JPH08173312A - 加熱調理容器および加熱調理容器の製造方法 - Google Patents

加熱調理容器および加熱調理容器の製造方法

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JPH08173312A
JPH08173312A JP32018394A JP32018394A JPH08173312A JP H08173312 A JPH08173312 A JP H08173312A JP 32018394 A JP32018394 A JP 32018394A JP 32018394 A JP32018394 A JP 32018394A JP H08173312 A JPH08173312 A JP H08173312A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘導発熱に耐えるだけの十分な強度を有し、
しかも、コスト安な加熱調理容器を提供すること。 【構成】 炊飯用の釜本体15aはステンレスを絞り加
工することから構成されたものであり、誘導加熱コイル
の励磁に伴い誘導加熱される。釜本体15aの内面には
熱良導体層15bが形成されている。この熱良導体層1
5bはアルミニウムを溶射することから形成されたもの
であり、釜本体15aの誘導熱を分散させ、調理物を均
一に加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘導発熱することに伴
い収容物を加熱調理する加熱調理容器および加熱調理容
器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種加熱調理容器の一例として炊飯器
の釜があげられる。この釜は、鉄やステンレス等の磁性
体とアルミニウム等の熱良導体とを一体化したものであ
り、磁性体で発生した誘導熱を、熱良導体により分散す
る構成になっている。下記(1)〜(3)は、炊飯器の
釜の従来構成を示すものである。
【0003】(1)クラッド材(ステンレスにアルミニ
ムを接合した板材)の絞り加工により釜本体を形成し、
釜本体の外面にステンレスを露出させ、内面をアルミニ
ウムで覆う。 (2)ステンレスがセットされた溶湯鍛造型内に溶融ア
ルミニウムを注入する。そして、アルミニウムの鍛造に
より釜本体を形成し、釜本体の外面にステンレスを付着
させる。 (3)アルミニウムからなる釜本体の外面に鉄を溶射
し、釜本体の外面に鉄を付着させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
の構成では、クラッド材の剥離性が障害となり、クラッ
ド材の絞り加工を行い難いという事情があった。このた
め、不良率が高くなり、製品がコスト高になってしま
う。また、(2)の構成では、鍛造工程そのものが障害
となるばかりか、鍛造に伴う表面荒れを修正する表面処
理が必要となり、製品がコスト高になってしまう。
【0005】(3)の構成では、溶融または半溶融状態
にある鉄を釜の外面に溶射することになる。このため、
鉄と釜本体との間,鉄相互間に酸化鉄が生じ、釜の外観
が悪化したり、鉄の強度が低下したりする。従って、鉄
を局部的に誘導加熱すると、鉄に強い熱応力が作用し、
鉄が割れたり、釜本体から剥離する虞れがあった。図6
は、アルミニウム製の釜本体1に鉄2を溶射した状態を
示す断面図であり、鉄2と釜本体1との間,鉄2相互間
に酸化鉄3(特に黒い部分)が生じている。また、溶射
面が釜本体の外面に出るため、外観上、見苦しく、この
金属凹凸により台所内の設備、机等に傷を付けてしまう
という問題があった。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、誘導加熱に耐えるだけの十分な強度
を有し、しかも、台所内の設備や机等に傷を付けること
