JPH08167120A - 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド - Google Patents

多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド

Info

Publication number
JPH08167120A
JPH08167120A JP30457294A JP30457294A JPH08167120A JP H08167120 A JPH08167120 A JP H08167120A JP 30457294 A JP30457294 A JP 30457294A JP 30457294 A JP30457294 A JP 30457294A JP H08167120 A JPH08167120 A JP H08167120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
film
magnetoresistive effect
multilayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30457294A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Hoshino
勝美 星野
Ryoichi Nakatani
亮一 中谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP30457294A priority Critical patent/JPH08167120A/ja
Publication of JPH08167120A publication Critical patent/JPH08167120A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】二つの磁性層で非磁性層を挟み、一方の磁性層
に反強磁性層を接触させた多層磁気抵抗効果膜におい
て、反強磁性層に接していない磁性層にCoを主成分と
する非晶質を用い、直接基板上に形成することにより、
磁性層間の相互作用が磁気的に分離され、かつ、反強磁
性層からの交換バイアス磁界が印加される多層磁気抵抗
効果膜。 【効果】低飽和磁界および高磁気抵抗変化率を示し、高
性能な磁気記録再生装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い磁気抵抗効果を有す
る多層磁気抵抗効果膜およびこれを用いた磁気抵抗効果
素子,磁気ヘッド,磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化に伴い、再生用磁気
ヘッドに用いる磁気抵抗効果材料として、高い磁気抵抗
効果を示す材料が求められている。現在、使用されてい
るパーマロイの磁気抵抗変化率は約3%であり、新材料
はこれを上回る磁気抵抗変化率を有することが必要であ
る。
【0003】フィジカル・レビュー・レターズ(Pysical
Review Letters),第61巻,第21号,2472〜2
475ページに記載の「(001)Fe/(001)Cr磁
性超格子の巨大磁気抵抗効果(Giant Magnetoresistanc
e of(001)Fe/ (001)Cr Magnetic Super
lattices)」のように、多層構造を持つ磁性膜 (Fe
/Cr多層膜)において、約50%の磁気抵抗変化率
(4.2Kにおいて)が観測されている。しかし、Fe/
Cr多層膜に十分な磁気抵抗変化を生じさせるために
は、800kA/mもの高い磁界が必要であり、低い磁
界で動作する必要がある磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド
に用いることができないという問題がある。
【0004】フィジカル・レビュー・B(Pysical Revie
w B),第43巻,第1号,1297〜1300ページに
記載の「軟磁性多層膜における巨大磁気抵抗効果(Gian
tMagnetoresistance in Soft Ferromagnetic Multilaye
rs)」のように二層の磁性層を非磁性層で分離し、一方
の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加す
る方法が考案された。このような多層膜では、磁性層と
して、Ni−Fe系合金を用い、ヨーロッパ 特許(Eur
opean Patent),0 490 608 A2 に記載のように、多層膜
の組織,結晶粒径等を調整するために、基板上にTa,
Ru,CrVからなるバッファ層を形成している。
【0005】また、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・
アプライド・フィジックス(Japanese Journal of Appli
ed Physics),第33巻,第1A号,133〜137ペー
ジに記載の「様々なバッファ層材料を用いたFeーMn
/Ni−Fe/Cu/Ni−Feサンドイッチ膜におけ
る磁気抵抗と結晶配向性(Magnetoresistanceand Prefer
ed Orientation in Fe−Mn/Ni−Fe/Cu/N
i−Fe sandwiches with Various Buffer Layer Mat
erials)」では、二層の磁性層を非磁性層で分離し、一
