JP3083237B2 - 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド - Google Patents
磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッドInfo
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Description
これを用いた磁気ヘッド、磁気記録再生装置に関する。
素子では、多数の磁区の挙動により生じるバルクハウゼ
ンノイズが問題になる。バルクハウゼンノイズを抑制す
るためには磁気抵抗効果素子の磁区を単磁区化すること
が有効であり、IEEE Transactions on Magnetics、第14
巻、第5号、521〜523頁に掲載の Hempsteadらによる論
文「Unidirectional Anisotropy in Nickel-Iron Films
by Exchange Couplingwith Antiferromagnetic Film
s」に記載されているように、磁性層と反強磁性層とを
交換結合させることにより、磁気抵抗効果素子の磁区を
単磁区化してバルクハウゼンノイズを抑制することが行
われている。
われているNi−Fe合金を用いた磁気抵抗効果素子よ
りも高い磁気抵抗効果を示す材料が求められている。フ
ィジカル・レビュー・B(Physical Review B)、第43
巻、第1号、1297〜1300頁に掲載の Dienyらによる論文
「軟磁性多層膜における巨大磁気抵抗効果」(Giant Ma
gnetoresistance in Soft Ferromagnetic Multilayers)
に記載のように、2層の磁性層を非磁性層で分離し、一
方の磁性層と反強磁性層とが交換結合しており、2つの
磁性層の磁化の向きにより磁気抵抗効果が生じる多層膜
が考案されており、低磁界で高い磁気抵抗変化が得られ
ている。
制した磁気抵抗効果素子、あるいは高い磁気抵抗変化を
示す多層膜を用いた磁気抵抗効果素子には、磁性膜と交
換結合する反強磁性膜が重要な役割を果たす。上述のHe
mpstead、Dienyらの論文に述べられているように、Ni
−Fe膜と交換結合する反強磁性膜としては、Fe−M
n系合金が知られている。しかし、Fe−Mn系反強磁
性膜は耐食性が悪いという問題がある。
集、第40頁に記載されている添谷等による報告「Ni
O/Ni−Fe膜の交換結合磁界」では、反強磁性膜と
してNiOが用いられている。しかし、NiO反強磁性
膜は、層厚を厚くしないとNi−Fe磁性層との交換結
合が十分に取れないという問題がある。田ノ上等による
特開平5−315134号公報に記載の「積層磁性体の
製造方法」では、イオンビームスパッタによりMn−P
d合金とNi−Fe合金とを積層し、Mn−Pd反強磁
性膜とNi−Fe磁性膜との交換結合が得られている。
しかし、Mn−Pd反強磁性膜は、成膜後に350℃で
の磁場中熱処理を必要とする。
号公報に記載の「磁気抵抗センサ」では、反強磁性層に
Ni−Mn系合金を用いることにより磁性層との交換結
合が得られている。しかし、Ni−Mn系合金は、成膜
後250℃程度での長時間の熱処理を必要とする。
を抑制するために磁性層と反強磁性層とを交換結合させ
た磁気抵抗効果素子、あるいは磁気抵抗変化を高めるた
めに複数の磁性層を非磁性層で分離した多層磁性層を用
い、一方の磁性層を反強磁性層と交換結合させて複数の
磁性層の磁化の向きにより磁気抵抗効果が生じる磁気抵
抗効果素子が知られているが、これらの磁気抵抗効果素
子に用いられる反強磁性材料は、耐食性が高く、かつ容
易に磁性層との交換結合が得られることが必要である。
本発明は、これらの要求に応えられる反強磁性材料を提
供すること、及びその反強磁性材料を用いた磁気抵抗効
果素子を提供することを目的とする。
料及び膜厚を有する磁性層、反強磁性層を積層した多層
磁気抵抗効果素子を試作して誠意研究を行った結果、反
強磁性層としてMn−Ir系合金を用いることにより、
磁性層との交換結合が容易に得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
抗効果を示す磁性層と、該磁性層の少なくとも端部領域
に交換結合している反強磁性層とを含む磁気抵抗効果素
