JPH06273793A - 空間光変調素子及びその製造方法並びに投写型表示装置 - Google Patents

空間光変調素子及びその製造方法並びに投写型表示装置

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JPH06273793A
JPH06273793A JP5058474A JP5847493A JPH06273793A JP H06273793 A JPH06273793 A JP H06273793A JP 5058474 A JP5058474 A JP 5058474A JP 5847493 A JP5847493 A JP 5847493A JP H06273793 A JPH06273793 A JP H06273793A
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JP
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layer
metal reflection
liquid crystal
film
spatial light
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Application number
JP5058474A
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English (en)
Inventor
Akio Takimoto
昭雄 滝本
Yasunori Kuratomi
靖規 藏富
Koji Akiyama
浩二 秋山
Yukio Tanaka
幸生 田中
Junko Asayama
純子 朝山
Kuni Ogawa
久仁 小川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 遮光能力が高く反射能力の優れた空間光変調
素子及びその製造方法を提供する。 【構成】 ガラス基板1上に透明導電性電極2を形成す
る。p/i/nダイオード構成のアモルファスシリコン
受光層を積層し、光導電層6を形成する。光導電層6上
にクロムを成膜し、画素分離電極7をパターン形成し、
画素分離電極7をエッチングマスクとして等方的なエッ
チングを施し、光導電層6の一部を除去する。基板全面
にアルミニウムを成膜し、画素分離電極7の上に金属反
射膜8を、画素間の窪みの低部に出力遮光膜9をそれぞ
れ形成する。基板全面にカーボン含有の高分子を塗布
し、リアクチブイオンエッチング法によって全面エッチ
バックし、画素分離電極7の軒形状の下部に絶縁層10
を形成する。この基板と他方の基板の上に配向膜12を
積層し、両基板間に強誘電性液晶層11を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、投写型ディスプレイ、
ホログラフィーテレビジョン又は光演算装置などに用い
られる空間光変調素子及びその製造方法並びに投写型表
示装置に関する。
【0002】
【従来技術】大画面、高密度画素からなる高品位テレビ
が様々な方式で開発され実用化されている。中でも、従
来のブラウン管(CRT)方式に代えて液晶技術を使っ
た投写型ディスプレイの開発が盛んである。ブラウン管
方式であると、高密度画素に対して画面の輝度が低下し
暗くなる。また、ブラウン管自身、大型化が困難であ
る。一方、トランジスタ駆動方式の液晶素子による投写
型ディスプレイ装置は有力な方法ではあるが、開口率が
大きくならないこと、素子が高価であること等の問題が
ある。また、CRTを光入力手段とする液晶ライトバル
ブは従来より素子形状が簡単でかつCRTと液晶素子の
利点を組み合わせた装置として注目されている。
【0003】液晶ライトバルブのアイデアは、ZnSと
ツイストネマチック(TN)液晶を組み合わせたものと
してヒューズによって初めて提案された[アプライド・
フィジックス・レター、17巻(1970年)51ペ−
ジ(Appl.Phys.Lett.17(1970)
51)]。次に、光導電材料CdSとTN液晶との組合
せからなる液晶ライトバルブが、アプライド・フィジッ
クス・レター、22巻(1973年)90ページ(Ap
pl.Phys.Lett.22(1973)90)で
発表された。その後、単結晶シリコンとTN液晶とから
なる素子が米国特許第4913531号明細書、特開平
3−192332号公報、ジャーナル・オブ・アプライ
ド・フィジックス、5巻(1985年)1356ページ
(J.Appl.Phys.5(1985)1356)
で発表された。
【0004】近年では、高感度なアモルファスシリコン
受光層と液晶とを組み合わせることにより、100イン
チ以上の大画面で動画像を映し出すことが可能となっ
た。解像度を改善するためにアモルファスシリコン(a
−Si)とTN液晶とからなる空間光変調素子(SL
M)を使うことを初めて示したのは、アシェイ(Ash
ey)等の米国特許第4693561号明細書、アプラ
イド・オプティックス、26巻(1987年)241ペ
ージ(Appl.Opt.26(1987)241)及
び米国特許第4538884号明細書である。また、ヒ
ューズ社はa−Si+CdTeの空間光変調素子を、米
国特許第4799773号明細書とSID′90 17
A.2 p327で発表している。
【0005】液晶材料として高速応答可能な強誘電性液
晶を用いることによって、より高速・高解像度の液晶ラ
イトバルブを実現することが可能となった。この液晶ラ
イトバルブは、強誘電性液晶の持つメモリー性と2値化
特性を使った次世代の並列演算装置、光コンピューティ
ング装置の核としても期待されている。ダイオード構造
a−Siと強誘電性液晶との組合せからなる空間光変調
素子は、慶応大学グループによって初めて発表されたも
のであるが[アプライド・フィジックス・レター、51
巻(1987年)1232ページ(Appl.Phy
s.Lett.51(1987)1232)]、素子構
造の提案はコロラド大学によってなされている[エス・
ピー・アイ・イー、754巻(1987年)207ペー
ジ(SPIE 754(1987)207)]。彼らの
論文としては、他にアプライド・フィジックス・レタ
ー、55巻(1989年)537ページ(Appl.P
hys.Lett.55(1989)537)と米国特
許第4941735号明細書がある。テレビ画像の書き
込み投写システムはGreyhawk社によって発表さ
れている[エス・アイ・ディ・インターナショナル・シ
ンポジウム・1991・ダイジェスト・オブ・テクニカ
ル・ペイパーズ、13.3巻、254ページ(SID′
91(13.3、p254))]。
【0006】3次元立体動画映像を眼鏡なしで見ること
のできる装置としてホログラフィーテレビジョンが注目
されている。特に、書換え可能なホログラム記録媒体と
しては液晶表示素子が期待されている。例えば、橋本等
は、高密度表示素子を位相変調型空間光変調素子として
電子ホログラフィーシステムを構築している[エス・ピ
ー・アイ・イー・プロシーディング・ボリューム146
1・プラクティカル・ホログラフィー・V・1991・
pp.291−302(SPIE Proc.Vol.
