JPH08172208A - 超格子装置およびその製造方法 - Google Patents

超格子装置およびその製造方法

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JPH08172208A
JPH08172208A JP6313364A JP31336494A JPH08172208A JP H08172208 A JPH08172208 A JP H08172208A JP 6313364 A JP6313364 A JP 6313364A JP 31336494 A JP31336494 A JP 31336494A JP H08172208 A JPH08172208 A JP H08172208A
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JP
Japan
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ultrathin
superlattice
semiconductor layer
film
amorphous
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Application number
JP6313364A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Shindo
晶弘 進藤
Tetsushi Hikawa
哲士 肥川
Toshikazu Yoshimizu
敏和 吉水
Sumiyoshi Ueyama
須美義 植山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Crystal Device Kk
Original Assignee
Crystal Device Kk
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 太陽電池の変換効率を高める。 【構成】 pin型の太陽電池において、p型のSi層
502がアモルファスSi超薄膜502aと単結晶Si
超薄膜502cとが交互に積層した超格子で構成されて
いる。このため、Si層502の導電率が向上するの
で、太陽電池の変換効率が向上する。また、Si層50
2の実効的なバンドギャップは、Si超薄膜502aの
1.7eVとSi超薄膜502cの1.1eVの中間の値となる。
その結果、Si層502のバンドギャップは、アモルフ
ァスSiで構成されるSi層503よりも狭くなってい
る。このため、Si層502とSi層503とでは、光
感度の高い波長が異なるので、双方のSi層によって、
広い波長領域の光が光キャリアの励起に寄与する。 【効果】 変換効率の高い太陽電池が実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば超格子構造を
有する太陽電池などの超格子構造装置およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】バンドギャップの異なる複数種類の半導
体物質を約十ないし数十原子ずつ(言い替えると、約数
十オングストローム程度の厚さずつ)交互に積層してな
る超格子構造の半導体装置すなわち超格子装置では、高
電子濃度と高移動度とを両立的に実現し得るなど、特有
の量子現象に根ざした通常の半導体装置にはない特性が
現れることが知られている。
【0003】従来の超格子装置では、単結晶の半導体層
を積層したものとして、GaAs−AlAsやGaAs
−GaAlAsなど、ヘテロ接合層を交互に積み重ねた
GaAs系のものが知られている。他に、a−Si(ア
モルファスシリコン;なお以下において、アモルファス
構造のものを記号「a−」で表し、同様に単結晶構造の
ものを「c−」で表す。)系として、a−Siと、a−
Ge、a−SiC、a−SiN、またはa−SiGeと
が、組み合わされた超格子装置が出現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、GaA
s系では、700゜C以上の高温下で結晶成長を行う処
理が必要であるとともに、製造に要するコストが高価で
あるという問題点があった。しかも、単結晶同士のヘテ
ロ接合では、その接合界面において原子同士の結合が良
好に行われないために、接合界面に欠陥が発生するとい
う問題点があった。さらに、この欠陥のために、本来の
特性が十分に得られず、しかも装置の特性が一定しない
という問題点があった。
【0005】一方、a−Si系の装置では、異なった半
導体物質同士を比較的容易に積層でき、コストも低廉で
あるという利点がある。しかしながら、アモルファスの
半導体に特有の限界、例えば単結晶の半導体に比べて移
動度が低いなどの問題点は、そのまま超格子装置にも持
ち込まれ、アモルファス系では超格子装置が潜在的にも
つ優れた特性を十分に引き出し得ないという問題点があ
った。
【0006】この発明は、従来の超格子装置における上
記した問題点を解消するためになされたもので、製造容
易であるとともに超格子装置のもつ特性を十分に生かし
得る超格子装置を得ることを目的としており、さらにこ
の超格子装置を容易に製造し得る方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明の超格子装置
は、複数のアモルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構
造の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子を有し、前
記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超薄
膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかである。
【0008】第2の発明の超格子装置は、第1の発明の
超格子装置において、前記複数のアモルファス構造の超
薄膜と前記複数の結晶質構造の超薄膜とが、同一物質で
構成される。
【0009】第3の発明の超格子装置は、第2の発明の
超格子装置において、前記同一物質がシリコンである。
【0010】第4の発明の超格子装置は、p型半導体層
とn型半導体層の間に真性半導体層を有するpin型の
太陽電池であり、前記p型半導体層と前記n型半導体層
の少なくとも一方が、複数のアモルファス構造の超薄膜
と複数の結晶質構造の超薄膜とが交互に積層されて成る
超格子を有し、前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が
単結晶構造の超薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいず
れかである。
【0011】第5の発明の超格子装置は、p型半導体層
とn型半導体層の間に真性半導体層を有するpin型の
太陽電池であり、前記真性半導体層は、複数のアモルフ
ァス構造の超薄膜と複数の結晶質構造の超薄膜とが交互
に積層されて成る超格子を有し、前記複数の結晶質構造
の超薄膜の各1が単結晶構造の超薄膜と軸配向多結晶構
造の超薄膜のいずれかである。
【0012】第6の発明の超格子装置は、第4または第
5の発明の超格子装置において、前記複数のアモルファ
ス構造の超薄膜と前記複数の結晶質構造の超薄膜とが、
同一物質で構成される。
【0013】第7の発明の超格子装置は、第6の発明の
超格子装置において、前記同一物質がシリコン半導体で
ある。
【0014】第8の発明の超格子装置は、p型半導体層
とn型半導体層の間に真性半導体層を有するpin型の
太陽電池であり、前記p型半導体層と前記n型半導体層
の双方または一方が、複数のアモルファス構造の超薄膜
と複数の結晶質構造の超薄膜とが交互に積層されて成る
超格子を有し、前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が
単結晶構造の超薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいず
れかであり、前記複数のアモルファス構造の超薄膜の中
の一つが前記真性半導体層に隣接しており、前記複数の
アモルファス構造の超薄膜と前記複数の結晶質構造の超
薄膜は、前記真性半導体層に隣接する超薄膜を除いて、
共通の半導体物質で構成されており、前記真性半導体層
に隣接する超薄膜は、前記共通の半導体物質で構成され
るアモルファス構造の超薄膜よりもバンドギャップの大
きい他の半導体物質で構成されている。
【0015】第9の発明の超格子装置は、第8の発明の
超格子装置であって、前記真性半導体層が単結晶構造ま
たは軸配向多結晶構造を有する。
【0016】第10の発明の超格子装置は、p型半導体
層とn型半導体層の間に真性半導体層を有するpin型
の太陽電池であり、前記真性半導体層が、複数のアモル
ファス構造の超薄膜と複数の結晶質構造の超薄膜とが交
互に積層されて成る超格子を有し、前記複数の結晶質構
造の超薄膜の各1が単結晶構造の超薄膜と軸配向多結晶
構造の超薄膜のいずれかであり、前記複数のアモルファ
ス構造の超薄膜の中の一つが前記p型半導体層または前
記n型半導体層に隣接しており、前記複数のアモルファ
ス構造の超薄膜と前記複数の結晶質構造の超薄膜は、前
記p型半導体層または前記n型半導体層に隣接する超薄
膜を除いて、共通の半導体物質で構成されており、前記
p型半導体層または前記n型半導体層に隣接する超薄膜
は、前記共通の半導体物質で構成されるアモルファス構
造の超薄膜よりもバンドギャップの大きい他の半導体物
質で構成されている。
【0017】第11の発明の超格子装置は、第10の発
明の超格子装置であって、前記p型半導体層または前記
n型半導体層の少なくともいずれかが単結晶構造または
軸配向多結晶構造を有する。
【0018】第12の発明の超格子装置の製造方法は、
基板の上にアモルファス構造の超薄膜と結晶質構造の超
薄膜とが交互に積層して成る超格子を有する超格子装置
を製造する方法であって、下記の工程(a)と下記の工程
(b),(c),(d)のいずれかとを、交互に連続的に実行す
る;ここで前記工程(a)〜(d)は、(a)所定の物質の結晶
化が起こらない低温度の下で、反応ガスを前記基板上に
供給することによって当該所定の物質を堆積し、その結
果、当該所定の物質のアモルファス超薄膜を形成する工
程;(b)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下
で、反応ガスを前記基板上に供給することによって当該