子の、前記反強磁性層はMn−Ir系合金からなること
を特徴とする。また、本発明による磁気抵抗効果素子
は、非磁性層で分離された複数の磁性層と反強磁性層を
含み、前記複数の磁性層のうち少なくとも1層は反強磁
性層と交換結合し、他の少なくとも1層は反強磁性層と
交換結合しておらず、前記非磁性層で分離された磁性層
の磁化の向きにより磁気抵抗効果が生じる磁気抵抗効果
素子の、前記反強磁性層としてMn−Ir系合金を用い
たことを特徴とする。
r系合金と磁性層の2層膜を形成することにより、室温
において交換結合が得られる。この時のMn−Ir系合
金の結晶構造は面心立方構造である。磁性層には、Ni
−Fe系合金あるいはNi−Fe−Co系合金を用いる
ことが好ましい。また、膜と基板との間に、周期率表上
のIVa族金属元素、Va族金属元素からなるバッファ層
を形成することにより、バッファ層上に形成された膜は
(111)配向を示す。この時、磁性層と反強磁性層と
の交換結合は非常に強くなる。なお、本明細書では、I
r濃度が8〜55at%であるMn−Ir合金を、Mn
100-aIra(8at%≦a≦55at%)のように表記
する。
合金は、V,Cr,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれ
る少なくとも一種類の元素をXとするとき (Mn100-aIra)100-bXb, 8at%≦a≦55at%、0<b≦30at% で表される組成を有し、30at%以下のV,Cr,F
e,Co,Ni,Cu等を含有すると、磁性層との交換
結合を強くする上で効果的である。
系合金は、V,Cr,Fe,Co,Ni,Cuから選ば
れる少なくとも一種類の元素をXとし、Pt,Ru,R
hから選ばれる少なくとも一種類の元素をYとするとき (Mn100-a-bIraXb)100-cYc, 8at%≦a≦55at%、0≦b≦30at%、0<
c≦15at% で表される組成を有し、15at%以下のPt,Ru,
Rhを含有すると、耐食性を高める上で効果的である。
前記磁気抵抗効果素子は、磁気記録再生装置の磁気ヘッ
ドとして用いることができ、また磁界センサとしても用
いることができる。
り、熱処理を行わなくとも室温でMn−Ir合金層と磁
性層との交換結合が得られる。この結果、磁気抵抗効果
素子のバルクハウゼンノイズを抑制することができる。
また、二つの磁性層を非磁性層で分離し、一方の磁性層
に反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加されている
多層磁気抵抗効果膜において、反強磁性層としてMn−
Ir系合金を用いることにより、低磁界で高い磁気抵抗
変化率が得られる。
性層は、磁場中熱処理等特別な処理を行うことなく薄い
膜厚でも磁性膜との交換結合を十分に取ることができ、
しかも耐食性が高いという特性を有する。
ながらさらに具体的に説明する。 〔実施例1〕図1に断面を略示する多層膜を形成した。
多層膜の成膜にはイオンビームスパッタリング法を用い
た。到達真空度は3×10-5Pa、スパッタリング時の
Ar圧力は0.02Pa、膜形成速度は、0.08nm
/s以下である。基板11にはSi(100)単結晶を
用いた。基板11上に、バッファ層12として厚さ10
nmのZr層を形成し、その上に厚さ20nmのNi−
20at%Fe合金(本明細書では、Ni80Fe20とも
表記する)からなる磁性層13を形成した。磁性層13
の上に形成する反強磁性層14には、厚さ40nm以上
のMn−Ir合金を用い、その組成を変化させた。ま
た、保護層15には、厚さ5nmのZrを用いた。比較
のためにバッファ層12のない試料も形成した。なお、
これらの試料には、熱処理を行わなかった。
化曲線の磁界シフト量すなわち結合磁界及びNi−Fe
磁性層の保磁力の変化を示す。図中、結合磁界は○印
で、保磁力は□印で示されている。Ir濃度が8〜55
at%の領域で結合磁界の発生がみられる。Ni−Fe
磁性層の保磁力も10Oe以下と小さい。また、比較の
ために作製したバッファ層12のない多層膜全てにおい
て、結合磁界の発生はみられなかった。
原因をX線回折で調べたところ、図3に示すように、Z
rバッファ層を形成した場合には、Ni−Fe及びMn
−Irの面心立方構造の(111)回折ピークが強いの
に対し、Zrバッファ層を形成しない場合には、Ni−