1461、Practical Holography
V(1991)pp.291−302)]。現在のト
ランジスタ駆動方式の液晶素子の解像度は12〜25l
p/mmであり、今後200lp/mmを有する素子の
実現が望まれている。
【0007】微小電極を画素として持つ単結晶シリコン
受光素子と液晶の組合せからなる空間光変調素子は、前
記の米国特許第4913531号明細書、特開平3−1
92332号公報、及びジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス、5巻(1985年)1356ページ
(J.Appl.Phys.5(1985)1356)
で発表されている。この空間光変調素子においては、隣
接画素間の光クロストークの低減化を図り、解像度を向
上させるために、受光層表面に窪みを形成し、液晶層で
埋め込んで電位障壁を設けるようにされている。また、
受光層はMOS形(金属−酸化絶縁層−半導体)あるい
はショットキー接合に限定した構造となっており、画素
における読み出し光の遮光は画素の電極が兼ねている。
さらに、画素間の遮光は別の金属で行なう構造となって
いる。
【0008】単結晶シリコンの表面に窪みを設け、電気
光学結晶と組み合わせて解像度を向上させるようにした
空間光変調素子は、米国特許第4619501号明細書
で発表されている。単結晶シリコンを受光層とする場
合、その厚みは100μm相当が標準であること、裏面
を研磨しても数μmの膜厚うねりがあることから、達成
できる解像度には限界がある。このため、高感度で光学
研磨を施したガラス基板に成膜でき、数μmの膜厚で設
計可能なアモルファスシリコン層を受光層とする空間光
変調素子が、高解像度を実現するものとして期待されて
いる。
【0009】すでに本発明者等は、ダイオード構造のア
モルファスシリコン層を受光層とし、微小な金属反射膜
を画素として設ける空間光変調素子において、画素間の
受光層の構造を、最上部のn層を除去すること、あるい
は底部のp層及び最上部のn層を設けないことで画素間
のクロストークを低減する構造を提案している(特願平
3−344521号、特願平4−125846号、特願
平4−136580号、特願平4−136581号)。
【0010】液晶層と光導電層とからなる空間光変調素
子あるいは液晶ライトバルブにおいて、微小電極と遮光
膜とを設ける従来例として特開昭62−40430号、
特開昭62−169120号の各公報がある。これらの
素子の利点としては、微小電極が多層誘電体薄膜の反射
層に対して作製が容易であること、入射角度依存性の無
いこと及び反射能が高いことが挙げられる。また、投写
型ディスプレイの空間光変調素子として用いれば、開口
率が大きく画素形状が鮮明であることから、高品位なテ
レビ画像を得ることができる。これらの素子において
は、遮光膜として、変調を受ける入射光が出力光に重畳
されるのを防止するための入力遮光膜と、読み出し光が
光導電層に漏れ込んでスイッチングさせるのを防止する
ための出力遮光膜との2種類が必要である。これらの遮
光膜が光導電層と反射層との間に設けられる場合には、
電気絶縁性の膜が用いられる。但し、透明性電極上に直
接設けられる場合には電気絶縁体である必要はない。
【0011】一方、本発明者等は、遮光膜を形成する以
下の方法を提案している(前記した特願平3−3445
21号、特願平4−125846号、特願平4−136
580号、特願平4−136581号)。 (1)光導電層と、強誘電性液晶層と、反射膜とにより
構成される空間光変調素子において、光導電層上に一様
に金属反射膜を形成し、その上に一様に高分子配向膜を
形成する。次いで、微小形状の画素パターンをレジスト
膜で前記した一様な高分子配向膜上に形成し、画素間の
配向膜を除去する。次いで、陽極酸化法によって画素間
の金属反射膜を酸化し、絶縁性の遮光膜を形成する。 (2)光導電層と、液晶層と、これらの層の間の同一平
面内に設けられ、かつ微小形状に分割された金属反射膜
とにより構成される空間光変調素子において、金属の出
力遮光膜を前記微小形状の金属反射膜とは異なる平面内
に設ける。 (3)光導電層と、液晶層と、微小形状に分割された金
属反射膜と、これら全ての金属反射膜と電気的に分離さ
れた金属の出力遮光膜とにより構成される空間光変調素
子において、前記各々の分離された金属反射膜の一部と
前記出力遮光膜の一部とを絶縁層を介して接触させ、か
つ、窪みの中に位置する出力遮光膜の上に可視光を吸収
する絶縁層を導入する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】電気絶縁性材料で一様
な遮光膜を光導電層と金属反射膜との間に設ける構造
(例えば、特開昭62−40430号公報における素子
構造)は、入力遮光膜と出力遮光膜とを兼用する。この
場合、作製は容易であるが、光導電層と金属反射膜との
間に絶縁層が介在することとなるため、駆動時の電荷蓄
積による光導電特性、スイッチング特性の劣化を招く。
【0013】一方、画素に相当する部分に遮光膜が存在
しない素子構造、例えば、特開昭62−169120号
公報の第3図あるいは第4図のものは、電気的絶縁層が
介在しないものとなっている。しかし、遮光膜形成には
導電性の材料は不向きであり、高分子中に色素あるいは
カーボンを含有させたものが用いられる。一般に、含有
量の増加に伴って遮光度も増加するが、高分子に対する
含有量は膜形成のための条件から上限があり、遮光度に
も限界がある。金属薄膜を遮光膜として用いた場合、膜
厚数千オングストロームで可視光全領域にわたってほぼ
完全に遮光することが可能となる。しかし、出力光側の
遮光膜としては導電層を用いることのできない素子構造
であった。また、本発明者等の第一の提案方法のように
陽極酸化膜を遮光膜として用いる場合にも遮光度が不足
