JPH08175103A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH08175103A
JPH08175103A JP6323290A JP32329094A JPH08175103A JP H08175103 A JPH08175103 A JP H08175103A JP 6323290 A JP6323290 A JP 6323290A JP 32329094 A JP32329094 A JP 32329094A JP H08175103 A JPH08175103 A JP H08175103A
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JP
Japan
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cord
monofilament
tire
intrinsic viscosity
modulus
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JP6323290A
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English (en)
Inventor
Kazuo Oshima
一男 大島
Hiroshi Morinaga
啓詩 森永
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 モノフィラメントコードの強力低下を防止す
ると共に、ビード部周辺の耐久性を著しく向上させた空
気入りタイヤを提供する。 【構成】 一対のビード部1及び一対のサイドウォール
部2と、両サイドウォール部間にトロイド状をなして連
なるトレッド部3とからなり、これら各部をラジアル配
列のモノフィラメントコードのゴム引き布からなるカー
カスプライ4により補強し、トレッド部3はベルト5に
より強化して成る空気入りタイヤAにおいて、前記カー
カス4のモノフィラメントコードを、固有粘度[IV]
0.80以上のポリエステル系ポリマーより構成し、そ
のビードフィラーゴム9の50%モジュラスMkg/cm2
とモノフィラメントコードの固有粘度[IV]との関係に
おいてMを、M≦550IV−400とし、かつ、20≦
M≦120kg/cm2とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性に優れた空気入
りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高弾性率と低熱収縮率との両特性
を満たす有機繊維コードをカーカスプライに用いた空気
入りタイヤは、優れた操縦安定性の発揮やサイドウォー
ル部凹凸抑制に対し有利であることは良く知られてい
る。
【0003】これらの有機繊維コードのうちレーヨンコ
ード(マルチフィラメント束の撚り合せコード)は、高
弾性率と低熱収縮率との両特性を満たす一方、コード生
産工程での環境に与える影響問題や原材料パルプの資源
問題を無視し得ない難点を有するほか、また、レーヨン
コードがもつ高吸湿性に由来してタイヤ加工時に煩雑な
工程管理が必要とされるなど不利な点を併せもつもので
ある。
【0004】そこで、レーヨン代替えコードの開発が進
められた結果、新規高分子繊維材の開発などの材質改良
手段が見い出されているものの、繊維形成能をもつポリ
エステルの高速紡糸化など製造面での改良により、高弾
性率及び低熱収縮性の特性をもつポリエステル系合成繊
維のみが実用に供されているに過ぎない。
【0005】このポリエステル系合成繊維をタイヤのカ
ーカス用コードに使用するにあたり、3〜6デニール
(D)のヤーンとした極細繊維糸の多数本を集束して、
例えば、1000D以上のマルチヤーン集束体の下撚糸
とし、さらにこの下撚糸とは撚り方向を違えて上撚り加
工を施し1000D/2又は1000D/3のコードと
するのが一般的である。
【0006】ポリエステル系合成繊維のマルチフィラメ
ント束の撚り合せ集束体をタイヤ用コードとして使用し