方の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加
する方法を用いた多層膜において、多層膜の結晶配向を
制御するためにHf,Zr,Ti,Ta,Nbからなる
バッファ層を形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような多層膜で
は、磁性層間の相互作用を磁気的に分離し、かつ、室温
において、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加さ
れなければならない。特に、反強磁性材料としてMn系
合金を用いる場合、多層膜の組織、あるいは結晶配向性
を制御する必要がある。
【0007】本発明の目的は、多層膜を用いた磁気抵抗
効果素子の問題の解決手段を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の材
料および膜厚を有する磁性層,非磁性層を積層した多層
磁性膜を用いた磁気抵抗効果素子について鋭意研究を重
ねた結果、反強磁性層に接していない磁性層に非晶質合
金を用い、これを基板上に直接形成することにより、バ
ッファ層を用いることなく、多層膜の結晶配向性,組織
が制御でき、磁性層間の相互作用が磁気的に分離され、
かつ、室温において反強磁性層からの交換バイアス磁界
が十分に印加されることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】すなわち、二層の磁性層を非磁性層で分割
し、反強磁性層が一方の磁性層に接した多層膜を用いた
多層磁気抵抗効果膜において、反強磁性層に接していな
い磁性層として、非晶質の合金を用い、これを基板上に
形成することにより、磁性層間の相互作用は磁気的に分
離され、かつ、反強磁性層からの交換バイアス磁界が十
分に印加される。その結果、低い磁界で磁気抵抗変化を
示す磁気抵抗効果膜を得ることができる。また、高い磁
気抵抗変化率を得るために、反強磁性層に接していない
磁性層として、Coを主成分とする非晶質の合金を用い
ることが好ましい。非晶質合金の上に形成された膜は、
(111)配向を示し、これにより、磁性層間の相互作
用が磁気的に分離され、かつ、反強磁性層からの交換バ
イアス磁界が十分に磁性層に印加することができる。
【0010】また、多層磁気抵抗効果膜は、磁気抵抗効
果素子,磁界センサ,磁気ヘッドなどに好適である。ま
た、磁気ヘッドを用いることにより、高性能磁気記録再
生装置を得ることができる。
【0011】
【作用】上述のように、二つの磁性層を非磁性層で分割
し、片側の磁性層に反強磁性層が接した多層磁気抵抗効
果膜において、反強磁性層に接していない磁性層として
Coを主成分とする非晶質の合金を用い、これを基板上
に直接形成することにより、非晶質の上に形成された多
層膜は強い(111)配向を示す。これにより、磁性層
間の相互作用が磁気的に分離され、かつ、反強磁性層か
らの交換バイアス磁界が印加され、多層膜は、高い磁気
抵抗変化率を示す。さらに、多層磁気抵抗効果膜は、磁
気抵抗効果素子,磁界センサ,磁気ヘッドなどに好適で
ある。また、磁気ヘッドを用いることにより、高性能磁
気記録再生装置を得ることができる。
【0012】
【実施例】
(実施例1)多層膜の作製にはイオンビームスパッタリ
ング法を用いた。到達真空度は、3/105Pa、スパ
ッタリング時のAr圧力は0.02Paである。また、
膜形成速度は、0.1〜0.2nm/sである。形成した
多層膜の断面構造を図1に示す。基板11にはSi(1
00)単結晶基板を用いた。磁性層12には厚さ10n
mのCoー7at%Zr合金、及び、Ni−19at%
Fe合金を用いた。非磁性層13には厚さ2.2nm の
Cuを用いた。磁性層14には厚さ5nmのNi−19
at%Feを用いた。また、反強磁性層15には厚さ1
0nmのFe−40at%Mn合金を用いた。さらに保
護層16として厚さ10nmのCuを用いた。
【0013】図2には、磁性層12にCo−Zr合金、
及びNi−Fe合金を用いた多層膜の磁化曲線を示す。
Ni−Fe合金を用いた多層膜の磁化曲線は、単層膜の
場合と同様な曲線を示す。これは、二つの磁性層の磁化
が同時に磁化反転しており、反強磁性層からの交換バイ
アス磁界が印加されていないことを示す。これに対し、
Co−Zr合金を用いた多層膜の磁化曲線は二つの部分
に分離している。これは、磁性層間の相互作用は弱く、
かつ、反強磁性層からの交換バイアス磁界が十分印加さ
れていることを示す。この原因を明らかにするため、多
層膜のX線回折を行ったところ、Co−Zr合金を用い
た多層膜は、(111)配向しているのに対し、Ni−F
e合金を用いた多層膜は、ほとんど配向していない(図
3参照)。このことから、磁性層間の相互作用を磁気的
に分離し、かつ、反強磁性層からの交換バイアス磁界が
十分印加されるためには、多層膜を(111)配向させ
る必要がある。
【0014】図4には、多層膜の磁気抵抗効果曲線を示
す。Co−Zr合金を用いた多層膜は、高い磁気抵抗変
化率を示す。しかし、Ni−Fe合金を用いた多層膜で
は、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加されてい
ないため、二つの磁性層は常に平行であり、磁気抵抗変
化率は低い。
【0015】このように、反強磁性層に接していない磁
性層にCo−Zrなどの非晶質磁性材料を用いた場合、
その上に形成された多層膜は(111)配向を示し、こ
れにより、磁性層間の相互作用が磁気的に分離され、か