する。
【0014】また、本発明者等が提案した第二の方法、
すなわち、金属の出力遮光膜を微小形状の金属反射膜と
は異なる平面内に設けるという方法を採用すれば、光導
電層を金属薄膜で覆う場合に、簡単に遮光を達成するこ
とが可能となる。しかし、これらの金属反射面が形成さ
れる平面の間から光導電層に漏れ入ってくる読み出し光
を有効に遮断するには、これら二つの平面の段差を極力
小さくする必要がある。
【0015】また、本発明者等が提案した第三の方法、
すなわち、各々の分離された金属反射膜の一部と前記出
力遮光膜の一部とを絶縁層を介して接触させ、かつ窪み
の中に位置する出力遮光膜の上に可視光を吸収する絶縁
層を導入するという方法を採用すれば、遮光度を飛躍的
に向上させることができる。しかし、可視光の吸収に伴
って基板温度、すなわち強誘電性液晶の温度が上昇し、
その動作温度でのチルト角が減少するため、コントラス
トの低下を招く。さらに、基板温度が強誘電性液晶層の
スメクチックC相からスメクチックA相への相転移温度
以上になると、高品質な表示を期待することはできな
い。
【0016】大画面、高密度画素の投写型表示装置とし
ては、アクチブマトリックス素子を用いた液晶表示素子
が有望であるが、その画像表示において画素部分の占め
る割合、開口率が低いために、画像品質及び輝度が低下
すると共に、光効率も低いという問題がある。
【0017】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、遮光能力が高く反射能力の優れた空間光変調素子
及びその製造方法を提供し、かつ、高解像度で高輝度、
大画面の映像を映し出すことのできる投写型表示装置を
提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る空間光変調素子は、整流性を有する光
導電層と、強誘電性液晶層と、これらの層の間の同一平
面内に設けられ、かつ微小形状に分割された第一の金属
反射膜と、この平面とは異なる平面内に設けられ、前記
第一の金属反射膜の間に位置する第二の金属反射膜とを
少なくとも備えた空間光変調素子であって、前記第一の
金属反射膜と前記第二の金属反射膜との間の一部に絶縁
層が存在することを特徴とする。
【0019】前記構成においては、一対の電極を有する
基板の一方が光導電層を有し、他方の基板が可視光を通
過させる部分と第三の金属反射膜とを有するのが好まし
い。また、前記構成においては、第二の金属反射膜上の
強誘電性液晶層の層厚が画素上の強誘電性液晶層の層厚
の略2倍であるのが好ましい。
【0020】また、前記構成においては、光導電層がア
モルファスシリコンであるのが好ましい。また、前記構
成においては、絶縁層が可視波長の一部を吸収する高分
子を主成分とするのが好ましい。
【0021】また、本発明に係る空間光変調素子の製造
方法は、整流性を有する光導電層上に微小形状に分割し
た第一の金属反射膜を成膜し、この第一の金属反射膜を
エッチングマスクとする等方的なエッチングにより光導
電層の一部を除去して窪みを形成した後、前記窪みの底
部分に第二の金属反射膜を成膜し、窪み部分に絶縁層を
埋め込み、酸素を含む気体を用いた反応性イオンエッチ
ングによって前記絶縁層の一部を除去することを特徴と
する。
【0022】前記本発明方法の構成においては、第一及
び第二の金属反射膜の上に、さらに別の金属反射膜を成
膜する工程を含むのが好ましい。また、前記本発明方法
の構成においては、光導電層がアモルファスシリコンで
あるのが好ましい。
【0023】また、前記本発明方法の構成においては、
絶縁層が可視波長の一部を吸収する高分子を主成分とす
るのが好ましい。また、本発明に係る投写型表示装置の
構成は、整流性を有する光導電層と、強誘電性液晶層
と、これらの層の間の同一平面内に設けられ、かつ微小
形状に分割された第一の金属反射膜と、この平面とは異
なる平面内に設けられ、前記第一の金属反射膜の間に位
置する第二の金属反射膜とを少なくとも有し、前記第一
の金属反射膜と前記第二の金属反射膜との間の一部に絶
縁層が存在する空間光変調素子と、光書き込み用の液晶
表示素子とを少なくとも備えてなる投写型表示装置であ
って、前記空間光変調素子の微小形状に分割された第一
の金属反射膜の下部に位置する光導電層に、前記液晶表
示素子の一画素からの表示が一つだけ光書き込みされる
ことを特徴とする。
【0024】
【作用】前記本発明に係る空間光変調素子の構成によれ
ば、強誘電性液晶層側から照射される読み出し光の大部
分を第二の金属反射膜で反射させることができるので、
遮光能力が高く反射能力の優れた空間光変調素子を実現
することができる。また、軒形状の下部に埋め込まれた
絶縁層は、基板に対して斜めより入射する光だけを吸収
し、第一の金属反射膜の下部に位置する光導電層に読み
出し光が漏れ入ることを防止することができる。さら
に、この空間光変調素子を用いてホログラフィーテレビ
ジョン装置を作製すれば、実時間で鮮明な立体像を得る
ことができる。
【0025】また、前記構成において、一対の電極を有
する基板の一方が光導電層を有し、他方の基板が可視光
を通過させる部分と第三の金属反射膜とを有するという
好ましい構成によれば、強誘電性液晶層を通過して画素
間の窪み低部に位置する第二の金属反射膜に入射する読
み出し光を反射することができるので、遮光度を向上さ
せることができ、その結果、投写システムにおいて輝度
の向上を図ることができる。
【0026】また、前記構成において、第二の金属反射
膜上の強誘電性液晶層の層厚が画素上の強誘電性液晶層
の層厚の略2倍であるという好ましい構成によれば、軒
形状の下部に埋め込まれた絶縁層での光吸収が低減さ
れ、強誘電性液晶層のスメクチックC相からスメクチッ
クA相への相転移温度に対して基板温度を十分低く保持