所定の物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所
定の物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
ギーの気体のビームを、当該所定の物質の単結晶の複数
の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照射
し、その結果、当該所定の物質の単結晶超薄膜を形成す
る工程;(c)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の
下で、反応ガスを前記基板上に供給することによって当
該所定の物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記
所定の物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネ
ルギーの気体のビームを、前記基板上へ一方向から照射
し、その結果、前記所定の物質の軸配向多結晶超薄膜を
形成する工程;および、(d)所定の物質の結晶化が起こ
らない低温度の下で、反応ガスを前記基板上に供給する
ことによって当該所定の物質を前記基板上に堆積する過
程の中で、前記所定の物質がスパッタリングを起こさな
い程度の低エネルギーの気体のビームを、前記基板上へ
一方向から照射し、その結果、前記所定の物質の軸配向
多結晶超薄膜を形成し、その後、前記反応ガスの供給を
停止して、所定の物質の結晶化が起こらない範囲の高温
度の下で、当該所定の物質がスパッタリングを起こさな
い程度の低エネルギーの気体のビームを、当該所定の物
質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向から、
前記基板上へ照射し、その結果、前記軸配向多結晶超薄
膜を単結晶超薄膜へと転換する工程;である。
【0019】第13の発明の超格子装置の製造方法は、
第12の発明の製造方法であって、前記工程(d)で、前
記軸配向多結晶超薄膜を形成する際における前記気体の
ビームの方向と、前記軸配向多結晶超薄膜を前記単結晶
超薄膜へ転換する際における前記気体のビームの複数方
向の1つとが、互いに同一である。
【0020】第14の発明の超格子装置の製造方法は、
第12または第13の発明の製造方法において、前記気
体が不活性ガスである。
【0021】第15の発明の超格子装置の製造方法は、
第14の発明の製造方法において、前記不活性ガスを構
成する元素の原子量が、照射を受ける前記所定の物質を
構成する元素の最大の原子量を越えない。
【0022】第16の発明の超格子装置の製造方法は、
第15の発明の製造方法において、前記不活性ガスを構
成する元素の原子量が、前記所定の物質を構成する元素
の最大の原子量を越えず、かつ、最も近い原子量であ
る。
【0023】第17の発明の超格子装置の製造方法は、
第12ないし第16のいずれかの発明の製造方法であっ
て、前記各工程(a)〜(d)において、前記所定の物質を堆
積するのに化学気相成長法が用いられ、前記各工程(a)
〜(d)における前記所定の物質がシリコンであり、前記
工程(a)における前記反応ガスがシリコンの原料ガスと
水素ガスとの混合ガスを含んでおり、前記各工程(b)〜
(d)における前記反応ガスがシリコンの原料ガスを含ん
でいる。
【0024】なお、この発明において「超薄膜」とは、
超格子構造に特有の量子現象を現出し得る厚さの薄膜、
すなわち、代表的には約十原子分ないし数十原子分の厚
さ、あるいは、約数十〜100オングストローム程度の
厚さの薄膜を意味する。
【0025】また、この発明において「基板」とは、そ
の上に薄膜を形成する対象とされる媒体全般を意味す
る。
【0026】また、この発明において「気体のビーム」
とは、ビーム状のイオン流、原子流、分子流の何れをも
包含する概念である。
【0027】
【作用】第1の発明の超格子装置では、アモルファス構
造と結晶質構造とが交互に積層した超格子を有する。ア
モルファス構造と結晶質構造との間では、バンドギャッ
プの差異が大きいので、それらの超薄膜を交互に積層す
ることによって、超格子特有の現象が現れる。
【0028】第2の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが同一物質で構
成される。同一物質で構成されていても、アモルファス
構造と結晶質構造とでは、一般にバンドギャップに差異
がある。このため、これらが交互に積層することで超格
子特有の現象が現れる。また、双方の超薄膜が同一物質
で構成されるために、超薄膜の接合界面における原子の
結合が良好に行われる。
【0029】第3の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが比較的低廉な
材料であるシリコンで構成される。
【0030】第4の発明の超格子装置では、p型半導体
層とn型半導体層の少なくとも一方が超格子を有するの
で、この半導体層の導電率が良好である。また、超格子
の実効的なバンドギャップはアモルファスと結晶質のバ
ンドギャップの中間の値となるので、真性半導体層がア
モルファス、結晶質のいずれであっても、超格子を有す
る半導体層と真性半導体層との間には、バンドギャップ
に差異が現れる。このため、それらの半導体層の間で光
感度の高い波長が異なるので、双方の半導体層によっ
て、広い範囲の波長の光が吸収される。
【0031】第5の発明の超格子装置は、真性半導体層
が複数のアモルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構造
の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子を有する。こ
の超格子の実効的なバンドギャップは、結晶質構造のバ
ンドギャップとアモルファス構造のバンドギャップの中
間の値となる。すなわち、真性半導体層の実効的なバン
ドギャップはアモルファス構造のバンドギャップよりも
狭くなる。このため、真性半導体層がアモルファスであ
る従来の太陽電池に比べて、広い範囲の波長の光が光キ
ャリアの生成に寄与する。
【0032】第6の発明の超格子装置では、複数のアモ
ルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構造の超薄膜とが
同一物質で構成されるので、超薄膜の接合界面における
原子の結合が良好に行われる。
【0033】第7の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが比較的低廉な
材料であるシリコンで構成される。
【0034】第8の発明の超格子装置では、バンドギャ
ップが他よりも大きい半導体物質のアモルファス構造の
超薄膜が、真性半導体層に隣接してp型半導体層または
n型半導体層の超格子の中に介挿される。このため、超
格子を有する半導体層と真性半導体層と接合面付近の導
電率が向上する。
【0035】第9の発明の超格子装置では、真性半導体
層が結晶質であるために、真性半導体層のバンドギャッ
プは超格子を有する半導体層のバンドギャップよりも狭
い。そして、超格子は特別にバンドギャップの大きい超
薄膜を有しているので、超格子を有する半導体層と真性
半導体層との間でバンドギャップの差異が大きい。この
ため、双方の半導体層によって広い範囲の波長の光が吸
収される。
【0036】第10の発明の超格子装置では、バンドギ
ャップが他よりも大きい半導体物質のアモルファス構造
の超薄膜が、p型半導体層またはn型半導体層に隣接し
て真性半導体層の超格子の中に介挿される。このため、
超格子を有する真性半導体層とp型半導体層またはn型
半導体層との間の接合面付近の導電率が向上する。
【0037】第11の発明の超格子装置では、p型半導
体層またはn型半導体層が結晶質であるために、結晶質
であるこれらの半導体層のバンドギャップは超格子を有
する真性半導体層のバンドギャップよりも狭い。そし
て、超格子は特別にバンドギャップの大きい超薄膜を有
しているので、超格子を有する真性半導体層と結晶質で
ある他の半導体層との間でバンドギャップの差異が大き
い。このため、双方の半導体層によって広い範囲の波長
の光が吸収される。
【0038】第12の発明の製造方法では、反応ガスを
堆積しつつビーム照射を制御するという単純な工程によ
って、従来不可能であったアモルファス構造の超薄膜と
結晶質構造の超薄膜とが交互に積層した超格子が形成さ
れる。しかも、比較的低温下での形成が可能である。さ
らに、各超薄膜を形成する工程が、連続して実行される
ので、各超薄膜の接合面への水分などの不純物の混入が
防止され、理想的な超格子が得られる。また、反応ガス
として超薄膜の主成分の原料ガスだけでなくp型あるい
はn型の不純物を含んだガスを混合することによって、
p型あるいはn型の超薄膜を積層することも可能であ
る。
【0039】第13の発明の製造方法では、軸配向多結
晶超薄膜を一旦形成し、その後、これを単結晶化すると
いう2段階で単結晶超薄膜を形成する工程において、最
初の軸配向多結晶超薄膜を形成する段階でのビーム照射
の方向と、後の単結晶化の段階でのビーム照射の複数方
向の一つとが一致している。このため、単結晶化に際し
て、軸配向多結晶超薄膜の方位の揃った最稠密面はその
まま維持されるので、単結晶化が円滑に進行する。
【0040】第14の発明の製造方法では、照射される
気体が不活性ガスであるので、照射後に気体の原子また
はイオンが薄膜の中に残留しても、これらが超薄膜の電
子物性へ不純物として悪影響を及ぼすことが少ない。
【0041】第15の発明の製造方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射対象である
所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、
照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、
超薄膜の表面ないしその近傍で後方へ反跳し、超薄膜の
中に残留し難い。
【0042】第16の発明の製造方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、所定の物質を構
成する元素の最大の原子量に最も近い値であるので、ビ
ームの照射効果を最大限に引き出すことができる。
【0043】第17の発明の製造方法では、化学気相成
長法を用いてシリコンの超薄膜が効率よく形成される。
また、アモルファス超薄膜を形成する際に、超薄膜を構
成する例えばシランガスなどのシリコンの原料ガスに、
