JP2530787B2 - インクリボン用基布 - Google Patents

インクリボン用基布

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JP2530787B2 JP3325649A JP32564991A JP2530787B2 JP 2530787 B2 JP2530787 B2 JP 2530787B2 JP 3325649 A JP3325649 A JP 3325649A JP 32564991 A JP32564991 A JP 32564991A JP 2530787 B2 JP2530787 B2 JP 2530787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インパクトタイプのプ
リンターに使用される基布部の耐久性および基布の溶着
部の耐久性に優れたインクリボン用基布に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、プリンターの高速化や高インパク
ト化が進んでいるためインクリボンのの溶着部の耐久性
および基布部の耐久性の一段の向上が切望されている。
【0003】インパクトタイプのプリンターに使用され
るインクリボンは、従来のスプールタイプが減少し、カ
セットに長いテープ状のインクリボンを折り曲げて収納
し、インクリボンの両端を超音波ウェルダーによって溶
着(接着)し、エンドレス状にしたカセットタイプのも
のが増加してきている。
【0004】通常、インクリボンは、印字する際にプリ
ンターのヘッドピンによって衝撃を受け、徐々に破壊さ
れるが、上述の溶着部は通常の基布部分に比べ、耐久性
が弱く、溶着部の寿命がインクリボンの寿命を左右する
ため、特に基布の溶着部の耐久性向上への要求が強くな
ってきた。このように近年の急激なプリンターの高速化
や高インパクト化に伴うインクリボンの基布の溶着部の
耐久性および基布部の耐久性の向上への要求に答えるこ
とができていないのが現状である。
【0005】薄地基布の耐久性を向上する手段として、
ポリアミド系ポリマーの硫酸相対粘度を3.0以上に高
め、高倍率延伸し、高強度化した糸を用いる技術が特開
昭60−161184号公報によって提案されている。
【0006】また、インクリボン用基布の耐久性を向上
する手段として、紡糸速度4000m /分以上で紡糸し
たポリアミド繊維を用いる技術が、特開昭62−273
876号公報によって提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
提案にも拘らず、依然として基布耐久性については要求
されるレベルを満足するに至っておらず、特に、インク
リボンの溶着部の耐久性を高める技術は、全く提案され
ていないのが現状である。
【0008】本発明の目的は、かかるインクリボン用基
布の現状に鑑み、基布部の耐久性はもとより基布の溶着
部の耐久性に優れたインクリボンを提供せんとするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、本発明のインクリボン用基布は、基布を構成する経
糸および緯糸の少なくとも一方の糸が紡糸速度4200
m /分以上で紡糸されたもので、かつ酸化チタンの含有
率が0.15重量%以下であるポリアミドマルチフィラ
メント糸から構成されることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明は、ポリアミドマルチフィラメント糸の
紡糸速度と該糸の酸化チタンの含有率が、インクリボン
基布の基布部の耐久性を向上するとともに、特に溶着部
の耐久性に関係があることを究明して完成されたもので
ある。
【0011】すなわち、紡糸速度4200m /分以上で
紡糸されたポリアミドマルチフィラメント糸において、
酸化チタンの含有率を特定なものに限定すると、意外な
ことに基布の溶着部の耐久性を著しく向上する上に、基
布部の耐久性にも優れたものを提供することができるこ
とを究明したものである。すなわち、本発明のインクリ
ボン用基布は、基布を構成する経糸および緯糸の少なく
とも一方の糸が紡糸速度4200m /分以上で紡糸され
たもので、かつ酸化チタンの含有率が0.15重量%以
下であるポリアミドマルチフィラメント糸から構成され
たものが使用される。
【0012】かかるインクリボン用基布を構成する糸の
デニールは、5D 〜100D 程度の範囲のものを使用す
ることができるが、糸のデニールや織物密度の低下に伴
って、通常基布の溶着部耐久性および基布部の耐久性は
低下する傾向があるので、特に糸のデニールが5〜50
D の糸から構成される薄手の基布が、本発明には効果的
である。
【0013】本発明でいうポリアミドとしては、ナイロ
ン66、ナイロン6、およびナイロン46等を使用する
ことができる。
【0014】かかる糸を構成する単糸デニールは一般に
用いられる0.6〜3.0d が薄地基布を形成する上で
好ましい。単糸デニールが0.6d 未満の場合、基布部
分の耐久性が低下する傾向を示し、単糸デニールが3.
