JPH08134790A - 軽量塗工紙用原紙 - Google Patents
軽量塗工紙用原紙Info
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- JPH08134790A JPH08134790A JP27388694A JP27388694A JPH08134790A JP H08134790 A JPH08134790 A JP H08134790A JP 27388694 A JP27388694 A JP 27388694A JP 27388694 A JP27388694 A JP 27388694A JP H08134790 A JPH08134790 A JP H08134790A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 断紙などの問題を発生することなく安定した
操業性が得られ、軽量でありながら高級印刷を可能とす
る軽量塗工紙用原紙を提供する。 【構成】 絶乾坪量50g/m2以下の軽量塗工紙であっ
て、軽量塗工紙用原紙が絶乾坪量20〜30g/m2であ
り、且つ、JIS P8113に準拠して測定される引
張強度1.5kgf以上、JIS P8135に準拠し
て測定される湿潤引張強度0.15kgf以上であるこ
とを特徴とする軽量塗工紙用原紙であり、好ましくは、
カナダ標準濾水度および重量平均繊維長が特定範囲にあ
る針葉樹パルプを使用する。
操業性が得られ、軽量でありながら高級印刷を可能とす
る軽量塗工紙用原紙を提供する。 【構成】 絶乾坪量50g/m2以下の軽量塗工紙であっ
て、軽量塗工紙用原紙が絶乾坪量20〜30g/m2であ
り、且つ、JIS P8113に準拠して測定される引
張強度1.5kgf以上、JIS P8135に準拠し
て測定される湿潤引張強度0.15kgf以上であるこ
とを特徴とする軽量塗工紙用原紙であり、好ましくは、
カナダ標準濾水度および重量平均繊維長が特定範囲にあ
る針葉樹パルプを使用する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量塗工紙用原紙に関
する。特に、通信販売カタログやチラシおよびカラー印
刷を含む辞書用紙に要求される50g/m2以下の低坪量と
被印刷物の画像再現に優れた印刷適性を両立させた軽量
塗工紙用原紙に関する。
する。特に、通信販売カタログやチラシおよびカラー印
刷を含む辞書用紙に要求される50g/m2以下の低坪量と
被印刷物の画像再現に優れた印刷適性を両立させた軽量
塗工紙用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、顔料塗工紙は、非塗工の上質
紙と比較して平滑性に優れ、インキの吸収性が均一であ
るため、印刷用紙として広く用いられている。特に近
年、印刷物の視覚化が進み、多色印刷が施されるカラー
印刷の比率が高まり、印刷用紙に占める顔料塗工紙の比
率は高まる一方である。
紙と比較して平滑性に優れ、インキの吸収性が均一であ
るため、印刷用紙として広く用いられている。特に近
年、印刷物の視覚化が進み、多色印刷が施されるカラー
印刷の比率が高まり、印刷用紙に占める顔料塗工紙の比
率は高まる一方である。
【0003】しかしながら、原紙上に顔料および接着剤
を主成分とする塗工液を塗工した場合、当然のことなが
ら坪量が増加することになる。当節は多大な情報の伝達
が望まれており、また、画像情報を含むものが増大した
ため、情報媒体としての印刷用紙の使用量が非常に多く
なっており、かかる坪量増加は、輸送あるいは郵送プロ
セスの効率を著しく阻害する。この為、通信販売カタロ
グ、商品チラシの用途分野では、低坪量で軽塗工量の微
塗工紙が印刷用紙として歓迎されてきている。
を主成分とする塗工液を塗工した場合、当然のことなが
ら坪量が増加することになる。当節は多大な情報の伝達
が望まれており、また、画像情報を含むものが増大した
ため、情報媒体としての印刷用紙の使用量が非常に多く
なっており、かかる坪量増加は、輸送あるいは郵送プロ
セスの効率を著しく阻害する。この為、通信販売カタロ
グ、商品チラシの用途分野では、低坪量で軽塗工量の微
塗工紙が印刷用紙として歓迎されてきている。
【0004】今日問題とされている木材資源の有効利用
を鑑みても、少ないパルプ量で高い記録密度を達成でき
る点からも、軽量であり、なおかつパルプ分の少ない軽
量塗工紙は環境問題においても必要なものと判断され
る。
を鑑みても、少ないパルプ量で高い記録密度を達成でき
る点からも、軽量であり、なおかつパルプ分の少ない軽
量塗工紙は環境問題においても必要なものと判断され
る。
【0005】軽塗工量としての微塗工紙は、片面当たり
の絶乾の塗工量が概ね3〜6g/m2の範囲である。片面当
たりの塗工量が、絶乾で6g/m2以下の微塗工紙は、ブレ
ード、ロッド、エアナイフ、トランスファロールなどの
従来用いられている塗工装置により製造される。しかし
ながら、このような軽塗工量の微塗工紙は、塗工層が原
紙面を完全に被覆することができず、種々の問題が生じ
る。
の絶乾の塗工量が概ね3〜6g/m2の範囲である。片面当
たりの塗工量が、絶乾で6g/m2以下の微塗工紙は、ブレ
ード、ロッド、エアナイフ、トランスファロールなどの
従来用いられている塗工装置により製造される。しかし
ながら、このような軽塗工量の微塗工紙は、塗工層が原
紙面を完全に被覆することができず、種々の問題が生じ
る。
【0006】つまり、印刷時に、原紙面への被覆率が低
い場合、被覆されない部分と被覆されている部分では、
インキの着肉量が異なり、印刷ムラが発生しやすくな
る。かかる印刷ムラは、特に、近年、主流となってきて
いる多色のカラー印刷で発生しやすい。また、被覆され
ない部分に転移したインキは、原紙に直接浸透するた
め、裏写りなどの障害を発生しやすく、かかる障害も、
インキの転移量の多い多色カラー印刷において発生しや
すい。
い場合、被覆されない部分と被覆されている部分では、
インキの着肉量が異なり、印刷ムラが発生しやすくな
る。かかる印刷ムラは、特に、近年、主流となってきて