もなくし得、且つ、コスト安な加熱調理容器および加熱
調理容器の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の加熱調理
用容器は、誘導加熱される磁性体製の容器本体と、この
容器本体の内面に溶射により設けられ、容器本体で発生
した熱を分散させる熱良導体層とを備えたところに特徴
を有する。請求項2記載の加熱調理用容器は、熱良導体
層の表面を滑らかにする耐熱層により、熱良導体層を覆
うところに特徴を有する。請求項3記載の加熱調理用容
器は、容器本体の内底部において、熱良導体層を厚く、
内周部において薄くしたところに特徴を有する。
【0008】請求項4記載の加熱調理用容器は、容器本
体に対する収容物の収容限度量を規定する略規定高さま
で熱良導体層を設けたところに特徴を有する。請求項5
記載の加熱調理用容器は、容器本体の内底部において、
熱良導体層の厚さを0.3mm〜5mmとしたところに
特徴を有する。請求項6記載の加熱調理用容器は、容器
本体の内周部において、熱良導体層を上方に向って除々
に薄くしたところに特徴を有する。
【0009】請求項7記載の加熱調理用容器は、容器本
体の誘導発熱部分において、熱良導体層を厚く、その他
の部分において薄いか又は廃止したところに特徴を有す
る。請求項8記載の加熱調理用容器の製造方法は、請求
項1記載の加熱調理容器を製造するにあたって、容器本
体の内面に熱良導体を溶射して熱良導体層を形成した
後、真空もしくは還元雰囲気中で高温熱処理を行うとこ
ろに特徴を有する。請求項9記載の加熱調理用容器の製
造方法は、請求項1記載の加熱調理容器を製造するにあ
たって、容器本体の内面に熱良導体を溶射して熱良導体
層を形成する動作と容器本体の外面に冷却風を吹付ける
動作とを、容器本体を回転させながら行うところに特徴
を有する。
【0010】
【作用】請求項1記載の手段によれば、熱良導体層を溶
射により容器本体の内面に装着したので、接着力が強固
で、且つ、容器外面に凹凸がなくなり、台所内の設備を
傷付けることもない。請求項2記載の手段によれば、耐
熱層により熱良導体層が覆われ、熱良導体層の表面が滑
らかになる。これにより、熱良導体層に米が焦げ付いた
り、米が傷付いたりすることも極力防止できるし、溶射
によって装着された熱良導体層の表面の凹凸にアンカー
効果により耐熱層が食い込むので、耐熱層と熱良導体層
との接合力も大きくなる。請求項3記載の手段によれ
ば、熱良導体の量を減らすことができるので、容器を軽
く、また、材料も少なくすることができる。このような
構成にしても、容器本体の底部を誘導加熱すると、容器
本体に収容された収容物が対流するので、対流現象によ
って熱が分散され、おいしい米を炊くことができる。
【0011】請求項4記載の手段によれば、収容物の収
容限度を示す規定高さまで熱を分散でき、不要部分に熱
を分散しない最小範囲で熱良導体層が形成される。請求
項5記載の手段によれば、熱伝導効果が殆どなくなる境
界値(0.3mm)から熱伝導効果が調理状態に及ぼす
影響に差がなくなる境界値(5mm)の範囲で熱良導体
層が形成される。
【0012】請求項6記載の手段によれば、容器本体の
内周部における熱良導体層が上方に向って除々に薄くな
るので、熱伝達量が多い部分では熱良導体層が厚く、熱
伝達量が少ない部分では熱良導体層が薄く、最後は、熱
良導体層が容器本体の内周面に段差なく繋がるようにな
る。これにより、溶射された熱良導体層が容器本体から
剥がれ難くなる。請求項7記載の手段によれば、熱良導
体の量を少なくできるので、材料を少なくできると共
に、製品重量も軽くすることができる。この様な構成に
あっては、熱良導体層に薄い部分又は廃止部分があって
も、容器本体の誘導発熱部分に設けられた熱良導体層か
ら調理物に熱が伝達され、対流に伴い調理物が均一に加
