JPH08156772A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

Info

Publication number
JPH08156772A
JPH08156772A JP30379794A JP30379794A JPH08156772A JP H08156772 A JPH08156772 A JP H08156772A JP 30379794 A JP30379794 A JP 30379794A JP 30379794 A JP30379794 A JP 30379794A JP H08156772 A JPH08156772 A JP H08156772A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electric motor
pump
motor
time
function
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP30379794A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3761095B2 (ja
Inventor
Koichi Shimizu
弘一 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP30379794A priority Critical patent/JP3761095B2/ja
Publication of JPH08156772A publication Critical patent/JPH08156772A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3761095B2 publication Critical patent/JP3761095B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクチュエータ異常を運転者へ早期に警告を
行うことができると共に、不快感を与える電動モータ等
の振動や騒音を低減することができるアクチュエータ機
能診断装置を有したアンチスキッド制御装置を提供す
る。 【構成】 停車中にソレノイドFIL 〜ROにアクチュエー
タリレー31を介してバッテリ30から電流を供給して
電気的機能診断を行い、停車中及び走行開始時に、電動
モータ17にモータリレー28を介してバッテリから電
流を供給して電気的機能診断を行うと共にアキュムレー
タ16内の流体を吐出する。電動モータに異常が発生し
ている場合には車両走行前の早期に異常警告を行うこと
ができ、また、走行開始後にアキュムレータ内の残余流
体を吐出しているため、停車中の電動モータの作動時間
が短時間に設定でき騒音等の発生時間が短縮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動時の制動シリンダ
の流体圧を制御して車輪のロック状態発生を防止する車
両のアンチスキッド制御装置に関し、特に、アクチュエ
ータの電気的機能診断装置を有したアンチスキッド制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアンチスキッド制御装置の基本構
成は、マスタシリンダと車輪に設けられたホイールシリ
ンダとの間に、流入弁、流出弁、加圧ポンプ、及びポン
プ用の電動モータ等を備えたアクチュエータを介装し、
このアクチュエータを必要に応じて作動させホイールシ
リンダに作用する流体圧を増減し、これによりブレーキ
圧を制御するよう成されている。その際、車輪速センサ
からの信号により車輪の回転速度を算出し、これに基づ
いて所定の演算処理を行ってアクチュエータの制御信号
を得てこれによってブレーキ圧を制御し、制動時の車輪
ロックを防止しているものが多い。
【0003】アクチュエータに設けられた流入弁、流出
弁、及び加圧ポンプ用電動モータ等はそれぞれ制御回路
からの制御信号によって制御されており、流入弁及び流
出弁に配設されたソレノイドに励磁電流を供給して弁の
開閉を制御し、電動モータに駆動電流を供給してこの電
動モータの回転を制御することにより加圧ポンプの作動
を制御している。
【0004】従来、このようなアンチスキッド制御装置
に自己診断機能を設けてアクチュエータの作動不良の有
無を診断するものとして、例えば、特開昭63−469
62号公報に記載される自己診断装置が提案されてい
る。この従来例は、アクチュエータの作動不良の有無検
出に際して、アクチュエータの作動に伴う作動騒音が大
きくなるブレーキ作動時にはアクチュエータの作動不良
の有無検出を行わず、ブレーキ非作動時にのみアクチュ
エータを作動させ機能診断を行うものである。イグニッ
ション・スイッチの投入後に自己診断を行わせる場合
に、ソレノイドバブル等のアクチュエータの作動を行わ
せると、この作動に伴って作動騒音が生じるが、特に、
ブレーキが作動されてブレーキ油圧が高いときには、ア
クチュエータのオン・オフによる圧力変動が大きくな
り、これにより作動騒音が増大する。このため、ブレー
キの非作動時にのみアクチュエータを作動させて機能診
断を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のようにブレーキの非作動時にのみアクチュエータ
を作動させて機能診断を行う方式であっても、アクチュ
エータを作動させると、流出弁が開放しアキュムレータ
に作動液が流入し流路内が減圧状態になり、流路内の圧
を初期状態の圧に戻すために、電動モータ及び加圧ポン
プを作動させてアキュムレータ内の作動液を速やかに吐
出する必要性が生じる。このとき、ある程度長時間、加
圧ポンプを作動させなければならず、停車中に電動モー
タ等を作動させると、作動時の振動や騒音等の発生によ
り搭乗者に不快感を与える恐れがある。
【0006】また、走行開始後の所定の速度例えば約8
km/hになって、電動モータ等の振動や騒音等の影響を
大きく受けなくなったときにアクチュエータの機能診断
を行う方式もあるが、これは、アクチュエータに異常が
あるときに運転者へ早期に警告を行うことができないと
いう問題点を有している。例えば、走行した後の警告の
発生により、車両に熟知していない運転者は車両を一旦
停止し異常状態の確認を行う場合が生じ、運転者に手間
を掛けさせ好ましいことではない。
【0007】したがって、本発明に係るアンチスキッド
制御装置は、上記問題点を解消し、アクチュエータに異
常があるときには運転者へ早期に警告を行うことができ
ると共に、不快感を与える電動モータ等の振動や騒音を
低減することができるアクチュエータ機能診断装置を有
したアンチスキッド制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るアンチスキッド制御装置は、図1の
クレーム対応図に示すように、少なくとも電磁バルブ、
アキュムレータ、アキュムレータ内の流体を吐出させる
ポンプ、及びポンプ用電動モータを有し各車輪に配設さ
れた制動用シリンダの流体圧を制御するアクチュエータ
と、車輪の回転速度に応じた出力信号を出力する車輪速
検出手段と、該車輪速検出手段の出力信号に基づいて前
記アクチュエータの作動を制御する制御手段と、停車中
の所定時に前記電磁バルブを所定の時間作動させて当該
電磁バルブの機能診断を行う電磁バルブ機能診断手段
と、を備えるアンチスキッド制御装置において、停車中
に前記ポンプ用電動モータを短時間作動させて当該ポン
プ用電動モータの機能診断を行い、診断結果が正常であ
るときに走行開始後に少なくとも1回前記ポンプ用電動
モータを所定の時間作動させて、前記アキュムレータ内
の残余流体を吐出するモータ機能診断手段を備えたこと
を特徴とする。
【0009】そして、請求項2に係るアンチスキッド制
御装置は、前記モータ機能診断手段が、走行開始後に、
停車中より長時間前記ポンプ用電動モータを作動させて
前記アキュムレータ内の残余流体を吐出し、さらに、前
記ポンプ用電動モータの機能診断を所定の時間行うこと
を特徴とする。また、請求項3に係るアンチスキッド制
御装置は、前記モータ機能診断手段が、走行開始後にお
ける前記ポンプ用電動モータの機能診断で異常と判定し
たときに、更に前記ポンプ用電動モータを所定の時間作
動させ、当該ポンプ用電動モータの機能診断を行うと共
に前記アキュムレータ内の残余流体を吐出することを特
徴とする。
【0010】さらに、請求項4に係るアンチスキッド制
御装置は、前記モータ機能診断手段が、走行開始後にお
ける前記ポンプ用電動モータの機能診断で異常と判定し
たときの次の機能診断では、前回より長時間前記ポンプ
用電動モータを作動させることを特徴とする。
【0011】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、モータ機能診
断手段によって、先ず、車両の停車中にポンプ用電動モ
ータを短時間作動させてポンプ用電動モータの機能診断
を行う。このとき、ポンプ用モータの作動によりポンプ
が稼働して、アキュムレータ内の流体が、ある程度吐出
される。次に、機能が正常であるときに走行開始後に、
更にポンプ用電動モータを所定の時間作動させてアキュ
ムレータに流入した残余流体を確実に吐出している。
【0012】そして、請求項2に記載の発明によれば、
停車中におけるポンプ用電動モータの機能診断結果が正
常であるときに、走行開始後に、停車中より長時間ポン
プ用電動モータを作動させてアキュムレータの残余流体
を確実に吐出すると共に、車両走行による実作動状態で
機能診断を行って安全性の向上を図っている。また、請
求項3に記載の発明によれば、走行開始後におけるポン
プ用電動モータの機能診断で異常と判定したときに、更
にポンプ用電動モータを所定の時間作動させて機能診断
を行っている。停車中の機能診断で異常無しと判定され
たときには走行開始後の機能診断においても通常は異常
無しと判定される割合が高いのであるが、この走行開始
後の診断で異常と判定されたときには、判定誤りの可能
