JPH08140431A - 田植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 苗植付装置を分割物して、夫々の分割物同士
の接触を回避しながら回動による格納姿勢への切換えを
可能に構成する。 【構成】 横方向に互いに離間可能なシフト部材に対し
て第１軸芯Ｘ１周りで回動自在にフレーム部材２７を備
え、このフレーム部材２７の回動端に第２軸芯Ｘ２周り
で回動自在に苗植付装置Ａの分割物ＡＬ，ＡＲを支持す
ることで、シフト部材夫々の離間状態において第１軸芯
Ｘ１周りでのフレーム部材２７を回動で分割物ＡＬ，Ａ
Ｒを走行機体の中央側へ移動させ、かつ、第２軸芯Ｘ２
周りでの回動で分割物ＡＬ，ＡＲの横方向の外端部を走
行機体の前方側に向かう格納姿勢への切換えを可能に構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗載せ台に載置された
苗を植付機構で切り出して圃場に植付ける作動を行う苗
植付装置を走行機体の後端に昇降自在に連結してある田
植機に関し、詳しくは、非作業時に苗植付装置の横方向
での寸法を小さくする技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記のように苗植付装置の横方向への寸
法を小さくする技術として実開平４‐１１３５２３号公
報に示されるものが存在し、この従来例では苗載せ台の
両端部を折り畳み自在に構成することにより、非作業時
には苗載せ台の両端部の折り畳み操作で苗載せ台の横方
向への寸法を小さくできるものとなっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】乗用型田植機の苗植付
装置は横方向への寸法が大きいため、路上走行時に障害
物との接触を回避する目的、あるいは、トラックに田植
機を積載して運搬する際に荷台の横幅内に収める目的か
ら８条植え等の多条植えの苗植付装置では横方向への寸
法を小さくするよう、従来例のような田植機も考えれら
れていた。しかし、この従来例の構成では苗載せ台の両
側部だけを折り畳む構成であるので、例えば、１０条植
え以上の多条植え用の苗植付装置を格納する際には横方
向への寸法をあまり小さくできず改善の余地があった。

【０００４】そこで、苗植付装置全体を左右に２分割自
在に構成し、縦向き姿勢の適当な軸芯周りでの回動によ
って苗植付装置の横方向を前後方向に向かう姿勢に変更
し、又、この分割物を左右方向で機体の中央側に寄せる
ことで格納時の苗植付装置の横方向への寸法を小さくす
ることも考えれる。しかし、このように縦向き姿勢の軸
芯周りで分割物を回動させる構造のものでは、苗植付装
置の横方向の寸法を比較的小さくできるものの、回動時
に分割された苗載せ台の内端同士が接触して回動を行え
ないこともあり改善の余地がある。

【０００５】本発明の目的は、分割された苗載せ台の内
端同士の接触を回避しながら、分割された苗植付装置を
回動させて格納姿勢への切換えを可能にする田植機を合
理的に構成する点にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴は冒頭に記
したように、苗載せ台の苗を植付機構で切り出して圃場
に植付ける苗植付装置を走行機体に連結してある田植機
において、前記苗植付装置を左右方向の中間位置で分割
自在に構成すると共に、走行機体側の部材の後端に走行
機体の横方向に向けて互いに離間可能な一対のシフト部
材を備え、このシフト部材に対して縦向き姿勢の第１軸
芯周りで回動自在にフレーム部材を備え、このフレーム
部材の回動端側に縦向き姿勢の第２軸芯周りで回動自在
に苗植付装置の夫々の分割物を回動自在に支持すること
で、シフト部材夫々の離間状態において第１軸芯周りで
のフレーム部材の回動で分割物を走行機体の左右方向で
の中央位置側へ移動させ、かつ、第２軸芯周りでの回動
で分割物の横方向の外端部を走行機体の前方側に向かわ
せて夫々の分割苗載せ台の上端縁同士が近接状態で平行
する格納姿勢への切換えを可能に構成してある点にあ
り、その作用、及び、効果は次の通りである。

