JPH08178923A - リポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫学的測定方法 - Google Patents

リポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫学的測定方法

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JPH08178923A
JPH08178923A JP31812994A JP31812994A JPH08178923A JP H08178923 A JPH08178923 A JP H08178923A JP 31812994 A JP31812994 A JP 31812994A JP 31812994 A JP31812994 A JP 31812994A JP H08178923 A JPH08178923 A JP H08178923A
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saa
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apolipoprotein
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diluted
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Miyuki Fukushima
美由貴 福嶋
Shuichi Kobayashi
秀一 小林
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リポタンパク質又はアポリポタンパク質の免
疫学的測定方法において、リポタンパク質又はアポリポ
タンパク質を含む被検試料をハロゲン化物を含む稀釈液
で稀釈したのち測定するリポタンパク質又はアポリポタ
ンパク質の免疫学的測定方法。 【効果】 通常の測定操作を変更することなく、高感度
かつ高精度で血清等のリポタンパク質又はアポリポタン
パク質を測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動脈硬化等の臨床検査
上有用なリポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫
学的測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リポタンパク質は、リン脂質、コレステ
ロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸等の脂質と蛋白質
とからなる会合体であり、比重の低いものから順に、カ
イロミクロン、超低比重リポタンパク質(VLDL)、
低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク
質(HDL)、超高比重リポタンパク質(VHDL)に
分けられている。
【0003】一方、アポリポタンパク質はリポタンパク
質中の蛋白成分を指し、アポAI、アポAII、アポ
B、アポCI、アポCII、アポCIII、アポE、ア
ポ(a)、血清アミロイドA等が知られている。これら
のアポリポタンパク質は、コレステロールの代謝への関
与や実測データ等から、動脈硬化の成因に関わると考え
られているもの[AI、AII、B、CI、CII、
E、Lp(a)等]、機能は不明であるが炎症にともな
い急激に血中濃度の高まるもの(血清アミロイドA)、
アルツハイマー病への関与が考えられているもの(E
等)などの様々な機能を示す。したがってその定量は、
動脈硬化や糖尿病等の成人病の診断、炎症のモニタリン
グ等の臨床検査上有用である。
【0004】このようなアポリポタンパク質の定量方法
としては、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、免疫比濁
法等の免疫学的測定法が考えられるが、これらの方法は
種々の問題点を有している。アポリポタンパク質は脂質
成分と会合し、リポタンパク質として存在している場合
が多く、抗原決定基はリポタンパク質の内部の外界と接
触していない部分に隠されており、そのままでは抗体と
反応できないことがある。特に、モノクロナール抗体や
抗ペプチド抗体を用いた場合は、その抗原決定部位が限
定されてしまうため、この傾向がより顕著になる。した
がって、アポリポタンパク質の種類や用いる抗体の種類
によっては、免疫学的測定に際して、隠れた抗原決定基
を露出させるための被検試料の前処理が必要となること
が多く、それについても種々の検討がなされている。
【0005】例えば、通常HDLと会合した状態で存在
するアポリポタンパク質である血清アミロイドA(SA
A)に免疫学的測定法を適用する場合には、熱処理、酸
又はアルカリ変性処理、疎水性溶媒による脱脂処理、塩
酸グアニジンや尿素等のタンパク質変性剤による処理、
界面活性剤処理等の前処理法が適用される[例えば、R.
