JPH08178664A - 振動検出装置 - Google Patents

振動検出装置

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JPH08178664A
JPH08178664A JP31853694A JP31853694A JPH08178664A JP H08178664 A JPH08178664 A JP H08178664A JP 31853694 A JP31853694 A JP 31853694A JP 31853694 A JP31853694 A JP 31853694A JP H08178664 A JPH08178664 A JP H08178664A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明の振動検出装置にあっては、ハイパス
フィルタを改良し振動信号に含まれるオフセット成分と
ドリフト成分を効果的に除去し、且つ振動信号の低周波
成分を必要以上に除去しないために、非線形特性を有す
るハイパスフィルタを使用することを特徴とする。 【構成】外部より加えられた振動が振動検出部11で振
動情報として検出される。そして、検出された振動情報
の大きさに比例しない非線形除去特性を有する非線形H
PF演算部12で、該振動情報に混在している所定の低
周波成分が除去された振動信号が出力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、撮影画像の劣化につ
ながる手ぶれを検出するカメラの手ぶれ検出装置や、車
の航行装置に用いられる車の進行方向を検出する回転検
出装置等の振動検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば撮影装置の振動による
画質の劣化防止や、車の走行位置・方向の検出・表示の
ために、装置の回転振動の情報を活用する応用技術が提
案されている。
【0003】このための振動検出装置としては、角速度
センサのように機械的振動検出センサが利用されてい
る。また、振動や角速度を検出するセンサとして、超音
波振動する超音波振動方向に、大きさは同じで方向が逆
の角度の法線を有する1対の機械−電気エネルギー変換
素子の出力の差、或いは位相のずれから超音波振動方向
に直交する軸回りの角速度に比例する信号を出力する、
所謂振動ジャイロ型角速度センサが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな撮影装置の振動の検出や車等の航行装置の進行方向
検出装置等には、角速度検出手段等は温度変化等でドリ
フトを発生し、角速度0の状態が不安定である。また、
ドリフトが無くとも電源投入時に振動がある場合には振
動0の状態信号のレベルが不安定になり易いため、この
不安定さが振動信号のオフセットに結びつき易い。
【0005】更に、角速度を積分して角度の次元の信号
を得る場合には、ドリフトやオフセットの信号成分は低
周波成分であるため、積分によって著しい誤差を生じて
しまう。このため、ハイパスフィルタ(HPF)を用い
て、振動信号のドリフト成分やオフセット成分である低
周波数成分を除去する必要がある。
【0006】しかしながら、通常のHPFでは、信号の
周波数についてのみ、その除去効果を変更することがで
きるものであった。このため、低周波の振動をドリフト
成分と同様に除去してしまい、その結果、誤差が生じて
振動を正確に検出することは困難なものとなっていた。
【0007】この発明は上記課題に鑑みてなされたもの
で、ハイパスフィルタを改良し振動信号に含まれるオフ
セット成分とドリフト成分を効果的に除去すると共に、
振動信号の低周波成分を必要以上に除去することのない
振動検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、外
部より加えられた振動を振動情報として検出する振動情
報検出手段と、上記検出された振動情報の大きさに比例
しない非線形除去特性を有すると共に、該振動情報に混
在している所定の低周波成分を除去する低周波成分除去
手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
【作用】この発明の振動検出装置にあっては、外部より
加えられた振動が、振動情報として振動情報検出手段で
検出される。そして、上記検出された振動情報の大きさ
に比例しない非線形除去特性を有する低周波成分除去手
段によって、該振動情報に混在している所定の低周波成
分が除去される。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。図1は、この発明の振動検出装置の基本構成を
示したブロック図である。図1(a)に示される振動検
出装置は、振動情報を検出する振動検出部11と、非線
形特性を有する非線形HPF(ハイパスフィルタ)演算
部12とから成っている。
【0011】このような構成に於いて、外部より加えら
れた振動は、振動検出部11で振動情報として検出され
る。そして、検出された振動情報の大きさに比例しない
非線形除去特性を有する非線形HPF演算部12によっ
て、該振動情報に混在している所定の低周波成分が除去
された振動信号が出力される。
【0012】図1(b)は、同図(a)の振動検出装置
の第1の変形例を示したものである。尚、以下の説明に
於いて、同一の構成要素には同一の参照番号を付してそ
の説明は省略するものとする。
【0013】この振動検出装置は、手ぶれ検出部13
と、非線形特性を有する非線形HPF演算部12とから
構成される。この場合、外部より加えられた手ぶれによ
る振動が、手ぶれ検出部11で振動情報として検出され
る。そして、検出された振動情報の大きさに比例しない
非線形除去特性を有する非線形HPF演算部12によっ
て、該振動情報に混在している所定の低周波成分が除去
された手ぶれ信号が出力される。
【0014】また、上記振動検出部11及び手ぶれ検出
部13は、図1(c)に示されるように、角速度センサ
14を用いて構成することができる。更に、振動検出装
置は、図1(d)に示されるように構成することもでき
る。すなわち、振動検出装置は、振動情報を検出する振
動検出部11と、非線形特性を有する非線形HPF演算
部12と、この非線形HPF演算部12の出力を積分す
る積分演算部15で構成される。
【0015】このように構成することにより、1つ高い
次元の振動信号に変換することもできる。ところで、上
記非線形HPF演算部12は、演算に処理される信号の
大きさに比例する信号除去特性を持たないハイパスフィ
ルタ処理を行う演算手段である。このため、図2(a)
に示されるように、HPF演算処理される信号の大きさ
を判断する演算処理信号サイズ判定部16と、異なるH
PF特性を有する第1演算部17及び第2演算部18と
から、非線形HPF演算部12を構成することもでき
る。これによれば、演算に用いられる信号の大きさによ
り、異なったHPF特性で処理できるようになる。
【0016】また、上記非線形HPF演算部12は、図
2(b)に示されるように、HPF演算処理される信号
の大きさに対して比例しない減衰処理を行う減算型減衰
処理部19と、HPF演算部20とから構成するように
しても良い。このように構成すれば、非線形HPF演算
部12は、演算に処理される信号の大きさに比例しない
一定の減衰量を有することができる。
【0017】図3及び図4は、この発明による振動検出
装置が適用された手ぶれ防止装置を有するカメラの構成
例を示したもので、図3は実施例のカメラの外観斜視
図、図4はカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0018】カメラ30の本体の前面部には撮影レンズ
31を有すると共に、被写体を観察するためのファイン
ダ32が設けられている。そして、このカメラ30の本
体の上面には、後述する2段構成のスイッチを有するレ
リーズ釦33が設けられている。
【0019】また、このカメラ30の種々の動作を制御
するためのカメラ制御部34には、カメラ30の本体に
装填されるフィルム35上に結像する被写体像のピント
を調節するために撮影レンズ31を移動させる焦点調節
装置36と、被写体の輝度を測定して適正露光量を求め
る測光装置37と、カメラ30に撮影の準備動作を指示
するためのファーストレリーズスイッチ(1stRs
w)38及び撮影動作を指示するためのセカンドレリー
ズスイッチ(2ndRsw)39の2段構成のスイッチ
