JPH08152649A - 空間光変調素子 - Google Patents

空間光変調素子

Info

Publication number
JPH08152649A
JPH08152649A JP6292893A JP29289394A JPH08152649A JP H08152649 A JPH08152649 A JP H08152649A JP 6292893 A JP6292893 A JP 6292893A JP 29289394 A JP29289394 A JP 29289394A JP H08152649 A JPH08152649 A JP H08152649A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
photoconductor
crystal layer
spatial light
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6292893A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Takimoto
昭雄 滝本
Junichi Hibino
純一 日比野
Yasunori Kuratomi
靖規 藏富
Hiroshi Tsutsui
博司 筒井
Kuni Ogawa
久仁 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP6292893A priority Critical patent/JPH08152649A/ja
Publication of JPH08152649A publication Critical patent/JPH08152649A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光導電体と液晶層とを備えた空間光変調素子
において、広い視野角と高速応答性を保ち、動画像の光
入力に対して中間調表示を含めて再現することができ、
また、安定で信頼性の高い空間光変調素子を提供するこ
とを目的とする。また、光照射強度の大きなシステムに
おいても、素子の温度上昇が少ない空間光変調素子を提
供する。 【構成】 空間光変調素子を、電流整流性を有する光導
電体(103、104、105)と液晶層109とが一
対の透明導電膜102、112に挟まれ、光導電体と液
晶層109との間に互いに電気的に独立した微小形状の
画素電極106と誘電率の異なる薄膜の多層膜からなる
誘電体反射膜107とを積層した画素を複数個有する構
造とする。また、画素間の光導電体の一部に溝部を設
け、誘電体反射膜107で覆う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大画面、高輝度の動画
像を写すプロジェクションテレビなどに応用される動画
及び静止画の表示等に用いる空間光変調素子に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】液晶材料を用いた液晶表示素子としては、
ネマチック液晶を用いたものが実用化され、様々な商品
を生み出している。しかし、ネマチック液晶は応答速度
が遅いため、表示品質を向上させるための高速化が課題
として取り上げられてきた。この開発目標に対して、強
誘電性液晶(以下「FLC」という)は自発分極を有す
るため、電圧を印加することによって数十μsec以下
の大きな応答速度を実現することが可能となった。さら
に、表示方法として、強誘電性液晶を数十μmの捻れ配
向のピッチ長よりも十分に狭い厚みに封じることによ
り、双安定状態を実現できることが見い出された[クラ
ーク等(Clark et al.):Apl.Phy
s.Let.,36,899(1980)、特開昭56
−107216号公報、米国特許4367924号明細
書]。この方法は「表面安定化モード」と呼ばれ、これ
を液晶表示素子に用いることにより、高速応答特性と新
たなメモリー機能を実現することが可能となった。そし
て、このメモリー機能によって単純な電極構成の素子が
実現され、また、単純な駆動方法によって2次元画像の
表示が実現されるようになった。しかし、その各画素の
表示値は強誘電性液晶の持つ2つの安定な配向状態に対