熱される。
【0013】請求項8記載の手段によれば、熱良導体層
を形成するにあたっては、まず、容器本体の内面に熱良
導体を溶射する。次に、真空もしくは還元雰囲気中で高
温熱処理を行うことにより、容器本体の表面および熱良
導体層の表面に形成された酸化物を還元する。請求項9
記載の手段によれば、熱良導体層を形成するにあたって
は、容器本体を回転させながら容器本体の内面に熱良導
体を溶射する。これと共に、容器本体の外面に冷却風を
吹付け、容器本体を冷却しながら容器本体に熱良導体層
を付着させることで、冷却風を容器の内側から吹付ける
場合と異なり、暖められた冷却風が効率的に排気される
ことになり、冷却効果が高まる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の加熱調理容器を炊飯器に適用
した第1実施例について、図1なしい図4を参照しなが
ら説明する。まず、図3において、炊飯器本体11の投
入口11aは蓋体12により覆われている。この蓋体1
2は炊飯器本体11に回動可能に取付けられたものであ
り、蓋体12を回動操作することに伴い、投入口11a
を開閉する。尚、符号13は、蓋体12を枢支するヒン
ジを示す。また、炊飯器本体11および蓋体12は合成
樹脂から形成されている。
【0015】炊飯器本体11の内部には釜収容部14が
区画形成され、釜収容部14内には、有底円筒状の釜本
体15aが着脱可能に収容されている。この釜本体15
aは容器本体に相当するものであり、磁性体であるステ
ンレス(板厚0.5mm〜1.0mmのSUS430)
を絞り加工することから形成されている。そして、蓋体
12には内蓋12aが設けられており、蓋体12により
炊飯器本体11の投入口11aを閉塞すると、内蓋12
aにより釜本体15aの上面開口が閉塞されるようにな
っている。
【0016】釜本体15aの内面には熱良導体層15b
が形成されている。この熱良導体層15bは、釜本体1
5aの内底部および内周部にアルミニウムを溶射するこ
とから形成されたものであり、図1に示すように、内底
部の厚みが0.3mm〜5mmと比較的厚く、これに比
べて内周部の厚みが薄くなっている。
【0017】釜本体15aの内周面には、投入した米量
に対する適切な水量を規定する規定線が複数本引かれて
おり、熱良導体層15bは、最上段にある規定線αまで
形成されている。しかも、熱良導体層15bの内周部の
厚さは規定線αに向って徐々に薄くなっており、熱良導
体層15bは、規定線αを超えた時点で厚さが略「0」
となり、釜本体15aの内周面に段差なく滑らかに繋が
っている。
【0018】図2は熱良導体層15bの溶射方法を示す
ものであり、16は溶射ヘッド、17は保持具である。
ここで、釜本体15aに熱良導体層15bを形成するに
あたっては、絞り加工された釜本体15aの内面にブラ
スト加工を施し、前処理を行った後、まず、釜本体15
aを保持具17に固定する。
【0019】次に、溶射ヘッド16を矢印A方向へ揺動
させる動作と矢印B方向へ回転させる動作とを同時に行
いながら、釜本体15aの内面に溶融アルミニウム(ま
たは半溶融アルミニウム)を溶射する。そして、アルミ
ニウムの溶射後、真空または還元雰囲気中で高温熱処理
を行う。また、冷却ファン18は、矢印Cで示すよう
に、釜本体15aの外面に冷却風を吹付けるものであ
り、アルミニウムの溶射は、冷却ファン18から釜本体
15aの外面に冷却風を吹付け、容器本体15aを冷却
しながら行われる。
【0020】尚、上記アルミニウムの溶射時には、釜本
体15aと熱良導体層15b,熱良導体層15bの粒子
相互間の密着性を考慮し、溶射ヘッド16による溶射温
度を調節することに基づいてアルミニウムの溶融状態を
制御している。また、アルミニウムの溶射後は、熱良導
体層15bの表面で酸化が生じたり、内部応力が発生し