Fe及びMn−Irの(111)回折ピークは非常に弱
いことが分かった。このように、バッファ層にZrを用
いることにより、多層膜は面心立方構造の(111)配
向を示し、この時、室温でNi−Fe層とMn−Ir層
との交換結合が得られる。
の交換結合が消失する温度すなわちブロッキング温度の
変化を調べた。結果を図4に示す。図4から、ブロッキ
ング温度が100℃以上になるためには、Ir濃度が1
2〜45at%であることが必要なことが分かる。ま
た、Ir濃度が30at%未満の領域では、Mn含有量
が多いため若干耐食性に劣る。このため、Ir濃度は3
0〜45%の範囲とすることがより好ましい。
を用いたが、他の周期律表上のIVa族金属元素(Ti,
Hf)、Va族金属元素(V,Nb,Ta)及びこれら
を主成分とする合金を用いても同様な効果が得られた。
ただし、基板11上に(111)配向磁性膜13を直接
形成することができれば、バッファー層12を設ける必
要はない。また、本実施例では、磁性層としてNi−F
e系合金を使用したが、他の面心立方構造を有する磁性
層を用いても、同様な結果が得られる。しかし、磁気ヘ
ッド等の応用を考えた場合、磁性層は軟磁性を示すこと
が必要であり、磁性層として、Ni−Fe系合金、Ni
−Fe−Co系合金を用いることが好ましい。
層膜を形成した。多層膜の成膜は、実施例1と同様のイ
オンビームスパッタリング法によって行った。基板21
にはSi(100)単結晶基板を用いた。基板上にバッ
ファ層22として厚さ5nmのZr層を形成し、その上
に厚さ5nmのNi−16at%Fe−18at%Co
からなる磁性層23、厚さ2.5nmのCuからなる非
磁性層24、厚さ5nmのNi−16at%Fe−18
at%Coからなる磁性層25、厚さ10nmのMn−
40at%Ir合金からなる反強磁性層26、及び厚さ
5nmのZrからなる保護層27を順次形成した。ま
た、比較のために、反強磁性層26として厚さ10nm
のFe−40at%Mn合金を用いた多層膜も作製し
た。
果曲線を示す。図示のように、反強磁性層としてMn−
Ir合金を用いた多層膜でも、Fe−Mn合金を用いた
多層膜でも約2.7%程度の磁気抵抗変化率が得られ
た。また、反強磁性層に接していない磁性層の保磁力
は、双方とも3.2Oeと同じ値であった。反強磁性か
ら印加されている交換バイアス磁界、すなわち反強磁性
層に接していない磁性層の磁界シフト量は、反強磁性層
としてFe−Mnを用いた場合の約190Oeに比べ、
Mn−Irを用いた場合には約120Oeと低くなって
いる。しかし、図7に示すように、ブロッキング温度は
双方とも約150℃程度とほぼ同じであった。
り調べたところ、多層膜はNi−Fe−Co層、Cu層
の面心立方構造の強い(111)回折ピークが観測され
た。さらに、Mn−Ir層、Fe−Mn層の面心立方構
造の(111)回折ピークも観測された。このことか
ら、前記実施例1でも述べたように、多層膜が強い面心
立方構造の(111)回折ピークを示すときに、磁性層
と反強磁性層とが強く交換結合することがわかる。
Zrを用いたが、バッファ層として周期律表上のIVa族
金属元素、Va族金属元素、あるいはこれらを主成分と
する合金からなる非磁性金属を用いても同様の効果が得
られる。また、本実施例では非磁性層としてCuを用い
たが、Cuの代わりに電気抵抗の低いAu,Agを用い
ても同様な結果が得られる。しかし、磁性層として3d
遷移金属元素を用いる場合には、磁性層とのフェルミ面
のマッチングの観点から、非磁性層はCuであることが
好ましい。
−Fe−Co系合金を用いたが、他の面心立方構造を有
する磁性層を用いても同様な結果が得られる。しかし、
反強磁性層に接していない磁性層は、軟磁気特性を示す
ことが重要であり、磁性層としては、Ni−Fe系合
金、Ni−Fe−Co系合金を用いることが好ましい。
また、磁性層と非磁性層との界面に、磁性層の軟磁気特
性を劣化させない程度の薄いCo層あるいはCoを主成
分とするCo合金層を用いることにより、更に高い磁気
抵抗変化率が得られる。
1に断面を略示する多層膜を形成した。基板11にはS
i(100)単結晶基板を用いた。バッファ層12とし
ては、厚さ5nmのZrを用いた。磁性層13として
は、厚さ20nmのNi−20at%Feを用いた。反
強磁性層14としては、厚さ40nmのMn−40at