応して黒と白の2値の表示であるため、テレビ画像のよ
うな中間調表示素子に応用することは困難であった。従
って、画素を細かく分割して駆動する面積諧調、あるい
は時分割駆動のような方法によって疑似的に多諧調表示
を行う方法が提案されてきたが、満足のいく表示品質を
実現するには至っていない。
【0003】一方、FLCに代わって反強誘電性液晶
(以下「ALC」という)を用いた表示素子が開発され
た[チャンダニ等(Chandani et a
l.):Jpn.J.Appl.Phys.,27,L
729(1988)]。この素子は、安定な反強誘電相
と電界誘起されて発現する2つの強誘電相の3状態間の
スイッチングを利用した表示素子である。その反強誘電
相−強誘電相の相転移は印加される電圧の大きさに対し
て急峻なしきい値を有する。また、印加電圧に対して素
子の光学特性はヒステリシス特性を有し、3状態の各々
を保持するメモリー機能を有している。このALCは、
今後、高速応答性と多値表示を実現する液晶表示材料と
して期待されている。
【0004】ところで、近年、大画面、高密度、高解像
度、高輝度を実現する動画表示装置の出現が強く要望さ
れている。その実現に向けては、従来の陰極線管を用い
た方法と、液晶表示素子を用いた方法のいずれかが有力
である。前者は陰極線管の投射管を用いた投影方法であ
るが、高密度及び高解像度と高輝度を両立させることは
困難であるといった問題点を有している。すなわち、高
解像度の画像を得るためには電子ビームを絞って輝度を
抑えることが必要である。一方、後者の液晶表示装置と
しては、薄膜トランジスターと液晶を組み合わせた素子
を用いて投射する方式が主流である。この方式において
は、高密度、高解像度を実現しようとすると開口率が低
下して輝度が下がるといった前者と同じ問題点がある。
両者の利点を組み合わせた方法がヒューズエアクラフト
社によって提案されている(特開昭53−137165
号公報)。これは低輝度ではあるが、陰極線管の有する
高解像度の動画像を光の入力情報として空間光変調素子
に与え、高輝度の読み出し光を液晶層に照射し、変調さ
せることによって光増幅された出力像を得る方法であ
る。さらに、本発明者等は、高速応答を実現するため
に、液晶層にFLCを用いた空間光変調素子とそれを用
いた液晶表示装置を提案した。また、FLCを用いた光
書き込みによって、従来困難とされていた中間調表示を
行う方法も見い出した。そのプロジェクションシステム
は、FLCの有する広い視野角特性を利用して、光利用
効率の高い画像を作ることができるという利点を有して
いる。さらに、FLCの高速応答特性と新たな中間調表
示方法を組み合わせることにより、光入力を陰極線管で
与えた動画像を中間調を含めて忠実に再現することも可
能となった。
【0005】ところで、原理的には、FLCは自発分極
を有し、その液晶層を挟む電極に保持される電荷量によ
って中間調の変調を制御している。そのため、保持され
る電荷の変動に対してFLCは敏感に応答するという問
題がある。このため、特に、余分な電荷蓄積を極力抑制
することが必要である。また、FLCは外部からの機械
的衝撃に対して、配向が乱れ易いといった問題点も有し
ている。
【0006】そこで、本発明者等は、FLCに代えてA
LCを用いることにより、次のような空間光変調素子及
びその駆動方法を提案した。すなわち、 (1)電流整流性を有する光導電体と液晶の相状態とし
て反強誘電相を有する液晶層を、一対の透明電極間に挟
み込んで空間光変調素子を構成する。
【0007】(2)電流整流性を有する光導電体と液晶
の相状態として反強誘電相と強誘電相との混合相を有す
る液晶層を、一対の透明電極間に挟み込んで空間光変調
素子を構成する。
【0008】(3)空間光変調素子の透明電極間に、液
晶層が反強誘電相から強誘電相に相転移するのに必要な
電圧以上の電圧を光導電体の電流整流特性に対して逆方
向となる極性で印加する書き込み電圧期間と、液晶層が
強誘電相から反強誘電相に相転移するのに必要な電圧以
上の電圧を光導電体の電流整流特性に対して順方向とな
る極性で印加する消去電圧期間とから単位周期を構成し
て駆動する。
【0009】(4)空間光変調素子と、前記空間光変調
素子の光導電体に光入力を行うための表示素子と、駆動
電圧を前記空間光変調素子に印加するための電源とによ