することができるので、高品質な表示が可能となる。
【0027】前記本発明に係る空間光変調素子の製造方
法の構成によれば、前記構成を備えた空間光変調素子を
効率良く合理的に作製することができる。前記本発明に
係る投写型表示装置の構成によれば、入力素子の画素を
大きな画素に変換することができ、その結果、光効率の
高い優れた投写システムを構築することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。 (実施例1)図1は本発明に係る空間光変調素子の一実
施例を示す断面図である。
【0029】図1に示すように、透明絶縁性基板1(例
えば、ガラス)上には、透明導電性電極2(例えば、I
TO(インジウム−スズ酸化物)、SnOx )と、整流
性を有する光導電層6(例えば、ダイオード構造を有す
るアモルファスシリコン半導体;p層3、i層4及びn
層5)とが順次積層されている。また、n層5の上に
は、画素分離電極7と、画素に相当する分離した微小形
状の金属反射膜8(例えば、アルミニウム、クロム、チ
タン等の金属薄膜)と、強誘電性液晶層11を配向する
配向膜12(例えば、ポリイミド等の高分子薄膜)とが
順に配置されている。また、この画素間には、読み出し
光21に対する出力遮光膜9(例えば、アルミニウム、
クロム、チタン等の金属薄膜)が設けられている。この
ように金属反射膜8及び出力遮光膜9はいずれも整流性
を有する光導電層6に接しているため、駆動時に出力遮
光膜9に電荷蓄積が発生することはなく、その結果、光
導電特性、スイッチング特性の劣化を防止することがで
きる。尚、出力遮光膜9の設けられる平面は金属反射膜
8の設けられる平面の下部に位置しており、これにより
遮光の効果を向上させることができる。また、金属反射
膜8と出力遮光膜9とは電気的に分離され、隣接画素間
でのクロストークはない。
【0030】軒形状をした画素分離電極7と出力遮光膜
9の周縁部との間には、可視光を吸収する絶縁層10
(例えば、カーボン含有あるいは色素含有の高分子)が
配置されている。これにより、透明絶縁性基板15(例
えば、ガラス)に対し斜め方向から入射する読み出し光
21だけを吸収し、画素分離電極7の下部に位置する光
導電層6に読み出し光21が漏れ入ることを防止するこ
とができる。
【0031】強誘電性液晶層11は、スペーサーとして
分散されたビーズ13によってそのセル厚が制御され
る。また、対向側の透明導電性電極14上にも配向層1
2が一様に成膜されている。
【0032】本空間光変調素子16の駆動は、両透明導
電性電極2、14間にパルス電圧17を印加することに
よってなされる。そして、光導電層6が成膜されている
透明絶縁性基板1側からの書き込み光(入力光)18に
よって光導電層6に情報が書き込まれる。書き込み光
(入力光)18の強度に応じて光導電層6の電気抵抗が
減少し、各画素に相当する微小形状の金属反射膜8と対
向する透明導電性電極14とに挟まれた強誘電性液晶層
11に印加される電圧が増大する。この電圧の大きさに
応じて強誘電性液晶層11の配向が変化する。この強誘
電性液晶層11を通過する直線偏光の読み出し光21
は、各画素の金属反射膜8で反射し再び強誘電性液晶層
11を通過した後、検光子20を通り、出力光22とし
てその光強度変化が読み出される。この場合、読み出し
光21の照射によって光導電層6がスイッチングしない
ように、光導電層6上に遮光膜を設ける必要があるが、
本実施例1においては、金属反射膜8が遮光膜を兼ねて
いる。
【0033】光導電層6に使用する材料としては、例え
ば、CdS、CdTe、CdSe、ZnS、ZnSe、
GaAs、GaN、GaP、GaAlAs、InP等の
化合物半導体、Se、SeTe、AsSe等の非晶質半
導体、Si、Ge、Si1-xx 、Si1-x Gex 、G
1-x x (0<x<1)等の多結晶又は非晶質半導
体、また、(1)フタロシアニン顔料(Pcと略す)、
例えば、無金属Pc、XPc(X=Cu、Ni、Co、
TiO、Mg、Si(OH)2 など)、AlClPcC
l、TiOClPcCl、InClPcCl、InCl
Pc、InBrPcBrなど、(2)モノアゾ色素、ジ
スアゾ色素などのアゾ系色素、(3)ペニレン酸無水化
物及びペニレン酸イミドなどのペニレン系顔料、(4)
インジゴイド染料、(5)キナクリドン顔料、(6)ア
ントラキノン類、ピレンキノン類などの多環キノン類、
(7)シアニン色素、(8)キサンテン染料、(9)P
VK/TNFなどの電荷移動錯体、(10)ビリリウム
塩染料とポリカーボネイト樹脂から形成される共晶錯
体、(11)アズレニウム塩化合物など有機半導体があ
る。
【0034】また、非晶質のSi、Ge、Si
1-x x 、Si1-x Gex 、Ge1-x x (以下、a−
Si、a−Ge、a−Si1-x x 、a−Si1-x Ge
x 、a−Ge1-x x のように略す)を光導電層6とし
て使用する場合には、水素又はハロゲン元素を含めても
よく、誘電率を小さくしたり抵抗率を増加させるために
酸素又は窒素を含めてもよい。抵抗率の制御にはp型不
純物であるB、Al、Gaなどの元素、又はn型不純物
であるP、As、Sbなどの元素を添加してもよい。こ
のように不純物を添加した非晶質材料を積層してp/
n、p/i、i/n、p/i/nなどの接合を形成し、
光導電層6内に空乏層を形成して誘電率及び暗抵抗ある
いは動作電圧極性を制御することもできる。また、この
ような非晶質材料だけではなく、上記の材料を2種類以
上積層してヘテロ接合を形成し、光導電層6内に空乏層
を形成してもよい。尚、光導電層6の膜厚は0.1〜1
0μmの範囲にあるのが好ましい。
【0035】配向膜12は、強誘電性液晶分子の配向が
層方向と平行になるように設定してある。配向膜12の