たりするので、真空または還元雰囲気中で高温熱処理を
施して酸化物および内部応力を取除き、密着性の向上、
後述する耐熱層15cとのなじみ、ひずみ取りを行い、
熱良導体層15bを安定化している。
【0021】熱良導体層15bの表面には、図1に示す
ように、耐熱層15cが形成されている。この耐熱層1
5cは、熱良導体層15bにフッソ樹脂(セラミックス
等の非金属が含有されたもの)を吹付けて加熱処理を行
うことから形成されたものであり、熱良導体層15bの
表面を滑らかにし、熱良導体層15bの表面に調理物
(米等)が焦げ付くことを防止する機能を備えている。
【0022】図4は釜本体15aおよび熱良導体層15
bの断面を拡大して示すものである。同図から明らかな
ように、熱良導体層15bの表面に複雑な凹凸が有るた
め、フッソ樹脂を吹付けると、該凹凸にフッソ樹脂が入
り込む(アンカー効果)。従って、鋼板やSUS材に耐
熱層を形成する場合、アルミダイキャストをブラストし
て耐熱層を形成する場合に比べ、耐熱層15cの密着性
が格段に向上する。尚、図1の符号15は加熱調理用容
器に相当する釜を示すものであり、この釜15は、釜本
体15aと熱良導体層15bと耐熱層15cとから構成
されている。
【0023】釜本体15aの下側には、図3に示すよう
に、誘導加熱装置19が配設されている。この誘導加熱
装置19は、釜本体15aの外周部に位置する誘導加熱
コイル19aと釜本体15aの中央部に位置する誘導加
熱コイル19bと高周波電流を出力するインバータ回路
部19cとフェライト19dとから構成されたものであ
る。そして、インバータ回路部19cから高周波電流が
出力されると、誘導加熱コイル19aおよび19bが励
磁され、誘導加熱コイル19aおよび19bから磁束が
発生する。これにより、釜本体15aとフェライト19
dとを周回する磁気回路が形成され、釜本体15aの表
層部で磁束の変化に伴う誘導電流が発生し、誘導電流の
抵抗損失に伴い釜本体15aが加熱される。
【0024】このような高周波電流による誘導加熱で
は、表皮効果により、釜本体15aのごく表面(SUS
板や密度の高い圧延鋼板では0.3mm程度)で電流が
流れ、該部分で発熱する。しかも、釜本体15aのう
ち、誘導加熱コイル19aおよび19bに接近するごく
一部で表面発熱が生じるため、この熱を釜本体15aに
分散させる必要がある。これに対し、釜本体15aの材
料であるSUS430の熱伝導率は0.062(cal
/cm・sec・°C)と小さく、熱を伝え難い。そこ
で、釜本体15aの内面に熱良導体層15bを設け、釜
本体15aで発生した熱を分散させるようにしている。
【0025】尚、釜本体15aの内底部における熱良導
体層15bは、その厚みが0.3mmを下回ると、熱伝
導効果が殆どなくなる。また、その厚みが5mm以上に
なると、熱伝導効果が調理状態に及ぼす影響に差がなく
なる。このような事情に鑑みて、釜本体15aの内底部
における熱良導体層15bは、厚みが0.3mm〜5m
mに形成されている。
【0026】誘導加熱コイル19aおよび19bでは、
釜本体15aの外周部に位置する誘導加熱コイル19a
の方が入力ワット数が大きく設定され、釜本体15aの
外周部が中央部より強く加熱されるようになっている。
このため、釜本体15a内に水および米を投入して炊飯
動作を行うと、図1に破線Lで示すように、釜本体15
aの外周部から上昇し、内周部に向って下降する対流が
顕著に発生する。従って、釜本体15aの内周部におい
て、熱良導体層15bが薄くても、釜本体15a内に収
容された米は対流現象により均一に加熱されることにな
る。
【0027】炊飯器本体11には、図3に示すように、
操作部20が設けられ、操作部20には、「炊き込みご
はん」等の炊飯メニューを選択する選択キーや「炊き上
がり希望時刻」を設定する予約キーやスタートキー等