た場合には、レーヨンコードに見られた不利な点は大幅
に改善されるのは勿論、耐疲労性及びゴム組成物との接
着性が共に優れた性質を示し、よってタイヤ用コードに
加撚したマルチフィラメントの集束体を充当することは
至極当然のこととされていた。
【0007】他方、集束体における加撚工程を省略しよ
うとする意図の下で1本のフィラメントから成るコー
ド、いわゆるモノフィラメントコードをタイヤに適用し
ようとする試みもなされ、例えば、1970年代の特開
昭52−110918号公報ではナイロンのモノフィラ
メントコードの製造方法を提示し、また、米国特許第4
360050号明細書ではポリエステルの太デニールモ
ノフィラメントコードをタイヤに適用することが開示さ
れている。さらに、上述の公報及び明細書には長円形断
面又は矩形断面を有するモノフィラメントコードについ
ての記載があり、このことからモノフィラメントコード
の耐疲労性改善も考慮していたことを窺い知ることがで
きる。
【0008】また、1980年代後半にはナイロンモノ
フィラメントコードに関し、特開平2−99610号公
報及び特開平2−127507号公報の開示に見られる
ように、スチームによりコード表面改質を施したコード
の各種タイヤへの適用が試みられていたことが判る。し
かしながら、スチーム加熱方法によるモノフィラメント
コードの製造に関しては上記特開昭52−110918
号公報にも開示されていて、さほど目新しいこととはい
えず、それよりもナイロンモノフィラメントコードは現
在多用されているポリエステルマルチフィラメント撚り
コードに比し弾性率及び熱収縮率共に優れたものとはい
えず、これらの特性に基づき発揮されるタイヤの操縦安
定性に対する優位性を何ら見出すことはできないのが現
状である。
【0009】それというのもポリエステルに比しナイロ
ンは、タイヤ内での耐疲労性の点で優れているものの、
より一層低弾性率、より一層高熱収縮性の基本的特性を
もち、これらの特性は、何れもタイヤの操縦安定性に対
し不利に作用し、上記基本的特性はモノフィラメントコ
ードとしても解消に至らないため、ポリエステルマルチ
フィラメント撚りコードに及ばないからである。結局の
ところ、ナイロンモノフィラメントコードを使用する限
り、近来の高度に優れた操縦安定性が求められるタイヤ
を実現する上で不可欠なカーカスプライコードとしての
高弾性率及び低熱収縮率性を満たすことができない。
【0010】以上述べたように、モノフィラメントコー
ドは材質が同じであれば従来の撚コードに較べ、著しい
高弾性化が可能であり、タイヤに高い操縦安定性を付与
出来るばかりでなく、撚工程を必要とせずタイヤコード
の生産性においてもそのメリットは図り知れないものが
ある。しかし乍ら、ナイロン系を主体とするモノフィラ
メントコードはその高モジュラス化に限界があり、従来
のポリエステル系撚コード以上のモジュラスは発現出来
ないという欠点があった。
【0011】一方、ポリエステル系を主体とするモノフ
ィラメントコードは、従来のポリエステル系撚コード以
上の高弾性を発現できるというメリットはあるものの耐
疲労性に難があり、耐疲労性が劣るというデメリットを
如何に克服するかが実用化の大きな障害となっていた。
一般に、ポリエステルはナイロンのもつ水素結合に起因
する強い分子間結合力に比べ、分子間結合力が弱く、ナ
イロンよりは大幅に疲労性が劣ることは良く知られてい
る。
【0012】このような弱点を持つ、ポリエステル撚コ
ードではあるが、撚コードの場合にはタイヤの中で受け
る歪入力を撚コードを構成する1本1本のマルチフィラ
メントに分散させることが可能であり、一般に、耐疲労
性を保持するために一定回数以上の下撚、上撚が不可欠
となっている。しかし乍ら、このような撚コードをモノ
フィラメント化したタイヤカーカスプライ材に使用した
場合には、撚による歪入力の分散はなされず、また、モ
ノフィラメントコードは撚コードに比しより高い剛直性
を有するためにタイヤビード部近傍における圧縮入力に
対し、非常に低い抵抗性を示し、耐疲労性が実用レベル
に達しないという課題を有している。すなわち、マルチ
フィラメントの撚りコードの場合は、圧縮ひずみ入力が