厚みは1000オングストローム以下であるのが好まし
く、さらには100オングストローム以下であるのが好
ましい。配向膜12としては、ナイロン、ポリイミド等
の高分子膜あるいはSiO2 斜方蒸着膜等が有用であ
る。特に電気的特性の優れた配向膜としては、例えば、
特願平3−1145号に記載されたものがある。
【0036】強誘電性液晶層11の液晶材料としては、
カイラルスメクティックC液晶を用いるのが好ましい。
強誘電性液晶層11の厚みは、(数1)に従って決定さ
れる厚みDf に設定するのが最大コントラストを与える
こととなり好ましい。
【0037】
【数1】
【0038】ここで、Tはクロスニコル下における液晶
セルの透過率、Θは配向ベクトルのセル面内への射影と
偏光子19とのなす角、dはセル厚あるいは光路長、Δ
nは実効的な屈折率異方性、λは液晶セルを通過する光
の波長である。(数1)から、最大コントラストを与え
るには、(数2)を満足するセル厚dに設定しておけば
よいことが分かる。
【0039】
【数2】
【0040】このとき、透過率は最大値T(max)=
sin2 2Θを与える。さらに、このΘは0〜チルト角
と設定できるので、チルト角の2倍が90度、すなわ
ち、チルト角は45度であるのが好ましい。尚、セル厚
dは、表面安定化モード(SSFLC)を実現するため
にも極力薄く設定するのが好ましい。本発明の空間光変
調素子は反射型であるため、反射モードの場合のd=2
f 、m=1を(数2)に代入して(数3)となる。
【0041】
【数3】
【0042】ここで、Df は金属反射膜8上の強誘電性
液晶層11の厚みである(図1参照)。例えば、λ=5
50nm(視感度のピーク波長)、Δn=0.13(強
誘電性液晶の代表値)を代入すると、Df =1.06μ
mとなる。
【0043】また、画素間の強誘電性液晶層11の厚み
b (図1参照)を(数4)に従って決定すると、画素
間に位置する出力遮光膜9からの反射光を最小値とする
ことができる。
【0044】
【数4】
【0045】(数4)に、反射モードの場合のd=2D
b 、m=1を代入すれば、(数5)となる。
【0046】
【数5】
【0047】この値はDf の2倍である。Df の制御は
液晶セルを作製するときに用いるビーズ13の径で決定
される。また、Db は、光導電層6の厚み、画素分離電
極7、金属反射膜8の厚み及び溝を形成するときのエッ
チングの深さで制御される。
【0048】次に、上記構成を有する空間光変調素子の
製造方法の一実施例について説明する。まず、55mm
×45mm×1.1mmのガラス基板1上に、スパッタ
蒸着法によってITOを0.1μmの膜厚で成膜し、透
明導電性電極2を形成する。次いで、プラズマCVD法
によってp/i/nダイオード構成のアモルファスシリ
コン受光層を0.8μmの膜厚で積層し、光導電層6を
形成する。ここで、p層3には周期律表5族元素である
ボロンが5ppmだけドーピングされており、n層5に
は周期律表3族元素であるリンが50ppmだけドーピ
ングされている。また、p層3の膜厚は500オングス
トローム、i層4の膜厚は0.45μm、n層5の膜厚
は3000オングストロームであり、有効面積は35m
m×35mmである。次いで、この有効面積内の膜上
に、真空蒸着法によってクロム46を2000オングス
トロームの膜厚で成膜し、フォトリソグラフィーによっ
て画素分離電極7をパターン形成する。すなわち、各画
素の大きさを23μm×23μm、ピッチを25μmと
して、1000×1000画素の互いに分離された画素
分離電極7を形成する(以上、図2(a)、(b))。
尚、クロム膜の膜厚は、軒形状を維持するために少なく
とも1000オングストローム以上であるのが好まし
い。
【0049】次いで、画素分離電極7をエッチングマス
クとし、ケミカルドライエッチング法によりCF4 と酸
素の混合ガスを用いて等方的なエッチングを施し、光導
電層6の一部を除去する。エッチング深さは1.0μm
である。尚、この際、画素分離電極7の下部の一部もア
ンダーエッチする(以上、図2(c))。
【0050】次いで、基板全面に金属反射膜のアルミニ
ウムを3000オングストロームの膜厚で成膜し、画素
分離電極7の上に金属反射膜8を、画素間の窪みの低部
に出力遮光膜9を、それぞれ形成する(図2(d))。
【0051】次いで、この基板全面に、カーボン含有の
高分子(フジハント製、CK−2000)44をスピナ
ーにより2μmの膜厚で塗布する(図2(e))。次い
で、酸素ガスを用いたリアクチブイオンエッチング法に
よって全面エッチバックする。すると、まず、金属反射
膜8の表面が露出し(図2(f))、さらに、金属反射
膜8がエッチングマスクとなって、出力反射膜9の表面
の中央部が露出するまでほぼ垂直にカーボン含有の高分
子(フジハント製、CK−2000)44が除去される
(図2(g))。この時点で、前記軒形状の下部に高分
子が埋め込まれ、絶縁層10が形成される。尚、金属反
射膜8の表面の高分子残部を除去するために、酸に浸漬
した状態で擦り、その後、水洗を施す。以上により、図
1に示す空間光変調素子16のうち光導電層6を有する
一方の基板が得られる。必要であれば、さらにアルミニ
ウム薄膜等の金属反射膜45を全面に成膜する(図2
(h))。
【0052】次いで、このようにして得られた基板と他
方の基板の上にポリイミド配向膜12を積層する。配向
処理(ラビング処理)はナイロン布で表面を一定方向に
擦ることによって行う。次いで、他方のガラス基板15
上に、イソプロピールアルコール中に分散させた直径1
μmのビーズ13をスプレーによって撒く。その後、両
ガラス基板1、15の周囲をUV硬化樹脂で封入し、液
晶セルを作製する。そして、この液晶セルに真空中で強
誘電性液晶ZLI−3654(メルク社製:△n=0.