り液晶表示装置を構成する。
【0010】(5)空間光変調素子の光導電体に光を照
射し、前記光導電体の電流整流特性に対して逆方向とな
る極性で電圧を印加する期間に、液晶層に印加される電
圧が反強誘電相から強誘電相に相転移するのに必要な電
圧以上となる光強度を与える。
【0011】(6)一定方向に偏向した偏光板を介して
直線偏向した入射光を空間光変調素子に照射し、前記空
間光変調素子からの反射光を前記偏光板と直交する方向
に偏向方向を配置した偏光板を介して読み出す際に、最
小の反射光強度を与える液晶の配向状態が反強誘電相と
なるように偏光板を配置する。
【0012】そして、以上のような素子及び駆動方法を
用いたプロジェクションテレビは、高輝度、高解像度の
動画像を与えることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記した素子構造にお
いて画素電極が金属反射層である場合には、外部から照
射される読み出し光が画素電極間から光導電体に漏れる
のを阻止するための光吸収層が必要となる。光照射強度
の大きなシステムにおいては、この光吸収層で発生する
熱によって素子の温度が上昇し、液晶の駆動状態に大き
な影響を与える。従って、液晶表示装置には冷却手段が
必要となる。また、画素電極の金属反射層においても完
全な反射面を形成することは困難であり、一部は吸収さ
れて熱になる。
【0014】一方、素子構造として液晶層と光導電体と
の間に画素構造を有しない誘電体反射層を導入した場
合、光導電体に電流整流特性を持たせて高速駆動できる
ようにすると、光導電体の低抵抗層の部分で電荷の面内
拡散が起こり、解像度が劣化するといった問題が生じ
る。すなわち、熱の問題は解決できても画質の劣化を招
くことになる。
【0015】本発明は、従来技術における前記課題を解
決するため、光導電体と液晶層とを備えた空間光変調素
子であって、広い視野角と高速応答性を保ち、動画像の
光入力に対して中間調表示を含めて再現することがで
き、また、安定で信頼性の高い空間光変調素子を提供す
ることを目的とする。また、光照射強度の大きなシステ
ムにおいても、素子の温度上昇が少ない空間光変調素子
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る空間光変調素子の構成は、電流整流性
を有する光導電体と液晶層とが一対の透明電極間に挟ま
れて存在する構造を備え、かつ、前記光導電体と前記液
晶層との間に互いに電気的に独立した微小形状の金属薄
膜と誘電率の異なる薄膜の多層膜からなる誘電体反射膜
とを積層した複数の画素を有するものである。
【0017】また、前記本発明の構成においては、誘電
体反射膜を全面に成膜するのが好ましい。また、前記本
発明の構成においては、微小形状の金属薄膜間の光導電
体の一部に溝部を設けるのが好ましい。また、この場合
には、溝部の一部が誘電体反射膜で覆われているのが好
ましい。
【0018】また、前記本発明の構成においては、液晶
の相状態として反強誘電相又は反強誘電相と強誘電相と
の混合相を有するのが好ましい。
【0019】
【作用】前記本発明の構成によれば、電流整流性を有す
る光導電体と液晶層とが一対の透明電極間に挟まれて存
在する構造を備え、かつ、前記光導電体と前記液晶層と
の間に互いに電気的に独立した微小形状の金属薄膜と誘
電率の異なる薄膜の多層膜からなる誘電体反射膜とを積
層した複数の画素を有することにより、画素面に照射さ
れる読み出し光は吸収されることなく反射されるので、
素子の温度が上昇することはない。
【0020】また、前記本発明の構成において、誘電体
反射膜を全面に成膜するという好ましい例によれば、画
素間にも誘電体反射膜が存在するために、敢えて光吸収
層を設けなくても、画素間に照射された読み出し光が光
導電体に漏れてしまうことはない。その結果、素子が誤
動作を起こすことがないと共に、光吸収によって素子の
温度が上昇することもない。
【0021】また、前記本発明の構成において、微小形
状の金属薄膜間の光導電体の一部に溝部を設けるという
好ましい例によれば、光導電体における面内電荷拡散を
防止することができるので、解像度が劣化することはな
い。また、この場合、溝部の一部が誘電体反射膜で覆わ
れているという好ましい例によれば、溝部に照射される
