JPH0766036A - 多層磁気抵抗効果膜、それを用いた磁気抵抗効果素子および磁気ヘッド - Google Patents

多層磁気抵抗効果膜、それを用いた磁気抵抗効果素子および磁気ヘッド

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JPH0766036A
JPH0766036A JP5207447A JP20744793A JPH0766036A JP H0766036 A JPH0766036 A JP H0766036A JP 5207447 A JP5207447 A JP 5207447A JP 20744793 A JP20744793 A JP 20744793A JP H0766036 A JPH0766036 A JP H0766036A
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magnetic
film
multilayer
magnetoresistive effect
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JP5207447A
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Katsumi Hoshino
勝美 星野
Ryoichi Nakatani
亮一 中谷
Yoshihiro Hamakawa
佳弘 濱川
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、面心立方構造を有する磁性
層間の交換相互作用を弱め、多層膜の感度を高くする方
法を提供することにある。 【構成】 Ti,Zr,Hfなどの稠密六方構造を有す
る非磁性合金からなるバッファ層を形成した多層磁気抵
抗効果膜において、Cu膜厚を2.5nm〜3.3nm
の領域に設定することにより、磁気抵抗変化率を大きく
低減することなく磁性層間の交換相互作用を低下させ
た。磁化の向きの制御は、反強磁性層からの交換バイア
ス磁界を用いた。また、上記多層磁気抵抗効果膜を磁気
抵抗効果素子、磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置に用
いた。 【効果】 本発明の多層磁気抵抗効果膜は低い飽和磁界
および高い磁気抵抗変化率を示す。また、上記多層磁気
抵抗効果膜を使用した磁気ヘッドは、優れた再生特性を
示した。また、上記磁気ヘッドを磁気記録再生装置に用
いることにより、高性能磁気記録再生装置が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い磁気抵抗効果を有す
る多層磁気抵抗効果膜およびこれを用いた磁気抵抗効果
素子、磁気ヘッド、磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化に伴い、再生用磁気
ヘッドに用いる磁気抵抗効果材料として、高い磁気抵抗
効果を示す材料が求められている。現在、使用されてい
るパーマロイの磁気抵抗変化率は約3%であり、新材料
はこれを上回る磁気抵抗変化率を有することが必要であ
る。
【0003】最近、Baibichらによる、フィジカル・レ
ビュー・レターズ(Pysical ReviewLetters)、第61巻、
第21号、2472〜2475ページに記載の「(001)Fe/(001)Cr
磁性超格子の巨大磁気抵抗効果」(Giant Magnetoresis
tance of (001)Fe/(001)Cr Magnetic Superlattices)
のように、多層構造を持つ磁性膜(Fe/Cr多層膜)
において、約50%の磁気抵抗変化率(4.2Kにおい
て)が観測されている。しかし、上記Fe/Cr多層膜
に十分な磁気抵抗変化を生じさせるためには、800k
A/mもの高い磁界が必要であり、低い磁界で動作する
必要がある磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドに用いること
ができないという問題がある。
【0004】そこで、Dienyらによるフィジカル・レビ
ュー・B(Pysical Review B)、第43巻、第1号、1297〜1
300ページに記載の「軟磁性多層膜における巨大磁気抵
抗効果」(Giant Magnetoresistance in Soft Ferromagne
tic Multilayers)のように2層の磁性層を非磁性層で分
離し、一方の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁
界を印加する方法が考案された。上記のような多層膜で
は、European Patent,0 490 608 A2に記載のように、多
層膜の組織、結晶粒径等を調整するために、基板上にT
a、Ru、Cr、Vからなるバッファ層を形成してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような多層膜で
は、2層の磁性層を比較的薄い非磁性金属層で磁気的に
分離する必要がある。しかし、非磁性層の薄い領域で2
層の磁性層を磁気的に分離することは難しく、磁気抵抗
効果素子として用いる場合に、高い磁気抵抗変化率を保
ちつつ、2層の磁性層の交換相互作用の小さい非磁性層
膜厚の領域を設定する必要がある。
【0006】本発明の目的は、上述の多層膜を用いた磁
気抵抗効果素子の問題の解決方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の材
料および膜厚を有する磁性層、非磁性層を積層した多層
磁性膜を用いた磁気抵抗効果素子について鋭意研究を重
ねた結果、上記非磁性層に、CuあるいはCuを主成分
とする合金を用い、薄い領域において適度な膜厚を設定
することにより磁気抵抗変化率を大きく低減させること
なく、2層の磁性層間の交換相互作用の小さな多層磁気
抵抗効果膜ができることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0008】すなわち、2層以上の磁性層を非磁性層で
分割し、少なくとも1層の磁性層に反強磁性層からの交
換バイアス磁界が印加されており、少なくとも1層の磁
性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界は直接には印
加されていない多層膜を用いた多層磁気抵抗効果膜にお
いて、上記非磁性層の材料として、CuあるいはCuを
主成分とする合金を用い、望ましくは、その膜厚を1.