Saile 等のClinical Chemistry,34 巻,9号,p1767-1771
(1988) 及びM.MarhaugのScandinavian Journal of Immu
nology,18 巻,p329-338(1983) 参照]。
【0006】しかし、このような前処理法を適用して測
定する場合、通常の処理工程に前処理工程が付加される
ため工程が煩雑となり、しかもSAAの定量が不完全な
場合がある。更に、他のリポタンパク質について上記し
た前処理方法を適用した場合には、タンパク質部分に不
可逆的な変性を生じさせ、測定精度を低下させることが
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リポタンパ
ク質又はアポリポタンパク質の測定に際し、煩雑な前処
理工程を必要とせず、通常の免疫学的測定法をそのまま
適用することができ、しかも高感度かつ高精度で測定で
きる、リポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫学
的測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、免疫学的測定方法の一工程である稀釈工程におけ
る稀釈液の成分としてハロゲン化物を加え、更にその最
適濃度を設定することにより、前処理を不要とすること
ができ、しかも高感度かつ高精度でリポタンパク質又は
アポリポタンパク質を測定できることを見出し、本発明
を完成した。
【0009】すなわち本発明は、リポタンパク質又はア
ポリポタンパク質の免疫学的測定方法において、リポタ
ンパク質又はアポリポタンパク質を含む被検試料をハロ
ゲン化物を含む稀釈液で稀釈したのち測定することを特
徴とするリポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫
学的測定方法を提供する。
【0010】本発明の免疫学的測定方法に用いる稀釈液
は、ハロゲン化物を含むものであり、その他にも通常の
免疫学的測定方法における稀釈液成分、例えば、水、炭
酸ナトリウム、牛血清アルブミン、リン酸等の緩衝液等
を含むことができる。
【0011】ハロゲン化物としては、臭化物及び沃化物
がより好ましく、さらにアルカリ金属臭化物及びアルカ
リ金属沃化物が特に好ましく、これらに該当するものと
しては、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウ
ム、沃化ナトリウム等を挙げることができる。
【0012】稀釈液中におけるハロゲン化物の濃度はそ
の種類により異なる。例えば、臭化カリウムの場合に
は、好ましくは0.2〜1.5M、より好ましくは0.
5〜1.5M、更に好ましくは0.75〜1.2Mであ
り;臭化ナトリウムの場合には、好ましくは1.0〜
6.0M、より好ましくは2.0〜5.5M、更に好ま
しくは4.0〜5.0Mであり;沃化カリウムの場合に
は、好ましくは0.2〜4.0M、より好ましくは1.
0〜3.0Mである。
【0013】本発明の免疫学的測定法としては、放射免
疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、ラテ
ックス凝集法(LA)、免疫比濁法(TIA)、ラテッ
クス免疫比濁法(L−TIA)等を挙げることができ、
これらの測定に際して用いることができる抗体として
は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等を挙げ
ることができ、更にFab等の抗体断片も用いることが
できる。なお、測定に際しては、被検試料を前記稀釈液
により10倍以上に稀釈することが好ましい。本発明に
おける測定法は、被検試料の稀釈をハロゲン化物を含む
稀釈液を用いて行う以外は前記各免疫学的測定法の通常
の測定手順に従って行えばよい。
【0014】測定可能な被検試料としては、全血、血
清、血漿、関節液、尿、胸水、腹水、骨髄、臓器抽出
液、細胞培養液等を挙げることができる。また、測定対
象のリポタンパク質としては、カイロミクロン、VLD
L、LDL、HDL、VHDL、Lp(a)等を挙げる
ことができ、アポリポタンパク質としては、アポAI、
アポAII、アポB、アポCI、アポCII、アポCI
II、アポE、アポ(a)、血清アミロイドA等を挙げ
ることができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【0016】実施例1(SAAの分離精製) SAAは、ヒトプール血清を原料として、疎水クロマト
グラフィー(オクチルセファロースを使用)及びゲル濾
過クロマトグラフィーを用い、以下の方法により精製し
た。まず、オクチルセファロースCL−4B(ファルマ
シア社製)約100mlを詰めたカラム(直径26mm×4
0cm)を、オクチルセファロースCL−4Bの約2倍体
積のPBS[150mM NaCl/10mM リン酸緩衝
水溶液(pH7.2) ]により平衡化した。これに原料である
C反応性タンパク質(CRP)値10mg/dl以上のヒト
プール血清50mlを添加し、0.5M塩酸グアニジン/
30%エチレングリコール/PBS約300mlを流して
不要な成分を除去した。その後、2.0M塩酸グアニジ
ン/30%エチレングリコール/PBSを約300ml流
して溶出させ、ピークの画分を回収し、この画分を以下
の精製処理に供した。なお、以上のカラム操作における
流速はすべて1.0ml/min であった。また、以上の操
作は室温で行い、以下の操作は4℃で行った。
【0017】次に、前記画分約100mlは、3リットル
の5mM炭酸アンモニウム水溶液を外液として透析し(外
液は5回交換)、塩酸グアニジン、エチレングリコール
及びPBSを除去した。これをアミコン(グレースジャ
パン社製,TY膜使用)を用い、窒素ガスで1.75気
圧かける限外濾過法で1.5mlに濃縮した。次に、この
試料に対し尿素を8Mになるように添加し、予め400
mlの8M尿素/PBSで平衡化したセファクリルS−1
00HR(ファルマシア社製)を詰めたカラム(直径1
6mm×100cm;ゲル充填量約170ml)にかけ、25
0mlの8M尿素/PBSで溶出させ、SAAの分子量に
相当する画分を回収した。なお、以上のカラム操作にお
ける流速はすべて0.5ml/min であった。
【0018】このようにして回収した画分約15mlは、
0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液3リットルを外液と
して透析し(外液は5回交換)、前記と同様の限外濾過
法で2mlまで濃縮し、精製SAAとした。この精製品
は、SDS−15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
かけ、分子量マーカーを指標にして分子量約12,00
0のバンドを確認した。一方、SDS−15%ポリアク
リルアミドゲル電気泳動後、ウエスタンブロットを行
い、SAA蛋白を認識する抗アミロイドA蛋白質(A
A)モノクローナル抗体(DAKO社製)により、SA
Aの分子量に相当する位置に検出されるバンドを確認し
た。なお、AAは、SAAのN末端側76アミノ酸長の
配列と同一の配列からなるため、この抗体は、AA及び
SAAの両蛋白を認識することが判っている。更に、上
記電気泳動ゲルのクマシーブリリアントブルー染色品を
デンシトメーターにかけ、既知濃度の精製SAAの染色
度との比から、純度が95%以上であることを確認し
た。
【0019】実施例2(HDL−SAAの調製) CRP値10mg/dl以上のヒトプール血清35mlを原料
として、KBrによって密度調整した超遠心法(「血漿
リポタンパク」講談社,p347−374,1983年
参照)を用い、密度1.125〜1.21の画分を分離
回収した。この画分を、10mMトリス−HCl(pH
7.5)/1mMEDTA/0.02%NaN3 水溶液1
リットルを外液として透析し(外液は4回交換)、セン
トリコン(グレースジャパン社製)で1.6mlに濃縮
し、HDL−SAAとした。
【0020】HDL−SAA中のSAAの定量は、Gode
nir らの方法[Journal of Immunological Methods,83
巻、217-225(1985)]に基づいて次のようにして行った。
まず、HDL−SAAと濃度既知の精製SAA(タンパ
ク質濃度は牛血清アルブミンを標準として、ピアス社製
のBCAキットにより定量)を同時にSDS−15%ポ
リアクリルアミド電気泳動にかけ、生成したゲルをクマ
シーブリリアントブルーで染色した。次に、このゲルを
デンシトメーターにかけ、HDL−SAA中のSAAに
相当するバンドの染色度と精製SAAの染色度の比か
