JPH0950612A - 磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果素子,磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果素子,磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置

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JPH0950612A
JPH0950612A JP19941795A JP19941795A JPH0950612A JP H0950612 A JPH0950612 A JP H0950612A JP 19941795 A JP19941795 A JP 19941795A JP 19941795 A JP19941795 A JP 19941795A JP H0950612 A JPH0950612 A JP H0950612A
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JP
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layer
magnetic
magnetoresistive effect
antiferromagnetic
film
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JP19941795A
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English (en)
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Katsumi Hoshino
勝美 星野
Ryoichi Nakatani
亮一 中谷
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】磁性層と反強磁性層からなる磁気抵抗効果膜に
おいて、上記反強磁性層として、2層の異なる反強磁性
材料を用い、磁性層に接していない側に形成する反強磁
性層としてMn−Ir系合金を用い、磁性層に接した側
に形成する反強磁性層としてFe−Mn系合金,Ni−
Mn系合金などを用いる。 【効果】耐熱性,耐食性に優れ、磁性層と反強磁性層と
が強く交換結合する磁気抵抗効果膜を容易に作製でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気抵抗効果膜及びこれ
を用いた磁気抵抗効果素子,磁気ヘッド,磁気記録再生
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】再生用磁気ヘッドに用いる磁気抵抗効果
素子には、多数の磁区の挙動により生じるバルクハウゼ
ンノイズが問題になる。バルクハウゼンノイズを抑制す
るには、磁気抵抗効果素子の磁区を単磁区化することが
有効である。アイイーイーイートランザクションズ オ
ン マグネティクス(IEEE Transactions on Magnetic
s),第14巻,第5号,521〜523ページに記載の
ように、磁性層と反強磁性層とを交換結合させることに
より、磁気抵抗効果素子の磁区を単磁区化し、バルクハ
ウゼンノイズを抑制している例がある。
【0003】また、磁気記録の高密度化に伴い、現在使
われているNi−Fe合金を用いた磁気抵抗効果素子よ
りも高い磁気抵抗効果を示す材料が求められている。フ
ィジカル・レビュー・B(Physical Review B),第4
3巻,第1号,1297〜1300ページに記載のように、2層
の磁性層を非磁性層で分離し、一方の磁性層と反強磁性
層とが交換結合しており、二つの磁性層の磁化の向きに
より磁気抵抗効果が生じる多層膜が考案されており、低
磁界で高い磁気抵抗変化が得られている。
【0004】上述の文献に述べられているように、Ni
−Fe膜と交換結合する反強磁性膜は、Fe−Mn系合
金が知られている。しかし、Fe−Mn系反強磁性膜