水素ガスが混入される。水素ガスはアモルファスシリコ
ンを安定化する働きがあるので、アモルファスシリコン
の超薄膜が安定して形成される。
【0044】
【実施例】
<1.第1実施例>はじめに、この発明の第1実施例に
ついて説明する。
【0045】<1-1.装置の構成>図1は、第1実施例
の超格子装置の正面断面図である。この装置100は、
超格子構造を有するTFT(薄膜トランジスタ)であ
る。図1に示すように、この装置100は、例えば透明
ガラス基板などの基板101の上にSi薄膜102が形
成されている。Si薄膜102は、50〜100オング
ストロームの厚さのa−Si超薄膜103とc−Si超
薄膜104とが交互に積層されて成る超格子である。
【0046】Si薄膜102の側面には、ソース電極1
10とドレイン電極111がそれぞれ形成されており、
Si薄膜102の上面にはゲート電極112が形成され
ている。すなわち、このTFTはFET型のトランジス
タである。これらのソース電極110、ドレイン電極1
11、およびゲート電極112は、例えばTCO(Tran
sparent Conductive Oxide;透明導電膜)あるいはAl
で構成される。
【0047】この超格子装置100では、同一材料であ
るSiで超格子が構成されている。図2は、Si薄膜1
02のバンド構造を示す説明図である。図2に示すよう
に、バンドギャップは、一方のa−Si超薄膜103で
は1.77eVであり、他方のc−Si超薄膜104では1.1e
Vである。このバンドギャップ間の差異のために、Si
薄膜102には超格子としての挙動が現われる。すなわ
ち、Si薄膜102では、同一物質でありながら結晶構
造に依存してバンドギャップが異なることを利用して超
格子が構成されている。
【0048】バンドギャップの広いa−Si超薄膜10
3の不純物濃度を高くすることによってキャリア濃度を
高くしても、キャリアはバンドギャップの狭いc−Si
超薄膜104に局在するので、移動度の低下が起こらな
い。すなわち、Si薄膜102では、高キャリア濃度と
高移動度とが両立的に実現する。このため、装置100
では、高い動作速度および高いオン/オフ比が得られ
る。しかも、c−Si超薄膜104はキャリア移動度が
高い単結晶であるために、双方の超薄膜のいずれをもア
モルファスで構成した従来の装置に比べて、移動度が一
層高いという利点が得られる。
【0049】また、装置100では、双方の超薄膜がい
ずれも共通の材料であるSiで構成されているので、2
つの層の間の界面におけるSi原子の結合が良好に行わ
れる。このため、界面における結晶欠陥が希少であると
いう利点がある。さらに、双方の超薄膜がいずれも共通
の材料で構成されるとともに、比較的低廉な材料である
Siで構成されるので、装置100の製造コストが安価
であるという利点がある。
【0050】<1-2.製造方法>つぎに、装置100を
製造する方法について説明する。
【0051】<1-2-1.薄膜形成装置の構成>図3は、
装置100を製造するのに適した薄膜形成装置の正面断
面図である。図3に示すようにこの装置50は、反応容
器1と電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン発生器
2とを備えている。図3に示すように、プラズマ室4を
内部に規定するプラズマ容器3の外周には、直流磁場を
印加するための磁気コイル5が設置されている。プラズ
マ容器3の上部には、マイクロ波をプラズマ室4に導入
するための導波管6とNe等の不活性ガス等をプラズマ
室に導入するガス導入管7が設置されている。導波管6
で伝送されるマイクロ波は発振器38で生成される。
【0052】反応容器1は、その内部に反応室8を規定
している。そして、プラズマ容器3の底部中央には反応
室8にプラズマを導入するための引き出し口9が開口し
ている。反応室8には、引き出し口9の直下に、試料台
10が設置されており、この試料台10の上に、薄膜を
形成する基板11が設置される。さらに、基板11の上
方に位置するように反射板12が試料台10に設置され
ている。試料台10は、基板11を加熱するための図示
しないヒータを内蔵してもよい。
【0053】また、反応室8には、反応ガス供給管13
を通して、基板11上に、所定の物質の薄膜を形成する
ための反応ガスが供給される。図3の例では、3本の反
応ガス供給管13a、13b、13cが設けられてい
る。反応室8は、さらに、真空排気管14を介して、気
体が排気され、真空計15と連動した図示していない真
空排気装置とによって、所定の真空度に保たれている。
【0054】ガス導入管7へ導入されるガスとして、多
種類のガスが貯蔵された多数のガスボンベ31の中か
ら、ガスセレクタ32の働きで所望のガスが選択され
る。また、反応ガス供給管13へ導入される反応ガスと
して、多種類のガスが貯蔵された多数のガスボンベ33
の中から、ガスセレクタ34の働きで所望のガスが選択
される。ガスボンベ33には、薄膜を構成する物質の主
成分を供給する反応ガスだけでなく、主成分に添加すべ
き不純物を含んだ反応ガスも準備される。
【0055】ガスセレクタ32、34、および発振器3
8の動作は、コントローラ36によって制御される。ま
た、試料台10がヒータを内蔵する場合には、このヒー
タの動作もコントローラ36によって制御される。
【0056】<1-2-2.ECRイオン発生器2の動作>
次に、ECRイオン発生器2の動作について説明する。
この装置50を動作させるためには、ガス導入管7から
プラズマ室4へガスが導入され、同時に導波管6からプ
ラズマ室4へマイクロ波が導入される。さらに、同時
に、磁気コイル5に直流電流を印加して、プラズマ室4
およびその周辺に直流磁場を形成する。プラズマ室4で
は、マイクロ波と直流磁場とによってサイクロトロン共
鳴と称される現象が引き起こされる。この現象によっ
て、螺旋運動する高エネルギーの電子が生成されるとと
もに、供給されたガスがこの電子によってプラズマ化さ
れる。
【0057】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方向、つまり、磁力線に添って電子流を形成
する。磁気コイル5は反応室8に発散磁場を生成するの
で、引き出し口9から発散する磁力線に沿って下方へと
広がりつつ流れる電子流が形成される。そして、電気的
中性を維持するために、この電子流にともなって正イオ
ンも、磁力線にそってイオン流を形成する。このイオン
流と電子流は、互いに再結合しながら流れるため、徐々
に中性原子流へと変化する。以上のように、ECRイオ
ン発生器2を用いることによって、進行方向の揃った平
行流に近い状態で基板11上に降り注ぐイオン流あるい
は中性原子流を比較的簡単に得ることができる。
【0058】<1-2-3.反射板12の構成と動作>図4
は、反射板12の一例における斜視図である。この反射
板12aは、単結晶Siなどの、ダイヤモンド構造を有
する単結晶超薄膜を形成するための反射板の一例であ
る。反射板12aは、平板状の基台21の中央部に開口
部を規定する。この開口部の周囲に、3個の直方体のブ
ロック22が固定的に設置され、それらの内側にそれぞ
れ反射用ブロック23が固定されている。その結果、基
台21の中央部には、これらの反射用ブロック23で縁
どりされた正三角形状の開口部24が形成される。反射
用ブロック23において、開口部24に面する斜面25
が、気体ビームを反射する反射面として機能する。した
がって、斜面25の傾斜角度は、形成すべき単結晶の結
晶軸の方向に対応して55゜に設定されている。
【0059】引き出し口9から下方向へ向かうNeのイ
オン流または中性原子流の一部は、反射板12aに形成
されている3つの斜面25によって反射され、更に開口
部24を通って基板11の上面へ入射する。また、Ne
のイオン流または原子流の他の一部は、斜面25へ入射
せずに開口部24を通過して基板11の上面へ直接に入
射する。すなわち、基板11の上面に形成されつつある
Si薄膜には、引出口9から直進して来た成分と、3つ
の斜面25によって反射されて来た3成分とからなる4
成分のNeのイオン流または原子流が照射される。斜面
25の傾斜角が55゜に設定されているために、これら
4成分のNeイオン流または原子流の入射方向は、形成
すべきSi単結晶の4個の独立な最稠密結晶面、すなわ
ち(111)面に垂直な4方向に対応する。
【0060】<1-2-4.装置50の動作>つぎに装置5
0を用いて、超格子装置100を形成する方法について
説明する。基板101が基板11として試料台10の上
に載置され、反応室8が真空状態とされた後に、反応ガ
ス供給管13aより、Siを供給するためのSiH
4(シラン)、Si26(ジシラン)等のガスが供給さ
れる。ここで、形成するシリコン薄膜をp型にする場合
には、p型不純物をドープするためのB23(ジボラ
ン)ガスを、また、n型にする場合には、n型不純物を
ドープするためのPH3(ホスフィン)ガス、もしく
は、AsH3(アルシン)ガス等を、反応ガス供給管1
3bまたは13cより供給すればよい。
【0061】ガス導入管7より不活性ガスを導入する場
合には、Siより原子量の小さいNe、He等を導入す
るのが望ましい。ここで、より効果的に単結晶シリコン
を形成するためには、比較的原子量の大きいNeを用い
るのがよい。以下の説明では、不活性ガスとしてNeを
用いた場合で説明を行なう。
【0062】以上のようなガスを導入して、薄膜形成装
置50を動作させると、前記のようにECRイオン発生
器2で形成されたNeイオン流と電子流が引き出し口9
から、基板11の方向に流れる。この、Neのイオン流
あるいは中性原子流と電子流とによって、反応ガス供給
管13から供給されたSiH4、Si26等の反応ガス
のプラズマCVD反応が進行して、基板11の上面にS
i薄膜が成長する(堆積する)。このとき、基板11
は、通常のプラズマCVDでは、Siの結晶化が起こら
ない低温度下(例えば、基板加熱を行なわない)に保っ
ておく。したがって、Si薄膜は、まず非晶質であるア
モルファスSi膜として基板11上に形成される。
【0063】ここで、反応室8における、Neのイオン
あるいは中性原子の量をSiH4、Si26等の反応ガ
スの量に比較して、相対的に多くなるように、ガス導入
量を調整しておき、Neのイオンあるいは中性原子が基
板11に照射されるようにしておく。また、ECRイオ
ン発生器2によって形成されるプラズマエネルギーは、
基板11に照射されるNeのイオンあるいは中性原子の
エネルギーが、Siのスパッタリングを引き起こさな
い、すなわち、NeのSiに対するスパッタリングのス