【０００７】

【作用】上記特徴によると、苗植付装置を格納する場合
には、苗植付装置を分割すると共に、夫々のシフト部材
を横方向に離間操作した状態で第１軸芯周りでの回動に
よってフレーム部材を走行機体の中央側に移動させ、か
つ、第２軸芯周りでの回動によって分割物の横方向の外
端を走行機体の前方側に向かわせることにより、回動時
には分割物夫々の内端同士を接触させることなく、分割
苗載せ台の上端縁同士が近接状態で平行する格納姿勢へ
の切換えを可能にするものとなる。

【０００８】つまり、本発明では苗植付装置の格納時に
は苗植付装置を分割してそのまま回動させるのでは無
く、シフト部材の作動によって夫々の分割物同士の間隔
を大きくした状態で分割物の回動を行うので、苗載せ台
のように横方向に寸法の大きいものでも内端同士を接触
させることのない回動を可能にして、格納後には横方向
への寸法を小さくできるものとなる。

【０００９】

【発明の効果】従って、分割された苗載せ台の内端同士
の接触を回避しながら、分割された苗植付装置を回動さ
せて横方向への寸法を小さくする格納姿勢への切換えを
可能にする田植機が合理的に構成されたのである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１に示すように、ステアリング操作される駆動
型の前車輪１、及び、駆動型の後車輪２を備えた走行機
体３の前部にエンジン４を搭載すると共に、この走行機
体３の前部にエンジン４からの動力が伝えられる無段変
速装置５、及び、変速ケース６を配置し、又、走行機体
３の中央部に運転座席７を配置し、走行機体３の後端部
に対し油圧シリンダ８で駆動昇降するリンク機構９を介
して苗植付装置Ａを連結して乗用型の田植機を構成す
る。

【００１１】前記運転座席７の右側部に苗植付装置Ａの
昇降制御と植付クラッチＣの入り切り操作とを行う昇降
レバー１０を備え、又、運転座席７の左側部には前記無
段変速装置５を操作する変速レバー１１を備えている。
尚、前記植付クラッチＣは、前記変速ケース６に内蔵さ
れ、この変速ケース６から苗植付装置Ａに対して動力を
伝える伝動軸１２が決まった回転位相にある場合にのみ
切り操作を許容して苗植付装置Ａの植付アーム（後述す
る）が圃場との接触を回避した姿勢で停止するよう構成
されている。

【００１２】苗植付装置Ａはマット状苗Ｗを載置し、か
つ、その上端側が走行機体３の前方側に傾斜する姿勢の
苗載せ台１３、前記伝動軸１２からの動力が伝えられる
左右一対の伝動ケース１４，１４、この伝動ケース１４
からチェーンケース１５を介して伝えられる動力で回転
するロータリケース１６、このロータリケース１６に一
対ずつ備えられた植付アーム１７、複数の整地フロート
１８夫々を備えて８条植え用に構成されると共に、ホッ
パー、繰出し機構、作溝器等を有した施肥装置１９を備
え、作業時には苗載せ台１３に載置されたマット状苗Ｗ
の下端から苗を植付アーム１７が１株ずつ切出して圃場
面に植え付けると同時に、植付けた苗の近傍の圃場面に
施肥装置１９で肥料を供給する。尚、ロータリケース１
６、植付アーム１７、及び、これらを駆動する系で植付
機構が構成されている。

【００１３】図２、図３及び図５（イ），（ロ）に示す
ように、この田植機では苗植付装置Ａの左右方向での中
央位置で４条ずつに２分割自在に構成してあり、夫々の
分割物ＡＬ，ＡＲの縦向き姿勢の軸芯周りでの回動によ
って苗植付装置Ａを格納姿勢に切換えて横方向の寸法を
小さくできるよう構成してある。

