JPH08174928A - 記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バックテンションにより記録紙の斜行，蛇行
を防止し、更に記録紙の正確な移動量を検出することが
できる記録装置を提供する。 【構成】 記録紙に対し記録動作時に搬送される方向に
相反する方向に所定の張力を付勢するバックテンション
付与手段と、記録紙の搬送量を検出する記録紙送り量検
出手段とを設け、プラテンローラの表面を記録紙との摩
擦係数が０．４乃至０．６となるよう形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プラテンローラにより
記録紙を搬送して所望の記録を行う記録装置に関し、更
に詳しくは記録紙の斜行を防止する記録装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の記録装置は、図４に示す
ような構成を有しており、この図において、１はその周
面上の一部に記録紙４が巻回されるプラテンローラ、２
はこのプラテンローラ１を回転させることにより記録紙
４を介してプラテンローラ１に圧接または離反するよう
設けられ、記録動作の際にはその表面部分にプラテンロ
ーラの軸方向に列状に設けられた発熱素子を選択的に駆
動して、搬送される記録紙４に熱エネルギーを供給して
発色させるサーマルヘッド、４は紙管４２に巻回されて
形成される記録紙ロール４１より適宜サーマルヘッド３
とプラテンローラ１よりなる記録部に搬送される記録
紙、８はプラテンローラ１の回転量を検出するエンコー
ダよりなる記録紙送り量検出機構である。

【０００３】この種の記録装置においては、下記の理由
により記録紙４の斜行或いは皺の発生が生じることがあ
る。即ち、プラテンローラ１に対して記録紙ロール４１
が正確に平行とならずに位置づけられた場合、プラテン
ローラ１が記録紙４に伝達する力の方向と、記録紙ロー
ル４１から搬送される記録紙の搬送方向が異なってしま
い、記録紙ロール４１とプラテンローラ１との間の記録
紙４に皺が生じてしまう。また、サーマルヘッド３の発
熱抵抗体列の片側部分のみを駆動させて塗り潰し等の記
録（所謂片印字動作）を行った場合、記録紙として感熱
記録紙を用いた場合は、熱エネルギーを印加して発色さ
せた箇所が発色しない部分に比べて記録紙の粘性が高く
なり、これによりサーマルヘッドの片側部分においてヘ
ッドと記録紙との摩擦が大きくなる、所謂スティッキン
グを起こし、これにより記録紙の斜行が発生してしま
う。或いは、サーマルヘッド３をプラテンローラ１に対
して押圧する力がその長手方向に均一にならない場合、
記録紙が斜行または蛇行して搬送されることとなる。

【０００４】従来の装置においては、これら記録紙の皺
発生または斜行を防止するために、記録紙ロール４１の
側部或いは表面部分に摩擦部材を押圧するか、または図
４に示す装置のように記録紙ロール４１の軸深部分にロ
ータリダンパまたは電磁ブレーキ等の負荷５を係合させ
て、記録紙４に対してその搬送方向に相反する方向に張
力，即ちバックテンションを付与するよう構成し、この
バックテンションと記録紙を搬送する力とで皺の発生お
よび記録紙の斜行を防止するよう構成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来の記録装置
においては、記録紙４の搬送量を検出するために、プラ
テンローラ１の回転角度（回転数）を記録紙送り量検出
機構５の出力より検出し、このプラテンローラ１の回転
角度より記録紙の搬送量を算出するよう構成されている
ので、記録紙４の搬送精度を向上させるために、プラテ
ンローラ１と記録紙４との滑りを極力なくす必要があっ
た。そこで、従来の記録装置においては、記録紙に対す
る摩擦係数が１以上となるようなウレタンゴム或いはシ
リコンゴム等でその表面が形成されているプラテンロー
ラを用い、これによりプラテンローラ１と記録紙４との
滑りをなくすように構成されていた。しかしながら、プ
ラテンローラ１と記録紙４との摩擦を大きくすると、上
述の皺発生或いは斜行が生じた場合、バックテンション
により記録紙４をプラテンローラ１上のセットされるべ
き正規の位置に戻すことができなくなり、皺による印字
抜けまたは斜行による印字ズレが発生してしまうという
不具合を生じていた。逆に、記録紙４とプラテンローラ
１との摩擦力を小さくして各々が滑るようにすると、バ
ックテンションによる記録紙１の位置ずれ修正は可能と
なるが、記録紙４とプラテンローラ１の間に滑りが生じ
ている際の記録紙４の正確な移動距離の検出を行うこと
ができなくなり、これにより精度の高い記録ができなく
なるという不具合を生じていた。本発明はこれらの不具
合を解決するためになされたもので、バックテンション
により記録紙の斜行，蛇行を防止し、更に記録紙の正確
な移動量を検出することができる記録装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の記録装置においては、記録紙に対し記録動
作時に搬送される方向と相反する方向に所定の張力を付
勢するバックテンション付与手段と、記録紙の搬送量を
検出する記録紙送り量検出手段とを設け、プラテンロー
ラの表面を記録紙との摩擦係数が０．４乃至０．６とな
るよう形成した。また、記録装置の制御部は、記録紙送
り量検出手段の出力に基づいて、記録ヘッドにより記録
を行うタイミングを決定するよう構成した。