読み出し光も光導電体に吸収されることなく反射される
ので、素子が誤動作を起こすことはない。
【0022】また、前記本発明の構成において、液晶の
相状態として反強誘電相又は反強誘電相と強誘電相との
混合相を有するという好ましい例によれば、誘電体反射
膜に蓄積される電荷量に制限を受けることなく、高速応
答で、かつ印加電圧あるいは光導電体に照射される書き
込み光の強度に応じて中間調表示を行う駆動が可能とな
る。そして、この駆動は、印加するパルス電圧を、液晶
層が反強誘電相から強誘電相に相転移するのに要する所
定の電圧以上の電圧を光導電体の電流整流特性に対して
逆方向となる極性で印加する書き込み電圧期間と、液晶
層が強誘電相から反強誘電相に相転移するのに要する所
定の電圧以上の電圧を光導電体の電流整流特性に対して
順方向となる極性で印加する消去電圧期間とにより構成
することによって可能となる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。図1、図2に、電流整流性を有する光導電
体と液晶層とが一対の透明電極間に挟まれて存在する構
造を備え、かつ、前記光導電体と前記液晶層との間に互
いに電気的に独立した微小形状の金属薄膜と誘電率の異
なる薄膜の多層膜からなる誘電体反射膜とを積層した複
数の画素を有する空間光変調素子の実施例を示す。図1
は画素間の溝が浅い場合の構造例であり、図2は画素間
の溝が深い場合の構造例である。
【0024】図1、図2に示すように、透明絶縁性基板
(例えば、ガラス基板)101の上には、透明導電膜
(例えば、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO
x )102と、電流整流性を有する光導電体とが順に積
層されている。電流整流性を有する光導電体の代表例と
しては、水素化アモルファスシリコン(以下「a−S
i:H」と略す)がある。本実施例においては、ダイオ
ード特性を実現するpinの3層構造(103、10
4、105)とした。また、光導電体の上には、互いに
電気的に分離された微小形状の複数の画素電極106
と、誘電体反射膜107とが順に配置されている。尚、
誘電体反射膜107は全面に成膜されている。画素部分
をこのような構成とすることにより、画素面に照射され
る読み出し光は吸収されることなく反射されるので、素
子の温度が上昇することはない。また、画素間にも誘電
体反射膜107が存在するために、敢えて光吸収層を設
けなくても、画素間に照射された読み出し光が光導電体
に漏れて誤動作を起こすことがないと共に、光吸収によ
って素子の温度が上昇することもない。
【0025】画素間の電荷拡散を防止するためには、画
素間に位置する光導電体の一部(少なくとも低抵抗層で
あるn型a−Si:H層105)を除去する必要があ
る。このため、画素間には溝が設けられている。
【0026】また、誘電体反射膜107の上には、液晶
層109を配向するための配向膜(例えば、ポリイミド
等の高分子薄膜)108が配置されている。ここで、液
晶層109には反強誘電性液晶(ALC)が用いられて
おり、配向膜108にはラビング法によって配向処理が
施されている。また、液晶層109の膜厚制御は、最適
膜厚と同一の径を有するスペーサー111を分散するこ
とによって行われている。
【0027】また、対向側の透明絶縁性基板(例えば、
ガラス基板)113の上には、透明導電膜(例えば、I
TO、SnOx )112と、液晶層109を配向するた
めの配向膜(例えば、ポリイミド等の高分子薄膜)11
0とが順に配置されている。尚、配向膜110にはラビ
ング法によって配向膜108と同一方向に配向処理が施
されている。
【0028】図1に示すように、本空間光変調素子11
5の駆動は、両透明導電膜102、112間にパルス電
圧114を印加することによってなされる。また、図3
に示すように、パルス電圧114は、液晶層109が反
強誘電相から強誘電相に相転移するのに必要な所定の電
圧以上の電圧−20Vを光導電体の電流整流特性に対し
て逆方向となる極性で印加する書き込み電圧期間(第1
の期間;0.9msec)と、液晶層109が強誘電相
から反強誘電相に相転移するのに必要な所定の電圧以上
の電圧10Vを光導電体の電流整流特性に対して順方向
となる極性で印加する消去電圧期間(第2の期間;0.