ら、HDL−SAA中のSAA濃度を求めた。その結
果、HDL−SAA中のSAA濃度は3.0mg/mlであ
った。
【0021】実施例3(抗SAAモノクローナル抗体の
作製) 精製SAAを免疫したマウスの脾臓細胞とマウスミエロ
ーマ細胞SP2/0−Ag14株とを細胞融合し、限界
稀釈法によるクローニングを繰り返し、精製SAAに特
異的な抗SAAモノクローナル抗体産生株SAA02−
1株とSAA03−6株を樹立した。樹立した細胞株は
マウスの腹腔内で培養し、その腹水からプロテインG
(ファルマシア社製)を用い、モノクローナル抗体を精
製した。得られたモノクローナル抗体のアイソタイプ
は、SAA02−1株由来のものはIgG2a,κ鎖、
SAA03−6株由来のものはIgG2a,λ鎖であっ
た。なお、免疫方法、細胞融合方法、クローニング方法
及び融合細胞の培養方法は、すべて「組織細胞化学」
(日本組織細胞化学会編,学際企画出版,1986年)
に記載の方法に従った。また、プロテインGによる精製
は、ファルマシア社製の試薬に添付された方法に従っ
た。
【0022】実施例4[エンザイムリンクドイムノソル
ベントアッセイ(ELISA)の稀釈測定曲線の作製] ELISAに用いる96穴プレートは、実施例3で作製
した抗SAAモノクローナル抗体(5μg/ml;SAA
02−1株由来)を96穴マイクロタイタープレートに
1穴当たり50μlずつ添加し、固相化したのち、4倍
稀釈のブロックエース(雪印乳業社製)でブロッキング
することにより作製した。HRP(西洋ワサビペルオキ
シダーゼ,シグマ社製.タイプXII)標識抗体は、固相
化した抗体とは抗原認識部位の異なるモノクロナール抗
体(SAA03−6株由来)に対して、マレイミド法に
より作製した(「酵素免疫測定法」石川栄治ら編,第3
版,医学書院出版,1987年参照)。
【0023】次に、精製SAA、HDL−SAA及びC
RP高値血清を、稀釈液として1.0M KBr/1%
BSA/0.1M Na2 CO3 水溶液を用いて、それ
ぞれ2倍ずつ段階稀釈した。これらの稀釈液を、前記方
法で作製した抗SAA抗体固相プレートに、1穴当たり
50μlずつ添加し、室温で振とうしながら2時間反応
させた。PBSで洗浄後、10倍稀釈したブロックエー
スで希釈したHRP標識抗体(稀釈倍率は製造ロットご
とに異なるが、この場合は200倍稀釈とした)を50
μlずつ添加し、室温で振とうしながら1時間反応させ
た。PBSで洗浄後、5mg/ml o−フェニレンジアミ
ン/0.02% H2 2 /0.1Mクエン酸緩衝液
(pH4.5)を50μlずつ添加し、室温で15分間
静置したのち、1N硫酸で反応を停止させ、波長492
nmの吸光度を測定した。この測定結果を図1に示す。ま
た、精製SAA、HDL−SAA及びCRP高値血清を
1%BSA/0.1M Na2 CO3 水溶液で希釈した
ものについても同様に処理して、その吸光度を測定し
た。これらの測定結果を図2に示す。
【0024】図1から明らかなとおり、各試料をKBr
を含む稀釈液で希釈した場合には、すべての試料が同等
の測定感度を示し、稀釈測定曲線の形状も一致してい
た。これは高濃度のKBrを含む稀釈液で希釈した場合
には、HDLと会合したSAAの液中における存在状態
が変化し、抗体との反応性が精製SAAに近づくことを
示している。これに対して図2から明らかなとおり、各
試料をKBrを含まない稀釈液で稀釈した場合には、精
製SAAの稀釈測定曲線の吸光度が高い(高感度であ
る)のに比べ、HDL−SAA及びCRP高値血清の稀
釈測定曲線の吸光度は低かった。また、HDL−SAA
とCRP高値血清の稀釈測定曲線の形状は一致していた
が、精製SAAのそれとは明らかに異なっていた。これ
は、精製SAAとHDL−SAA及びCRP高値血清と
では、抗原抗体反応の反応性が異なっていることを示し
ている。以上の結果から、KBrを含む稀釈液を用いた
本発明の測定方法がHDL−SAAの免疫学的測定法に
有効であることが確認できた。
【0025】実施例5(稀釈液中のハロゲン化物濃度の
変化) KBr濃度が、それぞれ0(対照)、0.25、0.
5、0.75、1.0及び1.5Mになるように調整し
たKBrと1%BSA/0.1M Na2 CO3とから
なる各稀釈液を用い、HDL−SAAを希釈してELI
SAを行った。なお、測定試料の調製方法及びELIS