性も高いため更に機能診断を行って不用意な異常警告の
発生を防止している。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、モータ機
能診断手段は、走行開始後でのポンプ用電動モータの機
能診断で異常と判定したときに、更にポンプ用電動モー
タを前回より長時間作動させて電気的機能診断を行って
いる。例えば、低温の環境下ではバッテリ電圧が低下
し、走行開始後には車両システム全体に作動電流が供給
されることにより更にバッテリ電圧の低下が生じ、走行
開始後の負荷電流変動の増大や瞬間的なバッテリ電圧の
低下に起因してポンプ用電動モータが異常と判定される
場合がある。しかし、再度の機能診断で正常と判定され
ることもあり、このときには、ポンプ用電動モータを前
回より長時間作動させることにより、低温の環境下で流
体の粘性抵抗が増大した場合においても、アキュムレー
タ内の残余流体は確実に吐出される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は本発明に係る機能診断装置を備えたアンチ
スキッド制御装置の概略構成図である。図中、1FL,
1FRは左右前輪、1RL,1RRは左右後輪であり、
後輪1RL,1RRには、エンジン2の回転駆動力が変
速機3、プロペラシャフト4及び終減速装置5を介して
伝達されるよう構成される。
【0015】車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用
シリンダとしてのホイールシリンダ6FL〜6RRが取
付けられている。また、各前輪1FL,1FRには、こ
れらの車輪の回転速度に応じた周波数の車輪速信号を出
力する車輪速検出手段としての車輪速センサ7FL,7
FRが各々取付けられ、プロペラシャフト4には、後輪
1RL,1RRの回転速度に応じた周波数の車輪速信号
を出力する同じく車輪速検出手段としての車輪速センサ
7Rが取付けられている。
【0016】そして、前輪側のホイールシリンダ6F
L,6FRには、ブレーキペダル8の踏み込みに応じて
2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ9
からの一方のマスタシリンダ圧が、前輪側のアクチュエ
ータ10FL,10FRを介して個別に供給されると共
に、後輪側のホイールシリンダ6RL,6RRには、マ
スタシリンダ9からの他方のマスタシリンダ圧が共通の
後輪側のアクチュエータ10Rを介して供給される。
【0017】各アクチュエータ10FL〜10Rは、図
3に示すように、マスタシリンダ9に接続される油圧配
管11及びホイールシリンダ6FL〜6RR間に介装さ
れた電磁流入弁12と、この電磁流入弁12に対して並
列に接続された電磁流出弁13、電動モータ17で回転
駆動される油圧ポンプ14及び逆止弁15からなる直列
回路と、流出弁13及び油圧ポンプ14間の油圧配管に
接続された蓄圧用のアキュムレータ16と、を備える。
【0018】各電磁流入弁12にはソレノイドFLI〜
RI(図5のFLI,FRI,RIを参照)が配設さ
れ、同じく各電磁流出弁13にもソレノイドFLO〜R
O(図5のFLO,FRO,ROを参照)が配設され、
電磁流入弁12及び電磁流出弁13はともに可動鉄心
(プランジャン)を有し、可動鉄心をソレノイドに発生
した電磁力で可動することにより作動液の通路の開閉を
行っている。
【0019】電磁流入弁12及び電磁流出弁13の各ソ
レノイドには後述するコントローラ21から制御信号E
FL〜EVR 及びAVFL〜AVR がそれぞれ供給され、
本実施例では、各ソレノイドへの励磁電流を非供給状態
にするハイレベルの制御信号EVFL〜EVR 及びAVFL
〜AVR が供給されたときに、電磁流入弁12は開状
態、電磁流出弁13は閉状態にそれぞれ保持され、一
方、各ソレノイドへの励磁電流を供給状態にするローレ
ベルの制御信号EVFL〜EVR 及びAVFL〜AVRが供
給されたときに、電磁流入弁12は閉状態、電磁流出弁
13は開状態にそれぞれ保持される。また、電動モータ
17は、コントローラ21から出力される制御信号MR
によって間接的に制御され、制御信号MRがローレベル
のときに駆動電流が供給され油圧ポンプ14を回転駆動
しており、この詳細な動作については後述する。
【0020】また、各車輪速センサ7FL〜7Rは、図
4に示すように、各車輪1FL〜1RRと共に回転する
外周面に例えば20の歯数を有するセレーションが形成
されたロータ7aと、これに対向する磁石7bが内蔵さ
れ且つその発生磁束による誘導起電力を検出するコイル
7cとから構成される。ロータ7aが回転すると、コイ
ル7cからセレーションの回転数に応じた周波数の起電
力が誘導され、これにより各車輪速センサ7FL〜7R
から交流電圧信号が出力される。
【0021】さらに、ブレーキペダル8には、図2に示
すように、その踏み込みに応動するストップランプスイ
ッチ8aが取付けられ、このスイッチ8aから、ブレー
キペダル8を開放しているときにはローレベルのスイッ
チ信号、ブレーキペダル8を踏み込んでいるときにはハ
イレベルのスイッチ信号が出力される。そして、車輪速
センサ7FL〜7R及びストップランプスイッチ8aの
各検出信号はコントローラ21に入力される。
【0022】コントローラ21は、図5に示すように、
車輪速センサ7FL〜7Rの交流電圧信号を増幅し、且
つ波形整形して矩形波に変換する波形整形回路22と、
波形整形回路22から出力された矩形波信号、ストップ
ランプスイッチ8aのスイッチ信号、及び後述する電圧
検出回路27から出力されたソレノイド電圧検出値Vs
a,Vsoとモータ電圧検出値Vmを入力する入力インタ
フェース回路23a、アクチュエータ10FL〜10R
の機能診断の処理を行うと共に車輪回転速度・疑似車速
を演算し車輪のスリップ状態に応じて増圧・保持・減圧
の処理を行う中央処理装置(CPU)23b、処理手順
を記憶するメモリ23c、及び処理結果に応じて制御信
号を出力する出力インタフェース回路23dを有するマ
イクロコンピュータ23と、出力インタフェース回路2
3dから出力されたモータ駆動信号SM が供給されるモ
ータリレー駆動回路24と、出力インタフェース回路2
3dから出力されたアクチュエータリレー駆動信号SA
が供給されるアクチュエータリレー駆動回路25と、同
じく出力インタフェース回路23dから出力されたソレ
ノイド駆動信号SFLI 〜SROが供給されるソレノイド駆
動回路26と、電動モータ17の端子電圧であるモータ
検出電圧VMR及びソレノイド駆動回路26から出力され
るソレノイド検出電圧VSFLI〜VSRO がそれぞれ入力さ
れ、モータ電圧検出値Vm及びソレノイド電圧検出値V
sa,Vsoを入力インタフェース回路23aに供給する電
圧検出回路27とを備えている。
【0023】モータリレー駆動回路24は、その出力制
御信号MRをモータリレー28に供給し、モータリレー
28のオン・オフを制御する。モータリレー28は駆動
コイル28aとリレー接点28bとを有し、この駆動コ
イル28aの一端は、モータリレー駆動回路24の出力
端に接続され、他端は、ヒューズF2及びイグニッショ
ン・スイッチ29を介してバッテリ30に接続され、リ
レー接点28bの一端は、ヒューズF1を介してバッテ
リ30に接続され、他端は電動モータ17に接続される
と共にこの電動モータ17の端子電圧はモータ検出電圧
MRとして電圧検出回路27に供給される。本実施例で
は、モータリレー駆動回路24にハイレベルのモータ駆
動信号SM が入力されたときにローレベルの制御信号M
Rがモータリレー28に供給され、これにより、駆動コ
イル28aにはバッテリ30から励磁電流が流れ、リレ
ー接点28bが閉じ、電動モータ17は電源電流の供給
によって駆動される。
【0024】アクチュエータリレー駆動回路25は、そ
の出力制御信号ARをアクチュエータリレー31に供給
し、アクチュエータリレー31のオン・オフを制御す
る。アクチュエータリレー31は駆動コイル31aとリ
レー接点31bとを有し、この駆動コイル31aの一端
は、アクチュエータリレー駆動回路25の出力端に接続
され、他端は、モータリレー28の駆動コイル28a及
びヒューズF2の接続点に接続され、リレー接点31b
の常開接点taはヒューズF3を介してバッテリ30に
接続され、常閉接点tbは接地され、可動接点tcは、
各アクチュエータ10FL〜10Rの流入弁12及び流
出弁13に配設された各ソレノイドFLI〜ROに接続
される。本実施例では、アクチュエータリレー駆動回路
25にハイレベルのアクチュエータリレー駆動信号SA
が入力されたときにローレベルの制御信号ARがアクチ
ュエータリレー31に供給され、これにより駆動コイル
31aには励磁電流が流れ、リレー接点31bが作動し
て常開接点ta及び可動接点tc間が導通し、各ソレノ
イドFLI〜ROへの電流供給の準備が整う。
【0025】ソレノイド駆動回路26は、図6に示すよ
うに、入力されたソレノイド駆動信号SFLI 〜SROがそ
れぞれ供給される半導体素子例えばNPN型トランジス
タQ1〜Q6を有し、ソレノイド駆動回路26の出力制
御信号EVFL〜AVR はソレノイドFLI〜ROにそれ
ぞれ供給される。ここで、ローレベルのソレノイド駆動
信号SFLI 〜SROが入力されたときには、トランジスタ
Q1〜Q6はオフ状態となりソレノイドFLI〜ROに
は励磁電流が流れないが、ハイレベルのソレノイド駆動
信号SFLI 〜SROが入力されたときには、トランジスタ
Q1〜Q6がオン状態になりローレベルの制御信号EV
FL〜AVR がソレノイドFLI〜ROに供給され、これ
により、常開接点ta及び可動接点tc間が導通してい
る際には、バッテリ30からヒューズF3及びアクチュ
エータリレー31を介してソレノイドFLI〜ROに励
磁電流が供給される。即ち、ハイレベルのソレノイド駆
動信号SFLI 〜SROが出力され、制御信号EVFL〜AV
R がローレベルとなり励磁電流が供給されたときに、対
応するアクチュエータ10FL〜10Rの各流入弁12
は閉状態となり、各流出弁13は開状態となる。