レショールドエネルギー値(約27eV)よりも低い値
となるよう設定する。
【0064】この様なエネルギー値のNeのイオンある
いは中性原子が、成長しつつあるアモルファスSi薄膜
に照射されると、イオンあるいは中性原子の入射方向に
最稠密面が直交するように、アモルファスSi薄膜のシ
リコン原子が再配列する。前述のように、Neのイオン
あるいは中性原子は、反射板12の働きで、Si単結晶
の4つの最稠密面に垂直な4成分のビームとして、基板
11へ入射する。
【0065】その結果、これらの各成分の入射方向に垂
直な面がいずれも最稠密面となるように、Si原子が再
配列することによって、単一の結晶方位を有する単結晶
Siが形成される。すなわち、プラズマCVDによって
成長しつつあるアモルファスSi薄膜は、結晶方位の揃
った単結晶Si薄膜へ逐次転換される。この工程によっ
て、基板11の上に単結晶Si薄膜を、例えば数十オン
グストロームの厚さまで成長させることによって、単結
晶Siの超薄膜が得られる。
【0066】つぎに、形成された単結晶Si超薄膜の上
に、単結晶SiではなくアモルファスSiの超薄膜を積
層させるには、ガス導入管7からNeガスの導入を停止
すればよい。そうすれば、基板11へのNeのイオンま
たは中性原子の照射が停止するので、単結晶Si超薄膜
の上に成長しつつあるアモルファスSiは、単結晶へと
転換されることがなく、アモルファスSiのままにとど
まる。この工程によって、アモルファスSi薄膜を、例
えば数十オングストロームの厚さまで成長させることに
よって、単結晶Si超薄膜の上に積層したアモルファス
Siの超薄膜が得られる。
【0067】アモルファスSi超薄膜を形成する工程で
は、反応ガス供給管13から、H2(水素)ガスをSi
4ガスに混合して供給するのが望ましい。そうするこ
とによって、安定したアモルファスSiが形成される。
すなわち、アモルファスSiの中の未結合手(ダングリ
ングボンド)に水素が結合し、水素化アモルファスSi
が形成されるので、欠陥密度が低くなる。このために、
アモルファスSiが安定して形成される。さらに、この
ときの基板11の温度(基板温度)は、200゜C〜3
00゜Cに保たれるのが望ましい。基板温度が、300
゜C以下であるときには、10%を超える結合水素量が
得られ、このため、特に欠陥の少ない水素化アモルファ
スSiが得られる。
【0068】以上の工程を交互に実行することによっ
て、単結晶Si超薄膜とアモルファスSi超薄膜とが交
互に積層した超格子構造のSi薄膜102を形成するこ
とができる。単結晶Si超薄膜を形成する工程と、アモ
ルファスSi超薄膜を形成する工程とで、反応ガス供給
管13bまたは13cから供給される不純物を含んだガ
スの量を異ならせることによって、2種類の超薄膜の間
で不純物濃度を異ならせることが可能である。例えば、
キャリア濃度の低いアモルファスSi超薄膜の不純物濃
度を高めることによって、高キャリア濃度と高移動度と
を両立的に実現し得る。
【0069】以上のように、この装置50を用いること
によって、従来の方法では困難であった単結晶超薄膜と
アモルファス超薄膜とが交互に積層した超格子を形成す
ることが可能である。しかも反応室8の中に基板11を
挿入したままで、真空状態を保ちつつ連続して二種類の
超薄膜が形成されるので、超薄膜同士の接合面に水分そ
の他の不純物が混在する恐れがなく、理想的な接合面を
有する超格子が得られる。
【0070】また、通常のプラズマCVD方法を実行す
るとともに、ビーム照射をともなったり、あるいは停止
するだけの極めて容易な工程で超格子を得ることができ
るという利点がある。さらに、上述したように、Siの
結晶化が起こらない低温度下でアモルファスおよび単結
晶のSi超薄膜が形成されるので、基板101には耐熱
性の低い安価なガラスなどを用いることが可能である。
このことも、製造コストの低減をもたらす。
【0071】また、後述するように、装置50は、反応
ガス供給管13およびガス導入管7から供給されるガス
の種類を適宜選択することによって、ここに示したSi
の超薄膜だけでなく、任意の物質のアモルファス超薄膜
と単結晶超薄膜とを交互に積層することが可能である。
【0072】<1-2-5.装置100の製造工程>つぎ
に、装置100を製造する工程について、詳述する。装
置100を製造するには、図5に示すように、例えば透
明ガラスなどで構成される基板101をまず準備する。
つぎに、この基板101を薄膜形成装置50の反応室8
の中に挿入する。そして、反応室8の中を真空状態とし
た後、上述した方法によって、基板101の上にまずア
モルファスSi超薄膜、すなわちa−Si超薄膜103
を形成する。その厚さは、約50〜100オングストロ
ームとなるように調節される。
【0073】つぎに、図6に示すように、同じ反応室8
の中で、上述した方法を実行することによって、a−S
i超薄膜103の上に単結晶Si超薄膜すなわちc−S
i超薄膜104を形成する。この厚さも、約50〜10
0オングストロームとなるように調節される。
【0074】つぎに、図7に示すように、再びアモルフ
ァスSi超薄膜を形成することによって、c−Si超薄
膜104の上にa−Si超薄膜103を形成する。
【0075】以上の工程を反復することによって、図8
に示すように、多数のa−Si超薄膜103とc−Si
超薄膜104とが交互に積層してなる超格子構造のSi
薄膜102が、基板101の上に形成される。
【0076】その後、Si薄膜102が積層した基板1
01を、反応室8から取り出した後、図9に示すよう
に、例えば蒸着等の方法を用いて、例えばTCOなどで
構成される導電膜120を、Si薄膜102を覆うよう
に形成する。
【0077】その後、マスクパターンを用いた周知の写
真製版技術を実行し、導電膜120を選択的に除去する
ことによって、図1に示したように、3種の電極すなわ
ちソース電極110、ドレイン電極111、およびゲー
ト電極112を形成する。以上の工程によって、装置1
00が完成する。
【0078】<2.第2実施例>第1実施例では、アモ
ルファス超薄膜と単結晶超薄膜とがともに同一材料であ
るSiで構成された超格子装置について説明したが、二
種類の超薄膜が互いに異なる材料で構成されていてもよ
い。この実施例では、このような例について説明する。
【0079】<2-1.装置の構成と動作>図10は、この
実施例の超格子装置200の正面断面図である。この装
置200も第1実施例の装置100と同様に、超格子構
造を有するTFT(薄膜トランジスタ)であるが、基板
201の上に形成される薄膜202が、a−SiC超薄
膜203とc−Si超薄膜204とが積層した超薄膜と
して形成されている点が、装置100とは特徴的に異な
っている。
【0080】a−SiC超薄膜203およびc−Si超
薄膜204は、いずれも50〜100オングストローム
の厚さである。薄膜202の側面には、ソース電極21
0とドレイン電極211がそれぞれ形成されており、薄
膜202の上面にはゲート電極212が形成されてい
る。これらの電極は、TCO、Alなどで構成される。
【0081】図11は、この装置200のバンド構造を
示す説明図である。図11に示すように、バンドギャッ
プは、一方のa−SiC超薄膜203では3.0eVであ
り、他方のc−Si超薄膜204では1.1eVである。こ
のバンドギャップ間の差異のために、薄膜202には超
格子としての挙動が現われる。
【0082】装置200においても、バンドギャップの
広いa−SiC超薄膜203の不純物濃度を高くするこ
とによってキャリア濃度を高くしても、キャリアはバン
ドギャップの狭いc−Si超薄膜204に局在するの
で、移動度の低下が起こらない。すなわち、薄膜202
では、高キャリア濃度と高移動度とが両立的に実現す
る。このため、装置200では、高い動作速度および高
いオン/オフ比が得られる。
【0083】比較のために、従来のa−SiC超薄膜と
a−Si超薄膜とが積層して成る超格子のバンド構造を
図12に示す。図11と図12とを比較すればわかるよ
うに、装置200(図11)では従来装置(図12)に
比べて、超薄膜同士のバンドギャップの差異が大きくな
っている。このため、装置200では、従来装置よりも
超格子としての挙動が一層際立つので、高キャリア密度
と高移動度とが従来装置よりも一層改善される。
【0084】a−SiC超薄膜203の代わりに、a−
SiN超薄膜を用いて薄膜202を構成してもよい。こ
のときのバンド構造を図13に示す。また、比較のため
にa−SiN超薄膜とc−Si超薄膜とが交互に積層さ
れた従来装置のバンド構造を図14に示す。図13に示
す装置では、従来装置(図14)に比べて超薄膜同士の
バンドギャップの差異が大きくなっている。このため、
装置200と同様に、図13に示す装置では、従来装置
よりも超格子としての挙動が一層際立つので、高キャリ
ア密度と高移動度とが従来装置よりも一層改善される。
【0085】<2-2.製造方法>つぎに、装置200の製
造方法について説明する。装置200を製造するには、
図15に示すように、例えば透明ガラスなどで構成され
る基板201をまず準備する。つぎに、この基板201
を薄膜形成装置50の反応室8の中に挿入する。そし
て、反応室8の中を真空状態とした後、反応ガス供給管
13からSiH4とC24(エチレン)を供給する。こ
のとき、例えば、真空度は3mTorr程度であり、マイクロ
波のパワーは2〜4kW程度に調節される。また、Si
4の希釈ガスとして好ましくは、HeあるいはH2が用
いられる。H2が用いられることは、アモルファス構造
の安定化の上でも有益である。この工程によって、基板
201の上にa−SiC超薄膜203が形成される。a
−SiC超薄膜203の厚さは、約50〜100オング
ストロームの厚さに調節される。
【0086】つぎに、反応室8を排気することによっ
て、a−SiCを形成するために供給された反応ガスを
除去する。その後、反応ガス供給管13からSiH4
スを供給し、ガス導入管7からはNeガスを供給する。
このような、ガスの種類の切換は、コントローラ36の
指示にもとづいてガスセレクタ32、34が動作するこ
とによって容易に行われる。
【0087】プラズマCVDによってアモルファスSi
の成長が進行するとともに、Neビームの照射が加わる
ので、単結晶のSiが形成される。単結晶のSiを、約
50〜100オングストロームの厚さに形成することに
よって、図16に示すように、a−SiC超薄膜203
の上に積層したc−Si超薄膜204が得られる。
【0088】つぎに、再びa−SiCを約50〜100
オングストロームの厚さに形成することによって、図1
7に示すように、c−Si超薄膜204の上に積層した