いる多色のカラー印刷で発生しやすい。また、被覆され
ない部分に転移したインキは、原紙に直接浸透するた
め、裏写りなどの障害を発生しやすく、かかる障害も、
インキの転移量の多い多色カラー印刷において発生しや
すい。
【0007】かかるように、重量当たりの情報量の点で
優れた低坪量で、軽塗工量の微塗工紙は、多色カラー印
刷における印刷適性に代表される品質面で必ずしも満足
できる品質とは言えず、低坪量化と印刷適性の両立を図
れない現状にある。
優れた低坪量で、軽塗工量の微塗工紙は、多色カラー印
刷における印刷適性に代表される品質面で必ずしも満足
できる品質とは言えず、低坪量化と印刷適性の両立を図
れない現状にある。
【0008】微塗工紙の印刷適性における問題が、塗工
層の塗工量の低さに起因しているのであれば、原紙の坪
量を減じて、かかる減量分を、塗工量の増量分に充てる
方法がある。つまり、原紙の坪量は、少なければ少ない
ほど、顔料塗工紙の坪量に対する塗工層の塗工量の割合
を高くすることができるので、高い印刷適性を得ること
ができる。
層の塗工量の低さに起因しているのであれば、原紙の坪
量を減じて、かかる減量分を、塗工量の増量分に充てる
方法がある。つまり、原紙の坪量は、少なければ少ない
ほど、顔料塗工紙の坪量に対する塗工層の塗工量の割合
を高くすることができるので、高い印刷適性を得ること
ができる。
【0009】顔料塗工紙において、原紙の坪量を低くく
した場合、原紙の製造手段である抄紙機上で断紙し易く
なる。また、塗工設備において、ブレード方式、ロッド
方式、エアナイフ方式のコーターでは、塗液中の水の浸
透により強度の低下した原紙が計量部で強い剪断力を受
けるため、断紙を免れることがむづかしくなる。一方、
ロール方式のコーターでは、塗工液の転移後、ロールか
ら原紙が剥離する際に塗工液の粘性によるタッキングに
よって同様に断紙しやすくなる。更に、原紙坪量が低く
くなると原紙のピンホールの発生頻度が増大するため
に、上記塗工方式ではますます断紙の確率が増加する。
した場合、原紙の製造手段である抄紙機上で断紙し易く
なる。また、塗工設備において、ブレード方式、ロッド
方式、エアナイフ方式のコーターでは、塗液中の水の浸
透により強度の低下した原紙が計量部で強い剪断力を受
けるため、断紙を免れることがむづかしくなる。一方、
ロール方式のコーターでは、塗工液の転移後、ロールか
ら原紙が剥離する際に塗工液の粘性によるタッキングに
よって同様に断紙しやすくなる。更に、原紙坪量が低く
くなると原紙のピンホールの発生頻度が増大するため
に、上記塗工方式ではますます断紙の確率が増加する。
【0010】しかしながら、近年、顔料塗工紙の製造手
段としてカーテン塗工方式が実用段階に入ってきており
(特開平5−106198号公報、同5−51900号
公報、同5−117996号公報、同5−154435
号公報など)、原紙が低坪量でありながらコーターの搬
送に必要な強度を持たせることで、安定した塗工ができ
るようになった。しかしながら、カーテン塗工方式を用
いても、乾燥機内で生ずる乾燥応力による断紙を完全に
防ぐことはできず、低坪量(20〜30g/m2)の印刷可
能な紙は、トレーシングペーパー、辞典用紙など世の中
には存在するが、低坪量(20〜30g/m2)の紙を原紙
とし、片面の塗工量が6g/m2以上の塗工層を持つ顔料塗
工紙は、上記理由から効率良く製造できない状態にあっ
た。
段としてカーテン塗工方式が実用段階に入ってきており
(特開平5−106198号公報、同5−51900号
公報、同5−117996号公報、同5−154435
号公報など)、原紙が低坪量でありながらコーターの搬
送に必要な強度を持たせることで、安定した塗工ができ
るようになった。しかしながら、カーテン塗工方式を用
いても、乾燥機内で生ずる乾燥応力による断紙を完全に
防ぐことはできず、低坪量(20〜30g/m2)の印刷可
能な紙は、トレーシングペーパー、辞典用紙など世の中
には存在するが、低坪量(20〜30g/m2)の紙を原紙
とし、片面の塗工量が6g/m2以上の塗工層を持つ顔料塗
工紙は、上記理由から効率良く製造できない状態にあっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低坪
量でありながら高級印刷用顔料塗工紙並の高い印刷適性
を持ち、断紙の発生が少なく、コーターでの安定操業を
可能とする軽量塗工紙用原紙を提供することである。
量でありながら高級印刷用顔料塗工紙並の高い印刷適性
を持ち、断紙の発生が少なく、コーターでの安定操業を
可能とする軽量塗工紙用原紙を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み鋭意研究した結果、本発明の軽量塗工紙用原紙を発明
するに至った。
み鋭意研究した結果、本発明の軽量塗工紙用原紙を発明
するに至った。
【0013】即ち、本発明の軽量塗工紙用原紙は、絶乾
坪量50g/m2以下の軽量塗工紙であって、軽量塗工紙用
原紙が絶乾坪量20〜30g/m2であり、且つ、20℃−
65%RHの条件下におけるJIS P8113に準拠
して測定される引張強度1.5kgf以上、水に浸漬し
て1000秒後におけるJIS P8135に準拠して
測定される湿潤引張強度0.15kgf以上であること
を特徴とするものである。軽量塗工紙用原紙。
坪量50g/m2以下の軽量塗工紙であって、軽量塗工紙用
原紙が絶乾坪量20〜30g/m2であり、且つ、20℃−
65%RHの条件下におけるJIS P8113に準拠
して測定される引張強度1.5kgf以上、水に浸漬し
て1000秒後におけるJIS P8135に準拠して
測定される湿潤引張強度0.15kgf以上であること
を特徴とするものである。軽量塗工紙用原紙。
【0014】また、好ましくは、軽量塗工紙用原紙が、
JIS P8113に準拠して測定される引張強度2.
0kgf以上、水に浸漬して1000秒後におけるJI
SP8135に準拠して測定される湿潤引張強度0.2
0kgf以上である。
JIS P8113に準拠して測定される引張強度2.