【0026】電圧検出回路27は、図6に示すように、
例えばコンパレータで構成された電圧レベル検出回路2
7a、27bと、一致回路27cと、ソレノイドFLI
〜ROのコイル抵抗値に比べて十分大きな抵抗値を有し
た電圧検出抵抗Ra1〜Ra6と、電動モータ17のコイル
抵抗値に比べて十分大きな抵抗値を有した電圧検出抵抗
Rbとを有する。トランジスタQ1〜Q6のコレクタ端
子から取り出されたソレノイド検出電圧VSFLI〜VSRO
は電圧レベル検出回路27aに各々入力され、この電圧
レベル検出回路27aの入力端子には一端が接地された
電圧検出抵抗R a1〜Ra6の他端が接続され、電動モータ
17及びリレー接点28bの接続点から取り出されたモ
ータ検出電圧VMRが電圧レベル検出回路27bに入力さ
れ、この電圧レベル検出回路27bの入力端子には一端
が電源ラインに接続された電圧検出抵抗Rbの他端が接
続され、電圧レベル検出回路27aの各出力信号VD1
D6は一致回路27cに供給され、一致回路27cから
出力された各ソレノイド電圧検出値Vsa,Vso及び電圧
レベル検出回路27bから出力されたモータ電圧検出値
Vmが入力インタフェース23aにそれぞれ供給され
る。ここで、一致回路27cは6入力端子を有するAN
D回路27dと同じく6入力端子を有するOR回路27
eを備え、AND回路27dはその入力信号が全てハイ
レベルのときにハイレベルのソレノイド電圧検出値Vsa
を出力し、OR回路27eはその入力信号が全てローレ
ベルのときにローレベルのソレノイド電圧検出値Vsoを
出力する。
【0027】この電圧検出回路27は、ソレノイド検出
電圧VSFLI〜VSRO 及びモータ検出電圧VMRに基づい
て、ソレノイドFLI〜RO及び電動モータ17の断
線、短絡等の異常検出を行っている。常開接点ta及び
可動接点tc間が導通している場合に、正常状態では、
トランジスタQ1〜Q6がオフ状態のときソレノイド検
出電圧VSFLI〜VSRO はバッテリ30とほぼ同一電圧の
ハイレベルになり、一方、トランジスタQ1〜Q6がオ
ン状態のときにソレノイド検出電圧VSFLI〜VSROはロ
ーレベルになる。
【0028】しかしながら、ソレノイドFLI〜ROの
何れかが断線すると、トランジスタQ1〜Q6がオフ状
態のときに、電圧検出抵抗Ra1〜Ra6の作用により断線
したソレノイドに対応するソレノイド検出電圧VSFLI
SRO がローレベルになり、一方、ソレノイドFLI〜
ROの何れかに短絡異常が発生するとトランジスタQ1
〜Q6がオン状態のときに、トランジスタQ1〜Q6の
コレクタ及びエミッタ間の抵抗の作用により、短絡した
ソレノイドに対応するソレノイド検出電圧VSF LI〜V
SRO がハイレベルになる。
【0029】ソレノイド検出電圧VSFLI〜VSRO は、電
圧レベル検出回路27aで所定の閾値電圧と比較され、
ハイレベル及びローレベルのソレノイド検出電圧VSFLI
〜V SRO に応じてそれぞれ所定のハイレベル及びローレ
ベルの出力信号VD1〜VD6に変換されて、一致回路27
cのAND回路27d及びOR回路27eに各々入力さ
れる。
【0030】したがって、AND回路27dの出力信号
であるソレノイド電圧検出値Vsaは、トランジスタQ1
〜Q6がオフ状態であって、全てのソレノイドが正常状
態のときにハイレベルとなり、何れかのソレノイドが断
線状態のときにローレベルとなる。一方、OR回路27
eの出力信号であるソレノイド電圧検出値Vsoは、トラ
ンジスタQ1〜Q6がオン状態であって、全てのソレノ
イドが正常状態のときにローレベルとなり、何れかのソ
レノイドが短絡状態のときにハイレベルとなる。これに
より、ソレノイドFLI〜ROの断線、短絡等の異常を
検出することができる。
【0031】そして、モータリレー28のリレー接点2
8bが開放している場合に、電動モータ17が正常状態
のときには、大きな抵抗値を有する電圧検出抵抗Rbの
存在によりモータ検出電圧VMRはローレベルになるが、
断線しているときにはモータ検出電圧VMRはハイレベル
になる。また、リレー接点28bが閉じている場合に、
電動モータ17が正常状態のときには、モータ検出電圧
MRはハイレベルになるが、短絡しているときにはモー
タ検出電圧VMRはローレベルになる。
【0032】モータ検出電圧VMRは、電圧レベル検出回
路27bで所定の閾値電圧と比較され、ハイレベル及び
ローレベルのモータ検出電圧VMRに応じてそれぞれ所定
のハイレベル及びローレベルのモータ電圧検出値Vmに
変換される。したがって、リレー接点28bの開閉ごと
にモータ電圧検出値Vmを検出することにより、電動モ
ータ17の断線、短絡等の異常を検出することができ
る。
【0033】また、出力インタフェース23dからは警
告信号SD が警告表示回路32に供給され、通常はロー
レベルの警告信号SD が出力されており、例えばソレノ
イドFLI〜RO又は電動モータ17に断線、短絡等の
異常が検出されたときには、ハイレベルの警告信号SD
が出力され、警告表示回路32により例えばインストル
メントパネルに設けられた警告灯を点灯しあるいは警告
音を発して、異常が発生したことを運転者に知らせる。
【0034】次に、ソレノイド及び電動モータの機能診
断時におけるマイクロコンピュータによる処理手順の一
例を図7及び図8のフローチャートに基づいて説明す
る。この処理は、イグニッション・スイッチ29が投入
されたときの異常検出処理として実行される。先ず、車
両停車中に、ステップS1で、ハイレベルのアクチュエ
ータリレー駆動信号SA を出力し、アクチュエータリレ
ー31をオン状態にしてソレノイドiI,iO(i=F
L,FR,R)へ電源電流を供給できるよう準備を行
う。次に、ステップS2で、ローレベルのソレノイド駆
動信号SiI, iOを出力し、トランジスタQ1〜Q6を
オフ状態にしてソレノイドiI,iOに電源電流を供給
せず、流入弁12を開状態、流出弁13を閉状態に維持
する。次に、ステップS3に移行して、ソレノイド電圧
検出値Vsaを読み込む。そして、ステップS4に移行し
て、ソレノイド電圧検出値Vsaと予め設定された設定電
圧値Vrsとを比較して、Vsa>Vrsとなるか否か判定す
る。トランジスタQ1〜Q6がオフ状態であるにもかか
わらずソレノイド電圧検出値Vsaがローレベルとなり、
Vsa≦Vrsのときには、何れかのソレノイドiI,iO
が断線状態であるとして、ステップS5のフェールセー
フ制御処理に移行する。
【0035】ステップS5では、ともにローレベルのソ
レノイド駆動信号SiI, iO及びモータ駆動信号SM
出力して、流入弁12を開状態、流出弁13を閉状態、
電動モータ17を作動停止状態に設定し、ブレーキペダ
ルの踏み込み量に応じた制動力を発揮させる通常のブレ
ーキ状態を維持させる。また、ローレベルのアクチュエ
ータリレー駆動信号SA を出力して、アクチュエータリ
レー31を遮断状態にし、アクチュエータ10FL〜1
0Rに対する電力の供給を遮断する。さらに、警告表示
回路32にハイレベルの警告信号SD を出力して警告灯
の点灯等を行い、これら一連のフェイルセーフ処理を実
行してから処理を終了する。
【0036】ステップS4で、Vsa>Vrsとなったとき
には、ソレノイドiI,iOは断線していないとしてス
テップS6に移行する。ステップS6では、ハイレベル
のソレノイド駆動信号SiI, iOを出力して、トランジ
スタQ1〜Q6をオン状態にしてソレノイドiI,iO
に電源電流を供給して励磁電流を流し、流入弁12を閉
状態、流出弁13を開状態に維持する。次に、ステップ
S7に移行して、OR回路27eの出力信号であるソレ
ノイド電圧検出値Vsoを読み込む。
【0037】そして、ステップS8に移行して、ソレノ
イド電圧検出値Vsoと設定電圧値Vrsとを比較し、Vso
<Vrsとなるか否か判定する。トランジスタQ1〜Q6
がオン状態であるにもかかわらずソレノイド電圧検出値
Vsaがハイレベルとなり、Vso≧Vrsのときには、何れ
かのソレノイドiI,iOが短絡状態であるとして、ス
テップS5のフェールセーフ制御処理に移行する。ステ
ップS8で、Vso<Vrsとなったときには、ソレノイド
iI,iOは短絡していないとしてステップS9に移行
する。ステップS9では、ステップS2と同様に、ロー
レベルのソレノイド駆動信号SiI, iOを出力し、流入
弁12を開状態、流出弁13を閉状態に保持して、ソレ
ノイドiI,iOの機能診断を終了し、電動モータ17
の機能診断を行うためにステップS10に移行する。ス
テップS1〜S9のソレノイドの機能診断処理が電磁バ
ルブ機能診断手段に対応する。
【0038】ステップS10では、ローレベルのモータ
駆動信号SM を出力し、モータ駆動回路24をオフ状態
にしてモータリレー28を開放状態にし、電動モータ1
7を作動停止状態に維持する。次に、ステップS11に
移行して、モータ電圧検出値Vmを読み込み、ステップ
S12に移行する。ステップS12では、モータ電圧検
出値Vmと予め設定された設定電圧値Vrmとを比較し、
Vm<Vrmとなるか否か判定する。Vm≧Vrmのときに
は、電動モータ17は断線状態であるとして、ステップ
S5に移行して前述のフェイルセーフ制御処理を実行す
る。Vm<Vrmのときには、電動モータ17は断線して
いないとして、ステップS13に移行する。
【0039】ステップS13では、ハイレベルのモータ
駆動信号SM を出力し、モータ駆動回路24をオン状態
にし、モータリレー28に励磁電流を供給してリレー接
点28bを閉じ、モータリレー28を介して電動モータ
17に電源電流を供給して電動モータ17を作動させ
る。次に、ステップS14に移行して、電動モータ17
が作動状態のときのモータ電圧検出値Vmを読み込み、
ステップS15に移行する。
【0040】ステップS15では、モータ電圧検出値V
mと設定電圧値Vrmとを比較して、Vm>Vrmとなるか
否か判定する。Vm≦Vrmのときには、電動モータ17
は短絡状態であるとして、ステップS5に移行して前述
のフェイルセーフ制御処理を実行する。Vm>Vrmのと
きには、電動モータ17は短絡していないとして、ステ
