JPH07240531A - 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法 - Google Patents

太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法

Info

Publication number
JPH07240531A
JPH07240531A JP6310981A JP31098194A JPH07240531A JP H07240531 A JPH07240531 A JP H07240531A JP 6310981 A JP6310981 A JP 6310981A JP 31098194 A JP31098194 A JP 31098194A JP H07240531 A JPH07240531 A JP H07240531A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
semiconductor layer
semiconductor
forming
solar cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6310981A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Shindo
晶弘 進藤
Daisuke Kosaka
大介 小坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Crystal Device Corp
Original Assignee
Crystal Device Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Crystal Device Corp filed Critical Crystal Device Corp
Priority to JP6310981A priority Critical patent/JPH07240531A/ja
Publication of JPH07240531A publication Critical patent/JPH07240531A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/543Solar cells from Group II-VI materials
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/544Solar cells from Group III-V materials
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/547Monocrystalline silicon PV cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で変換効率の高い太陽電池を得る。 【構成】 ガラス製透明基板251に透明電導膜252
を形成し、その上にアモルファス状に形成すると同時に
指向性の高いNe原子流を各半導体層212,214に
照射することによって、各入射方向に垂直に最稠密面が
配向するよう単結晶化してp型の第1の半導体層253
を形成する。この際、第1の半導体層253を可及的に
薄く形成し、光透過性を上げる。その上にアモルファス
系の真性半導体層255を形成し、さらにアモルファス
系または結晶系のn型の第2の半導体層254を形成す
る。主に長波長光は第1の半導体層253で吸収し、短
波長光は真性半導体層255で吸収する。第1の半導体
層253が単結晶であるため、少数担体の吸収が少なく
変換効率が向上する。 【効果】 変換効率が高く、しかも安価に製造可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エネルギー変換効率の
高い太陽電池およびその製造方法に関し、さらに、当該
太陽電池の製造に適した多層薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、従来の太陽電池の2つの例につい
て説明する。
【0003】<従来例1>図16乃至図19は従来例1
の太陽電池の製造工程を示す図である。ここでは、電極
の形成時の他、太陽電池としての主材料であるCdTe
およびCdS膜をも印刷法を使って形成する場合を例に
挙げて説明する。まず、図16の如く、ガラス基板1の
上面にペースト状のCdS膜2をスクリーン印刷する。
そして、CdS膜2を赤外線照射してこれを乾燥させた
後、炉中で約650゜Cに加熱して焼結半導体とする。
そして、不純物をドーピングしてCdS膜2をn型とす
る。次に、図17の如く、CdS膜2の上面の一部にC
dTe膜3を選択的にスクリーン印刷しこれを乾燥させ
て焼結する。そして、図18の如く、CdTe膜3の上
面にカーボン電極4(アクセプタ源)を印刷し乾燥させ
て焼き付ける。このとき、約300゜Cでアクセプタと
なる元素がCdTe膜3中に拡散して強いp型CdTe
層を作ることでpn接合を形成する。しかる後、図19
の如く、上方に露出されたCdS膜2上にAg−In電
極5を印刷・焼付するとともに、カーボン電極4の上面
の一部にAg電極6を選択的に印刷・焼付する。
【0004】なお、図16乃至図19に示した上記太陽
電池では、基板上のn型膜として、II−VI族のCd
Sを用いていたが、例えばVI族のSiやIII−V族
のGaAsを用いるものもある。
【0005】<従来例2>図20(A)は従来例2のタ
ンデム構造(積み重ね式)の太陽電池を示す図である。
図20(A)中の7は第1の半導体部(第1のヘテロ接
合部)、8は第2の半導体部(第2のヘテロ接合部)、
9は高濃度接合によるトンネル接合部である。一般に、
半導体が吸収できる光の波長範囲は、半導体の禁止帯幅
Egが小さい程広くなるが、吸収した光のエネルギー利
用率はEgが小さいほど悪くなるという矛盾要素を抱え
ている。この矛盾をできるだけ少なくするように、Eg
の異なるpn接合を、Egの大きい順に光の進行方向に
重ねて配列したのがタンデム構造である。図20(B)
の如く、短波長側の光から順次各材料によって吸収さ
れ、夫々EgA ,EgB に見合った電圧を発生する。各
々のpn接合を有する半導体部7,8は直列に接続され
るが、その間に金属を介することなくp+ + のトンネ
ル接合部9のトンネル電流を利用して良好な接続が得ら
れる。なお、図20(B)中のEC は伝導帯の下端、E
V は充満帯の上端、EF は固体の中でどのエネルギーの
ところまで電子が満たされているのかを表す尺度として
のフェルミ準位である。これらのエネルギーギャップ
は、各半導体膜に用いられる材料により自ずと決定され
る。該タンデム構造の材料としては、GaAlAsとG
aAsの組み合わせや、a−Siとa−SiGeの組み
合わせ等がある。また、層の数としては2つ以上のもの
が考えられている。従来例2についても、従来例1と同
様にして、スクリーン印刷−乾燥−焼結の方法で作成す
るのが一般的であった。
【0006】つぎに、従来の太陽電池全般にわたって概
観する。
【0007】図41は一般的な太陽電池の材料別の特徴
を示したものである。図41の如く、太陽電池は、使う
材料でSi系と化合物系に分かれる。通常生産されてい
る太陽電池のほとんどはSi系の材料が使われている。
Si系には結晶系とアモルファス(非晶質)系がある。
結晶系は使用する基板によって単結晶Siと多結晶Si
がある。このうち、一般に電力系として広く使われてい
るのは単結晶Siと多結晶Siの太陽電池である。
【0008】単結晶Siを用いた太陽電池は変換効率が
17%(〜20%)と高いが、単結晶Si基板が高価で
あるという課題がある。
【0009】多結晶Siを用いた太陽電池は単結晶Si
太陽電池に比べれば変換効率は12〜14%と劣るが単
結晶Si基板より安価に調達できる。ただし、かかる多
結晶Siにしてもインゴツトを切断して形成されるバル
クを使用する限り、バルクに一定の厚さを必要とする、
あるいは切り代が必要となる等の要因から、まだまだ基
板にかかるコストが高いという問題がある。
【0010】コスト低減に期待がかかっているのはアモ
ルファスSi太陽電池であるアモルファスSi太陽電池
は、プラズマCVD法(化学的気相成長法)等の方法を
使って薄膜を積層して製作する。かかる方法によると、
200℃〜300℃程度の低温で薄膜が形成できるの
で、安価なガラス材料等が使用できることと、Si材料
を単結晶または多結晶のバルクシリコンを使用する場合
と比較して大幅に少なくできることから、安価な太陽電
池が作れる。しかしながら本格的に実用化するために
は、現状6〜8%の変換効率をいかに向上させるかとい
う課題がある。また、アモルファスSiの場合、結晶欠
陥が多いため、変換効率の経年変化により数ヶ月で15
%(初期劣化)程度劣化し、その後年率1〜2%程度さ
らに劣化するという課題がある。
【0011】次に、これらの従来技術の課題解決のた
め、各メーカが取り組んでいる研究・開発の方向につい
て述べる。
【0012】<従来例3:単結晶Si太陽電池>図42
(a)の如く、チョクラルスキー法(CZ法)で引き上
げられた、すなわち、熱エネルギーを加えて水素還元し
たトリクロロシランを用いて多結晶の母材201を作成
し、これを図42(b)のように1500℃以下の熱エ
ネルギーを加えて単結晶化した単結晶Siインゴット2
02を、図42(c)の203のように切断し、これを
図42(d)のように研磨した後、p型不純物を添加し
て図42(e)のようなSi単結晶基板(ウェハ)20
4を得ている。また、図43(a)のようなSi単結晶
基板(ウェハ)204の上面に図43(b)ようなn型
Si半導体層205を形成してpn接合を形成する際に
は、PoCl3 を用いた気相拡散法やTiO2 、P2
5 を用いた塗布拡散法およびP+ イオンを直接ドープす
るイオン打込法が用いられている。そして、図43
(c)の如く、裏面電極206および表面電極207を
形成し、単結晶Si太陽電池が完成する。この製造方法
は、大量の電力を使用することと、Si材料を多く使用
するのでコストが高いという問題がある。現状は自動
化、連続化に加え、図42(c)に示したインゴット2
02の切断時に基板をいかに薄く切りスライス時のSi
のロス(切り代)をいかに低減する等のコストダウンに
研究の中心がある。
【0013】単結晶Si太陽電池では、バルクシリコン
基板のコスト高をカバーするため変換効率の向上の改良
がなされている。すなわち、基板裏面近くでのキャリア
再結合による効率の低下を防ぐため、図44(a)の如
く、基板204の裏面に内部電解208を導入したBS
F(Back Surface Field)型太陽電池で、p型基板の裏
面にp+ 層208を形成して内部電界をもたせ裏面付近
で発生したキャリアをこの電界で加速させ有効に電力と
して取り出せるようにしたものである。この構造によっ
て特に長波長の光感度が増大し変換効率を15%程度ま
で上げている。
【0014】また、太陽電池の表面側(受光側)でのキ
ャリア再結合による低下を防ぐものとして、図44
(b)に示すバイオレットセルがある。太陽電池のn+
層205の薄厚は通常0.3〜0.5μmで、これをエ
ッチングにより0.1μm〜0.2μmにすることによ
りn+ 層付近でのキャリア再結合を防ぎ変換効率を上げ
たものである。
【0015】さらに、太陽電池表面での光の反射による
効率低下を防ぐものとして、図44(c)に示すCNR
太陽電池(Comsat Non Reflective solar Cell)があ
る。これは基板204およびn+ 層205の表面に微小
(1〜2μm)なピラミッド凹凸を多数作ったもので、
多重反射により表面反射を減少させるものである。この
構造によって、Si系太陽電池としては最高レベルの変
換効率18%を得ている。なお、ここでは、n+ 層5の
厚さを0.2〜0.3μmに設定している。
【0016】図45に地球の平均公転軌道上での大気圏
外で太陽光(AM−0)が入射され吸収された場合の単
結晶シリコンについての光の通過距離と光の入射光比率
との関係を示す。単結晶シリコンでは30μmであれば
入射光の80%が吸収され、残り10%の合計90%を
吸収させるためには100μm必要であることを示して
いる。これらのことから、表面から遠くなるほど、吸収
に対する寄与は少なくなるので、ある程度の薄いシリコ
ン板を使う考えもある。ここで、図46に各種太陽電池
の基板厚さと到達変換効率の関係を示す。図46中の+
で示した点は、各材料を用いた場合にその最高値に対し
て十分満足できる意味での最適点であるアモルファスS
i(a−Si)は、吸収係数が大きいので極めて薄い厚
さ(1μm以下)で、充分であることを示している。バ
ルク単結晶Si基板を用いた場合、10μm以上になら
ないと変換効率はアモルファスSiを越えることができ
なく、最適点では70μm〜80μm程度の厚さが必要
となる。かかる厚さで形成した太陽電池は、20%近い
変換効率が得られる。逆にいえば、80μm以上の厚さ
にしても、70μm〜80μm程度の厚さの単結晶Si
基板からさらに変換効率を大幅に向上することは期待で
きない。ところが、一般に、単結晶シリコン基板は、ウ
ェハ厚が約250μm、切り代が約150μm必要とな
り、インゴット1cmの長さから25枚のウェハを切り
出せるのが普通であり、各種の切断法が検討されている
ものの、ウェハ厚200μm、切り代100μm、合計
300μ厚が当面の限界である。すなわち、上述の70
μm〜80μmのウェハを作ることはできなく、実際は
200μm〜400μm厚のウェハを用いざるを得ず、
材料の無駄が発生し、低価格化は困難である。
【0017】また、太陽電池に使用するシリコン基板
は、LSI用のウェハを製造する過程でインゴットの上
端部および下端部に生ずる純度の低い規格外品を材料に
することで、できる限り安価な材料を調達することを考
える。基板材料をLSI用途の副産物に依存していて、
LSI用ウェハ生産から得られる規格外品は10%程度
であり、規格外品のみを用いることにすると材料面で枯
渇するという問題もかかえている。
【0018】<従来例4:多結晶Si太陽電池>単結晶
Si太陽電池の欠点はその製造プロセスが複雑で製造エ
ネルギーが大きくかつSi材料を多く使用する点にあっ
た。これらの問題点を解決するために、図47および図
48に示すキャスト法や、図49に示すリボン法を用い
た多結晶Si太陽電池の開発が進められている。一般的
なキャスト法は、図47の如く、Siの融液211をル
ツボ212中で冷却(徐冷)して固化する方法である。
どちらも単結晶Siに比べて生産性が高く変換効率はや
や単結晶Siに劣るが10〜16%と比較的高効率とな
っている。図48は日本サンシャイン計画の一環として
新エネルギー総合開発機構(NEDO)が開発したキャ
スト法の新たな提案例である。ルツボ212中のSi融
液211はその上方からルツボごと徐冷され、ルツボと
同形の多結晶Siインゴットが得られる。なお、図48
中の213はヒータ、214は熱遮蔽板、215は支持
軸、216はチャンバである。かかる工程を経て製造さ
れたインゴットをスライスして単結晶Siと同様の工程
を経て多結晶Si太陽電池が形成できる。
【0019】リボン法は、図49の如く、Si融液か
ら、太陽電池に必要なシート状の多結晶221を直接に
得る方法である。単結晶やキャスト法多結晶Siのよう
に、インゴットをスライスする必要がないので原料を有
効に利用できる。原理は、Si融液の入ったルツボ22
2内に立てられたキャピラリダイ223を通してリボン
多結晶Siを引き上げるものである。引き上げられたリ
ボン多結晶Siはレーザで適当な大きさに切断し、単結
晶Siと同様の工程で太陽電池に加工される変換効率は
7〜14%でありキャスト法に比べてやや低い。
【0020】多結晶Si太陽電池も単結晶Si太陽電池
と同様、Si原材料を多く使用しなければならない点
で、コスト上の問題を有している。従来の技術課題も基
板材料のコストが多結晶Si太陽電池全体のコストの約
25%を占めるという高い比率であるため、「基板をい
かに薄く切るか、いかにスライス時のロスを少なくする
か」という点にある。
【0021】キャスト法では、インゴットをマルチワイ
ヤソーでスライスして基板400μmに対し約120〜
150μmのロスが発生する。すなわち、Si原材料を
520〜550μm使用することになり、今後の技術課
題はそれを300μm迄に押えることにある。しかしな
がら、この薄型化が実現したとしても、次に述べるアモ
ルファスSi太陽電池等に比べ10〜100倍の原材料
消費となる。
【0022】<従来例5:アモルファスSi太陽電池>
アモルファスSi太陽電池は変換効率と信頼性面で課題
があるものの、コスト、資源、製造エネルギー、公害面
で優れた特徴を持っている。
【0023】アモルファスSi太陽電池は、結晶系バル
クSi基板を使用する太陽電池と全く異なった方法で形
成される。図50に単室反応炉法、図51に連続分離プ
ラズマ反応法の概要を示す。0.1〜10Torr程度
の真空に保たれた反応室24にモノシラン(SiH4
などの原料ガス26を導入し、RF電界225を印加し
て原料ガスを分解し、ガラスやステンレス等の基板22
7上にアモルファスSi層228を形成する。この際、
原料ガスにB2 6 (ジボラン)229を混入すればp
型アモルファスSiが、フォスフィン(PH3 )230
を混入すればn型アモルファスSiができる。なお、図
51中の231はシャッターである。このように、原料
ガスの切替えだけでpn接合が形成できる。アモルファ
スSi太陽電池は製造エネルギが少なく、素子を形成す
るSi層が単結晶、多結晶バルクシリコン型太陽電池に
比較して1/100以下となり低コスト化を実現する条
件を備えている。また、成膜温度が低く安価なガラス基
板やステンレス基板を使えることも低コスト化には有利
である。
【0024】アモルファスSi太陽電池の発電原理及び
構造は、結晶Si太陽電池とは異なっている。一般に結
晶シリコンの場合は、図52に示すようにpn構造であ
り、光キャリアは拡散によって移動する。これに対し
て、アモルファスSi太陽電池は、図53の如く、p型
層(p)とn型層(n)の間に、p、n両型の不純物を
含まない真性半導体層(i)を介在させたPin構造
(p型−Intrinsic−n型)であり、光キャリ
アは主に太陽電池の内蔵電界によるドリフトによって移
動する。なお、図53中のTCOは電極となる透明電導
膜(Transparent Conductive
Oxide)、Gsはガラス板である。真性半導体層
(i)を備えるメリットは、通常のpn接合での境界の
空間電荷領域(空乏層)が広く、光で発生する電子正孔
の大部分が内部電界のある所で(空乏層)で発生するの
で、直ちに光発生電流として取り出せることである。す
なわち、通常のpn接合の場合の拡散によるpn境界へ
のマイノリティキャリアの移動という過程が省略でき
る。しかし、アモルファスSi太陽電池内の光キャリア
の生成は、主に真性半導体層中で行なわれるがアモルフ
ァスSiは吸収係数が大きく、入射光が真性半導体層
(i)に到達する前に、その一部分はp型ドープ層に吸
収され発電に有効に利用されないという課題がある。図
54にアモルファスSiと結晶シリコン等との光の波長
(光子のエネルギー)に対する光吸収係数の比較を、図
55に水素が混入されたアモルファスSi:Hと単結晶
Siとの光吸収スペクトルの比較を示す。図54および
図55によると、太陽エネルギーのピークとなる0.5
μm付近で、単結晶Siに比べてほぼ1桁程度アモルフ
ァスSiまたはアモルファスSi:Hの吸収係数が大き
いことがわかる。また、0.7μmの波長より長波長側
では単結晶Siの方が1桁吸収係数がアモルファスSi
に比較して大きいことがわかる。
【0025】図56に光吸収係数をパラメータとした光
吸収状態を示す。すなわち、吸収係数の値を定めて光子
の吸収される割合を、光の通過距離に対してプロットし
たものである。図56では、光吸収係数が102 、10
3 、104 、および105 の4通りの曲線を示してい
る。光吸収係数が高いと、短い距離で多くの光が吸収さ
れることになるので、アモルファスSiは単結晶シリコ
ンに比べて膜が薄くて済み、薄膜構造に適していること
がわかる。
【0026】以上を整理すると、 1.アモルファスSi型は吸収係数が大きいので、極め
て薄い層で充分である。ただし、図46の如く、変換効
率は理論上14%が最大であり、単結晶型の20%を越
える変換効率に比べて著しく低い。
【0027】2.アモルファスSi型の光キャリア生成
は主に図53に示した真性半導体層(i)中で行なわれ
るが、入射光が真性半導体層(i)に到達する前にその
一部はp型層のドープ層により吸収され発電に有効に利
用されない。入射光側のドープ層を減少させ真性半導体
層(i)に到達する光を増加させるためには、ドープ層
を多結晶化、単結晶化することが重要であるが、その方
法は困難である。特に安価なガラス基板等を使用する場
合、プロセス温度を低温にする必要があるが、Siの結
晶化温度は高く従来方法では実現が難しい。
【0028】3.アモルファスSiを用いた太陽電池で
は、光の入力側(フロント側)には短波長に感度を持つ
セルを配置し、バック側には長波長に感度を持つセルが
配置できれば、太陽光の広い波長範囲を有効に利用でき
るので、変換効率の大幅な向上が期待できる。そのため
には、フロント側のフロントセルにはアモルファスSi
を、バック側に単結晶または多結晶シリコン薄膜を配置
できれば、変換効率は向上する。しかしながら、従来こ
のような構造を実現しようとすると、バルクシリコン単
結晶基板を使わなければならない。そうすると、安価な
ガラス基板等が使用できなくなり、しかも基板の厚さが
大となって、コスト低減が犠牲となる。
【0029】4.吸収係数が大きいと吸収の良いもの
は、表面近くで光により発生した電子と正孔の中で小数
担体、すなわちp型半導体の中では電子を、n型半導体
の中では正孔を有効に取り出さなければならない。その
ためには、表面部の不純物の濃いドープ層(Pin構造
であればp型層)に結晶的な欠陥が多く発生してしま
い、電子と正孔がすぐ再結合して消滅するので、結晶欠
陥を少なくするか、p型層の深さを浅くし、発生したマ
イノリティキャリア(小数担体)が空乏層に有効に移動
し取り出せるようにしておくことが大切である。通常の
アモルファスSi膜中に水素が含まれていて、その水素
が未結合手と結合し、欠陥を少なくしているとは言え、
一般的には、単結晶と比較して欠陥密度が3桁〜5桁も
高く、表面再結合による損失は大きい。なお、アモルフ
ァスSiの欠陥密度は1020/cm3、グロ放電(プラ
ズマCVD法)にて水素化されたアモルファスSi(ア
モルファスSi:H)の欠陥密度は1015〜1017/c
3 、単結晶Siの欠陥密度は101 2 /cm3 であ
る。
【0030】図57はアモルファスSi:Hと単結晶S
iの物理数を示したものである。図57からわかる通
り、電子や正孔の移動度、拡散長、電子・正孔の寿命時
間等の電気的特性は単結晶シリコンに及ばず、変換効率
が劣る原因となっている。
【0031】これらのことから、光学的特性と電気的特
性を有効に利用してシリコン材料が少なく(薄膜化)か
つ変換効率のすぐれたものを製作するためには、フロン
ト側に結晶系のシリコン薄膜層を配置し、真性半導体層
をアモルファスSi薄膜で形成し、バック側には長波長
側に吸収係数の良い結晶系のシリコン薄膜を配置するの
が望ましい。しかし従来では、安価なガラス基板上等に
単結晶又は多結晶薄膜を形成することができないこと
や、単結晶Siは通常単結晶基板上にしか形成すること
ができなく、アモルファスSi薄膜上には単結晶または
多結晶性のシリコン薄膜を形成することは困難である。
【0032】図58乃至図61は、アモルファスSi層
等をベースに、フロント側に短波長光に感度を持つアモ
ルファスシリコンカーバイト(アモルファスSiC)な
どの太陽電池を配置した提案例である。図58乃至図6
1中の235はガラス基板、236は透明電導膜(TC
O)、237はp型アモルファスSiC、238は真性
(Intrinsic)アモルファスSi層、239は
n型アモルファスSi膜、241はアルミニウムや銀等
からなるバック側電極、図59中の242はn型マイク
ロクリスタルSi層、243はTiO2 、244はセミ
・テクスチュア(繊維)構造層(SuS)、図60中の
245はグレーデッド・ハンド・ギャップ・アモルファ
スSiC、図61中の246は高品質化された真性(I
ntrinsic)アモルファスSi層である。また、
図62の如く、バック側に真性(Intrinsic)
アモルファスSiGe層247を配置した改良研究が行
なわれている。しかしながら、これらのすべての層にア
モルファスを用いているため、図55の如く、長波長に
おいて吸収係数が低くなり、広い周波数範囲をカバーす
るには電気的特性に課題該あり、実現に至っていない。
なお、従来例において、図63の如く、バックエンドに
多結晶Si248を配置したものもあるが、基板材料と
して、前記多結晶Si248を結晶化するための高温環
境下に耐え得るものを必要とするため、基板材料が高価
なものに制限される。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明した従来の
太陽電池には以下のような問題点があった。
【0034】<従来例1、2の問題点>図16乃至図1
9で示した従来例1および図20(A)(B)で示した
従来例2の太陽電池は、例えばスクリーン印刷−乾燥−
焼結の方法で作成していたため、単結晶薄膜を得ること
ができず、結晶状態は通常アモルファスの状態にある。
そうすると、結晶構造が不均一な分、p型またはn型の
不純物の添加が困難となり、その導入量の制御等も困難
となる。
【0035】なお、下地層としての半導体基板に単結晶
のものを用いれば、これを種結晶としてその上面に単結
晶膜を形成することが可能となるが、単結晶基板自体が
大変高価であり、低コスト化の要請に反していた。ま
た、単結晶膜の形成は、従来例では高温環境下で行う必
要があり、故に基板として高温に耐え得るものを使用し
なければならず、高コスト化の要因となっていた。ま
た、特に従来例2のように、禁止帯幅の異なる複数の半
導体部7,8を積み重ねる場合、その材料を変える必要
があり、下地層を種結晶とすること自体が不可能であっ
た。
【0036】ここで、半導体膜に例えばSiを用いる場
合、結晶状のSiの吸収係数は可視部でも104 /cm
にしか過ぎず、太陽光線を全部吸収するには相当厚い板
状の材料が必要で、多結晶の場合には数百μmの厚さが
必要である。一方、アモルファスの場合は、吸収係数が
大きいので比較的薄い材料(例えば1μm)でもよい。
しかし、電子移動度が低いこと、キャリアの寿命が短い
ために変換効率が悪く、5〜10%の変換効率しか得ら
れていない。GaAs等はこの意味で材料として適して
いるが、材料価格が高く、実用に適していない。II−
VI族やIII−V族の化合物も、吸収係数および吸収
端の波長から考えると好ましく、一時期、例えばCdS
が検討されたが、単結晶にし難いこと、p型、n型の不
純物の添加が困難といった欠点がある。但し、これらの
II−VI族やIII−V族の化合物で単結晶化および
不純物のドーピングが可能であれば、むしろSiよりこ
れらの化合物の方が望ましい。したがって、これらII
−VI族やIII−V族の化合物を容易に単結晶化し得
る方法が望まれていた。
【0037】本発明は、上記課題に鑑み、安価な基板を
用いつつも、不純物の添加およびその導入量の制御が容
易となる太陽電池およびその製造方法を提供することを
目的とする。
【0038】<従来例3、4、5の問題点> 1)結晶系Si太陽電池においては、バルクシリコンウ
ェハを使用しなければならないので、基板厚さを最低で
も200μm厚、標準的には300μm厚を要する。ま
たインゴットからシリコンウェハを切り出すので、切断
ロスが120μm〜150μm発生し、Si材料として
は全体で320μmから450μm厚を必要とする。
【0039】これに対し、変換効率を理論値近い20%
のものを得ようとすると、結晶Siの厚さは70〜80
μmで良いので材料の無駄が発生し、コスト高になると
いう問題がある。
【0040】コストを下げるためには、シリコンウェハ
の厚さを薄くし、切断時のロスを最少にすることが必要
であるが、歩留の問題から200μm厚以下にすること
は困難であり、また切断時のロスもマルチワイヤーソ等
を用いる限り100μm以下にすることは難しい。従っ
て太陽電池のコスト低減には限界がある。
【0041】2)結晶系Si基板は主として、LSI用
インゴットの上下両端部の規格外品を流用しコストを下
げる方法が取られているので、従来その資源が枯渇する
という問題をかかえている。
【0042】3)アモルファス系Si太陽電池は、太陽
エネルギーのピーク(500オングストローム)付近で
の光吸収係数は単結晶のそれと比較して、1桁以上高い
値が得られるので、短い距離で多くの光が吸収されるこ
とにより、アモルファスSi系のものは単結晶系の太陽
電池と比較して膜厚が数十分の1〜100分の1以下で
よいので、低コスト化を実現できる特徴がある。またア
モルファスSiは成膜温度が低く安価なガラス基板を用
いることができるなど低コスト化には有利である。しか
し、結晶欠陥が単結晶のそれと比較して、3〜5桁多
く、再結合で電子や正孔が消滅しやすく、かつ移動度も
4〜5桁低く変換効率が劣り、かつ経年変化により劣化
しやすいという問題がある。
【0043】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、低コストで変換効率が高く、かつ劣化の少ない太陽
電池を得ることをも目的とする。
【0044】本発明は、さらに、太陽電池の製造に好適
な多層薄膜形成方法を提供することをも目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
課題解決手段は、基板と、該基板の上面側に該基板と異
なる材料で形成された第1導電型の第1の半導体膜と、
該第1の半導体膜に接続される第1の電極と、前記第1
の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第2の半導
体膜と、該第2の半導体膜側に接続される第2の電極と
を備え、前記第1の半導体膜および第2の半導体膜は単
結晶膜で構成される。
【0046】本発明の請求項2に係る課題解決手段は、
第1導電型の第1の半導体膜および該第1の半導体膜の
上面に形成された第2導電型の第2の半導体膜とを有す
る第1のヘテロ接合部と、前記第2の半導体膜の上面側
に形成された第1導電型の第3の半導体膜および該第3
の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第4の半導
体膜とを有する第2のヘテロ接合部とを少なくとも備
え、該両ヘテロ接合部は光の進行方向に沿って禁止帯幅
の大きい順に配列され、前記第1の半導体膜、第2の半
導体膜、第3の半導体膜および第4の半導体膜は単結晶
膜で構成される。
【0047】本発明の請求項3に係る課題解決手段は、
前記両ヘテロ接合部の間に、光透過可能な薄さの層間導
電体が介在される。
【0048】本発明の請求項4に係る課題解決手段は、
前記層間導電体は前記両ヘテロ接合部に対してオーミッ
ク接合特性を有する金属が使用される。
【0049】本発明の請求項5に係る課題解決手段は、
前記層間導電体の一側に配された第2の半導体膜の結晶
方位と他側に配された第3の半導体膜の結晶方位は互い
に異なって形成される。
【0050】本発明の請求項6に係る課題解決手段は、
前記単結晶膜は、結晶化温度以下の低温度下で反応ガス
を供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面に
垂直な方向からビーム照射されて形成される。
【0051】本発明の請求項7に係る課題解決手段は、
前記単結晶膜は、予め形成されたアモルファス薄膜また
は多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度下で相異なる複
数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射され
て形成される。
【0052】本発明の請求項8に係る課題解決手段は、
前記単結晶膜はII−VI族化合物が用いられる。
【0053】本発明の請求項9に係る課題解決手段は、
前記単結晶膜はIII−V族化合物が用いられる。
【0054】本発明の請求項10に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、
前記第1の工程および第2の工程は、結晶化温度以下の
低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
晶膜よりなる前記第1の半導体膜または第2の半導体膜
を形成する工程を含む。
【0055】本発明の請求項11に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、
前記第1の工程および第2の工程は、予めアモルファス
薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度以下の低温
度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
らビーム照射して単結晶膜よりなる前記第1の半導体膜
または前記第2の半導体膜を形成する工程を含む。