8nm〜3.3nmとすることにより、低い磁界で高い
磁気抵抗変化率を示す磁気抵抗効果膜を得ることができ
る。さらに、上記多層膜の非磁性層にCuを用い、その
膜厚を2.5nm〜3.3nmとすることにより磁気抵
抗変化率を大きく低減させることなく、磁性層間の交換
相互作用の高い多層磁気抵抗効果膜を得ることができ
る。上記多層膜を、印加磁界が零の場合に、反強磁性層
からの交換バイアス磁界が印加された磁性層の磁化の向
きが、反強磁性層からの交換バイアス磁界が直接印加さ
れていない磁性層の磁化の向きと直交した磁気抵抗効果
素子にした時、バイアス磁界を印加する必要はない。ま
た、上記多層膜と基板との間に、稠密六方構造を有する
非磁性金属からなるバッファ層を形成しても良く、これ
によりFe−Mn層からの交換バイアス磁界が磁性層に
十分に印加され、かつ、2層の磁性層間の交換相互作用
を最小限に抑えることができる。上記稠密六方構造を有
する非磁性金属としてはTi、Hf、Zn、Zrから選
ばれた少なくとも1元素の金属、または、これらを主成
分とする合金が好ましい。上記稠密六方構造を有する非
磁性金属をバッファ層として用いると、多層膜が強い
(111)配向を示し、このため、磁性層間の交換相互
作用を最小限に抑えることができる。また、4層以上の
磁性層を非磁性層で分割し、少なくとも2層の磁性層に
反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加されており、
少なくとも2層の磁性層に反強磁性層からの交換バイア
ス磁界は直接には印加されていない多層膜を形成する
と、さらに高い磁気抵抗変化率が得られる。また、上記
磁性層としては、Ni−Fe−Co系合金が軟磁性を示
し、かつNi−Fe−Co系合金の使用により、高い磁
気抵抗変化率が得られることから好ましい。また、高い
磁気抵抗変化率および優れた軟磁性を得るためには、上
記Ni−Fe−Co系合金のCo濃度は10〜25at
%であることが好ましい。
【0009】また、上記多層磁気抵抗効果膜は、磁気抵
抗効果素子、磁界センサ、磁気ヘッドなどに好適であ
る。また、上記磁気ヘッドを用いることにより、高性能
磁気記録再生装置を得ることができる。
【0010】
【作用】上述のように、非磁性層にCuあるいはCuを
主成分とする合金を用い、特にその膜厚を1.8nm〜
3.3nmとすることにより、低い磁界で高い磁気抵抗
変化率を示す多層磁気抵抗効果膜を得ることができる。
さらに、上記非磁性層にCuを用い、その膜厚を2.5
nm〜3.3nmとすることが好ましく、この領域にお
いては磁気抵抗変化率を大きく低減させることなく、2
層の磁性層間の相互作用の小さな多層磁気抵抗効果膜を
得ることができる。また、上記多層膜と基板との間に、
稠密六方構造を有する非磁性金属からなるバッファ層を
形成しても良く、上記稠密六方構造を有する非磁性金属
としてはTi、Hf、Zn、Zrから選ばれた少なくと
も1元素の金属、または、これらを主成分とする合金が
好ましい。上記稠密六方構造を有する非磁性金属をバッ
ファ層として用いると、多層膜が強い(111)配向を
示し、このため、磁性層間の交換相互作用を最小限に抑
えることができる。また、磁性層を4層以上にすると、
さらに高い磁気抵抗変化率が得られる。また、上記磁性
層としては、Ni−Fe−Co系合金が軟磁性を示し、
かつNi−Fe−Co系合金の使用により、高い磁気抵
抗変化率が得られることから好ましい。さらに、上記多
層磁気抵抗効果膜は、磁気抵抗効果素子、磁界センサ、
磁気ヘッドなどに好適である。また、上記磁気ヘッドを
用いることにより、高性能磁気記録再生装置を得ること
ができる。
【0011】
【実施例】以下に本発明の一実施例を挙げ、図表を参照
しながらさらに具体的に説明する。
【0012】(実施例1)多層膜の作製にはイオンビー
ムスパッタリング法を用いた。到達真空度は、3/10
5Pa、スパッタリング時のAr圧力は0.02Paで
ある。また、膜形成速度は、0.01〜0.02nm/
sである。形成した多層膜の断面構造を図1に示す。基
板11にはSi(100)単結晶を用いた。また、バッ
ファ層12として、厚さ5nmのHfを用いた。磁性層
13および15には、厚さ5nmのNi−16at%F
