JPH08143947A - 端面又はフランジ面焼入コイル - Google Patents

端面又はフランジ面焼入コイル

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JPH08143947A
JPH08143947A JP6315769A JP31576994A JPH08143947A JP H08143947 A JPH08143947 A JP H08143947A JP 6315769 A JP6315769 A JP 6315769A JP 31576994 A JP31576994 A JP 31576994A JP H08143947 A JPH08143947 A JP H08143947A
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arc
coil
heating
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Hiyoshi Watanabe
日吉 渡邊
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Fuji Electronics Industry Co Ltd
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P10/25Process efficiency

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 端面又はフランジ面である被焼入面を焼入す
るために、被焼入面に対向する加熱導体により、被焼入
面を均一に加熱する。加熱中に被焼入面を目視観察でき
るようにする。加熱導体から被焼入面までのギャップの
管理を簡単にする。加熱導体に冷却液を噴出するための
ジャケットを取付けることができるようにする。被焼入
面の中心部に設けられた軸体や軸孔の周面を、被焼入面
と同時にバランスよく加熱する。 【構成】 加熱導体として円弧部10を用いる。円弧部
10は半径が段階的に変化する複数の小円弧部11〜1
5からなる。半径が最大の小円弧部11は被焼入面の最
外周部に対向し、半径が最小の小円弧部15は被焼入面
の最内周部に対向する。小円弧部11〜15の周長は、
半径が小さいものほど短くなっている。被焼入面の中心
部に設けられた軸体や軸孔の周面を加熱するために、円
弧部10の中心位置に半開放鞍型部20を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークの被焼入面であ
る端面又はフランジ面を焼入するためにその被焼入面を
高周波誘導加熱する端面又はフランジ面焼入コイルに関
する。
【0002】
【従来の技術】ワークの被焼入面である端面又はフラン
ジ面を焼入する場合、従来はパンケーキ型の焼入コイル
が使用されている。この焼入コイルは、図8(A)に示
すように、銅製の丸管をパンケーキのように何回も巻い
て形成した加熱導体1を具備する。焼入の際には、この
加熱導体1をワークWの被焼入面WAに対向させ、ワー
クWを回転させながら加熱導体1に高周波電流を流し
て、被焼入面WA全体を誘導加熱する。加熱が終わる
と、被焼入面WAから加熱導体1を遠ざけて、被焼入面
WAに冷却液を吹き付ける。被焼入面WAに焼きむらが
生じないように、加熱導体1においては丸管が殆ど隙間
のない状態で巻かれている。
【0003】ワークWによっては、被焼入面WAだけで
なく、被焼入面WAの中心部に突設された軸体WBの付
け根部外面を端面と共に焼入する場合や、被焼入面WA
の中心部に開設された軸孔WCの入口部内面を被焼入面
WAと共に焼入する場合もある。これらの場合は、図8
(B)、(C)に示すように、丸管をコイル状に巻いて
形成した副加熱導体2を加熱導体1の中心部に付設した
焼入コイルが使用される。そして、その副加熱導体2を
軸体WBの付け根部外面に対向させたり、軸孔WCの入
口部内面に対向させたりすることにより、これらの周面
を被焼入面WAと同時に加熱する。