【0056】本発明の請求項12に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の
工程と、前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第
3の半導体膜を形成する第3の工程と、前記第3の半導
体膜の上面に第2導電型の第4の半導体膜およびその電
極を形成して第2のヘテロ接合部を形成する第4の工程
とを少なくとも備え、前記第1の工程、第2の工程、第
3の工程および第4の工程は、結晶化温度以下の低温度
下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向の最
稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜よ
りなる前記第1の半導体膜、前記第2の半導体膜、前記
第3の半導体膜または前記第4の半導体膜を形成する工
程を含む。
【0057】本発明の請求項13に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の
工程と、前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第
3の半導体膜を形成する第3の工程と、前記第3の半導
体膜の上面に第2導電型の第4の半導体膜およびその電
極を形成して第2のヘテロ接合部を形成する第4の工程
とを少なくとも備え、前記第1の工程、第2の工程、第
3の工程および第4の工程は、予めアモルファス薄膜ま
たは多結晶薄膜を形成し、結晶化温度以下の低温度下で
相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビー
ム照射して単結晶膜よりなる前記第1の半導体膜、前記
第2の半導体膜、前記第3の半導体膜または前記第4の
半導体膜を形成する工程を含む。
【0058】本発明の請求項14に係る課題解決手段
は、前記第2の工程と前記第3の工程との間に、両ヘテ
ロ接合部の間に前記両ヘテロ接合部に対してオーミック
接合特性を有する金属からなる層間導電体を光透過可能
な薄さに形成する工程をさらに備える。
【0059】本発明の請求項15に係る課題解決手段
は、前記第3の工程において、第3の半導体膜の結晶方
位を第2の半導体膜の結晶方位と異なって形成する。
【0060】本発明の請求項16に係る課題解決手段で
は、基板と、該基板の上面側に該基板と異なる材料で形
成された第1導電型の第1の半導体膜と、該第1の半導
体膜に接続される第1の電極と、前記第1の半導体膜の
上面に形成された第2導電型の第2の半導体膜と、該第
2の半導体膜側に接続される第2の電極とを備え、前記
第1の半導体膜および第2の半導体膜の各1は、単結晶
膜または軸配向多結晶膜のいずれかで構成される。
【0061】本発明の請求項17に係る課題解決手段で
は、第1導電型の第1の半導体膜および該第1の半導体
膜の上面に形成された第2導電型の第2の半導体膜とを
有する第1のヘテロ接合部と、前記第2の半導体膜の上
面側に形成された第1導電型の第3の半導体膜および該
第3の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第4の
半導体膜とを有する第2のヘテロ接合部とを少なくとも
備え、該両ヘテロ接合部は光の進行方向に沿って禁止帯
幅の大きい順に配列され、前記第1の半導体膜、第2の
半導体膜、第3の半導体膜および第4の半導体膜の各1
は、単結晶膜または軸配向多結晶膜のいずれかで構成さ
れる。
【0062】本発明の請求項18に係る課題解決手段で
は、前記両ヘテロ接合部の間に、光透過可能な薄さの層
間導電体が介在される。
【0063】本発明の請求項19に係る課題解決手段で
は、前記層間導電体は前記両ヘテロ接合部に対してオー
ミック接合特性を有する金属が使用される。
【0064】本発明の請求項20に係る課題解決手段で
は、前記層間導電体の一側に配された第2の半導体膜の
結晶方位と他側に配された第3の半導体膜の結晶方位は
互いに異なって形成される。
【0065】本発明の請求項21に係る課題解決手段で
は、前記単結晶膜は、結晶化温度以下の低温度下で反応
ガスを供給すると同時に、相異なる複数方向の最稠密結
晶面に垂直な方向からビーム照射されて形成される。
【0066】本発明の請求項22に係る課題解決手段で
は、前記単結晶膜は、予め形成されたアモルファス薄膜
または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度下で相異な
る複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射
されて形成される。
【0067】本発明の請求項23に係る課題解決手段で
は、前記軸配向多結晶膜は、結晶化温度以下の低温度下
で反応ガスを供給すると同時に一方向からビーム照射さ
れて形成される。
【0068】本発明の請求項24に係る課題解決手段で
は、前記軸配向多結晶膜は、予め形成されたアモルファ
ス薄膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度下で
一方向からビーム照射されて形成される。
【0069】本発明の請求項25に係る課題解決手段で
は、前記単結晶薄膜または前記軸配向多結晶膜はII−
VI族化合物が用いられる。
【0070】本発明の請求項26に係る課題解決手段で
は、前記単結晶薄膜または前記軸配向多結晶膜はIII
−V族化合物が用いられる。
【0071】本発明の請求項27に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、
前記第1の工程および第2の工程の各1は、(a)結晶化
温度以下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に一方
向からビーム照射して軸配向多結晶半導体膜を形成する
工程、(b)予めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形
成し、結晶化温度以下の低温度下で一方向からビーム照
射して軸配向多結晶半導体膜を形成する工程、(c)結晶
化温度以下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に相
異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム
照射して単結晶半導体膜を形成する工程、および(d)予
めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化
温度以下の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面
に垂直な方向からビーム照射して単結晶半導体膜を形成
する工程、の4工程の中のいずれか1つの工程を含む。
【0072】本発明の請求項28に係る課題解決手段
は、基板の上面側に該基板と異なる材料の第1導電型の
第1の半導体膜およびその電極を形成する第1の工程
と、前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半
導体膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の
工程と、前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第
3の半導体膜を形成する第3の工程と、前記第3の半導
体膜の上面に第2導電型の第4の半導体膜およびその電
極を形成して第2のヘテロ接合部を形成する第4の工程
とを少なくとも備え、前記第1の工程、第2の工程、第
3の工程および第4の工程の各1は、(a)結晶化温度以
下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に一方向から
ビーム照射して軸配向多結晶半導体膜を形成する工程、
(b)予めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形成し、
結晶化温度以下の低温度下で一方向からビーム照射して
軸配向多結晶半導体膜を形成する工程、(c)結晶化温度
以下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる
複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射し
て単結晶半導体膜を形成する工程、および(d)予めアモ
ルファス薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度以
下の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直
な方向からビーム照射して単結晶半導体膜を形成する工
程、の4工程の中のいずれか1つの工程を含む。
【0073】本発明の請求項29に係る課題解決手段
は、前記第2の工程と前記第3の工程との間に、両ヘテ
ロ接合部の間に前記両ヘテロ接合部に対してオーミック
接合特性を有する金属からなる層間導電体を光透過可能
な薄さに形成する工程をさらに備える。
【0074】本発明の請求項30に係る課題解決手段で
は、前記第3の工程において、第3の半導体膜の結晶方
位を第2の半導体膜の結晶方位と異なって形成する。
【0075】本発明の請求項31に係る課題解決手段で
は、前記多結晶薄膜は、結晶化温度以下の低温度下で反
応ガスを供給すると同時に一方向からビーム照射されて
形成された軸配向多結晶薄膜である。
【0076】本発明の請求項32に係る課題解決手段で
は、前記多結晶薄膜は、予め形成されたアモルファス薄
膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度下で一方
向からビーム照射されて形成された軸配向多結晶薄膜で
ある。
【0077】本発明の請求項33に係る課題解決手段で
は、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前記ビ
ーム照射の方向と、前記軸配向多結晶薄膜を前記単結晶
膜へ転換する際における前記ビーム照射の複数方向の1
つとが、互いに同一である。
【0078】本発明の請求項34に係る課題解決手段で
は、前記工程(d)において予め形成される前記多結晶薄
膜が、結晶化温度以下の低温度下で反応ガスを供給する
と同時に一方向からビーム照射することによって、軸配
向多結晶薄膜として形成される。
【0079】本発明の請求項35に係る課題解決手段で
は、前記工程(d)において予め形成される前記多結晶薄
膜が、予め形成されたアモルファス薄膜または多結晶薄
膜の結晶化温度以下の低温度下で一方向からビーム照射
することによって、軸配向多結晶薄膜として形成され
る。
【0080】本発明の請求項36に係る課題解決手段で
は、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前記ビ
ーム照射の方向と、前記軸配向多結晶薄膜を前記単結晶
半導体膜へ転換する際における前記ビーム照射の複数方
向の1つとが、互いに同一である。
【0081】本発明の請求項37,請求項38に係る課
題解決手段は、受光側に配される第1の導電型の第1の
半導体層と、該第1の半導体層より光の進行方向側に配
される第2の導電型の第2の半導体層と、前記第1の半
導体層および前記第2の半導体層の間に介在されるアモ
ルファス膜からなる真性半導体層とを備え、前記第1の
半導体層は単結晶膜または多結晶膜から構成される。
【0082】本発明の請求項39,請求項40に係る課
題解決手段は、前記第2の半導体層は単結晶膜または多
結晶膜から構成される。
【0083】本発明の請求項41,請求項42に係る課
題解決手段は、受光側に配される第1の導電型の第1の
半導体層と、該第1の半導体層より光の進行方向側に配
されるアモルファス膜からなる真性半導体層と、該真性
半導体層より光の進行方向側に配される第2の導電型の
第2の半導体層と、該第2の半導体層の光の進行方向側
に配される第1の導電型の第3の半導体層と、前記第1
の半導体層および前記第2の半導体層の間に介在される
アモルファス膜からなる真性半導体層とを備え、前記第
2の半導体層および前記第3の半導体層は単結晶膜また
は多結晶膜から構成される。
【0084】本発明の請求項43,請求項44に係る課
題解決手段は、前記第1の半導体層は単結晶膜または多
結晶膜から構成される。
【0085】前記単結晶膜は、結晶化温度未満の低温度
下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向の最
稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射されて形成され
る。
【0086】あるいは、前記単結晶膜は、予め形成され
たアモルファス薄膜に対して結晶化温度未満の低温度下
で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビ
ーム照射されて形成される。
【0087】前記多結晶膜は、結晶化温度未満の低温度
下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な
一方向からビーム照射されて形成される。
【0088】あるいは、前記多結晶膜は、予め形成され
たアモルファス薄膜または多結晶薄膜に対して結晶化温
度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向からビ
ーム照射されて形成される。
【0089】望ましくは、前記第1の半導体層は前記真
性半導体層より薄く形成される。
【0090】本発明の請求項50乃至請求項57に係る
課題解決手段は、基板の上面側に該基板と異なる材料の
第1の導電型の単結晶膜または多結晶膜からなる第1の
半導体層およびその電極を形成する第1の工程と、前記
第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真性半
導体層を形成する第2の工程と、前記真性半導体層の上
面に第2の導電型の第2の半導体層およびその電極を形
成する第3の工程とを備える。
【0091】望ましくは、前記第2の半導体層を単結晶
膜または多結晶膜で構成する。
【0092】本発明の請求項58乃至請求項61に係る
課題解決手段は、基板の上面側に該基板と異なる材料の
第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
る第1の工程と、前記第1の半導体層の上面にアモルフ
ァス膜からなる真性半導体層を形成する第2の工程と、
前記真性半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜また
は多結晶膜よりなる第2の半導体層およびその電極を形
成する第3の工程とを備える。
【0093】本発明の請求項62乃至請求項73に係る
課題解決手段は、基板の上面側に該基板と異なる材料の
第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
る第1の工程と、前記第1の半導体層の上面にアモルフ
ァス膜からなる真性半導体層を形成する第2の工程と、
前記真性半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜また
は多結晶膜からなる第2の半導体層を形成する第3の工
程と、前記第2の半導体層の上面に第1の導電型の単結
晶膜または多結晶膜からなる第3の半導体層およびその
電極を形成する第4の工程とを備える。
【0094】望ましくは、前記第1の半導体層を単結晶
膜または多結晶膜で構成する。
【0095】本発明の請求項74乃至請求項85に係る
課題解決手段は、裏面基板の上面側に該裏面基板と異な
る材料の第1の導電型の単結晶膜または多結晶膜からな
る第3の半導体層を形成する第1の工程と、前記第3の
半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜または多結晶
膜からなる第2の半導体層を形成する第2の工程と、前
記第2の半導体層の上側にアモルファス膜からなる真性
半導体層を形成する第3の工程と、前記真性半導体層の
上面に第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を
形成する第4の工程とを備える。
【0096】望ましくは、前記第1の半導体層を単結晶
膜または多結晶膜で構成する。
【0097】そして、前記単結晶膜の形成時には、結晶
化温度未満の低温度下で反応ガスを供給すると同時に相
異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム
照射して単結晶膜を形成する。
【0098】あるいは、前記単結晶膜の形成時には、予
めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化
温度未満の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面
に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜を形成する。
【0099】前記多結晶膜の形成時には、結晶化温度未
満の低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶
面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶膜を形成す
る。
【0100】あるいは、前記多結晶膜の形成時には、予
めアモルファス薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度
下で最稠密結晶面に垂直な一方向からビーム照射して多
結晶膜を形成する。
【0101】また、望ましくは、前記多結晶薄膜は、結
晶化温度未満の低温度下で反応ガスを供給すると同時に
最稠密結晶面に垂直な一方向からビーム照射されて形成
される。
【0102】あるいは、前記多結晶薄膜は、予め形成さ
れたアモルファス薄膜に対して結晶化温度未満の低温度
下で最稠密結晶面に垂直な一方向からビーム照射されて
形成される。
【0103】さらに望ましくは、前記多結晶薄膜を形成
する際における前記ビーム照射の方向と、前記多結晶薄
膜を前記単結晶薄膜へ転換する際における前記ビーム照
射の複数方向の1つとが、互いに同一である。
【0104】本発明の請求項89に係る課題解決手段
は、太陽電池であって、少なくとも一方が光透過性の第
1および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極
の間に形成された半導体部とを、備え、前記半導体部
は、積層された複数の半導体層を備え、前記複数の半導
体層の各1は、単結晶または軸配向多結晶のp型半導体
層とアモルファスの真性半導体層と単結晶または軸配向
多結晶のn型半導体層とが順に積層してなるpin接合
を有する。
【0105】本発明の請求項90に係る課題解決手段
は、太陽電池であって、少なくとも一方が光透過性の第
1および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極
の間に形成された半導体部とを、備え、前記半導体部
は、積層された複数の半導体層を備え、前記複数の半導
体層の各1は、単結晶または軸配向多結晶のp型半導体
層と単結晶または軸配向多結晶のn型半導体層とが積層
してなるpn接合を有する。
【0106】本発明の請求項91に係る課題解決手段
は、太陽電池であって、少なくとも一方が光透過性の第
1および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極
の間に形成された半導体部とを、備え、前記半導体部
は、積層された複数の半導体層を備え、前記複数の半導
体層の各1は、単結晶または軸配向多結晶のp型半導体
層と単結晶または軸配向多結晶のn型半導体層とが積層
してなるpn接合と、単結晶または軸配向多結晶のp型
半導体層とアモルファスの真性半導体層と単結晶または
軸配向多結晶のn型半導体層とが順に積層してなるpi
n接合のいずれかを有する。
【0107】本発明の請求項92に係る課題解決手段
は、請求項89ないし請求項91のいずれかに係る太陽
電池であって、前記複数の半導体層の間に介挿される第
3電極をさらに備える。
【0108】本発明の請求項93に係る課題解決手段
は、pin接合を有する複数の半導体層が積層した半導
体部を基板の上に備える太陽電池の製造方法であって、
(a)所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温度の下
で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前記基板上に供
給することによって当該所定の半導体物質を前記基板上
に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質がスパッ
タリングを起こさない程度の低エネルギーの気体のビー
ムを、一方向または当該所定の半導体物質の単結晶の複
数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照
射し、その結果、第1導電型の当該所定の半導体物質の
軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程と、(b)
前記工程(a)の後で、所定の半導体物質の結晶化が起こ
らない低温度の下で、反応ガスを前記基板上に供給する
ことによって当該所定の半導体物質を堆積し、その結
果、当該所定の半導体物質のアモルファス薄膜を形成す
る工程と、(c)前記工程(b)の後で、所定の半導体物質の
結晶化が起こらない低温度の下で、第2導電型不純物を
含む反応ガスを前記基板上に供給することによって当該
所定の半導体物質を前記基板上に堆積する過程の中で、
前記所定の半導体物質がスパッタリングを起こさない程
度の低エネルギーの気体のビームを、一方向または当該
所定の半導体物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複
数の方向から、前記基板上へ照射し、その結果、第2導
電型の当該所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単
結晶層を形成する工程と、(d)前記工程(c)の後に、前記
工程(a)〜(c)をさらに少なくとも1回反復する工程と、
を備える。
【0109】本発明の請求項94に係る課題解決手段
は、pn接合を有する複数の半導体層が積層した半導体
部を基板の上に備える太陽電池の製造方法であって、
(a)所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温度の下
で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前記基板上に供
給することによって当該所定の半導体物質を前記基板上
に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質がスパッ
タリングを起こさない程度の低エネルギーの気体のビー
ムを、一方向または当該所定の半導体物質の単結晶の複
数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照
射し、その結果、第1導電型の当該所定の半導体物質の
軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程と、(c)
前記工程(a)の後で、所定の半導体物質の結晶化が起こ
らない低温度の下で、第2導電型不純物を含む反応ガス
を前記基板上に供給することによって当該所定の半導体
物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半
導体物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
ギーの気体のビームを、一方向または当該所定の半導体
物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
ら、前記基板上へ照射し、その結果、第2導電型の当該
所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形
成する工程と、(d)前記工程(c)の後に、前記工程(a)、
(c)をさらに少なくとも1回反復する工程と、を備え
る。
【0110】本発明の請求項95に係る課題解決手段
は、pin接合を有する半導体層とpn接合を有する半
導体層が二層以上に積層した半導体部を基板の上に備え
る太陽電池の製造方法であって、(A)pin接合を有す
る半導体層を形成する工程と、(B)pn接合を有する半
導体層を形成する工程とを、備え、前記工程(A)が、(A-
1)所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温度の下
で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前記基板上に供
給することによって当該所定の半導体物質を前記基板上
に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質がスパッ
タリングを起こさない程度の低エネルギーの気体のビー
ムを、一方向または当該所定の半導体物質の単結晶の複
数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照
射し、その結果、第1導電型の当該所定の半導体物質の
軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程と、(A-
2)前記工程(A-1)の後で、所定の半導体物質の結晶化が
起こらない低温度の下で、反応ガスを前記基板上に供給
することによって当該所定の半導体物質を堆積し、その
結果、当該所定の半導体物質のアモルファス薄膜を形成
する工程と、(A-3)前記工程(A-2)の後で、所定の半導体
物質の結晶化が起こらない低温度の下で、第2導電型不
純物を含む反応ガスを前記基板上に供給することによっ
て当該所定の半導体物質を前記基板上に堆積する過程の
中で、前記所定の半導体物質がスパッタリングを起こさ
ない程度の低エネルギーの気体のビームを、一方向また
は当該所定の半導体物質の単結晶の複数の最稠密面に垂
直な複数の方向から、前記基板上へ照射し、その結果、
第2導電型の当該所定の半導体物質の軸配向多結晶層ま
たは単結晶層を形成する工程と、を備え、前記工程(B)
が、(B-1)所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温
度の下で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前記基板
上に供給することによって当該所定の半導体物質を前記
基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質が
スパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの気体
のビームを、一方向または当該所定の半導体物質の単結
晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板
上へ照射し、その結果、第1導電型の当該所定の半導体
物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程
と、(B-2)所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温
度の下で、第2導電型不純物を含む反応ガスを前記基板
上に供給することによって当該所定の半導体物質を前記
基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質が
スパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの気体
のビームを、一方向または当該所定の半導体物質の単結
晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板
上へ照射し、その結果、第2導電型の当該所定の半導体
物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程
と、を備える。
【0111】本発明の請求項96に係る課題解決手段
は、基板の上にアモルファスの薄膜と結晶性の薄膜とを
含む複数種類の薄膜が積層して成る多層薄膜を形成する
ための多層薄膜形成方法であって、下記の工程(a),(b),
(c),および(d)の中から、少なくとも工程(a)とその他の
いずれか1つの工程とをそれぞれ少なくとも1回含むよ
うに、重複を許して複数回選択して連続的に実行する;
ここで前記工程(a)〜(d)は、(a)所定の物質の結晶化が
起こらない低温度の下で、当該所定の物質の原料ガスと
水素ガスとを含む反応ガスを前記基板上に供給しつつ化
学気相成長法を実行することによって当該所定の物質を
堆積し、その結果、当該所定の物質のアモルファス薄膜
を形成する工程;(b)所定の物質の結晶化が起こらない
低温度の下で、反応ガスを前記基板上に供給しつつ化学
気相成長法を実行することによって当該所定の物質を前
記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の物質がスパ
ッタリングを起こさない程度の低エネルギーの気体のビ
ームを、当該所定の物質の単結晶の複数の最稠密面に垂
直な複数の方向から、前記基板上へ照射し、その結果、
当該所定の物質の単結晶薄膜を形成する工程;(c)所定
の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反応ガスを
前記基板上に供給しつつ化学気相成長法を実行すること
によって当該所定の物質を前記基板上に堆積する過程の
中で、前記所定の物質がスパッタリングを起こさない程
度の低エネルギーの気体のビームを、前記基板上へ一方
向から照射し、その結果、前記所定の物質の軸配向多結
晶薄膜を形成する工程;および、(d)所定の物質の結晶
化が起こらない低温度の下で、反応ガスを前記基板上に
供給しつつ化学気相成長法を実行することによって当該
所定の物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所
定の物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
ギーの気体のビームを、前記基板上へ一方向から照射
し、その結果、前記所定の物質の軸配向多結晶薄膜を形
成し、その後、前記反応ガスの供給を停止して、所定の
物質の結晶化が起こらない範囲の高温度の下で、当該所
定の物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
ギーの気体のビームを、当該所定の物質の単結晶の複数
の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照射
し、その結果、前記軸配向多結晶薄膜を単結晶薄膜へと
転換する工程;である。
【0112】本発明の請求項97に係る課題解決手段
は、請求項96に係る方法であって、前記工程(d)で、
前記軸配向多結晶薄膜を形成する際における前記気体の
ビームの方向と、前記軸配向多結晶薄膜を前記単結晶薄
膜へ転換する際における前記気体のビームの複数方向の
1つとが、互いに同一である。
【0113】本発明の請求項98に係る課題解決手段
は、請求項96または請求項97に係る方法において、
前記気体が不活性ガスである。
【0114】本発明の請求項99に係る課題解決手段
は、請求項98に係る方法において、前記不活性ガスを
構成する元素の原子量が、照射を受ける前記所定の物質
を構成する元素の最大の原子量を越えない。
【0115】本発明の請求項100に係る課題解決手段
は、請求項99に係る方法において、前記不活性ガスを
構成する元素の原子量が、前記所定の物質を構成する元
素の最大の原子量を越えず、かつ、最も近い原子量であ
る。
【0116】本発明の請求項101に係る課題解決手段
は、請求項96に係る方法であって、前記工程(a)で供
給される原料ガスがシランガスである。
【0117】なお、この発明において「基板」とは、そ
の上に薄膜を形成する対象とされる媒体全般を意味す
る。
【0118】また、この発明において「気体のビーム」
とは、ビーム状のイオン流、原子流、分子流の何れをも
包含する概念である。
【0119】
【作用】本発明請求項1では、各半導体膜を夫々単結晶
膜で構成しているので、光が進入した際の電子移動度を
飛躍的に向上でき、電気的性質を向上できる。また、半
導体膜が単結晶のため、不純物の添加が容易となる。
【0120】本発明請求項2では、タンデム構造を採用
して広範囲の光を吸収しつつ、各半導体膜を夫々単結晶
膜で構成することで、光が進入した際の電子移動度を飛
躍的に向上させ、電気的性質を向上できる。
【0121】本発明請求項3では、両ヘテロ接合部の間
に層間導電体を介在させているので、両ヘテロ接合部の
界面でトンネル電流を発生させるだけの場合に比べて、
太陽電池の抵抗値を低減できる。特に、請求項4では、
オーミック接合特性を有せしめることで、抵抗値を飛躍
的に低減できる。また、請求項3では、層間導電体を光
透過可能な薄さに形成しているので、一方のヘテロ接合
部を通過した光をできるだけ他方のヘテロ接合部に進入