0d を越えると印字鮮明性が悪くなる傾向を示す。ま
た、糸を構成するポリマーの硫酸相対粘度は好ましくは
2.5〜3.8のものを使用する。
【0015】経糸および緯糸の撚数は、好ましくは15
0〜700 T/m 、さらに好ましくは200〜600 T
/m の範囲で追撚することが、製織性の点からよいが、
特に限定されるものではない。経糸、緯糸ともに無撚で
あってもよい。
【0016】かかるインクリボン用基布の織物組織とし
ては、好ましくは平織、誘導平織、綾織および朱子織等
が使用されるが、特にこれに限定されるものではない。
【0017】かかる織物の織物密度は、経糸が、好まし
くは130〜600本/in、さらに好ましくは140〜
550本/in、緯糸は、好ましくは100〜400本/
in、さらに好ましくは110〜350本/in程度のもの
が使用される。
【0018】本発明のインクリボン用基布は、上記のよ
うに紡糸速度と酸化チタンの含有率の両方が限定された
特定なポリアミドマルチフィラメント糸によって構成さ
れている点に特徴を有する。すなわち、これらの両方の
条件が同時に満足されるときのみ、インクリボンの溶着
部の耐久性および基布部の耐久性を大きく変えることを
究明した。
【0019】すなわち、本発明は、酸化チタンの含有率
が0.15重量%以下、好ましくは0.06重量%以
下、特に好ましくは0.02重量%以下であるフィラメ
ント糸でインクリボンを構成することによって、インク
リボンの溶着部の耐久性が大幅に改善されることを見出
したものである。
【0020】本発明のインクリボン用基布を構成する上
述の織物は、製織された後、好ましくは液流精練で精練
し、ピンテンターで160℃〜200℃の範囲で仕上げ
セットしたものが好ましく使用される。本発明のインク
リボン用基布は、さらに、通常の油性インク等のインク
材料が適宜量付着せしめられてインクリボンに形成され
る。
【0021】本発明のインクリボン用基布は、高圧流体
処理、プラズマ処理、界面活性剤処理および樹脂加工等
の適宜の後加工が施されたものであってもよい。かくし
て得られた本発明のインクリボン用基布を用いて構成さ
れたインクリボンは、基布の溶着部の耐久性はもちろん
のこと、特に基布の溶着部の耐久性に優れているという
特徴を有する。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例によって詳しく説明す
る。本発明で使用する評価方法は次の通りである。
【0023】[基布の溶着部の耐久性]前記で作成され
たインクリボンを一度ハサミで切断し、次に超音波ウェ
ルダー(ブランソン社製M−8400)によって溶着部
を作成し、エンドレス状インクリボンを作成した。該溶
着部は、全長13m のインクリボンの中にほぼ等間隔に
7個設けた。このエンドレス状インクリボンを24ピン
ドットプリンター(エプソン社製UP−130K)用カ
セットに収納し、このカセットを上記プリンターにセッ
トし、英字および数字を印字し、溶着部にピンホールが
発生した時の印字数を読取り、その平均値を基布の溶着
部耐久性とした。評価基準は次の通りである。 ◎ : 250万字以上 ○ : 231〜250万字 ○〜△ : 211〜230万字 △ : 191〜210万字 △〜× : 171〜190万字 × : 151〜170万字 ×× : 150万字以下。
【0024】[基布部の耐久性]上記溶着部の耐久性と
同様にインクリボンを長さ1m にハサミで切断し、次に
超音波ウェルダーによって溶着し、エンドレス状インク
リボンを作成した。このエンドレス状インクリボンを上
記24ピンドットプリンター(エプソン社製UP−13
0K)用カセットに収納し、このカセットを上記プリン
ターにセットし、英字および数字を印字し、基布部にピ
ンホールが発生した時の印字数を読取り、その平均値か
ら13m 当りの印字数に換算し、これを基布部の耐久性
とした。評価基準は次の通りである。 ◎ : 841万字以上 ○ : 771〜840万字 ○〜△ : 701〜770万字 △ : 631〜700万字 △〜× : 561〜630万字 × : 491〜560万字 ×× : 490万字以下。
【0025】[酸化チタン]予想酸化チタン含有率が
0.01〜0.03%の場合は絶乾した試料(ナイロン