0kgf以上、水に浸漬して1000秒後におけるJI
SP8135に準拠して測定される湿潤引張強度0.2
0kgf以上である。
【0015】更に、本発明の軽量塗工紙用原紙におい
て、該原紙に用いられる針葉樹パルプが、カナダ標準濾
水度100〜250mlcsf、重量平均繊維長1.4
〜1.8mmのものであり、該針葉樹パルプと広葉樹パ
ルプとの混合比がそれぞれ80〜20重量%、20〜8
0重量%で構成することにより、好ましい該原紙とする
ことができる。
て、該原紙に用いられる針葉樹パルプが、カナダ標準濾
水度100〜250mlcsf、重量平均繊維長1.4
〜1.8mmのものであり、該針葉樹パルプと広葉樹パ
ルプとの混合比がそれぞれ80〜20重量%、20〜8
0重量%で構成することにより、好ましい該原紙とする
ことができる。
【0016】以下、本発明の顔料塗被紙用原紙につい
て、詳細に説明する。
て、詳細に説明する。
【0017】カーテン塗工方式による顔料塗工紙の製造
において、十分に満足できる程度の高精細な高級印刷を
達成させるためには、原紙の片面当り塗工量10〜14
g/m2の塗工層を設ける必要がある。また、印刷用紙とし
ては、片面だけでも特性は足りるが、実質的な印刷用紙
の利用方法、カレンダーによる光沢仕上げ、顔料塗工紙
のカールなどの物性からすると現実問題としては両面塗
工品が標準となる。また、軽量である印刷用紙として低
坪量の優位性を考慮するならば、絶乾坪量50g/m2以下
であることが必要条件となる。
において、十分に満足できる程度の高精細な高級印刷を
達成させるためには、原紙の片面当り塗工量10〜14
g/m2の塗工層を設ける必要がある。また、印刷用紙とし
ては、片面だけでも特性は足りるが、実質的な印刷用紙
の利用方法、カレンダーによる光沢仕上げ、顔料塗工紙
のカールなどの物性からすると現実問題としては両面塗
工品が標準となる。また、軽量である印刷用紙として低
坪量の優位性を考慮するならば、絶乾坪量50g/m2以下
であることが必要条件となる。
【0018】即ち、軽量塗工紙を製造するためには、両
面の塗工量が20〜30g/m2、軽量塗工紙が絶乾坪量5
0g/m2以下であれば、原紙の最小限の坪量は20〜30
g/m2となる。ここで問題となるのは、原紙の低い方の坪
量である。20g/m2未満の低坪量では、乾燥工程を含む
カーテン塗工工程で必要とされる強度を確保することが
極めてむづかしくなる。
面の塗工量が20〜30g/m2、軽量塗工紙が絶乾坪量5
0g/m2以下であれば、原紙の最小限の坪量は20〜30
g/m2となる。ここで問題となるのは、原紙の低い方の坪
量である。20g/m2未満の低坪量では、乾燥工程を含む
カーテン塗工工程で必要とされる強度を確保することが
極めてむづかしくなる。
【0019】また、抄紙工程における下限坪量として
も、原紙坪量の均一性とピンホールの少なさ、あるいは
マシンの操業安定性からすると、やはり20g/m2を下限
とすることが好ましい。
も、原紙坪量の均一性とピンホールの少なさ、あるいは
マシンの操業安定性からすると、やはり20g/m2を下限
とすることが好ましい。
【0020】ゆえに、本発明は、軽量塗工紙に使用され
る原紙として、コーター安定性の高い坪量20g/m2台の
原紙を提供するものである。
る原紙として、コーター安定性の高い坪量20g/m2台の
原紙を提供するものである。
【0021】コーター安定性を保つために原紙に求めら
れる条件は、原紙の搬送強度を備えることにある。原紙
の搬送強度は、20℃−65%RHの条件下におけるJ
ISP8113に準拠して測定される引張強度(以下、
乾時強度と略す)が1.5kgf以上、好ましくは2.
0kgf以上であり、水に浸漬して1000秒後におけ
るJIS P8135に準拠して測定される湿潤引張強
度(以下、湿潤強度と略す)が0.15kgf以上、好
ましくは0.20kgf以上であるという2つの特性を
兼ね備えていることが必須条件である。後述するが、こ
れらの必須条件を満足する原紙の製造に当っては、パル
プの選択、叩解の仕方、薬品の選択、使用量などの各種
要因によって決定されるものである。
れる条件は、原紙の搬送強度を備えることにある。原紙
の搬送強度は、20℃−65%RHの条件下におけるJ
ISP8113に準拠して測定される引張強度(以下、
乾時強度と略す)が1.5kgf以上、好ましくは2.
0kgf以上であり、水に浸漬して1000秒後におけ
るJIS P8135に準拠して測定される湿潤引張強
度(以下、湿潤強度と略す)が0.15kgf以上、好
ましくは0.20kgf以上であるという2つの特性を
兼ね備えていることが必須条件である。後述するが、こ
れらの必須条件を満足する原紙の製造に当っては、パル
プの選択、叩解の仕方、薬品の選択、使用量などの各種
要因によって決定されるものである。
【0022】本発明において、原紙の乾時強度は、通常
操業されるコーターの張力条件に係わって乾時強度を規
定するものである。通常、コーターの張力は、0.15
〜0.7kgf/cmであり、0.4kgf/cm前後
で操業されることが多い。張力制御が不完全なコーター
を用いた場合、本発明の低坪量の原紙を通紙搬送するこ
とは極めて難しいが、通常の張力制御可能なコーターを
用いるのであれば、変動分を見込んでも0.1〜1.0
kgf/cmの範囲内にある。このように、通常のコー
ターの張力条件を基礎にして、本発明のJIS P81
13に規定される15.0mm巾で測定される乾時強度
は、1.5kgfを最低限とし、1.5kgf以上とす
る。
操業されるコーターの張力条件に係わって乾時強度を規
定するものである。通常、コーターの張力は、0.15
〜0.7kgf/cmであり、0.4kgf/cm前後
で操業されることが多い。張力制御が不完全なコーター
を用いた場合、本発明の低坪量の原紙を通紙搬送するこ
とは極めて難しいが、通常の張力制御可能なコーターを
用いるのであれば、変動分を見込んでも0.1〜1.0
kgf/cmの範囲内にある。このように、通常のコー
ターの張力条件を基礎にして、本発明のJIS P81
13に規定される15.0mm巾で測定される乾時強度
は、1.5kgfを最低限とし、1.5kgf以上とす
る。
【0023】一方、コーター操業に際して塗工時に必要
な原紙の湿潤強度は、塗工液が原紙上に転写され、分散
媒である水が紙中に浸漬し、原紙の強度が低下し始め、
その後、ドライヤーに入り、乾燥するに従って収縮を始
め、強度が発現するという過程の中での変化に対して耐
える原紙の強度である。現実問題として、紙中に水が完
全に浸漬した時の原紙の強度は極めて弱く、コーター操