13)を注入し、その後、均一配向を得るためにZLI
−3654の相転移温度以上の温度に加熱し、1℃/分
以下の徐冷速度で室温に戻し、再配向させる。これによ
り、両基板間に、1μm厚の強誘電性液晶層11が形成
される。
【0053】以上により、図1の構造を有する空間光変
調素子16が得られる。図3に、印加した駆動電圧パル
スと、入力光(書き込み光)として単色光(波長;55
0nm)を用いた場合の画素からの出力光の強度の時間
変化を示す。これに基づき、偏光方向が互いに直交する
ように偏光子19と検光子20を配置し、空間光変調素
子16の動作を評価した。ダイオード構造を有するアモ
ルファスシリコン受光層(光導電層)6の電圧−電流特
性を図4に示す。順方向バイアス時には大きな暗時電流
が流れ、逆バイアス時(+1.0V以下)には、量子効
率=1の理想的な光電流が発生していることが分かる。
光照射は550nmであり、膜中を電子が走行する場合
である。長波長光の光入力に対しては正孔輸送があり、
量子効率と応答速度の低下を招く。図3の駆動において
順方向バイアスとなる正電圧印加時(+15V、パルス
幅100μsec)には、強誘電性液晶層11に大きな
電圧が印加され、パルス除去後も入力光がない場合はO
FF状態を維持するメモリーを示す(図3(a))。一
方、逆方向バイアスとなる負電圧印加時(−2V、パル
ス幅900μsec)には、その入力光18の強度変化
に応じてアモルファスシリコン受光層(光導電層)6で
発生する電荷が金属反射膜8に運ばれ、その結果、強誘
電性液晶層11に印加される電圧が変化する。この変化
に伴って強誘電性液晶層11の配向はON状態へと変化
する。この液晶配向は、入力光18の強度が強くなって
単位時間当たりに発生する電荷量が増加すると、その過
渡応答が速くなる。従って、時間平均する反射光強度変
化は中間調を持つことになる(図3(b)〜(e))。
尚、連続的に駆動させても、この応答特性が変化するこ
とはない。
【0054】図5に、入力光強度に対する出力光強度
(時間平均)の変化を示す。入力光(書き込み光)18
の強度が数十μW/cm2 以上であれば、出力光22の
立ち上がりが観測され、入力光強度が小さくても十分に
動作することが確認された。このことは、低光照度領域
(100〜1000μW/cm2 )で中間調の出力があ
り、階調を有する投写型ディスプレイの空間光変調素子
として使用できることを意味している。最大出力光強度
は、画素電極での反射率Re 、強誘電性液晶11の配向
率Af 、メモリー率M、開口率Ar 、時間応答率Tav
積算で決まる。試作した空間光変調素子16は、Re ×
f =0.9、M=0.8、Ar =0.85、Tav
0.8であり、全反射率=0.49であった。
【0055】図6に、読み出し光の照度に対する出力光
のコントラスト比(光書き込み有りの出力/光書き込み
無しの出力)の変化を示す。100万lx以上の照度に
対しても、そのコントラスト比は200:1を維持して
いる。空間光変調素子16の開口率は85%であるた
め、画素間の表示面積に占める割合は15%であるが、
この部分の配向状態が常にON状態であると、コントラ
スト比は100/15=6.7となってしまう。この
点、本実施例1の空間光変調素子16においては、画素
間の強誘電性液晶層11の層厚(2μm)を、画素上の
強誘電性液晶層11の層厚(1μm)の2倍に設定する
ことによって、OFF状態に固定している。これによ
り、250:1という高いコントラスト比を維持するこ
とができる。また、遮光層であるカーボン含有の高分子
(絶縁層)10による読み出し光21の吸収を最小限に
抑えることができ、基板温度を40℃以下に維持するこ
とができるようになった。このため、用いた強誘電性液
晶;ZLI−3654のスメクチックC相からスメクチ
ックA相への相転移温度;62℃に対して基板温度を十
分低く保持することができ、その結果、高品質な表示が
可能となった。
【0056】以上のようにして作製した空間光変調素子
を投写型ディスプレイとして評価した。図7に投写型デ
ィスプレイ装置の模式図を示す。
【0057】空間光変調素子16に、液晶ディスプレイ
25によって光書き込みを行う。液晶ディスプレイ25
の画像はセルフォックレンズアレイ26(日本板ガラス
製、44×44個(1mm径ファイバー)、有効面積5
0mm×50mm)によって空間光変調素子16の画素
に書き込まれる。表示に用いた液晶ディスプレイ25の
画素数は縦480横650である(画素ピッチ縦80μ
m、横60μm、開口率40%)。読み出し用の光源2
7(メタルハライドランプ、効率80lm/W、250
W)をコンデンサーレンズ28、偏光ビームスプリッタ
29を介して空間光変調素子16に照射する。出力像は
レンズ30で拡大されスクリーン31に映し出される。
ここで、スクリーンゲインは1とした。尚、図7中、3
2は書き込み用の光源である。
【0058】液晶ディスプレイ25の一画素は平均7.
6画素の空間光変調素子16の画素で表示される。空間
光変調素子16の開口率は85%と大きいが、書き込み
の画素が粗いためにスクリーン31上での表示は開口率
40%となる。全面白の状態を100インチ相当の大き
さに拡大した像はスクリーン31上で2000lmの光
束を持つ。よってその光効率は8lm/Wと大きな値を
実現した。光源27の効率が80lm/Wであるから、
投入光の10%を表示できる高効率システムであること
が分かる。液晶表示の画像をスクリーン31上に映し出
すと、2000lm×0.4(液晶ディスプレイ25の
開口率)=800lmであった。従って、光効率は3.
