JPH081691Y2

JPH081691Y2 - コンパクトケースの蝶番機構

Info

Publication number: JPH081691Y2
Application number: JP9502490U
Authority: JP
Inventors: 静雄松岡
Original assignee: 株式会社カツシカ
Priority date: 1990-09-10
Filing date: 1990-09-10
Publication date: 1996-01-24
Anticipated expiration: 2005-09-10
Also published as: JPH0456411U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、構成要素全てが金属により成形されたオー
ル金属製コンパクトケースの蝶番機構の改良に関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来より構成要素全てが金属により成形されたオール
金属製のコンパクトケースは、器体及び蓋体の端部に器
蝶番片及び蓋蝶番片をそれぞれ巻き加工し、この器蝶番
片及び蓋蝶番片に蝶番軸を貫通させ、蓋体と器体を開閉
自在に軸支していた。この蝶番機構の場合、蝶番軸を器
蝶番片及び蓋蝶番片の横方向より差し込んで組み立てる
構成上、蝶番軸が直線状になっていなければならず、ま
た、少なくとも一方の蝶番片の端面が外部に露出してい
なければならないため、容器外観が見苦しいものとなっ
ていた。しかも、容器の平面形状が円形の場合には、蝶
番が直線状となっているため、欠点が更に助長されてし
まった。

また、コンパクトケースには、蓋体を任意の開放角度
で係止できるフリーストップ機構が必要不可欠であっ
た。このフリーストップ機構は、蓋蝶番片と蝶番軸の
間、及び器蝶番片と蝶番軸の間に発生する回動抵抗を利
用して行われていた。また、このフリーストップ機構
は、蓋体の開閉操作感と密接な関係にあり、そのバラン
スをとるのが非常に微妙なものとなっていた。しかも、
このフリーストップ機構及び開閉操作感は、蓋蝶番片及
び器蝶番片の回動抵抗の弱い方に支配されるため、その
調整は非常に困難なものとなっていた。

そこで、実開昭58−77608号公報に於いて、器体を器
外枠及び器内枠とで構成し、器内枠に器蝶番片を設けて
蓋体を開閉自在に螺着し、器外枠に蝶番軸の端部を覆う
カバーを設けた構成が提案されている。また、特開昭61
−13905号公報に於いて、器蝶番片を巻き加工せずに、
Ｕ字状に折曲させ、蓋体の蓋蝶番片を円筒状に巻き加工
し、この蓋蝶番片を貫通した蝶番軸の両端を直角に折曲
させ、この蝶番軸の両端を押し金具により器体に回動不
能に係合させ、更に器蝶番片を折曲させて蝶番軸を脱落
不能に保持した構成が提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、実開昭58−77608号公報の構成の場合には、
蝶番軸の両端はカバーによって覆われるのであるが、蝶
番機構は蝶番軸を横から差し込む構成のため直線形状な
らざるをえず、容器平面形状に対応できなかった。ま
た、蝶番軸は従来の構成と同じように、蓋蝶番片及び器
蝶番片を巻き加工し、この部分を貫通しているため、フ
リーストップ機構、開閉操作感の調整の困難さは解消さ
れていなかった。

また、特開昭61−13905号公報の構成の場合には、蝶
番軸の端部は器体内に折曲されているため、端部が外部
に露出しないものとなっていた。更に器蝶番片と蝶番軸
は回動不能に係合しているため、曲面等、容器体の平面
形状に対応した蝶番機構を構成できた。また、フリース
トップ機構及び開閉操作感は蓋蝶番片と蝶番軸の回動抵
抗だけで行っており、その調整は容易に行えた。しか
し、器体及び蓋体の他に押し金具が必要となり、高価な
金属製コンパクトケースが更に高価なものになってしま
った。また、器蝶番片及び蓋蝶番片は、曲げ加工、巻き
加工して成形される関係上寸法誤差が生じやすく、蓋体
及び器体を螺着するとその寸法誤差は大きなものとなっ
てしまった。その結果、この寸法誤差は蓋体を閉じた状
態で保持し、且つその保持を任意で解除できる係止機構
に悪影響を与えてしまった。また、器体及び蓋体の先端
に段差が生じてしまう危険性もあった。