から成るレリーズ釦33と、フィルム35に適当な露光
を与えるための露光装置40と、撮影のためにフィルム
35を巻上げたり巻戻したり、或いはフィルム35を保
持するためのフィルム給送装置41と、カメラ30の動
作状態、或いは被写体の輝度等のカメラ30で処理され
る情報を適宜表示する表示部42と、カメラ30の手ぶ
れを検出して手ぶれを防いだ撮影を実現するための手ぶ
れ防止装置43が接続されている。尚、44は、カメラ
30内の各部で用いられる電力を供給するための電源部
である。
【0020】上記カメラ制御部34は、レリーズ釦33
の操作を検出して、上記焦点調節装置36、測光装置3
7、露光装置40、フィルム給送装置41、表示部42
の動作を、カメラとしての機能を成り立たせるために所
定のタイミングで動作するよう制御する。
【0021】また、カメラ制御部34は、I/O(イン
プット/アウトプット)部やメモリ部と一体的に構成さ
れた、所謂、1チップマイクロコンピュータ(1chi
pCPU)で構成されている。そして、カメラ制御部3
4は、リードオンリメモリ(ROM)に記述されたプロ
グラムに従って、所定のカメラの動作を実現している。
【0022】次に、このカメラ30の動作を簡単に説明
する。図5は、上記カメラ制御部34の大まかな動作を
説明するフローチャートである。
【0023】先ず、電源が投入されると、ステップS1
で〈初期設定〉のルーチンを実行する。ここでの動作
は、図示されないメモリ内のデータを初期化したり、ま
た、バッテリ残量のチェック、カメラ30の故障のチェ
ック、更に電源オフ状態で沈胴するカメラであるならば
沈胴状態からの復帰等、レンズの位置の初期設定動作等
が行われる。
【0024】次いで、ステップS2にて、ファーストレ
リーズスイッチ38の操作が撮影者によって行われてい
るかを判定し、操作がある迄この動作を繰返す。このス
テップS2で、ファーストレリーズスイッチ38の操作
を検出した場合、ステップS3へ進んで、手ぶれ防止装
置43に対して手ぶれの検出を開始するように指示す
る。この場合には、手ぶれ検出系に対して電源を投入す
る指示を含ませても良い。これにより、ファーストレリ
ーズスイッチ38の操作があるまで、手ぶれ検出系で電
力を消費せずに節電することができ、カメラ30の電池
寿命を延ばすことができる。
【0025】次に、ステップS4で、焦点調節装置36
を用いて被写体までの距離や、フィルム35と等価の光
路長での被写体のピント状態を調べ、撮影レンズ31に
より結像される被写体像位置をフィルム35上に来るよ
うに駆動する、〈焦点調整〉ルーチンを実行する。そし
て、ステップS5にて、測光装置37を用いて被写体の
輝度を測定し、フィルム35に与える光量を適正にする
適正光量を求める、〈測光〉ルーチンを実行する。
【0026】ステップS6では、手ぶれ防止装置43か
ら手ぶれによる被写体像の移動情報、すなわちぶれの状
態情報を受取る。その後、ステップS7で、表示部42
を用いて、焦点状態情報、被写体輝度情報、手ぶれ情報
を撮影者に伝達するために表示する、〈表示〉ルーチン
を実行する。
【0027】次に、ステップS8に於いて、撮影者によ
る露光指示があるか否か、セカンドレリーズスイッチ3
9の操作を調べて判定する。撮影の指示があればステッ
プS9へ、指示がなければ後述するステップS13へそ
れぞれ進む。
【0028】ステップS9では、手ぶれ防止装置43に
対して露光時の手ぶれを防止、或いは補正を開始するよ
うに指示する。そして、ステップS10で、露光装置4
0を用いてフィルム35に被写体像を露光する。この露
光装置40は、上記ステップS5の〈測光〉ルーチンで
求められた適正光量分露光するために、露光装置40内
の絞り装置やシャッタ装置を用いて撮影レンズ31を通
過する光量と時間が制御される。
【0029】続いて、ステップS11で、手ぶれ防止装
置43に対して手ぶれの防止、或いは補正を終了するよ
う指示する。その後、ステップS12で、フィルム給送
装置41を用いて次回の撮影のためにフィルム35を1
駒進める。
【0030】これらの露光に関する処理を終了した後、
上記ステップS8へ戻る。一方、上記ステップS8で撮
影の指示を検出できない場合は、ステップS13へ進ん
でファーストレリーズスイッチ38の操作が撮影者によ
って行われているかを判定する。ここで、操作が行われ
ている場合は上記ステップS4へ戻り、以上の動作を繰
返す。
【0031】上記ステップS13で、ファーストレリー
ズスイッチ38の操作を検出できない場合は、撮影者に
よる露光準備指示が無いため、ステップS14に進んで
手ぶれ防止装置43に対して手ぶれの検出を終了するよ
うに指示する。その後、上記ステップS2へ戻り、以上
の動作を継続する。
【0032】ここで、手ぶれ防止装置43について説明
する。一般に、手ぶれは、撮影画面に対して上下、左
右、更に回転方向に発生する。通常は、上下及び左右方
向のぶれが主成分であるため、2軸方向のぶれの検出が
必要である。
【0033】このように、実際には2軸或いは3軸のぶ
れを検出補正する必要があるが、ここでは説明を簡略化
するために、1軸についてのみ説明する。尚、複数の軸
に対して検出を行う場合は、並列的に制御しても良い
し、時分割的に各軸を制御しても良く、それぞれの処理
部分を時分割的に処理して、1つの制御部で、ある程度
並列的に(局所的には時分割)処理することも可能であ
る。
【0034】手ぶれ防止装置43は、図6に示されるよ
うに、手ぶれ防止制御部46と、手ぶれを検出して手ぶ
れ信号を加工処理する手ぶれ検出処理部47と、検出し
た手ぶれ情報を元に撮影時の手ぶれを低減する手ぶれ防
止部48と共により構成される。上記手ぶれ防止制御部
46は、カメラ制御部34からの信号を受け、手ぶれ検
出処理部47と手ぶれ防止部48の動作を制御するため
のものである。
【0035】手ぶれ防止制御部46は、手ぶれ防止のた
めの専用のマイクロコンピュータであり、手ぶれ防止制
御部46内のレジスタと、ランダムアクセスメモリ(R
AM)と、外部とデータのやり取りを行うためのI/O
ポートと、プログラムとで構成されている。
【0036】上記手ぶれ防止制御部46は、また、角速
度信号をデジタル化するためのA/Dコンバータを内蔵
している。手ぶれ防止制御部46は、プログラム記憶領
域、変数記憶領域、レジスタ、I/Oポート部、コント
ロール部等が集積された、所謂、1チップCPUにて構
成されている。以下、このCPUを手ぶれ防止CPUと
する。
【0037】一方、上記手ぶれ検出処理部47は、図7
に示されるように、角速度センサ部50と、角速度増幅
部51と、角速度信号ハイパスフィルタ(HPF)処理
部52と、角速度予測演算部53と、像移動速度演算部
54とから成り、公知の方法によりカメラの振動回転速
度を検出して被写体画像の移動速度を出力する。
【0038】この手ぶれ検出処理部47のおおよその動
作は、次の通りである。すなわち、角速度センサ部50
の出力を角速度増幅部51で所定の信号に増幅する。そ
して、増幅された信号を角速度信号ハイパスフィルタ処
理部52でハイパス演算処理を行い、角速度センサ部5
0の出力が有するドリフト成分を除去する。この処理さ
れた信号を、角速度予測演算部53にて遅れの補正や近
未来の変化の軌跡への変換処理を施し、その後で像移動
速度演算部54で焦点距離情報や被写体距離情報、倍率
情報を用いて、角速度信号を像移動速度信号に変換す
る。
【0039】尚、角速度予測演算部53は、手ぶれ信号
の近未来の推移について予測を行う手段であるが、この
予測方法については、例えば本出願人による特開平5−
204012号公報や特願平5−173144号に詳細
に述べられているので、ここでは説明を省略する。
【0040】ここで、像移動速度演算部54での信号処
理動作を説明する。フィルム面に手ぶれ回転中心がある
場合、幾何学的な光線の追跡により、回転量θと像移動
量dの間には、撮影倍率をβ、撮影レンズ31の焦点距
離をfとすると、 d=f・(1+β)・(1+β)・sin(θ) また、角速度ωと像移動速度vの間にも v=f・(1+β)・(1+β)・sin(ω) の関係があることがわかる。
【0041】更に、手ぶれによる角度変化は小さいた
め、近似的に v=f・(1+β)・(1+β)・ω と求めることができる。更に近似的には、 v=f・(1+β)・ω 或いは、 v=f・ω としても良い。
【0042】このように、撮影倍率が被写体距離と焦点
距離から求められることも公知であり、また、被写体距
離を求める方法もピント調節装置に応用されるところで