させることができ、光吸収性を向上できる。
【0122】本発明請求項5では、層間導電体の一側に
配された第2の半導体膜の結晶方位と他側に配された第
3の半導体膜の結晶方位を変化させているので、低抵抗
のオーミック接合が得られる。
【0123】本発明請求項6、請求項7、および請求項
10乃至請求項15では、下地層が単結晶構造でなくて
も、その上面に結晶方位の揃った単結晶の膜を、自由な
膜厚の設定で、しかも低温下で容易に形成できる。特
に、半導体膜の厚さを、太陽電池として必要十分な程度
に薄くでき、部材コストを可及的に低減できる。
【0124】本発明請求項8および請求項9では、一般
に半導体材料中で吸収できる光子数は、禁止帯幅が大き
いほど少なくなるが、吸収した光子のもつエネルギーの
中で外部に取り出せるエネルギーの割合は禁止帯幅に比
例して大きくなる。したがって、吸収できる光子数と光
子の外部に取り出せるエネルギーの割合とを掛け合わす
と、変換効率と禁止帯幅とに相関関係が生じることがわ
かる。そして、かかる相関関係において、CdS/Cd
Te接合等のII−VI族またはGaAs等のIII−
V族の化合物の禁止帯幅が最も高い変換効率を示すこと
が知られている。このことに鑑み、半導体膜の材料とし
てII−VI族またはIII−V族の化合物を使用する
ことで、吸収係数および吸収端の波長の特性が飛躍的に
向上する。
【0125】本発明請求項16ないし請求項36のいず
れかでは、各半導体膜が単結晶膜か軸配向多結晶膜のい
ずれかで構成される。軸配向多結晶膜は、結晶粒の間で
一つの結晶方位だけが揃っている多結晶膜であり、結晶
粒の方位が任意である通常の多結晶膜に比べて規則性が
高いので、単結晶膜に近い特性をもっている。したがっ
て、半導体膜の一部ないし全部が単結晶膜の代わりに軸
配向多結晶膜に置き換えられた太陽電池においても、各
半導体膜のいずれもが単結晶膜で構成される太陽電池に
近い特性が得られる。
【0126】特に、軸配向多結晶膜が一方向からのビー
ム照射によって形成される場合では、単結晶膜が複数方
向からのビーム照射によって形成される場合と同様に、
下地層の結晶構造には無関係に、その上面に軸配向多結
晶膜を、自由な膜厚の設定で、しかも低温下で容易に形
成できる。特に、半導体膜の厚さを、太陽電池として必
要十分な程度に薄くでき、部材コストを可及的に低減で
きる。
【0127】さらに、本発明請求項31ないし請求項3
6のいずれかでは、一方向からのビーム照射によって軸
配向多結晶薄膜を一旦形成し、この軸配向多結晶薄膜に
さらに複数方向からのビーム照射を行ってこれを単結晶
化することによって単結晶膜が得られる。このため、多
結晶薄膜から単結晶膜への転換が十分に行われない場合
でも、少なくとも軸配向多結晶膜が存在するために、半
導体膜が単結晶膜で構成される太陽電池に近い特性が保
証される。
【0128】さらに、本発明請求項33または請求項3
6によれば、軸配向多結晶薄膜を形成する際におけるビ
ーム照射の方向と、軸配向多結晶薄膜を単結晶膜へと転
換する際におけるビーム照射の複数方向の1つとが、互
いに同一であるので、単結晶膜への転換が円滑に行われ
る。
【0129】本発明請求項37、請求項38、請求項4
3、請求項44、請求項50、請求項51、請求項5
2、請求項53、請求項70、請求項71、請求項7
2、請求項73、請求項82、請求項83、請求項84
および請求項85では、Pin構造の太陽電池の受光側
の第1の半導体層を単結晶膜または多結晶で構成し、光
の進行方向側の真性半導体層をアモルファス膜で構成す
ることで、受光側の第1の半導体層で主として長波長光
を吸収し、真性半導体層で主として短波長光を吸収でき
る。そうすると、両層をアモルファス膜で構成していた
従来例に比べて広い波長の光を効率よく吸収できる。
【0130】また、特に請求項37、請求項43、請求
項50、請求項51、請求項70、請求項71、請求項
82および請求項83では、表面層を単結晶膜で形成す
ることで、欠陥密度を大幅に低減させることができ、光
の吸収により発生した小数担体が再結合により消滅する
割合を少なくでき、小数担体を有効に取り出すことがで
きる。
【0131】さらに、上記のように各半導体層を結晶化
することで、該半導体層の経時的変化による劣化を防止
できる。
【0132】ここで、単結晶膜または多結晶膜の第1の
半導体層で吸収しきれず通過してしまう長波長光につい
て、請求項39、請求項40、請求項54および請求項
55では、第2の半導体層によって、あるいは請求項4
1、請求項42、請求項62乃至請求項69および請求
項74乃至請求項81では第2の半導体層および第3の
半導体層によって長波長光をさらに吸収でき、長波長側
の吸収特性を向上し得る。特に、請求項41、請求項4
2、請求項62乃至請求項69および請求項74乃至請
求項81では、タンデム構造を採用しているため、広い
光波長の吸収特性を有せしめることができる。
【0133】本発明請求項45では、受光側の半導体層
を薄膜化することで、受けた光の一部、すなわち主とし
て長波長光の一部を吸収した後、できるだけ多くの光を
真性半導体層へ通過させることができ、真性半導体層で
の短波長を中心とした光の吸収効率を向上できる。しか
も、アモルファス膜としての真性半導体層は元来吸収効
率がよく、薄膜化してもその吸収特性が損なわれること
が少ないため、全体としての薄膜化を容易に達成でき
る。
【0134】本発明請求項46乃至乃至請求項88で
は、結晶化に当たって低温環境下で作業を行うことがで
き、故に下地層に耐熱性が要求されないため、例えばガ
ラス等の安価な基板を用いて該基板上に結晶膜を形成で
きる。また、単結晶膜または多結晶膜の半導体層の厚さ
を、アモルファス膜の形成と全く同様にして自由に設定
でき、単結晶膜または多結晶膜のウェハから半導体膜を
成長形成していた従来例に比べて、該半導体層の厚さを
大幅に薄く設定できる。そうすると、結晶膜として十分
な光吸収特性を有する範囲内で半導体層を可及的に薄膜
化でき、太陽電池全体の薄型化を図り得る。これらのこ
とから、結晶化半導体層にて特性を向上させながらも部
材コストを大幅に低減できる。
【0135】特に、請求項86ないし請求項88によれ
ば、一方向からのビーム照射によって一つの最稠密面の
方向が揃った多結晶薄膜すなわち軸配向多結晶薄膜を一
旦形成し、この軸配向多結晶薄膜にさらに複数方向から
のビーム照射を行ってこれを単結晶化することによって
単結晶膜が得られる。
【0136】さらに、請求項88によれば、軸配向多結
晶薄膜を形成する際におけるビーム照射の方向と、軸配
向多結晶薄膜を単結晶膜へと転換する際におけるビーム
照射の複数方向の1つとが、互いに同一である。このた
め、軸配向多結晶薄膜における方位の揃った最稠密面に
ついては、単結晶化に際してその方向が維持される。し
たがって、単結晶化がより円滑に進行する。
【0137】請求項89〜請求項91のいずれかに記載
の太陽電池では、pin接合またはpn接合を有する半
導体層が複数層に積層されているので、大きな起電力が
得られる。また、一つのpin接合またはpn接合で吸
収しきれなかった光が他のpin接合またはpn接合で
無駄なく吸収される。また、p型半導体層とn型半導体
層の結晶構造が単結晶または軸配向多結晶であるため
に、これらの半導体層での欠陥の密度が低く、そのた
め、少数担体の再結合が起こりにくい。
【0138】請求項92に記載の太陽電池では、pin
接合またはpn接合を有する各半導体層の間に第3電極
が介挿されている。したがって、各半導体層で発生した
起電力を独立して取り出すことが可能である。
【0139】請求項93〜請求項95に記載の製造方法
は、請求項89〜請求項95に記載の太陽電池の製造に
それぞれ適している。
【0140】請求項96に記載の多層薄膜形成方法で
は、比較的低温度で、結晶構造の異なる複数層を有する
薄膜が形成される。しかも、このような多層膜を真空中
で連続して形成できるので、界面に水分等の汚染物質が
付着しないために、優れた界面特性を得ることができ
る。さらに、アモルファス薄膜を形成する過程では、例
えばシリコンなどの薄膜物質を構成するシランガスなど
の原料ガスに、水素ガスが混入される。水素ガスはアモ
ルファス薄膜を安定化する働きがあるので、アモルファ
ス薄膜が安定して形成される。
【0141】請求項97に記載の方法では、軸配向多結
晶薄膜を一旦形成し、その後、これを単結晶化するとい
う2段階で単結晶薄膜を形成する工程において、最初の
軸配向多結晶薄膜を形成する段階でのビーム照射の方向
と、後の単結晶化の段階でのビーム照射の複数方向の一
つとが一致している。このため、単結晶化に際して、軸
配向多結晶薄膜の方位の揃った最稠密面はそのまま維持
されるので、単結晶化が円滑に進行する。
【0142】請求項98に記載の方法では、ビームとし
て照射される気体が不活性ガスであるので、照射後に気
体の原子またはイオンが薄膜の中に残留しても、これら
が薄膜の電子物性へ不純物として悪影響を及ぼすことが
少ない。
【0143】請求項99に記載の方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射対象である
所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、
照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、
薄膜の表面ないしその近傍で後方へ反跳し、薄膜の中に
残留し難い。
【0144】請求項100に記載の方法では、照射され
る不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射を受ける
所定の物質を構成する元素の最大の原子量に最も近い値
であるので、ビームの照射効果を最大限に引き出すこと
ができる。
【0145】請求項101に記載の方法では、アモルフ
ァス薄膜を形成する際の原料ガスがシランガスであるた
めにシリコンのアモルファス薄膜が形成される。また、
シランガスに水素ガスが混入されるので、アモルファス
シリコンの薄膜が安定して得られる。
【0146】
【実施例】
[第1の実施例] (構成)図1は本発明の第1の実施例として、III−
V族化合物半導体を用いた太陽電池を示す断面図であ
る。図1中、11はガラス製またはSiO2 /Si製の
基板、12は前記基板11の上面側に基板11と異なる
GaAs等のIII−V族材料で形成されたn型(第1
導電型)の第1の半導体膜、13は前記第1の半導体膜
12の裏面に接続される第1の電極(裏面側電極)、1
4は前記第1の半導体膜12の上面に形成されたp型
(第2導電型)GaAs製等の第2の半導体膜、15は
光によって生成したキャリアの再結合を防ぐための表面
電界形成用のp型AlGaAs膜、16は第2の電極
(表面側電極)である。そして、前記第1の半導体膜1
2、第2の半導体膜14およびp型AlGaAs膜15
は夫々単結晶膜で構成されている。このように、各半導
体膜12,14,15を夫々単結晶膜で構成しているの
で、光が進入した際の電子移動度を飛躍的に向上でき、
電気的性質を向上できる。
【0147】ここで、一般に半導体材料中で吸収できる
光子数は、禁止帯幅が大きいほど少なくなるが、吸収し
た光子のもつエネルギーの中で外部に取り出せるエネル
ギーの割合は禁止帯幅に比例して大きくなる。したがっ
て、吸収できる光子数と光子の外部に取り出せるエネル
ギーの割合とを掛け合わすと、変換効率と禁止帯幅とに
相関関係が生じることがわかる。そして、かかる相関関
係において、CdS/CdTe接合等のII−VI族ま
たはGaAs等のIII−V族の化合物の禁止帯幅が最
も高い変換効率を示すことが知られている。このことに
鑑み、本実施例では、半導体膜12,14,15の材料
としてIII−V族の化合物を使用することで、吸収係
数および吸収端の波長の特性が飛躍的に向上する。
【0148】(製造方法)上記構成の太陽電池は次のよ
うに製造される。まず、図2に示した基板11の上面に
Ag等を用いて第1の電極13を蒸着等にて形成した
後、図3の如く、第1の電極13の上面に、CVD法等
にてn型の第1の半導体膜12をアモルファス状に形成
する。そして、これと同時に、第1の半導体膜12を、
後述のラディカルビーム照射法にて単結晶化する。
【0149】次に、図4の如く、第1の半導体膜12の
上面に、CVD法等にてp型の第2の半導体膜14をア
モルファス状に形成する。そして、これと同時に、第2
の半導体膜14を、後述のラディカルビーム照射法にて
単結晶化する。ひき続き、図5の如く、第2の半導体膜
14の上面に、CVD法等にてp型AlGaAs膜15
をアモルファス状に形成する。そして、これと同時に、
p型AlGaAs膜15を、後述のラディカルビーム照
射法にて単結晶化する。しかる後、p型AlGaAs膜
15の上面に、Ag等を用いて第2の電極16を蒸着法
またはスパッタリング法等にて選択的に形成し、図1に
示した太陽電池を完成させる。
【0150】(単結晶膜形成方法)上記製造方法のう
ち、各膜12,14,15をアモルファス状に形成し、
これと同時に単結晶化する単結晶膜形成方法(ラディカ
ルビーム照射法)について詳述する。
【0151】<単結晶膜形成装置の全体構成>図6はこ
の発明の実施例における単結晶膜形成方法を効果的に実
現するための単結晶膜形成装置の一例を示す正面断面図
である。この単結晶膜形成装置60では、反応容器61
の上部に、電子サイクロトロン共鳴型(ECR)のイオ
ン発生器62が組み込まれている。ECRイオン発生器
62は、プラズマ室64を内部に規定するプラズマ容器
63を備えている。プラズマ容器63の周囲には、プラ
ズマ室64に直流の高磁場を印加する磁気コイル65が
設置されている。プラズマ容器63の上面には、マイク
ロ波をプラズマ室64へ導入する導波管66、およびネ
オン(Ne)や酸素(O)などの不活性ガスを導入する
不活性ガス導入管67が設けられている。
【0152】反応容器61は、その内部に反応室68を
規定する。プラズマ容器63の底部はその中央部に、プ
ラズマが通過する引出口69を規定する。反応室68と
プラズマ室64とは、この引出口69を介して互いに連
通している。反応室68の内部には、引出口69の直下
の位置に試料台70が設置されている。試料台70の上
には、太陽電池となる試料71が載置され、さらに反射
板72が試料71の上方に位置するように設置される。
そして、試料71の上に所望の単結晶膜が形成される。
反射板72は、好ましくは金属で構成される。試料台7
0は、図示しない回転駆動機構に連結されており、水平
面内で回転可能である。また、試料台70は反射板72
を固定したまま、試料71を水平に移動し得る構造とな
っている。
【0153】反応室68には、反応ガス供給管73が連
通している。この反応ガス供給管73を通して、プラズ
マCVDにより試料71上に所定の物質の膜を形成する
ための反応ガスが供給される。図6の例では、3本の反
応ガス供給管73a、73b、および73cが設けられ
ている。反応室68には、更に真空排気管74が連通し
ている。この真空排気管74の一端には、図示しない真
空装置が連結しており、真空排気管74を介して、反応
室68に存在する気体が排気されることにより、反応室
68における真空度が所定の高さに保持される。反応室
68における真空度を表示する真空計75が、反応室6
8に連通して設置されている。
【0154】<反射板の構成>図7は、反射板72の一
例における斜視図である。この反射板72aは、ダイヤ
モンド構造を有する単結晶を形成するための反射板の一
例である。反射板72aは、平板状の基台81の中央部
に開口部を規定する。この開口部の周囲に、63個の直
方体のブロック82が固定的に設置され、それらの内側
に夫々反射用ブロック83が固定されている。その結
果、基台81の中央部には、これらの反射用ブロック8
3で縁どりされた正三角形状の開口部84が形成され
る。反射用ブロック83において、開口部84に面する
斜面85が、気体ビームを反射する反射面として機能す
る。したがって、斜面85の傾斜角度は、形成すべき単
結晶の結晶軸の方向に対応して適切な大きさに設定され
る。
【0155】図8は、ブロック82と反射用ブロック8
3とで構成される反射板72aの一部分の三面図であ
り、図8(a)、図8(b)、および図8(c)は、夫
々平面図、側面図、および正面図である。図8(b)に
図示するように、斜面85の傾斜角度は例えば55゜に
設定される。反射板72aは試料71を固定しない構造
となっているので、試料71が反射板72aに相対的に
水平移動し得る。このため、反射板72aを試料台70
に固定したまま、試料71を水平に移動させることによ
って、面積の大きい試料71の上に単結晶膜を形成する
ことが可能である。
【0156】<ECRイオン発生器の動作>図6に戻っ
て、ECRイオン発生器62の動作について説明する。
不活性ガス導入管67からプラズマ室64へ、Ne、
O、Ar等の不活性ガスを導入しつつ、同時に導波管6
6からプラズマ室64へマイクロ波が導入される。更に
同時に、磁気コイル65に直流電流が供給されることに
より、プラズマ室64およびその周囲に直流磁場が形成
される。供給された気体は、マイクロ波と直流磁場の作
用でプラズマ状態に保たれる。このプラズマは、マイク
ロ波と直流磁場とによってサイクロトロンの原理で螺旋
運動する高エネルギーの電子によって生成される。
【0157】この電子は、反磁性の特性を有するので、
磁場の弱い方に移動し、磁力線に沿った電子流を形成す
る。その結果、電気的中性を維持するために、電子流に
伴われて正イオンも、磁力線に沿ったイオン流を形成す
る。すなわち、引出口69から反応室68へ、下方向に
向かう電子流とイオン流とが形成される。イオン流は、
電子流と並行して流れるので、消イオン時間を経過する
と、互いに再結合することによって中性原子流となる。
したがって、引出口69から下方に所定距離以上離れた
位置では、殆ど中性の原子流のみが形成されている。
【0158】図9は、ECRイオン発生器62によっ
て、10eVのAr+ イオンを引出口69より取り出し
たときの、イオン電流密度と引出口69からの距離との
関係を実測した結果を示すグラフである。このグラフに
よれば、イオン電流密度は、引出口から4〜5cmの距
離から急激に減少を始め、14cmの位置では1/10
〜1/12の大きさに減衰することが読み取れる。イオ
ン電流が減衰した分、中性原子流が増加しており、引出
口69から下方に14cm以上離れた位置では、殆ど中
性の原子流のみが下方向へ向かって流れている。
【0159】このように、ECRイオン発生器62は、
イオンを発生する装置でありながら、イオン流を電子流
に並行して形成するので、ECRイオン発生器62を用
いることにより、イオン流を中性化する他の手段を用い
ることなく、密度の高い中性の原子流を容易に得ること
ができるという利点がある。また、イオン流が電子流と
並行して形成されるので、進行方向があまり発散するこ
となく、進行方向の揃った平行流に近いイオン流が得ら
れる。また、平行なイオン流が中性の原子流に転換され
るので、原子流も進行方向の揃った平行流に近いものと
なる。
【0160】<単結晶膜形成装置の動作>再び図6に戻
って、第1の半導体膜12、第2の半導体膜14および
AlGaAs膜15を形成する際の装置60の動作につ
いて説明する。反射板72として図7および図8に示し
た反射板72aを用いる。まず、夫々の下地層の上面
に、反応ガス供給管73a、73b、および73cの夫
々から反応ガスを供給する。具体的には、第1の半導体
(n型GaAs)膜12の形成時には、反応ガス供給管
73aからはキャリアガスとしてArを用い−12〜1
0゜Cに保持されたトリエチルガリウム(TEG)また
はトリメチルガリウム(TMG)等の気相化合物(5s
ccm[1×10-5〜4×10-5mol/min])
を、反応ガス供給管73bからはArで10%に希釈し
たAsH3 (10sccm[4×10-4mol/mi
n])を、反応ガス供給管73cからはArで10%に
希釈したH2Te(5sccm[1×10-5〜2.4×
10-5mol/min])を夫々供給する。また、第2
の半導体(p型GaAs)膜14の形成時には、反応ガ
ス供給管73cからの供給材をH2 Teに代えてZn
(CH3 2 とする。さらに、およびAlGaAs膜1
5の形成時にはAlを混入する。この際、装置内の真空
度は、背圧が10-7Torr以下、動作時圧が1×10
-4〜4×10-4Torrとなるよう設定し、また、μ波
電力としては2.34GHz/300W、成長速度を
0.1〜0.3μ/hrに夫々設定して行う。また、p
型結晶にする場合、DMZ(Dimethyl Zin
c)を5sccm[1×10-5〜2.4×10-5mol
/min]で供給する。これらの薄膜形成時には、不活
性ガス導入管67から比較的原子量の小さいNe原子ま
たはAr原子等のn型またはp型の不活性ガスを同時に
導入する。なお、例えばAr原子を用いる場合は15s
ccm[7×10-4mol/min]で導入するのが望
ましい。
【0161】ECRイオン発生器62の働きにより、引
出口69から下方に向かって+イオン流と電子流が形成
される。引出口69から反射板72a(72)までの距
離は、好ましくは、+イオン流が殆ど中性原子流に転換
されるのに十分なだけの大きさに設定される。また、反
射板72a(72)は、この下方向へ向かう原子流が降
り注ぐ位置に設置される。反応ガス供給管73から供給
される反応ガスは、これらの+イオン流あるいは原子流
によって、試料71へ向かって叩きつけられる。その結
果、試料71の上面においてプラズマCVD反応が進行
し薄膜が成長する。
【0162】このとき、基板71を、薄膜を構成する物
質の結晶化が通常のプラズマCVDでは起こらない低温
度下(例えば、基板加熱を行なわない)に保っておく。
このため、薄膜は、まず非晶質であるアモルファス薄膜
として基板71上に形成される。
【0163】前述の下方向へ向かうNe等の原子流の一
部は、反射板72aに形成されている3つの斜面85に
よって反射され、更に開口部84を通って試料71の上
面へ入射する。また、原子流の他の一部は、斜面85へ
入射せずに開口部84を通過して試料71の上面へ直接
に入射する。すなわち、試料71の上面に形成されつつ
あるアモルファス薄膜には、引出口69から直進して来
た成分と、3つの斜面85によって反射されて来た3成
分とからなる4成分の原子流が照射される。斜面85の
傾斜角が55゜に設定されているために、これら4成分
の原子流の入射方向は、形成すべき単結晶の4個の独立
な最稠密結晶面、すなわち(111)面に垂直な4方向
に対応する。
【0164】ところで、ECRイオン発生器62によっ
て形成されるプラズマのエネルギーは、試料71に到達
する原子のエネルギーが、アモルファス薄膜においてス
パッタリングを引き起こさない大きさになるように、す
なわち原子の照射によるGaAsのスパッタリングにお
けるスレッショルド・エネルギーとして知られる値より
も低くなるように設定される。したがって、成長しつつ
あるアモルファス薄膜に、いわゆるブラベー(Bravais
)の法則が作用する。すなわち、アモルファス薄膜に
照射される原子流の入射方向に垂直な面が、最稠密結晶
面となるようにアモルファス薄膜内の分子が再配列す
る。照射される原子流は4つの成分を有しており、しか
も各成分の入射方向は、単一の結晶方位を有する単結晶
膜の最稠密面に垂直な方向に対応するので、これらの各
成分の入射方向に垂直な面がいずれも最稠密面となるよ
うに分子が再配列する。互いに独立な入射方向を有する
複数の原子流の成分によって、(111)面の方向が規
制されるので、分子が再配列することによって、単一の
結晶方位を有する単結晶膜が形成される。すなわち、プ
ラズマCVDによって成長しつつあるアモルファス薄
は、結晶方位の揃った単結晶膜へ逐次転換される。
【0165】前述のように単結晶膜に照射する原子流を
構成する元素として、相対的に軽いNeを選択するのが
望ましい。これは、原子流が単結晶膜に照射された際
に、比較的重い分子が比較的軽いNe原子を後方へ散乱
する確率が高いために、Ne原子が単結晶膜の中に侵入
し残留するということが起こりにくいからである。更
に、照射する原子流を構成する元素に不活性元素を選択
するのは、不活性元素が単結晶膜の中に残留しても、こ
の残留する不活性元素は、元の分子およびドープされた
不純物等のいずれとも化合物を形成することがなく、単
結晶膜の電子物性には余り影響を及ぼさず、しかも出来
上がった単結晶膜をある程度昇温することによって、容
易に外部へ除去され得るからである。
【0166】また、前述のように反射板72は金属で構
成されるのが望ましい。なぜならば、中性原子流にわず
かに混在するNe+ イオン流が導電性の反射板72で反
射されたときに、Ne+ イオンが、中性原子に変換さ
れ、試料71には変換された中性原子流が照射されるか
らである。中性原子流はイオン流と異なり、進行方向が
発散し難いので、方向の揃った流れとして試料71へ入
射するという利点がある。
【0167】装置60では、プラズマCVDによりアモ
ルファス薄膜が成長する過程で、同時に単結晶への転換
が逐次進行する。このため、膜厚の大きい単結晶膜を、
しかも低温下で形成することが可能である。低温度下で
単結晶膜を形成できるので、例えば既に所定のデバイス
が作り込まれた試料の上に、このデバイスの特性を変え
ることなく、更に新たな単結晶膜を形成することが可能
である。
【0168】なお、上述した方法ではCVD法を用いて
いたが、Sol−Gel法で製造する場合には、これら
の成分元素の有機化合物の混合物のゲル状液をスピナー
で塗布し焼成したのち上記と同様にラディカルビーム照
射法で照射すればよい。
【0169】また、本実施例では、一回のアモルファス
薄膜形成と同時に、これを単結晶化していたが、単結晶
膜に一定の厚さが要求される場合は、上述の方法で単結
晶薄膜を形成した後、これを種結晶としてその上面に単
結晶膜を成長させるか、あるいは上述の方法を何度も繰
り返すことで単結晶膜を形成すれば、厚さを増しても均
一性の高い安定した単結晶膜を得ることができる。
【0170】このように、基板11として、どのような
材料を用いようとも、その上面に任意の材料を用いた半
導体膜12,14,15を成長させ得、かつこれらを容
易に単結晶化することができるので、吸収係数および吸
収端の波長の特性を向上させるためにIII−V族の化
合物を材料として用いることが可能となる。また、図1
のように、金属材料を用いた第1の電極13の上面に単
結晶膜としての第1の半導体膜12を容易に形成するこ
とができる等、設計の自由度が増し、設計変更が容易に
なる。すなわち、本実施例では、支持基板11の上面に
CVD法にて単結晶の各半導体膜12,14,15を形
成できるため、必ずしもウェハを用いて太陽電池を製造
する必要がなくなり、任意の安価な基板を用いて該各半
導体膜12,14,15を可及的に薄く形成し、これに
より製造コストを低減することが可能となる。具体的に
は、一般に太陽電池として寄与する半導体膜の膜厚は数
十μmで十分であるため、かかる必要最低限の厚さまで
太陽電池を薄膜化することが可能となる。
【0171】さらに、本実施例のようにラディカルビー
ム照射法にて各半導体膜12,14,15を単結晶化す
る場合、一貫して低温環境下で実施できるため、故に基
板11として耐熱性を要求されず、安価な基板11を用
いることで、太陽電池全体の部材コストを低減できる。
【0172】[第2の実施例] (構成)図10は本発明の第2の実施例として、II−
VI族化合物半導体を用いたタンデム構造の太陽電池を
示す断面図である。図10中、21はガラス製またはS
iO2 /Si製の基板、22は前記基板21の上面側に
基板21と異なるCdTe等のII−VI族材料で形成
されたn型(第1導電型)の第1の半導体膜、23は前
記第1の半導体膜22の裏面に接続される第1の電極
(裏面側電極)、24は前記第1の半導体膜22の上面
に形成されたp型(第2導電型)CdTe製等の第2の
半導体膜、H1は前記第1の半導体膜22および第2の
半導体膜24で構成される第1のヘテロ接合部、25は
層間導電体、26はCdS等の材料で形成されたn型
(第1導電型)の第3の半導体膜、27はCdS等の材
料で形成されたp型(第2導電型)の第4の半導体膜、
H2は前記第3の半導体膜26および第4の半導体膜2
7で構成される第2のヘテロ接合部、28は第2の電極
(表面側電極)である。
【0173】ここで、前記層間導電体25は前記両ヘテ
ロ接合部H1,H2、すなわち第2の半導体膜24およ
び第3の半導体膜26との界面において、オーミック接
合特性を有するタングステン等の重金属が使用される。
ここで、第2のヘテロ接合部H2を通過した光をできる
だけ第1のヘテロ接合部H1に進入させるため、該層間
導電体25は光透過可能な程度に薄く形成される。具体
的には、約300オングストローム以下の厚さに設定す
るのが望ましい。
【0174】この場合、両ヘテロ接合部H1,H2の界
面に逆向きのpn接合が構成されるため、起電力を損な
うおそれがある。そこで、前記層間導電体25の一側に
配された第2の半導体膜24の結晶方位と、他側に配さ
れた第3の半導体膜26の結晶方位とを、互いに異なっ
て形成しておく。このように両部材24,26の結晶方
位を変化させることにより、界面部分にグレインバウン
ダリができるため、その部分の電子が移動しやすくな
り、結果として低抵抗のオーミック接合が得られる。
【0175】そして、前記第1の半導体膜22、第2の
半導体膜24、第3の半導体膜26および第4の半導体
膜27は夫々単結晶膜で構成されている。
【0176】このように、本実施例では、タンデム構造
を採用しているので、広範囲の光を吸収でき、同時に、
各半導体膜22,24,26,27を夫々単結晶膜で構
成しているので、光が進入した際の電子移動度を飛躍的
に向上でき、電気的性質を向上できる。すなわち、光吸
収特性と電気的効率特性を同時に満足させ得る。
【0177】ここで、一般に半導体材料中で吸収できる
光子数は、禁止帯幅が大きいほど少なくなるが、吸収し
た光子のもつエネルギーの中で外部に取り出せるエネル
ギーの割合は禁止帯幅に比例して大きくなる。したがっ
て、吸収できる光子数と光子の外部に取り出せるエネル
ギーの割合とを掛け合わすと、変換効率と禁止帯幅とに
相関関係が生じることがわかる。そして、かかる相関関
係において、CdS/CdTe接合等のII−VI族ま
たはGaAs等のIII−V族の化合物の禁止帯幅が最
も高い変換効率を示すことが知られている。このことに
鑑み、本実施例では、半導体膜22,24,26,27
の材料としてII−VI族の化合物を使用することで、
吸収係数および吸収端の波長の特性が飛躍的に向上す
る。
【0178】(製造方法)上記構成の太陽電池は次のよ
うに製造される。まず、図11に示した基板21の上面
にAg等を用いて第1の電極23を蒸着等にて形成した
後、図12の如く、第1の電極23の上面に、第1の実
施例で説明したのと同様のラディカルビーム照射法(プ
ラズマCVD法)にてn型の第1の半導体膜22をアモ
ルファス状に形成する。但し、本実施例では、図6中の
反応ガス供給管73aからCd(CH3 2 等のガス状
化合物を、反応ガス供給管73bからTeH2 ガスを、
反応ガス供給管73cからハロゲンのガス状化合物を夫
々供給して薄膜形成を行う。そして、第1の実施例で説
明したのと同様のラディカルビーム照射法にて第1の半
導体膜22を単結晶化する。
【0179】次に、図13の如く、第1の半導体膜22
の上面に、CVD法等にてp型の第2の半導体膜24を
アモルファス状に形成する。この際、図6中の反応ガス
供給管73aからCd(CH3 2 等のガス状化合物
を、反応ガス供給管73bからTeH2 ガスを、反応ガ
ス供給管73cから1族のガス状化合物を夫々供給して
薄膜形成を行う。そして、これと同時に第1の実施例で
説明したのと同様のラディカルビーム照射法にて、第2
の半導体膜24を単結晶化し、図13のような第1のヘ
テロ接合部H1を形成する。そして、図14の如く、第
2の半導体膜24の上面に、蒸着法またはスパッタリン
グ法等にてタングステンからなる層間導電体25を形成
する。
【0180】次に、図15の如く、層間導電体25の上
面に、第1の実施例で説明したのと同様のラディカルビ
ーム照射法(プラズマCVD法)にてn型の第3の半導
体膜26をアモルファス状に形成する。但し、本実施例
では、図6中の反応ガス供給管73aからCd(C
3 2 等のガス状化合物を、反応ガス供給管73bか
らSF6 を、反応ガス供給管73cからハロゲンのガス
状化合物を夫々供給して薄膜形成を行う。そして、第1
の実施例で説明したのと同様のラディカルビーム照射法
にて第3の半導体膜26を単結晶化する。
【0181】次に、第3の半導体膜26の上面に、CV
D法等にてp型の第4の半導体膜27をアモルファス状
に形成する。この際、図6中の反応ガス供給管73aか
らCd(CH3 2 等のガス状化合物を、反応ガス供給
管73bからSF6 を、反応ガス供給管73cからAg
R{P(C2 5 3 }を夫々供給して薄膜形成を行
う。そして、これと同時に第1の実施例で説明したのと
同様のラディカルビーム照射法にて、第4の半導体膜2
7を単結晶化し、さらに第4の半導体膜27の上面にA
g等を用いて第2の電極28を蒸着法またはスパッタリ
ング法等にて選択的に形成し、図10に示した太陽電池
を完成させる。
【0182】このように、基板21として、どのような
材料を用いようとも、その上面に任意の材料を用いた半
導体膜22,24,26,27を成長させ得、かつこれ
らを容易に単結晶化ることができるので、吸収係数およ