〔課題を解決する為の手段〕

金属薄板より成形された蓋外枠２及び器外枠５にそれ
ぞれ蓋蝶番片７及び器蝶番片17を設け、蝶番軸９により
蓋蝶番片７と器蝶番片17を開閉自在に連結した構成に於
いて、蓋蝶番片７は、円筒状に巻き加工し、両端より蝶
番軸９を挿入する。この蓋蝶番片７より外部に突出した
蝶番軸９の端部には、Ｕ字状に屈曲させて弾性を有した
保持部11を構成する。器蝶番片17は、器外枠５の側壁よ
りも外方に突出し向かい合った面が開放した袋状の膨出
部18を設け、この膨出部18より連設した舌片の先端を下
方にカールさせて軸受け部19を構成する。この軸受け部
19と膨出部18の幅を、前記保持部11の幅よりも狭く構成
して、前記蝶番軸９の保持部11を器蝶番片17に挿入した
際、蝶番軸９の膨出部18壁面に弾性を有して当接保持さ
せる。本考案は以上構成のコンパクトケースの蝶番機構
である。

〔作用〕

蓋外枠２は、蓋蝶番片７が蝶番軸９を弾性保持してお
り、器外枠５は、器蝶番片17が蝶番軸９の保持部11を回
動不能に脱落不能に保持しているため、蓋外枠２と器外
枠５は開閉自在に連結している。この時、蝶番軸９は自
身の保持部11の弾発力により器蝶番片17の膨出部18壁面
に当接して蝶番軸９の位置決めがされている。また、蓋
外枠２の開閉時には蝶番軸９に対して蓋蝶番片７のみ回
動するため、蓋外枠２の開閉操作感及び蓋外枠２のフリ
ーストップ機構は、蝶番軸９と蓋蝶番片７の間の回動抵
抗にのみ支配される。また、蝶番軸９の端部である保持
部11は、器外枠５の袋状の膨出部18及び軸受け部19内に
収納されているため外部に露出していない。

〔実施例〕

蓋体１は蓋外枠２と蓋内枠３とより成り、器体４は器
外枠５と器内枠６とより成っている。これらは、アルミ
ニウム、ステンレス、真鍮等の金属薄板を、プレス加
工、曲げ加工等、板金加工して得られたものである。

蓋外枠２の一方の端部の下端中央には、蓋蝶番片７が
円筒形状に巻き加工されている。この蓋蝶番片７の中心
軸線は、蓋外枠２の外側壁よりも僅かに外方に位置して
いる。更に、蓋外枠２の他方の端部にはフック８が設け
られている。

この蓋蝶番片７の両端には、それぞれ蝶番軸９が差し
込まれている。この蝶番軸９は、蓋蝶番片７に弾性保持
されている。この蝶番軸９は、蓋蝶番片７に保持される
蝶番部10と、蓋蝶番片７より外部に突出する保持部11と
より成っている。この保持部11は、蓋蝶番片７より突出
した部分が内方向にＵ字状に折曲されており、先端が弾
性を有して屈曲するよう構成されている。

また、蓋外枠２内には蓋内枠３が止着されている。こ
の蓋内枠３は、裏面にパフ12が収納されるパフ収納所13
が成形されており、天井面に鏡14が貼着されている。ま
た、先端部には蓋外枠２のフック８が露出する切り欠き
15が設けられている。

器外枠５の一方の端部には、上端中央に蓋外枠２の蓋
蝶番片７が侵入する逃げ部16が設けられている。この逃
げ部16の両側には、器蝶番片17が連設されている。

この器蝶番片17の器外枠５との接合部分には、蓋外枠
２の蓋蝶番片７と同程度外部に突出した膨出部18が設け
られている。この膨出部18は、逃げ部16がわにのみ開放
した袋状をしており、蓋蝶番片７より突出した蝶番軸９
の保持部11が内部に収納されるよう構成されている。ま
た、器蝶番片17の先端は、舌片状になっており、膨出部
18より器外枠５の内方向に突出して、先端が下方にカー
ルして蝶番軸９の保持部11先端を受ける軸受け部19にな
っている。この軸受け部19の膨出部18の幅は、蝶番軸９
のＵ字状の保持部11の幅よりも狭く構成され、保持部11
が膨出部18に弾性を有して当接するよう構成されてい
る。つまり、蝶番軸９は膨出部18に弾性を有して当接し
た状態で且つ、回動不能に器外枠５に保持されている。