e−18at%Co合金を用いた。非磁性層14には、
Cuを用い、その膜厚を変化させた。また、反強磁性層
16には、厚さ5nmのFe−40at%Mn合金を用
いた。また、保護層17には、厚さ5nmのHfを用い
た。従って、高い磁気抵抗変化率を得るためには、Cu
膜厚が1.8nm〜3.3nmであることが好ましい。
【0013】図2にCu膜厚に対する磁気抵抗変化率の
変化を示す。Cu膜厚が2.0nmの時、磁気抵抗変化
率が最大値を示し、その値は2.9%である。また、C
u膜厚が1.8nm〜3.3nmの領域において、磁気
抵抗変化率は2.0%以上の値を示す。
【0014】図3に、この多層膜の磁化曲線の模式図を
示す。Fe−Mn層に接している磁性層はFe−Mn層
からの交換バイアス磁界を受ける。図中のHo+は、上
記交換バイアス磁界に相当する。これに対し、Fe−M
n層に接していない磁性層は、直接には、交換バイアス
磁界を受けない。しかし、2つの磁性層間には、強磁性
的な交換相互作用を受けるため、Fe−Mn層の接して
いない磁性層は、図中のHo−のような交換バイアス磁
界を受ける。
【0015】図4にはCu膜厚を変化させたときの磁化
曲線の変化を示す。Cu膜厚が1.0nmのとき、磁化
曲線は全体に高磁界側にシフトしている。これは、磁性
層間の交換相互作用が強いため、2つの磁性層が同時に
磁化反転していることを示す。Cu膜厚が1.6nmの
とき、Ho+は高磁界側に、Ho−は低磁界側にシフト
している。これは、上記交換相互作用がCu膜厚の増加
により、弱くなっていることを示す。Cu膜厚が2.0
nmになると図3の模式図と同様な磁化曲線になり、2
つの磁性層が独立に磁化反転していることがわかる。し
かし、磁性層間の交換相互作用はまだ残っており、Ho
−の値は零ではない。
【0016】図5にCu膜厚に対するHo−の変化を示
す。図のようにCu膜厚が2.0nmの場合、Ho−は
約20Oeになっている。Cu膜厚が2.0nm以上の
領域では、Ho−は減少し、Cu膜厚が2.5nm以上
の領域ではHo−は10Oe以下になっている。
【0017】上記の結果から、Cu膜厚が2.5nm〜
3.3nmの領域では、磁気抵抗変化率が2.0%以上
と比較的高い値を示し、かつ、Ho−が10Oe以下と
低い値を示す多層膜が得られる。これより、Fe−Mn
層に接している磁性層の磁化の向きに対し、Fe−Mn
層に接していない磁性層の磁化の向きを直交させた磁気
抵抗効果多層膜では、外部からバイアス磁界を印加する
必要がない。従って、磁気抵抗効果素子等の応用上の観
点から、Cu膜厚は2.5nm〜3.3nmであること
が好ましい。
【0018】また、本実施例では、バッファ層12とし
て、Hfを用いた。多層膜に対してX線回折を行ったと
ころ、これら多層膜は全て(111)結晶配向を示し
た。バッファ層12のない多層膜を作製したところ、多
層膜は(111)結晶配向を示さず、磁気抵抗効果はあ
らわれなかった。磁気抵抗変化率の高い多層膜を得るに
は、上記多層膜が(111)配向を示すことが必要であ
る。
【0019】また、磁気抵抗効果曲線にバルクハウゼン
ノイズが生じる場合は、多層磁気抵抗効果膜の磁界検出
方向と直角の方向にバイアス磁界を印加する機構を設け
ることが、バルクハウゼンノイズの抑止に効果がある。
磁気抵抗効果膜をトラック幅1μm以下の狭トラック磁
気ヘッドに用いる場合には、トラック幅を厳密に規定す
る必要があるため、上記バイアス磁界を印加する機構と
しては、反強磁性層から直接交換バイアス磁界が印加さ
れていない磁性層のトラック以外の部分に、反強磁性層
を接触させる方法が好ましい。
【0020】また、本実施例では、磁性層としてNi−
Fe−Co系合金を使用したが、他の面心立方構造を有
する磁性層を用いても、バッファ層材料による磁化曲線
および磁気抵抗効果曲線の変化は同様である。しかし、
反強磁性層から直接交換バイアス磁界が印加されていな
い磁性層は、軟磁性を示すことが必要であり、磁性層と
して、Ni−Fe系合金、Ni−Fe−Co系合金を用
いることが好ましい。
【0021】また、本実施例では、非磁性層として、C
uを用いたが、Cuを主成分とする合金を用いても同様