Aの測定方法は実施例4と同様にして行った。測定結果
を図3に示す。
【0026】図3から明らかなとおり、KBr濃度と吸
光度の間には明らかな相関関係が認められた。KBrの
添加効果は、KBr濃度が0.2〜1.5Mの範囲で確
認され、特に0.5〜1.5Mの範囲で、更に0.75
〜1.2Mの範囲でより顕著であった。
【0027】実施例6(稀釈液中に含有させるKBr以
外のハロゲン化物の効果) KBrに代えてNaBr又はKIを用い、実施例5と同
様にしてELISAを行った。なお、濃度は0(対
照)、0.5、1.0、2.0、3.0及び4.0Mと
した。結果を図4(NaBr)及び図5(KI)に示
す。
【0028】図4及び図5から明らかなとおり、NaB
r又はKIを含む稀釈液で希釈した場合は、対照と比べ
ると吸光度が高く、HDL−SAAの測定に有効である
ことが確認できた。NaBr又はKIの添加効果は、N
aBrの場合は1.0〜6.0Mの範囲で確認され、特
に2.0〜5.5Mの範囲で、更に4.0〜5.0Mの
範囲で顕著であり、KIの場合は0.2〜4.0Mの範
囲で、特に1.0〜3.0Mの範囲で顕著であった。
【0029】実施例7(ELISAにおける添加回収試
験) 添加回収試験用の試料としては、HDL−SAA(SA
A濃度1mg/ml)1容をベース血清(健常人血清)9容
に添加したSAA添加血清を用いた。また、10mMトリ
ス−HCl(pH7.5)/1mM EDTA/0.02%
NaN3水溶液1容をベース血清9容に添加した試料を
対照用試料1とし、HDL−SAA(SAA濃度1mg/
ml)1容を10mMトリス−HCl(pH7.5)/1mM
EDTA/0.02%NaN3水溶液9容に添加した試
料を対照用試料2とした。標準抗原としては、HDL−
SAAを1%BSA/50mMリン酸ナトリウム緩衝水溶
液でSAA濃度が300μg/mlになるように希釈した
のち、更に同緩衝水溶液で2倍ずつ段階稀釈したものを
用いた。その後、これらの試料及び標準抗原は、1.2
M KBr/1%BSA/50mMリン酸ナトリウム緩衝
水溶液で50倍稀釈し、更に同緩衝水溶液で200倍稀
釈し、試験に供した。なお、1.2M KBr/1%B
SA/0.1M Na2CO3水溶液の効果を確認するた
め、標準抗原用の稀釈液に1%BSA/0.1M Na
2CO3水溶液を用いたものを比較例とした。これらの各
試料について、実施例4と同様の方法で測定を行った。
それらのうち、標準抗原についての測定結果を図6に示
す。
【0030】次に、図6を検量線として、各試料の吸光
度からそれらのSAA濃度を換算し、更に添加回収率を
算出した。なお、検量線は各稀釈液に対応するものをそ
れぞれ用い、添加回収率は次式から求めた。
【0031】
【数1】
【0032】SAA添加血清、対照用試料1及び対照用
試料2についてのSAA濃度及び添加回収率を表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】図6から明らかなとおり、1.2M KB
r/1%BSA/0.1M Na2CO3水溶液を稀釈液
とした場合には、検量線は設定した標準抗原である30
0μg/mlまで吸光度が段階的に上昇しており、その値
も1%BSA/50mMリン酸ナトリウム緩衝水溶液を稀
釈液とした場合に比べてはるかに高かった。また、表1
から明らかなとおり、回収率も100%以上と優れてい
た。これに対して、1%BSA/50mMリン酸ナトリウ
ム緩衝水溶液を稀釈液とした場合の検量線は、SAA濃
度が40μg/mlが検出の限界であり、それ以上抗原の
濃度を高くしても吸光度の上昇はほとんど見られなかっ
た。また、1%BSA/50mMリン酸ナトリウム緩衝水
溶液を稀釈液とした場合には、添加したHDL−SAA
は43%しか回収されていなかった。以上の結果から、
稀釈液としてKBrを含む水溶液を用いることにより、
SAAが高感度かつ高精度で測定できることが確認でき
た。
【0035】実施例8[ラテックス凝集法(LA法)に
おける効果] 感作ラテックスは、実施例3で得られた2種のモノクロ
ナール抗体について、それぞれ別々に以下のようにして
作製した。まず、平均粒径0.22μmの10%ラテッ
クス浮遊液(積水化学社製)の最終濃度が1%となり、
精製抗体の最終濃度が1mg/mlとなり、全体の容量が1
mlとなるように、10mM トリス−HCl(pH7.