また、器外枠５の先端面には、窓部20が穿設されてい
る。この器外枠５の先端部分には、係止機構21が内装さ
れている。この係止機構21は、蓋外枠２のフック８と係
合する係合部22、この係合部22を先端方向に弾発するス
プリング部23、及び窓部20より外部に突出した押しボタ
ン部24とより構成されている。この係止機構21は、蓋体
１を閉じるとフック８が係合部22に係合して蓋体１が閉
じた状態で保持され、押しボタン部24を押圧する事によ
りその係合を任意で解除できるようになっている。

この器外枠５内には、器内枠６が止着されている。こ
の器内枠６には、化粧料25が充填された中皿26が納置さ
れる収納凹所27が設けられている。更に、器内枠６の先
端部分には、係止機構21の係合部22が外部に露出する切
り欠き28が設けられている。

尚、蓋内枠３及び器内枠６は、金属薄板より成形せず
に合成樹脂より成形する事も可能である。また、器内枠
６に中皿26を収納する収納凹所27の他にパフ12を収納す
るパフ収納所13を並列に設ける事もできる。更に、図示
はしていないが、蝶番軸９に蓋体１と器体４の間に位置
する中枠を螺着し、中枠の上面にパフ12を載置し、下面
に鏡14を貼着する事も可能である。この場合、中枠に中
枠蝶番片を連設し、蓋蝶番片７と同じように蝶番軸９に
貫通させればよい。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、金属薄板より成形された蓋外
枠２と器外枠５を開閉自在に連結する蝶番軸９の端部を
屈曲させて弾性を有した保持部11を構成し、この保持部
11を器外枠５に設けられた器蝶番片17が挾み込んで脱落
不能に保持しているため、蝶番軸９の両端が外部に露出
せず、見苦しいものとならない。また、器蝶番片17は、
蝶番軸９の保持部11を回動不能に保持しているため、屈
曲した蝶番機構とする事もできる。つまり、平面形状が
円形をした容器にも、蝶番機構を外形状に倣って配置す
ることができ、違和感のない蝶番機構とする事ができ
る。更に蝶番軸９に対しての回動部分は、蓋蝶番片７の
みであるため、蓋外枠２の開閉操作感及び蓋外枠２のフ
リーストップ機構は、蓋蝶番片７と蝶番軸９の摺動抵抗
にのみ支配されており、開閉操作感及びフリーストップ
機構の調整は簡単に行え、各個体のバラツキも最小限に
する事ができる。

また、本考案の構成は、蓋外枠２、器外枠５及び蝶番
軸９で実施でき、特別な構成も必要とせず、従来の金属
製コンパクトケースと比べても大してコストアップにな
らない。

更に蝶番軸９の保持部11を自身の弾発力により比較的
寸法制度が高く成形できる膨出部18の壁面に当接させて
いるため、蝶番軸９の位置の精度を高くすることがで
き、係止機構21に悪影響を与えたり、蓋体１及び器体４
の先端にグイチが出たりすることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案実施例の分解斜視図。第２図は、組み
立て時の要部斜視図。第３図は、蝶番機構の平面断面
図。２〜蓋外枠、５〜器外枠、７〜蓋蝶番片、９〜蝶番軸、
11〜保持部、17〜器蝶番片、18〜膨出部、19〜軸受け部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】金属薄板より成形された蓋外枠（２）及び
器外枠（５）にそれぞれ蓋蝶番片（７）及び器蝶番片
（17）を設け、蝶番軸（９）により蓋蝶番片（７）と器
蝶番片（17）を開閉自在に連結した構成に於いて、蓋蝶番片（７）は、円筒状に巻き加工し、両端より蝶番
軸（９）が挿入され、該蓋蝶番片（７）より外部に突出
した蝶番軸（９）の端部には、Ｕ字状に屈曲させて弾性
を有した保持部（11）を構成し、器蝶番片（17）は、器
外枠（５）の側壁よりも外方に突出し向かい合った面が
開放した袋状の膨出部（18）を設け、該膨出部（18）よ
り連設した舌片の先端を下方にカールさせて軸受け部
（19）を構成し、該軸受け部（19）と膨出部（18）の幅
を、前記保持部（11）の幅よりも狭く構成し、前記蝶番
軸（９）の保持部（11）を器蝶番片（17）に挿入した
際、蝶番軸（９）を膨出部（18）壁面に弾性を有して当
接保持させた事を特徴とするコンパクトケースの蝶番機
構。