つ、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加される。
この時、多層膜は高い磁気抵抗変化率を示す。
【0016】また、磁気抵抗効果曲線にバルクハウゼン
ノイズが生じる場合には、多層磁気抵抗効果膜の磁界検
出方向と直角の方向にバイアス磁界を印加する機構を設
けることで、バルクハウゼンノイズを抑止できる。磁気
抵抗効果膜をトラック幅1μm以下の狭トラック磁気ヘ
ッドに用いる場合には、トラック幅を厳密に規定する必
要があるため、バイアス磁界を印加する機構は、反強磁
性層に接していない磁性層のトラック以外の部分に、反
強磁性層あるいは保磁力の高い硬磁性層を接触させる方
法が好ましい。
【0017】また、本実施例では、磁性層としてCo−
Zr合金を使用したが、他のFe系の軟磁性を示す非晶
質の合金を用いても、磁化曲線及び磁気抵抗効果曲線の
変化は同様である。しかし、磁気抵抗変化は、磁性層の
飽和磁化に比例して高くなるので、磁性層はCoを主成
分とする合金、例えば、Co−Zr,Co−Ta,Co
−Hf,Co−Ti,Co−V,Co−Nb等を用いる
ことが好ましい。
【0018】また、本実施例では、非磁性層として、C
uを用いたが、電気抵抗率の低い、Au,Agを用いて
も同様の結果が得られる。しかし、磁性層として3d遷
移金属を用いる場合には、磁性層とのフェルミ面のマッ
チングの観点から、非磁性層はCuであることが好まし
い。
【0019】本実施例では、磁性層14としてNi−F
e系合金を用いたが、他の面心立方構造を有する磁性層
を用いても、磁化曲線及び磁気抵抗効果曲線の変化は同
様である。しかし、Mn系の反強磁性材料の形成を容易
にするため、反強磁性層に接した磁性層には、格子定数
の近いNi−Fe系合金あるいはNi−Fe−Co系合
金を用いることが好ましい。
【0020】また、本実施例では、反強磁性層として、
Fe−Mn系合金を用いたが、他の反強磁性材料を用い
ることもできる。反強磁性材料は、Fe−Mn系合金お
よびFe−Mn系合金に耐食性向上元素を添加した合金
が好ましい。Fe−Mn系合金に耐食性向上元素を添加
した合金は、Fe−MnーRu系合金が、耐食性,ネー
ル温度の高さの点から好ましい。他にも、ネール点の高
い、Mn系反強磁性材料を用いることができる。例え
ば、MnーPd,MnーPt,MnーNi,MnーI
r,MnーCo系合金を用いることができる。
【0021】さらに、反強磁性層として、酸化物系の材
料、例えば、NiO,CoOあるいはNiCoOを用い
ることができる。しかし、これらの反強磁性材料はMn
系の反強磁性材料と異なり、多層膜の組織あるいは結晶
配向性を十分に制御する必要がない。従って、これらの
反強磁性材料を用いる場合、反強磁性層は基板上に直接
形成することも可能である。
【0022】(実施例2)実施例1と同様な構造を持つ
多層膜を作製した。図1の基板11として、Si(10
0)単結晶基板を用いた。磁性層12として、厚さ10
nmのCo−7at%Zrを用いた。非磁性層13とし
て、Cuを用い、その膜厚を変化させた。磁性層14に
は厚さ5nmのNi−19at%Feを用いた。さら
に、反強磁性層15として厚さ10nmのFe−40a
t%Mnを用い、保護層16として厚さ10nmのCu
を用いた。
【0023】図5にCu膜厚に対する磁気抵抗変化率の
変化を示す。Cu膜厚が1.7nmより厚くなるにつれ
て、磁気抵抗変化率は増加する。Cu膜厚が2.5nm
の時、磁気抵抗変化率は最大値を示し、その値は4.5
% である。また、Cu膜厚が2.0nm〜5.0nmの
領域では、磁気抵抗変化率の値は3%以上の値を示す。
従って、高い磁気抵抗変化率を得るためにはCu膜厚が
2.0nm〜5.0nmの領域に設定することが好まし
い。
【0024】(実施例3)実施例1と同様な構造を持つ
多層膜を作製した。図1の基板11として、Si(10
0)単結晶基板を用いた。磁性層12として、厚さ10
nmのCo−7at%Zr,Co−7at%Ta,Co
−8at%Hf,Co−10at%V,Fe−10at
%Zr,Fe−8at%Taを用いた。非磁性層13と
して、厚さ2.5nm のCuを用い、磁性層14には厚
さ5nmのNi−19at%Feを用いた。さらに、反
強磁性層として厚さ10nmのFe−40at%Mnを
用い、保護層として厚さ10nmのCuを用いた。
【0025】多層膜の磁気抵抗変化率と反強磁性層に接
していない磁性層の保磁力を調べた。これを表1に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】本実施例のように、反強磁性層に接してい
ない磁性層に非晶質を用いることにより、磁気抵抗変化
が生じる。しかし、Fe系の材料を用いた多層膜では、
Co系の材料を用いた多層膜と比較して、保磁力は低い
ものの、磁気抵抗変化率は1.5% 以下と低い。従っ
て、反強磁性層に接していない磁性層には、Coを主成
分とする非晶質合金が好ましい。
【0028】(実施例4)実施例1と同様な構造の多層
膜を作製した。図1の基板11として、Si(100)単
結晶基板を用いた。磁性層12には、Co−7at%T
aを用い、非磁性層13には厚さ2.5nm のCu,A
u,Agを用いた。磁性層14には厚さ5nmのNi−
16at%Fe−18at%Coを用いた。反強磁性層
15には厚さ10nmのFe−40at%Mn,保護層
16には厚さ10nmのCuを用いた。
【0029】表2に多層膜の磁気抵抗変化率を示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2のように、非磁性中間層にAuあるい