ある。加えて、撮影レンズの焦点距離の検出も公知であ
る。
【0043】これらの関係より、カメラの手ぶれによる
角速度から被写体画像の移動を求めることができる。こ
の演算に必要な、被写体距離情報や撮影レンズ31の焦
点距離情報は、カメラ30本体を制御するカメラ制御部
34から送られてくる情報である。
【0044】また、角速度センサやその信号の増幅部に
感度の誤差がある場合、その感度誤差を補正するため
に、補正の係数αを用いて、 v=α・f・(1+β)・(1+β)・ω の演算を行えば良い。また、演算を簡単にするために、
前もって一度、角速度像速度変換係数γとして、 γ=α・f・(1+β)・(1+β) なる演算を行い、次回からこの係数γを用いて、 v=γ・ω の演算を行うことで、像移動速度が求められる。
【0045】ところで、上記角速度センサ部50は、所
謂、振動ジャイロ角速度センサであり、超音波振動する
振動片上の振動方向に対して同一の大きさの異なる角度
に配置された圧電体材料や磁歪材料による機械エネルギ
ー−電気エネルギー変換素子の出力の位相のずれ、或い
は振幅の差から、振動片の振動に対して直交方向の軸回
りの回転速度を電圧情報として出力する。この角速度セ
ンサ部50の出力は、角速度増幅部51で所定の大きさ
に増幅される。
【0046】図8は、上記角速度増幅部51の構成の一
例を示したブロック図である。この角速度増幅部51
は、差動アンプ61と、差動アンプ基準電圧発生部62
と、基準電圧制御部63と、出力補正部64により構成
され、出力補正部64からの出力が角速度増幅部51の
信号として出力される。
【0047】上記増幅アンプ61では、角速度センサ部
50の出力と差動アンプ基準電圧発生部62の出力が入
力され、両者の差がこの差動増幅アンプ61により増幅
されて出力される。尚、差動アンプ基準電圧発生部62
の出力は、基準電圧制御部63によって定められる。
【0048】この基準電圧制御部63では、差動アンプ
61の出力が所定の範囲内に収まるように差動増幅基準
電圧が定められるものである。基準電圧が変更された場
合には、基準電圧が変化された場合に差動アンプ61の
出力が変化する分が差動アンプ61の出力に加味される
ことで、基準電圧の変更前と同じ基準電圧状態での出力
が演算されて求められる。
【0049】また、出力補正部64では、基準電圧制御
部63により差動アンプ基準電圧発生部62を用いて基
準電圧が変更される度に、基準電圧変更による差動アン
プ61の出力変化分が該差動アンプ61から減算されて
補正信号が得られ、これが出力される。基準電圧の変更
がなければ、差動アンプ61の出力がそのまま出力補正
部64から出力される。
【0050】例えば、差動アンプ61の増幅率が100
倍である場合、基準電圧を10mV下降させると、差動
アンプ61の出力は1V上昇する。この時点で、差動ア
ンプ61から出力される角速度信号も1V上昇するが、
これは、見かけ上、上昇しただけで、角速度信号は差動
アンプ61の出力から1V分減じた値が正しい値であ
る。このような補正が出力補正部64で行われる。
【0051】図7に戻って、角速度信号ハイパスフィル
タ処理部52では、所定のHPF処理演算が行われて角
速度信号に含まれる低周波成分が除去される。この主な
理由は、振動ジャイロ型角速度センサの出力が温度によ
りオフセット成分を含むために、絶対的な角速度信号が
出力されないためであり、HPFによりこの温度による
オフセットやドリフトの成分が除去される。
【0052】HPF演算は、検出される角速度信号の変
化値をΔx、ハイパス(HPF)演算結果をh、また、
前回のハイパス演算結果をh′、前回のハイパス演算結
果に対する重み係数をkh として、 h=Δx+kh ・h′ として求められる。ここでkh は、(0≦kh ≦1)の
値を有する係数である。
【0053】また、係数kh を用いずに、h′を少しだ
け値を小さくなるように減算することでも、HPFの特
性を得ることができる。図9は、上記角速度増幅部51
の更に具体的な構成例を示したブロック図である。
【0054】角速度増幅部51内の差動アンプ61は、
差動アンプ基準電圧発生部62と共に、専用の集積回路
である角速度検出IC65で構成される。そして、差動
アンプ61の出力は、手ぶれ防止CPU66内のA/D
コンバータ67でデジタル化される。これに伴って、角
速度増幅部51の基準電圧制御部63、出力補正部64
は手ぶれ防止制御部(図示せず)内のプログラムとレジ
スタ、RAMを中心として構成される。
【0055】基準電圧制御部63は、更に差動アンプ基
準電圧発生部62に対して発生する電圧を指示するため
の出力ポートである制御信号発生部を有する。上記差動
アンプ基準電圧発生部62は、手ぶれ防止CPU66内
の基準電圧制御部63から、その出力電圧が指示制御さ
れるD/Aコンバータで構成される。
【0056】また、角速度信号ハイパスフィルタ処理部
52、角速度予測演算部53、像移動速度演算部54
も、上記A/Dコンバータ67、基準電圧制御部63、
出力補正部64と共に、手ぶれ防止CPU66内のプロ
グラムを用いて実現される。
【0057】ここで、図10を参照して、基準電圧制御
部63の動作について説明する。角速度センサ部50の
角速度出力をVs とし、差動アンプ61の増幅率をβ
a、基準電圧をVk とする。すると、差動アンプ61の
出力Va は、 Va =βa ・(Vs −Vk ) 差動アンプ61の出力のデジタル化された角速度増幅信
号をVd とすると、Vd が所定値Vd H より高ければ、
基準電圧を所定値ΔVk だけ上昇させる。これにより、
差動アンプ61の出力はVa ′に変化する。
【0058】 Va ′=βa ・(Vs −(Vk +ΔVk )) =βa ・(Vs −Vk )−βa ・ΔVk 逆に、Vd が所定値Vd L より低ければ、基準電圧が所
定値ΔVk だけ下降される。これにより、差動アンプ6
1の出力はVa ″に変化される。
【0059】 Va ″=βa ・(Vs −(Vk −ΔVk )) =βa ・(Vs −Vk )+βa ・ΔVk このように、差動アンプ61の出力の大きさにより、基
準電圧が変動されることで、差動アンプ61の出力Va
、Vd は、ほぼ所定値Vd L とVd H の間で変動され
ることになる。これは、所定値Vd L とVd H の範囲を
越えると基準電圧が変更されるためである。
【0060】したがって、差動アンプ61の出力は、基
準電圧の制御がなされている間飽和することはなく、手
ぶれの角速度信号が飽和し測定不能になることはない。
次に、出力補正部64の動作について説明する。
【0061】上記基準電圧制御部63の動作により基準
電圧Vk が変更された場合、デジタル化された角速度信
号Vd は、(βa ・ΔVk )分変動する。この変動分を
有したままでは、角速度信号は差動アンプ61の出力の
ままで、鋸歯上の推移が示される。
【0062】基準電圧の変更は、次回の角速度検出時に
反映されるため、基準信号がΔVk上昇された場合、差
動アンプ61出力は(βa ・ΔVk )分減少される。し
たがって、次回の角速度センサのデジタル化信号に対し
て、(βa ・ΔVk )加算すれば良い。逆に、基準信号
がΔVk 下降した場合、差動アンプ61の出力は(βa
・ΔVk )分上昇するため、次回の角速度センサのデジ
タル化信号に対して、(βa ・ΔVk )分減算すれば良
い。
【0063】出力補正部64では、デジタル化された値
に対し前回のデジタル化された値で、基準電圧制御部6
3が基準電圧を変動された場合に角速度信号Vd が(β
a ・ΔVk )分補正される。
【0064】ところで、出力補正部64の出力は、次に
角速度信号ハイパスフィルタ処理部52で処理される。
この処理に合わせた出力補正部64の動作で、処理を簡
略化することができる。つまり、前回の検出時に基準電
圧の変動が行われたかを記憶しておかなくても、出力の
補正が可能になる。
【0065】上記示した式のように、ハイパスフィルタ
演算は、検出されたデジタル化角速度信号の変化値をΔ
Vd 、ハイパス演算結果をVhpf 、また前回のハイパス
演算結果をVhpf ′、前回のハイパス演算結果に対する
重み係数をHPF係数kh として、 Vhph =ΔVd +kh ・Vhpf ′ と記述することができる。これは、デジタル化角速度信
号をVd 、前回のデジタル化角速度信号をVd ′とする
と、 Vhpf =Vd −Vd ′+kh ・Vhpf ′ である。
【0066】前回と今回の間に、基準電圧がΔVk 上昇