%Ir合金、及びMn−Ir合金にFeを添加した合金
(Mn60Ir40)100-bFebを用いた。保護膜15に
は、厚さ5nmのZrを用いた。
ータとして結合磁界の周囲温度依存性を示す。△印で示
すように、Feを添加しない場合、室温における結合磁
界は約20Oeであり、結合磁界がゼロになる周囲温度
(ブロッキング温度)は150℃である。これに対し、
Feを添加するにつれて室温における磁界シフト量は増
加し、○印で示すように、Feを30at%添加すると
約30Oeとなる。その膜のブロッキング温度は、17
0℃と増加する。さらにFeを添加すると、室温におけ
る結合磁界及びブロッキング温度は、急激に低下する。
とMn−Ir−Fe合金の構造をX線回折で調べた。図
9に示すように、Feを添加することによって、Mn−
Irの(111)回折ピークが高角度側にシフトしてい
る。このことから、Fe添加によってMn−IrとNi
−Feの格子のミスマッチが小さくなり、そのためNi
−Fe磁性層とMn−Ir(−Fe)反強磁性層との結
合が強くなったものと思われる。ここでは添加元素とし
てFeを用いた例について説明したが、他の3d遷移金
属元素であるV,Cr,Co,Ni,Cuを用いても同
様な効果が得られた。
護層を除いて図1に略示した断面構造と同様な構造を有
する多層膜を形成した。基板11にはガラス基板を用い
た。バッファ層12には厚さ10nmのZrを用いた。
磁性層13には厚さ20nmのNi−19at%Feを
用いた。反強磁性層14には膜厚が40nmのMn−3
8at%Ir−5at%Pt合金を用いた。また、比較
のため、反強磁性層に厚さ40nmのFe−40at%
Mnを用いた多層膜も同時に作製した。
護層は形成しなかった。耐食性の評価方法は、試料を高
温高湿下(90℃、80%RH)に所定の時間保持し、
その膜の結合磁界の変化を調べる方法を用いた。図10
に、高温高湿下での保持時間に対する結合磁界の変化を
示す。図中に■印で示すように、反強磁性層としてFe
−Mnを用いた多層膜の結合磁界は時間経過と共に急激
に減少する。しかし、図中に●印で示すように、反強磁
性層としてMn−40at%Ir合金を用いた多層膜で
は、300時間を越えるまで結合磁界の減少は起こらな
かった。また、反強磁性層としてMn−38at%Ir
−5at%Pt合金を用いた多層膜の場合は、図中に○
印で示すように高温高湿下に400時間以上保持しても
結合磁界の減少はみられなかった。さらにPt含有量を
増大すると、室温における結合磁界は小さくなる。
と結合磁界の変化を示す。図ように、Pt濃度が8at
%までは、Ptを添加しても結合磁界はそれほど変化し
ないが、添加濃度が8%を超えると結合磁界は急に減少
し、15at%を超えるPtを添加した膜では結合磁界
は半分以下になる。従って、添加するPt濃度は15a
t%以下が好ましい。また、高い結合磁界を得るために
は、Pt濃度を8at%以下とすることがより好まし
い。
例について述べたが、Ptの代わりにRu,Rhを添加
しても同様な効果が得られる。さらに、Mn−Ir−M
(M=Fe,Co,Ni)合金にPt,Rh,Ruを添
加しても同様な効果が得られる。
多層膜を用い、図13に構造を略示する磁気抵抗効果素
子を作製した。図12に示す基板31には、ガラス基板
を用いた。バッファ層32には、厚さ5nmのHfを用
いた。磁性層33には、厚さ10nmのNi−19at
%Fe合金を用いた。反強磁性層34には、厚さ20n
mのMn−40at%Irを用いた。反強磁性層34
は、磁性層33の両端部に設けた。電極35には、厚さ
300nmのCuを用い、反強磁性層34の上に設け
た。
効果素子は、図12に示した磁気抵抗効果膜41(31
〜34)及び電極42(35)からなる多層膜を、厚さ
1.0μmのNi−Fe合金からなるシールド層43,
44で挟んだ構造を有する。この磁気抵抗効果素子を用
いると、バルクハウゼンノイズが発生せず、反強磁性層
にFe−Mnを用いた磁気抵抗効果素子と同様な効果が
得られた。
果素子を用い、記録再生分離型磁気ヘッドを作製した。
本実施例の磁気ヘッドの一部分を切断した斜視図を図1
4に示す。多層磁気抵抗効果膜51をシールド層52、
53で挾んだ部分が再生ヘッドとして働き、コイル54
を挾む下部磁極55、上部磁極56の部分が記録ヘッド
として働く。多層磁気抵抗効果膜51は実施例5に記載