び吸収端の波長の特性を向上させるためにII−VI族
の化合物を材料として用いることが可能となる。
【0183】[第1および第2の実施例の変形例] (1)上記各実施例におけるラディカルビーム照射法で
は、結晶化温度以下の低温度下で反応ガスを供給すると
同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
らビーム照射して単結晶膜を形成していたが、予めアモ
ルファ膜または多結晶膜を形成し、その後、結晶化温度
以下の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂
直な方向からビーム照射することによって、アモルファ
ス膜または多結晶膜を単結晶膜へ転換しても良い。この
場合には、ビーム照射は結晶化温度以下の比較的高温下
で行われるのが望ましい。そうすることによって、膜厚
が比較的厚いアモルファス膜あるいは多結晶膜を円滑に
単結晶化することが可能である。
【0184】多結晶膜は、例えば装置60において、膜
を構成する物質の結晶化温度以上の温度下で反応ガスを
供給することによって、形成可能である。あるいは、装
置60を用いなくとも、CVD法その他の方法を用いて
あらかじめアモルファス膜あるいは多結晶膜を形成して
もよい。その後、例えば装置60を用いてビーム照射を
行うことによって単結晶化が可能である。このときに
は、装置60は反応ガス供給管73を備えなくてもよ
い。
【0185】(2)第1の実施例では、III−V族化
合物半導体として第1および第2の半導体膜12,14
にGaAsを用いていたが、これらに代えて、第1の半
導体膜12にn型InPを、あるいは第12半導体膜1
4にp型InPを用いてもよい。この場合、アモルファ
ス薄膜または多結晶薄膜を形成する際に、第1の半導体
(n型InP)膜12の形成時には、反応ガス供給管7
3aから(CH3 3Inを、反応ガス供給管73bか
らPH3 を、反応ガス供給管73cからH2 Teを夫々
供給する。また、第2の半導体(p型InP)膜14の
形成時には、反応ガス供給管73cからの供給材をH2
Teに代えてZn(CH3 2 とすればよい。その他の
構成および製造方法は第1の実施例と同様であるため、
その説明を省略する。
【0186】(3)また、第1の実施例では、III−
V族化合物半導体を用いていたが、この他、CdS、C
dTeまたはZnTe等のII−VI族化合物半導体を
用いてもよい。
【0187】ここで、CdSを用いる場合、すなわち、
第1の半導体膜12にn型CdSを、あるいは第2の半
導体膜14にp型CdSを用いる場合、アモルファス薄
膜または多結晶薄膜を形成する際に、第1の半導体(n
型CdS)膜12の形成時には、反応ガス供給管73a
からCd(CH3 2 等のガス状化合物を、反応ガス供
給管73bからSF6 を、反応ガス供給管73cからA
gR{P(C2 5 3 }を夫々供給する。
【0188】CdTeを用いる場合、すなわち、第1の
半導体膜12にn型CdTeを、あるいは第2の半導体
膜14にp型CdTeを用いる場合、アモルファス薄膜
または多結晶薄膜を形成する際に、第1の半導体(n型
CdTe)膜12の形成時には、反応ガス供給管73a
からCd(CH3 2 等のガス状化合物を、反応ガス供
給管73bからTeH2 ガスを、反応ガス供給管73c
からハロゲンのガス状化合物を夫々供給する。また、第
2の半導体(p型CdTe)膜14の形成時には、反応
ガス供給管73cからの供給材をハロゲンのガス状化合
物に代えて1族のガス状化合物とすればよい。
【0189】ZnTeを用いる場合、すなわち、第1の
半導体膜12にn型ZnTeを、あるいは第2の半導体
膜14にp型ZnTeを用いる場合、アモルファス薄膜
または多結晶薄膜を形成する際に、第1の半導体(n型
ZnTe)膜12の形成時には、反応ガス供給管73a
からZn(CH3 2 等のガス状化合物を、反応ガス供
給管73bからTeH2 ガスを、反応ガス供給管73c
からハロゲンのガス状化合物を夫々供給する。また、第
2の半導体(p型ZnTe)膜14の形成時には、反応
ガス供給管73cからの供給材をハロゲンのガス状化合
物に代えて1族のガス状化合物とすればよい。
【0190】(4)第2の実施例では、CdS、CdT
eのII−VI族化合物半導体を使用していたが、第1
の実施例と同様のGaAs等のIII−V族化合物半導
体を用いてもよい。
【0191】(5)第2の実施例では、層間導電体25
の材料の例として薄いタングステンをあげたが、この他
に、チタンシリサイド、タングステンシリサイド、白金
シリサイド等の薄膜を用いてもよく、あるいはITO
(インジウムティンオキサイト)のような透明電極を用
いてもよい。このように材料を工夫することで層間導電
体25の透明性を向上させることで、太陽電池の光効率
性を向上させ得る。
【0192】(6)上記各実施例では、光の吸収効率を
向上させるためのレンズを省略していたが、円型または
線形等の一般的なフレネルレンズ等の集光部材を一体的
に固着してもよい。
【0193】(7)上記各実施例および変形例(1)で
は、各半導体膜をCVD法にてアモルファス状に形成し
つつ、あるいはアモルファス状または多結晶状等に一旦
形成を終了した後、単結晶化していたが、スクリーン印
刷にてアモルファス状等に形成した後単結晶化してもよ
い。
【0194】(8)上記各実施例において、単結晶膜で
構成される各半導体膜の一部またはすべてを軸配向多結
晶膜で置き換えてもよい。軸配向多結晶膜は、各結晶粒
の間で一つの結晶方位のみが揃った多結晶膜であり、各
結晶粒の方位が任意である通常の多結晶膜に比べて規則
性が高いので、単結晶膜に近い特性を有している。この
ため、各半導体膜の一部またはすべてを、単結晶膜の代
わりに軸配向多結晶膜で置き換えた太陽電池において
も、各半導体膜のいずれもが単結晶膜で構成される太陽
電池に近い特性が得られる。
【0195】軸配向多結晶膜を形成するには、例えば図
21の正面断面図に示す装置60aを用いるとよい。図
21において、図6に示す装置60と同一部分には同一
符号を付して、その詳細な説明を略する。図21に示す
軸配向多結晶薄膜形成装置60aは、装置60と同様に
反応ガスを供給することによって試料71の上にアモル
ファス薄膜を堆積しつつ、それと同時に一方向からNe
原子流等の気体のビームを照射することによって、堆積
しつつある薄膜を軸配向多結晶薄膜へと逐次的に転換す
る。
【0196】装置60aは、装置60において、あたか
も反射板72が除去された構造をなしており、そのこと
によって、気体のビームが試料11の上へ一方向から照
射される。気体のビームを照射することによってブラベ
ーの法則が作用するが、照射が一方向から行われるの
で、この照射方向に直交するように一つの最稠密面の方
向のみが規制され、他の最稠密面の方向は規制されな
い。このため、装置60aによって形成される薄膜は、
一般には単結晶構造ではなく、一軸方向のみが揃った軸
配向多結晶構造となる。
【0197】このように、装置60aを用いて軸配向多
結晶膜を形成する方法は、装置60を用いて単結晶膜を
形成する方法において、単に照射方向を一方向に限定す
るのみであるので、装置60を用いて単結晶膜を形成す
る方法よりも一層容易であるという利点がある。
【0198】(9)変形例(8)では、軸配向多結晶膜
を形成するのに、結晶化温度以下の低温度下で反応ガス
を供給すると同時に、一方向からビーム照射して軸配向
多結晶膜を形成したが、予めアモルファス薄膜または多
結晶薄膜(各結晶粒が任意の方向に配向した通常の多結
晶構造であってよい)を形成し、結晶化温度以下の低温
度下で、一方向からビーム照射することによって軸配向
多結晶膜を形成しても良い。
【0199】(10)変形例(1)において、予め多結
晶薄膜を形成した後に複数方向からのビーム照射を行っ
て単結晶膜へと転換する際に、予め形成される多結晶薄
膜は特に軸配向多結晶薄膜であるのが望ましい。この軸
配向多結晶薄膜は、例えば変形例(8)または(9)で
述べた方法を用いれば、容易に形成可能である。
【0200】上述したように軸配向多結晶膜の形成は単
結晶膜の形成に比べて容易であり、しかもその特性は単
結晶膜の特性に近い。このため、半導体膜として単結晶
膜を形成する際に、まず軸配向多結晶薄膜を形成するこ
とによって、軸配向多結晶薄膜に相応する良好な特性を
確保することができる。その後、軸配向多結晶薄膜へ複
数方向からのビームを照射することによって、軸配向多
結晶薄膜が単結晶膜へ転換される度合いに応じて、さら
に良好な特性へと向上する。すなわち、この方法では、
例えば複数方向からのビーム照射にむらがあるなど、軸
配向多結晶薄膜から単結晶膜への転換が十分に行われな
い場合でも、半導体膜が単結晶膜で構成される太陽電池
に近い特性が保証される。
【0201】(11)変形例(10)において、軸配向
多結晶薄膜を形成する際におけるビーム照射の方向と、
軸配向多結晶薄膜を単結晶膜へと転換する際におけるビ
ーム照射の複数方向の1つとを、互いに同一にするのが
望ましい。このとき、軸配向多結晶薄膜における方位の
揃った最稠密面については、単結晶化に際してその方向
が維持されるので、単結晶膜への転換が円滑に進行す
る。
【0202】[第3の実施例] (構成)図22は本発明第3の実施例のPin構造の太
陽電池を示す断面図である。図22中、251は受光側
(フロント側)に配されるガラス製透明基板、252は
前記透明基板251の光の進行方向側(バック側)に形
成される電極としての透明電導膜(Transpare
nt Conductive Oxide:TCO)、
253は前記透明電導膜252の光の進行方向側に形成
されるp型(第1の導電型)Si製の第1の半導体層、
254は前記第1の半導体層253より光の進行方向側
に配されるn型(第2の導電型)Si製の第2の半導体
層、255は前記第1の半導体層253および前記第2
の半導体層254の間に介在される真性半導体層、25
6は前記第2の半導体層254の光の進行方向側に形成
されるアルミニウム等からなる裏面電極である。そし
て、前記第1の半導体層253は単結晶膜で構成され、
前記真性半導体層255および前記第2の半導体層25
4はアモルファス膜から夫々構成されている。
【0203】ここで、第1の半導体層253は単結晶膜
で構成されるため、主として長波長の光をある程度吸収
できるが、太陽電池全体を薄膜化してSi材料の使用を
可及的に少なくしてコストを下げるためには、第1の半
導体層253を可及的に薄く形成するのが望ましい。特
に、短波長特性を有する太陽電池の場合、長波長特性を
犠牲にしてでもコストを下げることが望まれる。また、
第1の半導体層253で吸収できなかった短波長光をで
きるだけ多く進行方向側の真性半導体層255および第
2の半導体層254へ進行させるためには、第1の半導
体層253の厚さをできるだけ薄く形成してやるのが望
ましい。このため、前記第1の半導体層253を前記真
性半導体層255よりも薄く形成する。具体的には、真
性半導体層255を5000〜10000オングストロ
ーム程度に形成するのに対し、第1の半導体層253を
150〜1000オングストローム程度に形成してお
く。また、前記第2の半導体層254は500〜100
0オングストローム、前記裏面電極256は10000
オングストローム程度の厚さに設定しておく。なお、真
性半導体層255の厚さは、図46に示した変換効率最
適点を考慮して決定している。
【0204】(受光動作)上記構成の太陽電池が太陽光
等を受光する場合、光は透明基板251、透明導電膜2
52を経て第1の半導体層253に進入し、続いて真性
半導体層255および第2の半導体層254へ進入す
る。そして、各半導体層253,255,254におい
て夫々光を吸収し、光エネルギーを有する光子によって
電子と正孔が発生する。かかる電子と正孔は夫々n型お
よびp型に分離され、p型領域では正孔が、n型領域で
は電子が過剰になって正負に帯電する。かかる状態で外
部の負荷を接続すると、電気的エネルギーを取り出すこ
とで前記負荷を駆動することが可能となる。この際、本
実施例の太陽電池はPin構造を採用しているので、光
で発生する電子および正孔の大部分を、前記真性半導体
層255および該真性半導体層255に隣接する両半導
体層253,254の一部分、すなわち、内部電界のあ
る空乏層領域で発生させることができ、一般的なpn接
合の太陽電池に比べて直ちに光発生電流として取り出す
ことができる。つまり、一般的なpn接合の太陽電池の
拡散によるpn境界への小数担体の移動という課程を省
略できるという利点がある。
【0205】ここで、受光側に配置される第1の半導体
層253をSi単結晶膜で構成しているので、図55に
示したように0.7μm以上の長波長側の吸収係数が高
くなり、受光側における長波長側の起電力特性が向上す
る。
【0206】ところで、第1の半導体層253を150
〜1000オングストローム程度に薄く設定しているの
で、例えば200μm以上の厚さを有していた従来例に
比べて特に短波長側の光の吸収を減少させることができ
る。そして、第1の半導体層253で吸収できなかっ
た、光、すなわち主に0.7μm未満の短波長を中心と
する光をできるだけ多く進行方向側の真性半導体層25
5および第2の半導体層254へ進行させることができ
る。すなわち、かかる短波長光のほとんどは、光の進行
方向側に配置されたSiアモルファス膜からなる真性半
導体層255および第2の半導体層254にて、図55
のように高い吸収係数で吸収され励起されて発電する。
【0207】また、第1の半導体層253をSi単結晶
膜で構成しているので、表面層の結晶欠陥密度を約10
3 〜105 /cm2 程度に低減させることができ、再結
合による小数担体の消滅を少なくできる。したがって、
表面層で光の吸収により発生した小数担体を有効に取り
出すことができる。
【0208】(製造方法)上記構成の太陽電池は次のよ
うに製造される。まず、図23に示したガラス製透明基
板251を洗浄した後、図24の如く、透明基板251
の上面に透明電導膜252を、酸化すず(SnO2 )お
よび酸化インジュームすず(ITO)を用いて蒸着また
は熱CVD法にて形成する。次に、約300℃の温度環
境下でSiH4 およびB2 6 を用いたプラズマCVD
法にてp型アモルファスシリコン膜のデポジションを行
いつつ、これと同時に、第1の実施例で詳述したラディ
カルビーム照射法にてNe等の中性原子をビーム照射
し、図25の如く、p型アモルファスシリコン膜を単結
晶化して第1の半導体層253を形成する。この際、p
型アモルファスシリコン膜の厚さは150〜1000オ
ングストローム程度に設定しておく。続いて、図26の
如く、約300℃程度の温度環境下でSiH4 を用いた
プラズマCVD法にてイントリンシック・アモルファス
シリコン膜のデポジションを行い真性半導体層255を
形成する。さらに、図27の如く、約300℃の温度環
境下でSiH4 およびPH3 を用いたプラズマCVD法
にてn型アモルファスシリコン膜のデポジションを行い
第2の半導体層254を形成する。しかる後、アルミニ
ウム等を用いて蒸着法にて裏面電極56を形成し、図2
2に示した太陽電池を完成させる。
【0209】(結晶膜形成装置の動作)上記した製造方
法のうち、アモルファス膜を形成しつつ、同時にこれを
単結晶化する単結晶膜形成方法(ラディカルビーム照射
法)を実施するのに好適な結晶膜形成装置については、
第1実施例で既に詳述している。図6に示した装置60
を用いて、試料台70の上に太陽電池の試料71(第3
の実施例における透明基板251)を載置することによ
って、試料71の上に所望の単結晶膜(第3の実施例に
おける第1の半導体層253)を形成することが可能で
ある。
【0210】ここでは、この結晶薄膜形成装置60を用
いて、第1の半導体層253を形成する方法について詳
述する。反射板72として図7および図8に示した反射
板72aを用いる。まず、下地層としてのガラス製透明
基板251の上面に、反応ガス供給管73a、73b、
および73cの夫々から反応ガスを供給する。具体的に
は、p型の半導体層(第3の実施例における第1の半導
体層253)の形成時には、約300℃の温度環境下で
例えば反応ガス供給管73aからSiH4 を、反応ガス
供給管73bからB2 6 を供給する。なお、n型の半
導体層の形成時には、約300℃の温度環境下で例えば
反応ガス供給管73aからSiH4 を、反応ガス供給管
73bからPH3 を供給すればよい。この際、装置内の
真空度は、背圧が10-7Torr以下、動作時圧が1×
10-4〜4×10-4Torrとなるよう設定し、また、
マイクロ波電力としては2.34GHz/300W、成
長速度を0.1〜0.3μm/hrに夫々設定して行
う。これらの薄膜形成時には、不活性ガス導入管67か
ら比較的原子量の小さいNe原子またはAr原子等のn
型またはp型の不活性ガスを同時に導入する。なお、例
えばAr原子を用いる場合は15sccm[7×10-4
mol/min]で導入するのが望ましい。
【0211】ECRイオン発生器62の働きにより、引
出口69から下方に向かって+イオン流と電子流が形成
される。引出口69から反射板72a(72)までの距
離は、好ましくは、+イオン流が殆ど中性原子流に転換
されるのに十分なだけの大きさに設定される。また、反
射板72a(72)は、この下方向へ向かう原子流が降
り注ぐ位置に設置される。反応ガス供給管73から供給
される反応ガスは、これらの+イオン流あるいは原子流
によって、試料71へ向かって叩きつけられる。その結
果、試料71の上面においてプラズマCVD法反応が進
行しアモルファス薄膜が成長する。
【0212】このとき、基板71は、通常のプラズマC
VDでは、Siの結晶化が起こらない低温度下に保たれ
ている。したがって、Si薄膜は、まず非晶質であるア
モルファスSi薄膜として基板71上に形成される。
【0213】前述の下方向へ向かうNe等の原子流の一
部は、反射板72aに形成されている3つの斜面85に
よって反射され、更に開口部84を通って試料71の上
面へ入射する。また、原子流の他の一部は、斜面85へ
入射せずに開口部84を通過して試料71の上面へ直接
に入射する。すなわち、試料71の上面に形成されつつ
あるアモルファス薄膜には、引出口69から直進して来
た成分と、3つの斜面85によって反射されて来た3成
分とからなる4成分の原子流が照射される。斜面85の
傾斜角が55゜に設定されているために、これら4成分
の原子流の入射方向は、形成すべき単結晶の4個の独立
な最稠密結晶面、すなわち(111)面に垂直な4方向
に対応する。
【0214】ところで、ECRイオン発生器62によっ
て形成されるプラズマのエネルギーは、試料71に到達
する原子のエネルギーが、アモルファス薄膜においてス
パッタリングを引き起こさない大きさになるように、す
なわち原子の照射によるSiのスパッタリングにおける
スレッショルド・エネルギーとして知られる値よりも低
くなるように設定される。したがって、成長しつつある
アモルファス薄膜に、いわゆるブラベー(Bravais )の
法則が作用する。すなわち、アモルファス薄膜に照射さ
れる原子流の入射方向に垂直な面が、最稠密結晶面とな
るようにアモルファス薄膜内の分子が再配列する。照射
される原子流は4つの成分を有しており、しかも各成分
の入射方向は、単一の結晶方位を有する単結晶膜の最稠
密面に垂直な方向に対応するので、これらの各成分の入
射方向に垂直な面がいずれも最稠密面となるように分子
が再配列する。互いに独立な入射方向を有する複数の原
子流の成分によって、(111)面の方向が規制される
ので、分子が再配列することによって、単一の結晶方位
を有する単結晶膜が形成される。すなわち、プラズマC
VD法によって成長しつつあるアモルファス薄膜は、結
晶方位の揃った単結晶膜へ逐次転換される。
【0215】前述のように単結晶膜に照射する原子流を
構成する元素として、相対的に軽いNeを選択するのが
望ましい。これは、原子流が単結晶膜に照射された際
に、比較的重い分子が比較的軽いNe原子を後方へ散乱
する確率が高いために、Ne原子が単結晶膜の中に侵入
し残留するということが起こりにくいからである。更
に、照射する原子流を構成する元素に不活性元素を選択
するのは、不活性元素が単結晶膜の中に残留しても、こ
の残留する不活性元素は、元の分子およびドープされた
不純物等のいずれとも化合物を形成することがなく、単
結晶膜の電子物性には余り影響を及ぼさず、しかもでき
上がった単結晶膜をある程度昇温することによって、容
易に外部へ除去され得るからである。
【0216】装置60では、プラズマCVD法によりア
モルファス薄膜が成長する過程で、同時に単結晶への転
換が逐次進行する。このため、膜厚の大きい単結晶膜
を、しかも低温下で形成することが可能である。低温度
下で単結晶膜を形成できるので、ガラス製の安価な透明
基板251の上面に単結晶膜を形成することが可能であ
る。
【0217】なお、上述した方法ではCVD法を用いて
いたが、Sol−Gel法で製造する場合には、これら
の成分元素の有機化合物の混合物のゲル状液をスピナー
で塗布し焼成したのち上記と同様にラディカルビーム照
射法で照射すればよい。
【0218】また、本実施例の第1の半導体層253は
150〜1000オングストローム程度に薄く形成する
のが望ましいため、一回のラディカルビーム照射法で単
結晶化するだけでよかったが、単結晶膜に一定の厚さが
要求される場合は、上述のラディカルビーム照射法を何
度も繰り返すことで単結晶膜を形成すれば、厚さを増し
ても均一性の高い安定した単結晶膜を得ることができ
る。
【0219】このように、下地層としてガラス製透明基
板251のようにどのような材料を用いようとも、その
上面に単結晶膜からなる第1の半導体層253を任意の
薄さで形成でき、インゴットを切断したウェハを用いて
単結晶膜を得る必要がなくなる。したがって、安価なガ
ラス製の透明基板251を下地層として、その上面に第
1の半導体層253を可及的に薄く形成し、これにより
製造コストを低減することが可能となる。また、薄膜化
することで、特に短波長側の光のほとんどを真性半導体
層255および第2の半導体層254に通過させること
ができ、受光側で単結晶膜長により波長光の一部を、光
の進行方向側でアモルファス膜により短波長光を吸収で
き、夫々の吸収特性に合致した効率のよい光吸収を実現
できる。
【0220】さらに、本実施例のようにラディカルビー
ム照射法にて単結晶膜を形成する場合、一貫して低温環
境下で実施できるため、故に透明基板251として耐熱
性を要求されず、安価なガラス製の透明基板251を用
いることで、太陽電池全体の部材コストを低減できる。
【0221】[第4の実施例]本発明の第4の実施例の
太陽電池は、図22に示した第3の実施例と同様のPi
n構造のものであるが、受光側の第1の半導体層253
に加えて、光の進行方向側(バック側)に配置されるn
型(第2の導電型)の第2の半導体層254をも単結晶
膜で構成する点で、第3の実施例と異なる。前記第2の
半導体層254は、約300℃の温度環境下でSiH4
およびPH3 を用いたプラズマCVD法にてn型アモル
ファスシリコン膜のデポジションを行いつつ、これと同
時に、第3の実施例で説明したのと同様のラディカルビ
ーム照射法にてNe等の中性原子をビーム照射し、n型
アモルファスシリコン膜を単結晶化して形成される。こ
の際、n型アモルファスシリコン膜の厚さは500〜1
000オングストローム程度に設定しておく。その他の
構成は、第3の実施例と同様であるため、その説明を省
略する。
【0222】本実施例によれば、単結晶膜の第1の半導
体層253にて主として0.7μm以上の長波長光を吸
収した後であっても、図55のようにその吸収係数は1
3cm-1強以下であり、長波長光を完全に吸収できる
とはいい難い。しかしながら、本実施例では、アモルフ
ァス膜の真性半導体層255で0.7μm未満の短波長
光を吸収した後、さらに単結晶膜の第2の半導体層25
4で長波長光を吸収でき、幅広い波長にわたって光吸収
特性を向上できる。その他の作用および効果は第3の実
施例と同様である。
【0223】[第5の実施例] (構成)本発明の第5の実施例の太陽電池は、図28の
如く、真性半導体層を有するPin構造のものであり、
かつ、タンデム(積み重ね式)構造のものであって、図
28中、291は受光側に配されるガラス製透明基板、
292は前記透明基板291の光の進行方向側に形成さ
れる電極としての透明電導膜(TCO)、293は前記
透明電導膜292の光の進行方向側に形成されるp型
(第1の導電型)Si製の第1の半導体層、294は前
記第1の半導体層293より光の進行方向側に配される
n型(第2の導電型)Si製の第2の半導体層、295
は前記第1の半導体層293および前記第2の半導体層
294の間に介在される真性半導体層、296は前記真
性半導体層295の光の進行方向側に形成されるp型
(第1の導電型)の第3の半導体層、297は前記第2
の半導体層294の光の進行方向側に形成されるアルミ
ニウム等からなる裏面電極である。そして、前記第1の
半導体層293、前記第2の半導体層294および前記
第3の半導体層296は夫々単結晶膜で構成され、前記
真性半導体層295はアモルファス膜から夫々構成され
ている。ここで、前記第3の半導体層296としては、
第1の半導体層293と同様のp型単結晶Siを用いて
もよく、あるいは前記p型単結晶Siに比べて長波長側
に感度を持つ材料、例えばSiGe、GaAsまたはC
dTe等の材料を用いてもよい。前記第2の半導体層2
94および前記第3の半導体層296の厚さは、一定の
光吸収を達成できる程度であればよく、例えば両半導体
層294,296を併せて70μm乃至80μm程度に
設定しておく。
【0224】本実施例では、単結晶膜の第1の半導体層
293で長波長光を吸収した後であっても、図55のよ
うにその吸収係数は103 cm-1強以下であり、長波長
光を完全に吸収できるとはいい難い。しかしながら、本
実施例では、アモルファス膜の真性半導体層295で短
波長光を吸収した後、さらに単結晶膜の第2の半導体層
294および第3の半導体層296で長波長光を吸収で
き、幅広い波長にわたって光吸収特性を向上できる。
【0225】(製造方法)上記構成の太陽電池は次のよ
うに製造される。まず、ガラス製透明基板291を洗浄
した後、図29の如く、透明基板291の上面に透明電
導膜292を、酸化すず(SnO2 )および酸化インジ
ュームすず(ITO)を用いて蒸着または熱CVD法に
て形成する。次に、約300℃の温度環境下でSiH4
およびB26 を用いたプラズマCVD法にてp型アモ
ルファスシリコン膜のデポジションを行いつつ、これと
同時に、第3の実施例で説明したラディカルビーム照射
法にてNe等の中性原子をビーム照射し、図30の如
く、p型アモルファスシリコン膜を単結晶化して第1の
半導体層293を形成する。この際、p型アモルファス
シリコン膜の厚さは150〜1000オングストローム
程度に設定しておく。続いて、図31の如く、約300
℃の温度環境下でSiH4 を用いたプラズマCVD法に
てイントリンシック・アモルファスシリコン膜のデポジ
ションを行い真性半導体層295を形成する。さらに、
約300℃の温度環境下でSiH4 およびPH3 を用い
たプラズマCVD法にてn型アモルファスシリコン膜の
デポジションを行いつつ、これと同時に、第3の実施例
で説明したラディカルビーム照射法にてNe等の中性原
子をビーム照射し、図32の如く、p型アモルファスシ
リコン膜を単結晶化して第2の半導体層294を形成す
る。そして、約300℃の温度環境下で、Si、SiG
e、GaAsまたはCdTe等のp型の材料を用いたプ
ラズマCVD法にてn型アモルファス膜のデポジション
を行いつつ、これと同時に、基板温度が約300〜49
0℃程度となるような温度環境下で第3の実施例で説明
したラディカルビーム照射法にてNe等の中性原子をビ
ーム照射し、図33の如く、これを単結晶化してp型単
結晶膜としての第3の半導体層296を形成する。しか
る後、アルミニウム等を用いて蒸着法にて裏面電極29
7を形成し、図28に示した太陽電池を完成させる。本
実施例によっても、第3または第4の実施例と同様の作
用および効果を得ることができる。
【0226】[第6の実施例] (構成)本発明の第6の実施例の太陽電池は、図34の
如く、真性半導体層を有するPin構造のものであり、
かつ、タンデム(積み重ね式)構造のものであって、図
34中、101は受光側に配されるガラス製透明基板、
102は前記透明基板101の光の進行方向側に形成さ
れる電極としての透明電導膜(TCO)、103は前記
透明電導膜102の光の進行方向側に形成されるp型
(第1の導電型)Si製の第1の半導体層、104は前
記第1の半導体層103より光の進行方向側に配される
n型(第2の導電型)Si製の第2の半導体層、105
a,105bは前記第1の半導体層103および前記第
2の半導体層104の間に介在される真性半導体層およ
びn型Si膜、106は前記n型Si膜105bより光
の進行方向側に形成されるp型(第1の導電型)の第3
の半導体層、107は前記第2の半導体層104の光の
進行方向側に形成されるセミ・テクスチュア構造層(S
uS)である。そして、前記第1の半導体層103、前
記第2の半導体層104および前記第3の半導体層10
6は夫々単結晶膜で構成され、また、前記真性半導体層
105aおよびn型Si膜105bはアモルファス膜か
ら夫々構成されている。ここで、前記第3の半導体層1
06としては、第1の半導体層103と同様のp型単結
晶Siを用いてもよく、あるいは前記p型単結晶Siに
比べて長波長側に感度を持つ材料、例えばSiGe、G
aAsまたはCdTe等の材料を用いてもよい。なお、
前記セミ・テクスチュア構造層(SuS)107は、図
35の如く、基板層107aの第3の半導体層106と
の境界となる側の表面にAg膜108およびTiO2
109を順次付着させてもよい。
【0227】(製造方法)上記構成の太陽電池は次のよ
うに製造される。まず、図35の如く、セミ・テクスチ
ュア構造層(SuS)107となる基板層107aの上
面に、蒸着法等にてAg膜108およびTiO2 膜10
9を付着させ、これらを洗浄した後、約300℃の温度
環境下で、Si、SiGe、GaAsまたはCdTe等
のp型の材料を用いたプラズマCVD法にてn型アモル
ファス膜のデポジションを行いつつ、これと同時に、第
3の実施例で説明したラディカルビーム照射法にてNe
等の中性原子をビーム照射し、図36の如く、これを単
結晶化してp型単結晶膜としての第3の半導体層106
を形成する。なお、前記第3の半導体層106例えば単
結晶Si膜を形成する場合は、SiH4 およびB2 6
を混合させて膜成長を行いながら単結晶化する。次に、
約300℃の温度環境下でSiH4 およびPH3 を用い
たプラズマCVD法にてn型アモルファスシリコン膜の
デポジションを行いつつ、これと同時に、第3の実施例
で説明したラディカルビーム照射法にてNe等の中性原
子をビーム照射し、図37の如く、p型アモルファスシ
リコン膜を単結晶化して第2の半導体層104を形成す
る。さらに、図38の如く、アモルファス膜としてのn
型Si膜105bを成長形成する。そして、アモルファ
ス膜としての真性半導体層105aを成長形成した後、
約300℃の温度環境下でプラズマCVD法にてp型ア
モルファスシリコン膜のデポジションを行いつつ、これ
と同時に、第3の実施例で説明したラディカルビーム照
射法にてNe等の中性原子をビーム照射し、図39の如
く、p型アモルファスシリコン膜を単結晶化して第1の
半導体層103を形成する。そして、第1の半導体層1
03の上面に、図40に示した透明電導膜102を、酸
化すず(SnO2 )および酸化インジュームすず(IT
O)を用いて蒸着または熱CVD法にて形成する。さら
に、ガラス製の透明基板101を取り付け、図34に示
した太陽電池を完成させる。本実施例によっても、第5
の実施例と同様の作用および効果を得ることができる。
【0228】[第7の実施例]本発明の第7の実施例の
太陽電池は、第4の実施例と同様のPin構造のもので
あるが、受光側に配置されるp型の第1の半導体層25
3および光の進行方向側に配置されるn型の第2の半導
体層254を多結晶膜で構成する点で、第4の実施例と
異なる。前記第1の半導体層253および前記第2の半
導体層254は、約300℃の温度環境下でプラズマC
VD法にてn型アモルファスシリコン膜のデポジション
を行いつつ、これと同時に、第3の実施例で説明した結
晶膜形成装置(図6参照)を用いてNe等の中性原子を
ビーム照射し結晶化するが、第3の実施例では相異なる
複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射し
て単結晶膜を形成していたのに対し、本実施例では、最
稠密結晶面に垂直な1方向からビーム照射して多結晶膜
を形成する。本実施例によっても、第1の半導体層25
3および第2の半導体層254が結晶化されているた
め、第4の実施例に近似した電気的特性を有する。
【0229】<多結晶膜の形成方法>次に、非晶質のS
i薄膜の上に一方向からのみ気体のビームを照射するこ
とによって、多結晶のSi薄膜を形成する方法を説明す
る。この方法を実行するには、図21に示した結晶膜形
成装置61aを用いて、原子流を試料71の上に一方向
から照射すればよい。すなわち、装置61aを用いて、
Siの結晶化温度よりも十分に低い温度、例えば基板7
1が加熱されることなく常温度に保たれた中でCVD法
を実行することにより、試料71の上に非晶質であるア