1msec)とにより構成されている。透明絶縁性基板
101側からの書き込み光117によって光導電体に情
報が書き込まれる。そして、液晶層109側から読み出
し光116を照射し、画素部分の誘電体反射膜107か
らの反射光118を光出力として得ることができる。
【0029】光導電体に使用する他の材料としては、例
えば、CdS、CdTe、CdSe、ZnS、ZnS
e、GaAs、GaN、GaP、GaAlAs、InP
等の化合物半導体、Se、SeTe、AsSe等の非晶
質半導体、Si、Ge、Si1- x x 、Si1-x
x 、Ge1-x x (0<x<1)の多結晶又は非晶質
半導体、また、(1)フタロシアニン顔料(以下「P
c」と略す)、例えば、無金属Pc、XPc(X=C
u、Ni、Co、TiO、Mg、Si(OH)2 等)、
AlClPcCl、TiOClPcCl、InClPc
Cl、InClPc、InBrPcBrなど、(2)モ
ノアゾ色素、ジスアゾ色素等のアゾ系色素、(3)ペニ
レン酸無水化物及びペニレン酸イミドなどのペニレン系
顔料、(4)インジゴイド染料、(5)キナクリドン顔
料、(6)アントラキノン類、ピレンキノン類などの多
環キノン類、(7)シアニン色素、(8)キサンテン染
料、(9)PVK/TNFなどの電荷移動錯体、(1
0)ビリリウム塩染料とポリカーボネイト樹脂から形成
される共晶錯体、(11)アズレニウム塩化合物など有
機半導体、等がある。
【0030】また、非晶質のSi、Ge、Si
1-x x 、Si1-x Gex 、Ge1-x x (以下、a−
Si、a−Ge、a−Si1-x x 、a−Si1-x Ge
x 、a−Ge 1-x x のように略す)を光導電体に使用
する場合には、水素又はハロゲン元素を含めてもよく、
誘電率を小さくしたり抵抗率を増加させるために酸素又
は窒素を含めてもよい。また、抵抗率を制御するため
に、p型不純物であるB、Al、Gaなどの元素、又は
n型不純物であるP、As、Sbなどの元素を添加して
もよい。このように不純物を添加した非晶質材料を積層
してp/n型、p/i型、i/n型、p/i/n型など
の接合を形成し、光導電体内に空乏層を形成して誘電率
及び暗抵抗あるいは動作電圧極性を制御することもでき
る。また、このような非晶質材料だけではなく、上記の
材料を2種類以上積層してヘテロ接合を形成し、光導電
体内に空乏層を形成してもよい。
【0031】以下に、具体的実施例を挙げて本発明をさ
らに詳細に説明する。 <第1の実施例>図1に示す構造の空間光変調素子を図
4に示す工程によって作製した。
【0032】まず、光学研磨を施したガラス基板(55
mm×65mm×1.1mm)101の上に、スパッタ
法によってITOを1000オングストロームの膜厚で
成膜し、透明導電膜102を形成した。次いで、プラズ
マCVD法によってp/i/nダイオード構造のa−S
i:H膜を積層し、光導電体を形成した。ここで、p型
a−Si:H層103にはボロンが100ppmだけド
ーピングされており、n型a−Si:H層105にはリ
ンが1000ppmだけドーピングされている。また、
p型a−Si:H層103の膜厚は500オングストロ
ーム、i型a−Si:H層104の膜厚は1.7μm、
n型a−Si:H層105の膜厚は3000オングスト
ロームである(以上、図4(a))。
【0033】次いで、光導電体の全面に、抵抗加熱蒸着
法等によってクロム(Cr)を1000オングストロー
ムの膜厚で成膜し、リソグラフィーによって23.5μ
m×23.5μm、ピッチ25μm、2000×200
0個(全4百万個)のレジストパターン106を形成し
た。各Cr薄膜(レジストパターン)106は画素電極
に相当し、有効領域は50mm×50mmである。ま
た、Cr薄膜(レジストパターン)106の膜厚は20
0〜10000オングストロームである(以上、図4
(b))。
【0034】次いで、SF6 ガスを用いたリアクティブ
・イオン・エッチング法により、Cr画素電極106を
エッチングマスクとして画素間のa−Si:H層を垂直
に0.5μm除去し、画素間に溝を形成した。溝部分に
おいては、少なくとも低抵抗層であるn型a−Si:H
層105(膜厚0.3μm)が除去された状態となるの
で、隣接する画素間の電荷拡散を防止することができる
(以上、図4(c))。
【0035】次いで、スパッタ法によって酸化チタン層
と酸化珪素層の積層(25層)からなる誘電体膜を2.