作用しても、撚り角度をもつ1本毎の極細フィラメント
が撓曲変形するので圧縮ひずみ入力を緩和、吸収する方
向に働く結果、耐疲労性に優れた性能を発揮する一方、
モノフィラメントコードの場合では圧縮ひずみ入力を緩
和する機能を殆ど期待できないので、結局撚りコードの
耐疲労性に比しモノフィラメントコードのそれが大幅に
下回ることになるのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、ポリエステル系モノフィラメントの高モジュラスメ
リットを生かすためには、その耐疲労性を実用上問題な
いレベルまで引き上げることが不可欠であると考えた。
従って、本発明は、モノフィラメントコードの耐疲労性
を顕著に向上させて該コードをタイヤのカーカスプライ
に適用することにより、タイヤ実用上十分優れた耐久性
の発揮と性能上の利点の発揮とを、他の不利な点を伴う
ことなく有利に両立させ得る空気入りタイヤを提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の課題を解決すべく、空気入りタイヤの実用上問題のな
いモノフィラメントコードの耐疲労性を確保するために
はタイヤビード部近傍のプライ折り返し部の入力を低減
することが重要と考え、各種ビード部構造について鋭意
検討を行った結果、ビードフィラーのゴムモジュラスを
低減すると著しくモノフィラメントコードの強力低下を
防止できることを見い出すことにより、上記目的の空気
入りタイヤを得ることに成功し、本発明を完成するに至
ったのである。すなわち、本発明の空気入りタイヤは、
一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイ
ドウォール部間にトロイド状をなして連なるトレッド部
とからなり、これら各部をラジアル配列のモノフィラメ
ントコードのゴム引き布からなるカーカスプライにより
補強し、トレッド部はベルトにより強化して成る空気入
りタイヤにおいて、前記カーカスのモノフィラメントコ
ードが、固有粘度[IV]0.80以上のポリエステル系
ポリマーより成り、そのビードフィラーゴムの50%モ
ジュラスMkg/cm2とモノフィラメントコードの固有粘
度[IV]との関係においてMは、M≦550IV−400
であり、かつ、20≦M≦120kg/cm2であることを
満足することを特徴とする。前記モノフィラメントコー
ドのループ強力はコード引っぱり強力よりも低いことが
好ましい。前記モノフィラメントコードの繊度が100
0〜7000デニールの範囲内であることが好ましい。
【0015】
【作用】本発明では、カーカスのモノフィラメントコー
ドを、固有粘度[IV]0.80以上のポリエステル系ポ
リマーより構成し、そのビードフィラーゴムの50%モ
ジュラスMkg/cm2とモノフィラメントコードの固有粘
度[IV]との関係においてMを、M≦550IV−400
であり、かつ、20≦M≦120kg/cm2とするものを
使用することにより、モノフィラメントコードの強力低
下を防止することができると共に、ビード部周辺の耐久
性を、著しく向上させることができる。これにより後述
するようなドラム耐久試験(ドラムライフ)において経
験的に実用上問題ない領域であると考えられている2万
km完走が可能であるタイヤを作ることに成功した。
【0016】以下、本発明の内容を説明する。本発明で
用いるカーカスのモノフィラメントコードは、固有粘度
[IV]0.80以上のポリエステル系ポリマーより成
り、該固有粘度は、好ましくは0.85以上、さらに好
ましくは0.90以上である。固有粘度に関しては、糸
の製造工程における製糸性が問題無く、必要とされる強
度、初期弾性率が得られる範囲において、高ければ高い
ほど耐疲労性が向上し好ましい。この固有粘度に関して
も、0.80以上高い固有粘度を有しているモノフィラ
メントほど、ゴム引き抜き接着試験において高い耐剥離
性を示しており、このことも疲労性が良くなる理由と考
えられる。
【0017】本発明では、ビードフィラーゴムの50%
モジュラスMkg/cm2とモノフィラメントコードの固有