ップS16に移行する。
【0041】ステップS16では、初期状態で零にクリ
アされているモータ駆動時間Tが予め設定された作動時
間t1 に達したか否か判定し、判定によりモータ駆動時
間Tが作動時間t1 に達していないときにはステップS
16aに移行して、時間Tの値を1つ増加してステップ
S14に戻り、ステップS14,S15の処理を繰り返
し、設定された作動時間t1 のあいだ機能診断を行うと
共に、電動モータ17を駆動し油圧ポンプ14を作動さ
せてアキュムレータ16に流入した作動液をマスタシリ
ンダ9に戻す。T=t1 となったときにはステップS1
7に移行する。ここで、作動時間t1 は、電動モータ1
7及び油圧ポンプ14による作動騒音によって搭乗者に
不快感を与えないような時間に設定されている。
【0042】次に、ステップS17では、ステップS1
0と同様に、ローレベルのモータ駆動信号SM を出力し
て、電動モータ17を作動停止状態に保持し、車両停車
中における作動時間t1 の電動モータ17の機能診断を
終了して、上位のメインプログラムに戻る。次に、走行
開始後の電動モータの機能診断処理の一例を図8に示し
たフローチャートに基づいて説明する。この処理は、所
定時間、例えば10msecごとにタイマ割り込み処理とし
て実行される。
【0043】先ず、ステップS18で、車速が所定の速
度、例えば8km/h以上であるか否か判定する。8km/
h未満のときには、電動モータ17を長時間作動させ油
圧ポンプ14を回転駆動させることは作動音の発生によ
り搭乗者に不快感を与える恐れがあるので、8km/h以
上になるまで待機する。8km/h以上になったときに
は、ステップS12aに移行する。
【0044】ステップS12aでは、電動モータ17が
断線状態にないか否かの判定を行う。前述したように、
ローレベルのモータ駆動信号SM を出力して電動モータ
17を作動停止状態に維持し、モータ電圧検出値Vmを
読み込み、モータ電圧検出値Vmと設定電圧値Vrmとを
比較し、Vm<Vrmとなるか否か判定する。断線状態で
あるときには、ステップS5に移行して前述のフェイル
セーフ処理を実行し、断線状態でないと判定したときに
は、ステップS19に移行する ステップS19では、ハイレベルのモータ駆動信号SM
を出力し、電動モータ17に電源電流を供給して電動モ
ータ17を作動させる。次に、ステップS20に移行し
て、モータ電圧検出値Vmを読み込み、ステップS21
に移行する。
【0045】ステップS21では、モータ電圧検出値V
mと設定電圧値Vrmとを比較して、Vm>Vrmであるか
否か判定し、電動モータ17が短絡状態でないか否か診
断する。車両停車中のステップS15でも同じように短
絡の診断を行っているが、ここでは、アキュムレータ1
6内の流体の吐出と電動モータ17の機能診断を兼ねて
おり、再度の機能診断により安全性の向上を図ることが
できる。判定の結果、Vm>Vrmのときには、電動モー
タ17は短絡しておらず、ステップS12aの診断によ
り断線もしていないと判定されているので、電動モータ
17は正常状態であるとしてステップS22に移行す
る。
【0046】ステップS22では、モータ駆動時間Tが
予め設定された作動時間t2 に達したか否か判定し、判
定によりモータ駆動時間Tが作動時間t2 に達していな
いときにはステップS22aに移行して、時間Tの値を
1つ増加してステップS20に戻り、ステップS20,
S21の処理を繰り返し、設定された作動時間t2 のあ
いだ機能診断を行うと共に、電動モータ17を駆動し油
圧ポンプ14を作動させてアキュムレータ16に流入し
た作動液をマスタシリンダ9に戻す。ここで、t2
は、油圧ポンプ14を作動させて、常温時におけるアキ
ュムレータ16内の流体を吐出させるのに十分な値に設
定されている。そして、T=t2 となったときにはステ
ップS23に移行し、ローレベルのモータ駆動信号SM
を出力して電動モータ17を作動停止状態にして機能診
断を終了し、上位のメインプログラムに戻る。
【0047】ステップS21の判定により、Vm≦Vrm
のときには、電動モータ17は短絡状態であるとして、
ステップS24に移行する。ステップS24では、ハイ
レベルのモータ駆動信号SM を出力して電動モータ17
を駆動させる。次に、ステップS25に移行して、再
度、モータ電圧検出値Vmを読み込み、ステップS26
に移行する。ステップS26では、ステップS21と同
様にモータ電圧検出値Vmと設定電圧値Vrmとを比較し
て、Vm>Vrmであるか否か判定し、電動モータ17が
短絡状態でないか否か診断する。Vm≦Vrmのときに
は、ステップS5に移行して前述のフェイルセーフ処理
を実行する。
【0048】Vm>Vrmのときには、ステップS27に
移行し、モータ駆動時間Tが予め設定された作動時間t
3 に達したか否か判定し、モータ駆動時間Tが作動時間
3に達していないときにはステップS27aに移行し
て、時間Tの値を1つ増加してステップS25に戻り、
作動時間t3 に達するまでステップS25,S26を繰
り返し、アキュムレータ16内の流体の吐出と機能診断
を行う。ここで、作動時間t3 は、作動時間t2 より大
きな値に設定されており、例えば、低温の環境下では、
走行開始後に瞬間的なバッテリ電圧の低下又は負荷の変
動によってモータ電圧検出値Vmが異常と判定される場
合があり、このときには、電動モータ17を前回より長
時間作動させることにより、流体の粘性抵抗が増大した
場合においても、アキュムレータ16内の流体を確実に
吐出することができる。
【0049】そして、ステップS27で、T=t3 とな
ったときにステップS23に移行し、電動モータ17を
作動停止状態にして電動モータの機能診断を終了し、上
位のメインプログラムに戻る。モータ機能診断手段とし
て、上記のステップS10〜S27のモータ機能診断が
実行される。次に、機能診断の動作を図9及び図10に
示すタイムチャートに基づいて説明する。車両停車中
に、イグニッション・スイッチIG の投入に伴って、先
ず、ソレノイドiI,iOの機能診断を行う。ローレベ
ルのソレノイド駆動信号SiI,iOを出力して、流入弁
12が開状態、流出弁13が閉状態のときの機能診断を
行い、異常がなければ次に、ハイレベルのソレノイド駆
動信号SiI, iOを出力して、流入弁12が閉状態、流
出弁13が開状態のときの機能診断を行う。このとき、
流出弁13が開状態となることにより、流路内の流体が
アキュムレータ16に流入してアキュムレータ16の液
量が増加し、流路内が減圧状態になり、流路内の圧を初
期状態の圧に戻すために、油圧ポンプ14を作動させて
アキュムレータ16内の流体を吐出する必要性が生じ
る。
【0050】そして、次に、電動モータ17の機能診断
を行う。ローレベルのモータ駆動信号SM を出力して、
電動モータ17の断線異常の診断を行い、異常がなけれ
ば、ハイレベルのモータ駆動信号SM を作動時間t1
あいだ出力して、電動モータ17の短絡異常の診断を行
う。このときの診断で電動モータ17が駆動され、油圧
ポンプ14の回転作動によりアキュムレータ16内の流
体が若干吐出される。作動時間t1 は短時間に設定され
ているので、油圧ポンプ14の回転作動による騒音を低
レべルに抑えることができる。
【0051】さらに、走行を開始して車速が約8km/h
に達したときに、停車中と同様に、先ず、ローレベルの
モータ駆動信号SM を出力して、電動モータ17の断線
異常の診断を行う。そして、異常がなければ、ハイレベ
ルのモータ駆動信号SM を作動時間t2 のあいだ出力し
て、短絡異常の診断を行うと共に、油圧ポンプ14を回
転作動させてアキュムレータ16内の流体を吐出して流
路内を初期状態の圧に戻す。ここでの作動時間t2 は作
動時間t1 より長時間に設定されているので、アキュム
レータ16内の流体を確実に吐出することができる。ま
た、停車中の油圧ポンプ14の作動によりアキュムレー
タ16内の流体はある程度吐出されているので、走行時
における流体を吐出する作動時間t2 は従来より短縮さ
れ、走行後の油圧ポンプ14の作動騒音を低減すること
ができる。
【0052】また、走行開始後の電動モータ17の作動
時の機能診断で異常と判定されたときには、図10に示
すように、更にもう一度機能診断を行う。停車中の機能
診断で正常と判定されている場合には、走行開始後に異
常と判定されることは少ないが、例えば、低温の環境下
でバッテリ電圧が低下した状態で、走行開始後に車両シ
ステム全体に作動電流が供給されることにより更にバッ
テリ電圧の低下が生じた場合には、異常と判定される場
合がある。このように何らかの瞬間的な電圧低下により
偶然に異常と判定される場合があるため、再度機能診断
を行って正確な判定の向上に努める。このときの作動時
間t3 は前回の作動時間t2 より長時間に設定されてお
り、低温の環境下で流体の粘性抵抗が増加しても、アキ
ュムレータ16内の流体は確実に吐出される。
【0053】次に、上記に示した機能診断で異常と判定
されなかったときに、マイクロコンピュータで実行され
るアンチスキッド制御の処理手順の一例を図11のフロ
ーチャート及び図12の制御マップに基づいて説明す
る。この処理は、アクチュエータ10FL〜10Rの何
れか一つに対する処理を示しており、所定時間、例え
ば、10msec毎にタイマ割り込み処理として実行され
る。
【0054】先ず、ステップS31で車輪速センサ7i
の交流電圧信号に基づく車輪速パルスを読み込む。次
に、ステップS32に移行して、車輪の周速度を表す車
輪速演算値VWiを算出し、これを所定の記憶領域に更新
記憶する。この車輪速演算値V Wiの演算処理は、車輪速
パルスの単位時間当りのパルス数を計数するか又はパル
ス間隔を計測した計測値と車輪速センサ7iのロータ7
aの歯数Zとから車輪回転数Nを算出し、算出した車輪
回転数Nと予め設定された車輪1iの円周長Lとに基づ
いて車輪速演算値VWiを算出する。
【0055】次に、ステップS33に移行して、車輪速
センサ7iが断線等の異常状態であるか否か判定する。
この判定は、例えば制御対象が前左輪1FLのアクチュ