業に耐えうる強度ではない。もちろん、紙中に水が全く
浸漬しないように特別な処理を施したものは別である。
高い湿潤強度を有する原紙の条件としては、塗工液が原
紙に転写した時点で紙中に余り入らず、若干量入った水
を紙中で溌水させ、パルプ繊維内に浸漬させないように
することが重要である。
な原紙の湿潤強度は、塗工液が原紙上に転写され、分散
媒である水が紙中に浸漬し、原紙の強度が低下し始め、
その後、ドライヤーに入り、乾燥するに従って収縮を始
め、強度が発現するという過程の中での変化に対して耐
える原紙の強度である。現実問題として、紙中に水が完
全に浸漬した時の原紙の強度は極めて弱く、コーター操
業に耐えうる強度ではない。もちろん、紙中に水が全く
浸漬しないように特別な処理を施したものは別である。
高い湿潤強度を有する原紙の条件としては、塗工液が原
紙に転写した時点で紙中に余り入らず、若干量入った水
を紙中で溌水させ、パルプ繊維内に浸漬させないように
することが重要である。
【0024】本発明において、コーター操業に耐えうる
高い湿潤強度を有する原紙について、検討を行ってきた
が、塗工液が原紙に転写した時点での湿潤強度の低下度
合いとJIS P8135で規定される湿潤強度に大き
な関係があることを見いだした。
高い湿潤強度を有する原紙について、検討を行ってきた
が、塗工液が原紙に転写した時点での湿潤強度の低下度
合いとJIS P8135で規定される湿潤強度に大き
な関係があることを見いだした。
【0025】これを、図1を用いて説明する。図1は、
塗布液(水)に浸漬した時間(秒)と湿潤強度(kg
f)の関係を示したものである。図1において、原紙A
は、原紙上に水が転写された時点からの湿潤強度の低下
が大きいことを示している。原紙Bは、湿潤強度の低下
が原紙Aより小さいことを示している。原紙Cは、原紙
Bより更に湿潤強度低下が小さく、言換えれば湿潤強度
の大きな原紙であるということを示している。湿潤強度
を規定する場合、図1の原紙A〜Cのそれぞれで経時的
に湿潤強度の低下傾向が異なることから、安定状態にあ
る浸漬時間1000秒後における湿潤強度を測定するこ
とで、原紙の湿潤強度を客観的に評価することができ
る。この知見から、本発明における軽量塗工紙の原紙
は、これを水に浸漬してから1000秒後の湿潤強度が
0.15kgf以上である場合、塗工液が転写した時点
の湿潤強度低下が小さいことがわかり、原紙を水に浸漬
して1000秒後における湿潤強度を規定するものであ
る。
塗布液(水)に浸漬した時間(秒)と湿潤強度(kg
f)の関係を示したものである。図1において、原紙A
は、原紙上に水が転写された時点からの湿潤強度の低下
が大きいことを示している。原紙Bは、湿潤強度の低下
が原紙Aより小さいことを示している。原紙Cは、原紙
Bより更に湿潤強度低下が小さく、言換えれば湿潤強度
の大きな原紙であるということを示している。湿潤強度
を規定する場合、図1の原紙A〜Cのそれぞれで経時的
に湿潤強度の低下傾向が異なることから、安定状態にあ
る浸漬時間1000秒後における湿潤強度を測定するこ
とで、原紙の湿潤強度を客観的に評価することができ
る。この知見から、本発明における軽量塗工紙の原紙
は、これを水に浸漬してから1000秒後の湿潤強度が
0.15kgf以上である場合、塗工液が転写した時点
の湿潤強度低下が小さいことがわかり、原紙を水に浸漬
して1000秒後における湿潤強度を規定するものであ
る。
【0026】本発明の軽量塗工紙用原紙について、以下
により具体的に説明する。
により具体的に説明する。
【0027】原紙に用いられるパルプとしては、クラフ
トパルプ、サルファイトパルプ、ケミサーモメカニカル
パルプなどが挙げられる。針葉樹パルプと広葉樹パルプ
とを混合して用いるが、針葉樹パルプ20〜80重量%
と広葉樹パルプ80〜20重量%の混合比率からなる。
好ましくは、針葉樹パルプ40〜60重量%と広葉樹パ
ルプ60〜40重量%である。ここで、針葉樹パルプ
は、繊維が太く長いので、原紙の強度を発現させるのに
必要であり、20重量%未満では強度を発現するには不
十分であり、80重量%を超えて多いと原紙の地合(坪
量変動)を整えることが困難となる。
トパルプ、サルファイトパルプ、ケミサーモメカニカル
パルプなどが挙げられる。針葉樹パルプと広葉樹パルプ
とを混合して用いるが、針葉樹パルプ20〜80重量%
と広葉樹パルプ80〜20重量%の混合比率からなる。
好ましくは、針葉樹パルプ40〜60重量%と広葉樹パ
ルプ60〜40重量%である。ここで、針葉樹パルプ
は、繊維が太く長いので、原紙の強度を発現させるのに
必要であり、20重量%未満では強度を発現するには不
十分であり、80重量%を超えて多いと原紙の地合(坪
量変動)を整えることが困難となる。
【0028】針葉樹パルプを使用して原紙の強度を発現
するためには、針葉樹パルプの叩解条件が大いに寄与す
る。針葉樹パルプの太く長い繊維の特性を生かし、繊維
間結合を強く保つための叩解条件を選択する必要があ
る。叩解に当っては、できるだけ繊維を切断せずに、繊
維の柔軟性を高める方法が必要となる。針葉樹パルプ繊
維の柔軟性だけを高める叩解方式(粘状叩解)だけで
は、長い繊維がよれてしまうために、シートにしたとき
によれを発生させ抄紙工程のトラブルとなる。これを防
止するためには、ある程度まで繊維を切断し(遊離状叩
解)、それ以降は粘状叩解をするという方式が必要であ
る。
するためには、針葉樹パルプの叩解条件が大いに寄与す
る。針葉樹パルプの太く長い繊維の特性を生かし、繊維
間結合を強く保つための叩解条件を選択する必要があ
る。叩解に当っては、できるだけ繊維を切断せずに、繊
維の柔軟性を高める方法が必要となる。針葉樹パルプ繊
維の柔軟性だけを高める叩解方式(粘状叩解)だけで
は、長い繊維がよれてしまうために、シートにしたとき
によれを発生させ抄紙工程のトラブルとなる。これを防
止するためには、ある程度まで繊維を切断し(遊離状叩
解)、それ以降は粘状叩解をするという方式が必要であ
る。
【0029】このような叩解方式は、通常DDR(ダブ
ルディスクリファイナー)で行われるのが一般的である
が、DDRであれば刃型の組み合わせで、遊離状叩解と
粘状叩解を別個のDDRですることもできるし、両方の
特性を持ち合わせた刃型を用いてもよい。また、粘状叩
解のためにビーターを用いることも効果的である。更に
は、コニカルタイプのリファイナーであるジョルダンを
用いた遊離状叩解も効果的である。また、抄造直前でコ
ニカルタイプのリファイナーによる抄紙原料の処理は非
常に効果的である。
ルディスクリファイナー)で行われるのが一般的である