a−SiC超薄膜203が得られる。
【0089】以上の工程を反復することによって、図1
8に示すように、多数のa−SiC超薄膜203とc−
Si超薄膜204とが交互に積層してなる超格子構造の
薄膜202が、基板201の上に形成される。
【0090】その後、Si薄膜202が積層した基板2
01を、反応室8から取り出した後、図19に示すよう
に、例えば蒸着等の方法を用いて、例えばTCOなどで
構成される導電膜220を、薄膜202を覆うように形
成する。
【0091】その後、写真製版技術を実行し、導電膜2
20を選択的に除去することによって、図10に示した
ように、3種の電極すなわちソース電極210、ドレイ
ン電極211、およびゲート電極212を形成する。以
上の工程によって、装置200が完成する。
【0092】<3.第3実施例>第1および第2実施例
では、アモルファスの超薄膜と単結晶の超薄膜とで構成
される超格子装置の例を示したが、単結晶の超薄膜の代
わりに軸配向多結晶の超薄膜で置き換えてもよい。軸配
向多結晶は、結晶粒の間で一つの結晶方位のみが揃って
いる多結晶であり、結晶粒の方位が任意である通常の多
結晶に比べて規則性が高いので、あらゆる点で単結晶に
近い特性を有する。このため、軸配向多結晶は単結晶の
代用として有効である。
【0093】例えば、第1実施例の装置100におい
て、c−Si超薄膜104を軸配向多結晶のSi超薄膜
に置き換えてもよい。このように構成される超格子装置
においても、装置100に近い挙動が現れる。同様に、
第2実施例の装置において、c−Si超薄膜204を軸
配向多結晶のSi超薄膜に置き換えてもよい。
【0094】アモルファス超薄膜と軸配向多結晶超薄膜
とが交互に積層した超格子を形成するには、例えば図2
0の正面断面図に示す薄膜形成装置51を用いるとよ
い。装置51は、反射板12が装備されない点で装置5
0とは特徴的に異なっており、その他の点では装置50
と共通である。装置51では、反射板12が装備されな
いので、引き出し口9から下方へ向かう例えばNeのイ
オンまたは中性原子は、直接に基板11へと降り注ぐ。
すなわち、基板11へはイオンまたは中性原子のビーム
が略一方向から入射する。
【0095】このため、基板11の上に成長しつつある
例えばアモルファスSiなどのアモルファス物質の一つ
の最稠密面の方向が、ビームの入射方向に垂直となるよ
うに揃う。その結果、結晶軸が基板11の法線方向に配
向した軸配向多結晶物質が形成される。軸配向多結晶物
質を形成する際の基板温度は、単結晶物質を形成するの
に適した基板温度に合わせるとよい。
【0096】<4.第4実施例>図21は、もう一つの
薄膜形成装置の例を示す正面断面図である。この装置5
2は、反射板12が支柱39に回動自在に取り付けられ
ており、反射板12を基板11の上に設置することも、
逆に基板11の上から退避させることも可能である。反
射板12の動きは、コントローラ36によって制御され
る。装置52をこのように構成することによって、一つ
の装置でアモルファス超薄膜と単結晶超薄膜とで構成さ
れる超格子、アモルファス超薄膜と軸配向多結晶超薄膜
とで構成される超格子のいずれをも製造可能である。さ
らに、アモルファス超薄膜、単結晶超薄膜、軸配向多結
晶超薄膜の中の任意の組み合わせで構成される超格子を
製造することも可能である。
【0097】図22は、さらに別の薄膜形成装置の例を
示す正面断面図である。この装置53では、試料台10
は駆動装置35の働きで、傾きおよび回転方向が調整可
能である点が、装置50などとは特徴的に異なる。図2
3は試料台10の動きを示す部分拡大図である。駆動装
置35の動作は、コントローラ36によって制御され
る。
【0098】試料台10が自在に傾斜および回転するの
で、基板11へのビームの照射方向を任意に設定するこ
とが可能である。このため、軸配向多結晶超薄膜または
単結晶超薄膜を形成する際に、その結晶方位を任意に選
ぶことができる。特に、単結晶超薄膜を形成する際に
は、形成すべき単結晶超薄膜の複数の最稠密面に垂直な
複数方向からビームが照射されるように、例えば図23
における実線と波線とで示される2つの姿勢を交互にと
るようにすればよい。このように時分割的に複数方向か
らビームを照射することによっても、反射板12を用い
た第1実施例の方法によって同時に複数方向から照射し
た場合と同様に単結晶化が実現する。
【0099】以上のように、この装置53では、試料台
10の姿勢を制御することによって、所望する単結晶、
軸配向多結晶、および非晶質のすべての結晶構造の超薄
膜を、交互に連続的に形成することが可能である。しか
も、結晶方位も所望の任意の方向に設定することが可能
である。
【0100】<5.第5実施例>以下の実施例では、超
格子構造を有する太陽電池の例について説明する。
【0101】<5-1.装置の構成と動作>図24は、pi
n型太陽電池の一例を示す断面図である。この太陽電池
500では、受光側(フロント側)に配されるガラス製
の透明基板505の光の進行方向側(バック側)にTC
Oで構成される導電膜506が形成されている。さら
に、導電膜506の光の進行方向側には、p型のSi層
502、不純物を含まないi型すなわち真性半導体のS
i層503、およびn型のSi層504が、この順に形
成され、半導体層501を構成している。そして、Si
層504の光の進行方向側には、例えばアルミニウムか
らなる裏面電極507が形成されている。
【0102】3つのSi層の中で、Si層503および
Si層504は、いずれもa−Siで構成され、Si層
502は、c−Si超薄膜502cとa−Si超薄膜5
02aとが交互に積層した超格子で構成されている。
【0103】a−Si超薄膜502aのp型不純物濃度
を選択的に高めることによって、Si層502の導電率
を改善することができる。そうすることによって、太陽
電池の最も重要な特性の一つである変換効率が向上す
る。
【0104】図25は、この太陽電池500のバンド構
造を示す説明図である。図25中の符号”EF”はフェ
ルミ順位を表している。この太陽電池500では、p型
とn型のSi層の間に、i型のSi層503が設けられ
ているので、図25に示すように、Si層503には電
子をSi層502からSi層504の方へ加速し、ホー
ルを逆にSi層504からSi層502の方向へ加速す
るような内部電場が生じている。このため、光で励起さ
れたキャリア(光キャリア)は、拡散で移動する代わり
に、主としてi型に生じているこの内部電場の作用でド
リフトによって移動する。このため、光キャリアが直ち
に電流として取り出せるという利点がある。
【0105】図25に示すように、Si層502を構成
するa−Si超薄膜502aのバンドギャップは1.7eV
であり、c−Si超薄膜502cのバンドギャップはそ
れよりも狭い1.1eVである。このため、超格子であるS
i層502の実効的なバンドギャップはこれらの中間の
値となる。その結果、Si層502のバンドギャップ
は、a−Siで構成されるSi層503よりも狭くなっ
ている。
【0106】このため、Si層502とSi層503と
では、光感度の高い波長が異なっている。すなわち、S
i層502では長波長側に感度が高く、Si層503で
は短波長側に感度が高い。このため、双方のSi層によ
って、広い波長領域の光が光キャリアの励起に寄与する
という利点がある。このことも変換効率の向上に寄与す
る。
【0107】なお、超格子構造のSi層502は、主と
して長波長の光をある程度吸収できるが、太陽電池全体
を薄膜化してSi材料の使用をできるだけ少なくしてコ
ストを下げることを第1優先とする場合には、Si層5
02をできるだけ薄く形成するのが望ましい。特に、短
波長特性を有する太陽電池の場合には、長波長特性を犠
牲にしてでもコストを下げることが望まれる。
【0108】また、短波長光をできるだけ多く、Si層
503およびSi層504へ供給するためにも、Si層
502の厚さをできるだけ薄くするのが望ましい。この
ため、好ましくは、Si層502はSi層503よりも
薄く形成される。例えば、Si層503は5000〜1
0000オングストローム程度に形成されるのに対し、
Si層502は150〜1000オングストローム程度
に形成される。また、Si層504は500〜1000
オングストローム、裏面電極507は10000オング
ストローム程度の厚さに設定される。なお、ここで例示
したSi層503の厚さは、a−Siの変換効率におけ
る最適点を考慮して決定されたものである。
【0109】なお、太陽電池500では、Si層503
はアモルファス構造であったが、代わりに単結晶構造で
あっても、Si層502とSi層503のバンドギャッ
プは互いに異なるので、やはり高い変換効率が実現す
る。
【0110】また、太陽電池500では、p型のSi層
502を超格子構造としたが、代わりにn型のSi層5
04を超格子構造としてもよい。あるいは、それらの双
方を超格子構造としてもよい。このように構成しても同
様の効果を奏する。
【0111】<5-2.製造方法>太陽電池500は次のよ
うに製造される。まず、図26に示すように、ガラス製
の透明基板505を準備する。そして、この透明基板5
05を洗浄した後、図27に示すように、透明基板50
5の上面に透明の導電膜506を、酸化すず(Sn
2 )および酸化インジュームすず(ITO)を用いて
蒸着または熱CVD法にて形成する。
【0112】つぎに、導電膜506が形成された透明基
板505を、例えば装置50、52、または53などの
反応室8内に挿入し、試料台10の上に基板11として
設置する。その後、反応室8内を真空状態とした後、第
1実施例で例示した方法を実行することによって、a−
Si超薄膜とc−Si超薄膜とを交互に積層する。この
とき、p型の不純物を含むガスが反応ガス供給管13か
ら供給される。その結果、図28に示すように、導電膜
506の上に、超格子構造のp型のSi層502が形成
される。
【0113】つぎに、同じ反応室8の中で、アモルファ
スのSiを成長させることによって、図29に示すよう
にSi層502の上にアモルファスのSi層503を形
成する。このとき、不純物を含んだガスは供給されな
い。このため、Si層503は、i型のSi層として形
成される。
【0114】その後、同様にアモルファスのSiを成長
させつつ、今度は反応ガス供給管13からn型不純物を
含んだガスを供給する。その結果、図30に示すよう
に、Si層503の上に、n型でアモルファスのSi層
504が形成される。こうして、半導体層501が形成
される。その後、半導体層501が形成された試料を反
応室8の外へ取り出す。