マルチフィラメント)10g を採取するが、該含有率が
0.1〜0.3%の場合は試料を0.7g 採取して使用
する。かかる試料をルツボ(磁製 50ml)に入れ、電熱器
で燃焼させ炭化する。さらに、700〜800℃の電気
炉で2時間かけて灰化する。室温迄冷却後、2〜4g の
ピロ硫酸カリウムを加え、ガス炎で加熱融解し、酸化チ
タンを可溶性塩にする。
【0026】室温迄冷却後、該ルツボに20%硫酸溶液
25mlを加え、塩を溶解する。さらに、溶解物を50ml
のメスフラスコに少量の水とともに洗い移し、3%過酸
化水素水5mlを加えて発色させ、50ml標線まで水をく
わえる。分光光度計で410mμにおける水をブランク
とした吸光度を測定し、下記の方法で求めた検量線から
酸化チタン量(Ti:mg/ml)を求める。次式によって
酸化チタン含有率を求める。 酸化チタン含有率(%)=[(Ti×50ml)/絶乾試料重量]×100 ・検量線の作成方法 酸化チタン(特級試薬)約1g を105℃で4時間乾燥
後100mgをルツボに入れ、ピロ硫酸カリウム10g を
加え、ガス炎で加熱融解する。さらに、20%硫酸20
mlでこれを溶解し、500mlのメスフラスコに移し、5
%硫酸で標線に合わせる。この液の5、10、15、お
よび20mlを採取し、それぞれ50mlのメスフラスコに
とり、3%過酸化水素水5mlを加え発色させた後、5%
硫酸で標線に合わせる。各溶液について、分光光度計で
410 mμにおける水をブランクとした吸光度を測定
し、X軸に酸化チタン濃度(mg/ml)、Y軸に吸光度を
とり、検量線とする。
【0027】実施例1〜5、比較例1〜6 酸化チタン含有率(重量%)が0.01%、0.05
%、0.15%、および0.2%の各ナイロン66ポリ
マー(硫酸相対粘度:2.85)について、40D −3
4fil 、のマルチフィラメント糸を紡糸速度 3700 、42
00、5200m/分でそれぞれ作成した。
【0028】かかるマルチフィラメント糸は織物の経糸
に用いる糸は280 T/m の追撚を行ったが緯糸につい
ては追撚しない糸を用いた。それぞれの経糸、緯糸を用
い平織組織からなる織物を作成した。
【0029】これらの織物を通常の方法による精練、仕
上げセットして表1に示す織物を作成した。
【0030】得られた織物を13mm幅に溶断し、インク
リボン用基布を作成した。これらの基布に基布重量に対
し、油性インクを22重量%塗布して、ドットプリンタ
ー用インクリボンを作成した。これらのインクリボンに
ついて、基布の溶着部の耐久性、および基布部の耐久性
を測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜5のものは基布の
溶着部の耐久性、および基布部の耐久性ともに良好であ
った。比較例1〜6は、基布の溶着部の耐久性、および
基布部の耐久性ともに悪く、実用に耐えるものではなか
った。
【0032】
【発明の効果】本発明インクリボン用基布は、基布の溶
着部の耐久性、および基布部の耐久性ともに良好であ
り、高速型プリンター、高複写型プリンター等に好適な
インクリボンを提供することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基布を構成する経糸および緯糸の少なく
    とも一方の糸が、紡糸速度4200m /分以上で紡糸さ
    れたもので、かつ酸化チタンの含有率が0.15重量%
    以下であるポリアミドマルチフィラメント糸から構成さ
    れていることを特徴とするインクリボン用基布。
  2. 【請求項2】 該経糸または緯糸の酸化チタンの含有率
    が、0.06重量%以下であることを特徴とする請求項
    1記載のインクリボン用基布。
  3. 【請求項3】 該経糸または緯糸の酸化チタンの含有率
    が、0.02重量%以下であることを特徴とする請求項
    1記載のインクリボン用基布。
  4. 【請求項4】 インクリボンの形態が、溶着部を有する
    エンドレス状であることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクリボン用基布。
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