【０００７】

【作用】記録紙が搬送される際には、記録紙はバックテ
ンション付与手段により搬送方向に対して逆向きの方向
に力を受ける。このとき、記録紙がプラテンローラ上の
位置づけられるべき正規の位置よりずれて保持されてい
る場合、記録紙がプラテンローラ上に対して滑りを生じ
るとともにその軸方向に移動してずれが修正される。記
録紙送り量検出手段は、プラテンローラの回転に関係な
く、記録紙の移動量を検出する。制御装置は、この記録
紙送り量検出手段の出力より記録データの送出タイミン
グを決定し、記録紙送り状態に応じて記録ヘッドを駆動
制御する。

【０００８】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の記録装置を説
明する。図１において１はプラテンローラ、２は記録紙
送りモータよりなる記録紙搬送部、３はサーマルヘッ
ド、４は記録紙、５はバックテンション付与手段、６は
記録紙送り量検出手段、７は制御部であり、図中、上述
の従来の記録装置と同等な構成については、同符号を以
て示されている。記録紙４は、軸芯である紙管４２に巻
回されて保持されている記録紙ロール４１より、プラテ
ンローラ１およびサーマルヘッド３よりなる記録部に搬
送される。またサーマルヘッド３は、この記録紙４をプ
ラテンローラ１に押圧するように（即ち図のＦ方向に）
付勢され、この状態で記録紙搬送部２がプラテンローラ
１を回転することにより記録紙４の搬送が行われる。制
御部７は、サーマルヘッド３に発熱抵抗体列１ライン分
毎の記録データを送出し、且つ記録紙４が１ラインに相
当する距離だけ送られる度に続く記録データを送出して
発熱抵抗体列を駆動し、記録を行うよう構成されてい
る。これらの構成は上述の従来の装置と同等である。

【０００９】記録紙ロール４１の紙管４２には、バック
テンション付与手段５としてのＤＣモータが係合してい
る。記録動作時においては、プラテンローラ１は記録紙
搬送部２により図のＡ方向に回転して記録紙４を図のＢ
方向に搬送し、これにより記録紙ロール４１は図のＤ方
向に回転する。この時、制御装置はＤＣモータ５が図の
Ｅ方向に回転するように電力を供給する。これにより記
録紙４は、その搬送方向と相反する方向、即ち図のＣ方
向の張力を受け、これが記録紙４に対するバックテンシ
ョンとして作用する。

【００１０】プラテンローラ１は、金属芯体上にゴムを
被覆し、更にこのゴム弾性体の表面にポリ四フッ化エチ
レン等のフッ素樹脂をコーティングして構成されてお
り、これによりプラテンローラ１の表面が高強度，高平
滑化されて、記録紙４との摩擦係数が０．５程度と低く
なるよう構成されている。

【００１１】また制御部７は、上記バックテンション付
与手段５，即ちＤＣモータ５に対して、バックテンショ
ンが、プラテンローラ１の回転により記録紙４が受ける
力よりも小さくなるように、電力を供給する。

【００１２】記録紙送り量検出手段６は、記録紙４の搬
送経路上であって且つ図３（ａ）に示すように、側面視
記録紙ロール４１とプラテンローラ１の上部接線Ｇより
も上方に設けられるとともに、記録装置本体に回転自在
に取り付けられる従動ローラ６２と、記録紙４を介して
この従動ローラ６２に検出ローラ部分が押圧されるよう
設けられるロータリーエンコーダ６１により構成されて
いる。記録動作の際に記録紙４が搬送されると、この記
録紙４の搬送系路上に設けられた従動ローラ６２が記録
紙４の移動に伴って回転し、同時にロータリーエンコー
ダ６１の検出ローラも記録紙４の搬送量に応じて回転す
る。このとき、制御部７はこのロータリーエンコーダ６
１の回転量を検出することにより、記録紙４の搬送量を
検出するよう構成されている。

【００１３】このように構成された本発明の記録装置に
おいて、図２に示すように記録紙４がプラテンローラ１
上の正規の位置よりずれた場合は、記録動作において記
録紙４がプラテンローラ１の回転力によりその搬送方向
に力を受けるとともに、これと逆方向の付勢力をバック
テンション付与手段５により受けると、記録紙４に図２
の矢印α方向の力が作用する。この時、記録紙４とプラ
テンローラ１の摩擦力が小さいために、プラテンローラ
１と記録紙４との間に滑りが生じ、これにより記録紙４
がプラテンローラ１の軸方向に移動してずれが修正され
る。

【００１４】このずれ修正の際にも、記録紙送り量検出
機構６は記録紙４の搬送方向についての移動量を検出
し、制御部７は記録紙４が１ライン分に相当する距離だ
け送られたことを検出する毎に、サーマルヘッド３に記
録データを送出して記録を行う。即ち、記録動作におい
ては、制御部７は記録紙搬送部２を駆動させるととも
に、サーマルヘッド３に対する記録データの送出タイミ
ングを、記録紙送り量検出機構６の出力に基づいて決定
するよう構成されている。これにより、制御部７は記録
紙４がずれ修正動作を行っている際にも、その搬送方向
に対する移動量も検出することができ、これにより精度
の良い記録を行うことができる。