モルファスSi薄膜を形成する。そして、これと同時
に、Ne原子流の照射を一方向から行う。
【0230】試料71を試料台70の上に例えば水平に
載置することによって、試料71に垂直な方向からNe
原子流の照射を実行することが可能である。Ne原子流
の照射によって、試料71に成長しつつあるアモルファ
スSi薄膜が多結晶Si薄膜に転換される。すなわち、
Ne原子流の照射によって、アモルファスSi薄膜にブ
ラベの法則が作用し、1つの最稠密面がNe原子流の入
射方向に垂直な方向に配向し、他の最稠密面の方向は任
意であるような結晶粒が集合して成る多結晶(軸配向多
結晶)薄膜が形成される。
【0231】この方法とは別に、あらかじめ、試料71
の上にアモルファスSi薄膜あるいは多結晶(軸配向多
結晶ではない通常の多結晶)Si薄膜を形成しておき、
その後、一方向からビーム照射を行うことによって、こ
れらのSi薄膜を軸配向多結晶Si薄膜に転換すること
も可能である。この場合にも、ビーム照射を行うのに装
置60aを用いることが可能である。
【0232】あらかじめ形成されたアモルファスSi薄
膜あるいは多結晶Si薄膜へ、装置60aを用いて一方
向からビーム照射を行うことによって、それらのSi薄
膜の上面近傍が軸配向多結晶層に転換される。そして、
ビーム照射が行われる際の薄膜の温度は、試料台70が
備えるヒータの作用により、例えば550℃などSiの
結晶化温度以下の範囲の比較的高温度、すなわち種結晶
が成長するに適した範囲内の温度に調整される。このた
め、Si薄膜の表面に形成された軸配向多結晶Si層が
種結晶として機能し、軸配向多結晶Si層がSi薄膜の
深部に向かって成長する。そして、Si薄膜の全領域が
軸配向多結晶Si層へ転換される。このようにして、試
料71の上に軸配向多結晶Si層が形成される。
【0233】あらかじめアモルファスSi薄膜あるいは
多結晶Si薄膜を形成するのにも、また、その後ビーム
照射によって軸配向多結晶化するのにも装置60aを用
いることが可能であるが、あらかじめアモルファスSi
薄膜あるいは多結晶Si薄膜を形成するのに、他のCV
D装置など装置60a以外の装置を用いてもよい。その
後、試料を装置60aへ挿入してビーム照射を行っても
よい。この場合には、装置60aには、反応ガス供給管
73は備えられなくてもよい。
【0234】このように、軸配向多結晶Si薄膜を製造
する際においても、単結晶Si薄膜を製造する際と同
様、試料71はSiの種結晶が成長するのに必要な温度
である550℃を超える温度に加熱されることはない。
また、薄膜の成長と同時にビーム照射を行う方法におい
ても、試料71は薄膜の結晶化温度以下(例えば加熱さ
れずに略常温度)に保たれる。すなわち、原子流の照射
を用いたこれらの方法では、低温度下で軸配向多結晶薄
膜を形成することができるという利点がある。このこと
は、例えば試料71として耐用温度の低い安価なガラス
基板を用いることを可能にする。
【0235】[第8の実施例]本発明の第8の実施例の
太陽電池は、図28に示した第5の実施例と同様、真性
半導体層を有するPin構造のものであり、かつ、タン
デム(積み重ね式)構造のものであるが、第1の半導体
層293、第2の半導体層294および第3の半導体層
296を夫々多結晶膜で構成する点が第5の実施例と異
なる。該第1の半導体層293、第2の半導体層294
および第3の半導体層296は、アモルファス膜の形成
後に第7の実施例で説明した多結晶膜の形成方法にてN
e等の中性原子をビーム照射して形成される。その他の
構成は第5の実施例と同様であるため、その説明を省略
する。本実施例においても、第5の実施例と同様、多結
晶膜の第1の半導体層293で長波長光をある程度吸収
し、アモルファス膜の真性半導体層295で短波長光を
吸収した後、さらに多結晶膜の第2の半導体層294お
よび第3の半導体層296で長波長光を吸収でき、幅広
い波長にわたって光吸収特性を向上できる。
【0236】[第9の実施例]本発明の第9の実施例の
太陽電池は、図34に示した第6の実施例と同様、真性
半導体層を有するPin構造のものであり、かつ、タン
デム(積み重ね式)構造のものであるが、第1の半導体
層103、第2の半導体層104および第3の半導体層
106を夫々多結晶膜で構成する点が第6の実施例と異
なる。該第1の半導体層103、第2の半導体層104
および第3の半導体層106は、アモルファス膜の形成
後に第7の実施例で説明した多結晶膜の形成方法にてN
e等の中性原子をビーム照射して形成される。その他の
構成は第6の実施例と同様であるため、その説明を省略
する。本実施例によっても、第8の実施例と同様の作用
および効果を得ることができる。
【0237】[第3〜第9の実施例の変形例] (1)第3、第4、第5および第6の実施例における全
ての単結晶膜の形成は、結晶化温度未満の低温度下で反
応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結
晶面に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜を形成す
るラディカルビーム照射法を採用していた。第7実施例
で軸配向多結晶薄膜を形成する方法として2通りの方法
を説明したように、全ての単結晶膜または一部の単結晶
膜の形成について、予めアモルファス膜または多結晶膜
を形成し、その後、結晶化温度未満の低温度下で相異な
る複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射
することによって、アモルファス膜または多結晶膜を単
結晶膜へ転換しても良い。この場合には、ビーム照射は
結晶化温度以下の比較的高温下で行われるのが望まし
い。そうすることによって、膜厚が比較的厚いアモルフ
ァス膜あるいは多結晶膜を円滑に単結晶化することが可
能である。
【0238】多結晶膜は、例えば装置60において、膜
を構成する物質の結晶化温度以上の温度下で反応ガスを
供給することによって、形成可能である。あるいは、装
置60を用いなくとも、CVD法その他の方法を用いて
あらかじめアモルファス膜あるいは多結晶膜を形成して
もよい。その後、例えば装置60を用いてビーム照射を
行うことによって単結晶化が可能である。このときに
は、装置60は反応ガス供給管73を備えなくてもよ
い。
【0239】(2)第3〜第9の各実施例および変形例
(1)では、各半導体膜をCVD法にてアモルファス状
に形成しつつ、あるいはアモルファス状または多結晶状
等に一旦形成を終了した後、単結晶化していたが、スク
リーン印刷にてアモルファス状等に形成した後単結晶化
してもよい。
【0240】(3)第4の実施例では、第1の半導体層
53および第2の半導体層54を単結晶膜で構成してい
たが、このうちの一方を多結晶膜で構成してもよい。ま
た、第5および第6の実施例において、第1の半導体層
293,103、第2の半導体層294,104および
第3の半導体層296,106を単結晶膜で構成してい
たが、このうちのいずれかを多結晶膜で構成してもよ
い。この場合、多結晶膜の形成は、結晶化温度未満の低
温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に垂
直な一方向からビーム照射して形成してもよく、あるい
は、予めアモルファス薄膜を形成し、結晶化温度未満の
低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向からビーム照射
して形成してもよく、さらに、上記いずれかの方法を構
成部材ごとに選択的に適用してもよい。
【0241】(4)第7、第8および第9の実施例にお
ける全ての多結晶膜の形成は、結晶化温度未満の低温度
下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な
一方向からビーム照射して多結晶膜を形成してもよい
し、あるいは全ての多結晶膜または一部の多結晶膜の形
成について、予めアモルファス薄膜を形成し、結晶化温
度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向からビ
ーム照射して多結晶膜を形成してもよい。
【0242】(5)第3、第4および第7の実施例にお
いて、最下地層基板としてのガラス製透明基板上に透明
電導膜を形成した後、受光側から光の進行方向側の半導
体層へと順次形成していたが、裏面電極をセミ・テクス
チュア構造層(SuS)等の基板で構成し、この上に光
の進行方向側から受光側の半導体層へと順次形成しても
よい。この場合、第1の半導体層を光の進行方向側に配
し、第3の半導体層を受光側に配してもよい。
【0243】(6)第3〜第9の各実施例において、受
光側の第1の導電型の第1の半導体層をp型とし、第2
の導電型の第2の半導体層をn型としていたが、第1の
導電型をn型にし、第2の導電型をp型としてもよい。
【0244】(7)第3〜第9の各実施例では、受光側
にガラス製の透明基板を設けていたが、例えば第6およ
び第9の実施例のようにセミ・テクスチュア構造層を基
板として光の進行方向側から受光側へと半導体層を順次
形成していく場合、受光側の透明基板を省略してもよ
い。
【0245】(8)変形例(1)において、単結晶膜へ
と転換する前に予め形成される多結晶薄膜は、第7の実
施例において記述した方法、すなわち予めアモルファス
薄膜を形成した後にこれに一方向からビーム照射を行う
方法、あるいは反応ガスを供給しつつ一方向からビーム
照射を行う方法によって形成してもよい。このとき、多
結晶薄膜は、第7の実施例において記述したように、一
つの最稠密面の方位が揃った多結晶薄膜、言い替えると
軸配向多結晶薄膜として形成される。
【0246】軸配向多結晶薄膜は結晶方位が任意である
通常の多結晶薄膜にくらべて規則性が高いために単結晶
膜に近い特性を有する。このため、例えば複数方向から
のビーム照射にむらがあるなど、多結晶薄膜から単結晶
膜への転換が十分に行われない場合でも、単結晶膜を有
する太陽電池に近い特性が保証される。
【0247】(9)変形例(8)において、軸配向多結
晶薄膜を形成する際におけるビーム照射の方向と、軸配
向多結晶薄膜を単結晶膜へと転換する際におけるビーム
照射の複数方向の1つとを、互いに同一にするのが望ま
しい。このとき、軸配向多結晶薄膜における方位の揃っ
た最稠密面については、単結晶化に際してその方向が維
持されるので、単結晶膜への転換が円滑に進行する。
【0248】[第10の実施例]つぎに、この発明の第
10実施例について説明する。
【0249】<装置の構成>図64は、第10実施例の
太陽電池の構成を示す断面図である。図64に示すよう
に、この太陽電池400では、フロント側に配される透
明なガラス基板411の上に透明導電膜412が形成さ
れており、さらに、この透明導電膜412の上に、3層
の半導体層401、402、403が積層されている。
そして、半導体層403のバック側には、例えばアルミ
ニウムで構成される裏面電極416が形成されている。
【0250】3層の半導体層401、402、403の
いずれも、第4実施例のpin接合を有する半導体層と
同様に、単結晶のp型Si層413、アモルファスのi
型(真性)Si層414、および、単結晶のn型Si層
415が、この順に積層された構造を有している。すな
わち、この太陽電池400は、pin接合型太陽電池が
あたかも3段に直列に接続された形式であり、タンデム
構造の太陽電池の一例となっている。半導体層401と
半導体層402との間の接合部、および、半導体層40
2と半導体層403との間の接合部は、いずれもトンネ
ル接合である。
【0251】この太陽電池400は、各半導体層40
1、402、403が第4実施例のpin接合を有する
半導体層と同一構造であるために、第4実施例と同様の
利点を有している。すなわち、p型Si層413および
n型Si層415が、単結晶で構成されるので、欠陥密
度を低く抑えることができ、その結果、再結合による少
数担体の消滅を少なくできる。したがって、これらの半
導体層で光吸収によって発生した少数担体を有効に取り
出すことができる。このため、高い変換効率が実現す
る。
【0252】また、pin接合を有する各半導体層40
1、402、403が、バンドギャップが互いに異なる
単結晶Si層とアモルファスSi層とで構成される。こ
のため、各半導体層401、402、403の間で、光
感度の高い波長が互いに異なるために、太陽電池400
全体で広い範囲の波長の光が吸収される。このことも、
変換効率の向上に寄与する。
【0253】太陽電池400では、さらに、各pin型
の半導体層401、402、403が、直列に接続され
ているので、高い起電力(発電電圧)が得られるという
利点がある。すなわち、各半導体層401、402、4
03が単独で生成する起電力は、約0.5V程度である
が、これらを3層に積層することによって約1.5Vの
起電力が得られる。さらに、第1層目の半導体層401
で吸収されなかった光(透過光)が、第2層目の半導体
層402で吸収され、さらに第2層目をも透過した光が
第3層目の半導体層403で吸収されることによって、
変換効率がさらに改善されるという利点ある。
【0254】なお、太陽電池400では、pin接合を
有する半導体層が3層に積層されているが、2層、ある
いは4層以上であってもよい。また、各半導体層40
1、402、403の中のn型Si層415は、第3実
施例の半導体層54と同様に、アモルファスであっても
よい。
【0255】<薄膜形成装置>太陽電池400の製造方
法を説明するのに先だって、アモルファス半導体層と単
結晶半導体層とが積層した多層構造の半導体部を形成す
るのに特に適した薄膜形成装置について説明する。
【0256】図65は、この薄膜形成装置の正面断面図
である。なお以下の図において、図6に示した薄膜形成
装置60と同一部分には同一符号を付して、その詳細な
説明を略する。図65に示すように、この装置300で
は、ガス導入管67へ導入されるガスとして、多種類の
ガスが貯蔵された多数のガスボンベ331の中から、ガ
スセレクタ332の働きで所望のガスが選択される。ま
た、反応ガス供給管73へ導入される反応ガスとして、
多種類のガスが貯蔵された多数のガスボンベ333の中
から、ガスセレクタ334の働きで所望のガスが選択さ
れる。ガスボンベ333には、薄膜を構成する物質の主
成分を供給する反応ガスだけでなく、主成分に添加すべ
き不純物を含んだ反応ガスも準備される。
【0257】ガスセレクタ332、334の動作、およ
び、導波管66へマイクロ波を送出する発振器338の
動作は、コントローラ36によって制御される。また、
試料台70は基板71を加熱するためのヒータを内蔵し
てもよく、その場合には、このヒータの動作もコントロ
ーラ36によって制御される。
【0258】つぎに、装置300を用いて、例えばアモ
ルファスSi層と単結晶Si層とが積層した多層構造の
Si薄膜を形成する方法について説明する。
【0259】基板71が試料台70の上に載置され、反
応室68が真空状態とされた後に、反応ガス供給管73
aより、Siを供給するためのSiH4(シラン)、S
26(ジシラン)等のガスが供給される。ここで、形
成するシリコン薄膜をp型にする場合には、p型不純物
をドープするためのB23(ジボラン)ガスを、また、
n型にする場合には、n型不純物をドープするためのP
3(ホスフィン)ガス、もしくは、AsH3(アルシ
ン)ガス等を、反応ガス供給管73bまたは73cより
供給すればよい。
【0260】ガス導入管67より不活性ガスを導入する
場合には、第1および第3実施例でも述べたように、S
iより原子量の小さいNe、He等を導入するのが望ま
しい。ここで、より効果的に単結晶シリコンを形成する
ためには、比較的原子量の大きいNeを用いるのがよ
い。以下の説明では、不活性ガスとしてNeを用いた場
合で説明を行なう。
【0261】以上のようなガスを導入して、薄膜形成装
置300を動作させると、ECRイオン発生器62で形
成されたNeイオン流と電子流が引き出し口69から、
基板71の方向に流れる。この、Neのイオン流あるい
は中性原子流と電子流とによって、反応ガス供給管73
から供給されたSiH4、Si26等の反応ガスのプラ
ズマCVD反応が進行して、基板71の上面にSi薄膜
が成長する(堆積する)。このとき、基板71は、通常
のプラズマCVDでは、Siの結晶化が起こらない低温
度下(例えば、基板加熱を行なわない)に保っておく。
したがって、Si薄膜は、まず非晶質であるアモルファ
スSi膜として基板71上に形成される。
【0262】ここで、反応室68における、Neのイオ
ンあるいは中性原子の量をSiH4、Si26等の反応
ガスの量に比較して、相対的に多くなるように、ガス導
入量を調整しておき、Neのイオンあるいは中性原子が
基板71に照射されるようにしておく。また、ECRイ
オン発生器62によって形成されるプラズマエネルギー
は、基板71に照射されるNeのイオンあるいは中性原
子のエネルギーが、Siのスパッタリングを引き起こさ
ない、すなわち、NeのSiに対するスパッタリングの
スレショールドエネルギー値(約27eV)よりも低い
値となるよう設定する。
【0263】この様なエネルギー値のNeのイオンある
いは中性原子が、成長しつつあるアモルファスSi薄膜
に照射されると、既に述べたように、イオンあるいは中
性原子の入射方向に最稠密面が直交するように、アモル
ファスSi薄膜のシリコン原子が再配列する。前述のよ
うに、Neのイオンあるいは中性原子は、反射板72の
働きで、Si単結晶の4つの最稠密面に垂直な4成分の
ビームとして、基板71へ入射する。
【0264】その結果、これらの各成分の入射方向に垂
直な面がいずれも最稠密面となるように、Si原子が再
配列することによって、単一の結晶方位を有する単結晶
Siが形成される。すなわち、プラズマCVDによって
成長しつつあるアモルファスSi薄膜は、結晶方位の揃
った単結晶Si薄膜へ逐次転換される。この工程によっ
て、基板71の上に積層した単結晶Si層が得られる。
【0265】つぎに、形成された単結晶Si層の上に、
単結晶SiではなくアモルファスSi層を積層させるに
は、ガス導入管67からNeガスの導入を停止すればよ
い。そうすれば、基板71へのNeのイオンまたは中性
原子の照射が停止するので、単結晶Si層の上に成長し
つつあるアモルファスSiは、単結晶へと転換されるこ
とがなく、アモルファスSiのままにとどまる。この工
程によって、単結晶Si層の上に積層したアモルファス
Si層が得られる。
【0266】アモルファスSi層を形成する工程では、
反応ガス供給管73から、H2(水素)ガスをSiH4
スに混合して供給するのが望ましい。そうすることによ
って、安定したアモルファスSiが形成される。すなわ
ち、アモルファスSiの中の未結合手(ダングリングボ
ンド)に水素が結合し、水素化アモルファスSiが形成
されるので、欠陥密度が低くなる。このために、アモル
ファスSiが安定して形成される。
【0267】さらに、このときの基板温度は、200゜
C〜300゜Cに保たれるのが望ましい。基板温度が、
300゜C以下であるときには、10%を超える結合水
素量が得られ、このため、特に欠陥の少ない水素化アモ
ルファスSiが得られる。基板71を加熱するために
は、試料台70にヒータをあらかじめ内蔵しておき、こ
のヒータをコントローラ336で制御しつつ動作させれ
ばよい。
【0268】以上の工程を交互に実行することによっ
て、単結晶Si層とアモルファスSi層とが交互に積層
した多層構造のSi薄膜を形成することができる。ま
た、いうまでもなく、各Si層を形成する工程におい
て、反応ガス供給管73bまたは73cから供給される
不純物を含んだガスの種類だけでなく、その量をも適宜
異ならせることによって、キャリア濃度の異なる各種S
i層が積層した多層構造のSi薄膜を形成することも可
能である。
【0269】この装置300では、反応室68の中に基
板71を挿入したままで、真空状態を保ちつつ連続して
多層構造の薄膜が形成されるので、各層の間の接合面に
水分その他の不純物が混在する恐れがなく、理想的な接
合面を有する多層構造の薄膜が得られる。
【0270】さらに、上述したように、Siの結晶化が
起こらない低温度下でアモルファスおよび単結晶のSi
層が形成されるので、基板71には耐熱性の低い安価な
ガラスなどを用いることが可能である。
【0271】また、装置300は、反応ガス供給管73
およびガス導入管67から供給されるガスの種類を適宜
選択することによって、ここに例示したSi薄膜だけで
なく、任意の物質のアモルファス層と単結晶層とが積層
した多層構造の薄膜を形成することが可能である。
【0272】<製造方法>太陽電池400を製造するに
は、まず、ガラス基板411を準備し、さらにその表面
を洗浄した後、図66に示すように透明導電膜412を
その上面に形成する。ガラス基板411には、耐熱性の
低い低廉なものを選ぶことが可能である。例えば、市販
の製品であるCGW#7059を使用してもよい。この
CGW#7059は、歪点が590゜Cであり、積層さ
れたSi半導体の熱膨張・収縮には500゜Cまで対応
し得る。透明導電膜412は、例えば、酸化すず(Sn
2)および酸化インジュームすず(ITO)を用いて
蒸着または熱CVD法にて形成される。
【0273】つぎに、透明導電膜412が形成されたガ
ラス基板411を、基板71として、例えば上述した装
置300の反応室68の中に挿入する。そして、反応室
68の中を真空状態とした後、上述した方法によって、
図67に示すように透明導電膜412の上にまず単結晶
のp型Si層413を形成する。基板温度は、使用され
るガラス基板411のひずみ点や熱膨張係数をも考慮し
て適切に設定される。例えば、ガラス基板411に上述
のCGW#7059を用いる場合には、基板温度は50
0゜C以下に設定するのがよい。
【0274】単結晶のp型Si層413が所望の厚さに
形成されると、反応ガスの供給およびビームの照射を停
止する。そして、反応室68を排気することによって、
p型Si層413を形成するために供給された反応ガス
を除去する。
【0275】つぎに、上述した方法によって、図68に
示すようにp型Si層413の上にアモルファスのi型
Si層414を形成する。このとき、反応ガス供給管7
3から、p型あるいはn型の不純物を含むガスは供給さ
れない。また、上述したように、好ましくは、H2ガス
がSiH4ガスに混合して供給される。さらに、基板温
度は、好ましくは200゜C〜300゜Cに保たれる。
i型Si層414が所望の厚さに形成されると、再び反
応室68を排気することによって、i型Si層414を
形成するために供給された反応ガスを除去する。
【0276】つぎに、上述した方法によって、図69に
示すようにi型Si層414の上に単結晶のn型Si層
415を形成する。単結晶のn型Si層415が所望の
厚さに形成されると、反応ガスの供給およびビームの照
射を停止する。そして、反応室68を排気することによ
って、n型Si層415を形成するために供給された反
応ガスを除去する。以上の工程によってpin接合を有
する半導体層401が形成される。
【0277】さらに、半導体層401を形成するために
行われた以上の工程を反復することによって、図70に
示すように、半導体層401と同様のpin接合を有す
る半導体層402、および403が半導体層401の上
に積層して形成される。
【0278】その後、試料を反応室68から取り出した
後、蒸着法などを用いて最上層の半導体層403の上面
に、例えばアルミニウムを1〜1.5μmの厚さに堆積
することによって図64に示すように裏面電極416が
形成される。以上の工程の結果、太陽電池400が完成
する。
【0279】なお、以上の製造方法では、ガラス基板4
11の側から順に各Si層を積層していったが、逆に、
裏面電極416を例えば幾分厚めのアルミニウム基板と
してあらかじめ準備し、その後、装置300を用いて各
Si層を裏面電極416の側から順に積層していっても
よい。このとき、基板温度は、アルミニウム基板の耐熱
性を考慮してその上限が設定される。裏面電極416の
上に、半導体層403、402、401がこの順に積層
されると、装置300から試料が取り出される。その
後、蒸着または熱CVD法を用いて導体層401の表面
に透明導電膜412が形成される。ガラス基板411は
必ずしも形成されなくてもよい。以上の工程によって、
太陽電池400と同様の構成を有する太陽電池が完成す
る。
【0280】また、裏面電極416は、アルミニウムの
他に、例えば、ステンレススチール(SS)、プラスチ
ックの上に金属を蒸着した構造のもの(Metal on Plast
ics)、あるいは、TiO2/Ag/SSなどであっても
よい。
【0281】[第11の実施例]ここでは、第10の実
施例と同様に、起電力を生じるpn接合またはpin接
合を有する半導体層が複数層に積層したタンデム構造の
太陽電池の他の例を示す。これらの太陽電池のいずれに
おいても、太陽電池400と同様に、高い起電力が得ら
れるという利点がある。また、複数の半導体層でそれぞ
れ光が吸収されるので、変換効率が改善されるという利
点ある。
【0282】図71は、第10実施例で説明した透明導
電膜412と裏面電極416の間に、2つのpin接合
を有する半導体層421、422が積層された構造を有
する太陽電池の断面図である。この太陽電池420で
は、単結晶のp型Si層431、アモルファスのi型S
i層432、および単結晶のn型Si層438が透明導
電膜412の側から順に積層することによって、一方の
半導体層421が形成されている。そして、n型Si層
438は、n型Si層433と、これよりも不純物濃度
の高いn型Si層434との2層で構成されている。n
型Si層434は半導体層422に接合している。
【0283】他方の半導体層422では、単結晶のp型
Si層435、アモルファスのi型Si層436、およ
び単結晶のn型Si層437が半導体層421の側から
順に積層している。n型Si層434に接合するp型S
i層435では、特にp型不純物の濃度が高くなってい
る。
【0284】図72は、透明導電膜412と裏面電極4
16の間に、pin接合を有する半導体層441とpn
接合を有する半導体層442とが積層された太陽電池の
断面図である。この太陽電池440では、単結晶のn型
Si層451、アモルファスのi型Si層452、およ
び単結晶のp型Si層458が透明導電膜412の側か
ら順に積層することによって、一方の半導体層441が
形成されている。そして、p型Si層458は、p型S
i層453と、これよりも不純物濃度の高いp型Si層
454との2層で構成されている。p型Si層454は
半導体層442に接合している。
【0285】他方の半導体層442では、単結晶のn型
Si層455、および、同じく単結晶のp型Si層45
6が半導体層441の側から順に積層している。p型S
i層454と接合するn型Si層455では、特にn型
不純物の濃度が高くなっている。
【0286】図73は、透明導電膜412と裏面電極4
16の間に、pn接合を有する半導体層461と、同じ
くpn接合型の半導体層462とが積層された太陽電池
の断面図である。この太陽電池460では、単結晶のn
型Si層471、アモルファスのi型Si層472、お
よび単結晶のp型Si層477が透明導電膜412の側
から順に積層することによって、一方の半導体層461
が形成されている。そして、p型Si層477は、p型
Si層472と、これよりも不純物濃度の高いp型Si
層473との2層で構成されている。p型Si層473
は半導体層462に接合している。
【0287】他方の半導体層462では、単結晶のn型
Si層474、および、同じく単結晶のp型Si層47
8が半導体層461の側から順に積層している。p型S
i層473と接合するn型Si層474では、特にn型
不純物の濃度が高くなっている。
【0288】これらの、太陽電池420、440、46
0も、太陽電池400と同様に、例えば薄膜形成装置3
00を用いて、単結晶Si層とアモルファスSi層と
を、適宜不純物の導入を伴いつつ積層することによっ
て、製造可能である。
【0289】[第12の実施例]第10および第11実
施例では、アモルファスのSi層と単結晶のSi層とが
積層して構成される太陽電池の例を示したが、それらの
太陽電池において、単結晶のSi層の代わりに軸配向多
結晶のSi層で置き換えてもよい。既にのべたように、
軸配向多結晶はあらゆる点で単結晶に近い特性を有する
ので、軸配向多結晶は単結晶の代用として有効である。
【0290】例えば、第10実施例の太陽電池400に
おいて、3層の単結晶p型Si層413と同じく3層の
n型Si層415のすべて、あるいはそれら6層の中の
一部を軸配向多結晶のSi層に置き換えてもよい。この
ように構成される太陽電池においても、太陽電池400
に近い特性が得られる。同様に、図71〜図73に示し
た各太陽電池において、i型Si層以外の各単結晶Si
層のすべて、あるいは一部を軸配向多結晶Si層に置き
換えてもよい。
【0291】アモルファスSi層と軸配向多結晶Si層
とが積層した太陽電池を形成するには、図21に示した
薄膜形成装置60aの他に、例えば図74の正面断面図
に示す薄膜形成装置301を用いるとよい。装置301
は、反射板72が装備されない点で装置300とは特徴
的に異なっており、その他の点では装置300と共通で
ある。装置301では、反射板72が装備されないの
で、引き出し口69から下方へ向かう例えばNeのイオ
ンまたは中性原子は、直接に基板71へと降り注ぐ。す
なわち、基板71へはイオンまたは中性原子のビームが
略一方向から入射する。
【0292】このため、基板71の上に成長しつつある
例えばアモルファスSiなどのアモルファス物質の一つ
の最稠密面の方向が、ビームの入射方向に垂直となるよ
うに揃う。その結果、結晶軸が基板71の法線方向に配
向した軸配向多結晶物質が形成される。軸配向多結晶物
質を形成する際の基板温度は、単結晶物質を形成するの
に適した基板温度に合わせるとよい。
【0293】また、装置300と同様に、この装置30
1においても、反応室68の中に基板71を挿入したま
まで、真空状態を保ちつつ連続して多層構造の薄膜が形
成されるので、各層の間の接合面に水分その他の不純物
が混在する恐れがなく、理想的な接合面を有する多層構
造の薄膜が得られる。
【0294】さらに、Siの結晶化が起こらない低温度
下でアモルファスおよび軸配向多結晶のSi層が形成さ
れるので、基板71には耐熱性の低い安価なガラスなど
を用いることが可能である。
【0295】また、装置301は、反応ガス供給管73
およびガス導入管67から供給されるガスの種類を適宜
選択することによって、例えば太陽電池400のような
不純物が適宜導入されたSi薄膜だけでなく、任意の物
質のアモルファス層と単結晶層とが積層した多層構造の
薄膜を形成することが可能である。
【0296】[第13の実施例]図75は、もう一つの
薄膜形成装置の例を示す正面断面図である。この装置3
02は、反射板72が支柱339に回動自在に取り付け
られており、反射板72を基板71の上に設置すること
も、逆に基板71の上から退避させることも可能であ
る。反射板72の動きは、コントローラ36によって制
御される。装置302はこのように構成されるので、任
意の物質のアモルファス層、単結晶層、および軸配向多
結晶層とで構成される多層構造の薄膜を、この装置一つ
で製造可能である。さらに、アモルファス層、単結晶
層、および軸配向多結晶層の中の任意の組み合わせで構
成される多層構造の薄膜を製造することも可能である。
【0297】図76は、さらに別の薄膜形成装置の例を
示す正面断面図である。この装置303では、試料台7
0は駆動装置335の働きで、傾きおよび回転方向が調
整可能である点が、装置300などとは特徴的に異な
る。図77は試料台70の動きを示す部分拡大図であ
る。駆動装置335の動作は、コントローラ336によ
って制御される。
【0298】試料台70が自在に傾斜および回転するの
で、基板71へのビームの照射方向を任意に設定するこ
とが可能である。このため、任意の物質の軸配向多結晶
層または単結晶層を形成する際に、その結晶方位を任意
に選ぶことができる。特に、単結晶層を形成する際に
は、形成すべき単結晶層の複数の最稠密面に垂直な複数
方向からビームが照射されるように、例えば図77にお
ける実線と波線とで示される2つの姿勢を交互にとるよ
うにすればよい。このように時分割的に複数方向からビ
ームを照射することによっても、反射板72を有する装
置300を用いた方法によって同時に複数方向から照射
した場合と同様に単結晶化が実現する。
【0299】以上のように、この装置303では、試料
台70の姿勢を制御することによって、所望する単結
晶、軸配向多結晶、および非晶質のすべての結晶構造の
層を、交互に連続的に形成することが可能である。しか
も、結晶方位も所望の任意の方向に設定することが可能
である。
【0300】これらの装置302、303においても、
装置300と同様に、反応室68の中に基板71を挿入
したままで、真空状態を保ちつつ連続して多層構造の薄
膜が形成されるので、各層の間の接合面に水分その他の
不純物が混在する恐れがなく、理想的な接合面を有する
多層構造の薄膜が得られる。さらに、構成物質の結晶化
が起こらない低温度下で、この物質のアモルファス層、
単結晶層、および軸配向多結晶層が形成されるので、基
板71には耐熱性の低い安価なガラスなどを用いること
が可能である。
【0301】[第14の実施例]つぎに、Si層とSi
化合物層とが積層された構造を有する太陽電池の例につ
いて説明する。
【0302】<構成>図78は、透明導電膜412と裏
面電極416の間に、pin接合を有する半導体層48