の多層膜からなる。また、電極58には、Cr/Cu/
Crという多層構造の材料を用いた。
成分とする焼結体をスライダ用の基板57とし、シール
ド層52,53及び記録磁極55,56にスパッタリン
グ法で形成したNi−Fe合金を用いて形成した。上下
のシールド層52,53の厚さは1.0μm、上下磁極
55,56の厚さは3.0μmとした。各層間のギャッ
プ材としてはスパッタリングで形成したAl2O3を用
い、ギャップ層の膜厚は、シールド層と磁気抵抗効果素
子間で0.2μm、記録磁極間では0.4μmとした。
さらに再生ヘッドと記録ヘッドの間隔は約4μmとし、
このギャップもAl2O3で形成した。コイル54には膜
厚3μmのCuを使用した。
行ったところ、バルクハウゼンノイイズを示さず、良好
な再生特性を示した。また、本実施例の磁気抵抗効果素
子は、磁気ヘッド以外の磁界検出器にも用いることがで
きる。
を用い、磁気ディスク装置を作製した。図15に磁気デ
ィスク装置の構造の概略図を示す。図15(a)は磁気
ディスク装置の略平面図、図15(b)はそのA−A断
面図である。磁気記録媒体61はモーター62によって
回転駆動される。磁気ヘッド63は磁気ヘッド駆動部6
4によって磁気ヘッドに対して位置決めされる。また、
磁気ヘッド63による記録再生信号は記録再生信号処理
系65で処理される。
75TのCo−Ni−Pt−Ta系合金からなる材料を
用いた。磁気ヘッド63の記録ヘッドのトラック幅は3
μm、再生ヘッドのトラック幅は2μmとした。磁気ヘ
ッド63には、再生時にバルクハウゼンノイズを発生し
ない実施例6で用いた磁気ヘッドを用いているため、エ
ラーレートの低い磁気ディスク装置が得られた。
構造を略示する多層膜を用い、図13に構造を示す磁気
抵抗効果素子を形成した。磁気抵抗効果素子は、多層磁
気抵抗効果膜41及び電極42をシールド層43,44
で挟んだ構造を有する。この磁気抵抗効果素子に磁界を
印加し、電気抵抗率の変化を測定したところ、20Oe
程度の印加磁界で約2.7%の磁気抵抗変化率を示し
た。また、本実施例の磁気抵抗効果素子の再生出力は、
Ni−Fe単層膜を用いた磁気抵抗効果素子と比較し
て、2.6倍であった。
果素子を用い、図14に構造を略示する記録再生分離型
磁気ヘッドを作製した。図14において、多層磁気抵抗
効果膜51をシールド層52,53で挾んだ部分が再生
ヘッドとして働き、コイル54を挾む下部磁極55、上
部磁極56の部分が記録ヘッドとして働く。多層磁気抵
抗効果膜51は実施例5に記載の多層膜からなる。ま
た、電極58には、Cr/Cu/Crという多層構造の
材料を用いた。ヘッドの他の構造については、実施例6
と同様である。
ところ、Ni−Feの単層膜を用いた磁気ヘッドと比較
して、2.6倍高い再生出力を得た。これは、磁気ヘッ
ドに高い磁気抵抗効果を示す多層膜を用いたためである
と考えられる。また、本実施例の磁気抵抗効果素子は、
磁気ヘッド以外の磁界検出器にも用いることができる。
磁気ヘッドを用い、図15に構造の概略図を示す磁気デ
ィスク装置を作製した。磁気記録媒体61には、残留磁
束密度0.75TのCo−Ni−Pt−Ta系合金から
なる材料を用いた。磁気ヘッド63の記録ヘッドのトラ
ック幅は3μm、再生ヘッドのトラック幅は2μmとし
た。磁気ヘッド63における磁気抵抗効果素子は、従来
のパーマロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子の約2.
6倍の出力を示すため、さらにトラック幅が狭く、記録
密度の高い磁気ディスク装置を作製することができる。
本発明の磁気ヘッドは、特に1Gb/in2 以上の記録
密度を有する磁気記録再生装置に有効である。また、1
0Gb/in2 以上の記録密度を有する磁気記録再生装
置には、必須であると考えられる。
磁性層は、磁場中熱処理等特別な処理を行うことなく薄
い膜厚でも磁性膜との交換結合を十分に取ることがで
き、しかも高い耐食性を得ることができる。磁性層とM
n−Ir系合金反強磁性層を積層することにより、熱処
理を行わなくとも室温でMn−Ir合金反強磁性層と磁
性層との交換結合が得られ、磁気抵抗効果素子のバルク
ハウゼンノイズを抑制することができる。
一方の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界が印
