンを作製
し、それぞれの基布の融着部耐久性、インク寿命、イン
ク残留率、基布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定
しその結果を表1に示した。
【0030】実施例6 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメント、40デニール34フィラメントに
交絡処理を施さないマルチフィラメント糸を、それぞれ
作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸を施さず、4
0デニール13フィラメントを経糸に、40デニール3
4フィラメントを緯糸に用い、織密度が経208本/i
n、緯123本/inの平織組織からなる織物を作製し
た後、これらの織物を通常の方法による精練、仕上げセ
ットしてインクリボン用基布を作製した。これらのイン
クリボン用基布について、前記基布の融着部耐久性、イ
ンク寿命、インク残留率、基布耐久性、グラフィック斑
の試験方法に基づいてインクリボンを作製し、それぞれ
の基布の融着部耐久性、インク寿命、インク残留率、基
布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定しその結果を
表1に示した。
【0031】実施例7 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメント、40デニール34フィラメントに
50ケ/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸
を、それぞれ作製した。該マルチフィラメント糸にのう
ち、40デニール13フィラメント糸に280T/mの
撚糸を施した。40デニール13フィラメントを経糸
に、40デニール34フィラメントを緯糸に用い、織密
度が経208本/in、緯123本/inの平織組織か
らなる織物を作製した後、これらの織物を通常の方法に
よる精練、仕上げセットしてインクリボン用基布を作製
した。これらのインクリボン用基布について、前記基布
の融着部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久
性、グラフィック斑の試験方法に基づいてインクリボン
を作製し、それぞれの基布の融着部耐久性、インク寿
命、インク残留率、基布耐久性、グラフィック斑をそれ
ぞれ測定しその結果を表1に示した。
【0032】実施例8 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメント、40デニール34フィラメントに
50ケ/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸
を、それぞれ作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸
を施さず、40デニール13フィラメントを経糸に、4
0デニール34フィラメントを緯糸に用い、織密度が経
170本/in、緯113本/inの平織組織からなる
織物を作製した後、これらの織物を通常の方法による精
練、仕上げセットしてインクリボン用基布を作製した。
これらのインクリボン用基布について、前記基布の融着
部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グ
ラフィック斑の試験方法に基づいてインクリボンを作製
し、それぞれの基布の融着部耐久性、インク寿命、イン
ク残留率、基布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定
しその結果を表1に示した。
【0033】実施例9 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0重量%
であるナイロン66ポリマーからなる40デニール13
フィラメント、40デニール34フィラメントに50ケ
/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸を、それ
ぞれ作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸を施さ
ず、40デニール13フィラメントを経糸に、40デニ
ール34フィラメントを緯糸に用い、織密度が経208
本/in、緯123本/inの平織組織からなる織物を
作製した後、これらの織物を通常の方法による精練、仕
上げセットしてインクリボン用基布を作製した。これら
のインクリボン用基布について、前記基布の融着部耐久
性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グラフィ
ック斑の試験方法に基づいてインクリボンを作製し、そ
れぞれの基布の融着部耐久性、インク寿命、インク残留
率、基布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定しその
結果を表1に示した。
【0034】比較例1 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル34フィラメントに50ケ/mの交絡処理を施したマ
ルチフィラメント糸を作製した。該糸に280T/mの
追撚を施した糸を経糸に、追撚を施さない糸を緯糸に用
い、織密度が経208本/in,緯123本/inの平
織組織からなる織物を作製した。これらの織物を通常の
方法による精練、仕上げセットしてインクリボン用基布
を作製した。これらのインクリボン用基布について、前
記基布の融着部耐久性、インク寿命、インク残留率、基
布耐久性、グラフィック斑の試験方法に基づいてインク
リボンを作製し、それぞれの基布の融着部耐久性、イン
ク寿命、インク残留率、基布耐久性、グラフィック斑を
それぞれ測定しその結果を表1に示した。
【0035】比較例2 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル34フィラメントに50ケ/mの交絡処理を施したマ
ルチフィラメント糸を作製した。該マルチフィラメント
糸に撚糸を施さず、織密度が経208本/in、緯12
3本/inの平織組織からなる織物を作製した。これら
の織物を通常の方法による精練、仕上げセットしてイン
クリボン用基布を作製した。これらのインクリボン用基
布について、前記基布の融着部耐久性、インク寿命、イ
ンク残留率、基布耐久性、グラフィック斑の試験方法に
基づいてインクリボンを作製し、それぞれの基布の融着
部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グ
ラフィック斑をそれぞれ測定しその結果を表1に示し
た。
【0036】比較例3 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメントに50ケ/mの交絡処理を施したマ
ルチフィラメント糸を作製した。該マルチフィラメント
糸に撚糸を施さず、織密度が経208本/in、緯12
3本/inの平織組織からなる織物を作製した。これら
の織物を通常の方法による精練、仕上げセットしてイン