した場合、上述したように、 Vhpf =(Vd +(βa ・ΔVk ))−Vd ′+kh ・
hpf ′ と、今回の角速度信号Vd を補正する必要がある。
【0067】ところで、この式は、 Vhpf =Vd +((βa ・ΔVk )−Vd ′)+kh ・
hpf ′ Vhpf =Vd −(Vd ′−(βa ・ΔVk ))+kh ・
hpf ′ と変形できるので、HPF演算時に前回の角速度信号
を、−(βa ・ΔVk )分補正して用いることで、基準
電圧の変化による差動アンプ61の出力変動を補正する
ことができる。この場合、図11に示す処理の流れにな
る。
【0068】角速度信号の補正値は、 δ=βa ・ΔVk として、定数として記憶しておいても良いし、また、カ
メラ制御部34から通信されるデータとしても良い。こ
の場合は、 Vhpf =Vd −(Vd ′−δ)+kh ・Vhpf ′ 或いは基準電圧をΔVk 下降させた場合は、 Vhpf =Vd −(Vd ′+δ)+kh ・Vhpf ′ と、前回のデジタル化された角速度信号Vd ′を、±δ
だけ補正して記憶・使用することで、差動アンプ61の
基準電圧の変更による角速度信号の補正が可能になる。
【0069】このハイパスフィルタ処理が施されること
により、前回の演算出力に角速度の変化分を加算してい
くことで符号化ができ、角速度信号は0を原点に振分け
られた符号を有する値となる。つまり、A/Dコンバー
タ67で角速度信号がA/D変換される際に、0を示す
基準となる値がなくとも角速度0の状態を検知すること
ができる。
【0070】次に、手ぶれ防止CPU66内の像移動速
度演算部54での具体的演算を説明する。大別すると、
2つの演算が行われる。先ず、第1の演算は、最初に一
度行うもので、カメラ制御部34から送られる被写体距
離情報や撮影レンズ31の焦点距離情報と、センサの感
度補正データが用いられて、角速度像速度変換係数γ
が、 γ=α・f・(1+β)・(1+β) として求められる。
【0071】第2の演算は、手ぶれ検出のためにおおよ
そ定期的に行われる演算である。すなわち、第1の演算
で求められた角速度像速度変換係数γを用いて、予測さ
れた手ぶれ角速度信号ωprから、手ぶれ像移動速度vpr
は、 vpr=γ・ωpr として求められる。
【0072】ところで、図7に示されるように、手ぶれ
防止部48は、手ぶれ補正駆動信号発生部55と、手ぶ
れ補正駆動モータ56と、手ぶれ補正光学部57と、補
正駆動像速度検出部58とから構成されている。そし
て、手ぶれ防止部48は、手ぶれを検出する手ぶれ検出
処理部47からの像移動速度信号に基いて、手ぶれ補正
駆動信号発生部55が手ぶれ補正駆動モータ56を駆動
する。これにより、撮像レンズ31内の手ぶれ補正光学
部57を移動させ、撮影レンズ31を通過する被写体像
の光軸を移動させる。こうして、ぶれによる光軸の移動
を打ち消し、フィルム35面上の被写体画像の移動を抑
制することで、撮影時の手ぶれを低減する。
【0073】上記手ぶれ補正駆動信号発生部55は、手
ぶれ検出処理部47からの手ぶれによる像移動速度と手
ぶれ補正光学部57の補正駆動による像移動速度とを比
較し、その差に応じた電力を手ぶれ補正駆動モータ56
に印加する。このため、手ぶれ補正駆動モータ56か、
手ぶれ補正光学部57の何れかに、補正駆動による像移
動速度を検出する補正駆動像速度検出部58が接続され
ている。
【0074】手ぶれ補正駆動モータ56に印可される電
力は、おおむね2つの速度の差に比例している。これ
は、この差に応じた加速度を、手ぶれ補正駆動モータ5
6が発生することで、滑らかな手ぶれ補正駆動が可能に
なるためである。
【0075】手ぶれ補正光学部57は、撮影レンズ31
の最終レンズであり、平行な2面を有する光学部材を有
している。図12及び図13に示されるように、平行ガ
ラス板69が光軸に対して垂直な位置より傾くことで、
光軸を元の光軸に対して平行にシフトすることができ
る。この平行ガラス板69は、軸70によって図示矢印
方向に回動可能にジンバル機構71に取付けられてい
る。そして、このジンバル機構71は軸72によって図
示矢印方向に回動可能となっている。
【0076】また、手ぶれ補正光学部57は、ジンバル
機構71と、手ぶれ補正駆動モータ56の回転による変
位をジンバルの枠の回転に変換するためのジンバル駆動
力伝達部材(図示せず)を含んでいる。平行ガラス板6
9は、2軸方向に自由に回動可能なように、ジンバル機
構71に取付けられている。
【0077】次に、手ぶれ防止装置43の動作の流れに
ついて、図14に示される〈手ぶれ防止〉ルーチンを参
照して説明する。図8のステップS3にて、カメラ制御
部34からの手ぶれの検出を開始する指示が出た場合、
ステップS21で手ぶれ防止装置43の手ぶれ防止制御
部46がこの信号を受ける。
【0078】次に、ステップS22で、手ぶれの像速度
を求めるために必要な、被写体距離情報や撮影レンズ3
1の焦点距離情報を、カメラ30本体を制御するカメラ
制御部34から受取る。更に、角速度増幅部51の出力
の角速度感度補正値α、角速度増幅部51の基準電圧変
更時の差動アンプの出力変動値δ、角速度信号ハイパス
フィルタ処理部52のハイパス時定数のための定数情報
としてHPF係数の初期値kh s と最終値kh e と及び
1回の演算当たりで変化させる値Δkh 、そして、角速
度予測演算部53での予測のための係数、手ぶれ補正駆
動信号発生の精度を高めるための補正値の情報が、カメ
ラ制御部34から受取られる。
【0079】これらの補正データや制御のためのデータ
をカメラ制御部34から受取るのは、補正データをカメ
ラ1台毎に調整データとして扱う場合、カメラ全体を制
御する制御手段に接続されたEEPROM等の不揮発性
の読書き可能な記憶媒体を利用して、手ぶれ防止や補正
に必要な補正データ・制御データを記憶することがで
き、カメラ全体のコストダウン・省スペースに繋がるか
らである。勿論、その必要がない場合、手ぶれ防止制御
部46に不揮発性メモリを接続して利用しても良い。
【0080】次に、ステップS23で、角速度センサ部
50と角速度検出IC65に電源が投入される。続い
て、ステップS24で、補正データから角速度像速度変
換係数γが演算して求められる。
【0081】ステップS25では、HPF演算用レジス
タVhpf 、HPF係数kh 、予測用データ格納ポイン
タ、データ蓄積カウンタ、差動アンプ基準電圧発生部6
2からの出力電圧を決める基準電圧データVk 等、各種
演算用のRAM、レジスタが初期化される。
【0082】基準電圧Vk の初期値としては、変動範囲
の中央値が設定される。更に、HPF係数kh の初期値
は、カメラ制御部34から受取られるデータkh s であ
る。また、差動アンプ61の出力が適正範囲内か否かを
示すフラグ(f_vok)、予測のために用いる手ぶれ
信号の蓄積が十分にあるかを示す予測データ蓄積フラグ
(f_prdct)、ぶれの大きさが所定値以上である
ことを示す大角速度フラグ(f_brl)、更に、ぶれ
の大きさが別な小さな所定値以下であることを示す小角
速度フラグ(f_brs)等のフラグが初期化(クリ
ア)される。
【0083】手ぶれが、x、y、更にはz軸の複数の軸
回りに検出される場合には、ぶれ情報を格納するレジス
タやぶれの大きさを示すフラグ等、各軸別にいる変数
が、それぞれ初期化される。
【0084】次に、ステップS26で、差動アンプ基準
電圧発生部62に対して初期値状態である基準電圧デー
タVk が出力されるよう指示される。これにより、角速
度増幅部51内の差動アンプ基準電圧発生部62から所
定の基準電圧が出力される。
【0085】続いて、ステップS27で、センサの電源
オンから所定時間(第1所定時間)が経過するまで待機
する。これは、センサとICの立上がり時間分を待つ作
業である。この時間は、おおよそ10〜30msec程
度あれば良い。
【0086】そして、ステップS28で、A/D変換の
連続実行が開始される。これより以降、A/D変化が停
止されるまで、A/D変換結果レジスタが読出されるこ
とで最新のA/D変換結果として角速度信号Vd が入手
できるようになる。
【0087】次に、ステップS29にて、所定時間(第
2所定時間)経過するまで待機する。これは、差動アン
プ基準電圧発生部62のD/Aコンバータにより指定の
電圧が出力され、この出力がデジタル化されるA/D変
換時間を稼ぐ作業である。これは、おおよそ数100μ
sec程度あれば良い。
【0088】次に、ステップS30でA/D変換読出が