が、DDRであれば刃型の組み合わせで、遊離状叩解と
粘状叩解を別個のDDRですることもできるし、両方の
特性を持ち合わせた刃型を用いてもよい。また、粘状叩
解のためにビーターを用いることも効果的である。更に
は、コニカルタイプのリファイナーであるジョルダンを
用いた遊離状叩解も効果的である。また、抄造直前でコ
ニカルタイプのリファイナーによる抄紙原料の処理は非
常に効果的である。
【0030】遊離状叩解と粘状叩解で調成される針葉樹
パルプの繊維長は、長すぎると繊維同士の絡み合いによ
り地合を形成することができ難くなり、短いと針葉樹パ
ルプによる強度発現の効果が無くなってしまう。ゆえ
に、最適な繊維長は、重量平均繊維長が1.4〜1.8
mmである。
パルプの繊維長は、長すぎると繊維同士の絡み合いによ
り地合を形成することができ難くなり、短いと針葉樹パ
ルプによる強度発現の効果が無くなってしまう。ゆえ
に、最適な繊維長は、重量平均繊維長が1.4〜1.8
mmである。
【0031】繊維の柔軟性は、カナダ標準濾水度で表わ
されるが、この値が小さいほど繊維間結合が強固なもの
になり、原紙としての強度を得ることができる。濾水度
としては、カナダ標準濾水度250mlcsf以下まで
叩解を進める必要がある。濾水度の値は、小さい方が強
度発現に寄与をするが、カナダ標準濾水度100mlc
sfより小さな値となると、叩解に必要なエネルギーに
較べ原紙の強度を上げることができなくなる。この原因
として、カナダ標準濾水度は、カナダ標準濾水度100
mlcsfより小さくなると、管理がしづらくなった
り、あるいは粘状叩解専用の叩解設備でも繊維長の低下
が同時に進行するからである。そのため、叩解前の針葉
樹パルプの繊維長をその60〜90%程度に抑えながら
濾水度を下げる叩解方式が必要である。
されるが、この値が小さいほど繊維間結合が強固なもの
になり、原紙としての強度を得ることができる。濾水度
としては、カナダ標準濾水度250mlcsf以下まで
叩解を進める必要がある。濾水度の値は、小さい方が強
度発現に寄与をするが、カナダ標準濾水度100mlc
sfより小さな値となると、叩解に必要なエネルギーに
較べ原紙の強度を上げることができなくなる。この原因
として、カナダ標準濾水度は、カナダ標準濾水度100
mlcsfより小さくなると、管理がしづらくなった
り、あるいは粘状叩解専用の叩解設備でも繊維長の低下
が同時に進行するからである。そのため、叩解前の針葉
樹パルプの繊維長をその60〜90%程度に抑えながら
濾水度を下げる叩解方式が必要である。
【0032】原紙に製造に当って、填料は用いない方が
好ましいが、原紙の不透明度を確保するには必要であ
る。しかし、原紙中の填料量が増加すると、紙力の低
下、ピンホールの増加、添加薬品の歩留まりの低下など
の障害を発生するために、原紙中の填料量は最高でも1
0重量%とし、好ましくは5重量%以下である。
好ましいが、原紙の不透明度を確保するには必要であ
る。しかし、原紙中の填料量が増加すると、紙力の低
下、ピンホールの増加、添加薬品の歩留まりの低下など
の障害を発生するために、原紙中の填料量は最高でも1
0重量%とし、好ましくは5重量%以下である。
【0033】原紙の強度を発現させるため、必要最小限
の添加薬品としてはサイズ剤がある。本発明の原紙に求
められる紙力は、乾燥状態での紙力引張り紙力と引き裂
き紙力と、コーターで塗液が塗工されたときの湿潤紙力
である。引き裂き紙力は、繊維長を確保した針葉樹パル
プを配合することで達成される。抄紙機上のウェットパ
ートでの湿潤紙力も繊維長を確保した粘状叩解を進めた
針葉樹パルプの使用で解決する。乾燥状態での引っ張り
紙力は、基本的には原紙坪量で支配されるものである
が、これを上げるために繊維長を確保しながら粘状叩解
を進めた針葉樹パルプの配合で達成される。また、紙力
を更なるものにするために紙力剤を添加することが好ま
しい。
の添加薬品としてはサイズ剤がある。本発明の原紙に求
められる紙力は、乾燥状態での紙力引張り紙力と引き裂
き紙力と、コーターで塗液が塗工されたときの湿潤紙力
である。引き裂き紙力は、繊維長を確保した針葉樹パル
プを配合することで達成される。抄紙機上のウェットパ
ートでの湿潤紙力も繊維長を確保した粘状叩解を進めた
針葉樹パルプの使用で解決する。乾燥状態での引っ張り
紙力は、基本的には原紙坪量で支配されるものである
が、これを上げるために繊維長を確保しながら粘状叩解
を進めた針葉樹パルプの配合で達成される。また、紙力
を更なるものにするために紙力剤を添加することが好ま
しい。
【0034】添加することのできる乾燥紙力剤は、澱粉
および澱粉の変成物、PAM(ポリアクリルアミド)お
よびPAMの変成物に代表される合成高分子が効果的で
ある。更に、コーターでの塗工液による湿潤強度を上げ
るため、湿潤紙力剤の添加が必要となる場合が多い。湿
潤紙力剤の効果を発現させるためには原紙のサイズ性が
必要となる。原紙のサイズ性が不足すると、原紙中に水
が入りやすくなるために湿潤し易くなり湿潤紙力を発現
することができなくなる。また、サイズ度の測定に当っ
て、ステキヒトサイズ法(JIS P8122)では低
坪量であるがゆえに測定不能であり、必要なサイズ度は
コブサイズ法(JIS P8140)でしか規定するこ
とはできない。本発明において、原紙のコブサイズ度
は、15g/m2以下である必要がある。
および澱粉の変成物、PAM(ポリアクリルアミド)お
よびPAMの変成物に代表される合成高分子が効果的で
ある。更に、コーターでの塗工液による湿潤強度を上げ
るため、湿潤紙力剤の添加が必要となる場合が多い。湿
潤紙力剤の効果を発現させるためには原紙のサイズ性が
必要となる。原紙のサイズ性が不足すると、原紙中に水
が入りやすくなるために湿潤し易くなり湿潤紙力を発現
することができなくなる。また、サイズ度の測定に当っ
て、ステキヒトサイズ法(JIS P8122)では低
坪量であるがゆえに測定不能であり、必要なサイズ度は
コブサイズ法(JIS P8140)でしか規定するこ
とはできない。本発明において、原紙のコブサイズ度
は、15g/m2以下である必要がある。
【0035】サイズ剤は、上記コブサイズ度を満足する
ものであれば特に規定されるものではなく、使用する填
料によって、炭酸カルシウムを用いるなら必然的にアル
キルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸
(ASA)または疎水化ロジンを用いた中性ロジン系の
サイズ剤が用いられる。炭酸カルシウムを填料として用
いないのならば、上記サイズ剤のほかにロジンサイズが