5)/150mM NaCl水溶液で調整した。この溶液
を一晩振とう後、遠心分離(18000XG,15分
間,4℃)してラテックスを沈殿させ、1mlの1%BS
A/10mM トリス−HCl(pH7.5)/150mM
NaCl水溶液で再懸濁し、37℃で2時間振とうし
ブロッキングした。再度前記と同条件で遠心分離したの
ち、1mlの0.2%BSA/10mM トリス−HCl
(pH7.5)/150mM NaCl水溶液で懸濁し、
洗浄した。この洗浄を2回行ったのち、1mlの0.2%
BSA/10mM トリス−HCl(pH7.5)/15
0mM NaCl水溶液で懸濁し、ブランソン社製の超音
波破砕装置ソニファイヤー250を用い、サイクル1
0、出力コントロール2で5分間超音波処理し、ラテッ
クスを分散させ、感作ラテックス試薬とした。測定試料
は、SAA濃度が500μg/mlのHDL−SAA/P
BSを1.2M KBr/1%BSA/0.1M Na
2CO3水溶液で倍々希釈して調製した。また、対照とし
て、1%BSA/PBSで同様に希釈したものを用意し
た。LA法は、凝集板(フナコシ社製)上に、2種の感
作ラテックスと稀釈試料をそれぞれ10μlずつ取り、
混ぜ合わせて、板をゆっくり振とうさせながら、凝集状
態を観察することにより行った。
【0036】その結果、稀釈液として1.2M KBr
/1%BSA/0.1M Na2 CO3 水溶液を用いた
場合は、7.8μg/mlまで凝集が認められた。これに
対して、稀釈液として1%BSA/PBSを用いた場合
は、15.6μg/mlまでしか凝集が認められなかっ
た。この結果から、本発明の測定方法は、LA法におい
ても有効であることが示された。
【0037】実施例9[Lp(a)の測定系における効
果] Lp(a)の測定は、ティントエリーゼ(バイオプール
社製,コスモバイオ社販売)を用いて、試料の稀釈液の
み、1.0M KBr/1%BSA/0.1MNa2
3 水溶液及び1%BSA/0.1M Na2CO3水溶
液の各稀釈液をキット添付の稀釈液と置き換えて行っ
た。測定試料は、健常人血清(検体1、検体2)、Lp
(a)高値血清(検体3)を用い、試薬に添付された方
法に従って以下のようにして測定を行った。
【0038】ヤギ抗アポ(a)抗体結合プレートの各穴
に各稀釈液100μlを入れたのち、各稀釈液で希釈し
た稀釈標準抗原及び稀釈検体20μlを加え、振とうし
ながら2時間反応させた。洗浄後、HRP標識ヤギ抗ア
ポ(a)抗体125μlを加え、1時間反応させた。洗
浄後、発色試薬200μlを加え、15分間反応させた
のち、更に50μlの反応停止薬を加え、吸光度を測定
した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなとおり、本発明の測定方
法は、Lp(a)の測定においても有効であることが示
された。
【0041】
【発明の効果】本発明の免疫学的測定方法によれば、高
感度かつ高精度でリポタンパク質又はアポリポタンパク
質を測定することができる。また、本発明の免疫学的測
定方法によれば、通常の測定操作をそのまま適用するこ
とができ、測定操作の手順を変える必要もなく、煩雑な
前処理も不要となるため、操作が簡便で測定に要する労
力を軽減できる。本発明の免疫学的測定方法は、臨床検
査等の分野における分析手段として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】KBrを含む稀釈液で希釈した各試料のELI
SAによる測定曲線を示す図である。
【図2】KBrを含まない稀釈液で希釈した各試料のE
LISAによる測定曲線を示す図である。
【図3】稀釈液中のKBr濃度を変化させた場合のHD
L−SAAの測定値に及ぼす影響を示す図である。
【図4】稀釈液中のNaBr濃度を変化させた場合のH
DL−SAAの測定値に及ぼす影響を示す図である。
【図5】稀釈液中のKI濃度を変化させた場合のHDL
−SAAの測定値に及ぼす影響を示す図である。
【図6】KBrを含む稀釈液で希釈した場合のELIS
Aの検量線を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リポタンパク質又はアポリポタンパク質
    の免疫学的測定方法において、リポタンパク質又はアポ
    リポタンパク質を含む被検試料をハロゲン化物を含む稀
    釈液で稀釈したのち測定することを特徴とするリポタン
    パク質又はアポリポタンパク質の免疫学的測定方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化物が、アルカリ金属臭化物又
    はアルカリ金属沃化物である請求項1記載のリポタンパ
    ク質又はアポリポタンパク質の免疫学的測定方法。
JP31812994A 1994-12-21 1994-12-21 リポタンパク質又はアポリポタンパク質の免疫学的測定方法 Pending JPH08178923A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007502401A (ja) * 2003-08-15 2007-02-08 エレクトロフォレティックス リミテッド 卒中の診断方法
JP2007506075A (ja) * 2003-09-22 2007-03-15 ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・アクティエンゲゼルシャフト アポリポ蛋白質c−iの測定による疾患の診断方法

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