【0004】また、図8(D)、(E)、(F)に示す
ように、円錐状に傾斜した被焼入面WAを焼入する場合
もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】パンケーキ型の焼入コ
イルを使用した従来の焼入においては、その焼入コイル
の構成に起因して次のような問題がある。
【0006】加熱導体1を構成する丸管間に隙間が殆ど
ないため、加熱時に被焼入面WAが加熱導体1によって
覆い隠され、被焼入面WAを十分に観察できない。その
ため、目視による加熱温度(焼け具合)の判定が困難で
ある。
【0007】加熱導体1から被焼入面WAまでの距離
(ギャップ)を一定とした場合、被焼入面WAの外周部
の方が内周部より高温となり、被焼入面WAが均一に加
熱されない。そのため、加熱導体1の外周部から内周部
に向かうにつれてギャップが小さくなるようにギャップ
調整が行われるが、その調整が困難である。そのため、
被焼入面WAの不均一加熱が避けられない。この問題
は、被焼入面WAが円錐状に傾斜している場合に特に顕
著となる。
【0008】加熱導体1を構成する丸管間に隙間がない
ため、加熱した被焼入面WAに冷却液を吹き付ける際
に、焼入コイル或いはワークWを移動させる必要があ
る。また、加熱導体1に加熱促進のための例えばフェラ
イト等からなるコアを付けることもできない。
【0009】軸体WBの外面や軸孔WCの内面を同時加
熱する場合、その加熱にコイル状の副加熱導体2が使用
されるため、被焼入面WAよりもこれらの部分の方が先
に温度上昇する傾向が強く、被焼入面WAとそれ以外の
部分との温度バランスをとることが難しい。
【0010】本発明はかかる事情に鑑みて創案されたも
のであり、被焼入面である端面又はフランジ面の焼け具
合を直接目視でき、しかも被焼入面を簡単に均一加熱で
きる端面又はフランジ面焼入コイルを提供することを目
的とする。
【0011】本発明のさらに別の目的は、被焼入面の中
心部に設けられた軸体の外面や軸孔の内面を同時加熱す
る場合に、それらの部分と被焼入面との加熱温度を簡単
にバランスさせることができる端面又はフランジ面焼入
コイルを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる端面又は
フランジ面焼入コイルは、ワークの被焼入面である端面
又はフランジ面を焼入するためにその被焼入面を高周波
誘導加熱するコイルであって、前記被焼入面に対向する
加熱導体として、一端部が前記被焼入面の外周部に対向
し、他端部が前記被焼入面の内周部に対向するように、
半径が一端部から他端部へ向かうに連れて段階的または
連続的に減少すると共に、他端部に近づくほど半径の減
少度が大となる円弧部を具備することを特徴としてい
る。
【0013】また、請求項2に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、被焼入面を半径方向に等長分割したと
きに被焼入面に形成される複数のトラックに対応して段
階的に半径が減少する複数の小円弧部により前記円弧部
を形成し、円弧部の中心から複数の小円弧部をそれぞれ
見込む角度を、小円弧部が対応するトラックの面積にほ
ぼ比例させたものである。
【0014】また、請求項3に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、ワークの被焼入面とその被焼入面中心
部に突設された軸体の付け根部外面とを同時に高周波誘
導加熱するため、前記円弧部の中心位置に、前記円弧部
に直列に接続され、かつ前記軸体の付け根部外面に対向
するように中心軸方向に突出する半開放鞍形部を設けた
ものである。
【0015】また、請求項4に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、ワークの被焼入面とその被焼入面中心
部に開設された軸孔の入口部内面とを同時に高周波誘導
加熱するため、前記円弧部の中心位置に、前記円弧部に
直列に接続され、かつ前記軸孔の入口部内面に対向する