5μmの膜厚で成膜し、誘電体反射膜107を形成し
た。反射スペクトルは可視波長(430〜700nm)
で反射率が99.99%以上となるように設計した(以
上、図4(d))。
【0036】次いで、誘電体反射膜107の全面に、ポ
リイミド高分子膜を500オングストロームの膜厚で成
膜し、配向膜108を形成した。次いで、他方のガラス
基板113の上に、スパッタ法によってITOを100
0オングストロームの膜厚で成膜して透明導電膜112
を形成し、さらにその上にポリイミド高分子膜を500
オングストロームの膜厚で成膜して配向膜110を形成
した。そして、ナイロン布を専用のローラーに巻き付
け、基板に布を押しつけながらローラーを回転させるこ
とにより、両基板共にラビング処理を施した。尚、両基
板のラビング方向は同一方向とした。次いで、一方の基
板上に、液晶膜厚を制御するための粒径1.5μmの酸
化珪素111を分散した。次いで、他方の基板の周辺に
封止樹脂をスクリーン印刷し、両基板を張り合わせて液
晶セルを作製した。そして、液晶セルを真空装置に設置
して減圧した後、120℃で加熱しながら、反強誘電性
液晶(チッソ製CS−4000)109を毛細管現象を
利用して液晶セル内に注入した(以上、図4(e))。
【0037】以上のようにして作製した空間光変調素子
115の光導電体に照射する書き込み光117(図1参
照)の強度を変化させたときの反射光118(図1参
照)の時間応答特性を図5に示す。駆動に際しては、消
去のための順方向電圧を+10V、第2の印加時間を
0.1msec、光書き込みのための逆方向電圧を−2
0V、第1の印加時間を0.9msecとした。従っ
て、駆動周波数は1kHzである。偏光子を、その偏向
方向が両基板のラビング方向と一致するように設置すれ
ば、反強誘電相の状態で黒表示となる。書き込み光11
7の強度を0から0.8mW/cm2 まで変化させた場
合、その強度の増加に伴って反射光118の強度が増加
する。反射光118の強度の時間平均によって出力光を
定義すれば、書き込み光117の強度に対する出力光の
変化は図6のようになる。これは、書き込み光117の
強度を0から0.8mW/cm2 まで変化させた場合に
反射率が0%から80%まで制御される中間調表示であ
る。尚、反射率が最大の80%となるのは、光書き込み
時の印加電圧が最大の20Vのときである。なぜなら、
この電界強度における相転移に要する時間が0.3ms
ecだからである。0.9msecの期間中で、この転
移時間は白表示をすることにとっては損失となる。尚、
コントラスト比は最大200以上を確保することができ
た。
【0038】この空間光変調素子115を用いてプロジ
ェクションテレビシステムを構築した。システムの概念
図を図7に示す。フレーム周波数60Hzのテレビ動画
像を光情報として入射するため、対角7インチの陰極線
管(以下「CRT」と略す)301を用い、レンズ30
2によって縮小して50mm×50mmの空間光変調素
子115の有効面積内に照射した。CRTの蛍光体とし
ては、約10msecの残光時間を有し、しかもa−S
i:H層の高感度波長域によく一致する緑色蛍光体P1
を用いた。読み出し用の光源としてはメタルハライドラ
ンプ(250W、発光効率70lm/W)303を用
い、コンデンサーレンズ304によって空間光変調素子
115に均一かつ高輝度となるように設定した。偏向ビ
ームスプリッター305によって直線偏向した読み出し
光を空間光変調素子115に照射し、変調を受けた反射
光を投射レンズ306によって拡大してスクリーン30
7の上に結像させた。スクリーン307の上には対角7
0インチの拡大画像が表示された。尚、緑色のダイクロ
イックフィルターを読み出し用の光源303の直後に赤
外及び紫外カットフィルターと共に設置し、偏向ビーム
スプリッター305もその特性が緑色に対応するものを
用いた。スクリーン307の上には250lmの光束が
到達しており、光利用効率として1lm/Wを得ること
ができた。スクリーン307の上におけるコントラスト
比は100:1を超えていた。また、動画像を出力した
ところ、ビデオレートの動きに対して残像はなく、良好
な中間調表示を得ることができた。また、このときのシ
ステム中における素子温度を測定したところ、室温から
の上昇は認められなかった。
【0039】光書き込み手段として、CRT301の代
わりに薄膜トランジスター駆動による液晶素子を用いた
プロジェクションシステムを構築した。この液晶素子の
開口率は30%であるため、CRT書き込みの場合に比
べてスクリーン上における輝度は低下するものの、シス
テムの小型化を図ることができた。
【0040】<第2の実施例>図2に示す構造の空間光
変調素子を図4と同様の工程によって作製した。図1に
示す空間光変調素子の場合と異なるところは溝形成の工
程だけである。この場合には、画素電極106をエッチ
ングマスクとしてエッチングする際に、画素に軒が形成
されるように等方的に削り溝を形成した。図2は画素間