2lm/Wである。また、スクリーン31上での動画像
のコントラスト比は150:1、解像度は縦方向650
本TVライイ数であることが確認された。スクリーン3
1上のコントラスト比を決定するのは、使用する偏光ビ
ームスプリッタ29の特性である。理想的な偏光ビーム
スプリッタ29を用いれば、コントラスト比が200:
1の画像をスクリーン31上で得ることができると考え
られる。このことは、空間光変調素子16の解像度が5
0lp/mmであることを意味している。また、動画像
を出力したところ、ビデオレートの動きに対して残像は
なく鮮明な高輝度画像が得られた。
【0059】図8に、投写システムにおける画像表示の
時間変化を示す。液晶表示素子のi番目の画素(図8
(a))、(i+1)番目の画素(図8(b))に示す
ビデオレート(1周期;16.7msec)のTV画像
信号の表示状態に対し、空間光変調素子16は同期をと
る必要はないので、図8(c)に示すパルス電圧を印加
することによってその駆動を行った(1周期;1mse
c)。すると、空間光変調素子16の液晶表示素子に対
応する画素表示は図8(d)、(e)のようになり、ビ
デオレート一周期の画像を16〜17回で分割再現する
ことができた。階調は、すでに図3に示したように、各
パルス時間内(1msec)の過渡的時間応答の変化で
再現される。入力光強度に対してアナログ変換するた
め、入力−出力の応答特性の補正によって液晶表示素子
で書き込まれ、正しく256階調が表現される。
【0060】カラー画像を得るために、RGBそれぞれ
に対応した光書き込み用の液晶表示素子と空間光変調素
子をセットにしたものを3組用意し、スクリーン上で合
成した。その結果、良好なカラー映像をきめ細かく再現
することができた。
【0061】(実施例2)上記実施例1と同様にして図
2に示す方法により、他の空間光変調素子を作製した。
すなわち、図2の最終工程(h)を付け加えることによ
り、遮光度の向上を図った。最終工程(h)で蒸着する
アルミニウム薄膜(金属反射膜)45の最大膜厚は、画
素分離電極7であるクロム膜の軒部分と画素間の金属反
射膜45が接しない、という条件で決定される。上記し
たように、光導電層6のエッチング深さは1.0μm、
出力遮光膜9の膜厚は3000オングストロームである
から、本実施例2におけるアルミニウム薄膜の最大膜厚
は0.7μmである。
【0062】表1に、追加成膜したアルミニウム膜厚
(dA )に対する素子の遮光度を示す。尚、遮光度は、
コントラスト比を維持できる最大読み出し照射光の照度
として定義した。また、表1には軒下部の高さH=0.
7−dA (μm)を付記した。
【0063】
【表1】
【0064】追加成膜されるアルミニウム薄膜の膜厚増
加に伴って遮光度が向上していることが分かる。尚、全
体に一定の膜厚dA が足されるため、画素間部分と画素
部分の強誘電性液晶層11の厚みは2:1に維持され
る。従って、250:1という高いコントラスト比がす
べての場合に維持されることとなる。
【0065】(実施例3)図9は本発明に係る空間光変
調素子の他の実施例を示す断面図である。図9に示す空
間光変調素子34の構成は、図1の空間光変調素子16
の構成に加え、他方の透明絶縁性基板15上にクロム薄
膜(膜厚;1000オングストローム)からなるブラッ
クマトリックス33を導入したものである。このブラッ
クマトリックス33は、画素間に入力される読み出し光
21を反射するためのものである。このようにブラック
マトリックス33を導入することにより、遮光度を50
%も向上させることができた。このように遮光度の向上
が大きいため、投写システムにおいては輝度の向上を図
ることができる。但し、開口率は対向側のパターン精度
で決まるため、画素パターンの場合の(23μm/25
μm)2 =0.845に対してブラックマトリックスパ
ターンの場合には(21μm/25μm)2 =0.70
6となり、開口率は15%だけ低下することとなる。
【0066】(実施例4)図10に、光書き込み用の液
晶表示素子と本発明の空間光変調素子とを組合わせた投
写型表示装置の画素部の概略図を示す。表示に用いた液
晶表示素子の開口率は40%であり、画素35の配置さ
れるピッチ(80μm×60μm)に併せて空間光変調
素子の画素36を配置した。縦480横650の各画素
は78μm×58μmと設計した。有効受光面積は縦3
8.4mm横39.0mmとなる。また、開口率は9
4.25%となり、画素形状変換で2.3倍以上の広が
りを実現することができた。尚、開口率のために、光書
き込みのエネルギーは図5の入力光強度の値に対して
2.5倍必要である。上記実施例1の図7に示した投写
システムにおいてスクリーン31上での輝度はさらに明
るくなった。実施例1ではスクリーン31上で800l
mの光束であったが、本実施例4では1900lmと
2.4倍の光束が得られ、光効率が7.6lm/Wとい
う優れた投写システムを構築することができた。
【0067】投写システムの光効率を詳細に評価したと
ころ、以下のような結果を得た。光源で20000lm
の光束が偏光ビームスプリッタに入力すると、60%の
12000lmとなる。このうち50%の偏光成分;6
000lmが空間光変調素子に入力される。実施例1の
素子の評価で示したように、反射率54%である。この
値は開口率の部分を補正した値である。拡大光学系で3
260lmの58%がスクリーン上に投影される。
【0068】(実施例5)画素の大きさが10μm×1
0μm、画素間幅が2μmのパターン形成を行なった。
また、画素数は20000×20000=4×108
した。一画素ごとの光駆動を確認し、解像度も100l
p/mmを実現した。
【0069】この空間光変調素子37を用いて、図11
に示すホログラフィーテレビジョン装置を組み立てたと
ころ、実時間で表示される立体画像の再生を確認した。
コヒーレント光のHe−Neレーザー38aを用いて被
写体39を照射し、コリメータ40を通しての参照光と
共にCCD41の撮像面上に干渉縞パターンを形成し
た。この画像データをCRT42に転送し空間光変調素
子37に光書き込みして干渉縞パターンを再現した。読
み出しにはコヒーレント光のHe−Neレーザー38b
を使用し反射モードで立体像を観測した。尚、図11
中、43は偏光ビームスプリッタである。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る空間
光変調素子によれば、強誘電性液晶層側から照射される
読み出し光の大部分を第二の金属反射膜で反射させるこ
とができるので、遮光能力が高く反射能力の優れた空間
光変調素子を実現することができる。また、軒形状の下
部に埋め込まれた絶縁層は、基板に対して斜めより入射
する光だけを吸収し、第一の金属反射膜の下部に位置す