(いずれも図示せず)が設けられている。また、炊飯器
本体11内には制御装置21が収容されている。この制
御装置21はマイクロコンピュータを主体に構成された
ものであり、操作部20の各種キーおよびインバータ回
路部19cは制御装置21に接続されている。そして、
制御装置21は、各種キーの操作を検出すると、その操
作内容に応じた制御データをROMから読出し、読出し
た制御データに基づいてインバータ回路部19cを制御
し、操作部20の操作内容に応じた炊飯動作を実行す
る。
【0028】釜収容部14の底板には温度センサ22が
設けられている。この温度センサ22は釜本体15aの
温度を検出するものであり、制御装置21に接続されて
いる。そして、制御装置21は、温度センサ22が検出
した釜本体15aの温度変化特性に基づいて米の炊き上
がりを検出し、炊飯動作を終了させる。また、蓋体12
には蓋ヒータ23aが設けられ、釜収容部14には胴ヒ
ータ23bが設けられている。これら両ヒータ23aお
よび23bは釜本体15aを外側から加熱するものであ
り、制御装置21に接続されている。そして、制御装置
21は、温度センサ22の検出温度を参照しながら両ヒ
ータ23aおよび23bを通断電することに基づき、釜
本体15aを所定温度に保持し、加熱調理された調理物
を保温する。尚、符号24は、電気部品を冷却する冷却
ファンを示す。
【0029】上記実施例によれば、酸化し難いアルミニ
ウム製の熱良導体層15bを釜本体15aの内面に溶射
形成し、釜本体15aを誘導加熱する構成とした。この
ため、熱良導体層15bに酸化物が介在され難くなり、
熱良導体層15bの強度が向上する。尚、図4と図6と
を比較すれば、図4の熱良導体層15bに酸化物(特に
黒い部分)が殆ど含まれていなことが明らかである。こ
れと共に、誘導電流による局部的な発熱を強度の大きい
釜本体15aで発生させ、強度の小さい熱良導体層15
bに伝達することができる。以上の理由に基づき、釜1
5において、熱応力に対する構成材料の強度バランスが
良好になり、誘導発熱に耐えるだけの十分な強度が形成
され、熱良導体層15b(溶射層)の割れや剥離が防止
されるようになる。
【0030】また、釜本体15aを絞り加工した後、釜
本体15aにアルミニウムを溶射して熱良導体層15b
を形成する構成とした。このため、クラッド材を絞り加
工する難しさ、溶湯鍛造工程の繁雑さ、表面荒れ修正工
程の必要性が解消され、その結果、釜15がコストダウ
ンされる。また、凹凸のある熱良導体層15bを釜本体
15aの内面に形成したので、釜15の外観が、釜本体
15aのステンレスの光沢により綺麗になる。これと共
に、熱良導体層15bの凹凸により台所内の設備や机等
が傷付けられてしまうことが防止される。
【0031】また、耐熱層15cにより熱良導体層15
bを覆ったので、熱良導体層15bの表面が滑らかにな
る。このため、熱良導体層15bの凹凸に調理物が焦げ
付くことが防止される。この場合、熱良導体層15bに
フッソ樹脂を吹付けて耐熱層15cを形成しているの
で、熱良導体層15bの凹凸に耐熱層15cが入り込
み、耐熱層15cの密着性が向上する利点もある。
【0032】また、釜本体15aの底部を誘導加熱する
と、釜本体15a内に対流が発生する点に着目し、釜本
体15aの内周部において熱良導体層15bを薄くし
た。このため、極力少量の熱良導体層15bにより米が
均一に加熱されるようになり、その結果、製品重量が低
減される。
【0033】また、規定線αの上側を加熱する必要がな
いことに着目し、熱良導体層15bを規定線αまで形成
した。このため、必要な部分に熱を分散し、不要な部分
に熱を分散しない最小範囲で熱良導体層15bが形成さ
れ、その結果、製品重量が一層低減される。
【0034】また、釜本体15aの内底部における熱良
導体層15bの厚みを、熱伝導効果が殆どなくなる0.