行われ、差動アンプ61のアナログの角速度信号Va が
角速度信号Vd にデジタル化されたデータが取得され
る。その後、ステップS31で、<基準電圧変更>ルー
チンが実行される。
【0089】このステップS31のルーチンでは、差動
アンプ61の出力により差動アンプ基準電圧発生部62
の電圧が制御される。また、このルーチンでは、差動ア
ンプ61の出力が適正に制御される範囲にあるか否かが
判定される。これは、初期状態では差動アンプ61の出
力が飽和していて、基準電圧をΔVk だけ変更しても適
正範囲になるかわからない場合があるためである。適正
範囲になった場合、それを示すフラグ(f_vok)が
セットされる。
【0090】また、基準電圧が変更された場合、その上
昇・下降の方向に合わせて、差動アンプ61の出力変動
値データδを用いて、図示されないワーク用RAMであ
るWレジスタに補正されたデジタル角速度信号が格納さ
れる。つまり、 W=Vd −δ 或いは、 W=Vd +δ である。基準電圧を変更しない場合は、Vd がそのまま
格納される。つまり、 W=Vd である。
【0091】次に、ステップS32に於いて、上記フラ
グ(f_vok)が調べられて、適正範囲に差動アンプ
61の出力があるか否かが判定される。差動アンプ61
の出力が適性範囲にない場合には上記ステップS29へ
戻り、ステップS29〜S32の動作が繰返される。
【0092】一方、上記ステップS32で、差動アンプ
61の出力が適正範囲にあることが検出された場合は、
ステップS33へ進み、以降の演算と制御が所定の時間
間隔で行われるように、時間の経過を図るためのタイマ
が設定される。この周期時間を第3所定時間とする。こ
れは、1〜2msec程度で良い。
【0093】続いて、ステップS34では、手ぶれ信号
補正としてHPF演算用のレジスタの設定が行われる。
これは、HPF演算への入力のための前回の入力値、つ
まり前回のデジタル化された角速度信号Vd ′の設定で
ある。既に手ぶれ信号の実質的な補正結果は<基準電圧
変更>ルーチンでワーク用レジスタWに代入されている
ので、 Vd ′=W と設定される。つまり、補正された角速度信号が変数V
d ′に記憶される。
【0094】次に、ステップS35に於いて、第3所定
時間が経過したか待機される。このステップS35で、
第3所定時間の経過が確認されれば、ステップS36に
進み、次の第3所定時間の経過を図るために、再度第3
予定時間タイマが設定される。
【0095】ステップS37では、A/D変換読出しが
行われる。すなわち、最新の差動アンプ61のアナログ
の角速度信号Va が、角速度信号Vd にデジタル化され
たデータとして取得される。
【0096】次いで、ステップS38で、<基準電圧変
更>ルーチンが実行され、差動アンプ61の出力により
差動アンプ基準電圧発生部62の電圧が制御される。ワ
ーク用Wレジスタについても、上述したこのルーチンと
同様に処理される。
【0097】そして、ステップS39では、<HPF演
算>ルーチンが実行される。これにより、前回と今回の
A/DデータレジスタVd ′、Vd 、前回のHPF演算
結果が格納されているレジスタVhpf (一度もHPF演
算がされていない場合は初期値(0)が格納されてい
る)と、HPF係数kh が用いられて、ハイパスフィル
タ演算が行われる。基本的には、この結果をHとする
と、 H=Vd −Vd ′+kh ・Vhpf である。但し、経過時間や角速度信号の大きさにより多
少処理が異なる。
【0098】この結果Hが、HPF演算レジスタVhpf
に代入される。これにより、Vhpfには、最新のHPF
演算結果が格納される。 Vhpf =H 次に、ステップS40にて、手ぶれ信号補正が行われ
る。実質的には、<基準電圧変更>ルーチンにより設定
されるワーク用レジスタWに、既に最新のデジタル角速
度信号Vd に大して補正された値が格納されている。こ
れを次回のHPF演算で用いる、前回のA/Dデータレ
ジスタVd に代入され、 Vd ′=W と設定される。つまり、補正された角速度信号が変数V
d ′に記憶される。
【0099】ステップS41では、<HPF演算>結果
が予測演算で使用される過去データの蓄積のために蓄積
される(予測データ蓄積記憶)。また、その蓄積量が必
要な個数に達した場合に、予測データ蓄積フラグ(f_
prdct)がセットされる。
【0100】続いて、ステップS42で、<HPF演算
>の結果から手ぶれ角速度信号の大きさが判定される。
ここで、第1のぶれ所定値より大きい場合に、大ぶれ状
態を示す大角速度フラグ(f_brl)がセットされ
る。また、第1のぶれ所定値より小さな値である第2の
ぶれ所定値より小さい場合は、小ぶれ状態を示す小角速
度フラグ(f_brs)がセットされる。
【0101】次に、ステップS43で、<予測演算>ル
ーチンが実行される。これにより、ハイパスフィルタ処
理された角速度信号Vhpf が、予測角速度信号ωprに変
換される。そして、ステップS123にて、<像速度変
換演算>ルーチンが実行される。これにより、上記ステ
ップS24で求められた角速度像速度変換係数γが用い
られて、予測角速度信号ωprから手ぶれ像移動速度Vpr
が求められる。
【0102】その後、ステップS45にて、求められた
像移動速度Vpr、ぶれの大きさを示すフラグ等が、カメ
ラ制御部34に送出される。次いで、ステップS46
で、手ぶれ防止部48の手ぶれ補正光学部57の位置が
検出される。
【0103】次に、ステップS47で、手ぶれ防止部4
8の手ぶれ補正光学部57の駆動による像の移動の速度
について、像移動速度Vcpが補正駆動像速度検出部58
で用いられて検出される。
【0104】続いて、ステップS48に於いて、カメラ
制御部34から手ぶれ補正の指示がでているかが調べら
れる。指示が出ていればステップS49へ進んで<補正
駆動制御量演算>ルーチンが実行される。一方、手ぶれ
補正の指示が出ていなければ、ステップS50へ進んで
<センタリング駆動制御量演算>ルーチンが実行され
る。その後、ステップS51の<駆動制御量出力>ルー
チンへ進む。
【0105】ステップS51の<駆動制御量出力>ルー
チンの実行後は、ステップS52に進んで、カメラ制御
部34から手ぶれ検出の終了指示が出ているかが調べら
れる。ここで、手ぶれ検出の終了の指示があればステッ
プS21へ戻る。これに対し、手ぶれ検出の終了の指示
がなければ、ステップS35へ戻り、上記示した処理動
作が第3の所定時間毎に継続して行われる。
【0106】次に、図15のフローチャートを参照し
て、<基準電圧変更>ルーチンの動作について更に詳し
く説明する。これは、基準電圧制御部63の動作であ
る。先ず、ステップS61で、差動アンプ61の出力の
デジタル化された角速度増幅信号Vd がワーク用レジス
タWに格納される。そして、ステップS62に於いて、
角速度増幅信号Vd と所定値Vd H が比較される。ここ
で、Vd >Vd H であれば、基準電圧データVk が所定
値ΔVk だけ高くされる。そのため、 Vk +ΔVk が可能か、つまり、Vk +ΔVk の値が大きくなりすぎ
てレジスタの精度が逸脱するかが、続くステップS63
で調べられる。このステップS63にて、オーバーフロ
ーする場合は、このルーチンから抜ける。一方、演算が
オーバーフローせずに可能であれば、続くステップS6
4で、 Vk =Vk +ΔVk と変更される。この値を用いて、D/Aコンバータであ
る差動アンプ基準電圧発生部62に出力を新しいVk に
なるように指示すれば、差動アンプ61の出力は、出力
変動値データδだけ減少するはずである。
【0107】次に、ステップS65にて、ワークレジス
タWが差動アンプの出力変動値データδ分減じられる。 W=Vd −δ 上記ステップS62に於いて、角速度増幅信号Vd と所
定値Vd H の比較結果がVd >Vd H でない場合は、ス
テップS66へ進む。このステップS66では、角速度
増幅信号Vd と所定値Vd L が比較される。ここで、V
d <Vd L であれば、基準電圧データVk が所定値ΔV
k だけ低くされる。そのため、Vk −ΔVk が可能か、
つまり、Vk −ΔVk の値が負にならないかが、続くス
テップS67で調べられる。負になる場合は、このルー
チンを終了する。
【0108】一方、上記ステップS67に於ける演算が
正の値の範囲で可能であれば、ステップS68に進ん
で、 Vk =Vk −ΔVk と基準電圧データが変更される。この値を用いて、D/
Aコンバータである差動アンプ基準電圧発生部62に出
力が新しいVk になるように指示されれば、差動アンプ