る光導電層に読み出し光が漏れ入ることを防止すること
ができる。さらに、この空間光変調素子を用いてホログ
ラフィーテレビジョン装置を作製すれば、実時間で鮮明
な立体像を得ることができる。
【0071】また、前記構成において、一対の電極を有
する基板の一方が光導電層を有し、他方の基板が可視光
を通過させる部分と第三の金属反射膜とを有するという
好ましい構成によれば、強誘電性液晶層を通過して画素
間の窪み低部に位置する第二の金属反射膜に入射する読
み出し光を反射することができるので、遮光度を向上さ
せることができ、その結果、投写システムにおいて輝度
の向上を図ることができる。
【0072】また、前記構成において、第二の金属反射
膜上の強誘電性液晶層の層厚が画素上の強誘電性液晶層
の略2倍であるという好ましい構成によれば、軒形状の
下部に埋め込まれた絶縁層での光吸収が低減され、強誘
電性液晶層のスメクチックC相からスメクチックA相へ
の相転移温度に対して基板温度を十分低く保持すること
ができるので、高品質な表示が可能となる。
【0073】本発明に係る空間光変調素子の製造方法の
構成によれば、前記構成を備えた空間光変調素子を効率
良く合理的に作製することができる。本発明に係る投写
型表示装置の構成によれば、入力素子の画素を大きな画
素に変換することができ、その結果、光効率の高い優れ
た投写システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空間光変調素子の一実施例を示す
断面図である。
【図2】本発明に係る空間光変調素子の製造方法の一実
施例を示す工程図である。
【図3】駆動電圧パルスと画素からの出力光の強度の時
間変化を示す図である。
【図4】ダイオード構造アモルファスシリコン受光層の
電圧−電流特性図である。
【図5】入力光の強度に対する出力光の強度変化を示す
図である。
【図6】読み出し光の照度に対するコントラスト比の変
化を示す図である。
【図7】本発明に係る空間光変調素子を用いて作製した
投写型ディスプレイ装置の模式図である。
【図8】投写システムにおける画像表示の時間変化を示
す図である。
【図9】本発明に係る空間光変調素子の他の実施例を示
す断面図である。
【図10】光書き込み用の液晶表示素子と本発明に係る
空間光変調素子とを組合わせた投写型表示装置の画素部
の概略図である。
【図11】本発明に係る空間光変調素子を用いて作製し
たホログラフィーテレビジョン装置の模式図である。
【符号の説明】
1、15 透明絶縁性基板 2、14 透明導電性電極 6 光導電層 7 画素分離電極 8 金属反射膜 9 出力遮光膜 10 絶縁層 11 強誘電性液晶層 12 配向膜 16、34 空間光変調素子 17 パルス電圧 18 書き込み光(入力光) 19 偏光子 20 検光子 21 読み出し光 22 出力光 33 ブラックマトリックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 幸生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 朝山 純子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小川 久仁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 整流性を有する光導電層と、強誘電性液
    晶層と、これらの層の間の同一平面内に設けられ、かつ
    微小形状に分割された第一の金属反射膜と、この平面と
    は異なる平面内に設けられ、前記第一の金属反射膜の間
    に位置する第二の金属反射膜とを少なくとも備えた空間
    光変調素子であって、前記第一の金属反射膜と前記第二
    の金属反射膜との間の一部に絶縁層が存在することを特
    徴とする空間光変調素子。
  2. 【請求項2】 一対の電極を有する基板の一方が光導電
    層を有し、他方の基板が可視光を通過させる部分と第三
    の金属反射膜とを有する請求項1に記載の空間光変調素
    子。
  3. 【請求項3】 第二の金属反射膜上の強誘電性液晶層の
    層厚が画素上の強誘電性液晶層の層厚の略2倍である請
    求項1に記載の空間光変調素子。
  4. 【請求項4】 整流性を有する光導電層上に微小形状に
    分割した第一の金属反射膜を成膜し、この第一の金属反
    射膜をエッチングマスクとする等方的なエッチングによ
    り光導電層の一部を除去して窪みを形成した後、前記窪
    みの底部分に第二の金属反射膜を成膜し、窪み部分に絶
    縁層を埋め込み、酸素を含む気体を用いた反応性イオン
    エッチングによって前記絶縁層の一部を除去する空間光
    変調素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 第一及び第二の金属反射膜の上に、さら
    に別の金属反射膜を成膜する工程を含む請求項4に記載
    の空間光変調素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 光導電層がアモルファスシリコンである
    請求項1に記載の空間光変調素子又は請求項4に記載の
    空間光変調素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 絶縁層が可視波長の一部を吸収する高分
    子を主成分とする請求項1に記載の空間光変調素子又は
    請求項4に記載の空間光変調素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 整流性を有する光導電層と、強誘電性液
    晶層と、これらの層の間の同一平面内に設けられ、かつ
    微小形状に分割された第一の金属反射膜と、この平面と
    は異なる平面内に設けられ、前記第一の金属反射膜の間
    に位置する第二の金属反射膜とを少なくとも有し、前記
    第一の金属反射膜と前記第二の金属反射膜との間の一部
    に絶縁層が存在する空間光変調素子と、光書き込み用の
    液晶表示素子とを少なくとも備えてなる投写型表示装置
    であって、前記空間光変調素子の微小形状に分割された
    第一の金属反射膜の下部に位置する光導電層に、前記液
    晶表示素子の一画素からの表示が一つだけ光書き込みさ
    れる投写型表示装置。
JP5058474A 1993-03-18 1993-03-18 空間光変調素子及びその製造方法並びに投写型表示装置 Pending JPH06273793A (ja)

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