ように中心軸方向に突出する半開放鞍形部を設けたもの
である。
【0016】さらに、請求項5に記載の端面又はフラン
ジ面焼入コイルは、円錐状に傾斜した被焼入面を高周波
誘導加熱するため、前記被焼入面までの距離が各部でほ
ぼ一定となるように、前記円弧部を傾斜させたものであ
る。
【0017】
【作用】本発明にかかる端面又はフランジ面焼入コイル
においては、加熱導体の円弧部が被焼入面に部分的に対
向する。この状態で被焼入面を回転させながら加熱導体
に高周波電流を流すことにより、被焼入面が加熱され
る。ここで、円弧部は被焼入面の外周部から内周部にか
けて対向する。また、内周部に向かうほど半径の減少度
が大となり、被焼入面の外周部と内周部の面積差が吸収
される。そのため、円弧部が被焼入面に部分的に対向す
るにもかかわらず、被焼入面の均一加熱が可能となる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の1実施例を示す端面又はフランジ
面焼入コイルの斜視図、図2は同コイルの底面図、図3
は同コイルの正面図、図4は同コイルを付属部材と組み
合わせた状態を示す底面図、図5は円弧部の設計方法を
説明するための模式平面図である。
【0019】ここに示された端面又はフランジ面焼入コ
イルは、被焼入面WAの中心部に軸孔WCが形成されか
つその被焼入面WAが円錐状に傾斜したワークWの、被
焼入面WAから軸孔WCの入口部内面にかけての部分を
同時加熱するのに使用される。
【0020】本実施例に係る端面又はフランジ面焼入コ
イルは、図1〜図3に示すように、ワークWの被焼入面
WAを加熱する加熱導体として、その被焼入面WAに半
周にわたって対向する円弧部10を具備する。また、軸
孔WCの入口部内面を加熱する副加熱導体として、円弧
部10の中心位置に突設された半開放鞍型部20を具備
する。
【0021】さらに、これらに給電を行う給電導体とし
て、円弧部10の中心位置から半開放鞍型部20の反対
側に延出した一対のL形リード部30、30を具備す
る。これらは、後述する直線部40と共に銅製の角管に
より構成されて、端面又はフランジ面焼入コイルを形成
している。
【0022】円弧部10は、中心からの距離(半径)が
段階的に小さくなる複数の定半径の小円弧部11〜15
を繋いだ形状になっている。半径の最も大きい小円弧部
11は被焼入面WAの最外周部に対向し、半径の最も小
さい小円弧部15は、被焼入面WAの最内周部に対向す
る。そして、小円弧部11〜15を中心から見込む角度
は、半径の大きいものから小さいものへ段階的に小さく
なっている。つまり、小円弧部11〜15の半径の減少
度は、大半径側から小半径側へ向かうほど大となってい
る。なお、小円弧部11〜15の具体的な設計方法につ
いては後で詳しく説明する。
【0023】半開放鞍型部20は、円弧部10の中心に
対して同心とされた半円部21と、半円部21の両端部
から中心軸方向に延出した一対の直線部22、22とか
らなる。これらは、ワークWの被焼入面WAに円弧部1
0を対向させたときに、軸孔WCに装入されてその入口
部内面に対向するようになっている。
【0024】円弧部10の大半径側の端部は、円弧部1
0の半径方向に延びる直線部40を介して、一方のL形
リード部30の一端部と接続されている。円弧部10の
小半径側の端部は、半開放鞍型部20の一方の直線部2
2の端部に接続されている。半開放鞍型部20の他方の
直線部22の端部は、他方のL形リード部30の一端部
に接続されている。L形リード部30、30の各他端部
は、絶縁材を介して重ね合わせた給電用の端子板50、
50に接合されると共に、通水用の口金60、60と接
続されている。
【0025】円弧部10および直線部40は、被焼入面
WAまでの距離が各部で一定となるように、被焼入面W
Aの傾斜に応じて傾斜している(図3参照)。
【0026】この端面又はフランジ面焼入コイルは、図
4に示すように、略扇形をした3つの冷却液噴射ジャケ
ット80、80、80および例えばフェライト等からな
る多数の加熱促進用コア70と組み合わされている。