加されている多層磁気抵抗効果膜において、反強磁性層
としてMn−Ir系合金を用いることにより、低磁界で
高い磁気抵抗変化率が得られる。
力の変化を示すグラフ。
の違いを示す図。
を用いた多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果曲線を示す
図。
を用いた多層磁気抵抗効果膜の結合磁界の温度依存性を
示すグラフ。
を用いた多層磁気抵抗効果膜の結合磁界の温度依存性を
示すグラフ。
のX線回折プロファイルの変化を示す図。
−Ir−Ptを用いた多層膜の高温高湿下保持時間と結
合磁界の変化を示すグラフ。
はそのA−A’断面図。
層、13,23,25,33…磁性層、14,26,3
4…反強磁性層、15,27…保護層、24…非磁性
層、35,42…電極、41…多層磁気抵抗効果膜、4
3,44…シールド層、51…多層磁気抵抗効果膜、5
2,53…シールド層、54…コイル、55…下部磁
極、56…上部磁極、57…基体、58…電極、61…
磁気記録媒体、62…磁気記録媒体駆動部、63…磁気
ヘッド、64…磁気ヘッド駆動部、65…記録再生信号
処理系
Claims (11)
- 【請求項1】 第1の磁性層と、第2の磁性層と、前記
第1の磁性層と第2の磁性層を分離する非磁性層と、前
記第1及び第2の磁性層のうちの一方と交換結合した反
強磁性層とを含み、前記第1の磁性層と第2の磁性層の
磁化の向きにより磁気抵抗効果が生じる磁気抵抗効果素
子において、 前記反強磁性層としてMn−Ir系合金を用い、前記第
1及び第2の磁性層と反強磁性層とは面心立方構造を有
し、(111)配向しており、基板と前記第1もしくは
第2の磁性層あるいは反強磁性層との間に、周期律表に
おけるIVa族金属元素、Va族金属元素あるいはこれら
を主成分とする非磁性層を形成したことを特徴とする磁
気抵抗効果素子。 - 【請求項2】 前記Mn−Ir系合金は Mn100-aIra (8at%≦a≦55at%) で表される組成を有することを特徴とする請求項1記載
の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項3】 前記Mn−Ir系合金は、V,Cr,F
e,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも一種類の
元素を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効
果素子。 - 【請求項4】 前記Mn−Ir系合金は、V,Cr,F
e,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも一種類の
元素をXとするとき (Mn100-aIra)100-bXb, 8at%≦a≦55at%、0<b≦30at% で表される組成を有することを特徴とする請求項1記載
の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項5】 前記Mn−Ir系合金は、Pt,Ru,
Rhから選ばれる少なくとも一種類の元素を含むことを
特徴とする請求項1又は3記載の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項6】 前記Mn−Ir系合金は、V,Cr,F
e,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも一種類の
元素をXとし、Pt,Ru,Rhから選ばれる少なくと
も一種類の元素をYとするとき (Mn100-a-bIraXb)100-cYc, 8at%≦a≦55at%、0≦b≦30at%、0<
c≦15at% で表される組成を有することを特徴とする請求項1記載
の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項7】 Ni−Fe系合金あるいはNi−Fe−
Co系合金からなる磁性層を含むことを特徴とする請求
項1〜6のいずれか1項記載の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁
気抵抗効果素子を備えることを特徴とする磁気ヘッド。 - 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁
気抵抗効果素子と誘導型磁気ヘッドを組み合わせたこと