1が形成された太陽電池の断面図である。この太陽電池
480では、結晶性(すなわち単結晶または軸配向多結
晶)のp型SiC(またはp型SiN)層491、アモ
ルファスのi型Si層493、および結晶性のn型Si
(またはn型SiGe)層494が透明導電膜412の
側から順に積層することによって、半導体層481が形
成されている。
【0303】例えば、結晶性SiGeは、結晶性Siに
比べると、バンド幅が広いために長波長側に感度が高
い。Si層だけでなく、感度の高い波長の異なるSi化
合物層をも積層して太陽電池を構成することによって、
より幅広い波長の光を吸収し起電力へと転換することが
可能となる。すなわち、変換効率の高い太陽電池が得ら
れる。
【0304】また、結晶性の半導体層では、アモルファ
スに比べて欠陥密度が大幅に低いので、光の吸収により
発生した小数キャリアが再結合により消滅する割合を少
なくでき、少数キャリアを有効に取り出すことができる
という利点がある。結晶性の半導体層の中でも、単結晶
の半導体層では結晶粒界がないので、この効果が特に著
しい。
【0305】図79は、透明導電膜412と裏面電極4
16の間に、pin接合を有する半導体層501とpn
接合を有する半導体層502とが積層された太陽電池の
断面図である。この太陽電池500では、結晶性のp型
SiC(またはp型SiN)層511、アモルファスの
i型Si層512、および結晶性のn型Si層513が
透明導電膜412の側から順に積層することによって、
一方の半導体層501が形成されている。
【0306】他方の半導体層502では、結晶性のn型
Si層514、および、同じく結晶性のp型Si層51
8が半導体層501の側から順に積層している。p型S
i層518は、p型Si層515と、これよりも不純物
濃度の高いp型Si層516との2層で構成されてい
る。この中のp型Si層516は裏面電極416に接続
されている。
【0307】図80は、透明導電膜412と裏面電極4
16の間に、pn接合を有する半導体層521と同じく
pn接合型の半導体層522とが積層された太陽電池の
断面図である。この太陽電池520では、結晶性のn型
Si層531、および同じく結晶性のp型Si層532
が透明導電膜412の側から順に積層することによっ
て、一方の半導体層521が形成されている。
【0308】他方の半導体層522では、結晶性のn型
Si(またはSiGe)層534、および、同じく結晶
性のp型Si(またはSiGe)層535が半導体層5
21の側から順に積層している。この中のp型Si層5
35は裏面電極416に接続されている。p型Si層5
32とn型Si層534との間には、例えばTCOで構
成される共通電極533が設けられており、p型Si層
532とn型Si層534はともに共通電極533に接
続されている。そして、n型Si層531および534
はともに、不純物濃度が高く設定されている。
【0309】半導体層521は、例えば図81に示す半
導体層540あるいは図82に示す半導体層550で置
き換えてもよい。図81に示すように、半導体層540
では、透明導電膜412の側から順に、n型Si層54
1、p型Si層542、p型Si層543、n型Si層
544、およびp型Si層545が積層されている。す
なわち、半導体層540は2つのpn接合を有するタン
デム構造となっている。これら5層のSi層はいずれも
結晶性であり、その中のn型Si層541、p型Si層
543、およびn型Si層544の3層では不純物濃度
が高く設定されている。
【0310】図82に示すように、半導体層550で
は、透明導電膜412の側から順に、n型Si層55
1、i型Si層552、p型Si層553、p型Si層
554、n型Si層555、およびp型Si層556が
積層されている。すなわち、半導体層はpin接合とp
n接合とを有するタンデム構造となっている。これら6
層のSi層の中で、i型Si層552はアモルファスで
あり、その他は結晶性である。p型Si層554とn型
Si層555では、不純物濃度が高く設定されている。
【0311】<製造方法>以上に例示した、Si層とS
i化合物層とが積層してなる半導体部を有する太陽電池
を製造するには、例えば薄膜形成装置300、301、
302、または303を用いるとよい。すなわち、これ
らの装置を用いて、SiあるいはSi化合物を堆積する
のに適した反応ガスを供給しつつ、また不純物の導入を
適宜行いつつ、さらに、ビーム照射を一方向あるいは複
数の所定の方向から行ったりあるいは停止することによ
って、太陽電池を構成する所望の半導体部を形成するこ
とが可能である。
【0312】例えば、SiC層を形成する際には、反応
ガス供給管73から反応ガスとしてシランガスとメタン
(CH3)ガスを供給し、ガス導入管67へは例えばヘ
リウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスを導入
するとよい。
【0313】[第15の実施例]つぎに、GaAsなど
のIII−V族化合物が積層された太陽電池の例について
説明する。
【0314】<構成>図83は、GaAsの単一のpn
接合を有する太陽電池の例を示す断面図である。この太
陽電池560では、電極として機能する導電性の基板5
65と透明導電膜412との間に、半導体層561が形
成されている。そして、p型GaAs層571とn型G
aAs層572とが透明導電膜412の側から順に積層
することによって、半導体層561が形成されている。
p型GaAs層571およびn型GaAs層572のい
ずれも結晶性である。
【0315】基板565には、例えば、単結晶または多
結晶のSi基板、金属の上に単結晶Siが形成されたも
の、あるいは、ガラス板の上に単結晶Siが形成された
ものなどが適している。
【0316】図29に示したように、GaAsなどのII
I−V族化合物で構成される太陽電池には、変換効率が
潜在的に高いという利点がある。太陽電池560は、こ
のIII−V族化合物で構成されるとともに、少数担体の
再結合が起こりにくい結晶性の半導体層で構成されるた
めに、変換効率の高い太陽電池が実現する。
【0317】図84は、GaAs半導体層とSi半導体
層とが積層されたタンデム構造の太陽電池の一例を示す
断面図である。この太陽電池580では、透明導電膜4
12と基板565との間に、半導体層581と半導体層
582とが、共通電極593を挟んで形成されている。
透明導電膜412の側から順に、p型GaAs層591
とn型GaAs層592とが積層することによって、一
方の半導体層581が形成されている。
【0318】他方の半導体層582は、共通電極593
の側から順に、p型Si層594とn型Si層595と
が積層することによって形成されている。n型Si層5
95は基板565に接続され、共通基板593にはn型
GaAs層592とp型Si層594とが接続されてい
る。各層591、592、594、および595はいず
れも結晶性である。共通電極593は、例えばTCOで
構成される。
【0319】この太陽電池580では、バンドギャップ
が異なり光感度の高い波長の異なる2種類のpn接合を
有するので、広い範囲の波長の光が吸収される。このた
めに、一層高い変換効率を有する太陽電池が実現する。
【0320】<製造方法>以上に例示した、III−V族
化合物層を有する太陽電池を製造するには、例えば薄膜
形成装置300、301、302、または303を用い
るとよい。すなわち、これらの装置を用いて、GaAs
などのIII−V族化合物を堆積するのに適した反応ガス
あるいはSiを堆積するのに適した反応ガスを適宜切り
替えて供給しつつ、また不純物の導入を適宜行いつつ、
さらに、ビーム照射を一方向あるいは複数の所定の方向
から行ったりあるいは停止することによって、太陽電池
を構成する所望の半導体部を形成することが可能であ
る。
【0321】GaAs層を形成するには、例えば、トリ
メチル・ガリウムとアルシンの混合ガスを反応ガスとし
て反応ガス供給管73へ供給し、ガス導入管67へは例
えばアルゴンガスを導入するとよい。
【0322】[第16の実施例]つぎに、CdInSe
2などのII−VI族化合物の層とSi層とでタンデム構造
を構成した太陽電池の例について説明する。
【0323】<構成>図85は、II−VI族化合物で構成
される単位セルとSiのpin接合で構成されるもう一
つの単位セルとが複合してなるタンデム構造の太陽電池
の例を示す断面図である。この太陽電池600では、透
明導電膜616、導電性の基板565、および、これら
の間に形成されたCuInSe2の半導体層602で一
つの太陽電池として機能する単位セルが構成されてい
る。
【0324】さらに、透明導電膜412、透明導電膜6
14、および、これらの間に形成されたSiの半導体層
601で、太陽電池として機能するもう一つの単位セル
が構成されている。二つの単位セルの間、言い替えると
2つの透明電極614と616との間には、例えばガラ
スなどで構成される透明絶縁膜が設けられている。すな
わち、双方の単位セルの間は互いに電気的に絶縁されて
いる。
【0325】一方の半導体層602の構造は、従来周知
のCuInSe2太陽電池と同様である。他方の半導体
層601は、透明導電膜412の側から順に、結晶性の
p型Si層611、アモルファスのi型Si層612、
および結晶性のn型Si層613が積層されて成る。n
型Si層613は透明導電膜614に接続されている。
すなわち、半導体層601は半導体層421(図71)
と同様の構造を有している。
【0326】半導体層601は、図86の断面図に示す
半導体層620で置き換えてもよい。半導体層620
は、透明導電膜412の側から順に、n型Si層62
1、p型Si層622、および、p型Si層623が積
層されて成る。これらの各Si層621、622、62
3はいずれも結晶性である。また、p型Si層623で
は、不純物濃度が高く設定されている。すなわち、半導
体層620は、半導体層461(図73)と同様の構造
を有している。
【0327】半導体層601は、さらに、図87の断面
図に示す半導体層630で置き換えてもよい。半導体層
630は、透明導電膜412の側から順に、n型Si層
631、p型Si層632、、p型Si層633、n型
Si層634、および、p型Si層635が積層されて
成る。これらの各Si層は、いずれも結晶性である。ま
た、n型Si層631、p型Si層633、および、n
型Si層634では、不純物濃度が高く設定されてい
る。
【0328】半導体層601は、また、図88の断面図
に示す半導体層640で置き換えてもよい。半導体層6
40は、透明導電膜412の側から順に、n型Si層6
41、i型Si層642、p型Si層643、、p型S
i層644、n型Si層645、および、p型Si層6
46が積層されて成る。これらの各Si層の中で、i型
Si層642はアモルファスであり、他の各Si層はい
ずれも結晶性である。また、p型Si層644、および
n型Si層645では、不純物濃度が高く設定されてい
る。すなわち、半導体層640は、太陽電池440(図
72)の半導体層441、442と同様の構造を有して
いる。
【0329】以上に例示したタンデム構造の太陽電池で
は、まずCuInSe2などのII−VI族化合物で構成さ
れる単位セルを有している。II−VI族化合物で構成され
る太陽電池は、従来周知の太陽電池であり、低価格であ
るとともに変換効率が17%〜18%と高いことで知ら
れている。このII−VI族化合物で構成される単位セル
と、Si系の単位セルとを組み合わせてタンデム構造と
することによって、より広い範囲の波長の光を起電力へ
と変換することができるので、高い変換効率を有する太
陽電池が実現する。
【0330】<製造方法>II−VI族化合物で構成される
単位セルと、Si系の単位セルとが組み合わさってタン
デム構造を成すこれらの太陽電池を製造するには、まず
II−VI族化合物で構成される太陽電池を製造するための
従来周知の方法を用いて、基板565の上にII−VI族化
合物の半導体層602と透明導電膜616とを形成す
る。その後、透明導電膜616の上に透明絶縁膜615
を形成した後、この試料を例えば装置303の反応室6
8へ挿入する。その後、第13の実施例で説明した工程
を実施することによって、所定のSi層を順次積層す
る。
【0331】この方法では、Siの結晶化が起こらない
低温度下で、このSiのアモルファス層、単結晶層、お
よび軸配向多結晶層が形成されるので、既に形成されて
いる半導体層602を熱で変成することなく、所望の構
造の半導体層601を積層することが可能である。
【0332】[第10〜第16の実施例の変形例] (1)第10〜第16の各実施例において、単結晶層を
形成する際に、反応ガスを供給してアモルファスSiな
どのアモルファスの物質を成長させつつ、一方向からビ
ーム照射を行うことによって、軸配向多結晶層を一旦形
成し、その後、複数方向からビーム照射を行ってこの軸
配向多結晶層を単結晶層へと転換してもよい。
【0333】軸配向多結晶層の形成は単結晶層の形成に
比べて容易であり、しかも軸配向多結晶の特性は単結晶
の特性に近い。このため、単結晶層を形成する際に、ま
ず軸配向多結晶層を形成することによって、軸配向多結
晶層に相応する良好な特性を確保することができる。そ
の後、複数方向からのビーム照射によって、軸配向多結
晶が単結晶へ転換される度合いに応じて、さらに良好な
特性へと向上する。すなわち、この方法では、例えば複
数方向からのビーム照射にむらがあるなど、軸配向多結
晶から単結晶への転換が十分に行われない場合でも、単
結晶層を有する太陽電池に近い特性が保証される。
【0334】軸配向多結晶を単結晶化するときには、こ
の物質の結晶化温度以下の温度範囲の比較的高温下でビ
ーム照射が行われる。そうすることによって、単結晶化
のための物質原子の再配列がより円滑に進行する。
【0335】(2)変形例(1)において、軸配向多結
晶層を形成する際におけるビーム照射の方向と、単結晶
化の際におけるビーム照射の複数方向の1つとを、互い
に同一にするのが望ましい。このとき、軸配向多結晶層
における方位の揃った最稠密面については、単結晶化に
際してその方向が維持されるので、単結晶への転換が円
滑に進行する。
【0336】
【発明の効果】本発明請求項1によると、各半導体膜を
夫々単結晶膜で構成しているので、光が進入した際の電
子移動度を飛躍的に向上でき、電気的性質を向上でき
る。また、半導体膜が単結晶のため、不純物の添加が容
易となるという効果がある。
【0337】本発明請求項2によると、タンデム構造を
採用して広範囲の光を吸収しつつ、各半導体膜を夫々単
結晶膜で構成することで、光が進入した際の電子移動度
を飛躍的に向上させ、電気的性質を向上できるという効
果がある。
【0338】本発明請求項3によると、両ヘテロ接合部
の間に層間導電体を介在させているので、両ヘテロ接合
部の界面でトンネル電流を発生させるだけの場合に比べ
て、太陽電池の抵抗値を低減できる。特に、請求項4に
よると、オーミック接合特性を有pn接合しめること
で、抵抗値を飛躍的に低減できる。また、請求項3によ
ると、層間導電体を光透過可能な薄さに形成しているの
で、一方のヘテロ接合部を通過した光をできるだけ他方
のヘテロ接合部に進入させることができ、光吸収性を向
上できるという効果がある。
【0339】本発明請求項5によると、層間導電体の一
側に配された第2の半導体膜の結晶方位と他側に配され
た第3の半導体膜の結晶方位を変化させているので、低
抵抗のオーミック接合が得られるという効果がある。
【0340】本発明請求項6、請求項7、および請求項
10乃至請求項15によると、下地層が単結晶構造でな
くても、その上面に結晶方位の揃った単結晶の膜を、自
由な膜厚の設定で、しかも低温下で容易に形成できる。
特に、半導体膜の厚さを、太陽電池として必要十分な程
度に薄くでき、部材コストを可及的に低減できるという
効果がある。
【0341】本発明請求項8および請求項9によると、
一般に半導体材料中で吸収できる光子数は、禁止帯幅が
大きいほど少なくなるが、吸収した光子のもつエネルギ
ーの中で外部に取り出せるエネルギーの割合は禁止帯幅
に比例して大きくなる。したがって、吸収できる光子数
と光子の外部に取り出せるエネルギーの割合とを掛け合
わすと、変換効率と禁止帯幅とに相関関係が生じること
がわかる。そして、かかる相関関係において、CdS/
CdTe接合等のII−VI族またはGaAs等のII
I−V族の化合物の禁止帯幅が最も高い変換効率を示す
ことが知られている。このことに鑑み、半導体膜の材料
としてII−VI族またはIII−V族の化合物を使用
することで、吸収係数および吸収端の波長の特性が飛躍
的に向上するという効果がある。
【0342】本発明請求項16ないし請求項36のいず
れかでは、各半導体膜が単結晶膜か軸配向多結晶膜のい
ずれかで構成される。軸配向多結晶膜は単結晶膜に近い
特性をもっているので、半導体膜の一部ないし全部が単
結晶膜の代わりに軸配向多結晶膜に置き換えられた太陽
電池においても、各半導体膜のいずれもが単結晶膜で構
成される太陽電池に近い特性が得られる。
【0343】特に、軸配向多結晶膜が一方向からのビー
ム照射によって形成される場合では、単結晶膜が複数方
向からのビーム照射によって形成される場合と同様に、
下地層の結晶構造には無関係に、その上面に軸配向多結
晶膜を、自由な膜厚の設定で、しかも低温下で容易に形
成できる。特に、半導体膜の厚さを、太陽電池として必
要十分な程度に薄くでき、部材コストを可及的に低減で
きる。
【0344】さらに、本発明請求項31ないし請求項3
6のいずれかでは、一方向からのビーム照射によって軸
配向多結晶薄膜を一旦形成し、この軸配向多結晶薄膜に
さらに複数方向からのビーム照射を行ってこれを単結晶
化することによって単結晶膜が得られる。このため、多
結晶薄膜から単結晶膜への転換が十分に行われない場合
でも、半導体膜が単結晶膜で構成される太陽電池に近い
特性が保証される。
【0345】さらに、本発明請求項33または請求項3
6によれば、軸配向多結晶薄膜を形成する際におけるビ
ーム照射の方向と、軸配向多結晶薄膜を単結晶膜へと転
換する際におけるビーム照射の複数方向の1つとが、互
いに同一であるので、単結晶膜への転換が円滑に行われ
る。
【0346】本発明請求項37、請求項38、請求項4
3、請求項44、請求項50、請求項51、請求項5
2、請求項53、請求項70、請求項71、請求項7
2、請求項73、請求項82、請求項83、請求項84
および請求項85によると、Pin構造の太陽電池の受
光側の第1の半導体層を単結晶膜または多結晶で構成
し、光の進行方向側の真性半導体層をアモルファス膜で
構成することで、受光側の第1の半導体層で主として長
波長光を吸収し、真性半導体層で主として短波長光を吸
収できる。そうすると、両層をアモルファス膜で構成し
ていた従来例に比べて広い波長の光を効率よく吸収でき
るという効果がある。
【0347】また、特に請求項37、請求項43、請求
項50、請求項51、請求項70、請求項71、請求項
82および請求項83によると、表面層を単結晶膜で形
成することで、欠陥密度を大幅に低減させることがで
き、光の吸収により発生した小数担体が再結合により消
滅する割合を少なくでき、小数担体を有効に取り出すこ
とができるという効果がある。
【0348】さらに、上記のように各半導体層を結晶化
することで、該半導体層の経時的変化による劣化を防止
できるという効果がある。
【0349】ここで、単結晶膜または多結晶膜の第1の
半導体層で吸収しきれず通過してしまう長波長光につい
て、請求項39、請求項40、請求項54および請求項
55によると、第2の半導体層によって、あるいは請求
項41、請求項42、請求項62乃至請求項69および
請求項74乃至請求項81では第2の半導体層および第
3の半導体層によって長波長光をさらに吸収でき、長波
長側の吸収特性を向上し得る。特に、請求項41、請求
項42、請求項62乃至請求項69および請求項74乃
至請求項81によると、タンデム構造を採用しているた
め、広い光波長の吸収特性を有せしめることができると
いう効果がある。
【0350】本発明請求項45によると、受光側の半導
体層を薄膜化することで、受けた光の一部、すなわち主
として長波長光の一部を吸収した後、できるだけ多くの
光を真性半導体層へ通過させることができ、真性半導体
層での短波長を中心とした光の吸収効率を向上でき、変
換効率の良い太陽電池が得られる。しかも、アモルファ
ス膜としての真性半導体層は元来吸収効率がよく、薄膜
化してもその吸収特性が損なわれることが少ないため、
全体としての薄膜化を容易に達成できるという効果があ
る。
【0351】本発明請求項46乃至請求項88による
と、結晶化に当たって低温環境下で作業を行うことがで
き、故に下地層に耐熱性が要求されないため、例えばガ
ラス等の安価な基板を用いて該基板上に結晶膜を形成で
きる。また、安価な透明基板が使用できることからシリ
コン材料が少なくてすみ、無駄が発生せず経済的な太陽
電池が得られる。さらに、単結晶膜または多結晶膜の半
導体層の厚さを、アモルファス膜の形成と全く同様にし
て自由に設定でき、単結晶膜または多結晶膜のウェハか
ら半導体膜を成長形成していた従来例に比べて、該半導
体層の厚さを大幅に薄く設定できる。そうすると、結晶
膜として十分な光吸収特性を有する範囲内で半導体層を
可及的に薄膜化でき、太陽電池全体の薄型化を図り得
る。これらのことから、結晶化半導体層にて特性を向上
させながらも部材コストを大幅に低減できる。そして、
結晶系の半導体膜をアモルファス膜と同様のプラズマC
VD法で連続的に形成できるので、工程の自動化が容易
にでき、生産性を向上し得るという効果がある。
【0352】特に、請求項86ないし請求項88によれ
ば、一方向からのビーム照射によって一つの最稠密面の
方向が揃った多結晶薄膜すなわち軸配向多結晶薄膜を一
旦形成し、この軸配向多結晶薄膜にさらに複数方向から
のビーム照射を行ってこれを単結晶化することによって
単結晶膜が得られる。軸配向多結晶薄膜は結晶方位が任
意である通常の多結晶薄膜にくらべて規則性が高いため
に単結晶膜に近い特性を有する。このため、多結晶薄膜
から単結晶膜への転換が十分に行われない場合でも、単
結晶膜を有する太陽電池に近い特性が保証される。
【0353】さらに、請求項88によれば、軸配向多結
晶薄膜を形成する際におけるビーム照射の方向と、軸配
向多結晶薄膜を単結晶膜へと転換する際におけるビーム
照射の複数方向の1つとが、互いに同一であるので、単
結晶膜への転換が円滑に行われる。
【0354】請求項89〜請求項91のいずれかに記載
の太陽電池では、pin接合またはpn接合を有する半
導体層が複数層に積層されているので、大きな起電力が
得られる。また、一つのpin接合またはpn接合で吸
収しきれなかった光が他のpin接合またはpn接合で
無駄なく吸収される。このため、高い変換効率が得られ
る。また、p型半導体層とn型半導体層の結晶構造が単
結晶または軸配向多結晶であるために、これらの半導体
層での欠陥の密度が低く、そのため、少数担体の再結合
が起こりにくい。このことも、変換効率の向上に寄与す
る。
【0355】請求項92に記載の太陽電池では、pin
接合またはpn接合を有する各半導体層の間に第3電極
が介挿されている。したがって、各半導体層で発生した
起電力を独立して取り出すことが可能である。
【0356】請求項93〜請求項95に記載の製造方法
は、請求項89〜請求項95に記載の太陽電池の製造に
それぞれ適している。特に、気体のビームの照射を行っ
たりあるいは停止したりすることで、結晶構造の異なる
半導体層が多層に積層した構造を有する太陽電池を容易
に製造可能である。しかも、比較的低温下で製造可能で
あるために、基板に耐熱性の低い安価な材料を使用可能
である。
【0357】請求項96に記載の多層薄膜形成方法で
は、比較的低温度で、結晶構造の異なる複数層を有する
薄膜が形成される。しかも、このような多層膜を真空中
で連続して形成できるので、界面に水分等の汚染物質が
付着しないために、優れた界面特性を得ることができ
る。さらに、アモルファス薄膜を形成する過程では、薄
膜物質を構成する原料ガスに、水素ガスが混入されるの
で、アモルファス薄膜が安定して得られる。
【0358】請求項97に記載の方法では、軸配向多結
晶薄膜を一旦形成し、その後、これを単結晶化するとい
う2段階で単結晶薄膜を形成する工程において、最初の
軸配向多結晶薄膜を形成する段階でのビーム照射の方向
と、後の単結晶化の段階でのビーム照射の複数方向の一
つとが一致している。このため、単結晶化に際して、軸
配向多結晶薄膜の方位の揃った最稠密面はそのまま維持
されるので、単結晶化が円滑に進行する。
【0359】請求項98に記載の方法では、ビームとし
て照射される気体が不活性ガスであるので、照射後に気
体の原子またはイオンが薄膜の中に残留しても、これら
が薄膜の電子物性へ不純物として悪影響を及ぼすことが
少ないという効果がある。
【0360】請求項99に記載の方法では、照射される
不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射対象である
所定の物質の構成元素の最大の原子量よりも低いので、
照射された不活性ガスの原子またはイオンの大部分が、
薄膜の表面ないしその近傍で後方へ反跳し、薄膜の中に
残留し難いという効果がある。
【0361】請求項100に記載の方法では、照射され
る不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射を受ける
所定の物質を構成する元素の最大の原子量に最も近い値
であるので、ビームの照射効果を最大限に引き出すこと
ができる。したがって、不活性ガスの導入量を反応ガス
の導入量に対して、少なく抑えることができる。あるい
は、軸配向多結晶薄膜または単結晶薄膜の形成速度を高
めることができる。
【0362】請求項101に記載の方法では、アモルフ
ァス薄膜を形成する際の原料ガスがシランガスであるた
めにシリコンのアモルファス薄膜が形成される。また、
シランガスに水素ガスが混入されるので、アモルファス
シリコンの薄膜が安定して得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の太陽電池を示す断面図
である。
【図2】本発明の第1の実施例の太陽電池の製造工程を
示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の太陽電池の製造工程を
示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の太陽電池の製造工程を
示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の太陽電池の製造工程を
示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の製造方法を実行するの
に適した装置の構成を示す正面断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例における反射板の斜視図
である。
【図8】本発明の第1の実施例における反射板の三面図
である。
【図9】本発明の第1の実施例におけるECRイオン発
生器の特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施例の太陽電池を示す断面
図である。
【図11】本発明の第2の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図16】従来例1の太陽電池の製造工程を示す断面図
である。
【図17】従来例1の太陽電池の製造工程を示す断面図
である。
【図18】従来例1の太陽電池の製造工程を示す断面図
である。
【図19】従来例1の太陽電池を示す断面図である。
【図20】従来例2の太陽電池およびその特性を示す図
である。
【図21】本発明の変形例の実施に適した装置の構成を
示す正面断面図である。
【図22】本発明の第3の実施例の太陽電池を示す断面
図である。
【図23】本発明の第3の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図24】本発明の第3の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図25】本発明の第3の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図26】本発明の第3の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図27】本発明の第3の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図28】本発明の第5の実施例の太陽電池を示す断面
図である。
【図29】本発明の第5の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図30】本発明の第5の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図31】本発明の第5の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図32】本発明の第5の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図33】本発明の第5の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図34】本発明の第6の実施例の太陽電池を示す断面
図である。
【図35】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図36】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図37】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図38】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図39】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図40】本発明の第6の実施例の太陽電池の製造工程
を示す断面図である。
【図41】一般的な太陽電池の材料別の特徴を示す図で
ある。
【図42】従来の単結晶Si太陽電池の製造工程を示す
図である。
【図43】従来の単結晶Si太陽電池の製造工程を示す
図である。
【図44】従来の改良例の単結晶Si太陽電池の製造工
程を示す図である。
【図45】太陽光が吸収された場合の単結晶シリコンに
ついての光の通過距離と光の入射光比率との関係を示す
図である。
【図46】各種太陽電池の基板厚さと到達変換効率の関
係を示す図である。
【図47】一般的なキャスト法を用いた多結晶Si太陽
電池の製造工程を示す図である。
【図48】新たに提案したキャスト法を用いた多結晶S
i太陽電池の製造工程を示す図である。
【図49】リボン法を用いた多結晶Si太陽電池の製造
工程を示す図である。
【図50】単室反応炉法を用いたアモルファスSi太陽
電池の製造工程を示す図である。
【図51】連続分離プラズマ反応法を用いたアモルファ
スSi太陽電池の製造工程を示す図である。
【図52】結晶Si太陽電池の動作原理を示す図であ
る。
【図53】アモルファスSi太陽電池の動作原理を示す
図である。
【図54】アモルファスSiと結晶シリコン等との光の
波長に対する光吸収係数の比較を示す図である。
【図55】アモルファス(a)Si:H、単結晶Siお
よび太陽輻射スペクトルの吸収係数の比較を示す図であ
る。
【図56】光吸収係数をパラメータとして光の通過距離
に対する吸収光比率を示す図である。
【図57】アモルファスSi:Hと単結晶Siの物性定
数を示す図である。
【図58】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図59】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図60】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図61】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図62】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図63】従来の太陽電池の一例を示す図である。
【図64】第10の実施例の太陽電池の断面図である。
【図65】図64の太陽電池の製造に好適な薄膜形成装
置の正面断面図である。
【図66】図64の太陽電池の製造工程図である。
【図67】図64の太陽電池の製造工程図である。
【図68】図64の太陽電池の製造工程図である。
【図69】図64の太陽電池の製造工程図である。
【図70】図64の太陽電池の製造工程図である。
【図71】第11の実施例の太陽電池の断面図である。
【図72】第11の実施例のもう一つの太陽電池の断面
図である。
【図73】第11の実施例のさらに別の太陽電池の断面
図である。
【図74】第12の実施例の太陽電池の製造に好適な薄
膜形成装置の正面断面図である。
【図75】第13の実施例の薄膜形成装置の正面断面図
である。
【図76】第13の実施例のもう一つの薄膜形成装置の
正面断面図である。
【図77】図76の装置の部分拡大断面図である。
【図78】第14の実施例の太陽電池の断面図である。
【図79】第14の実施例のもう一つの太陽電池の断面
図である。