【0115】つぎに、例えば蒸着法を実施することによ
って、アルミニウム等の電極材料をSi層504の上に
形成することによって、裏面電極507を形成する。そ
の結果、図24に示した太陽電池500が完成する。
【0116】以上の説明からも解るように、装置50そ
の他の薄膜形成装置は、超格子構造の薄膜だけでなく、
Si層503、504などの単一構造の薄膜を積層する
のにもそのまま利用可能である。
【0117】<6.第6実施例>図31は、pin型太
陽電池の別の一例を示す断面図である。なお以下の図に
おいて、図24に示した太陽電池500と同一部分には
同一符号を付してその詳細な説明を略する。
【0118】この太陽電池600では、太陽電池500
と同様に、導電膜506の上にp型のSi層602、i
型のSi層603、およびn型のSi層604がこの順
に積層されることによって、半導体層601が形成され
ている。そして、Si層604のバック側に裏面電極5
07が形成されている。3つのSi層の中で、Si層6
02とSi層604は、いずれもc−Siで構成されて
おり、Si層603は、c−Si超薄膜603cとa−
Si超薄膜603aとが交互に積層した超格子で構成さ
れている。
【0119】図32は、この太陽電池600のバンド構
造を示す説明図である。図32に示すように、Si層6
03を構成するa−Si超薄膜603aのバンドギャッ
プは1.7eVであり、c−Si超薄膜603cのバンドギ
ャップはそれよりも狭い1.1eVである。このため、超格
子であるSi層603の実効的なバンドギャップはこれ
らの中間の値となる。
【0120】すなわち、Si層603のバンドギャップ
は、アモルファスSiのバンドギャップよりも狭くなっ
ている。このため、真性半導体層がアモルファスで構成
される従来のアモルファスpin型太陽電池に比べて、
広い範囲の波長の光が吸収される。その結果、高い変換
効率が得られる。さらに、Si層603は超格子構造で
あるために、a−Siよりも導電性が良好である。この
ことも、変換効率の改善に寄与する。
【0121】なお、Si層602が単結晶でなくアモル
ファスであっても、同様の効果を生じる。また、Si層
602が単結晶、アモルファスのいずれであっても、S
i層602とSi層603のバンドギャップは互いに異
なる。このようにSi層602とSi層603との間で
光感度の高い波長が異なるので、双方で広い範囲の波長
の光が無駄なく吸収される。このことも、変換効率の向
上に寄与する。
【0122】太陽電池600を製造するには、透明基板
505の上に導電膜506を形成したものを、装置5
0、52、または53の反応室8へ挿入した後に、太陽
電池500の製造工程と同様に、導電膜506の上に各
種の半導体層および超薄膜を連続的に積み上げてゆくと
よい。そうして半導体層601が形成された後に、反応
室8から取り出して裏面電極507を形成することによ
って太陽電池600が完成する。
【0123】<7.第7実施例>図33は、pin型太
陽電池のさらに別の一例を示す断面図である。この太陽
電池700では、太陽電池500と同様に、導電膜50
6の上にp型のSi層702、i型のSi層703、お
よびn型のSi層704がこの順に積層されることによ
って、半導体層701が形成されている。そして、Si
層704のバック側に裏面電極507が形成されてい
る。3つのSi層の中で、Si層704は、a−Siで
構成されており、Si層702はc−Si超薄膜702
cとa−Si超薄膜702aとが交互に積層した超格子
で構成され、さらに、Si層703も、c−Si超薄膜
703cとa−Si超薄膜703aとが交互に積層した
超格子で構成されている。
【0124】このように、太陽電池700ではSi層7
02とSi層703の双方が超格子で構成されるので、
太陽電池500と太陽電池600の双方の利点を合わせ
持っている。
【0125】太陽電池700を製造するには、透明基板
505の上に導電膜506を形成したものを、装置5
0、52、または53の反応室8へ挿入した後に、導電
膜506の上に各種の半導体層および超薄膜を連続的に
積み上げてゆくとよい。そうして半導体層701が形成
された後に、反応室8から取り出して裏面電極507を
形成することによって太陽電池700が完成する。
【0126】<8.第8実施例>図34は、pin型太
陽電池のさらに別の一例を示す断面図である。
【0127】この太陽電池800では、太陽電池500
と同様に、導電膜506の上にp型の半導体層802、
i型のSi層803、およびn型のSi層804がこの
順に積層されることによって、半導体層801が形成さ
れている。そして、Si層804のバック側に裏面電極
507が形成されている。
【0128】Si層803とSi層804は、いずれも
c−Siで構成されている。半導体層802の主要部
は、第6実施例のSi層502と同様に、c−Si超薄
膜802cとa−Si超薄膜802aとが交互に積層し
たSi超格子で構成されている。ただし、Si層502
とは異なり、このSi超格子とSi層803との間に、
一層のa−SiC超薄膜810が介挿されている。
【0129】図35は、この太陽電池800のバンド構
造を示す説明図である。図35に示すように、半導体層
802を構成するa−Si超薄膜802aのバンドギャ
ップは1.7eVであり、c−Si超薄膜802cのバンド
ギャップはそれよりも狭い1.1eVである。さらに、a−
SiC超薄膜810のバンドギャップはこれらのいずれ
よりも広い3.0eVである。そして、超格子である半導体
層802の実効的なバンドギャップはこれらの中間の値
となる。したがって、半導体層802の実効的なバンド
ギャップは、a−Si超薄膜802aとc−Si超薄膜
802cとで決まる実効的なバンドギャップよりも、さ
らに拡大されたものとなる。すなわち、半導体層802
における光感度が短波長側にシフトする。
【0130】このことによって、半導体層802の光透
過性が向上するので、Si層803での光の吸収量が増
大する。さらに、バンドギャップの大きいa−SiC超
薄膜810が設けられることによって、Si層802の
導電率、特にSi層802とSi層803の間の接合面
付近の導電率がさらに改善される。これらの結果、高い
変換効率が得られる。
【0131】また、Si層802では、より短波長側の
光が吸収されるとともに、そのバックに位置するSi層
803では長波長の光が吸収される。すなわち、太陽光
スペクトルの中の、より広い波長範囲を無駄なく吸収し
て電気エネルギーへと変換される。このことも、変換効
率の向上に寄与する。
【0132】太陽電池800を製造するには、透明基板
505の上に導電膜506を形成したものを、装置5
0、52、または53の反応室8へ挿入した後に、導電
膜506の上に各種の半導体層および超薄膜を連続的に
積み上げてゆくとよい。そうして半導体層801が形成
された後に、反応室8から取り出して裏面電極507を
形成することによって太陽電池800が完成する。
【0133】なお、半導体層802をc−Si層で構成
し、Si層803の主要部をa−Si超薄膜とc−Si
超薄膜とが交互に積層して成るSi超格子で構成し、こ
のSi超格子と半導体層802との間にa−SiC超薄
膜810を介挿してもよい。このとき、a−SiC超薄
膜810は、半導体層803における超格子の実質的な
バンドギャップを広げる働きを成す。このため、半導体
層802と半導体層803の間で、スペクトル上の光感
度のピークが互いにより一層分離されるので、太陽光ス
ペクトルの中の、より広い波長範囲が無駄なく吸収され
る。すなわち、変換効率が向上するという利点がある。
【0134】また、バンドギャップの大きいa−SiC
超薄膜810が設けられることによって、Si層803
の導電率、特にSi層802とSi層803との間の接
合面付近の導電率が向上する。このことも、変換効率の
向上に寄与する。
【0135】<9.変形例> (1) 第5実施例〜第8実施例のそれぞれにおいて、
単結晶層あるいは単結晶超薄膜をそれぞれ、軸配向多結
晶層あるいは軸配向多結晶超薄膜に置き換えてもよい。
各太陽電池をこのように構成しても、上記各実施例の太
陽電池に近い特性が得られる。また、このように構成さ
れた太陽電池を製造するには、例えば装置51、52、
または53を用いるとよい。
【0136】(2) 以上の各実施例の装置の製造工程
では、プラズマ流としてNeが用いられた。この理由
は、第1に、Si原子の方が、Ne原子よりも原子量が
大きいため、Neのイオンあるいは原子がSi薄膜に衝
突した際に、後方に散乱される確率が高く、Si薄膜中
に侵入し残留することが起こりにくいためである。また
第2に、Neは不活性ガスであるので、Si薄膜中に侵
入し残留しても、Siあるいはドープした不純物のいず
れとも化合物を形成しないので、Si薄膜の電気的、あ
るいは、光学的特性に与える影響が少ないと言える。し
かも、形成されたSi薄膜をある程度高温状態におくこ
とによって、容易に外部に除去できる。これは、Heに
関しても同様であるが、Heに比較して、Neの方がS
iに近い原子量であるので結晶化がより効果的に可能と
なる。
【0137】(3) 以上の各実施例の装置の製造工程
において、単結晶の薄膜あるいは超薄膜を形成する際
に、反応ガスを供給してアモルファスSiなどのアモル
ファスの物質を成長させつつ、一方向からビーム照射を
行うことによって、軸配向多結晶の薄膜あるいは超薄膜
を一旦形成し、その後、複数方向からビーム照射を行っ
てこの軸配向多結晶を単結晶へと転換してもよい。
【0138】軸配向多結晶の形成は単結晶の形成に比べ
て容易であり、しかも軸配向多結晶の特性は単結晶の特
性に近い。このため、単結晶の薄膜あるいは超薄膜を形
成する際に、まず軸配向多結晶の薄膜あるいは超薄膜を
形成することによって、軸配向多結晶の薄膜あるいは超
薄膜に相応する良好な特性を確保することができる。そ
の後、複数方向からのビーム照射によって、軸配向多結
晶が単結晶へ転換される度合いに応じて、さらに良好な
特性へと向上する。すなわち、この方法では、例えば複
数方向からのビーム照射にむらがあるなど、軸配向多結
晶から単結晶への転換が十分に行われない場合でも、単
結晶の薄膜あるいは超薄膜を有する超格子装置に近い特
性が保証される。
【0139】軸配向多結晶を単結晶化するときには、こ
の物質の結晶化温度以下の温度範囲の比較的高温下でビ
ーム照射が行われる。そうすることによって、単結晶化
のための物質原子の再配列がより円滑に進行する。
【0140】(4)変形例(3)において、軸配向多結
晶の薄膜あるいは超薄膜を形成する際におけるビーム照
射の方向と、単結晶化の際におけるビーム照射の複数方