61の出力は、出力変動値データδだけ上昇するはずで
ある。
【0109】次いで、ステップS69、ワークレジスタ
Wが差動アンプ61の出力変動値データδ分だけ減じら
れる。 W=Vd +δ 次に、ステップS70に進んで、新しいVk で差動アン
プ基準電圧発生部62に出力が指示され、その後このル
ーチンを終了する。
【0110】更に、上記ステップS66に於いて、Vd
<Vd L でなければ、差動アンプ61の出力は所定の適
正範囲にあることになる。つまり、 Vd L ≦Vd ≦Vd H である。この場合は、ステップS71に進んで、差動ア
ンプ61の出力が適正範囲内にあることを示すためにフ
ラグf_vokがセットされ、その後このルーチンを終
了する。
【0111】ここで、図16を参照して、より具体的な
例で説明する。いま、差動アンプ61の出力の範囲が0
から5Vであるとする。また、差動アンプ61の増幅率
を20倍、基準電圧の変更の分解ΔVk を0.1Vとす
ると、出力変動値データδは2Vである。また、このと
き、所定値Vd H を4V、所定値Vd L を1Vとする。
手ぶれ信号の推移を離散時間でデジタル化するが、その
時の値が図中白丸印で示される。
【0112】時間t0 で、角速度信号Vd が4Vを越え
た場合は、基準電圧が変更され、出力は2V(δ)分減
少する。この値は、次回のA/Dデータの取得時間t1
で得られる。時間t0 とt1 の間の角速度信号の差は、
物理的には図示“A”であるが、これは差動アンプ61
の基準電圧が変更されたためであり、実質的には図示
“B”である。これを補正するために、ワーク用レジス
タWの値が用いられることになる。
【0113】次に、<HPF演算>ルーチンの動作につ
いて説明する。上記した式に示されるように、ハイパス
フィルタ演算は、角速度信号をVd 、前回の角速度信号
をVd ′、ハイパス演算結果をVhpf 、また、前回のハ
イパス演算結果をVhpf ′、前回のハイパス演算結果に
対する重み係数を演算用HPF係数kh w とすると、 Vhpf =Vd −Vd ′+kh w ・Vhpf ′ と記述することができる。
【0114】そこで、先ず演算用HPF係数kh w が設
定される。暫定的なHPF係数はkh に設定されてい
る。このHPF係数kh は、ハイパス時定数のための定
数情報としては、カメラ制御部34から受取っている情
報に基いている。この値は、HPF係数の初期値kh s
と最終値kh e 、1回の演算当たりで変化させる値Δk
h である。
【0115】角速度センサの立上がり時は、ドリフト成
分が大きい。また、時間が経過して安定するに従い、ド
リフト成分は小さくなる。そこで、最初は時定数の比較
的小さなHPF係数が用いられ、センサが徐々に安定し
てくるに従って大きな時定数を有するHPF係数が用い
られる。HPF係数の初期値は、上記で示したようにk
h s である。
【0116】もし、kh が最終値kh e より小さい場合
には、HPF演算が行われる度に、 kh =kh +Δkh の演算が行われる。もし、 kh >kh e であれば、HPF係数が最終値より大きくならないよう
にするため、 kh =kh e とする。そして、この値kh が、演算用HPF係数kh
w に代入される。
【0117】kh w =kh このようにして、演算の回数が進む毎に、ハイパスフィ
ルタ演算の係数が大きくなり、低周波成分の通過が徐々
に多くなる。
【0118】HPF係数kh とハイパスフィルタのカッ
トオフ周波数fc の関係は、演算時間間隔をΔtとする
と、 kh =1−2・π・Δt・f である。
【0119】このHPF係数の値は、カットオフ周波数
に直して、演算開始直後は、3〜10Hz、最終的には
0.1Hz程度が良い。演算開始直後に3Hz、最終的
に0.1Hzとすると、HPF係数の値は、演算の行わ
れる間隔が1msecの場合、 kh =1−2・π・0.001sec・3Hz =0.9811504441 kh e =1−2・π・0.001sec・0.1Hz =0.9993716815 であり、1回あたりのHPF係数の変動を、 Δkh =0.0000305176 とすると、 (kh e −kh s )/Δkh =597 であり、演算開始から約0.6秒後に最終値になる。
【0120】もし、kh が最終値kh e と等しい場合に
は、小角速度フラグ(f_brs)の状態で、HPF係
数kh を用いるかが判断される。ここで、小角速度フラ
グ(f_brs)がセットされて小さいぶれであること
が示されていれば、 kh w =kh (=kh e ) とされ、フラグがリセット状態であれば、 kh w =1 とされる。
【0121】これは、ある程度安定した状態でのセンサ
のドリフトは、手ぶれ等の振動角速度に較べれば非常に
小さくゆっくりした変動であるため、比較的大きな角速
度信号に対してHPFを働かせると、有効な角速度成分
の除去の割合が高くなり、有効に角速度を検出できない
可能性があるからである。比較的小さなぶれの場合は、
ぶれ角速度に対してドリフトの成分が大きく、HPFに
よるドリフトの除去が効果的に得られる。
【0122】このため、角速度信号の小さな場合にのみ
HPF演算が施され、角速度信号が大きい場合にはHP
F係数が最大の1に設定され、オフセットの除去機能が
抑制される。
【0123】以下、図17のフローチャートを参照し
て、<HPF演算>ルーチンの動作を説明する。先ず、
ステップS81に於いて、HPF係数kh と最終HPF
係数kh e とが比較される。ここで、係数kh の方が小
さければステップS82へ進む。そして、このステップ
S82で、(kh +Δkh )が最終値kh e と比較され
る。khe より大きければ、ステップS83に進んでH
PF係数kh にkh e が代入される。
【0124】一方、上記ステップS82にて、(kh +
Δkh )が最終値kh e より小さければ、ステップS8
4に進み、HPF係数kh に(kh +Δkh )が代入さ
れる。これにより、次回この<HPF演算>ルーチンを
実行する場合、kh の値は少し大きくなっている。
【0125】次いで、ステップS85では、演算用HP
F係数kh w にkh が代入される。その後、ステップS
86で、レジスタHにHPF演算結果が代入される。こ
の場合、ハイパス演算結果である角速度信号のレジスタ
hpf は、前回のハイパス演算結果が入っている。
【0126】H=Vd −Vd ′+kh w ・Vhpf 次に、ステップS87にて、ハイパス演算結果がVhpf
に代入される。 Vhpf =H こうして、最新のHPF角速度信号Vhpf が得られる
と、この<HPF演算>ルーチンが終了する。
【0127】ところで、上記ステップS81で、HPF
係数kh と最終HPF係数kh e が比較された時に、k
h がkh e より大きい場合(kh の最大値はkh e にな
るため)、ステップS88へ進む。
【0128】このステップS88では、角速度信号の大
きさについて小角速度フラグ(f_brs)が調べられ
る。ここで、小角速度フラグ(f_brs)がセットさ
れていればステップS85へ進み、上記の演算動作等が
行われる。一方、上記ステップS88にて、小角速度フ
ラグ(f_brs)がセットされていなければ、ステッ
プS89へ進む。そして、演算用HPF係数kh w が1
にされた後、ステップS86へ進んで上記の演算動作等
が行われる。
【0129】尚、ここでは説明の詳細は省略するが、<
補正駆動制御量演算>ルーチン、<センタリング駆動制
御量演算>ルーチン及び<駆動制御量出力>ルーチン
は、手ぶれ補正駆動信号発生部55により実行される。
【0130】上記<補正駆動制御量演算>ルーチンで
は、<像速度変換演算>処理された手ぶれ検出処理部4
7からの手ぶれによる像移動速度vprと手ぶれ補正光学
部57の補正駆動による像移動速度vcpとが比較され、
その差に応じて手ぶれ補正駆動モータ56に印可する電
力が求められる。これは、電圧やPWM駆動のデューテ
ィ比、印可電圧の極性方向である。
【0131】<補正駆動制御量演算>ルーチンでは、手
ぶれ補正光学部48の位置が補正駆動されていない場合
に、その中央値にあるように位置情報、像移動速度vcp
を基に、手ぶれ補正駆動モータ56に印可する電力が求
められる。これも電圧やPWM駆動のデューティ比、印
可電圧の極性方向である。
【0132】<駆動制御量出力>ルーチンでは、上記で
定められた手ぶれ補正駆動モータ56に印可される電力
情報である電圧や、PWM駆動のデューティ比、印可電