エータ10FLであるものとしたときには、この車輪速
演算値VWFL と他の車輪速演算値VWFR 及びVWRの平均
値との差分を演算し、この差分値が予め設定された設定
値以上であるか否かを判定することにより行う。車輪速
センサ7iに異常があるときには、ステップS39に移
行して、異常を表す所定の識別コードを所定の記憶領域
に記憶し、次に、ステップS40に移行して、ローレベ
ルのモータ駆動信号SM 及びアクチュエータリレー駆動
信号SA を出力して、モータリレー駆動回路24及びア
クチュエータリレー駆動回路25を共にオフ状態にす
る。これにより、モータリレー28及びアクチュエータ
リレー31は遮断状態となり、電動モータ17及びアク
チュエータ10iに対する電力の供給が遮断される。ま
た、警告表示回路32にハイレベルの警告信号SD を出
力して警告灯の点灯等を行い、これらのフェイルセーフ
処理を実行してから処理を終了する。
【0056】ステップS33の判定により、車輪速セン
サ7iが正常であると判定したときには、ステップS3
4に移行して、所定記憶領域に記憶されている各車輪速
演算値VWFL 〜VWRに基づいて疑似車速VWREFを算出
し、これを所定の記憶領域に記憶する。この疑似車速V
WREFの算出は、通常は各輪の車輪速演算値VWFL 〜VWR
のうち最も高い車輪速演算値VWiを選択し(セレクトハ
イ車輪速VWH)、このセレクトハイ車輪速VWHを疑似車
速VWREFとして設定するが、車輪のロック傾向のもとで
は、セレクトハイ車輪速VWHが車速を模したものではな
くなるので、ロック傾向となった瞬時のセレクトハイ車
輪速VWHを初期値とする一定減速勾配の車速を求め、こ
れを疑似車速VWREFとして設定する。そして、ステップ
S35で、算出した疑似車速VWREFを微分して車輪加減
速度αWiを算出する。
【0057】次に、ステップS36に移行して、次式の
演算を行ってスリップ率Siを算出する。 Si=(VWREF−VWi)×100/VWREF …(1) そして、ステップS37に移行して、スリップ率Siが
予め設定されたスリップ率設定値So(例えば15%)
未満であるか否か判定する。ここで今、定速走行時であ
るとすると、Si<Soとなるので、このときには、ス
テップS38に移行する。
【0058】ステップS38では、アンチスキッド制御
終了条件を満たすか否かを判定する。この判定は、例え
ばストップランプスイッチ8aがオフ状態である否か、
又は車速が零であるか否か等を判定することにより行
い、定速走行時では、ストップランプスイッチ8aのス
イッチ信号がオフ状態であるので、ステップS41に移
行する。
【0059】ステップS41では、制御フラグASを零
に設定する。次に、ステップS42に移行して、ローレ
ベルのソレノイド駆動信号SiI, iOを出力して、アク
チュエータ10iに対する制御信号EVi ,AVi をハ
イレベルにし、且つ、ローレベルのモータ駆動信号SM
を出力して、制御信号MRをハイレベルにし、急増圧モ
ードに設定し、所定の上位メインプログラムに戻る。こ
のステップS42では、流入弁12は開状態に、流出弁
13は閉状態にそれぞれ制御され、ブレーキペダル8の
踏み込みに応じた制動圧を発揮する通常のブレーキ状態
となる。このような定速走行状態は、スリップ率Si及
び車輪加減速度αWiが零なので、これは、図12の制御
マップ中でa点に該当する。
【0060】そして、定速走行状態からブレーキペダル
8を踏み込んで制動開始状態に移行すると、アンチスキ
ッド制御処理は、車輪速センサ7iに異常がないときに
はステップS31〜S37を経てステップS38に移行
し、ストップランプスイッチ8aのスイッチ信号がオン
状態となることによりステップS43に移行する。ステ
ップS43では、車輪加減速度αWiが予め設定された加
速度閾値β以上であるか否か判定する。制動開始状態で
あるので、αWi<βとなり、ステップS44に移行す
る。
【0061】ステップS44では、車輪加減速度αWi
予め設定された減速度閾値α以下であるか否か判定す
る。前述したように制動開始状態であるので、αWi>α
となり、ステップS45に移行する。ステップS45で
は、制御フラグASが零であるか否か判定する。この判
定は、アンチスキッド制御を開始したか否かを判定する
ものであり、前回のアンチスキッド制御終了時点でAS
=0と設定しているので、ステップS42に移行し急増
圧モードに設定する。これは、図12の制御マップ中で
a点とb点の区間に該当する。
【0062】そして、ブレーキペダル8が更に踏み込ま
れてマスタシリンダ9の圧力が増加すると、ホイールシ
リンダ6iの圧力が上昇し、車輪1iに対して制動力が
作用するので、車輪速度が低下して減速状態となる。こ
のため、車輪加減速度αWiが減速度閾値αより小さい値
となる。このときのアンチスキッド制御処理は、車輪速
センサ7iに異常がないときにはステップS31〜S3
8を経てステップS43に移行し、減速度状態なのでα
Wi<βとなり、次のステップS44では、αWi≦αとな
り、ステップS46の保持モードに移行する。
【0063】ステップS46では、ハイレベルのソレノ
イド駆動信号SiIを出力して制御信号EVi をローレベ
ルにし、, ローレベルのソレノイド駆動信号SiOを出力
して制御信号AVi をハイレベルにし、且つ、ローレベ
ルのモータ駆動信号SM を出力して制御信号MRをハイ
レベルにする。これにより、流入弁12及び流出弁13
が共に閉状態になり、油圧ポンプ14も停止状態を維持
するので、ホイールシリンダ6i内に圧力油が閉じ込め
られ、シリンダ圧は、高圧側の保持モードになる。これ
は、図12の制御マップ中でb点とc点の区間に該当す
る。
【0064】この高圧側の保持モードにおいても、車輪
に対して制動力が作用しているので、車輪加減速度αWi
が減少すると共に、スリップ率Siが増加する。このと
きのアンチスキッド制御処理は、車輪速センサ7iに異
常がないときにはステップS31〜S36を経てステッ
プS37に移行し、スリップ率Siがスリップ率設定値
So以上になると、ステップS47に移行する。
【0065】ステップS47では、車輪加減速度αWi
加速度閾値β以上であるか否か判定する。車輪加減速度
αWiは減速度となっているので、αWi<βとなり、ステ
ップS48に移行する。ステップS48では、制御フラ
グを“1”にセットし、ステップS49の減圧モードに
移行する。ステップS49では、ハイレベルのソレノイ
ド駆動信号SiI, iO及びモータ駆動信号SM を出力し
て、制御信号EVFL〜AVR 及び制御信号MRをローレ
ベルにする。これにより、流入弁12が閉状態、流出弁
13が開状態になると共に、油圧ポンプ14が作動状態
になり、ホイールシリンダ6i内の圧力油は、流出弁1
3、油圧ポンプ14及び逆止弁15を介してマスタシリ
ンダ9側に排出され、内圧が減少する。これは、図12
の制御マップ中でc点に該当する。
【0066】この減圧モードになると、車輪に対する制
動力が緩和されるが、車輪速演算値VWiは暫くは減少状
態を維持する。このため、図12の制御マップに示すよ
うに、車輪加減速度αWiは更に負の方向に減少すると共
に、スリップ率Siは増加傾向を継続し、図中、d点に
達する。その後、車輪速演算値VWiの減少率が低下し、
更に減少が停止すると、車輪加減速度αWiは、図中、e
点に示すように零になる。
【0067】その後、車輪速演算値VWiは増速状態に移
行し、これに応じて車輪加減速度α Wiが正方向に増加す
る。減圧モードは、車輪加減速度αWiが加速度閾値β以
上となるかスリップ率Siがスリップ率設定値So以下
となるまで継続され、車輪速センサ7iに異常がないと
きにはステップS31〜S36を経てステップS37に
移行し、ステップS37でSi≧Soを維持していると
きにはステップS47に移行し、車輪加減速度αWiが加
速度閾値β以上となったときに、ステップS46の低圧
側の保持モードに移行する。これは、図12の制御マッ
プ中でf点に該当する。
【0068】この低圧側の保持モードは、前述の高圧側
の保持モードと同様に、流入弁12及び流出弁13が共
に閉状態になり、シリンダ圧は直前の圧力に保持され
る。これは、図12の制御マップ中でf点とh点の区間
に該当する。そして、スリップ率Siがスリップ率設定
値So未満となるg点で、ステップS31からステップ
S38を経てステップS43に移行し、αWi≧βである
ので、ステップS46の保持モードを継続する。
【0069】低圧側の保持モードにおいても、車輪に対
しては制動力が作用しているので、車輪速演算値VWi
増加率は徐々に減少し、車輪加減速度αWiが加速度閾値
β未満に移行するh点で、、ステップS31からステッ
プS38及びステップS43を経てステップS44に移
行する。ステップS44では、αWi>αであるので、ス
テップS45に移行し、制御フラグASは減圧モード時
に“1”にセットしているのでAS=1となり、緩増圧
モードのステップS50に移行する。
【0070】ステップS50では、ハイレベルとローレ
ベルを交互に所定周期で繰り返す制御信号EVi を出力
するソレノイド駆動信号SiIを出力すると共に、ハイレ
ベルの制御信号AVi を出力するソレノイド駆動信号S
iOを出力し、且つ、ローレベルのモータ駆動信号SM
出力して制御信号MRをハイレベルにする。これによ
り、流入弁12は開閉状態を繰り返し、流出弁13は閉
状態、電動モータ17は作動停止状態となり、マスタシ
リンダ9からの圧力油が間欠的にホイールシリンダ6i
に供給されて、ホイールシリンダ6iの内圧が緩やかに
増圧される。
【0071】この緩増圧モードでは、車輪1iに対する
制動力が徐々に増加し、車輪速演算値VWiが低下して減
速状態となる。その後、車輪加減速度αWiが減速度閾値
α以下となると、ステップS31からステップS38及
びステップS43を経てステップS44に移行し、αWi
≦αであるので、ステップS46に移行し高圧側の保持
モードとなる。
【0072】その後、スリップ率Siが設定スリップ率