は、耐食性が悪いという問題がある。
【0005】また、第15回応用磁気学会学術講演概要
集、40ページには、反強磁性膜として、NiOを用い
ている。しかし、NiO層厚を厚くしないとNi−Fe
磁性層との交換結合が得られず、かつ、NiOが酸化物
であるので、電気伝導性がほとんどなく、磁気ヘッドに
用いるための電極形成が難しい。
【0006】特開平6−76247号公報に記載の磁気抵抗セ
ンサでは、反強磁性層にNi−Mn系合金を用いること
により、磁性層との交換結合が得られている。しかし、
Ni−Mn系合金が磁性層と交換結合するためには、N
i−Mn系合金の膜厚を厚くし、成膜後250℃程度の
熱処理を長時間する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】磁性層と反強磁性層と
を交換結合させた磁気抵抗効果膜を、磁気抵抗効果素
子,磁気ヘッド等の応用に用いる場合、反強磁性材料
は、耐熱性,耐食性に優れ、磁性層との高い結合磁界が
得られ、かつ容易に作製できることが重要である。しか
し、これまでに開示されている反強磁性材料において、
上記の条件を十分に満たす材料はほとんどない。
【0008】本発明の目的は、磁気抵抗効果膜の問題の
解決方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の材
料及び膜厚を有する磁性層,反強磁性層を積層した多層
磁気抵抗効果膜について誠意研究を行った結果、磁性層
と反強磁性層からなる磁気抵抗効果膜において、上記反
強磁性層として2層の異なる反強磁性材料を用いること
により、耐熱性,耐食性に優れ、磁性層との交換結合が
容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、磁性層と反強磁性層からなる磁
気抵抗効果膜において、上記反強磁性層として、2層の
異なる反強磁性材料を用い、磁性層に接していない側に
形成する反強磁性層としてMn−Ir系合金を用い、磁
性層に接した側に形成する反強磁性層としてFe−Mn
系合金,Ni−Mn系合金などを用いることにより、耐
熱性,耐食性に優れ、磁性層と反強磁性層とが強く交換
結合する磁気抵抗効果膜が容易に作製できる。また、こ
の磁気抵抗効果膜は、面心立方構造を示し、(111)
面が基板に対し平行に成長する時、反強磁性層と強磁性
層とが強く結合する。また、上記磁性層に接した側に形
成する反強磁性層として、Cr−Mn系合金を用いても
同様な効果が得られる。上記磁気抵抗効果膜を用いた磁
気抵抗効果素子は、バルクハウゼンノイズを示さない。
【0011】また、二つの磁性層を非磁性層で分割し、
一方の磁性層と反強磁性層とが接している多層膜であ
り、非磁性層で分割された磁性層の磁化の相対的な向き
により磁気抵抗効果が生じる磁気抵抗効果膜において、
反強磁性層として2層の異なる反強磁性層を用いること
により、耐熱性,耐食性に優れた磁気抵抗効果膜が容易
に作製できる。上記磁気抵抗効果膜を用いることによ
り、低磁界で高い磁気抵抗変化を有する磁気抵抗効果素
子が得られる。
【0012】また、上記磁気抵抗効果素子は、磁界セン
サ,磁気ヘッドなどに好適である。また、上記磁気ヘッ
ドを用いることにより、高性能磁気記録再生装置が得ら
れる。
【0013】
【作用】上述のように、磁性層と反強磁性層からなる磁
気抵抗効果膜において、上記反強磁性層として2種類の
異なる反強磁性材料を用いることにより、耐熱性,耐食
性に優れ、磁性層と反強磁性層とが強く交換結合した磁
気抵抗効果膜が容易に作製できる。この結果、磁気抵抗
効果素子のバルクハウゼンノイズを抑制することができ
る。また、この方法は、二つの磁性層を非磁性層で分割
し、一方の磁性層に反強磁性層が接しており、二つの磁
性層の磁化の向きにより磁気抵抗効果の生じる磁気抵抗
効果膜にも応用できる。さらに、磁気抵抗効果素子は、
磁界センサ,磁気ヘッドなどに好適である。また、磁気
ヘッドを用いることにより、高性能磁気記録再生装置が
得られる。
【0014】
【実施例】
<実施例1>図1に本発明の一実施例の多層膜の断面構
造を示す。