【0027】一方の冷却液噴射ジャケット80は、円弧
部10の中心を挟んでその反対側に配設されており、他
方の冷却液噴射ジャケット80は、円弧部10の小半径
部分の外側に配設されている。また、その他の冷却液噴
射ジャケット80は、円弧部10の小半径部分の上部に
配設されている。いずれの冷却液噴射ジャケット80
も、円弧部10と同じ平面上にあってワークWの被焼入
面WAに対向し、その対向面に多数の冷却液噴射孔を有
する。多数の加熱促進用コア70は、円弧部10および
直線部40の両側面に沿って配設されている。
【0028】焼入を行うときは、図3に示すように、ワ
ークWの被焼入面WAに円弧部10を対向させ、軸孔W
Cの入口部内面に半開放鞍型部20を対向させる。この
状態で、ワークWを中心軸回りに回転させながら、端面
又はフランジ面焼入コイルに高周波電流を流す。これに
より、ワークWの被焼入面WAから軸孔WCの入口部内
面にかけての部分が同時加熱される。
【0029】このとき、円弧部10は被焼入面WAの外
周部から内周部にかけて対向し、かつ、小円弧部11〜
15は大半径側から小半径側へ向かうほど周長が短くな
っているので、被焼入面WAを均一に加熱することがで
きる。その理由は次に説明する円弧部10の設計方法の
ところで明らかにする。
【0030】このように、被焼入面WAが均一に加熱さ
れることにより、円弧部10から被焼入面WAまでの距
離は各部で一定でよく、その厳密な調整管理を必要とし
ない。また、半開放鞍型部20は従来の技術の欄におい
て説明した焼入コイルのようなコイル状の副加熱導体と
異なり、軸孔WCの入口部内面を被焼入面WAとバラン
スよく加熱することができる。さらにまた、冷却液噴射
ジャケット80、80、80や加熱促進用コア70と組
み合わせてもなお加熱導体としての円弧部10の周囲に
広い隙間が存在しているので、その隙間を通して加熱中
に被焼入面WAの温度(焼け具合)を目視観察すること
かできる。
【0031】加熱が終わると、端面又はフランジ面焼入
コイルを退避させることなく、その端面又はフランジ面
焼入コイルに組み合わされた冷却液噴射ジャケット8
0、80、80から冷却液を噴射する。冷却噴射ジャケ
ット80、80、80は、円弧部10や直線部40或い
は加熱促進用コア70を避けた位置に設けられているの
で、冷却液がワークWの被焼入面WAに直接噴射される
ことになる。かくして、冷却液を噴射するときの端面又
はフランジ面焼入コイルやワークWの移動が不要にな
る。
【0032】次に、図5を参照して円弧部10の設計方
法について説明する。
【0033】円弧部10を構成する角管の幅をHとし、
ワークWの被焼入面WAの外径をDA、内径をDBとす
る。被焼入面WAの半径方向に並べることができる角管
の数は、(DA−DB)/2Hで表される。この数が円
弧部10の段数n、すなわち小円弧部11〜15の数と
なる。そこで、被焼入面WAを半径方向へn段に等分割
する。そうすると、被焼入面WAの外周から内周へn本
のトラックT1〜T5が形成される。小円弧部11〜1
5はトラックT1〜T5上にそれぞれ位置し、各トラッ
クの加熱を担当する。
【0034】ここで、トラックT1〜T5の面積をA1
〜A5とし、円弧部10を中心から見込む角度をθとす
ると、トラックT1〜T5の面積A1〜A5に応じて円
弧部10の角度θを比例配分したものが小円弧部11〜
15の各角度θ1〜θ5となる。つまり、トラックT1
〜T5の面積A1〜A5の各逆数と小円弧部11〜15
の各角度θ1〜θ5との積を全て同じとするのである。
【0035】今、例えば、角管の幅Hを10mm、ワー
クWの被焼入面WAの外径DAを200mm、内径DB
を100mm、円弧部10の角度θを180°として、
小円弧部11〜15の角度θ1〜θ5を計算して見る。
【0036】円弧部10の段数n、すなわち小円弧部1
1〜15の数は5となり、トラックT1〜T5の面積A
1〜A5はそれぞれ2983mm2 、2669mm2 、23
55mm2 、2041mm2 、1727mm2 となる。被焼入
面WAの全面積(A+B+C+D+E)に占めるこれら