はAgを用いた多層膜と比較して、Cuを用いた多層膜
の方が高い磁気抵抗変化率が得られる。従って、非磁性
中間層は、Cuを用いることが好ましい。
【0032】(実施例5)実施例1と同様な方法で、図
6に示す多層膜を形成した。本実施例では、図6の基板
21にはSi(100)単結晶基板を用いた。磁性層22
には厚さ10nmのCo−7at%Zr,非磁性層23
には厚さ2.5nm のCu,磁性層24には厚さ2nm
のCo,磁性層25には厚さ3nmのNi−19at%
Feを用いた。反強磁性層26には厚さ10nmのFe
−40at%Mnを用い、保護層には厚さ10nmのC
uを用いた。
【0033】Ni−Fe磁性層とCu中間層との界面に
Co層を形成した多層膜は、5.4%の磁気抵抗変化率
を示す。これに対し、Co層を形成していない多層膜の
磁気抵抗変化率は、4.5% である。従って、本実施例
のように、反強磁性層に接した磁性層と非磁性層との界
面にCo層を形成することにより、高い磁気抵抗変化率
を得ることができる。また、反強磁性層に接していない
磁性層と非磁性層との界面に、Co層を形成しても、同
様に、高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0034】(実施例6)本発明を用いた磁気抵抗効果
素子を形成した。本実施例では、図1の磁性層12に
は、Co−7at%Zrを用い、非磁性層13には厚さ
2.5nm のCuを用いた。磁性層14には厚さ5nm
のNi−16at%Fe−18at%Coを用いた。反
強磁性層15には厚さ10nmのFe−40at%M
n,保護層16には厚さ10nmのCuを用いた。
【0035】図7に磁気抵抗効果素子の構造を示す。磁
気抵抗効果素子は、多層磁気抵抗効果膜31および電極
32をシールド層33,34で挟んだ構造を有する。磁
気抵抗効果素子に磁界を印加し、電気抵抗率の変化を測
定したところ、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁
気抵抗効果素子は、2.4kA/m(30Oe)程度の印
加磁界で4.9% 程度の磁気抵抗変化率を示した。ま
た、本発明の磁気抵抗効果素子の再生出力は、Ni−F
e単層膜を用いた磁気抵抗効果素子と比較して約3.3
倍であった。
【0036】(実施例7)実施例6で述べた磁気抵抗効
果素子を用い、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッドの構
造を以下に示す。図8は、記録再生分離型ヘッドの一部
分を切断した場合の斜視図である。多層磁気抵抗効果膜
41をシールド層42,43で挾んだ部分が再生ヘッド
として働き、コイル44を挾む下部磁極45,上部磁極
46の部分が記録ヘッドとして働く。多層磁気抵抗効果
膜41は実施例6に記載の多層膜からなる。また、電極
48には、Cr/Cu/Crという多層構造の材料を用
いた。
【0037】以下にこのヘッドの作製方法を示す。Al
23・TiCを主成分とする焼結体をスライダ用の基板
47とした。シールド層,記録磁極にはスパッタリング
法で形成したNi−Fe合金を用いた。各磁性膜の膜厚
は、以下のようにした。上下のシールド層42,43は
1.0μm,下部磁極45,上部46は3.0μm,各層
間のギャップ材はスパッタリングで形成したAl23
用いた。ギャップ層の膜厚は、シールド層と磁気抵抗効
果素子間で0.2μm,記録磁極間では0.4μmとし
た。さらに再生ヘッドと記録ヘッドの間隔は約4μmと
し、このギャップもAl23で形成した。コイル44に
は膜厚3μmのCuを使用した。
【0038】以上述べた構造の磁気ヘッドで記録再生を
行ったところ、Ni−Fe単層膜を磁気抵抗効果素子に
用いた磁気ヘッドと比較して、3倍高い再生出力を得
た。これは、本発明の磁気ヘッドに高磁気抵抗効果を示
す多層膜を用いたためと考えられる。
【0039】また、本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気
ヘッド以外の磁界検出器にも用いることができる。
【0040】(実施例8)実施例7で述べた本発明の磁
気ヘッドを用い、磁気ディスク装置を作製した。図9に
磁気ディスク装置の構造の概略図を示す。
【0041】磁気記録媒体51には、残留磁束密度0.
75T のCo−Ni−PtーTa系合金からなる材料
を用いた。磁気ヘッド53の記録ヘッドのトラック幅は
3μm,再生ヘッドのトラック幅は2μmとした。磁気
ヘッド53における磁気抵抗効果素子は、従来のパーマ
ロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子の約3.3 倍の出
力を示すため、さらにトラック幅が狭く、記録密度の高
い磁気ディスク装置を作製することができる。本発明の
磁気ヘッドは、特に1Gb/in2 以上の記録密度を有
する磁気記録再生装置に有効である。また、10Gb/
in2 以上の記録密度を有する磁気記録再生装置には、
必須であると考えられる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、二層の磁性層を非磁性
層で分割し、一層の磁性層に反強磁性層が接した多層膜
において、反強磁性層に接していない磁性層に、Coを
主成分とする非晶質合金を用い、これを基板上に直接形
成することにより、磁性層間の相互作用が磁気的に分離
され、かつ、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加