3mmから熱伝導効果が調理状態に及ぼす影響に差がな
くなる5mmの範囲に設定した。このため、熱良導体層
15bを不要に厚くすることなく、調理物が良好に加熱
調理される。
【0035】また、釜本体15aの内周部において、熱
良導体層15bを上方に向って除々に薄くしたので、熱
良導体層15bは、誘導発熱する釜本体15aの内底部
から遠い程薄くなる。このため、熱伝達量が多い部分で
は熱良導体層15bが厚く、熱伝達量が少ない部分では
熱良導体層15bが薄くなる。従って、伝達すべき熱量
に応じた厚みの熱良導体層15bが形成されるようにな
り、その結果、製品重量がより一層低減される。これと
共に、熱良導体層15bの端末を釜本体15aの内周面
に段差なく繋げることができるので、段差部分に外力が
作用して、熱良導体層15bが剥離したり、欠けたりす
ることが防止される。
【0036】また、釜本体15aの内面に熱良導体を溶
射して熱良導体層15bを形成した後、真空または還元
雰囲気中で高温熱処理を行うようにした。このため、熱
良導体の溶射時に酸化された釜本体15aの表面および
熱良導体層15bの表面を還元することができる。従っ
て、熱良導体層15bの粒子相互間,釜本体15aと熱
良導体層15bとの間の酸化物が十分に除去され、その
結果、熱良導体層15bの強度が一層向上する。
【0037】また、熱良導体層15bを形成するにあた
って、釜本体15aを回転させながら釜本体15aの外
面に冷却風を吹付けた。このため、冷却風を釜本体15
の内面に吹付ける場合とは異なり、図2に示すように、
釜本体15aの外面形状に沿って、釜本体15a全体に
冷却風が供給されるようになる。その結果、熱良導体層
15bの釜本体15aに対する付着性が向上する等、良
好な熱良導体層15bが形成される。
【0038】尚、上記第1実施例においては、釜本体1
5aの内底部全域に熱良導体層15bを形成したが、こ
れに限定されるものではなく、本発明の第2実施例を示
す図5のように構成しても良い。この構成の場合、釜本
体15aの内底部における熱良導体層15bは、釜本体
15aの誘導発熱部分(誘導加熱コイル19aおよび1
9bに対応する部分)が厚く、その他の部分(非誘導発
熱部分)が廃止されている。また、耐熱層15cは、釜
本体15aの内底部全域を覆っている。
【0039】この構成によれば、釜本体15aの誘導発
熱部分に熱良導体層15bが形成されているため、釜本
体15aの熱が熱良導体層15bから調理物に伝達さ
れ、対流に伴い調理物が実用上十分に加熱される。従っ
て、熱良導体層15bの使用量が低減され、製品重量が
低減されることになる。
【0040】尚、上記第2実施例においては、耐熱層1
5cを釜本体15aの内底部全域に形成したが、これに
限定されるものではなく、熱良導体層15bの表面のみ
に形成しても良い。また、釜本体15aの内底部におい
て、非誘導発熱部分の熱良導体層15bを廃止する構成
としたが、これに限定されるものではなく、誘導発熱部
分より薄い熱良導体層15bを形成する構成としても良
い。
【0041】また、上記第1および第2実施例において
は、釜本体15aをステンレスから形成したが、これに
限定されるものではなく、例えば防錆処理された鋼板
等、磁性を有し、適度な電気伝導率を有する材料であれ
ば良い。また、上記第1および第2実施例においては、
熱良導体層15bをアルミニウムから形成したが、これ
に限定されるものではなく、例えば銅やアルミニウムと
銅の合金等であっても良い。また、上記第1および第2
実施例においては、耐熱層15cをフッソ樹脂から形成
したが、これに限定されるものではなく、例えばセラミ
ックコートシリンコン等、加熱調理に耐えるだけの耐熱
性および耐食性を有していれば良い。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の加熱調理容器および加熱調理容器の製造方法によれば
以下の効果を奏する。請求項1記載の手段によれば、熱
良導体層を溶射により容器本体の内面に装着したので、
接着力が強固で誘導加熱に耐えるだけの十分な強度を熱
良導体層が有するようになる。しかも、台所内の設備や
机等に傷を付けることが防止され、且つ、容器がコスト
安になる。
【0043】請求項2記載の手段によれば、耐熱層によ
り熱良導体層が覆われ、熱良導体層の表面が滑らかにな
るので、熱良導体層に米が焦げ付いたり、米が傷付いた
りすることも極力防止できるし、溶射によって装着され
た熱良導体層の表面の凹凸にアンカー効果により耐熱層
が食い込むので、耐熱層と熱良導体層との接合力も大き
くなる。請求項3記載の手段によれば、熱良導体の量を
減らすことができるので、容器を軽く、また、材料も少
なくすることができる。このような構成にしても、容器
本体の底部を誘導加熱すると、容器本体に収容された収
容物が対流するので、対流現象によって熱が分散され、
おいしい米を炊くことができる。
【0044】請求項4記載の手段によれば、熱良導体層