クリボン用基布を作製した。これらのインクリボン用基
布について、前記基布の融着部耐久性、インク寿命、イ
ンク残留率、基布耐久性、グラフィック斑の試験方法に
基づいてインクリボンを作製し、それぞれの基布の融着
部耐久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グ
ラフィック斑をそれぞれ測定しその結果を表1に示し
た。
【0037】比較例4 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が0.04
重量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニー
ル13フィラメント、40デニール34フィラメントに
50ケ/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸を
作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸を施さず、4
0デニール34フィラメント糸を経糸に、40デニール
13フィラメント糸を緯糸に用い、織密度が経208本
/in、緯123本/inの平織組織からなる織物を作
製した。これらの織物を通常の方法による精練、仕上げ
セットしてインクリボン用基布を作製した。これらのイ
ンクリボン用基布について、前記基布の融着部耐久性、
インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グラフィック
斑の試験方法に基づいてインクリボンを作製し、それぞ
れの基布の融着部耐久性、インク寿命、インク残留率、
基布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定しその結果
を表1に示した。
【0038】比較例5 硫酸相対粘度が2.85、酸化チタン含有率が1.0重
量%であるナイロン66ポリマーからなる40デニール
13フィラメント、40デニール34フィラメントに5
0ケ/mの交絡処理を施したマルチフィラメント糸を、
それぞれ作製した。該マルチフィラメント糸に撚糸を施
さず、40デニール13フィラメントを経糸に、40デ
ニール34フィラメントを緯糸に用い、織密度が経20
8本/in、緯123本/inの平織組織からなる織物
を作製した後、これらの織物を通常の方法による精練、
仕上げセットしてインクリボン用基布を作製した。これ
らのインクリボン用基布について、前記基布の融着部耐
久性、インク寿命、インク残留率、基布耐久性、グラフ
ィック斑の試験方法に基づいてインクリボンを作製し、
それぞれの基布の融着部耐久性、インク寿命、インク残
留率、基布耐久性、グラフィック斑をそれぞれ測定しそ
の結果を表1に示した。
【0039】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜9のものは、現在
使用されている経糸追撚インクリボン(比較例1)対
比、基布の融着部耐久性、インク寿命、基布耐久性、グ
ラフィック斑に優れ、インク残留率も少ないものであっ
た。これらに対して、比較例2〜4は、基布の融着部の
耐久性、基布耐久性、グラフィック斑が悪く、かつイン
ク寿命も短いものであり、比較例5は融着部の耐久性、
基布耐久性が悪いものであり、実用に耐えるものではな
かった。
【0040】
【発明の効果】本発明インクリボン用基布は、基布の融
着部の耐久性、基布耐久性、グラフィック斑が良好であ
り、かつインク寿命が長いものであり、インパクトの強
い高速型プリンター、高複写型プリンター等に好適なイ
ンクリボンを提供することができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタン含有率が0.15重量%以下
    であるポリアミドマルチフィラメントからなるインクリ
    ボン用基布であって、該基布の長さ方向の単糸繊度が
    1.5デニール以上の繊維を含む糸で構成され、かつ、
    該基布が、幅方向の単糸繊度に比して長さ方向の単糸繊
    度が大きい糸で構成されていることを特徴とするインパ
    クトプリンター用のインクリボン用基布。
  2. 【請求項2】 酸化チタン含有率が0.15重量%以下
    であるポリアミドマルチフィラメントからなるインクリ
    ボン用基布であって、印字濃度が0.4PCSになるま
    で打字した時の次式によるインク残留率が50%以下で
    あることを特徴とするインパクトプリンター用のインク
    リボン用基布。 インク残留率(%)=A/B×100 式中 A:インクリボン用基布に残留したインク量 B:初期のインク付着量
  3. 【請求項3】 該ポリアミドマルチフィラメントが、本
    文に記載する硫酸相対粘度が2.4〜3.8の範囲のも
    のである請求項1または2記載のインパクトプリンター
    用のインクリボン用基布。
  4. 【請求項4】 該基布の長さ方向の単糸繊度が、3デニ
    ールを越える繊維を含む糸で構成されている請求項1ま
    たは2記載のインパクトプリンター用のインクリボン用
    基布。
  5. 【請求項5】 該基布が、該幅方向と長さ方向の単糸繊
    度比が、1:2.5以上である糸で構成されている請求
    項1または2記載のインパクトプリンター用のインクリ
    ボン用基布。
  6. 【請求項6】 該基布が、長さ方向の単糸繊度が3デニ
    ールを越える繊維を少なくとも50重量%含む糸で構成
    されている請求項1または2記載のインパクトプリンタ
    ー用のインクリボン用基布。
  7. 【請求項7】 該基布が、長さ方向の単糸繊度が3.5
    デニール以上の繊維を含む糸で構成されている請求項1
    または2記載のインパクトプリンター用のインクリボン
    用基布。
  8. 【請求項8】 該基布が、幅方向と長さ方向の単糸繊度
    比が1:3.0以上である糸で構成されている請求項1
    または2記載のインパクトプリンター用のインクリボン
    用基布。
  9. 【請求項9】 該ポリアミドマルチフィラメントの硫酸
    相対粘度が3.0〜3.8であることを特徴とする請求
    項1または2記載のインパクトプリンター用のインクリ
    ボン用基布。
  10. 【請求項10】 該ポリアミドマルチフィラメントが、
    無撚糸である請求項1または2記載のインパクトプリン
    ター用のインクリボン用基布。
  11. 【請求項11】 該基布が、少なくとも長さ方向の糸
    が、交絡処理を施されたものである請求項1または2記
    載のインパクトプリンター用のインクリボン用基布。
  12. 【請求項12】 該交絡箇所が、5〜100ケ/mの範
    囲である請求項11記載のインパクトプリンター用のイ
    ンクリボン用基布。
  13. 【請求項13】 該インク残留率が、45%以下である
    請求項2記載のインパクトプリンター用のインクリボン
    用基布。
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