【００１５】また、本発明の記録装置においてサーマル
ヘッド３の発熱抵抗体列の片側部分のみを駆動させて片
印字動作を行う場合、記録紙４とサーマルヘッド３との
摩擦がプラテンローラ１の軸方向に不均一となり、これ
により記録紙４が斜行しようとするが、プラテンローラ
１と記録紙４との摩擦力が小さいので、記録紙４とプラ
テンローラ１の間に滑りが生じ、更に記録紙４にバック
テンションが付与されることにより斜行が防止される。
また記録紙送り量検出機構６は、記録紙４とプラテンロ
ーラ１の滑りが生じている際においても、プラテンロー
ラ１の回転動作に関わらず記録紙４の搬送量を検出する
ことができ、制御部７はこの記録紙送り量検出機構６の
出力に基づいて記録ヘッド３を駆動制御するので、片印
字動作を行う場合においても、正確な位置に所望の記録
を行うことができる。

【００１６】記録紙送り量検出機構６の従動ローラ６２
は、図３（ａ）に示すように、側面視記録紙ロール４１
とプラテンローラ１の上部接線Ａよりも上方に設けられ
ており、これによりプラテンローラ１と記録紙４との接
触角度θが一定に保たれて、記録紙のずれ修正動作が常
に安定して行われるよう構成されている。即ち、この従
動ローラ６２が配設されない場合は、図３（ｂ）に示す
ように記録紙の消耗によって記録紙ロール４１の外径が
小さくなると、これに応じてプラテンローラ１と記録紙
４の接触角度（即ち接触面積）が大きくなり（θ’）、
これによりプラテンローラ１と記録紙４の摩擦力が大き
くなって、滑りが生じにくくなるが、本発明の如く従動
ローラを設けることにより、記録紙ロール４１の外径の
変化に関係なく、プラテンローラ１と記録紙１の接触角
度が常に一定となり、これによりずれ修正動作が常時安
定して行われることとなる。

【００１７】上述の実施例においては、プラテンローラ
１として金属芯体上にゴムを被覆し、更にその表面にフ
ッ素樹脂をコーティングしたものを用いているが、これ
に限定されるものではなく、被覆するゴム材の種類或い
はその加工方法を適宜選択することにより、その表面の
摩擦係数が０．４〜０．６となるようにしても良い。

【００１８】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の記録装置
においては、プラテンローラと記録紙の摩擦力を小さく
するとともに記録紙に対しその搬送方向と相反する方向
にバックテンションを付勢することにより、記録紙のず
れ修正が可能となって記録紙の斜行，蛇行を防止するこ
とができるとともに、記録紙送り量検出手段により記録
紙のずれ修正動作時における記録紙の移動量も検出する
ことができ、この記録紙送り量検出手段の出力に基づい
て記録データを記録ヘッドに送出するタイミングを決定
して駆動制御するよう構成したので、高精度の記録を行
うことができる。また、記録装置本体に回転自在に配設
されるローラ部材が、記録紙を保持する記録紙保持部よ
りプラテンローラに搬送される記録紙に当接し、記録紙
の搬送にともなって回転するよう設けるとともに、この
ローラ部材に押圧された検出手段の出力に基づいて記録
紙の搬送量を検出するよう構成したので、記録紙送り状
態を正確に検出することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の記録装置の要部構成を示す斜視図で
ある。

【図２】 バックテンションによる記録紙のずれ修正動
作を示す説明図である。

【図３】 本発明および従来の記録装置を示す側面図で
ある。

【図４】 従来の記録装置を示す説明図である。

【符号の説明】

１ プラテンローラ ２ 記録紙送りモータ部 ３ サーマルヘッド ４ 記録紙 ５ バックテンション付与機構 ６ 記録紙送り量検出手段 ７ 制御部 ８ 記録紙送り量検出機構

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラテンローラの一部周面に記録紙を巻
   き付け、当該プラテンローラを回転することにより記録
   紙を搬送させるとともに、記録ヘッドに順次記録データ
   を送出して記録を行う記録装置において、 上記記録紙に対し、記録動作時に搬送される方向と相反
   する方向に所定の張力を付勢するバックテンション付与
   手段と、 上記記録紙の搬送量を検出する記録紙送り量検出手段と
   を有し、 上記プラテンローラの表面は、上記記録紙との摩擦係数
   が０．４乃至０．６となるように形成されることを特徴
   とする記録装置。
2. 【請求項２】 記録装置の制御部は、上記記録紙送り量
   検出手段の出力に基づいて、上記記録ヘッドにより記録
   を行うタイミングを決定することを特徴とする請求項１
   記載の記録装置。
3. 【請求項３】上記記録紙送り量検出手段は記録装置本体
   に回転自在に配設されるローラ部材を含み、当該ローラ
   部材は記録紙が保持されている保持部より上記プラテン
   ローラに搬送される記録紙に当接し、記録紙の搬送に伴
   って回転するよう設けられることを特徴とする請求項１
   記載の記録装置。