粘度[IV]との関係においてMは、M≦550IV−40
0であり、かつ、20≦M≦120kg/cm2であること
が必要となる。一般にビードフィラーゴムモジュラス
は、タイヤの他ゴム部材よりモジュラスの高いゴムが使
用されており、その50%モジュラスが20kg/cm2
り低いとビードフィラーとして役割をなさなくなり、1
20kg/cm2以上ではその加工性が難点となるため、そ
の50%モジュラスは20〜120kg/cm2が適切範囲
とされる。しかし、モノフィラメントコードの耐疲労性
はそのビードフィラーゴムモジュラスに大きく依存し、
同一モノフィラメントコードを使用した場合、例えば、
モジュラスを90kg/cm2から30kg/cm2に低下させる
とタイヤ耐久ライフは2倍以上も向上することは通常の
撚コードには見られないタイヤライフ向上の改良効果を
有すると考えられる。この理由として、モノフィラメン
トコードは、撚コードに比べ著しく高剛性であるため
に、コード内部で歪を吸収できず、ビードフィラーゴム
軟化による歪量の低下効果が撚コードに較べ著しいもの
と推論される。
【0018】一方、モノフィラメント自体の分子量もタ
イヤ耐疲労性には大きな影響を及ぼし、固有粘度IVを
0.8から0.9にするだけでもタイヤ耐久ライフは
2.5倍も向上することも驚くべき事実である。この理
由としては(詳細は後述するが)、モノフィラメントコ
ードにおいては、分子鎖同士の拘束力がその耐疲労性に
大きく影響するため、分子量増大による分子鎖拘束力の
向上が非常に大きな役割を担っているためと推定され
る。以上述べたように、ポリエステル系モノフィラメン
トをタイヤに適用するに際し、その分子量及び歪量を支
配するビードフィラーゴムは従来の撚コードに比し、非
常に大きい影響を及ぼすことが、本発明者らの検討によ
り明確となった。以上の事実より本発明者らは、ポリエ
ステル系モノフィラメントコードをタイヤに適用するに
あたり、タイヤ実用上問題のない領域として、後述する
ドラム条件で2万KM完走することが経験上知られてお
り、この2万KMレベルを確保するためには、上述した
モノフィラメントコードの固有粘度とビードフィラーゴ
ムの関連において、ビードフィラーゴムの50%モジュ
ラスMkg/cm2は、 M≦550IV−400 という実験式を満足することが必要となる。
【0019】次に、ポリエステル系モノフィラメントコ
ードの耐疲労性改良であるが、各種検討の結果、後述す
るループ強度の低いモノフィラメントコードにより、す
なわち、ポリエステル系モノフィラメントコードのルー
プ強力がコード引っ張り強力よりも低いことにより、そ
の耐疲労性は画期的に向上するという事実を見い出し
た。一般に、ループ強力は高い方が耐疲労性が良いと過
去信じられてきたが、本事実は我々の常識とは全く逆の
現象であった。また、本発明者らの検討経緯において、
次のような知見も発見されている。即ち、ループ強度の
低いモノフィラメントコードは非常にフィブリル化しず
らく、繊維方向の分子配向のみならず、繊維軸と直角方
向の分子間力が相当に強い(又は分子鎖同士のからみ合
いが大きいためとも推定される)という事実である。一
般に、ポリエステル系モノフィラメントコードに接着剤
を塗布しゴム中で加硫したゴム〜コード複合体におい
て、コード〜ゴム界面剥離試験を行なうと通常のモノフ
ィラメントコードはコード方向に縦割れ(フィブリル
化)が生じるという現象が認められる。これは接着界面
接着力よりもコード内部のポリエステル分子間凝集力が
低いためにフィブリル現象が発現しているためであり、
換言すればフィブリル化し易いコードはコード内部のポ
リエステル分子間凝集力が低いと考えられ、このような
分子間凝集力の低いコードは当然歪入力を受けた場合に
もその耐疲労性は低下するものと推論される。本発明者
らは上記推論の下に、各種検討を行ない、フィブリル化
しにくいモノフィラメントコードは、同時にループ強度
も著しく低い事実を見い出し、本発明に至ったのであ
る。
【0020】また、ポリエステルモノフィラメントコー
ドの分子量も耐疲労性に大きな影響を及ぼす。前述した
ように、ループ強度の低いモノフィラメントコードの耐