の結果が得られる。しかし、磁性層として3d遷移金属
を用いる場合には、磁性層とのフェルミ面のマッチング
の観点から、非磁性層はCuであることが好ましい。
【0022】また、本実施例では、反強磁性層として、
Fe−Mn系合金を用いたが、他の反強磁性材料を用い
ることもできる。反強磁性材料としては、Fe−Mn系
合金およびFe−Mn系合金に耐食性向上元素を添加し
た合金、NiOなどが好ましい。Fe−Mn系合金に耐
食性向上元素を添加した合金としては、Fe−Mn−R
u系合金が、耐食性、ネール温度の高さの点から好まし
い。
【0023】(実施例2)実施例1と同様の構造の多層
膜を形成した。図1のバッファ層12として、膜厚が5
nmのTiを用い、磁性層13および15には膜厚が5
nmのNi−20at%Fe合金、反強磁性層16には
膜厚5nmのFe−40at%Mn合金を用いた。非磁
性中間層14には、Cuを用い、膜厚を変化させた。保
護膜17として、膜厚が20nmのCuを用いた。
【0024】実施例1と同様に、Cu膜厚に対するHo
−の変化を調べた。図6にCu膜厚に対するHo−の依
存性を示す。Cu膜厚に対し、Ho−は単純に減少して
いる。Cu膜厚が2.5nm以上の領域で、Ho−は1
0Oe以下になっている。
【0025】また、実施例1および実施例2では、バッ
ファ層12として、HfおよびTiを用いたが、Zrあ
るいは実質的にHf、Zr、Tiを主成分とした合金で
あれば、上記実施例と同様な結果が得られる。
【0026】本発明者等は、バッファ層材料として、Z
nを用いた多層膜においても検討を行ったが、上記稠密
六方構造を有するバッファ層を用いた場合とほぼ同様の
結果を得た。しかし、バッファ材料としてZnを用いた
多層膜は、(111)配向が、Hf、Ti、Zrを用い
た多層膜より弱い。このため、バッファ層材料として、
Znを用いた多層膜は、Hf、Ti、Zrを用いた多層
膜よりも、若干、特性が劣っていた。
【0027】(実施例3)実施例1と同様の構造の多層
膜を形成した。図1のバッファ層12として、Tiを用
いた。透過電子顕微鏡による断面観察を行ったところ、
Tiは非晶質になっていた。Tiは非晶質になる原因は
明らかではないが、Si基板上に自然形成したSiO2
と反応した可能性がある。従って、上記バッファ層12
はTiの酸化物である可能性がある。また、多層膜に対
してX線回折を行ったところ、多層膜は強い(111)
配向を示した。非晶質金属上に多層膜を形成したため
に、面心立方構造を有するNi−Fe系合金の最稠密面
である(111)面が基板と平行に配向しやすくなった
ためと考えられる。また、バッファ層12として、H
f、Zrを用いた場合にも、バッファ層12は非晶質に
なった。
【0028】また、本実施例では、バッファ層12とし
て、Hf、Zr、Tiを用いたが、実質的にHf、Z
r、Tiを主成分とした合金であれば、上記実施例と同
様の効果が得られる。
【0029】(実施例4)実施例1と同様の方法で、多
層膜を形成した。本実施例では、図1の磁性層13およ
び15として、膜厚5nmのNi−Fe−Co系合金を
用いた。NiおよびFeの組成比は、80:20とし、
Coの濃度を変化した。基板11にはSi(100)単
結晶を用いた。また、バッファ層12として、厚さ5n
mのHfを用いた。非磁性層14には、厚さ2nmのC
uを用いた。また、反強磁性層16には、厚さ5nmの
Fe−40at%Mn合金を用いた。また、保護層17
には、厚さ5nmのHfを用いた。
【0030】図7に、Co濃度と多層膜の磁気抵抗変化
率との関係を示す。この図のように、Co濃度の増加に
従い、磁気抵抗変化率が増加する。2.5%以上の磁気
抵抗変化率を得るためには、Co濃度が10%以上であ
ることが必要である。
【0031】図8に、Co濃度と磁性層13の異方性磁
界との関係を示す。この図のように、Co濃度を高くす
ると、磁性層13の異方性磁界が高くなる。磁性層13
の異方性磁界が高くなると、磁界に対する感度が低下す
るという問題がある。図8のように、異方性磁界を2.
4kA/m(30Oe)以下とするためには、Co濃度
を25at%以下にする必要がある。
【0032】以上のように、高い磁気抵抗変化率および
低い磁性層の異方性磁界を得るためには、Co濃度を1