So以上になると、ステップS31からステップS37
を経てステップS47に移行し、αWi<βであるので、
ステップS48を経て、ステップS49の減圧モードに
移行する。この後、低圧保持モード、緩増圧モード、高
圧側保持モード、減圧モードが繰り返され、アンチスキ
ッド効果を発揮することができる。
【0073】ここで、車速がある程度低下したときに
は、図12の点線図示のように、減圧モードにおいてス
リップ率Siが設定スリップ率So未満に回復する場合
があり、このときには、ステップS31からステップS
38、及びステップS43,S44,S45を経て、ス
テップS50の緩増圧モードに移行することになる。ま
た、車両が停止近傍の速度になったとき等の制御終了条
件を満足する状態となったときには、ステップS38で
制御終了と判断されるので、ステップS41に移行し
て、AS=0とセットしてからステップS42の急増圧
モードに移行し、アンチスキッド制御を終了する。
【0074】次に、全体の動作を説明する。停車中に
は、イグニッション・スイッチの投入によりソレノイド
iI,iO及び電動モータ17について作動状態におけ
る短絡、断線等の電気的機能診断と、油圧ポンプ14の
回転作動とが行われ、異常状態にあると診断されたとき
にはアンチスキッド制御は停止され、通常のブレーキ作
動状態に保持される。機能に異常がないと診断されたと
きには、走行開始後に再び電動モータ17の短絡等の機
能診断及び油圧ポンプ14の回転作動が行われ、異常と
診断されたときには更に電動モータ17の機能診断が行
われ、このとき異常と診断されたときにはアンチスキッ
ド制御は停止され、異常なしと診断されたときには、ア
ンチスキッド制御が実行される。
【0075】このように、本実施例の機能診断時におい
ては、停車中に、電動モータを作動させて電気的機能診
断を行っているので、電動モータに異常が発生している
場合には、車両走行前の早期に運転者に対してアンチス
キッド制御装置の異常警告を行うことができる。また、
停車中及び走行開始後に、電動モータを作動させてアキ
ュムレータ内の流体を吐出しており、停車中の電動モー
タの作動では吐出できなかった残余流体を走行開始後に
吐出しているため、停車中の作動時間を短時間に設定す
ることができ、騒音レベルの低い環境下における作動音
の発生時間が短縮され騒音等を低減することができる。
【0076】そして、走行開始後にも機能診断を行って
いるため、走行中の実作動状態での異常検出を行うこと
ができ、安全性の向上を更に達成することができる。ま
た、走行開始後の機能診断で異常と判定されたときに
は、再度機能診断を行っているため、瞬間的なバッテリ
の電圧低下や負荷電流変動等に起因する判断の誤りを排
除することができ、信頼性の高いアンチスキッド制御装
置を提供することができる。さらに、走行開始後の再度
の機能診断では、前回より長時間電動モータを作動させ
ており、低温の環境下で流体の粘性抵抗が増大しても、
アキュムレータ内の残余流体を確実に吐出することがで
きる。
【0077】なお、上記実施例の電動モータの機能診断
においては、電動モータの非駆動時及び駆動時で機能診
断を行っているが、これに限定することなく、駆動時
に、電動モータのモータ電圧検出値Vmが、ローレベル
からハイレベルに反転するトリガ電圧を検出することに
より電動モータの正常・異常を判定してもよい。また、
電動モータの端子電圧を検出して機能診断を行っている
が、電動モータに流れる電流を検出し、例えば、電流検
出値が予め設定した値の範囲内にあるか否か判定するこ
とにより診断を行ってもよい。
【0078】また、上記実施例の図7及び図8に示すフ
ローチャートにおいては、ステップS16,S22,及
びS27で、作動時間Tがそれぞれ設定値t1,2,3
に達するまで、短絡異常の機能診断を繰り返している
が、機能診断は繰り返さずに1回のみ行い、各ステップ
S16,S22,S27のところで設定値に達するまで
待機するような処理手順にして、電動モータの作動時間
を設定するようにしてもよい。
【0079】また、上記実施例の電動モータの機能診断
においては、走行開始後の機能診断で異常と判定された
ときに更に1回機能診断を行っているが、異常と判定さ
れたときには機能診断に要する時間の許すかぎり何回で
も機能診断を行ってよく、回数を増やすことにより確実
にアキュムレータ内の流体を吐出することが可能にな
る。
【0080】また、上記実施例のソレノイドの機能診断
においては、全てのソレノイドを同時にオン/オフさせ
ているが、各ソレノイドを個別にオン/オフさせて各ソ
レノイド毎に機能診断を行ってもよい。また、上記実施
例においては、後輪側の車輪速を共通の車輪速センサで
検出する3チャンネルアンチスキッド制御装置の場合に
ついてのみ詳述したが、これに限定することなく、後輪
側の左右輪についても個別に車輪速センサを設け、これ
に応じて左右のホイールシリンダに対して個別のアクチ
ュエータを設ける、所謂4チャンネルアンチスキッド制
御装置にも展開可能である。
【0081】また、上記本実施例においては、車速を検
出するために、車輪速から得られる疑似車速を用いた
が、変速機構の出力軸の回転数から車速を得るとか、加
速度センサからの加速度値を積分するなどして、適宜検
出又は算出して得られたものを用いてよい。また、上記
実施例においては、コントローラ21としてマイクロコ
ンピュータを適用した場合について説明したが、マイク
ロコンピュータに代わりに、比較回路、論理回路、演算
回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよい。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明においては、停車中及び走行開始後にポンプ用電動
モータを作動させるモータ機能診断手段を備え、このモ
ータ機能診断手段によって、停車中にポンプ用電動モー
タの作動時の電気的機能診断を行い、走行開始後にもポ
ンプ用電動モータを作動させて電磁バブルの電気的機能
診断中にアキュムレータに流入した流体を吐出してい
る。これにより、ポンプ用電動モータに電気的異常が発
生している場合には、車両走行前の早期に運転者に対し
てアンチスキッド制御装置の異常警告を行うことができ
る。また、電気的異常が発生していない場合には、停車
中のポンプ用電動モータの作動では十分に吐出できなか
ったアキュムレータ内の残余流体を走行開始後に吐出し
ているため、停車中の作動時間を短時間に設定すること
ができ、騒音レベルの低い環境下における作動音の発生
時間が短縮され、搭乗者に不快感を与える騒音、振動等
を低減することができる。
【0083】そして、請求項2に記載の発明において
は、走行開始後に、停車中より長時間ポンプ用電動モー
タを作動させると共に電気的機能診断も行うモータ機能
診断手段を備えている。これにより、請求項1に記載し
た効果を有する他に、さらに、走行開始後に再度電気的
機能診断を行っているため、走行中の実作動状態で異常
検出を行うことができ、安全性の向上を更に達成するこ
とができる。
【0084】また、請求項3に記載の発明においては、
走行開始後でのポンプ用電動モータの機能診断で異常と
判定したときに、更にポンプ用電動モータを作動させて
電気的機能診断を行うモータ機能診断手段を備えてい
る。これにより、請求項2に記載した効果を有する他
に、さらに、停車中の機能診断では正常と判定されたに
もかかわらず走行開始後に異常と判定した場合に再度電
気的機能診断が実行され、バッテリの電圧低下や負荷電
流変動等に起因する判定の誤りを是正でき、信頼性の向
上を図ることができる。
【0085】さらに、請求項4に記載の発明において
は、走行開始後でのポンプ用電動モータの機能診断で異
常と判定したときに、更にポンプ用電動モータを前回よ
り長時間作動させて機能診断を行うモータ機能診断手段
を備えている。低温の環境下ではバッテリ電圧が低下
し、走行開始後に瞬間的なバッテリ電圧の低下によって
ポンプ用電動モータが偶然に異常と判定された場合に
は、再度の機能診断で正常と判定されることがある。本
発明では、走行開始後の再度の機能診断時で前回より長
時間ポンプ用電動モータを作動させることにより、請求
項3に記載した効果を有する他に、低温の環境下で流体
の粘性抵抗が増大しても、アキュムレータ内の残余流体
を確実に吐出することが可能になり、走行開始後の通常
のブレーキ圧に支障をきたすことは回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に係るクレーム対応図である。
【図2】本発明に係るアンチスキッド制御装置の一実施
例を示す概略構成図である。
【図3】アクチュエータの一例を示す構成図である。
【図4】車速センサの一例を示す説明図である。
【図5】本実施例に係る制御回路のブロック図である。
【図6】本実施例に係るソレノイド駆動回路及び電圧レ
ベル検出回路の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る機能診断制御の一実施例を示すフ
ローチャートである。
【図8】本発明に係る機能診断制御の一実施例を示すフ
ローチャートである。
【図9】本実施例に係る機能診断処理時のタイムチャー
トである。
【図10】本実施例に係る走行開始後の機能診断を示す
タイムチャートである。
【図11】アンチスキッド制御処理を示すフローチャー
トである。
【図12】アンチスキッド制御の制御マップを示す説明
図である。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪 1RL,1RR 後輪 6FL〜6RR ホイールシリンダ 7FL〜6RR 車輪速センサ 10FL,10FR 前輪側アクチュエータ 10R 後輪側アクチュエータ 12 流入弁 13 流出弁 14 油圧ポンプ 16 アキュムレータ 17 電動モータ 21 コントローラ 24 モータリレー駆動回路 25 アクチュエータリレー駆動回路 26 ソレノイド駆動回路 27 電圧検出回路 28 モータリレー 31 アクチュエータリレー FLI〜RO ソレノイド