候補として有力となる。これらサイズ剤の問題は、製紙
工場全体のバランスで選択され、また、本発明の軽量塗
工紙が長期保存の対象であれば中性もしくはアルカリ
性、そうでなければ酸性紙であればよい。ただ、抄紙機
の操業安定性の観点から鑑みると、サイズ定着剤として
硫酸バンドを用い、サイズ剤としてロジンまたは中性ロ
ジンを用いた酸性抄紙の方が好ましいことはいうまでも
ない。
ものであれば特に規定されるものではなく、使用する填
料によって、炭酸カルシウムを用いるなら必然的にアル
キルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸
(ASA)または疎水化ロジンを用いた中性ロジン系の
サイズ剤が用いられる。炭酸カルシウムを填料として用
いないのならば、上記サイズ剤のほかにロジンサイズが
候補として有力となる。これらサイズ剤の問題は、製紙
工場全体のバランスで選択され、また、本発明の軽量塗
工紙が長期保存の対象であれば中性もしくはアルカリ
性、そうでなければ酸性紙であればよい。ただ、抄紙機
の操業安定性の観点から鑑みると、サイズ定着剤として
硫酸バンドを用い、サイズ剤としてロジンまたは中性ロ
ジンを用いた酸性抄紙の方が好ましいことはいうまでも
ない。
【0036】添加される湿潤紙力剤は、次の様なものが
掲げられる。エピクロルヒドリン、尿素−フォルマリン
樹脂、ビニルアミン、環状アミン、ポリアミド樹脂、ポ
リアクリルアミドなどが候補として挙げることができ
る。この選択は、紙のpH、填料、使用するサイズ剤な
どとバランスのとれたもので行う。添加量に関しては、
対パルプ固形分比0.8重量%以下、好ましくは0.6
重量%、更に好ましくは0.4重量%である。ここで、
0.8重量%を超えて多く添加すると、抄速にもよる
が、抄紙機ウェットパートを汚し、断紙を起こす可能性
が極めて高くなる。
掲げられる。エピクロルヒドリン、尿素−フォルマリン
樹脂、ビニルアミン、環状アミン、ポリアミド樹脂、ポ
リアクリルアミドなどが候補として挙げることができ
る。この選択は、紙のpH、填料、使用するサイズ剤な
どとバランスのとれたもので行う。添加量に関しては、
対パルプ固形分比0.8重量%以下、好ましくは0.6
重量%、更に好ましくは0.4重量%である。ここで、
0.8重量%を超えて多く添加すると、抄速にもよる
が、抄紙機ウェットパートを汚し、断紙を起こす可能性
が極めて高くなる。
【0037】その他、抄造に用いる添加助剤として、澱
粉(もしくは澱粉の変成体)、硫酸バンド、歩留まり向
上剤などを添加することが必要となるが、その種類、使
用量は特に規定されるものでなく最適なものを選択す
る。
粉(もしくは澱粉の変成体)、硫酸バンド、歩留まり向
上剤などを添加することが必要となるが、その種類、使
用量は特に規定されるものでなく最適なものを選択す
る。
【0038】サイズプレスは、軽量塗工紙の塗層強度を
確保するために処理することが好まし。同時に、軽量紙
自体の紙力の弱さを補うためにも好ましい。紙の基本的
な強度は使用パルプの種類、調成条件と内添紙力剤で決
まるが、これらの紙力を補足的に上げる手段としてサイ
ズプレスを用いることが効果的である。サイズプレス
は、基本的には、水もしくは高分子水溶液が挙げられ、
高分子物質は澱粉および変成澱粉、ポリビニルアルコー
ルおよび変成物、ポリアクリルアミドおよび変成物が挙
げられ、これら1つ以上の組み合わせもしくはこれら1
つ以上の組み合わせと他の添加助剤を含むことで目的と
する紙力を確保する。
確保するために処理することが好まし。同時に、軽量紙
自体の紙力の弱さを補うためにも好ましい。紙の基本的
な強度は使用パルプの種類、調成条件と内添紙力剤で決
まるが、これらの紙力を補足的に上げる手段としてサイ
ズプレスを用いることが効果的である。サイズプレス
は、基本的には、水もしくは高分子水溶液が挙げられ、
高分子物質は澱粉および変成澱粉、ポリビニルアルコー
ルおよび変成物、ポリアクリルアミドおよび変成物が挙
げられ、これら1つ以上の組み合わせもしくはこれら1
つ以上の組み合わせと他の添加助剤を含むことで目的と
する紙力を確保する。
【0039】サイズプレスにおいて、原紙のサイズ度を
確保する手段も有効である。内添によるサイズ剤の添加
量を減少、もしくは皆無にし、サイズプレスにおいて、
コブサイズ度を15g/m2以下にするような処方を用いる
ことは非常に効果的である。サイズプレスで用いること
のできるサイズ剤は、基本的には内添するサイズ剤と同
様な組成である。サイズプレス部における機械的安定性
を達成していることが好ましい。
確保する手段も有効である。内添によるサイズ剤の添加
量を減少、もしくは皆無にし、サイズプレスにおいて、
コブサイズ度を15g/m2以下にするような処方を用いる
ことは非常に効果的である。サイズプレスで用いること
のできるサイズ剤は、基本的には内添するサイズ剤と同
様な組成である。サイズプレス部における機械的安定性
を達成していることが好ましい。
【0040】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は、それぞれ重量部および
重量%を示すものである。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は、それぞれ重量部および
重量%を示すものである。
【0041】実施例1 針葉樹パルプとしてNBKP、広葉樹パルプとしてNB
KPを用いた。NBKPは、遊離状叩解でカナダ標準濾
水度450mlcsfまで叩解した後、粘状叩解でカナ
ダ標準濾水度150mlcsfまで叩解した。叩解後の
NBKPは、Kajaani社製のFS−200で測定
した重量平均繊維長が1.6mmであった。LBKP
は、遊離状叩解でカナダ標準濾水度300mlcsfま
で叩解した。このようにして叩解したNBKP50重量
%とLBKP50重量%からなるパルプ100部と、パ
ルプに対して、ロジンサイズ剤0.3部、硫酸バンド
0.4部、ポリアクリルアミド系乾時紙力剤0.3部、
エピクロルヒドリン系湿潤紙力剤0.1部を混合してパ
ルプスラリーを調製した。尚、填料添加量については、
紙中灰分が5%になるように制御した。
KPを用いた。NBKPは、遊離状叩解でカナダ標準濾
水度450mlcsfまで叩解した後、粘状叩解でカナ
ダ標準濾水度150mlcsfまで叩解した。叩解後の
NBKPは、Kajaani社製のFS−200で測定
した重量平均繊維長が1.6mmであった。LBKP
は、遊離状叩解でカナダ標準濾水度300mlcsfま
で叩解した。このようにして叩解したNBKP50重量
%とLBKP50重量%からなるパルプ100部と、パ