される。この時、高い磁気抵抗変化率を有する磁気抵抗
効果膜が得られる。多層磁気抵抗効果膜は、磁気抵抗効
果素子,磁界センサ,磁気ヘッドなどに好適である。ま
た、磁気ヘッドを用いることにより、高性能磁気記録再
生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層磁気抵抗効果膜の断面図。
【図2】本発明の多層磁気抵抗効果膜の磁化特性図。
【図3】本発明の多層磁気抵抗効果膜のX線回折プロフ
ァイルを示す図。
【図4】本発明の多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果の
特性図。
【図5】Cu膜厚と磁気抵抗変化率との関係を示す特性
図。
【図6】本発明の磁性層の一部にCo系磁性層を用いた
多層磁気抵抗効果膜の断面図。
【図7】本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗
効果素子の斜視図。
【図8】本発明の磁気ヘッドの斜視図。
【図9】本発明の磁気記録再生装置の説明図。
【符号の説明】 11…基板、12,14…磁性層、13…非磁性層。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数層の磁性層を非磁性層で分割し、少な
    くとも一層の前記磁性層に反強磁性層が接しており、少
    なくとも一層の前記磁性層には反強磁性層に接していな
    い多層膜を用いた多層磁気抵抗効果膜において、前記反
    強磁性層に接していない磁性層が、非晶質合金からなる
    ことを特徴とする多層磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記反強磁性層に接し
    ていない磁性層が、Coを主成分とする非晶質合金から
    なる多層磁気抵抗効果膜。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記Coを主成分とす
    る非晶質の合金が、Co−Zr,Co−Ta,Co−H
    f,Co−Ti,Co−V,Co−Nbである多層磁気
    抵抗効果膜。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3において、反強磁性
    層は、Mn系合金からなる多層磁気抵抗効果膜。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4において、Co
    を主成分とする非晶質合金が基板上に形成された多層磁
    気抵抗効果膜。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記Coを主成分とす
    る非晶質合金上に形成された膜が面心立方構造を有し、
    (111)配向している多層磁気抵抗効果膜。
  7. 【請求項7】請求項1,2,3,4,5または6におい
    て、前記非磁性層の少なくとも一部がCu,Au,Ag
    あるいはそれらを主成分とする合金からなり、非磁性層
    の膜厚が2.0nm〜5.0nmである多層磁気抵抗効果
    膜。
  8. 【請求項8】請求項1,2,3,4,5,6または7に
    おいて、前記反強磁性層に接した磁性層の一部にNi−
    Fe系合金,Ni−Fe−Co系合金を用いた多層磁気
    抵抗効果膜。
  9. 【請求項9】請求項1,2,3,4,5,6,7または
    8において、前記磁性層と前記非磁性層との界面の少な
    くとも一つにCo層を形成した多層磁気抵抗効果膜。
  10. 【請求項10】請求項1,2,3,4,5,6,7,8
    または9において、前記多層磁気抵抗効果膜を少なくと
    も一部に用いた磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の前記磁気抵抗効果素
    子を少なくとも一部に用いた磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】請求項10に記載の前記磁気抵抗効果素
    子と誘導型磁気ヘッドとを組み合わせた複合型磁気ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】請求項11または12に記載の前記磁気
    ヘッドを用いた磁気記録再生装置。
JP30457294A 1994-12-08 1994-12-08 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド Pending JPH08167120A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30457294A JPH08167120A (ja) 1994-12-08 1994-12-08 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30457294A JPH08167120A (ja) 1994-12-08 1994-12-08 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08167120A true JPH08167120A (ja) 1996-06-25

Family

ID=17934613