0〜25at%にすることが好ましい。
【0033】なお、磁性層の結晶磁気異方性定数を零に
近くし、磁性層の保磁力を低くするためには、NiとF
eの組成比を75:25〜85:15にすることが好ま
しい。
【0034】(実施例5)実施例1と同様の方法で、多
層膜を形成した。本実施例では、図9の基板21にはS
i(100)単結晶を用いた。また、バッファ層22と
して、厚さ5nmのTi,Zr,Hfを用いた。磁性層
23には、厚さ5nmのNi−16at%Fe−18a
t%Co合金を用いた。非磁性層24には、厚さ2nm
のCuを用いた。磁性層25には、厚さ4nmのCoを
用い、磁性層26には、厚さ3nmのNi−16at%
Fe−18at%Co合金を用いた。また、反強磁性層
27には、厚さ5nmのFe−40at%Mn合金を用
いた。また、保護層28には、厚さ5nmのTi、Z
r、Hfを用いた。
【0035】表1に多層膜の磁気抵抗変化率を示す。表
1のように、磁性層の一部にCoを用いることにより、
高い磁気抵抗変化率を得ることができる。
【0036】
【表1】
【0037】なお、本実施例で磁性層26としてNi−
Fe−Co系合金を用いた。これは、面心立方構造のF
e−Mn系合金の形成を容易にするためである。Fe−
Mn系合金は面心立方構造の時、室温以上のネール温度
を示す。従って、Co上にFe−Mn系合金を形成して
も、Fe−Mn系合金が面心立方構造になれば、磁性層
26は必要ない。
【0038】本実施例では、磁性層25として、Coを
用いたが、Coを主成分とする合金を用いても高い磁気
抵抗変化率を得ることができる。
【0039】また、本実施例では、磁性層23としてN
i−Fe−Co系合金を使用したが、他の面心立方構造
を有する磁性層を用いても、同様の結果が得られる。し
かし、反強磁性層から直接交換バイアス磁界が印加され
ていない磁性層は、軟磁性を示すことが必要であり、磁
性層23として、Ni−Fe系合金、Ni−Fe−Co
系合金を用いることが好ましい。
【0040】また、本実施例では、非磁性層24とし
て、Cuを用いたが、Cuを主成分とする合金を用いて
も同様の結果が得られる。また、Au、AgあるいはA
u、Agを主成分とする合金を用いても同様の結果が得
られる。しかし、磁性層として3d遷移金属を用いる場
合には、磁性層とのフェルミ面のマッチングの観点か
ら、非磁性層はCuであることが好ましい。
【0041】また、本実施例では、反強磁性層27とし
て、Fe−Mn系合金を用いたが、他の反強磁性材料を
用いることもできる。反強磁性材料としては、Fe−M
n系合金およびFe−Mn系合金に耐食性向上元素を添
加した合金、NiOなどが好ましい。Fe−Mn系合金
に耐食性向上元素を添加した合金としては、Fe−Mn
−Ru系合金が、耐食性、ネール温度の高さの点から好
ましい。
【0042】また、本実施例では、バッファ層22とし
て、Hf、Zr、Tiを用いたが、実質的にHf、Z
r、Tiを主成分とし、稠密六方構造を有する非磁性合
金であれば、上記実施例と同様の効果が得られる。ま
た、多層膜を(111)配向にするには、Hf、Zr、
Tiを主成分とする非晶質合金を用いることが好まし
い。
【0043】(実施例6)実施例1と同様の方法で、零
磁界において、Fe−Mn層に接している磁性層の磁化
の向きとFe−Mn層に接していない磁性層の磁化の向
きが直交した多層膜を作製した。ここで、基板11には
Si(100)基板を用いた。バッファ層12には膜厚
5nmのHfを用いた。磁性層13および15には膜厚
5nmのNi−16at%Fe−18at%Coを用い
た。反強磁性層には膜厚5nmのFe−40at%Mn
を用いた。非磁性中間層14には膜厚2.5nmのCu
を用いた。保護層17には膜厚5nmのHfを用いた。
図10には上記多層膜の低磁界における磁気抵抗変化を
示す。また、比較のために、2つの磁性層の磁化の向き
が零磁界において、平行な多層膜の場合も示す。2つの
磁性層の磁化の向きが平行な場合、抵抗が変化しはじめ
る磁界は約10Oeである。これに対し、2つの磁性層
の磁化の向きが直交した膜では零磁界付近で抵抗が変化
しはじめる。
【0044】本実施例のように、外部磁界が零の場合