ルプに対して、ロジンサイズ剤0.3部、硫酸バンド
0.4部、ポリアクリルアミド系乾時紙力剤0.3部、
エピクロルヒドリン系湿潤紙力剤0.1部を混合してパ
ルプスラリーを調製した。尚、填料添加量については、
紙中灰分が5%になるように制御した。
【0042】調製したパルプスラリーを長網抄紙機を用
いて抄速200m/分で、絶乾坪量20g/m2、紙中灰分
5%、サイズプレス前水分5%、リーラー水分6%で抄
造し、実施例1の原紙とした。
いて抄速200m/分で、絶乾坪量20g/m2、紙中灰分
5%、サイズプレス前水分5%、リーラー水分6%で抄
造し、実施例1の原紙とした。
【0043】実施例2〜11および比較例1〜4 実施例1におけるNBKPの叩解条件(カナダ標準濾水
度、重量平均繊維長)、NBKPの配合比率、或いはエ
ピクロルヒドリン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示した
ように変更した以外、実施例1と同様にして抄造し、そ
れぞれの原紙を得た。
度、重量平均繊維長)、NBKPの配合比率、或いはエ
ピクロルヒドリン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示した
ように変更した以外、実施例1と同様にして抄造し、そ
れぞれの原紙を得た。
【0044】実施例12 実施例1で叩解したと同様のパルプを用い、NBKP3
0重量%とLBKP70重量%で配合したものを用いて
絶乾坪量25g/m2で抄造した。他の条件は実施例1と同
様にして実施例12の原紙を得た。
0重量%とLBKP70重量%で配合したものを用いて
絶乾坪量25g/m2で抄造した。他の条件は実施例1と同
様にして実施例12の原紙を得た。
【0045】実施例13および比較例5〜6 実施例12のNBKPの配合率、およびエピクロルヒド
リン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示したように変更し
た以外、実施例12と同様にして抄造し、それぞれの原
紙を得た。
リン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示したように変更し
た以外、実施例12と同様にして抄造し、それぞれの原
紙を得た。
【0046】実施例14 実施例1で叩解したと同様のパルプを用い、NBKP2
0重量%とLBKP80重量%で配合したものを用いて
絶乾坪量30g/m2で抄造した。他の条件は実施例1と同
様にして実施例14の原紙を得た。
0重量%とLBKP80重量%で配合したものを用いて
絶乾坪量30g/m2で抄造した。他の条件は実施例1と同
様にして実施例14の原紙を得た。
【0047】実施例15〜16および比較例7〜8 実施例14のNBKPの配合率、およびエピクロルヒド
リン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示したように変更し
た以外、実施例14と同様にして抄造し、それぞれの原
紙を得た。
リン系湿潤紙力剤の添加量を表1に示したように変更し
た以外、実施例14と同様にして抄造し、それぞれの原
紙を得た。
【0048】上記実施例1〜16および比較例1〜8の
各々の配合条件で抄造した原紙を用いて下記の評価方法
により評価し、その結果を表1に示した。
各々の配合条件で抄造した原紙を用いて下記の評価方法
により評価し、その結果を表1に示した。
【0049】[乾時強度]乾時強度は、JIS P81
13に基づいて試験片を作製し、等速引張試験機を用
い、引張速度20mm/分で測定した。単位はkgf。
13に基づいて試験片を作製し、等速引張試験機を用
い、引張速度20mm/分で測定した。単位はkgf。
【0050】[湿潤強度]湿潤強度は、JIS P81
35に基づいて試験片を作製した。浸漬条件は、減圧下
(40cmHg程度)で浸漬時間1000秒とした。引
張試験は等速引張試験機を用い、引張速度20mm/分
で測定した。単位はkgf。
35に基づいて試験片を作製した。浸漬条件は、減圧下
(40cmHg程度)で浸漬時間1000秒とした。引
張試験は等速引張試験機を用い、引張速度20mm/分
で測定した。単位はkgf。
【0051】[叩解動力]叩解動力は、針葉樹パルプに
ついて叩解動力で、空転動力を引いた実動力を処理パル
プの単位重量当たりで比較してあり、実施例1の原紙を
100%として換算した。
ついて叩解動力で、空転動力を引いた実動力を処理パル
プの単位重量当たりで比較してあり、実施例1の原紙を
100%として換算した。
【0052】[地合]地合の評価は、目視評価とし、3
段階で表した。◎は非常に均一な紙である。○は若干の
ムラがみられるが均一な紙である。△はムラがあるが問
題ないレベルである。
段階で表した。◎は非常に均一な紙である。○は若干の
ムラがみられるが均一な紙である。△はムラがあるが問
題ないレベルである。
【0053】[通紙時操業性]通紙時操業性の評価とし
て、コーターに通紙して塗工せずに加減速を行い、この
時の紙切れの発生状況から操業性を3段階で評価した。
◎の評価は特に問題の無いレベルである。○は張力調整
など気をつければ問題の無いレベルである。×は、紙切
れにより通紙不可能なレベルである。
て、コーターに通紙して塗工せずに加減速を行い、この
時の紙切れの発生状況から操業性を3段階で評価した。
◎の評価は特に問題の無いレベルである。○は張力調整
など気をつければ問題の無いレベルである。×は、紙切
れにより通紙不可能なレベルである。
【0054】[塗布時操業性]塗布時操業性の評価とし
て、通紙後、ラインを600m/分まで増速し、カーテ
ンコーターで塗布を開始したときの紙切れ状況から操業
性を3段階で評価した。評価結果は、通紙時操業性評価
と同じ基準である。×は、通紙が可能であるがわずかな
張力変化などで容易に紙切れが起こるレベルであり、実
質的なレベルとしては塗工不可能である。
て、通紙後、ラインを600m/分まで増速し、カーテ
ンコーターで塗布を開始したときの紙切れ状況から操業
性を3段階で評価した。評価結果は、通紙時操業性評価
と同じ基準である。×は、通紙が可能であるがわずかな
張力変化などで容易に紙切れが起こるレベルであり、実
質的なレベルとしては塗工不可能である。
【0055】
【表1】
【0056】評価結果:実施例1の原紙では、乾時強度
が1.5kgf、且つ湿潤強度0.15kgfの原紙で
は、地合が均一で、通紙時、塗布時に張力調整などを気
をつけることで紙切れがなく、満足する操業性が得られ
た。また、実施例8〜11の原紙では、乾時強度が2.