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30457294A Pending JPH08167120A (ja) 1994-12-08 1994-12-08 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08167120A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0791915A2 (en) * 1996-02-22 1997-08-27 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
US6083632A (en) * 1997-01-08 2000-07-04 Nec Corporation Magnetoresistive effect film and method of manufacture thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0791915A2 (en) * 1996-02-22 1997-08-27 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
EP0791915A3 (en) * 1996-02-22 1998-03-04 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
US5909345A (en) * 1996-02-22 1999-06-01 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
US6031692A (en) * 1996-02-22 2000-02-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
US6198610B1 (en) 1996-02-22 2001-03-06 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistive device and magnetoresistive head
US6083632A (en) * 1997-01-08 2000-07-04 Nec Corporation Magnetoresistive effect film and method of manufacture thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2778626B2 (ja) 磁気抵抗効果膜及びその製造方法並びに磁気抵抗効果素子
JP2901501B2 (ja) 磁性多層膜およびその製造方法ならびに磁気抵抗効果素子
JPH0766033A (ja) 磁気抵抗素子ならびにその磁気抵抗素子を用いた磁性薄膜メモリおよび磁気抵抗センサ
JP2000340858A (ja) 磁気抵抗効果膜および磁気抵抗効果型ヘッド
JPH08204253A (ja) 磁気抵抗効果膜
JPH0969211A (ja) 磁気抵抗効果膜,磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
JP2924819B2 (ja) 磁気抵抗効果膜及びその製造方法
JP3321615B2 (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気変換素子
JPH08235540A (ja) 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド
JPH0950612A (ja) 磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果素子,磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
JPH076329A (ja) 磁気抵抗効果素子並びにそれを用いた磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
JP3575672B2 (ja) 磁気抵抗効果膜及び磁気抵抗効果素子
JP3083237B2 (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド
JP3217625B2 (ja) 磁気抵抗効果型ヘッド
JPH06310329A (ja) 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド
JPH08167120A (ja) 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド
JPH0936455A (ja) 磁気抵抗効果素子
JP2738295B2 (ja) 磁気抵抗効果膜およびその製造方法
JPH10294217A (ja) スピンバルブ型磁気抵抗効果膜及びこれを有する磁気ヘッド
JP2656449B2 (ja) 磁気抵抗効果ヘッド
JPH0774022A (ja) 多層磁気抵抗効果膜及び磁気ヘッド
JPH09161243A (ja) 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド
JPH0766036A (ja) 多層磁気抵抗効果膜、それを用いた磁気抵抗効果素子および磁気ヘッド
JPH08241506A (ja) 多層磁気抵抗効果膜および磁気ヘッド
JPH05175572A (ja) 磁気抵抗効果素子とそれを用いた磁気ヘッドおよび記録再生装置