に、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加された磁
性層の磁化の向きが、反強磁性層からの交換バイアス磁
界が直接印加されていない磁性層の磁化の向きと直交し
た多層膜では、磁性層間の相互作用が小さい時、零磁界
付近で抵抗が変化する。さらに上記多層膜を素子として
細長く切りだした時、2つの磁性層間には静磁結合が働
き、その静磁結合は磁性層間の交換相互作用を打ち消す
ように働く。これにより、零磁界を中心にして、抵抗変
化が起こる。また、反強磁性層に接していない磁性層の
磁化の容易軸を、外部磁界に対し直交する方向に向ける
ことにより透磁率が高くなる。
【0045】以上の結果より、外部磁界が零の場合に、
反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加された磁性層
の磁化の向きが、反強磁性層からの交換バイアス磁界が
直接印加されていない磁性層の磁化の向きと直交した多
層膜では、磁性層間の相互作用が小さい時、外部からの
バイアス磁界が必要とせず、感度の高い磁気抵抗効果素
子が得られる。
【0046】(実施例7)本発明の多層膜を用いた磁気
抵抗効果素子を形成した。本実施例では、図1のバッフ
ァ層12として、厚さ5nmのHfを用いた。磁性層1
3および磁性層15には、厚さ5nmのNi−16at
%Fe−18at%Co合金を用いた。非磁性層14に
は、厚さ2nmのCuを用いた。反強磁性層16には、
厚さ5nmのFe−40at%Mn合金を用いた。ま
た、保護層17には、厚さ5nmのHfを用いた。
【0047】図11に磁気抵抗効果素子の構造を示す。
磁気抵抗効果素子は、多層磁気抵抗効果膜41および電
極42をシールド層43、44で挟んだ構造を有する。
上記磁気抵抗効果素子に磁界を印加し、電気抵抗率の変
化を測定したところ、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用
いた磁気抵抗効果素子は、20Oe程度の印加磁界で3
%程度の磁気抵抗変化率を示した。また、本発明の磁気
抵抗効果素子の再生出力は、Ni−Fe単層膜を用いた
磁気抵抗効果素子と比較して2.7倍であった。
【0048】(実施例8)実施例7で述べた磁気抵抗効
果素子を用い、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッドの構
造を以下に示す。図12は、記録再生分離型ヘッドの一
部分を切断した場合の斜視図である。多層磁気抵抗効果
膜51をシールド層52、53で挾んだ部分が再生ヘッ
ドとして働き、コイル54を挾む下部磁極55、上部磁
極56の部分が記録ヘッドとして働く。多層磁気抵抗効
果膜51は実施例5に記載の多層膜からなる。また、電
極58には、Cr/Cu/Crという多層構造の材料を
用いた。
【0049】以下にこのヘッドの作製方法を示す。
【0050】Al23・TiCを主成分とする焼結体を
スライダ用の基板57とした。シールド層、記録磁極に
はスパッタリング法で形成したNi−Fe合金を用い
た。各磁性膜の膜厚は、以下のようにした。上下のシー
ルド層52、53は1.0μm、下部磁極55、上部5
6は3.0μm、各層間のギャップ材としてはスパッタ
リングで形成したAl23を用いた。ギャップ層の膜厚
は、シールド層と磁気抵抗効果素子間で0.2μm、記
録磁極間では0.4μmとした。さらに再生ヘッドと記
録ヘッドの間隔は約4μmとし、このギャップもAl2
3で形成した。コイル54には膜厚3μmのCuを使
用した。
【0051】以上述べた構造の磁気ヘッドで記録再生を
行ったところ、Ni−Fe単層膜を磁気抵抗効果素子に
用いた磁気ヘッドと比較して、2.6倍高い再生出力を
得た。これは、本発明の磁気ヘッドに高磁気抵抗効果を
示す多層膜を用いたためと考えられる。
【0052】また、本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気
ヘッド以外の磁界検出器にも用いることができる。
【0053】また、さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録