を規定高さまで形成したので、熱良導体の量が減り、容
器を軽く、また、材料も少なくすることができる。この
ような構成にしても、必要部分に熱良導体層があるの
で、熱を分散することができ、おいしい米を炊くことが
できる。請求項5記載の手段によれば、熱伝導効果が殆
どなくなる境界値(0.3mm)から熱伝導効果が調理
状態に及ぼす影響に差がなくなる境界値(5mm)の範
囲で熱良導体層を形成したので、熱良導体層を不要に厚
くすることなく、おいしい米を炊くことができる。
【0045】請求項6記載の手段によれば、容器本体の
内周部における熱良導体層が上方に向って除々に薄くな
るので、熱伝達量が多い部分では熱良導体層が厚く、熱
伝達量が少ない部分では熱良導体層が薄く、最後は、熱
良導体層が容器本体の内周面に段差なく繋がるようにな
る。これにより、溶射された熱良導体層が容器本体から
剥がれ難くなる。これと共に、伝達すべき熱量に応じた
厚みの熱良導体層が形成されるようになり、その結果、
製品重量が低減される。
【0046】請求項7記載の手段によれば、容器本体の
誘導発熱部分において熱良導体層を厚く、その他の部分
において、廃止または薄くしたので、熱良導体の量を少
なくでき、製品重量が軽くなる。この様な構成にあって
も、容器本体の誘導発熱部分に設けられた熱良導体層か
ら調理物に熱が伝達され、対流に伴い調理物が均一に加
熱され、おいしい米を炊くことができる。
【0047】請求項8記載の手段によれば、真空もしく
は還元雰囲気中で高温熱処理を行うことにより、容器本
体の表面および熱良導体層の表面に形成された酸化物を
還元したので、熱良導体層の粒子相互間,容器本体と熱
良導体層との間の酸化物が十分に除去され、その結果、
熱良導体層の強度が向上する。
【0048】請求項9記載の手段によれば、容器本体の
外面に冷却風を吹付けながら、容器本体の内面に熱良導
体を溶射したので、冷却風を容器の内側から吹付ける場
合と異なり、暖められた冷却風が効率的に排気されるこ
とになり、冷却効果が高まる。その結果、熱良導体層の
容器本体に対する付着性が向上する等、良好な熱良導体
層が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す釜の断面図
【図2】熱良導体層の溶射方法を示す図
【図3】炊飯器の全体構成を示す断面図
【図4】釜の断面を拡大して示す図
【図5】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図6】従来例を示す図4相当図
【符号の説明】
15は釜(加熱調理容器)、15aは釜本体(容器本
体)、15bは熱良導体層、15cは耐熱層、αは規定
線を示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導加熱される磁性体製の容器本体と、 この容器本体の内面に溶射により設けられ、容器本体で
    発生した熱を分散させる熱良導体層とを備えたことを特
    徴とする加熱調理容器。
  2. 【請求項2】 熱良導体層は、熱良導体層の表面を滑ら
    かにする耐熱層により覆われていることを特徴とする請
    求項1記載の加熱調理容器。
  3. 【請求項3】 熱良導体層は、容器本体の内底部におい
    て厚く、内周部において薄いことを特徴とする請求項1
    記載の加熱調理容器。
  4. 【請求項4】 熱良導体層は、容器本体に対する収容物
    の収容限度量を規定する略規定高さまで設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理容器。
  5. 【請求項5】 容器本体の内底部において、熱良導体層
    の厚さが0.3mm〜5mmであることを特徴とする請
    求項1記載の加熱調理容器。
  6. 【請求項6】 容器本体の内周部において、熱良導体層
    が上方に向って除々に薄くなっていることを特徴とする
    請求項1記載の加熱調理容器。
  7. 【請求項7】 熱良導体層は、容器本体の誘導発熱部分
    において厚く、その他の部分において薄いか又は廃止さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理容
    器。
  8. 【請求項8】 容器本体の内面に熱良導体を溶射して熱
    良導体層を形成した後、真空もしくは還元雰囲気中で高
    温熱処理を行うことを特徴とする加熱調理容器の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 容器本体の内面に熱良導体を溶射して熱
    良導体層を形成する動作と容器本体の外面に冷却風を吹
    付ける動作とを、容器本体を回転させながらを行うこと
    を特徴とする加熱調理容器の製造方法。
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