の割合は、25.33%、22.67%、20.00
%、17.33%、14.67%であるから、小円弧部
11〜15の角度θ1〜θ5は、46°、41°、36
°、31°、26°となる。
【0037】このように、小円弧部11〜15の角度θ
1〜θ5を、小円弧部11〜15が担当するトラックT
1〜T5の面積A1〜A5に比例したものにすることに
より、トラックT1〜T5の加熱が均一になり、その結
果、被焼入面WA全体が均一加熱される。
【0038】円弧部10の角度θは180°に限るもの
ではなく、360°以下の範囲で適宜選択することがで
きる。また、周辺部材に影響を及ぼさない範囲内であれ
ば360°を越えてもよい。
【0039】なお、本実施例では円弧部10を半径が段
階的に変化する複数の小円弧部11〜15により構成し
ているが、円弧部10の半径を連続的に変化させること
もできる。その場合は、図5に2点鎖線で示すように、
小円弧部11〜15の各接続部の中点a、b、c、dを
通るような曲線で円弧部10を形成すればよい。そうす
ることにより、円弧部10を半径が段階的に変化する複
数の小円弧部11〜15により構成した場合と同様に、
被焼入面WA全体が均一加熱される。
【0040】図6は本発明の他の実施例を示す端面又は
フランジ面焼入コイルの正面図、図7は同コイルの平面
図である。
【0041】本実施例に係る端面又はフランジ面焼入コ
イルは、図6に示すように、被焼入面WAの中心部に軸
体WBが形成され、かつその被焼入面WAが円錐状に傾
斜したワークWの、被焼入面WAから軸体WBの付け根
部外面にかけての部分を同時加熱するのに使用されるも
のである。
【0042】かかる端面又はフランジ面焼入コイルは、
ワークWの被焼入面WAを加熱する加熱導体として、そ
の被焼入面WAに半周にわたって対向する円弧部10を
具備し、軸体WBの付け根部外面を加熱する副加熱導体
として、円弧部10の中心位置に突設された半開放鞍型
部20を具備する。
【0043】半開放鞍型部20は、円弧部10を被焼入
面WAに対向させたときに、軸体WBの付け根部外面を
包囲するようになっている。他の構成は、前述した実施
例と実質的に同一であるので、同一部分に同一番号を付
して説明を省略する。
【0044】前述した2つの実施例は、被焼入面WAが
傾斜しその被焼入面WAに軸体WBや軸孔WCが形成さ
れたワークWを対象としたものであるが、本発明は図8
(A)に示すような平坦な被焼入面WAを持つワークW
の被焼入面WAを加熱することも、また、図8(B)、
(C)に示すような平坦な被焼入面WAの中央部に軸体
WBや軸孔WCが設けられたワークWの被焼入面WAと
軸体WBや軸孔WCの周面との同時加熱、さらには、図
8(D)に示すような被焼入面WAが円錐状に傾斜した
ワークWの被焼入面WAの加熱にも適用することが可能
である。
【0045】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明にかかる端
面又はフランジ面焼入コイルは、被焼入面である端面又
はフランジ面を加熱する加熱導体として被焼入面に部分
的に対向する円弧部を用いるので、加熱時に被焼入面を
目視観察でき、加熱温度(焼け具合)の判定が容易であ
る。加熱導体に冷却液噴射ジャケットを組み合わせるこ
とができるので、被焼入面に冷却液を吹き付ける際に、
コイル或いはワークを移動させる必要がない。加熱導体
に加熱促進用コアを付けることもできる。また、被焼入
面に部分的に対向する円弧部を用いるにもかかわらず、
その被焼入面を均一加熱できるので、被焼入面が傾斜し
ている場合にも加熱導体から被焼入面までのギャップの
調整管理が容易である。
【0046】また、請求項2に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、円弧部を半径が段階的に変化する複数
の小円弧部により構成し、各小円弧部が担当する被焼入
面上のトラック面積に応じて各小円弧部の角度を設定し
たので、被焼入面を特に均一に加熱できる。