再生装置に用いることにより、高性能磁気記録再生装置
が得られる。
【0054】
【発明の効果】上述のように、磁性層の一部に反強磁性
層からの交換バイアス磁界を印加し、基板上にHf、Z
r、Ti等の稠密六方構造を有する非磁性合金からなる
バッファ層を形成した多層膜において、望ましくは上記
多層膜のCu膜厚を2.5nm〜3.3nmと設定する
ことにより、磁気抵抗変化率を大きく低減することな
く、磁性層間の交換相互作用の弱い多層磁気抵抗効果膜
が得られる。さらに、反強磁性層からの交換バイアス磁
界が印加された磁性層の磁化の向きが、反強磁性層から
の交換バイアス磁界が直接印加されていない磁性層の磁
化と直交した磁気抵抗効果膜では、外部からのバイアス
磁界を必要としない。上記多層磁気抵抗効果膜は、磁気
抵抗効果素子、磁界センサ、磁気ヘッドなどに好適であ
る。また、上記磁気ヘッドを用いることにより、高性能
磁気記録再生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層磁気抵抗効果膜の構造を示す断面
図である。
【図2】Cu膜厚と磁気抵抗変化率との関係を示すグラ
フである。
【図3】本発明の多層磁気抵抗効果膜の磁化曲線の模式
図である。
【図4】Cu膜厚を変化させた時の磁化曲線の変化を示
す線図である。
【図5】Hfバッファ層を用いた多層膜のCu膜厚と交
換バイアス磁界Ho−との関係を示すグラフである。
【図6】Tiバッファ層を用いた多層膜のCu膜厚と交
換バイアス磁界Ho−との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の多層磁気抵抗効果膜のCo濃度と磁気
抵抗変化率との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の多層磁気抵抗効果膜のCo濃度と磁性
層の異方性磁界との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の磁性層の一部にCo系磁性層を用いた
多層磁気抵抗効果膜の構造を示す断面図である。
【図10】2つの磁性層の磁化の向きが零磁界において
直交及び平行に向いている多層膜の低磁界での磁気抵抗
変化を示す線図である。
【図11】本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵
抗効果素子の構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の磁気ヘッドの構造を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
11,21,31…基板、12,22…バッファ層、1
3,15,23,25,26…磁性層、14,24…非
磁性層、16,27…反強磁性層、17,28…保護
層、31…多層磁気抵抗効果膜、32…電極、33,3
4…シールド層、41…多層磁気抵抗効果膜、42,4
3…シールド層、44…コイル、45…下部磁極、46
…上部磁極、47…基体、48…電極。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/39 H01L 43/08 Z

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2層以上の磁性層を非磁性層で分割し、少
    なくとも1層の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス
    磁界が印加されており、少なくとも1層の磁性層に反強
    磁性層からの交換バイアス磁界は直接には印加されてい
    ない多層膜を用いた多層磁気抵抗効果膜において、上記
    非磁性層が、CuあるいはCuを主成分とする合金から
    なることを特徴とする多層磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】上記非磁性層の膜厚が1.8nm〜3.3
    nmであることを特徴とする請求項1記載の多層磁気抵
    抗効果膜。
  3. 【請求項3】上記多層膜と基板との間に稠密六方構造を