【００１４】即ち、リンク機構９の後端を支持する縦フ
レーム９Ａの下端部に前後方向姿勢のローリング軸芯Ｙ
周りでローリング自在に連結するローリングボス２０と
連結する支持体２０Ａの両側面に対して図６に示す如
く、側面視コ字状の第１フレーム２１を固設し、これら
左右の第１フレーム２１，２１の上下の延出端同士の間
に亘ってに横長姿勢の第２フレーム２２，２２を固設
し、夫々の第２フレーム２２，２２の対向する面側にガ
イドレール２３を備えている。又、上下のガイドレール
２３，２３に沿って移動自在な上下の摺動部材２４，２
４を支持するシフト部材２５を左右一対形成し、これら
のシフト部材２５，２５に対して縦向き姿勢の第１軸芯
Ｘ１，Ｘ１周りで回動自在に支持した第１軸２６と一体
回動自在に丸パイプ状のフレーム部材２７を備え、この
フレーム部材２７の外端位置に対して縦向き姿勢の第２
軸芯Ｘ２と同軸芯に固設した筒状の第２軸２８に対して
回動自在にチャンネル状のブラケット２９を取付け、こ
のブラケット２９に取りつけた角パイプ状の支持フレー
ム３０に対して前記左右の伝動ケース１４、及び、前記
チェーンケース１５を固設し、更に、分割物ＡＬ，ＡＲ
夫々の一対のチェーンケース１５，１５の上面に対して
前記苗載せ台１３を支持する左右の摺動レール３１，３
１を設けている。

【００１５】図６に示すように、第１軸芯Ｘ１と同軸芯
状にシフト部材２５と一体化した第１スプロケット３２
を設け、第２軸芯と同軸芯状にブラケット２９と一体化
し、かつ、前記第１スプロケット３２の１／２の歯数の
第２スプロケット３３を設け夫々のスプロケット３２、
３３に亘って無端チェーン３４を巻回し、同図に示すよ
うに、苗植付装置Ａを作業姿勢に設定した状態におい
て、鉛直方向を基準に前記第２軸芯Ｘ２の上端側を走行
機体３の前方側に向かう方向に傾斜してある。又、上下
夫々の第２フレーム２２，２２の後方に隣接する位置に
該第２フレーム２２，２２と平行する姿勢で両端部を第
２フレーム２２，２２に支承されるネジ軸３５，３５を
配置し、夫々のネジ軸３５，３５に螺合するナット３
６，３６とシフト部材２５とを連結している。このネジ
軸３５は中央部分を境界にして左右のネジの形成方向を
逆に設定してあり、又、夫々のネジ軸３５，３５の中央
部に備えたスプロケット３７，３７同士に亘って無端チ
ェーン３８を巻回し、更に、上部のネジ軸３５を無端チ
ェーン３９を介して正逆方向に回動操作する電動モータ
４０を備えている。

【００１６】図２に示すように、左側の伝動ケース１４
の動力で回転駆動される螺軸４１を、該伝動ケース１４
と、この側の支持フレーム３０の端部の軸受部材４２と
の間に亘って備えてあり、この螺軸４１の螺旋溝に係入
するコマ（図示せず）の移動力を左側の分割苗載せ台１
３Ｌに伝える移動部材４３を備えて、苗載せ台１３の横
送り機構を構成してある。又、前記下側の第２フレーム
２２の後面と支持フレーム３０の前面との間にロック機
構（図示せず）を配置して苗植付装置Ａを図２に示す作
業姿勢に保持できるよう構成してある。尚、苗載せ台１
３は左右の分割苗載せ台１３Ｌ，１３Ｒ夫々が連結部材
Ｄ（図７、図８を参照）で連結されることで、この横送
り機構からの動力で摺動レール３１，３１上を一体的に
横方向に往復移動する。