【図80】第14の実施例のさらに別の太陽電池の断面
図である。
【図81】第14の実施例のさらに別の太陽電池の一部
の断面図である。
【図82】第14の実施例のさらに別の太陽電池の一部
の断面図である。
【図83】第15の実施例の太陽電池の断面図である。
【図84】第15の実施例のもう一つの太陽電池の断面
図である。
【図85】第16の実施例の太陽電池の断面図である。
【図86】第16の実施例のもう一つの太陽電池の一部
の断面図である。
【図87】第16の実施例のさらに別の太陽電池の一部
の断面図である。
【図88】第16の実施例のさらに別の太陽電池の一部
の断面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 第1の半導体膜 13 第1の電極 14 第2の半導体膜 16 第2の電極 21 基板 22 第1の半導体膜 23 第1の電極 24 第2の半導体膜 25 層間導電体 26 第3の半導体膜 27 第4の半導体膜 28 第2の電極 H1 第1のヘテロ接合部 H2 第2のヘテロ接合部 101 透明基板 102 透明電導膜 103 第1の半導体層 104 第2の半導体層 105a 真性半導体層 105b n型Si膜 106 第3の半導体層 107 セミ・テクスチュア構造層 251 透明基板 252 透明電導膜 253 第1の半導体層 254 第2の半導体層 255 真性半導体層 256 裏面電極 291 透明基板 292 透明電導膜 293 第1の半導体層 294 第2の半導体層 295 真性半導体層 296 第3の半導体層 297 裏面電極 400、420、440、460、480、500、5
20、560、580、600 太陽電池 412 透明導電膜(第1電極または第2電極) 416 裏面電極(第1電極または第2電極) 565 基板(第1電極または第2電極) 401、402、403、421、422、441、4
42、461、462、501、502、521、52
2、540、550、561、581、582、60
1、602、620、630、640 半導体層 413、431、435、458、456、477、4
78、518、532、535、542、543、54
5、553、554、556、594、611、62
2、623、632、633、635、643、64
4、646 p型Si層(p型半導体層) 491、511 p型SiC層(p型半導体層) 571、591 p型GaAs層(p型半導体層) 414、432、436、452、512、552、6
12、642 i型Si層(真性半導体層) 415、438、437、451、455、471、4
74、494、513、514、531、534、54
1、544、551、555、595、613、62
1、631、634、641、645 n型Si層(n
型半導体層) 572、592 n型GaAs層(n型半導体層) 533、593 共通電極(第3電極) 614、616 透明導電膜(第3電極)
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−13180 (32)優先日 平6(1994)1月10日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (101)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、 該基板の上面側に該基板と異なる材料で形成された第1
    導電型の第1の半導体膜と、 該第1の半導体膜に接続される第1の電極と、 前記第1の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第
    2の半導体膜と、 該第2の半導体膜側に接続される第2の電極とを備え、 前記第1の半導体膜および第2の半導体膜は単結晶膜で
    構成されたことを特徴とする太陽電池。
  2. 【請求項2】 第1導電型の第1の半導体膜および該第
    1の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第2の半
    導体膜とを有する第1のヘテロ接合部と、 前記第2の半導体膜の上面側に形成された第1導電型の
    第3の半導体膜および該第3の半導体膜の上面に形成さ
    れた第2導電型の第4の半導体膜とを有する第2のヘテ
    ロ接合部とを少なくとも備え、 該両ヘテロ接合部は光の進行方向に沿って禁止帯幅の大
    きい順に配列され、 前記第1の半導体膜、第2の半導体膜、第3の半導体膜
    および第4の半導体膜は単結晶膜で構成されたことを特
    徴とする太陽電池。
  3. 【請求項3】 前記両ヘテロ接合部の間に、光透過可能
    な薄さの層間導電体が介在される、請求項2記載の太陽
    電池。
  4. 【請求項4】 前記層間導電体は前記両ヘテロ接合部に
    対してオーミック接合特性を有する金属が使用される、
    請求項3記載の太陽電池。
  5. 【請求項5】 前記層間導電体の一側に配された第2の
    半導体膜の結晶方位と他側に配された第3の半導体膜の
    結晶方位は互いに異なって形成された、請求項4記載の
    太陽電池。
  6. 【請求項6】 前記単結晶膜は、結晶化温度以下の低温
    度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向の
    最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射されて形成さ
    れることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の
    太陽電池。
  7. 【請求項7】 前記単結晶膜は、予め形成されたアモル
    ファス薄膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度
    下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向から
    ビーム照射されて形成されることを特徴とする、請求項
    1または請求項2記載の太陽電池。
  8. 【請求項8】 前記単結晶膜はII−VI族化合物が用
    いられる、請求項1または請求項2記載の太陽電池。
  9. 【請求項9】 前記単結晶膜はIII−V族化合物が用
    いられる、請求項1または請求項2記載の太陽電池。
  10. 【請求項10】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、 前記第1の工程および第2の工程は、結晶化温度以下の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶膜よりなる前記第1の半導体膜または第2の半導体膜
    を形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、 前記第1の工程および第2の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度以下の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶膜よりなる前記第1の半導体膜
    または前記第2の半導体膜を形成する工程を含む太陽電
    池の製造方法。
  12. 【請求項12】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の工程
    と、 前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第3の半導
    体膜を形成する第3の工程と、 前記第3の半導体膜の上面に第2導電型の第4の半導体
    膜およびその電極を形成して第2のヘテロ接合部を形成
    する第4の工程とを少なくとも備え、 前記第1の工程、第2の工程、第3の工程および第4の
    工程は、結晶化温度以下の低温度下で反応ガスを供給す
    ると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方
    向からビーム照射して単結晶膜よりなる前記第1の半導
    体膜、前記第2の半導体膜、前記第3の半導体膜または
    前記第4の半導体膜を形成する工程を含む太陽電池の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の工程
    と、 前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第3の半導
    体膜を形成する第3の工程と、 前記第3の半導体膜の上面に第2導電型の第4の半導体
    膜およびその電極を形成して第2のヘテロ接合部を形成
    する第4の工程とを少なくとも備え、 前記第1の工程、第2の工程、第3の工程および第4の
    工程は、予めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形成
    し、結晶化温度以下の低温度下で相異なる複数方向の最
    稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜よ
    りなる前記第1の半導体膜、前記第2の半導体膜、前記
    第3の半導体膜または前記第4の半導体膜を形成する工
    程を含む太陽電池の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第2の工程と前記第3の工程との
    間に、両ヘテロ接合部の間に前記両ヘテロ接合部に対し
    てオーミック接合特性を有する金属からなる層間導電体
    を光透過可能な薄さに形成する工程をさらに備える、請
    求項12または請求項13記載の太陽電池の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第3の工程において、第3の半導
    体膜の結晶方位を第2の半導体膜の結晶方位と異なって
    形成する、請求項14記載の太陽電池の製造方法。
  16. 【請求項16】 基板と、 該基板の上面側に該基板と異なる材料で形成された第1
    導電型の第1の半導体膜と、 該第1の半導体膜に接続される第1の電極と、 前記第1の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第
    2の半導体膜と、 該第2の半導体膜側に接続される第2の電極とを備え、 前記第1の半導体膜および第2の半導体膜の各1は、単
    結晶膜または軸配向多結晶膜のいずれかで構成されたこ
    とを特徴とする太陽電池。
  17. 【請求項17】 第1導電型の第1の半導体膜および該
    第1の半導体膜の上面に形成された第2導電型の第2の
    半導体膜とを有する第1のヘテロ接合部と、 前記第2の半導体膜の上面側に形成された第1導電型の
    第3の半導体膜および該第3の半導体膜の上面に形成さ
    れた第2導電型の第4の半導体膜とを有する第2のヘテ
    ロ接合部とを少なくとも備え、 該両ヘテロ接合部は光の進行方向に沿って禁止帯幅の大
    きい順に配列され、 前記第1の半導体膜、第2の半導体膜、第3の半導体膜
    および第4の半導体膜の各1は、単結晶膜または軸配向
    多結晶膜のいずれかで構成されたことを特徴とする太陽
    電池。
  18. 【請求項18】 前記両ヘテロ接合部の間に、光透過可
    能な薄さの層間導電体が介在される、請求項17記載の
    太陽電池。
  19. 【請求項19】 前記層間導電体は前記両ヘテロ接合部
    に対してオーミック接合特性を有する金属が使用され
    る、請求項18記載の太陽電池。
  20. 【請求項20】 前記層間導電体の一側に配された第2
    の半導体膜の結晶方位と他側に配された第3の半導体膜
    の結晶方位は互いに異なって形成された、請求項19記
    載の太陽電池。
  21. 【請求項21】 前記単結晶膜は、結晶化温度以下の低
    温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向
    の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射されて形成
    されることを特徴とする、請求項16または請求項17
    記載の太陽電池。
  22. 【請求項22】 前記単結晶膜は、予め形成されたアモ
    ルファス薄膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射されて形成されることを特徴とする、請求
    項16または請求項17記載の太陽電池。
  23. 【請求項23】 前記軸配向多結晶膜は、結晶化温度以
    下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に一方向から
    ビーム照射されて形成されることを特徴とする、請求項
    16または請求項17記載の太陽電池。
  24. 【請求項24】 前記軸配向多結晶膜は、予め形成され
    たアモルファス薄膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下
    の低温度下で一方向からビーム照射されて形成されるこ
    とを特徴とする、請求項16または請求項17記載の太
    陽電池。
  25. 【請求項25】 前記単結晶薄膜または前記軸配向多結
    晶膜はII−VI族化合物が用いられる、請求項16ま
    たは請求項17記載の太陽電池。
  26. 【請求項26】 前記単結晶薄膜または前記軸配向多結
    晶膜はIII−V族化合物が用いられる、請求項16ま
    たは請求項17記載の太陽電池。
  27. 【請求項27】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜およびその電極を形成する第2の工程とを備え、 前記第1の工程および第2の工程の各1は、(a)結晶化
    温度以下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に一方
    向からビーム照射して軸配向多結晶半導体膜を形成する
    工程、(b)予めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形
    成し、結晶化温度以下の低温度下で一方向からビーム照
    射して軸配向多結晶半導体膜を形成する工程、(c)結晶
    化温度以下の低温度下で反応ガスを供給すると同時に相
    異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム
    照射して単結晶半導体膜を形成する工程、および(d)予
    めアモルファス薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化
    温度以下の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面
    に垂直な方向からビーム照射して単結晶半導体膜を形成
    する工程、の4工程の中のいずれか1つの工程を含む太
    陽電池の製造方法。
  28. 【請求項28】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1導電型の第1の半導体膜およびその電極を形成する
    第1の工程と、 前記第1の半導体膜の上面に第2導電型の第2の半導体
    膜を形成して第1のヘテロ接合部を形成する第2の工程
    と、 前記第2の半導体膜の上面側に第1導電型の第3の半導
    体膜を形成する第3の工程と、 前記第3の半導体膜の上面に第2導電型の第4の半導体
    膜およびその電極を形成して第2のヘテロ接合部を形成
    する第4の工程とを少なくとも備え、 前記第1の工程、第2の工程、第3の工程および第4の
    工程の各1は、(a)結晶化温度以下の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に一方向からビーム照射して軸配向
    多結晶半導体膜を形成する工程、(b)予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度以下の低温
    度下で一方向からビーム照射して軸配向多結晶半導体膜
    を形成する工程、(c)結晶化温度以下の低温度下で反応
    ガスを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶
    面に垂直な方向からビーム照射して単結晶半導体膜を形
    成する工程、および(d)予めアモルファス薄膜または多
    結晶薄膜を形成し、結晶化温度以下の低温度下で相異な
    る複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射
    して単結晶半導体膜を形成する工程、の4工程の中のい
    ずれか1つの工程を含む太陽電池の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第2の工程と前記第3の工程との
    間に、両ヘテロ接合部の間に前記両ヘテロ接合部に対し
    てオーミック接合特性を有する金属からなる層間導電体
    を光透過可能な薄さに形成する工程をさらに備える、請
    求項28記載の太陽電池の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記第3の工程において、第3の半導
    体膜の結晶方位を第2の半導体膜の結晶方位と異なって
    形成する、請求項29記載の太陽電池の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記多結晶薄膜は、結晶化温度以下の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に一方向からビー
    ム照射されて形成された軸配向多結晶薄膜であることを
    特徴とする、請求項22記載の太陽電池。
  32. 【請求項32】 前記多結晶薄膜は、予め形成されたア
    モルファス薄膜または多結晶薄膜の結晶化温度以下の低
    温度下で一方向からビーム照射されて形成された軸配向
    多結晶薄膜であることを特徴とする、請求項22記載の
    太陽電池。
  33. 【請求項33】 前記軸配向多結晶薄膜を形成する際に
    おける前記ビーム照射の方向と、前記軸配向多結晶薄膜
    を前記単結晶膜へ転換する際における前記ビーム照射の
    複数方向の1つとが、互いに同一である請求項31また
    は請求項32記載の太陽電池。
  34. 【請求項34】 前記工程(d)において予め形成される
    前記多結晶薄膜が、結晶化温度以下の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に一方向からビーム照射することに
    よって、軸配向多結晶薄膜として形成されることを特徴
    とする、請求項27または請求項28記載の太陽電池の
    製造方法。
  35. 【請求項35】 前記工程(d)において予め形成される
    前記多結晶薄膜が、予め形成されたアモルファス薄膜ま
    たは多結晶薄膜の結晶化温度以下の低温度下で一方向か
    らビーム照射することによって、軸配向多結晶薄膜とし
    て形成されることを特徴とする、請求項27または請求
    項28記載の太陽電池の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記軸配向多結晶薄膜を形成する際に
    おける前記ビーム照射の方向と、前記軸配向多結晶薄膜
    を前記単結晶半導体膜へ転換する際における前記ビーム
    照射の複数方向の1つとが、互いに同一である請求項3
    4または請求項35記載の太陽電池の製造方法。
  37. 【請求項37】 受光側に配される第1の導電型の第1
    の半導体層と、 該第1の半導体層より光の進行方向側に配される第2の
    導電型の第2の半導体層と、 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の間に介
    在されるアモルファス膜からなる真性半導体層とを備
    え、 前記第1の半導体層は単結晶膜から構成される太陽電
    池。
  38. 【請求項38】 受光側に配される第1の導電型の第1
    の半導体層と、 該第1の半導体層より光の進行方向側に配される第2の
    導電型の第2の半導体層と、 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の間に介
    在されるアモルファス膜からなる真性半導体層とを備
    え、 前記第1の半導体層は多結晶膜から構成される太陽電
    池。
  39. 【請求項39】 前記第2の半導体層は単結晶膜から構
    成される、請求項37または請求項38記載の太陽電
    池。
  40. 【請求項40】 前記第2の半導体層は多結晶膜から構
    成される、請求項37または請求項38記載の太陽電
    池。
  41. 【請求項41】 受光側に配される第1の導電型の第1
    の半導体層と、 該第1の半導体層より光の進行方向側に配されるアモル
    ファス膜からなる真性半導体層と、 該真性半導体層より光の進行方向側に配される第2の導
    電型の第2の半導体層と、 該第2の半導体層の光の進行方向側に配される第1の導
    電型の第3の半導体層と、 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の間に介
    在されるアモルファス膜からなる真性半導体層とを備
    え、 前記第2の半導体層および前記第3の半導体層は単結晶
    膜から構成される太陽電池。
  42. 【請求項42】 受光側に配される第1の導電型の第1
    の半導体層と、 該第1の半導体層より光の進行方向側に配されるアモル
    ファス膜からなる真性半導体層と、 該真性半導体層より光の進行方向側に配される第2の導
    電型の第2の半導体層と、 該第2の半導体層の光の進行方向側に配される第1の導
    電型の第3の半導体層と、 前記第1の半導体層および前記第2の半導体層の間に介
    在されるアモルファス膜からなる真性半導体層とを備
    え、 前記第2の半導体層および前記第3の半導体層は多結晶
    膜から構成される太陽電池。
  43. 【請求項43】 前記第1の半導体層は単結晶膜から構
    成される、請求項41または請求項42記載の太陽電
    池。
  44. 【請求項44】 前記第1の半導体層は多結晶膜から構
    成される、請求項41または請求項42記載の太陽電
    池。
  45. 【請求項45】 前記第1の半導体層は前記真性半導体
    層より薄く形成される、請求項37、請求項38、請求
    項39、請求項40、請求項41、請求項42、請求項
    43または請求項44記載の太陽電池。
  46. 【請求項46】 前記単結晶膜は、結晶化温度未満の低
    温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方向
    の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射されて形成
    されることを特徴とする、請求項37、請求項39、請
    求項41または請求項43記載の太陽電池。
  47. 【請求項47】 前記単結晶膜は、予め形成されたアモ
    ルファス薄膜または多結晶薄膜に対して結晶化温度未満
    の低温度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な
    方向からビーム照射されて形成されることを特徴とす
    る、請求項37、請求項39、請求項41または請求項
    43記載の太陽電池。
  48. 【請求項48】 前記多結晶膜は、結晶化温度未満の低
    温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に垂
    直な一方向からビーム照射されて形成されることを特徴
    とする、請求項38、請求項40、請求項42または請
    求項44記載の太陽電池。
  49. 【請求項49】 前記多結晶膜は、予め形成されたアモ
    ルファス薄膜に対して結晶化温度未満の低温度下で最稠
    密結晶面に垂直な一方向からビーム照射されて形成され
    ることを特徴とする、請求項38、請求項40、請求項
    42または請求項44記載の太陽電池。
  50. 【請求項50】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第1の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面
    に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜よりなる前記
    第1の半導体層を形成する工程を含む太陽電池の製造方
    法。
  51. 【請求項51】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第1の工程は、予めアモルファス薄膜または多結晶
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で相異なる複
    数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して
    単結晶膜よりなる前記第1の半導体層を形成する工程を
    含む太陽電池の製造方法。
  52. 【請求項52】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第1の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な一方向から
    ビーム照射して多結晶膜よりなる前記第1の半導体層を
    形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  53. 【請求項53】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第1の工程は、予めアモルファス薄膜を形成し、結
    晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向
    からビーム照射して多結晶膜よりなる前記第1の半導体
    層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  54. 【請求項54】 前記第3の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶膜よりなる前記第2の半導体層を形成する工程を含
    む、請求項50、請求項51、請求項52または請求項
    53記載の太陽電池の製造方法。
  55. 【請求項55】 前記第3の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶膜よりなる前記第2の半導体層
    を形成する工程を含む、請求項50、請求項51、請求
    項52または請求項53記載の太陽電池の製造方法。
  56. 【請求項56】 前記第3の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射して多結晶膜よりなる前記
    第2の半導体層を形成する工程を含む、請求項50、請
    求項51、請求項52または請求項53記載の太陽電池
    の製造方法。
  57. 【請求項57】 前記第3の工程は、予めアモルファス
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶
    面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶膜よりなる
    前記第2の半導体層を形成する工程を含む、請求項5
    0、請求項51、請求項52または請求項53記載の太
    陽電池の製造方法。
  58. 【請求項58】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層を形成する第1の工程
    と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第3の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面
    に垂直な方向からビーム照射して単結晶膜よりなる前記
    第2の半導体層を形成する工程を含む太陽電池の製造方
    法。
  59. 【請求項59】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層を形成する第1の工程
    と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第3の工程は、予めアモルファス薄膜または多結晶
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で相異なる複
    数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して
    単結晶膜よりなる前記第2の半導体層を形成する工程を
    含む太陽電池の製造方法。
  60. 【請求項60】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層を形成する第1の工程
    と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第3の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な一方向から
    ビーム照射して多結晶膜よりなる前記第2の半導体層を
    形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  61. 【請求項61】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層を形成する第1の工程
    と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の第2の半導体
    層およびその電極を形成する第3の工程とを備え、 前記第3の工程は、予めアモルファス薄膜を形成し、結
    晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向
    からビーム照射して多結晶膜よりなる前記第2の半導体
    層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  62. 【請求項62】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜から
    なる第2の半導体層を形成する第3の工程と、 前記第2の半導体層の上面に第1の導電型の単結晶膜か
    らなる第3の半導体層およびその電極を形成する第4の
    工程とを備え、 前記第3の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面
    に垂直な方向からビーム照射して単結晶化して前記第2
    の半導体層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  63. 【請求項63】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜から
    なる第2の半導体層を形成する第3の工程と、 前記第2の半導体層の上面に第1の導電型の単結晶膜か
    らなる第3の半導体層およびその電極を形成する第4の
    工程とを備え、 前記第3の工程は、予めアモルファス薄膜または多結晶
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で相異なる複
    数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して
    単結晶化し前記第2の半導体層を形成する工程を含む太
    陽電池の製造方法。
  64. 【請求項64】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の多結晶膜から
    なる第2の半導体層を形成する第3の工程と、 前記第2の半導体層の上面に第1の導電型の多結晶膜か
    らなる第3の半導体層およびその電極を形成する第4の
    工程とを備え、 前記第3の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な一方向から
    ビーム照射して多結晶化して前記第2の半導体層を形成
    する工程を含む太陽電池の製造方法。
  65. 【請求項65】 基板の上面側に該基板と異なる材料の