    有する非磁性金属からなるバッファ層が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の多層磁気抵抗
    効果膜。
  4. 【請求項4】上記稠密六方構造を有する非磁性金属がT
    i、Hf、Zn、Zrから選ばれた少なくとも1元素の
    金属、または、これらを主成分とする合金からなること
    を特徴とする請求項3記載の多層磁気抵抗効果膜。
  5. 【請求項5】上記バッファ層が非晶質状態であることを
    特徴とする請求項3記載の多層磁気抵抗効果膜。
  6. 【請求項6】上記磁性層および非磁性層が面心立方構造
    を有し、(111)配向していることを特徴とする請求
    項1から5までのいずれかに記載の多層磁気抵抗効果
    膜。
  7. 【請求項7】上記磁性層の少なくとも一部がNi−Fe
    系合金ないしNi−Fe−Co系合金であることを特徴
    とする請求項1から5までのいずれかに記載の多層磁気
    抵抗効果膜。
  8. 【請求項8】上記Ni−Fe−Co系合金のCo濃度が
    10〜25at%であることを特徴とする請求項7記載
    の多層磁気抵抗効果膜。
  9. 【請求項9】少なくとも一部の磁性層がCoあるいはC
    oを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1
    から5までのいずれかに記載の多層磁気抵抗効果膜。
  10. 【請求項10】請求項1から請求項9に記載の多層磁気
    抵抗効果膜を少なくとも一部に用い、外部磁界が零の場
    合に、反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加された
    磁性層の磁化の向きが、反強磁性層からの交換バイアス
    磁界が直接印加されていない磁性層の磁化の向きと直交
    した磁気抵抗効果素子であり、反強磁性層からの交換バ
    イアス磁界が直接印加されていない磁性層の磁化の向き
    が外部磁界により回転することによって生じる電気抵抗
    の変化を検知することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の磁気抵抗効果素子を
    少なくとも一部に用いたことを特徴とする磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】請求項10に記載の磁気抵抗効果素子と
    誘導型磁気ヘッドを組み合わせたことを特徴とする複合
    型磁気ヘッド。
  13. 【請求項13】請求項11または12に記載の磁気ヘッ
    ドを用いたことを特徴とする磁気記録再生装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0738573A3 (de) * 1995-03-20 1997-02-26 Leybold Ag Matrize zum Abformen von Schallaufzeichnungen und Verfahren zu ihrer Herstellung
US6051304A (en) * 1995-07-28 2000-04-18 Takahashi; Migaku Magnetoresistance element and its manufacture
KR100302580B1 (ko) * 1997-05-14 2001-10-19 가네꼬 히사시 자기저항효과소자,이소자를이용한자기저항효과센서,자기저항검출시스템및자기기억시스템

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US6775110B1 (en) 1997-05-14 2004-08-10 Tdk Corporation Magnetoresistance effect device with a Ta, Hf, or Zr sublayer contacting an NiFe layer in a magneto resistive structure

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