【００１７】前記ローリングボス２０に対して、前記伝
動軸１２からの動力が伝えられる軸体（図示せず）を前
記ローリング軸芯Ｙと同軸芯に遊転支承してあり、図４
（イ），（ロ）に示すように、この軸体の動力をベベル
ケース４４、ベベルケース４４に備えた一対の出力軸４
５，４５、クラッチ機構４６、中間軸４７夫々を介して
左右の伝動ケース１４，１４に伝える伝動系を形成して
ある。又、クラッチ機構４６は中間軸４７の端部にスプ
ライン状に形成したクラッチ軸部４６Ａと、このクラッ
チ軸部４６Ａに係脱自在に出力軸４５にスライド移動自
在に外嵌したシフト部材４６Ｂと、このシフト部材４６
Ｂをクラッチ軸部４６Ａの側に付勢するバネ４６Ｃとで
成っている。

【００１８】このクラッチ機構４６は入り操作でクラッ
チ軸部４６Ａとシフト部材４６Ｂとは特定の回転位相で
のみ嵌合し、図４（ロ）に示す如く、切り操作ではクラ
ッチ軸部４６Ａとシフト部材４６Ｂとの離間によって、
中間軸４７とベベルケース４４の出力軸４５とが完全に
分離するよう構成されている。尚、ベベルケース４４は
走行機体側からの動力を２つの出力軸４５，４５に分岐
して出力するようベベルギヤ（図示せず）を有した伝動
系を内装し、中間軸４７はフレーム部材２７の系に対し
て横向き姿勢を維持するよう支承されると共に屈折部に
ユニバーサルジョイントを備えて構成されている。

【００１９】このような構成から、苗植付装置Ａを格納
する場合には、地面から離間するレベルまで苗植付装置
Ａを上昇させた状態で、先ず横送り機構の駆動力によっ
て苗載せ台１３を左右の中央位置で停止し、次に、連結
部材Ｄの連結を解除し、ロック機構のロックを解除し、
左右のクラッチ機構４６を切り操作し、電動モータ４０
の駆動によって図７に示す如く、シフト部材２５，２５
を左右の外端まで移動させる。この後、人為操作によっ
て苗植付装置Ａの左右の分割物ＡＬ，ＡＲを第１軸芯Ｘ
１周りでの回動で走行機体の中央位置に寄せる操作を行
うことで、この操作と連動して第１スプロケット３２の
周りに巻回する無端チェーン３４からの動力によって分
割物ＡＬ，ＡＲが第２軸芯Ｘ２周りでフレーム部材２７
の回動速度の２倍の速度で、かつ、逆方向に向けて回動
する結果、左右夫々の分割物ＡＬ，ＡＲの左右方向での
外端部が走行機体３の前方側に向かう回動を行うものと
なる。

【００２０】尚、この格納姿勢への回動時には図８に示
す如く、左右の分割苗載せ台１３Ｌ，１３Ｒの内端上部
の角部１３Ｅ，１３Ｅが接近するものの、シフト部材の
外方への移動によって平面視で分割苗載せ台１３Ｌ，１
３Ｒが互いに離間する位置で回動する結果、夫々の角部
１３Ｅ，１３Ｅの接触を回避した回動が可能となってお
り、又、クラッチ機構４６の分離でこの回動が許容され
る。

【００２１】そして、図９に示す如く、分割物ＡＬ，Ａ
Ｒ夫々の回動が終了した時点で電動モータ４０を逆転さ
せシフト部材２５，２５を内方に移動させることで格納
姿勢に達し格納が完了する。この状態では図１０に示す
如く、左右夫々の分割苗載せ台１３Ｌ，１３Ｒの上端縁
同士が近接状態で平行する姿勢に達するので苗植付装置
Ａの横方向への寸法を小さくするものとなり、又、傾斜
姿勢の第２軸芯Ｘ２周りでの回動によって分割苗載せ台
１３Ｌ，１３Ｒが図１１に示す如く、起立姿勢に向かう
姿勢に切換えられて苗植付装置Ａの横方向の寸法を更に
縮小するものとなっている。