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも電磁バルブ、アキュムレー
    タ、アキュムレータ内の流体を吐出させるポンプ、及び
    ポンプ用電動モータを有し各車輪に配設された制動用シ
    リンダの流体圧を制御するアクチュエータと、車輪の回
    転速度に応じた出力信号を出力する車輪速検出手段と、
    該車輪速検出手段の出力信号に基づいて前記アクチュエ
    ータの作動を制御する制御手段と、停車中の所定時に前
    記電磁バルブを所定の時間作動させて当該電磁バルブの
    機能診断を行う電磁バルブ機能診断手段と、を備えるア
    ンチスキッド制御装置において、 停車中に前記ポンプ用電動モータを短時間作動させて当
    該ポンプ用電動モータの機能診断を行い、診断結果が正
    常であるときに走行開始後に少なくとも1回前記ポンプ
    用電動モータを所定の時間作動させて、前記アキュムレ
    ータ内の残余流体を吐出するモータ機能診断手段を備え
    たことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記モータ機能診断手段は、走行開始後
    に、停車中より長時間前記ポンプ用電動モータを作動さ
    せて前記アキュムレータ内の残余流体を吐出し、さら
    に、前記ポンプ用電動モータの機能診断を所定の時間行
    うことを特徴とする請求項1に記載のアンチスキッド制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記モータ機能診断手段は、走行開始後
    における前記ポンプ用電動モータの機能診断で異常と判
    定したときに、更に前記ポンプ用電動モータを所定の時
    間作動させ、当該ポンプ用電動モータの機能診断を行う
    と共に前記アキュムレータ内の残余流体を吐出すること
    を特徴とする請求項2に記載のアンチスキッド制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記モータ機能診断手段は、走行開始後
    における前記ポンプ用電動モータの機能診断で異常と判
    定したときの次の機能診断では、前回より長時間前記ポ
    ンプ用電動モータを作動させることを特徴とする請求項
    3に記載のアンチスキッド制御装置。
JP30379794A 1994-12-07 1994-12-07 アンチスキッド制御装置 Expired - Lifetime JP3761095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30379794A JP3761095B2 (ja) 1994-12-07 1994-12-07 アンチスキッド制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30379794A JP3761095B2 (ja) 1994-12-07 1994-12-07 アンチスキッド制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08156772A true JPH08156772A (ja) 1996-06-18
JP3761095B2 JP3761095B2 (ja) 2006-03-29