圧の極性方向情報が用いられて、モータの駆動回路が制
御される。
【0133】ところで、上述した実施例では、図2
(a)で示されたHPF演算処理される信号の大きさを
判断する演算処理信号サイズ判定部16が、小角速度フ
ラグ(f_brs)の設定と、その値によるステップS
88での分岐判断により構成され、また、第1演算部1
7と第2演算部18が、演算用HPF係数kh w を、 kh w =kh (=kh e ) 或いは、 kh w =1 に設定して演算を行うというプログラムから構成し、非
線形HPF演算部12で構成された例について述べた。
【0134】以下に、<HPF演算>ルーチンの他の例
を説明する。これは図2(b)に示された構成の非線形
HPF演算部12を用いた実施例である。この非線形H
PF演算部12は、信号の大きさに対して比例しない減
衰処理を行う減算型減衰処理部19と、HPF演算部2
0とから構成される。
【0135】上述した例で用いられた信号に線形な特性
で減衰を与える係数kh を用いず、h′を少しだけ値を
小さくなるように減算することでもHPFの特性を得る
ことができる。これにより、HPF演算に乗算が必要で
はなくなるので、処理の高速化が図れる。また、機能は
低いがコストが易いCPUを用いることも可能になる。
【0136】例えば、手ぶれ角速度信号は、通常±10
deg/s(=0.1745rad/s)以下である
が、A/D結果、デジタル的にこれが、±ffffHで
あるとする。
【0137】10deg/sの角速度が一定にあり、焦
点距離200mm、露光時間1/32秒とすると、先に
示した式より、ぶれは、 200mm*0.1745rad/s*1/32 =1.1mm 発生する。また、ぶれの許容値を50μmとすると、こ
の値は、許容値の22倍である。つまり、この条件で許
容できる角速度は、 0.45deg/s=10deg/s/22 である。上述したデジタル化された単位で表すと、0b
a2Hである。
【0138】上述した乗算型のHPF係数は、初期値、
安定時で、それぞれ、 0.9811504441(fc 3Hz) 0.9993716815(fc 0.1Hz) である。これをffffHに乗じると、それぞれ、 fb2cH ffd6H である。
【0139】また、この係数を0ba2Hに乗じると、
それぞれ、 0b6aH 0ba0H である。0ba2Hとの差は、それぞれ、 0038H 0002H である。
【0140】これらからわかるように、もし、デジタル
角速度信号の絶対値が0ba2Hより小さい場合に、2
を減算すれば(負にならない範囲で)、0.1Hz相当
のカットオフ周波数(fc )のハイパスフィルタにな
る。38Hを減じれば、fc 3Hz相当の特性が得られ
る。
【0141】HPF係数を乗算するフィルタは、抵抗と
コンデンサから成るCRのハイパスフィルタの構成と同
様な効果が得られるが、このような一定量を減算するフ
ィルタは、抵抗とコンデンサから成るCRのフィルタの
構成ではない入力波形、或いは出力波形に対して非線形
な特性のハイパスフィルタが得られる。
【0142】すなわち、上記の例で、ffffHの値に
対しては、十分なHPF効果が得られない。このこと
は、先に示したように、角速度センサ等のドリフトの含
まれる信号のドリフトを除去するためのHPFとして
は、非常に都合の良い特性である。つまり、ドリフトで
発生するであろう信号成分を減算により除去するため、
振動の角速度成分をむやみに小さく歪ませることがな
い。
【0143】図18は、<HPF演算>ルーチンの他の
動作例を説明するフローチャートである。先ず、ステッ
プS91に於いて、HPF変数kh ′とHPF定数kh
e ′とが比較される。ここで、kh ′、kh e ′、及び
後述するΔkh 等は、図17のフローチャートに示され
た実施例で用いられたHPF係数のデータkh 、kh
e 、Δkh と同様に、外側のプログラムループで扱われ
るデータであるが、図18に示されるフローチャートの
例では、加減算を行うために、HPF係数の代わりにH
PF変数、HPF定数として扱われる。
【0144】HPF係数kh ′が、カメラ制御部34か
ら送られている最終値kh e ′より大きい場合には、ス
テップS92へ進み、 kh ′−Δkh ′<kh e ′ であるかが調べられる。尚、Δkh ′は、カメラ制御部
34から送られてくる、HPF変数kh ′の1回の演算
当たりの変動データである。ここで、(kh ′−Δkh
)がkh e ′より小さいならば、ステップS93に進
んで、kh ′にkhe ′が代入される。反対に、(kh
′−Δkh )がkh e ′より大きいならば、ステップ
S94に進んで、kh ′に(kh ′−Δkh )が代入さ
れる。
【0145】ここでは、図17のフローチャートの場合
とは異なり、HPF変数は初期値の方が大きく、次第に
小さくなる。これも、次第にHPFによるDC成分や低
周波成分の除去力を徐々に弱めるためである。
【0146】上記ステップS93、或いはステップS9
4にてkh ′が設定し直された後は、ステップS95
で、演算用ワークレジスタkh w ′に、kh ′が代入さ
れる。次に、ステップS96に於いて、HPF演算レジ
スタVhpf の前回のHPF演算結果が正か負かが調べら
れる。上記演算結果が正ならば、ステップS97に進ん
で、ワークレジスタXに、 X=Vhpf −kh w ′ が代入される。
【0147】この、ワークレジスタXには、HPF演算
で用いられる過去のデータを考慮するデータが入る。す
なわち、前回のHPF演算結果を少し小さく見積り、今
回の角速度信号の変化値を加算することでHPF効果が
得られる。
【0148】次いで、ステップ98にて、ワークレジス
タXが正か負かが調べられる。ここで、ワークレジスタ
Xが正ならばステップS99へ進み、ワークレジスタH
に、 H=Vd −Vd ′+X が代入される。そして、ステップS100で、HPF演
算レジスタVhpf にこのワークレジスタHの値が代入さ
れる。その後、今回のHPF演算、すなわちこのルーチ
ンを終了する。
【0149】上記ステップS98にて、ワークレジスタ
X>0でない場合は、ステップS103へ進み、 H=Vd −Vd ′ の演算が行われる。これは、前回のHPF演算結果が十
分に小さく、過去の来歴を考慮しなくとも良いからであ
る。そして、このステップS103が実行された後は、
ステップS100へ進む。
【0150】また、上記ステップS96に於いて、HP
F演算レジスタVhpf の前回のHPF演算結果が正でな
い場合には、ステップS101へ進む。そして、このス
テップS101にて、正である場合と符号の処理を変え
て演算するため、ワークレジスタXに、 X=Vhpf +kh w ′ が代入される。
【0151】次いで、結果の符号がステップS102で
調べられる。ここで、ワークレジスタXの符号がVhpf
と同様に負であればステップS99へ、一方、符号が異
なっていればステップS103へ進み、それぞれ上記し
た処理動作が行われる。
【0152】更に、上記ステップS91で、kh ′がk
h e ′と等しいか小さい場合(ステップS93の処理に
より小さい場合は生じないが)は、ステップS104へ
進み、角速度信号の大きさについて角速度フラグ(f_
brs)が調べられる。
【0153】ここで、フラグがセットされていればステ
ップS95へ進み、上記演算動作等が行われる。一方、
上記ステップS104で、フラグがセットされていなけ
れば、ステップS105へ進んで、HPF効果が得られ
ないような演算が行われる。具体的には、ワークレジス
タHに、 H=Vd −Vd ′+Vhpf が代入される。この後、ステップS100へ進み、HP
F角速度データVhpf が設定されてこのルーチンが終了
する。
【0154】これにより、非線形な関係で、角速度が小
さい場合にHPFが動作し、大きい場合にはHPFが作
動しないため、必要以上に角速度信号を歪ませることは
なくなる。
【0155】次に、この発明の第2の実施例として、振
動検出装置を車の航行装置の方向検出装置等に適用した
例について説明する。図19は、この発明による振動検
出装置を車の航行装置の方向検出装置等に適用した一例
の構成を示すブロック図である。
【0156】同図に於いて、方向検出装置は、角速度セ
ンサ部74と、角速度増幅部75と、角速度信号ハイパ
スフィルタ処理部76及び角速度積分演算部77とから
構成されており、車の回転速度を検出し、それを積分す
ることで車の方向を出力するようになっている。
【0157】角速度センサ部74で検出された角速度出