0kgf以上、且つ湿潤強度が0.2kgf以上の原紙
では、通紙時、および塗布時の操業性が更に良化した。
が1.5kgf、且つ湿潤強度0.15kgfの原紙で
は、地合が均一で、通紙時、塗布時に張力調整などを気
をつけることで紙切れがなく、満足する操業性が得られ
た。また、実施例8〜11の原紙では、乾時強度が2.
0kgf以上、且つ湿潤強度が0.2kgf以上の原紙
では、通紙時、および塗布時の操業性が更に良化した。
【0057】実施例4の原紙では、配合するNBKPの
カナダ標準濾水度が250ml以上、重量平均繊維長が
1.80mm以上の場合、満足する通紙時、および塗布
時の操業性を得るには、問題ないレベルではあるが、地
合にムラがあった。また、実施例7の原紙では、カナダ
標準濾水度が100ml以下、重量平均繊維長が1.4
0mm以下の場合、多大な叩解動力を必要とするが、満
足する地合、および通紙時、塗布時の操業性が得られ
た。更に、実施例14〜16の原紙では、カナダ標準濾
水度が100〜250mlで、且つ重量平均繊維長が
1.40〜1.80mlのNBKPを用いた場合で、そ
の配合比率が20〜80重量%のときには、均一な地
合、および満足する通紙時、塗布時の操業性が得られ
た。
カナダ標準濾水度が250ml以上、重量平均繊維長が
1.80mm以上の場合、満足する通紙時、および塗布
時の操業性を得るには、問題ないレベルではあるが、地
合にムラがあった。また、実施例7の原紙では、カナダ
標準濾水度が100ml以下、重量平均繊維長が1.4
0mm以下の場合、多大な叩解動力を必要とするが、満
足する地合、および通紙時、塗布時の操業性が得られ
た。更に、実施例14〜16の原紙では、カナダ標準濾
水度が100〜250mlで、且つ重量平均繊維長が
1.40〜1.80mlのNBKPを用いた場合で、そ
の配合比率が20〜80重量%のときには、均一な地
合、および満足する通紙時、塗布時の操業性が得られ
た。
【0058】一方、比較例2の原紙では、乾時強度が
1.5kgf未満の場合、通紙時に紙切れが発生し、当
然ながら、通紙が順調にできないため、塗布できなかっ
た。また比較例3、4、6、8の原紙では、乾時強度が
1.5kgf以上であっても、湿潤強度が0.15kg
f未満であると、通紙は順調に行えるが、塗布時に紙切
れが発生し、満足する操業性は得られなかった。
1.5kgf未満の場合、通紙時に紙切れが発生し、当
然ながら、通紙が順調にできないため、塗布できなかっ
た。また比較例3、4、6、8の原紙では、乾時強度が
1.5kgf以上であっても、湿潤強度が0.15kg
f未満であると、通紙は順調に行えるが、塗布時に紙切
れが発生し、満足する操業性は得られなかった。
【0059】以上の結果から、通紙時、および塗布時に
おいて、満足する操業性を得るには、原紙の乾時強度が
1.5kgf以上、且つ湿潤強度が0.15kgf以上
であることが必要である。
おいて、満足する操業性を得るには、原紙の乾時強度が
1.5kgf以上、且つ湿潤強度が0.15kgf以上
であることが必要である。
【0060】
【発明の効果】以上のように、坪量50g/m2を超えない
軽量塗工紙において、20〜30g/m2の軽量塗工紙用原
紙を抄造するにあたり、該原紙の乾時強度が1.5kg
f以上であり、且つ湿潤強度が0.15kgf以上とす
ることで、塗工に必要な強度を十分に持たせることがで
きた。
軽量塗工紙において、20〜30g/m2の軽量塗工紙用原
紙を抄造するにあたり、該原紙の乾時強度が1.5kg
f以上であり、且つ湿潤強度が0.15kgf以上とす
ることで、塗工に必要な強度を十分に持たせることがで
きた。
【図1】塗布液(水)に浸漬した時間と湿潤強度の関係
を表したグラフ
を表したグラフ
Claims (3)
- 【請求項1】 絶乾坪量50g/m2以下の軽量塗工紙であ
って、軽量塗工紙用原紙が絶乾坪量20〜30g/m2であ
り、且つ、20℃−65%RHの条件下におけるJIS
P8113に準拠して測定される引張強度1.5kg
f以上、水に浸漬して1000秒後におけるJIS P
8135に準拠して測定される湿潤引張強度0.15k
gf以上であることを特徴とする軽量塗工紙用原紙。 - 【請求項2】 軽量塗工紙用原紙が、JIS P811
3に準拠して測定される引張強度2.0kgf以上、水
に浸漬して1000秒後におけるJIS P8135に
準拠して測定される湿潤引張強度0.20kgf以上で
あることを特徴とする請求項1記載の軽量塗工紙用原
紙。 - 【請求項3】 軽量塗工紙用原紙が、カナダ標準濾水度
100〜250mlcsf、重量平均繊維長1.4〜
1.8mmである針葉樹パルプを使用し、該針葉樹パル
プ20〜80重量%と広葉樹パルプ80〜20重量%の
混合比で構成されたものであることを特徴とする請求項
1または2記載の軽量塗工紙用原紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27388694A JPH08134790A (ja) | 1994-11-08 | 1994-11-08 | 軽量塗工紙用原紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27388694A JPH08134790A (ja) | 1994-11-08 | 1994-11-08 | 軽量塗工紙用原紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08134790A true JPH08134790A (ja) | 1996-05-28 |
Family
ID=17533948
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27388694A Pending JPH08134790A (ja) | 1994-11-08 | 1994-11-08 | 軽量塗工紙用原紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08134790A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000212898A (ja) * | 1999-01-11 | 2000-08-02 | Oji Paper Co Ltd | グラシン剥離紙用原紙 |
JP2009179916A (ja) * | 2008-01-31 | 2009-08-13 | Daio Paper Corp | 食品包装用シート |
-
1994
- 1994-11-08 JP JP27388694A patent/JPH08134790A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000212898A (ja) * | 1999-01-11 | 2000-08-02 | Oji Paper Co Ltd | グラシン剥離紙用原紙 |
JP2009179916A (ja) * | 2008-01-31 | 2009-08-13 | Daio Paper Corp | 食品包装用シート |
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