疲労性は向上するが、タイヤ実用レベルでの耐疲労性を
確保するためには、固有粘度の向上は不可欠である。一
般に分子量が大きいとその耐疲労性も向上すると信じら
れているが、モノフィラメントの場合は分子量依存性が
非常に大きい。分子量が低い場合にはコード直角方向の
分子間拘束力が低下しフィブリル化し易いという事実も
耐疲労性に対する分子量依存性を大きくしている一因と
考えられる。以上述べたように、ビードフィラーゴムと
モノフィラメントコードの固有粘度の最適化のみでも実
用上問題のないタイヤ耐久レベルは確保できるのである
が、更にループ強度を低下させることによりモノフィラ
メントコードの耐疲労性の画期的な改善が可能となり、
タイヤライフを懸念する必要のないタイヤを入手するこ
とが可能となるのである。
【0021】ポリエステルモノフィラメントコードの繊
度は、タイヤのサイズ、構造等により異なるが、100
0〜7000デニール、好ましくは1000〜4500
デニールである。繊度が1000デニールより小さい
と、カーカスのコード打込数を上げても同一プライ数で
は充分なケース強度が得られなくなってしまう。また、
ケース強度を確保するために、プライ数を増やすことも
考えられるが、カーカスのトータル重量が重くなり、転
がり抵抗が大きくなり好ましくない。また、繊度が70
00デニールを越えると、カーカスプライのジョイント
部が厚くなり、タイヤ・サイド部に凹凸が生じることと
なり、好ましくない。
【0022】ポリエステルモノフィラメントに供する材
料としては、ポリエチレンテレフタレートがタイヤ材料
として最も好ましい。しかし、ポリエチレンテレフタレ
ート成分を80%以上含有し、これに10%以下の柔軟
剤、安定剤等の添加物を加えたもの、あるいは10%以
下の共重合成分を加えたもの、あるいは20%以下のポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
等のポリマーをブレンドさせたものでも良い。
【0023】ポリエステルモノフィラメントの断面形状
も、特に限定されるものではないが、通常は円形もしく
は円形に近い形状が、取扱い上好ましい。しかし、カー
カスへのコード打込数を少なくする場合などは、コード
〜コード間距離が大きくなることを避けるために断面形
状を楕円にしても良い。本発明者が試験したところ、こ
の断面形状を円形にしても、楕円形にしても、疲労性は
大きく変わらなかった。
【0024】
【実施例】次に、実施例、比較例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0025】(実施例1〜6及び比較例1〜4)下記表
1に示される種々のコードを用いて各試作タイヤを作製
した。この各試作タイヤについて、それぞれの試験結果
を下記表1及び図2に示す。図2中の数値はドラム走行
距離を示す。
【0026】なお、試作タイヤの作製等は下記の方法に
より行った。 (試作タイヤの作製)空気入りタイヤは、サイズが18
5/70 R14の乗用車用ラジアルタイヤであり、そ
の構造は図1に従い、カーカスプライ4は1プライから
成る。プライ折り返し部の高さhは、カーカスプライ4
の断面高さHの60%とした。なおビードフィラーゴム
9の高さh′は50%である。実施例のタイヤは9例、
これらの耐久性を検証するため、カーカスプライ用コー
ド及びビードフィラーを除く他は全て実施例に合わせた
比較例タイヤを4例それぞれ準備した。なお、図1中、
1はビード部、2はサイドウォール部、3はトレッド
部、5はベルト、6はビードワイヤー、7、8はベルト
補強材である。
【0027】これらに使用したモノフィラメントコード
はタイヤから取り出したコードの固有粘度[IV]が、
0.77、0.84、0.90の3種類として、各固有
粘度について50%伸張時のモジュラスが33、50、
90kg/cm2の3水準のビードフィラーゴムを適用し
た。モノフィラメントコードは以下に述べる通常DIP
液に浸し、160℃のドライゾーンで60秒、240℃
のホット、ノルマルゾーンにおいて各々60秒間露出さ
せる処理を施した。
【0028】なお、処理テンションは大略ドライゾーン