Family

ID=17925420

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30379794A Expired - Lifetime JP3761095B2 (ja) 1994-12-07 1994-12-07 アンチスキッド制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3761095B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11348769A (ja) * 1998-02-21 1999-12-21 Robert Bosch Gmbh ブレ―キ装置の検査方法および装置
JP2019206299A (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 本田技研工業株式会社 車両制御装置
WO2024079598A1 (ja) * 2022-10-12 2024-04-18 ロベルト•ボッシュ•ゲゼルシャフト•ミト•ベシュレンクテル•ハフツング 液圧制御ユニット、ブレーキシステム及び診断方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11348769A (ja) * 1998-02-21 1999-12-21 Robert Bosch Gmbh ブレ―キ装置の検査方法および装置
JP4587501B2 (ja) * 1998-02-21 2010-11-24 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング ブレーキ装置の検査方法および装置
JP2019206299A (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 本田技研工業株式会社 車両制御装置
CN110626354A (zh) * 2018-05-30 2019-12-31 本田技研工业株式会社 车辆控制装置
WO2024079598A1 (ja) * 2022-10-12 2024-04-18 ロベルト•ボッシュ•ゲゼルシャフト•ミト•ベシュレンクテル•ハフツング 液圧制御ユニット、ブレーキシステム及び診断方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3761095B2 (ja) 2006-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102325679B (zh) 车载用的控制装置
EP0147720B1 (en) Fail-safe system in anti-skid brake control system for automotive vehicles
EP0152101B1 (en) Method and system for performing fail-safe operation for anti-skid automotive brake control system having a plurality of controllers independently operable to others
EP1698903B1 (en) Failure diagnosis device for vehicle body acceleration sensor and anti-lock brake system
JPH0559376B2 (ja)
JPH04221267A (ja) アンチロック制御及び/又はトラクション滑り制御が行われる自動車に用いる回路構成
JPH11512053A (ja) タイヤ圧力監視装置
JP3761095B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP2935335B2 (ja) アンチスキッド制御装置のモータ故障判定装置
JPH08175370A (ja) アンチスキッド制御装置
US5924776A (en) Diagnosis apparatus for anti-lock braking system
JP3826408B2 (ja) 車輪速センサの異常検出装置
JP3401989B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JPH08156773A (ja) アンチスキッド制御装置
JP2002145046A (ja) 自動車のブレーキ故障診断装置
JPH08244595A (ja) アンチスキッド制御装置
KR100413254B1 (ko) 차륜속도센서의이상상태판단방법
JP3558664B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3259593B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3787882B2 (ja) アンチロックブレーキ制御装置
JP3787884B2 (ja) アンチロックブレーキ制御装置
KR960013896A (ko) 자동차 앤티록제어장치의 제동신호진단방법
JPH10326110A (ja) 制御装置
KR20080023011A (ko) 차륜 속도 센서의 고장 검출 방법
JPH0733000A (ja) アンチスキッド制御装置の自己診断装置

Legal Events

Date Code Title Description
A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20040305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060106

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100120

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100120

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110120

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120120

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130120

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130120

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140120

Year of fee payment: 8

EXPY Cancellation because of completion of term