【００２２】そして、この格納姿勢の苗植付装置Ａを作
業姿勢に復元する際には、電動モータ４０の駆動によっ
てシフト部材２５，２５を分離操作した後、人為操作で
分割物ＡＬ，ＡＲを前述と逆方向に回動させることによ
り格納姿勢の苗植付装置Ａが作業姿勢に向かう姿勢変更
が行われ、この姿勢変更で苗植付装置Ａが図７に示す姿
勢に達すると電動モータ４０を逆転させて分割物ＡＬ，
ＡＲ同士を接近させて、ロック機構をロック操作し、ク
ラッチ機構３３を連結し、左右の分割苗載せ台１３Ｌ，
１３Ｒを連結部材Ｄで連結することで作業可能な状態に
達する。

【００２３】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、
例えば、フレーム部材を回動操作する電動モータ等のア
クチュエータを備えて構成することが可能であり、シフ
ト部材を人為的に操作するよう構成することが可能であ
り、又、１０条植え以上の田植機に適用することも可能
である。

【００２４】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】田植機の全体側面図

【図２】作業姿勢の苗植付装置の伝動系の平面図

【図３】格納姿勢の苗植付装置の伝動系の平面図

【図４】（イ）は入り状態のクラッチ機構の後面図 （ロ）は切り状態のクラッチ機構の後面図

【図５】（イ）は作業姿勢でのシフト部材の位置を示す
後面図 （ロ）は格納姿勢でのシフト部材の位置を示す後面図

【図６】第１軸芯、第２軸芯の姿勢を表す縦断側面図

【図７】シフト部材の移動で苗植付装置を分割した状態
の田植機の平面図

【図８】分割物を旋回させた田植機の平面図

【図９】分割物の旋回を終了した状態での田植機の平面
図

【図１０】苗植付装置を格納姿勢に設定した状態の田植
機の平面図

【図１１】格納状態の苗植付装置の後面図

【符号の説明】

３ 走行機体 １３ 苗載せ台 １３Ｌ，１３Ｒ 分割苗載せ台 ２５ シフト部材 ２７ フレーム部材 Ａ 苗植付装置 ＡＬ，ＡＲ 分割物 Ｗ 苗 Ｘ１ 第１軸芯 Ｘ２ 第２軸芯

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗載せ台（１３）に載置された苗（Ｗ）
   を植付機構で切り出して圃場に植付ける作動を行う苗植
   付装置（Ａ）を走行機体（３）の後端に昇降自在に連結
   してある田植機であって、 前記苗植付装置（Ａ）を左右方向の中間位置で分割自在
   に構成すると共に、走行機体側の部材の後端に走行機体
   （３）の横方向に向けて互いに離間可能な一対のシフト
   部材（２５），（２５）を備え、このシフト部材（２
   ５），（２５）に対して縦向き姿勢の第１軸芯（Ｘ
   １），（Ｘ１）周りで回動自在にフレーム部材（２
   ７），（２７）を備え、このフレーム部材（２７），
   （２７）の回動端側に縦向き姿勢の第２軸芯（Ｘ２），
   （Ｘ２）周りで回動自在に苗植付装置（Ａ）の夫々の分
   割物（ＡＬ），（ＡＲ）を回動自在に支持することで、
   シフト部材（２５），（２５）夫々の離間状態において
   第１軸芯（Ｘ１），（Ｘ１）周りでのフレーム部材（２
   ７），（２７）の回動で分割物（ＡＬ），（ＡＲ）を走
   行機体（３）の左右方向での中央位置側へ移動させ、か
   つ、第２軸芯（Ｘ２），（Ｘ２）周りでの回動で分割物
   （ＡＬ），（ＡＲ）の横方向の外端部を走行機体（３）
   の前方側に向かわせて夫々の分割苗載せ台（１３Ｌ），
   （１３Ｒ）の上端縁同士が近接状態で平行する格納姿勢
   への切換えを可能に構成してある田植機。