ホットゾーン1200g/本、ノルマルゾーン500〜
700g/本であり、処理後の2.25g/d時の中間
伸度を3.8%になるようにノルマルゾーンテンション
の微調整を実施した。このようにして準備したコードを
ゴム引き布とするにあたり、コード打込数50本/5cm
とした。なお、DIP熱処理前のモノフィラメントコー
ドのカルボキシル基含量は3種ともに約22〜28meq
/kgであった。このように準備されたゴム引き布をカー
カスプライ材として供給されたタイヤを通常の方法でビ
ードフィラーゴムの3水準を含め成型・加硫を施し、以
下に述べるドラム耐久試験に供した。
【0029】(1) ドラム耐久試験(ドラムライフ) 最大空気圧2.5kg/cm2の内圧とした各供試タイヤを
25±2℃の室内中に24時間放置後、内圧を最大空気
圧に再調整し、JATMA最大荷重の2倍560kgの2
倍1120kgの荷重点下で周速度60KM/hで回転す
るドラムに押当て2万KMを目標に走行させ故障発生時
期及び故障内容を知る。これは、ビード部耐久性の評価
に適切な試験条件である。本試験実施にあたって2万K
M以上のライフを知るために2万KM迄に故障しないタ
イヤは更に継続して走行させ3万KM迄のタイヤライフ
を求めた。また、実用化判断の評価は、2万KM未満を
×(実用化無理)、2万KMを越える場合を◎(充分実
用化可能)とした。また、供試に用いたコードとゴムは
下記の方法により求めた。
【0030】(2) コード強力 JIS L1017に準じ、オートグラフにより25±
2℃の室温条件下にてディップ−熱処理後のコードに引
張り荷重をかけコード切断時の荷重(kgf)を求める。
【0031】(2) 固有粘度[IV] 溶媒にp−クロロフェノール/テトラクロロエタン
(3:1)混合溶媒を使用し、30℃にて、スコット
(SCHOTT)社製自動IV測定装置を使用してディ
ップ処理前のモノフィラメントコードの固有粘度を測定
した。
【0032】(3) 50%伸張時のゴムモジュラス JIS K 6301に準じ50%伸張時のゴムモジュ
ラスを測定した。
【0033】(4) ループ強力及びループ強度指数 JIS L1017に準じ、オートグラフにより25±
2℃の室温条件下にてディップ−熱処理前の生コードを
70cmに切ったコードの両端をオートグラフ上方のチャ
ックに把持し、同じく同一長さに切ったコードを前者コ
ードのループの中に通した後、両端を他方のチャックに
把持してコード強力と同一の引っぱり条件で引っぱりル
ープ近傍で切断する時の荷重(kgf)を求めた。上記方
法にて測定したループ強力を前述のコード強力で除した
値(ループ強力/引っぱり強力)でループ強度指数を求
めた。
【0034】
【表1】
【0035】(表1の考察)上記表1の結果から以下の
ことが判明した。比較例1〜3は、固有粘度が低く、コ
ード耐疲労性が劣るため、全て2万KMに未達でヒート
部プライ折り返し部にコード切れが発生した。しかし、
ビードフィラーゴムのモジュラスが低くなるにつれタイ
ヤライフは増加していることが判る。比較例4は、固有
粘度が比較例1〜3に較べ増加しているため、ドラムラ
イフは長くなっている。しかし、比較例4ではビードフ
ィラーゴムモジュラスが高いためドラムライフは2万K
M未達であった。
【0036】これに対して、実施例1,2では、ビード
フィラーゴムモジュラス低下によりドラムライフは大幅
に伸びていることが判る。また、実施例3、5、6は、
固有粘度を更に大きくしているため、ドラムライフは更
に長くなり、2万KMレベルをクリアーし、実施例5、
6では3万KM以上までライフが伸びている。実施例4
は、実施例3、5、6と同一の固有粘度を有するポリマ
ーであり、断面形状は長径0.83MM、短径0.33
MMの楕円形断面形状のモノフィラメントコードである
が、コード断面形状が楕円形状であってもドラムライフ
は実施例3と同一であった。
【0037】また、表1の実施例3′、5′、6′は、
実施例3、5、6と同一条件で試作したコードのドラム
ライフを示す。これらに用いられたコードはループ強力
を引っぱり強力の約60%に低下させたものである。そ