【0015】多層膜の作製にはイオンビームスパッタリ
ング法を用いた。到達真空度は、3/105Pa、スパ
ッタリング時のAr圧力は0.02Paである。また、
膜形成速度は、0.08nm/s 以下である。基板11
にはSi(100)単結晶を用いた。また、バッファ層
12として、厚さ5nmのZrを用いた。磁性層13に
は、厚さ10nmのNi−20at%Fe合金を用い
た。また、反強磁性層14には、厚さ2nmのFe−5
0at%Mnを用いた。反強磁性層15には、厚さ8n
mのMn−40at%Ir合金を用いた。保護層16に
は、厚さ5nmのZrを用いた。また、比較のために、
反強磁性層14に反強磁性層15と同じ組成のMn−I
rを用いた(すなわち、反強磁性層がMn−Ir合金単
層である)多層膜も作製した。なお、これらの試料は、
熱処理を行っていない。
【0016】図2には二つの試料の容易軸方向に磁界を
印加したときの磁化曲線を示す。図のように、反強磁性
層として、Mn−Ir単層膜を用いた多層膜の結合磁界
(100Oe)と比較して、反強磁性層にMn−Ir/
Fe−Mn2層膜を用いた多層膜の結合磁界(140O
e)は高い。
【0017】図3にはこの二つの試料のX線回折プロフ
ァイルを示す。図のように、Ni−FeとMn−Irの
結晶格子間隔は大きく異なる。Ni−Fe層とMn−I
r層との界面に、双方の中間の結晶格子間隔を持つFe
−Mn反強磁性層を形成することにより、磁性層と反強
磁性層との格子のミスマッチが小さくなり、その結果、
結合磁界が増加したと考えられる。また、二つの試料の
ブロッキング温度(結合磁界がゼロになる温度)は、M
n−Ir合金単層の場合、150℃であるが、Mn−I
r/Fe−Mn2層膜を用いた場合、180℃と増加し
た。
【0018】本実施例では、Fe−Mn層厚を2nmと
したが、図4に示すように、それ以上厚くしても、磁性
層との結合磁界は高い。しかし、Fe−Mnは耐食性が
悪いため、2nm以下が好ましい。
【0019】本実施例では、磁性層に接した側の反強磁
性層として、Fe−Mn合金を用いたが、Fe,Ni,
Co,CrとMnとの合金あるいは、これらを主成分と
する合金であれば、同様な結果が得られた。
【0020】また、本実施例では、Zrバッファ層を用
いているが、他の周期率表上のIVa族金属元素,Va族
金属元素(Ti,Hf,V,Nb,Ta)を用いてもよ
い。バッファ層を用いることにより、磁性層の膜厚が薄
くても磁性層が(111)配向し、反強磁性層と交換結
合する。磁性層の膜厚が十分厚く、磁性層が(111)配
向を示す場合には、バッファ層を用いる必要はない。
【0021】さらに、本実施例では、磁性層としてNi
−Fe系合金を使用したが、他の面心立方構造を有する
磁性層を用いても、同様な結果が得られる。しかし、磁
気ヘッド等の応用を考えた場合、磁性層は軟磁性を示す
ことが必要であり、磁性層として、Ni−Fe系合金,
Ni−Fe−Co系合金を用いることが好ましい。
【0022】<実施例2>実施例1と同様の方法で多層
膜を形成した。形成した多層膜の断面構造を図1に示
す。基板11はSi(100)単結晶基板を用いた。バ
ッファ層12として、厚さ5nmのZrを用いた。磁性
層13には、厚さ10nmのNi−20at%Fe合金
を用いた。また、反強磁性層14には、厚さ2nmのN
i−50at%Mnを用いた。反強磁性層15には、厚
さ8nmのMn−40at%Ir合金を用いた。保護層
16には、厚さ5nmのZrを用いた。なお、この試料
は熱処理を行っていない。
【0023】図5に試料の容易軸方向に磁界を印加した
ときの磁化曲線を示す。この試料の結合磁界は約180
Oeと実施例1で示した磁性多層膜と比較して高くなっ
ている。また、この試料のブロッキング温度も約200
℃と高い。
【0024】本来、特開平6−76247号公報に記載されて
いるように、25nm程度の膜厚を有するNi−Mn合
金を240℃,数時間の熱処理を数回行い、Ni−Mn
合金の結晶構造を面心立方構造から面心正方晶構造に変
化させることにより、Ni−Mn合金が反強磁性にな
る。しかし、Ni−Mn合金の膜厚が薄い場合、Ni−
Mn合金は反強磁性を示さない。このことから、磁性層
から離れたNi−Mn層の領域では、Ni−Mn合金は
面心正方晶構造をとっているが、磁性層との界面付近の
Ni−Mn層の結晶構造は、面心立方構造になっている
と考えられる。本実験結果は、面心正方晶構造となって
いるNi−Mn層の変わりに、熱処理を必要としないM
n−Ir反強磁性層を用いた結果、結合磁界及びブロッ
キング温度が高くなったと考えられる。
【0025】本実施例では、Ni−Mn層の膜厚を2n
mとしたが、Ni−Mn層の膜厚が厚くなっても、同様
な結果が得られる。しかし、Ni−Mnの耐食性が悪い
ため、膜厚は2nm以下が好ましい。
【0026】また、本実施例では、磁性層に接した反強
磁性層にNi−Mn合金を用いたが、他のMnを主成分
とする反強磁性材料、例えば、Mn−Pt,Mn−P
d,Mn−Rh,Mn−Ru,Mn−Cr系合金を用い
ても同様な効果が得られる。
【0027】<実施例3>本発明のバルクハウゼンノイ
ズを抑制するための反強磁性材料を用いた磁気抵抗効果
素子を形成した。図6に本発明の磁気抵抗効果素子の膜
構造を示す。図6の基板21には、ガラス基板を用い
た。バッファ層22として、厚さ5nmのHfを用い
た。磁性層23には、厚さ10nmのNi−19at%
Fe合金を用いた。反強磁性層24には、厚さ2nmの
Ni−50at%Mnを用いた。反強磁性層25には厚
さ8nmのMn−40at%Irを用いた。電極26に
は、厚さ300nmのCuを用いた。
【0028】図7に磁気抵抗効果素子の構造を示す。磁
気抵抗効果素子は、図5で示した磁気抵抗効果膜31お
よび電極32で構成されたものが、シールド層33,3
4で挟まれた構造を有する。本発明の磁気抵抗効果素子
を用いた場合、バルクハウゼンノイズが発生せず、反強
磁性層にFe−Mnを用いた磁気抵抗効果素子と同様な
効果が得られた。
【0029】<実施例4>実施例3で述べた磁気抵抗効
果素子を用い、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッドの構
造を以下に示す。図8は、記録再生分離型ヘッドの一部
分を切断した場合の斜視図である。多層磁気抵抗効果膜
41をシールド層42,43で挾んだ部分が再生ヘッド
として働き、コイル44を挾む下部磁極45,上部磁極
46の部分記録ヘッドとして働く。多層磁気抵抗効果膜
41は実施例3に記載の多層膜からなる。また、電極4
8には、Cr/Cu/Crという多層構造の材料を用い
た。
【0030】以下にこのヘッドの作製方法を示す。Al
23・TiCを主成分とする焼結体をスライダ用の基板
47とした。シールド層,記録磁極にはスパッタリング
法で形成したNi−Fe合金を用いた。各磁性膜の膜厚
は、以下のようにした。上下のシールド層42,43は
1.0μm、下部磁極45,上部磁極46は3.0μm、
各層間のギャップ材としてはスパッタリングで形成した
Al23を用いた。ギャップ層の膜厚は、シールド層と
磁気抵抗効果素子間で0.2μm ,記録磁極間では0.
4μm とした。さらに再生ヘッドと記録ヘッドの間隔
は約4μmとし、このギャップもAl23で形成した。
コイル44には膜厚3μmのCuを使用した。
【0031】以上述べた構造の磁気ヘッドで記録再生を
行ったところ、バルクハウゼンノイイズを示さず、良好
な再生特性を示した。また、本発明の磁気抵抗効果素子
は、磁気ヘッド以外の磁界検出器にも用いることができ
る。
【0032】<実施例5>実施例4で述べた本発明の磁
気ヘッドを用い、磁気ディスク装置を作製した。図9に
磁気ディスク装置の構造の概略図を示す。
【0033】磁気記録媒体51には、残留磁束密度0.
75T のCo−Ni−Pt−Ta系合金からなる材料
を用いた。磁気ヘッド53の記録ヘッドのトラック幅は
3μm,再生ヘッドのトラック幅は2μmとした。磁気
ヘッド53には、再生時にバルクハウゼンノイズを発生
しない実施例4で用いた磁気ヘッドを用いているため、
エラーレートの低い磁気ディスク装置が得られた。
【0034】<実施例6>実施例1と同様の方法で、多
層膜を形成した。形成した多層膜の断面構造を図10に
示す。図10の基板61にはSi(100)単結晶基板
を用いた。バッファ層62には厚さ5nmのZrを用い
た。磁性層63及び65には厚さ5nmのNi−16a
t%Fe−18at%Coを用いた。非磁性層64には
厚さ2.5nmのCuを用いた。反強磁性層66,67
にはそれぞれ厚さ2nmのNi−50at%Mnおよび
厚さ8nmのMn−40at%Ir合金を用いた。保護
膜68には厚さ5nmのZrを用いた。
【0035】図11に多層膜の磁気抵抗効果曲線を示
す。図のように、約2.3% 程度の磁気抵抗変化率が得
られた。また、多層膜の構造をX線回折法により調べた
ところ、多層膜はNi−Fe−Co層,Cu層の面心立
方構造の強い(111)回折ピークがおよび、Mn−I
r層,Fe−Mn層の面心立方構造の(111)回折ピ
ークが観測された。
【0036】また、本実施例では、バッファ層62とし
てZrを用いたが、周期律表上のIVa族金属元素,Va
族金属元素、あるいはこれらを主成分とする合金からな
る非磁性金属であれば、実施例と同様の効果が得られ
る。
【0037】また、本実施例では、非磁性層としてCu
を用いたが、電気抵抗の低いAu,Agを用いても同様
な結果が得られる。しかし、磁性層として3d遷移金属
元素を用いる場合には、磁性層とのフェルミ面のマッチ
ングの観点から、非磁性層はCuであることが好まし
い。
【0038】さらに、本実施例では、磁性層としてNi
−Fe−Co系合金を用いたが、他の面心立方構造を有
する磁性層を用いても、実施例と同様な結果が得られ
る。しかし、反強磁性層に接していない磁性層は、軟磁
気特性を示すことが重要であり、磁性層としては、Ni
−Fe系合金,Ni−Fe−Co系合金を用いることが
好ましい。また、磁性層と非磁性層との界面に、磁性層
の軟磁気特性を劣化させない程度の薄いCo層あるいは
Coを主成分とするCo合金層を用いることにより、更
に高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0039】<実施例7>実施例6に述べた多層膜を用
い、磁気抵抗効果素子を形成した。構造を図7に示す。
磁気抵抗効果素子は、多層磁気抵抗効果膜31及び電極
32をシールド層33,34で挟んだ構造を有する。磁
気抵抗効果素子に磁界を印加し、電気抵抗率の変化を測
定したところ、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁
気抵抗効果素子は、20Oe程度の印加磁界で約2.3
% の磁気抵抗変化率を示した。また、本発明の磁気抵
抗効果素子の再生出力は、Ni−Fe単層膜を用いた磁
気抵抗効果素子と比較して、2.6 倍であった。
【0040】<実施例8>実施例7で述べた磁気抵抗効
果素子を用い、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッドの構
造を図8に示す。記録再生分離型ヘッドの一部分を切断
した場合の斜視図である。多層磁気抵抗効果膜41をシ
ールド層42,43で挾んだ部分が再生ヘッドとして働
き、コイル44を挾む下部磁極45,上部磁極46の部
分が記録ヘッドとして働く。多層磁気抵抗効果膜41は
実施例6に記載の多層膜からなる。また、電極48に
は、Cr/Cu/Crという多層構造の材料を用いた。
ヘッドの作製方法については、実施例4で述べた方法と
同じである。
【0041】以上述べた構造の磁気ヘッドで記録再生を
行ったところ、Ni−Feの単層膜を用いた磁気ヘッド
と比較して、2.6 倍高い再生出力を得た。これは、本
発明の磁気ヘッドに、高い磁気抵抗効果を示す多層膜を
用いたためであると考えられる。
【0042】また、本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気
ヘッド以外の磁界検出器にも用いることができる。
【0043】<実施例9>実施例8で述べた本発明の磁
気ヘッドを用い、磁気ディスク装置を作製した。図9に
磁気ディスク装置の構造の概略図を示す。
【0044】磁気記録媒体51には、残留磁束密度0.
75T のCo−Ni−Pt−Ta系合金からなる材料
を用いた。磁気ヘッド53の記録ヘッドのトラック幅は
3μm、再生ヘッドのトラック幅は2μmとした。磁気
ヘッド53における磁気抵抗効果素子は、従来のパーマ
ロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子の約2.6 倍の出
力を示すため、さらにトラック幅が狭く、記録密度の高
い磁気ディスク装置を作製することができる。本発明の
磁気ヘッドは、特に1Gb/in2 以上の記録密度を有
する磁気記録再生装置に有効である。また、10Gb/
in2 以上の記録密度を有する磁気記録再生装置には、
必須であると考えられる。
【0045】
【発明の効果】磁性層に反強磁性層が接した磁気抵抗効
果膜において、反強磁性層として、2層の異なる反強磁
性材料を用いることにより、耐熱性,耐食性に優れ、磁
性層と反強磁性層とが強く交換結合する磁気抵抗効果膜
を容易に作製できる。磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗
効果素子は、バルクハウゼンノイズを示さない。また、
二つの磁性層を非磁性層で分割し、一方の磁性層と反強
磁性層とが接しており、非磁性層で分割された磁性層の
磁化の相対的な向きにより磁気抵抗効果が生じる磁気抵
抗効果膜にも、この方法を応用することができる。磁気
抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子は、低磁界で高い
磁気抵抗変化を有する。さらに、磁気抵抗効果素子は、
磁界センサ,磁気ヘッドなどに好適である。磁気ヘッド
を用いることにより、高性能磁気記録再生装置を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気抵抗効果膜の構造を示
す断面図。
【図2】Mn−Ir/Fe−Mn/Ni−Fe3層膜の
磁化特性図。
【図3】Mn−Ir/Fe−Mn/Ni−Fe3層膜の
X線回折特性図。
【図4】Mn−Ir/Fe−Mn/Ni−Fe3層膜に
おける、Fe−Mn層厚に対する結合磁界の変化の説明
図。
【図5】Mn−Ir/Ni−Mn/Ni−Fe3層膜の
磁化特性図。
【図6】本発明の一実施例の磁気抵抗効果素子の膜の断
面図。
【図7】本発明の一実施例の磁気抵抗効果素子の斜視
図。
【図8】本発明の一実施例の磁気ヘッドの斜視図。
【図9】本発明の一実施例の磁気ディスク装置の断面
図。
【図10】本発明の一実施例の多層磁気抵抗効果膜の断
面図。
【図11】本発明の一実施例の多層磁気抵抗効果膜の磁
気抵抗効果特性図。
【符号の説明】
11…基板、12…バッファ層、13…磁性層、14,
15…反強磁性層、16…保護層。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性層に反強磁性層が接し、上記磁性層の
    磁化の向きと膜に流れる電流方向との相対的な向きによ
    り磁気抵抗効果が生じる磁気抵抗効果膜において、上記
    反強磁性層が2層の異なる反強磁性材料からなることを
    特徴とする磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】複数層の磁性層を非磁性層で分割し、少な
    くとも1層の磁性層が反強磁性層に接しており、少なく
    とも1層の磁性層が反強磁性層に接していない多層膜を
    用いた磁気抵抗効果膜であり、上記非磁性層で分割され
    た上記磁性層の磁化の相対的な向きにより、磁気抵抗効
    果が生じる磁気抵抗効果膜において、上記反強磁性層が
    2層の異なる反強磁性材料からなることを特徴とする磁
    気抵抗効果膜。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、上記2層の異
    なる反強磁性材料のうち、磁性層に接していない側の反
    強磁性層が、Mn−Irを主成分とする合金からなる磁
    気抵抗効果膜。
  4. 【請求項4】請求項3において、上記2層の異なる反強
    磁性材料のうち、磁性層に接している側の反強磁性層
    は、Fe,Ni,Co,Crから選ばれる金属とMnと
    の合金を主成分とする磁気抵抗効果膜。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4に記載の上記磁
    気抵抗効果膜が面心立方構造を有し、(111)配向し
    ている磁気抵抗効果膜。
  6. 【請求項6】請求項5において、上記磁性層に接した上
    記反強磁性層の格子定数が、磁性層の格子定数と、磁性
    層に接していない反強磁性層の格子定数の中間の値であ
    る磁気抵抗効果膜。
  7. 【請求項7】請求項4または5において、上記2層の異
    なる反強磁性材料のうち、磁性層に接している側の反強
    磁性層の膜厚が2nm以下である磁気抵抗効果膜。
  8. 【請求項8】請求項3において、上記2層の異なる反強
    磁性材料のうち、磁性層に接している側の反強磁性層
    が、Ni−Mn,Cr−Mnを主成分とする合金からな
    る磁気抵抗効果膜。
  9. 【請求項9】請求項1,2,3,4,5,6,7または
    8において、上記磁性層の少なくとも一部がNi−Fe
    系合金あるいはNi−Fe−Co系合金である磁気抵抗
    効果膜。
  10. 【請求項10】請求項1,2,3,4,5,6,7,8
    または9に記載の上記磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗
    効果素子。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の上記磁気抵抗効果素
    子を少なくとも一部に用いた磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】請求項10に記載の上記磁気抵抗効果素
    子と上記誘導型磁気ヘッドとを組み合わせた磁気ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】請求項12または13に記載の上記磁気
    ヘッドを用いた磁気記録再生装置。
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