    第1の導電型の第1の半導体層およびその電極を形成す
    る第1の工程と、 前記第1の半導体層の上面にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第2の工程と、 前記真性半導体層の上面に第2の導電型の多結晶膜から
    なる第2の半導体層を形成する第3の工程と、 前記第2の半導体層の上面に第1の導電型の多結晶膜か
    らなる第3の半導体層およびその電極を形成する第4の
    工程とを備え、 前記第3の工程は、予めアモルファス薄膜を形成し、結
    晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向
    からビーム照射して多結晶化し前記第2の半導体層を形
    成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  66. 【請求項66】 前記第4の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶化し前記第3の半導体層を形成する工程を含む、請求
    項62または請求項63記載の太陽電池の製造方法。
  67. 【請求項67】 前記第4の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶化し前記第3の半導体層を形成
    する工程を含む、請求項62、または請求項63記載の
    太陽電池の製造方法。
  68. 【請求項68】 前記第4の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第3の
    半導体層を形成する工程を含む、請求項64または請求
    項65記載の太陽電池の製造方法。
  69. 【請求項69】 前記第4の工程は、予めアモルファス
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶
    面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第
    3の半導体層を形成する工程を含む、請求項64または
    請求項65記載の太陽電池の製造方法。
  70. 【請求項70】 前記第1の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶化し前記第1の半導体層を形成する工程を含む、請求
    項62、請求項63、請求項64または請求項65記載
    の太陽電池の製造方法。
  71. 【請求項71】 前記第1の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶化し前記第1の半導体層を形成
    する工程を含む、請求項62、請求項63、請求項64
    または請求項65記載の太陽電池の製造方法。
  72. 【請求項72】 前記第1の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第1の
    半導体層を形成する工程を含む、請求項62、請求項6
    3、請求項64または請求項65記載の太陽電池の製造
    方法。
  73. 【請求項73】 前記第1の工程は、予めアモルファス
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶
    面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第
    1の半導体層を形成する工程を含む、請求項62、請求
    項63、請求項64または請求項65記載の太陽電池の
    製造方法。
  74. 【請求項74】 裏面基板の上面側に該裏面基板と異な
    る材料の第1の導電型の単結晶膜からなる第3の半導体
    層を形成する第1の工程と、 前記第3の半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜か
    らなる第2の半導体層を形成する第2の工程と、 前記第2の半導体層の上側にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第3の工程と、 前記真性半導体層の上面に第1の導電型の第1の半導体
    層およびその電極を形成する第4の工程とを備え、 前記第1の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に相異なる複数方向の最稠密結晶面
    に垂直な方向からビーム照射して単結晶化して前記第3
    の半導体層を形成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  75. 【請求項75】 裏面基板の上面側に該裏面基板と異な
    る材料の第1の導電型の単結晶膜からなる第3の半導体
    層を形成する第1の工程と、 前記第3の半導体層の上面に第2の導電型の単結晶膜か
    らなる第2の半導体層を形成する第2の工程と、 前記第2の半導体層の上側にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第3の工程と、 前記真性半導体層の上面に第1の導電型の第1の半導体
    層およびその電極を形成する第4の工程とを備え、 前記第1の工程は、予めアモルファス薄膜または多結晶
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で相異なる複
    数方向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して
    単結晶化し前記第3の半導体層を形成する工程を含む太
    陽電池の製造方法。
  76. 【請求項76】 裏面基板の上面側に該裏面基板と異な
    る材料の第1の導電型の多結晶膜からなる第3の半導体
    層を形成する第1の工程と、 前記第3の半導体層の上面に第2の導電型の多結晶膜か
    らなる第2の半導体層を形成する第2の工程と、 前記第2の半導体層の上側にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第3の工程と、 前記真性半導体層の上面に第1の導電型の第1の半導体
    層およびその電極を形成する第4の工程とを備え、 前記第1の工程は、結晶化温度未満の低温度下で反応ガ
    スを供給すると同時に最稠密結晶面に垂直な一方向から
    ビーム照射して多結晶化して前記第3の半導体層を形成
    する工程を含む太陽電池の製造方法。
  77. 【請求項77】 裏面基板の上面側に該裏面基板と異な
    る材料の第1の導電型の多結晶膜からなる第3の半導体
    層を形成する第1の工程と、 前記第3の半導体層の上面に第2の導電型の多結晶膜か
    らなる第2の半導体層を形成する第2の工程と、 前記第2の半導体層の上側にアモルファス膜からなる真
    性半導体層を形成する第3の工程と、 前記真性半導体層の上面に第1の導電型の第1の半導体
    層およびその電極を形成する第4の工程とを備え、 前記第1の工程は、予めアモルファス薄膜を形成し、結
    晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶面に垂直な一方向
    からビーム照射して多結晶化し前記第3の半導体層を形
    成する工程を含む太陽電池の製造方法。
  78. 【請求項78】 前記第2の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶化し前記第2の半導体層を形成する工程を含む、請求
    項74または請求項75記載の太陽電池の製造方法。
  79. 【請求項79】 前記第2の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶化し前記第2の半導体層を形成
    する工程を含む、請求項74または請求項75記載の太
    陽電池の製造方法。
  80. 【請求項80】 前記第2の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第2の
    半導体層を形成する工程を含む、請求項76または請求
    項77記載の太陽電池の製造方法。
  81. 【請求項81】 前記第2の工程は、予めアモルファス
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶
    面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第
    2の半導体層を形成する工程を含む、請求項76または
    請求項77記載の太陽電池の製造方法。
  82. 【請求項82】 前記第4の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に相異なる複数方
    向の最稠密結晶面に垂直な方向からビーム照射して単結
    晶化し前記第1の半導体層を形成する工程を含む、請求
    項74、請求項75、請求項76または請求項77記載
    の太陽電池の製造方法。
  83. 【請求項83】 前記第4の工程は、予めアモルファス
    薄膜または多結晶薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温
    度下で相異なる複数方向の最稠密結晶面に垂直な方向か
    らビーム照射して単結晶化し前記第1の半導体層を形成
    する工程を含む、請求項74、請求項75、請求項76
    または請求項77記載の太陽電池の製造方法。
  84. 【請求項84】 前記第4の工程は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第1の
    半導体層を形成する工程を含む、請求項74、請求項7
    5、請求項76または請求項77記載の太陽電池の製造
    方法。
  85. 【請求項85】 前記第4の工程は、予めアモルファス
    薄膜を形成し、結晶化温度未満の低温度下で最稠密結晶
    面に垂直な一方向からビーム照射して多結晶化し前記第
    1の半導体層を形成する工程を含む、請求項74、請求
    項75、請求項76または請求項77記載の太陽電池の
    製造方法。
  86. 【請求項86】 前記多結晶薄膜は、結晶化温度未満の
    低温度下で反応ガスを供給すると同時に最稠密結晶面に
    垂直な一方向からビーム照射されて形成されることを特
    徴とする、請求項51、請求項55、請求項59、請求
    項63、請求項67、請求項71、請求項75、請求項
    79、または請求項83記載の太陽電池の製造方法。
  87. 【請求項87】 前記多結晶薄膜は、予め形成されたア
    モルファス薄膜に対して結晶化温度未満の低温度下で最
    稠密結晶面に垂直な一方向からビーム照射されて形成さ
    れることを特徴とする、請求項51、請求項55、請求
    項59、請求項63、請求項67、請求項71、請求項
    75、請求項79、または請求項83記載の太陽電池の
    製造方法。
  88. 【請求項88】 前記多結晶薄膜を形成する際における
    前記ビーム照射の方向と、前記多結晶薄膜を前記単結晶
    薄膜へ転換する際における前記ビーム照射の複数方向の
    1つとが、互いに同一である請求項86または請求項8
    7記載の太陽電池の製造方法。
  89. 【請求項89】 太陽電池であって、少なくとも一方が
    光透過性の第1および第2電極と、前記第1電極および
    前記第2電極の間に形成された半導体部とを、備え、 前記半導体部は、積層された複数の半導体層を備え、 前記複数の半導体層の各1は、単結晶または軸配向多結
    晶のp型半導体層とアモルファスの真性半導体層と単結
    晶または軸配向多結晶のn型半導体層とが順に積層して
    なるpin接合を有する太陽電池。
  90. 【請求項90】 太陽電池であって、少なくとも一方が
    光透過性の第1および第2電極と、前記第1電極および
    前記第2電極の間に形成された半導体部とを、備え、 前記半導体部は、積層された複数の半導体層を備え、 前記複数の半導体層の各1は、単結晶または軸配向多結
    晶のp型半導体層と単結晶または軸配向多結晶のn型半
    導体層とが積層してなるpn接合を有する太陽電池。
  91. 【請求項91】 太陽電池であって、少なくとも一方が
    光透過性の第1および第2電極と、前記第1電極および
    前記第2電極の間に形成された半導体部とを、備え、 前記半導体部は、積層された複数の半導体層を備え、 前記複数の半導体層の各1は、単結晶または軸配向多結
    晶のp型半導体層と単結晶または軸配向多結晶のn型半
    導体層とが積層してなるpn接合と、単結晶または軸配
    向多結晶のp型半導体層とアモルファスの真性半導体層
    と単結晶または軸配向多結晶のn型半導体層とが順に積
    層してなるpin接合のいずれかを有する太陽電池。
  92. 【請求項92】 請求項89ないし請求項91のいずれ
    かに記載の太陽電池であって、前記複数の半導体層の間
    に介挿される第3電極をさらに備える太陽電池。
  93. 【請求項93】 pin接合を有する複数の半導体層が
    積層した半導体部を基板の上に備える太陽電池の製造方
    法であって、(a)所定の半導体物質の結晶化が起こらな
    い低温度の下で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前
    記基板上に供給することによって当該所定の半導体物質
    を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半導体
    物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギー
    の気体のビームを、一方向または当該所定の半導体物質
    の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前
    記基板上へ照射し、その結果、第1導電型の当該所定の
    半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形成する
    工程と、(b)前記工程(a)の後で、所定の半導体物質の結
    晶化が起こらない低温度の下で、反応ガスを前記基板上
    に供給することによって当該所定の半導体物質を堆積
    し、その結果、当該所定の半導体物質のアモルファス薄
    膜を形成する工程と、(c)前記工程(b)の後で、所定の半
    導体物質の結晶化が起こらない低温度の下で、第2導電
    型不純物を含む反応ガスを前記基板上に供給することに
    よって当該所定の半導体物質を前記基板上に堆積する過
    程の中で、前記所定の半導体物質がスパッタリングを起
    こさない程度の低エネルギーの気体のビームを、一方向
    または当該所定の半導体物質の単結晶の複数の最稠密面
    に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照射し、その結
    果、第2導電型の当該所定の半導体物質の軸配向多結晶
    層または単結晶層を形成する工程と、(d)前記工程(c)の
    後に、前記工程(a)〜(c)をさらに少なくとも1回反復す
    る工程と、を備える太陽電池の製造方法。
  94. 【請求項94】 pn接合を有する複数の半導体層が積
    層した半導体部を基板の上に備える太陽電池の製造方法
    であって、(a)所定の半導体物質の結晶化が起こらない
    低温度の下で、第1導電型不純物を含む反応ガスを前記
    基板上に供給することによって当該所定の半導体物質を
    前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物
    質がスパッタリングを起こさない程度の低エネルギーの
    気体のビームを、一方向または当該所定の半導体物質の
    単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記
    基板上へ照射し、その結果、第1導電型の当該所定の半
    導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工
    程と、(c)前記工程(a)の後で、所定の半導体物質の結晶
    化が起こらない低温度の下で、第2導電型不純物を含む
    反応ガスを前記基板上に供給することによって当該所定
    の半導体物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記
    所定の半導体物質がスパッタリングを起こさない程度の
    低エネルギーの気体のビームを、一方向または当該所定
    の半導体物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の
    方向から、前記基板上へ照射し、その結果、第2導電型
    の当該所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶
    層を形成する工程と、(d)前記工程(c)の後に、前記工程
    (a)、(c)をさらに少なくとも1回反復する工程と、を備
    える太陽電池の製造方法。
  95. 【請求項95】 pin接合を有する半導体層とpn接
    合を有する半導体層が二層以上に積層した半導体部を基
    板の上に備える太陽電池の製造方法であって、(A)pi
    n接合を有する半導体層を形成する工程と、(B)pn接
    合を有する半導体層を形成する工程とを、備え、 前記工程(A)が、(A-1)所定の半導体物質の結晶化が起こ
    らない低温度の下で、第1導電型不純物を含む反応ガス
    を前記基板上に供給することによって当該所定の半導体
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半
    導体物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
    ギーの気体のビームを、一方向または当該所定の半導体
    物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
    ら、前記基板上へ照射し、その結果、第1導電型の当該
    所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形
    成する工程と、(A-2)前記工程(A-1)の後で、所定の半導
    体物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反応ガスを
    前記基板上に供給することによって当該所定の半導体物
    質を堆積し、その結果、当該所定の半導体物質のアモル
    ファス薄膜を形成する工程と、(A-3)前記工程(A-2)の後
    で、所定の半導体物質の結晶化が起こらない低温度の下
    で、第2導電型不純物を含む反応ガスを前記基板上に供
    給することによって当該所定の半導体物質を前記基板上
    に堆積する過程の中で、前記所定の半導体物質がスパッ
    タリングを起こさない程度の低エネルギーの気体のビー
    ムを、一方向または当該所定の半導体物質の単結晶の複
    数の最稠密面に垂直な複数の方向から、前記基板上へ照
    射し、その結果、第2導電型の当該所定の半導体物質の
    軸配向多結晶層または単結晶層を形成する工程と、を備
    え、 前記工程(B)が、(B-1)所定の半導体物質の結晶化が起こ
    らない低温度の下で、第1導電型不純物を含む反応ガス
    を前記基板上に供給することによって当該所定の半導体
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半
    導体物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
    ギーの気体のビームを、一方向または当該所定の半導体
    物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
    ら、前記基板上へ照射し、その結果、第1導電型の当該
    所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形
    成する工程と、(B-2)所定の半導体物質の結晶化が起こ
    らない低温度の下で、第2導電型不純物を含む反応ガス
    を前記基板上に供給することによって当該所定の半導体
    物質を前記基板上に堆積する過程の中で、前記所定の半
    導体物質がスパッタリングを起こさない程度の低エネル
    ギーの気体のビームを、一方向または当該所定の半導体
    物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
    ら、前記基板上へ照射し、その結果、第2導電型の当該
    所定の半導体物質の軸配向多結晶層または単結晶層を形
    成する工程と、を備える太陽電池の製造方法。
  96. 【請求項96】 基板の上にアモルファスの薄膜と結晶
    性の薄膜とを含む複数種類の薄膜が積層して成る多層薄
    膜を形成するための多層薄膜形成方法であって、 下記の工程(a),(b),(c),および(d)の中から、少なくと
    も工程(a)とその他のいずれか1つの工程とをそれぞれ
    少なくとも1回含むように、重複を許して複数回選択し
    て連続的に実行する多層薄膜形成方法;ここで前記工程
    (a)〜(d)は、 (a)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、当
    該所定の物質の原料ガスと水素ガスとを含む反応ガスを
    前記基板上に供給しつつ化学気相成長法を実行すること
    によって当該所定の物質を堆積し、その結果、当該所定
    の物質のアモルファス薄膜を形成する工程; (b)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給しつつ化学気相成長法を実行
    することによって当該所定の物質を前記基板上に堆積す
    る過程の中で、前記所定の物質がスパッタリングを起こ
    さない程度の低エネルギーの気体のビームを、当該所定
    の物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
    ら、前記基板上へ照射し、その結果、当該所定の物質の
    単結晶薄膜を形成する工程; (c)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給しつつ化学気相成長法を実行
    することによって当該所定の物質を前記基板上に堆積す
    る過程の中で、前記所定の物質がスパッタリングを起こ
    さない程度の低エネルギーの気体のビームを、前記基板
    上へ一方向から照射し、その結果、前記所定の物質の軸
    配向多結晶薄膜を形成する工程;および、 (d)所定の物質の結晶化が起こらない低温度の下で、反
    応ガスを前記基板上に供給しつつ化学気相成長法を実行
    することによって当該所定の物質を前記基板上に堆積す
    る過程の中で、前記所定の物質がスパッタリングを起こ
    さない程度の低エネルギーの気体のビームを、前記基板
    上へ一方向から照射し、その結果、前記所定の物質の軸
    配向多結晶薄膜を形成し、その後、前記反応ガスの供給
    を停止して、所定の物質の結晶化が起こらない範囲の高
    温度の下で、当該所定の物質がスパッタリングを起こさ
    ない程度の低エネルギーの気体のビームを、当該所定の
    物質の単結晶の複数の最稠密面に垂直な複数の方向か
    ら、前記基板上へ照射し、その結果、前記軸配向多結晶
    薄膜を単結晶薄膜へと転換する工程;である。
  97. 【請求項97】 請求項96に記載の方法であって、 前記工程(d)で、前記軸配向多結晶薄膜を形成する際に
    おける前記気体のビームの方向と、前記軸配向多結晶薄
    膜を前記単結晶薄膜へ転換する際における前記気体のビ
    ームの複数方向の1つとが、互いに同一である多層薄膜
    形成方法。
  98. 【請求項98】 請求項96または請求項97に記載の
    方法において、前記気体が不活性ガスである多層薄膜形
    成方法。
  99. 【請求項99】 請求項98に記載の方法において、前
    記不活性ガスを構成する元素の原子量が、照射を受ける
    前記所定の物質を構成する元素の最大の原子量を越えな
    い多層薄膜形成方法。
  100. 【請求項100】 請求項99に記載の方法において、
    前記不活性ガスを構成する元素の原子量が、前記所定の
    物質を構成する元素の最大の原子量を越えず、かつ、最
    も近い原子量である多層薄膜形成方法。
  101. 【請求項101】 請求項96に記載の方法であって、
    前記工程(a)で供給される原料ガスがシランガスである
    多層薄膜形成方法。
JP6310981A 1993-12-20 1994-12-14 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法 Pending JPH07240531A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6310981A JPH07240531A (ja) 1993-12-20 1994-12-14 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34531493 1993-12-20
JP5-345314 1993-12-20
JP35029793 1993-12-27
JP5-350297 1993-12-27
JP1316994 1994-01-10
JP6-13180 1994-01-10
JP6-13169 1994-01-10
JP1318094 1994-01-10
JP6310981A JPH07240531A (ja) 1993-12-20 1994-12-14 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07240531A true JPH07240531A (ja) 1995-09-12

Family

ID=27519479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6310981A Pending JPH07240531A (ja) 1993-12-20 1994-12-14 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07240531A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010100947A1 (ja) * 2009-03-05 2010-09-10 株式会社アルバック 太陽電池及び太陽電池の製造方法
JP2010534922A (ja) * 2007-04-09 2010-11-11 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 高効率の縦列太陽電池用の低抵抗トンネル接合
CN102479848A (zh) * 2010-11-24 2012-05-30 吉富新能源科技(上海)有限公司 三五族半导体的太阳能电池结构及其制作方法
WO2013112293A1 (en) * 2012-01-25 2013-08-01 The Trustees Of Dartmouth College Method of forming single-crystal semiconductor layers and photovoltaic cell thereon

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010534922A (ja) * 2007-04-09 2010-11-11 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 高効率の縦列太陽電池用の低抵抗トンネル接合
WO2010100947A1 (ja) * 2009-03-05 2010-09-10 株式会社アルバック 太陽電池及び太陽電池の製造方法
CN102479848A (zh) * 2010-11-24 2012-05-30 吉富新能源科技(上海)有限公司 三五族半导体的太阳能电池结构及其制作方法
WO2013112293A1 (en) * 2012-01-25 2013-08-01 The Trustees Of Dartmouth College Method of forming single-crystal semiconductor layers and photovoltaic cell thereon
US9356171B2 (en) 2012-01-25 2016-05-31 The Trustees Of Dartmouth College Method of forming single-crystal semiconductor layers and photovaltaic cell thereon

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gordon et al. 8% Efficient thin‐film polycrystalline‐silicon solar cells based on aluminum‐induced crystallization and thermal CVD
US5273911A (en) Method of producing a thin-film solar cell
JP2719230B2 (ja) 光起電力素子
US6835888B2 (en) Stacked photovoltaic device
US5279679A (en) Multi-layered photovoltaic element having at least three unit cells
US5094697A (en) Photovoltaic device and method for producing the same
US4404421A (en) Ternary III-V multicolor solar cells and process of fabrication
JP2009503848A (ja) 組成傾斜光起電力デバイス及び製造方法並びに関連製品
EP0113434A1 (en) Photovoltaic device
JPH0434314B2 (ja)
US5007971A (en) Pin heterojunction photovoltaic elements with polycrystal BP(H,F) semiconductor film
US6252158B1 (en) Photovoltaic element and solar cell module
CA1245330A (en) Back reflector system and devices utilizing same
EP0500067B1 (en) Photovoltaic device with layer region containing germanium therein
Benda Crystalline Silicon Solar Cell and Module Technology
JP3078933B2 (ja) 光起電力装置
Shi et al. Survey of material options and issues for thin film silicon solar cells
JP2001028452A (ja) 光電変換装置
JPH07240531A (ja) 太陽電池およびその製造方法、並びに多層薄膜形成方法
Slaoui et al. Crystalline silicon thin films: A promising approach for photovoltaics?
Kuwano et al. A more than 18% efficiency HIT structure a-Si/c-Si solar cell using artificially constructed junction (ACJ)
JP2854083B2 (ja) 半導体薄膜およびその製造方法
JP3201540B2 (ja) 太陽電池及びその製造方法
JP2918813B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JPH0927630A (ja) 光起電力素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041026

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050329