の後のロード作製条件及びDIP−熱延伸処理、タイヤ
成型等は全て比較例1〜4、実施例1〜6と同一であ
る。実施例3′、5′、6′は、ループ強度を低下させ
たため、著しくモノフィラメントコードの耐疲労性が向
上しビードフィラーゴムモジュラスによらず3万KMま
で故障なしに完走した。なお走行後のタイヤから取り出
したコードの残強力も全て60%以上有していた。従っ
て、実施例3′、5′、6′は、ループ強度が低下する
ことにより、ビードフィラーゴムのモジュラスが如何よ
うであってもドラムとライフが大幅に向上することが判
る。また、これら3万KM走行後のコード残強力も全て
50%以上であり、大幅なコード疲労性向上が図れるこ
とが判る。
【0038】以上結果を図2にまとめると、タイヤ実用
上問題のない2万KM以上を確保する為には、固有粘度
の上昇とともに、ビードフィラーゴムモジュラスの低減
が非常に有効であり、M≦550IV−400の領域にあ
る固有粘度IVとビードフィラーゴムモジュラスMの両者
によって目的が達成される。以上述べたようにコードの
固有粘度とビードフィラーゴムモジュラスの最適化によ
って実用上問題のないタイヤライフは保証されるのであ
るが、更に前述したようにループ強力を下げたコード
(実施例3′、5′、6′)において更に画期的なコー
ド耐疲労性が得られることが判る。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、カーカスのモノフィラ
メントコードを、固有粘度[IV]0.80以上のポリエ
ステル系ポリマーより構成し、そのビードフィラーゴム
の50%モジュラスMkg/cm2とモノフィラメントコー
ドの固有粘度[IV]との関係においてMを、M≦550
IV−400とし、かつ、20≦M≦120kg/cm2とし
たものを使用することにより、モノフィラメントコード
の強力低下を防止することができると共に、ビード部周
辺の耐久性を、著しく向上させることができる空気入り
タイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一例を示す断面図である。
【図2】カーカスのモノフィラメントコードの固有粘度
[IV]とビードフィラーゴム50%モジュラス(kg/cm
2)との関係を示す特性図である。
【符号の説明】 1 ビード部 2 サイドウォール部 3 トレッド部 4 カーカスプライ 9 ビードフィラー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部及び一対のサイドウォー
    ル部と、両サイドウォール部間にトロイド状をなして連
    なるトレッド部とからなり、これら各部をラジアル配列
    のモノフィラメントコードのゴム引き布からなるカーカ
    スプライにより補強し、トレッド部はベルトにより強化
    して成る空気入りタイヤにおいて、 前記カーカスのモノフィラメントコードが、固有粘度
    [IV]0.80以上のポリエステル系ポリマーより成
    り、 そのビードフィラーゴムの50%モジュラスMkg/cm2
    とモノフィラメントコードの固有粘度[IV]との関係に
    おいてMは、 M≦550IV−400であり、かつ、20≦M≦120
    kg/cm2であることを満足することを特徴とする空気入
    りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記モノフィラメントコードのループ強
    力がコード引っぱり強力よりも低い請求項1記載の空気
    入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記モノフィラメントコードの繊度が1
    000〜7000デニールの範囲内である請求項1又は
    2記載の空気入りタイヤ。
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Citations (5)

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