向の1つとを、互いに同一にするのが望ましい。このと
き、軸配向多結晶の薄膜あるいは超薄膜における方位の
揃った最稠密面については、単結晶化に際してその方向
が維持されるので、単結晶への転換が円滑に進行する。
【0141】
【発明の効果】第1の発明の超格子装置では、アモルフ
ァス構造と結晶質構造とが交互に積層した超格子を有す
る。アモルファス構造と結晶質構造との間では、バンド
ギャップの差異が大きいので、この装置では超格子特有
の特性が得られる。
【0142】第2の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが同一物質で構
成されるので、超薄膜の接合界面における原子の結合が
良好に行われる。このため、接合界面における結晶欠陥
が希少であるので、超格子としての本来の特性が十分に
得られ、しかも装置の特性が一定するという効果があ
る。
【0143】第3の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが比較的低廉な
材料であるシリコンで構成されるので、装置の製造コス
トが安価である。
【0144】第4の発明の超格子装置では、p型半導体
層とn型半導体層の少なくとも一方が超格子を有するの
で、この半導体層の導電率が良好である。その結果、変
換効率の高い太陽電池が実現する。また、超格子を有す
る半導体層と真性半導体層との間には、バンドギャップ
に差異が現れるので、それらの半導体層の間で光感度の
高い波長が異なる。すなわち、双方の半導体層によっ
て、広い範囲の波長の光が吸収される。このことも、変
換効率の改善に寄与する。
【0145】第5の発明の超格子装置は、真性半導体層
が複数のアモルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構造
の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子を有するの
で、真性半導体層の実効的なバンドギャップはアモルフ
ァス構造のバンドギャップよりも狭くなる。このため、
真性半導体層がアモルファスである従来の太陽電池に比
べて、広い範囲の波長の光が光キャリアの生成に利用さ
れるので、変換効率が従来よりも高くなる。
【0146】第6の発明の超格子装置では、複数のアモ
ルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構造の超薄膜とが
同一物質で構成されるので、超薄膜の接合界面における
原子の結合が良好に行われる。このため、接合界面にお
ける結晶欠陥が希少であるので、超格子としての本来の
特性が十分に得られ、しかも装置の特性が一定するとい
う効果がある。
【0147】第7の発明の超格子装置では、アモルファ
ス構造の超薄膜と結晶質構造の超薄膜とが比較的低廉な
材料であるシリコンで構成されるので、装置の製造コス
トが安価である。
【0148】第8の発明の超格子装置では、バンドギャ
ップが他よりも大きい半導体物質のアモルファス構造の
超薄膜が、真性半導体層に隣接してp型半導体層または
n型半導体層の超格子の中に介挿される。このため、超
格子を有する半導体層と真性半導体層と接合面付近の導
電率が向上する。その結果、変換効率の高い太陽電池が
実現する。
【0149】第9の発明の超格子装置では、真性半導体
層が結晶質であるために、真性半導体層のバンドギャッ
プは超格子を有する半導体層のバンドギャップよりも狭
い。そして、超格子は特別にバンドギャップの大きい超
薄膜を有しているので、超格子を有する半導体層と真性
半導体層との間でバンドギャップの差異が大きい。この
ため、双方の半導体層によって広い範囲の波長の光が吸
収される。その結果、変換効率の高い太陽電池が実現す
る。
【0150】第10の発明の超格子装置では、バンドギ
ャップが他よりも大きい半導体物質のアモルファス構造
の超薄膜が、p型半導体層またはn型半導体層に隣接し
て真性半導体層の超格子の中に介挿される。このため、
超格子を有する真性半導体層とp型半導体層またはn型
半導体層との間の接合面付近の導電率が向上する。その
結果、変換効率の高い太陽電池が実現する。
【0151】第11の発明の超格子装置では、p型半導
体層またはn型半導体層が結晶質であるために、結晶質
であるこれらの半導体層のバンドギャップは超格子を有
する真性半導体層のバンドギャップよりも狭い。そし
て、超格子は特別にバンドギャップの大きい超薄膜を有
しているので、超格子を有する真性半導体層と結晶質で
ある他の半導体層との間でバンドギャップの差異が大き
い。このため、双方の半導体層によって広い範囲の波長
の光が吸収される。その結果、変換効率の高い太陽電池
が実現する。
【0152】第12の発明の製造方法では、反応ガスを
堆積しつつビーム照射を制御するという単純な工程によ
って、従来不可能であったアモルファス構造の超薄膜と
結晶質構造の超薄膜とが交互に積層した超格子が形成さ
れる。しかも、比較的低温下での形成が可能である。さ
らに、各超薄膜を形成する工程が、連続して実行される
ので、各超薄膜の接合面への水分などの不純物の混入が
防止され、理想的な超格子が得られる。また、反応ガス
として超薄膜の主成分の原料ガスだけでなくp型あるい
はn型の不純物を含んだガスを混合することによって、
p型あるいはn型の超薄膜を積層することも可能であ
る。
【0153】第13の発明の製造方法では、軸配向多結
晶超薄膜を一旦形成し、その後、これを単結晶化すると
いう2段階で単結晶超薄膜を形成する工程において、最
初の軸配向多結晶超薄膜を形成する段階でのビーム照射
の方向と、後の単結晶化の段階でのビーム照射の複数方
向の一つとが一致している。このため、単結晶化に際し
て、軸配向多結晶超薄膜の方位の揃った最稠密面はその
まま維持されるので、単結晶化が円滑に進行する。
【0154】第14の発明の製造方法では、照射される
気体が不活性ガスであるので、照射後に気体の原子また
はイオンが薄膜の中に残留しても、これらが超薄膜の電
子物性へ不純物として悪影響を及ぼすことが少ないとい
う効果がある。
【0155】第15の発明の製造方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射対象である
所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、
照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、
超薄膜の表面ないしその近傍で後方へ反跳し、超薄膜の
中に残留し難いという効果がある。
【0156】第16の発明の製造方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、所定の物質を構
成する元素の最大の原子量に最も近い値であるので、ビ
ームの照射効果を最大限に引き出すことができる。した
がって、不活性ガスの導入量を反応ガスの導入量に対し
て、少なく抑えることができる。あるいは、結晶質構造
の超薄膜の形成速度が向上する。
【0157】第17の発明の製造方法では、化学気相成
長法を用いてシリコンの超薄膜が効率よく形成される。
また、アモルファス超薄膜を形成する際に、超薄膜を構
成するシリコンの原料ガスに、水素ガスが混入されるの
で、アモルファスシリコンの超薄膜が安定して得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の超格子装置の断面図である。
【図2】 図1の装置のバンド構造図である。
【図3】 第1の実施例の装置の製造に適した製造装置
の正面断面図である。
【図4】 図3の反射板の斜視図である。
【図5】 図1の超格子装置の製造工程図である。
【図6】 図1の超格子装置の製造工程図である。
【図7】 図1の超格子装置の製造工程図である。
【図8】 図1の超格子装置の製造工程図である。
【図9】 図1の超格子装置の製造工程図である。
【図10】 第2実施例の超格子装置の断面図である。
【図11】 図10の装置のバンド構造図である。
【図12】 図11と比較対照されるバンド構造図であ
る。
【図13】 第2実施例のもう一つの超格子装置のバン
ド構造図である。
【図14】 図13と比較対照されるバンド構造図であ
る。
【図15】 図10の超格子装置の製造工程図である。
【図16】 図10の超格子装置の製造工程図である。
【図17】 図10の超格子装置の製造工程図である。
【図18】 図10の超格子装置の製造工程図である。
【図19】 図10の超格子装置の製造工程図である。
【図20】 第3実施例の製造装置の正面断面図であ
る。
【図21】 第4実施例の製造装置の正面断面図であ
る。
【図22】 第4実施例のもう一つの製造装置の正面断
面図である。
【図23】 図22の部分拡大図である。
【図24】 第5実施例の超格子装置の断面図である。
【図25】 図24の装置のバンド構造図である。
【図26】 図24の超格子装置の製造工程図である。
【図27】 図24の超格子装置の製造工程図である。
【図28】 図24の超格子装置の製造工程図である。
【図29】 図24の超格子装置の製造工程図である。
【図30】 図24の超格子装置の製造工程図である。
【図31】 第6実施例の超格子装置の断面図である。
【図32】 図31の装置のバンド構造図である。
【図33】 第7実施例の超格子装置の断面図である。
【図34】 第8実施例の超格子装置の断面図である。
【図35】 図34の装置のバンド構造図である。
【符号の説明】
103 a−Si超薄膜(アモルファス構造の超薄膜) 203 a−SiC超薄膜(アモルファス構造の超薄
膜) 104 c−Si超薄膜(結晶質構造の超薄膜) 204 c−Si超薄膜(結晶質構造の超薄膜) 102 Si薄膜(超格子) 202 薄膜(超格子) 502、602、702、802 Si層(p型半導体
層) 504、604、704、804 Si層(n型半導体
層) 503、603、703、803 Si層(真性半導体
層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 31/04 N (72)発明者 植山 須美義 大阪府豊中市待兼山町15番16号 株式会社 クリスタルデバイス内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のアモルファス構造の超薄膜と複数
    の結晶質構造の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子