の光導電体を完全に除去した例である。これに誘電体膜
を成膜すれば、画素間に膜厚2μmの誘電体反射膜11
9が埋め込まれた構造となる。尚、画素電極106のC
rの膜厚は、軒が折れないように0.5μmとした。以
上のように構成したことにより、読み出し光が画素に対
して斜めの方向から入射しても、軒の影となって光導電
体に入射するのを抑えることが可能となる。また、垂直
入射に近い光は、溝底部の誘電体反射膜119によって
裏面に周り込むことなく反射される。ところが、図1に
示した構造の素子においては、斜め入射光は、その一部
が誘電体反射膜107によって反射されずに通過してし
まう。このため、素子が画素電極間に入射する斜め入射
の洩れ光によって誤動作を起こしてしまう。システムに
よっては、光利用効率を向上させるために、より多くの
光を集める工夫を施すことが必要であるが、図1に示し
た構造の素子では、斜め入射光を使う設計が困難となる
ため、光利用効率を向上させるには限界がある。この
点、図2に示す構造の素子においては、この制限がゆる
くなるため、より明るい画像を得ることができる。
【0041】次に、この空間光変調素子115を、上記
第1の実施例で用いたプロジェクションテレビシステム
に設置して画像を評価したところ、400Wのメタルハ
ライドランプを用いて全光束を800lmとしても、コ
ントラストは100以上で、かつ温度上昇は認められな
かった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る空間
光変調素子によれば、電流整流性を有する光導電体と液
晶層とが一対の透明電極間に挟まれて存在する構造を備
え、かつ、前記光導電体と前記液晶層との間に互いに電
気的に独立した微小形状の金属薄膜と誘電率の異なる薄
膜の多層膜からなる誘電体反射膜とを積層した複数の画
素を有することにより、画素面に照射される読み出し光
は吸収されることなく反射されるので、素子の温度が上
昇することはない。
【0043】また、前記本発明の構成において、誘電体
反射膜を全面に成膜するという好ましい例によれば、画
素間にも誘電体反射膜が存在するために、敢えて光吸収
層を設けなくても、画素間に照射された読み出し光が光
導電体に漏れてしまうことはない。その結果、素子が誤
動作を起こすことがないと共に、光吸収によって素子の
温度が上昇することもない。
【0044】また、前記本発明の構成において、微小形
状の金属薄膜間の光導電体の一部に溝部を設けるという
好ましい例によれば、光導電体における面内電荷拡散を
防止することができるので、解像度が劣化することはな
い。また、この場合、溝部の一部が誘電体反射膜で覆わ
れているという好ましい例によれば、斜め入射光に対し
ても洩れ光を抑制することができるので、光利用効率の
高いシステムを構築することができる。すなわち、明る
い画像を得ることができる。溝部に照射される読み出し
光も光導電体に吸収されることなく反射されるので、素
子が誤動作を起こすことはない。
【0045】また、前記本発明の構成において、液晶の
相状態として反強誘電相又は反強誘電相と強誘電相との
混合相を有するという好ましい例によれば、誘電体反射
膜に蓄積される電荷量に制限を受けることなく、高速応
答で、かつ印加電圧あるいは光導電体に照射される書き
込み光の強度に応じて中間調表示を行う駆動が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空間光変調素子の一実施例を示す
構造断面図である。
【図2】本発明に係る空間光変調素子の他の実施例を示
す構造断面図である。
【図3】本発明の一実施例の空間光変調素子を駆動する
ための印加パルス電圧を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の空間光変調素子の製造工程
図である。
【図5】本発明の一実施例の空間光変調素子の光書き込
み光強度を変化させたときの反射光の時間応答特性図で
ある。
【図6】本発明の一実施例の空間光変調素子の光書き込
み光強度に対する反射光強度の時間平均における出力光
の変化を示す図である。
【図7】本発明の一実施例の空間光変調素子を用いたプ
ロジェクションテレビシステムを示す図である。
【符号の説明】
101 透明絶縁性基板 102 透明導電膜 103 p型a−Si:H層 104 i型a−Si:H層 105 n型a−Si:H層 106 画素電極 107 誘電体反射膜 108 配向膜 109 液晶層 110 配向膜 111 スペーサー 112 透明導電膜 113 透明絶縁性基板 114 駆動電圧 115 空間光変調素子 116 読み出し光 117 書き込み光 118 反射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 筒井 博司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小川 久仁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電流整流性を有する光導電体と液晶層と