を特徴とする複合型磁気ヘッド。 - 【請求項10】 請求項8又は9に記載の磁気ヘッドを
備えることを特徴とする磁気記録再生装置。 - 【請求項11】 磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッド
において、前記磁気抵抗効果素子は、第1の磁性層と、
第2の磁性層と、前記第1の磁性層と第2の磁性層を分
離する非磁性層と、前記第1及び第2の磁性層のうちの
一方と交換結合したMn−Ir系合金からなる反強磁性
層とを含み、前記第1及び第2の磁性層と反強磁性層と
は面心立方構造を有して(111)配向しており、基板
と前記第1もしくは第2の磁性層あるいは反強磁性層と
の間に、周期律表におけるIVa族金属元素、Va族金属
元素あるいはこれらを主成分とする非磁性層を形成し、
前記第1の磁性層と第2の磁性層の磁化の向きにより磁
気抵抗効果が生じることを特徴とする磁気ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07047363A JP3083237B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07047363A JP3083237B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08249616A JPH08249616A (ja) | 1996-09-27 |
JP3083237B2 true JP3083237B2 (ja) | 2000-09-04 |
Family
ID=12773036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP07047363A Expired - Lifetime JP3083237B2 (ja) | 1995-03-07 | 1995-03-07 | 磁気抵抗効果素子及び磁気ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3083237B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8254067B2 (en) | 2008-10-27 | 2012-08-28 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Tunnel junction type magneto-resistive head |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR19980042427A (ko) * | 1996-11-18 | 1998-08-17 | 다까노야스아끼 | 자기 저항 효과막 |
WO2000065577A1 (fr) * | 1999-04-22 | 2000-11-02 | Takahashi, Migaku | Dispositif de liaison par interaction d'echange et procede de fabrication correspondant, dispositif a effet magnetoresistant et tete magnetique |
US7672089B2 (en) | 2006-12-15 | 2010-03-02 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Current-perpendicular-to-plane sensor with dual keeper layers |
-
1995
- 1995-03-07 JP JP07047363A patent/JP3083237B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8254067B2 (en) | 2008-10-27 | 2012-08-28 | Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. | Tunnel junction type magneto-resistive head |
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