【0047】また、請求項3に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、被焼入面の中央部に設けられた軸体の
付け根部外面を加熱するために、円弧部の中心位置に半
開放鞍型部を付設したので、被焼入面から軸体の付け根
部外面にかけての部分をバランスよく同時加熱できる。
【0048】また、請求項4に記載の端面又はフランジ
面焼入コイルは、被焼入面の中央部に設けられた軸孔の
入口部内面を加熱するために、円弧部の中心位置に半開
放鞍型部を付設したので、被焼入面から軸孔の入口部内
面にかけての部分をバランスよく同時加熱できる。
【0049】さらに、請求項5に記載の端面又はフラン
ジ面焼入コイルは、ワークの被焼入面の傾斜に応じて円
弧部を傾斜させたので、傾斜した被焼入面を均一加熱す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す端面又はフランジ面焼
入コイルの斜視図てある。
【図2】同コイルの底面図である。
【図3】同コイルの正面図である。
【図4】同コイルを付属部材と組み合わせた状態を示す
底面図である。
【図5】円弧部の設計方法を説明するための模式平面図
である。
【図6】本発明の他の実施例を示す端面又はフランジ面
焼入コイルの正面図である。
【図7】同コイルの平面図である。
【図8】従来の焼入コイルおよび焼入対象ワークを示す
模式図である。
【符号の説明】
10 円弧部 11〜15 小円弧部 20 半開放鞍型部 30 L形リード部 40 直線部 70 加熱促進用コア 80 冷却液噴射ジャケット W ワーク WA (ワークの)被焼入面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの被焼入面である端面又はフラン
    ジ面を焼入するためにその被焼入面を高周波誘導加熱す
    るコイルであって、前記被焼入面に対向する加熱導体と
    して、一端部が前記被焼入面の外周部に対向し、他端部
    が前記被焼入面の内周部に対向するように、半径が一端
    部から他端部へ向かうに連れて段階的または連続的に減
    少すると共に、他端部に近づくほど半径の減少度が大と
    なる円弧部を具備することを特徴とする端面又はフラン
    ジ面焼入コイル。
  2. 【請求項2】 被焼入面を半径方向に等長分割したとき
    に被焼入面に形成される複数のトラックに対応して段階
    的に半径が減少する複数の小円弧部により前記円弧部を
    形成し、円弧部の中心から複数の小円弧部をそれぞれ見
    込む角度を、小円弧部が対応するトラックの面積にほぼ
    比例させたことを特徴とする請求項1に記載の端面又は
    フランジ面焼入コイル。
  3. 【請求項3】 ワークの被焼入面とその被焼入面中心部
    に突設された軸体の付け根部外面とを同時に高周波誘導
    加熱するため、前記円弧部の中心位置に、前記円弧部に
    直列に接続され、かつ前記軸体の付け根部外面に対向す
    るように中心軸方向に突出する半開放鞍形部を設けたこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の端面又はフラ
    ンジ面焼入コイル。
  4. 【請求項4】 ワークの被焼入面とその被焼入面中心部
    に開設された軸孔の入口部内面とを同時に高周波誘導加
    熱するため、前記円弧部の中心位置に、前記円弧部に直
    列に接続され、かつ前記軸孔の入口部内面に対向するよ
    うに中心軸方向に突出する半開放鞍形部を設けたことを
    特徴とする請求項1または2に記載の端面又はフランジ
    面焼入コイル。
  5. 【請求項5】 円錐状に傾斜した被焼入面を高周波誘導
    加熱するため、前記被焼入面までの距離が各部でほぼ一
    定となるように、前記円弧部を傾斜させたことを特徴と
    する請求項1、2、3または4に記載の端面又はフラン
    ジ面焼入コイル。
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