力は、角速度増幅部75で所定の信号に増幅される。そ
して、この増幅された信号が、角速度信号ハイパスフィ
ルタ処理部76でハイパス演算処理されて、更にこの信
号が角速度積分演算部77で時間的に積分処理される。
これにより、方向信号が得られる。
【0158】上記角速度センサ部74、角速度増幅部7
5、角速度信号ハイパスフィルタ処理部76は、それぞ
れ上述したカメラの手ぶれ検出装置の例で示した角速度
センサ部50、角速度増幅部51、角速度信号ハイパス
フィルタ処理部52と同様の構成を有しており、同様の
動作を行うものである。
【0159】電源が投入される場合は、車は、ほぼ停止
状態であり、その間にHPF演算の時定数は変化して所
定のHPF特性を有するようになる。この後は、ゆっく
りと信号が変化する場合にドリフトが除去され、車の方
向が変化するような場合はHPFの特性はなくなる。し
たがって、効果的に且つ歪みの発生が無く、角速度を検
出することができる。
【0160】このように、ドリフトの無い正確なこの角
速度信号を積分することで、正確な角度方向を検出する
ことができる。積分演算を行うには、公知の積分器を用
いて良い。また、デジタル的に処理するならば、角度θ
は、角速度ωと演算の離散的時間間隔Δtを用いて、 θ=Σ(ω・Δt) なる演算として、Δt毎に行えば良い。
【0161】尚、この発明の上記実施態様によれば、以
下の如き構成が得られる。 (1) 外部より加えられた振動を振動情報として検出
する振動情報検出手段と、上記検出された振動情報の大
きさに比例しない非線形除去特性を有すると共に、該振
動情報の大きさに基いて、該振動情報に混在している所
定の低周波成分を除去する除去率を変更しつつ低周波成
分を除去する低周波成分除去手段とを具備することを特
徴とする振動検出装置。
【0162】(2) 上記振動情報検出手段によって検
出される振動情報はカメラの手ぶれ情報であって、上記
低周波成分除去手段はカメラの露光時に於ける手ぶれ防
止のための低周波成分除去演算を行うことを特徴とする
上記(1)に記載の振動検出装置。
【0163】(3) 外部より加えられた振動を手ぶれ
情報として検出する手ぶれ情報検出手段と、上記検出さ
れた手ぶれ情報の大きさに比例しない非線形除去特性を
有すると共に、該手ぶれ情報に混在している所定の低周
波成分を除去する低周波成分除去手段とを具備すること
を特徴とする振動検出装置。
【0164】(4) 上記手ぶれ情報検出手段は、角速
度センサであることを特徴とする上記(3)に記載の振
動検出装置。 (5) カメラ本体に加えられた振動を手ぶれ情報とし
て検出する手ぶれ情報検出手段と、上記検出された手ぶ
れ情報が所定値よりも大きいことにより、飽和すること
を防止する増幅手段と、上記検出された手ぶれ情報の大
きさに比例しない非線形特性を有すると共に、上記増幅
手段によって増幅した情報に混在している所定の低周波
成分を除去する低周波成分除去手段とを具備することを
特徴とする手ぶれ情報検出装置。
【0165】(6) 上記増幅手段は、上記手ぶれ情報
検出手段からの電圧値と所定の基準電圧値とを比較する
差動アンプと、この差動アンプの出力が飽和しないよう
に上記基準電圧値を所定範囲内に制御する基準電圧制御
手段と、上記差動アンプの出力が所定範囲内に制御され
ている際に、該差動アンプの出力をアンプの増幅率に伴
って補正する補正手段とを具備することを特徴とする上
記(5)に記載の手ぶれ情報検出装置。
【0166】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、HPF
フィルタを改良し振動信号に含まれるオフセット成分と
ドリフト成分を効果的に除去すると共に、振動信号の低
周波成分を必要以上に除去することのない振動検出装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の振動検出装置の基本構成を示したブ
ロック図である。
【図2】図1の振動検出装置の非線形HPF演算部12
の構成例を示した図である。
【図3】この発明による振動検出装置が適用された手ぶ
れ防止装置を有するカメラの構成例を示す外観斜視図で
ある。
【図4】この発明による振動検出装置が適用された手ぶ
れ防止装置を有するカメラの概略構成を示すブロック図
である。
【図5】図4のカメラ制御部34の大まかな動作を説明
するフローチャートである。
【図6】図4の手ぶれ防止装置43の詳細な構成を示す
ブロック図である。
【図7】図6の手ぶれ検出処理部47及び手ぶれ防止部
48の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】図7の角速度増幅部51の構成の一例を示すブ
ロック図である。
【図9】図7の角速度増幅部51の更に具体的な構成例
を示したブロック図である。
【図10】基準電圧制御部63の動作について説明する
図である。
【図11】図9の手ぶれ防止CPU66の他の構成例を
示したブロック図である。
【図12】撮影レンズ31の概略構成を示す斜視図であ
る。
【図13】撮影レンズ31の平行ガラス板69の動作を
説明する図である。
【図14】〈手ぶれ防止〉ルーチンの動作を説明するフ
ローチャートである。
【図15】〈基準電圧変更〉ルーチンの動作を説明する
フローチャートである。
【図16】角速度信号Vd の特性図である。
【図17】<HPF演算>ルーチンの動作を説明するフ
ローチャートである。
【図18】<HPF演算>ルーチンの他の動作例を説明
するフローチャートである。
【図19】この発明による振動検出装置を車の航行装置
の方向検出装置等に適用した一例の構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
11…振動検出部、12…非線形HPF(ハイパスフィ
ルタ)演算部、13…手ぶれ検出部、14…角速度セン
サ、15…積分演算部、16…演算処理信号サイズ判定
部、17…第1演算部、18…第2演算部、19…減算
型減衰処理部、20…HPF演算部、30…カメラ、3
1…撮影レンズ、32…ファインダ、33…レリーズ
釦、34…カメラ制御部、35…フィルム、36…焦点
調節装置、37…測光装置、38…ファーストレリーズ
スイッチ(1stRsw)、39…セカンドレリーズス
イッチ(2ndRsw)、40…露光装置、41…フィ
ルム給送装置、42…表示部、43…手ぶれ防止装置、
44…電源部、46…手ぶれ防止制御部、47…手ぶれ
検出処理部、48…手ぶれ防止部、50…角速度センサ
部、51…角速度増幅部、52…角速度信号ハイパスフ
ィルタ処理部、53…角速度予測演算部、54…像移動
速度演算部、55…手ぶれ補正駆動信号発生部、56…
手ぶれ補正駆動モータ、57…手ぶれ補正光学部、58
…補正駆動像速度検出部、61…差動アンプ、62…差
動アンプ基準電圧発生部、63…基準電圧制御部、64
…出力補正部、65…角速度検出IC、66…手ぶれ防
止CPU。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03B 17/00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部より加えられた振動を振動情報とし
    て検出する振動情報検出手段と、 上記検出された振動情報の大きさに比例しない非線形除
    去特性を有すると共に、該振動情報に混在している所定
    の低周波成分を除去する低周波成分除去手段とを具備す
    ることを特徴とする振動検出装置。
  2. 【請求項2】 上記低周波成分除去手段は、ハイパスフ
    ィルタ手段を含み、除去する低周波成分は、オフセット
    成分、ドリフト成分、若しくは所定量のDC成分等であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
  3. 【請求項3】 上記低周波成分除去手段は、 上記検出された振動情報の大きさを判定する判定手段
    と、 この判定手段からの判定情報に基いて低周波成分除去演
    算を行う複数の演算手段とから成ることを特徴とする請
    求項1に記載の振動検出装置。
  4. 【請求項4】 上記低周波成分除去手段は、 上記検出された振動情報の大きさに基いて、非線形の減
    算処理を行う減算型の低周波成分除去を行う減算型除去
    手段であることを特徴とする請求項1に記載の振動検出
    装置。
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