    を有し、 前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超
    薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかである超格
    子装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超格子装置において、
    前記複数のアモルファス構造の超薄膜と前記複数の結晶
    質構造の超薄膜とが、同一物質で構成される超格子装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の超格子装置において、
    前記同一物質がシリコンである超格子装置。
  4. 【請求項4】 超格子装置であって、 前記超格子装置は、p型半導体層とn型半導体層の間に
    真性半導体層を有するpin型の太陽電池であり、 前記p型半導体層と前記n型半導体層の少なくとも一方
    が、複数のアモルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構
    造の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子を有し、 前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超
    薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかである超格
    子装置。
  5. 【請求項5】 超格子装置であって、 前記超格子装置は、p型半導体層とn型半導体層の間に
    真性半導体層を有するpin型の太陽電池であり、 前記真性半導体層は、複数のアモルファス構造の超薄膜
    と複数の結晶質構造の超薄膜とが交互に積層されて成る
    超格子を有し、 前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超
    薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかである超格
    子装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の超格子
    装置において、 前記複数のアモルファス構造の超薄膜と前記複数の結晶
    質構造の超薄膜とが、同一物質で構成される超格子装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の超格子装置において、
    前記同一物質がシリコン半導体である超格子装置。
  8. 【請求項8】 超格子装置であって、 前記超格子装置は、p型半導体層とn型半導体層の間に
    真性半導体層を有するpin型の太陽電池であり、 前記p型半導体層と前記n型半導体層の双方または一方
    が、複数のアモルファス構造の超薄膜と複数の結晶質構
    造の超薄膜とが交互に積層されて成る超格子を有し、 前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超
    薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかであり、 前記複数のアモルファス構造の超薄膜の中の一つが前記
    真性半導体層に隣接しており、 前記複数のアモルファス構造の超薄膜と前記複数の結晶
    質構造の超薄膜は、前記真性半導体層に隣接する超薄膜
    を除いて、共通の半導体物質で構成されており、 前記真性半導体層に隣接する超薄膜は、前記共通の半導
    体物質で構成されるアモルファス構造の超薄膜よりもバ
    ンドギャップの大きい他の半導体物質で構成されている
    超格子装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の超格子装置であって、 前記真性半導体層が単結晶構造または軸配向多結晶構造
    を有する超格子装置。
  10. 【請求項10】 超格子装置であって、 前記超格子装置は、p型半導体層とn型半導体層の間に
    真性半導体層を有するpin型の太陽電池であり、 前記真性半導体層が、複数のアモルファス構造の超薄膜
    と複数の結晶質構造の超薄膜とが交互に積層されて成る
    超格子を有し、 前記複数の結晶質構造の超薄膜の各1が単結晶構造の超
    薄膜と軸配向多結晶構造の超薄膜のいずれかであり、 前記複数のアモルファス構造の超薄膜の中の一つが前記
    p型半導体層または前記n型半導体層に隣接しており、 前記複数のアモルファス構造の超薄膜と前記複数の結晶
    質構造の超薄膜は、前記p型半導体層または前記n型半
    導体層に隣接する超薄膜を除いて、共通の半導体物質で
    構成されており、 前記p型半導体層または前記n型半導体層に隣接する超
    薄膜は、前記共通の半導体物質で構成されるアモルファ
    ス構造の超薄膜よりもバンドギャップの大きい他の半導
    体物質で構成されている超格子装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の超格子装置であっ
    て、 前記p型半導体層または前記n型半導体層の少なくとも
    いずれかが単結晶構造または軸配向多結晶構造を有する
    超格子装置。
  12. 【請求項12】 基板の上にアモルファス構造の超薄膜
    と結晶質構造の超薄膜とが交互に積層して成る超格子を
    有する超格子装置を製造する方法であって、 下記の工程(a)と下記の工程(b),(c),(d)のいずれかと
    を、交互に連続的に実行する超格子装置の製造方法;こ
    こで前記工程(a)〜(d)は、 (a)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給することによって当該所定の
    物質を堆積し、その結果、当該所定の物質のアモルファ
    ス超薄膜を形成する工程; (b)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給することによって当該所定の
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の物
    質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの
    気体のビームを、当該所定の物質の単結晶の複数の最稠
    密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照射し、そ
    の結果、当該所定の物質の単結晶超薄膜を形成する工
    程; (c)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給することによって当該所定の
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の物
    質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの
    気体のビームを、前記基板上へ一方向から照射し、その
    結果、前記所定の物質の軸配向多結晶超薄膜を形成する
    工程;および、 (d)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給することによって当該所定の
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の物
    質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの
    気体のビームを、前記基板上へ一方向から照射し、その
    結果、前記所定の物質の軸配向多結晶超薄膜を形成し、
    その後、前記反応ガスの供給を停止して、所定の物質の
    結晶化が起こらない範囲の高温度の下で、当該所定の物
    質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの
    気体のビームを、当該所定の物質の単結晶の複数の最稠
    密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照射し、そ
    の結果、前記軸配向多結晶超薄膜を単結晶超薄膜へと転
    換する工程;である。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の製造方法であっ
    て、 前記工程(d)で、前記軸配向多結晶超薄膜を形成する際
    における前記気体のビームの方向と、前記軸配向多結晶
    超薄膜を前記単結晶超薄膜へ転換する際における前記気
    体のビームの複数方向の1つとが、互いに同一である超
    格子装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12または請求項13に記載の
    製造方法において、前記気体が不活性ガスである超格子
    装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の製造方法におい
    て、前記不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射を
    受ける前記所定の物質を構成する元素の最大の原子量を
    越えない超格子装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の製造方法におい
    て、前記不活性ガスを構成する元素の原子量が、前記所
    定の物質を構成する元素の最大の原子量を越えず、か
    つ、最も近い原子量である超格子装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項12ないし請求項16のいずれ
    かに記載の製造方法であって、 前記各工程(a)〜(d)において、前記所定の物質を堆積す
    るのに化学気相成長法が用いられ、 前記各工程(a)〜(d)における前記所定の物質がシリコン
    であり、 前記工程(a)における前記反応ガスがシリコンの原料ガ
    スと水素ガスとの混合ガスを含んでおり、 前記各工程(b)〜(d)における前記反応ガスがシリコンの
    原料ガスを含んでいる、超格子装置の製造方法。
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