    が一対の透明電極間に挟まれて存在する構造を備え、か
    つ、前記光導電体と前記液晶層との間に互いに電気的に
    独立した微小形状の金属薄膜と誘電率の異なる薄膜の多
    層膜からなる誘電体反射膜とを積層した複数の画素を有
    する空間光変調素子。
  2. 【請求項2】 誘電体反射膜を全面に成膜した請求項1
    に記載の空間光変調素子。
  3. 【請求項3】 微小形状の金属薄膜間の光導電体の一部
    に溝部を設けた請求項1に記載の空間光変調素子。
  4. 【請求項4】 溝部の一部が誘電体反射膜で覆われてい
    る請求項3に記載の空間光変調素子。
  5. 【請求項5】 液晶の相状態として反強誘電相又は反強
    誘電相と強誘電相との混合相を有する請求項1に記載の
    空間光変調素子。
JP6292893A 1994-11-28 1994-11-28 空間光変調素子 Pending JPH08152649A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6292893A JPH08152649A (ja) 1994-11-28 1994-11-28 空間光変調素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6292893A JPH08152649A (ja) 1994-11-28 1994-11-28 空間光変調素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08152649A true JPH08152649A (ja) 1996-06-11

Family

ID=17787752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6292893A Pending JPH08152649A (ja) 1994-11-28 1994-11-28 空間光変調素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08152649A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4538884A (en) Electro-optical device and method of operating same
US5384649A (en) Liquid crystal spatial light modulator with electrically isolated reflecting films connected to electrically isolated pixel portions of photo conductor
EP0567009B1 (en) A method for driving a spatial light modulator
US5536933A (en) Light information device and method for producing the same
US5781267A (en) Anti-ferroelectric liquid crystal with black display in one frame, white in other and ratio giving grey scale
JPH0784267A (ja) 液晶表示素子及び空間光変調素子
JPH08152649A (ja) 空間光変調素子
JPH08122811A (ja) 空間光変調素子及びその製造方法
JP3070252B2 (ja) 空間光変調素子および表示装置
JPS6364031A (ja) マトリクス表示装置
JP3070248B2 (ja) 空間光変調素子およびその製造方法
JPH0822021A (ja) 空間光変調素子及び液晶表示装置
JPH05173174A (ja) 空間光変調素子
JPH05333366A (ja) 空間光変調素子
JP2857274B2 (ja) 空間光変調素子及びその製造方法
JPH06347819A (ja) 空間光変調素子
JPH07140483A (ja) 空間光変調素子
JPH05196959A (ja) 液晶表示装置
JPH06258657A (ja) 空間光変調素子及びその製造方法
JPH05333368A (ja) 空間光変調素子およびその製造方法
JPH07301821A (ja) 空間光変調素子及びその製造方法
JPH06273793A (ja) 空間光変調素子及びその製造方法並びに投写型表示装置
JP3287983B2 (ja) 空間光変調素子の駆動方法及び投射型ディスプレイ
JPH07281207A (ja) 空間光変調素子及びその製造方法
JPH0784282A (ja) 空間光変調素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees