JPH0813155A - 印刷用表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents

印刷用表面処理鋼板およびその製造方法

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JPH0813155A
JPH0813155A JP14646994A JP14646994A JPH0813155A JP H0813155 A JPH0813155 A JP H0813155A JP 14646994 A JP14646994 A JP 14646994A JP 14646994 A JP14646994 A JP 14646994A JP H0813155 A JPH0813155 A JP H0813155A
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JP
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coating
metal
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steel sheet
treated steel
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Ryujiro Onodera
隆二郎 小野寺
Taisei Nakayama
大成 中山
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐食性、溶接性、塗料密着性 (印刷性) に優
れた印刷用表面処理鋼板を、電解によらず、塗布法によ
って低コストで製造する。 【構成】 鋼板表面に、塗布法により形成された3価ク
ロム酸化物を主体とする0.1〜1.0 μm厚の皮膜を有す
る印刷用表面処理鋼板であって、この皮膜がアルカリ土
類金属及びアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の
金属 (Meとする)の酸化物をMe/Crの金属換算モル比が
0.1〜1.5 となる量で含有し、場合によりさらにSi/Cr
金属換算モル比が1.0 以下となる量のSiO2を含有する。
この皮膜は、6価クロム化合物および還元剤と、Me金属
供給源、および場合によりSiO2を含有する塗布液の塗布
と焼付けにより形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペール缶、18リットル
缶、さらには1L 缶などの小缶や角缶などの雑缶、或い
はトレー、オモチャ、電池ケースなどの、印刷が適用さ
れる製品の製造に適した、耐食性と溶接性を有し、塗装
または印刷可能で、安価なティンフリーの印刷用表面処
理鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペール缶材等の印刷用表面処理鋼板に要
求される特性としては、耐食性、溶接性、塗料密着性が
挙げられる。即ち、鋼板製造メーカーから製缶メーカー
に出荷された後、一時的に保管される間および最終製缶
後の防錆能を確保するための耐食性、製缶時にシーム溶
接するための溶接性、および装飾や識別のために塗料ま
たは印刷インキを塗るための塗料密着性である。
【0003】印刷用材料として主に使用されている表面
処理鋼板は、ぶりき及びTFS (ティンフリースチー
ル) である。ぶりきは、鋼板表面に金属錫を付着させた
ものであり、歴史的には浸漬法により製造される厚膜型
から電気めっき法により製造される薄膜型に推移してい
る。これは、錫が資源的に少なく、高価なためである。
ぶりきは、上記の特性をいずれも十分に満たしている
が、薄膜型であっても依然として高価である。
【0004】この高価なぶりきに代わる材料として開発
されたのがTFSである。TFSは錫を全く用せず、代
わりにクロム系の耐食性皮膜を鋼板表面に形成したもの
であって、ぶりきに比べて安価である点が大きな特徴で
ある。TFSは、鋼板表面に1層目として電気めっきに
より付着した金属クロム、その上の2層目として水和酸
化クロムの皮膜という2層構造の皮膜構造を有してい
る。TFSの製造方法は1液法と2液法とがあり、1液
法では、比較的低濃度のクロム酸と1種もしくは2種以
上の他の酸とを含有する電解液中での電解(クロムめっ
き)を数回反復することにより、金属クロムと水和酸化
クロムとを同時に析出させる。2液法では、CrO3濃度が
比較的高い電解液で電解してまずクロムめっきを施した
後、より低濃度の電解液中で陰極処理して水和酸化クロ
ムを析出させる方法である。従って、いずれの方法でも
電解により皮膜が形成される。
【0005】TFSは耐食性と塗料密着性は良好である
が、溶接性が低いため、主に接着により缶を製造せざる
を得ず、缶の気密信頼性の点で問題があった。そのた
め、溶接可能なTFSが求められてきた。溶接可能なT
FSは、例えば、特公昭57−19752 号、同57−36986
号、および同63−26200 号の各公報に提案されている。
しかし、これらもいずれも電解法により製造される。従
って、電解のための専用設備を必要とし、コスト高とな
る。さらに、特公昭57−19752 号および同57−36986 号
に記載のTFSはCr付着量が少ないため、耐食性に劣
り、特公昭63−26200 号公報に記載のTFSは、陰極電
解、陽極酸化、再び陰極処理という3回の電解処理が必
要で、電解操作が複雑であるという問題点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に対し
て、本発明は、印刷用表面処理鋼板に要求される耐食
性、溶接性および塗料密着性といった条件を十分に満足
させ、しかも電解を必要とせずに安価に製造できる印刷
用表面処理鋼板とその製造方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々の表面
処理鋼板について耐食性、溶接性および塗料密着性を評
価した結果、クロメート皮膜に類似した3価のクロム酸
化物を主体とする皮膜を持つ表面処理鋼板が、皮膜の膜
厚をかなり厚くすることにより、これらの特性を相当に
満足させることが可能であることが判明した。しかし、
この皮膜はそのままでは安定性に欠けるため、特に耐食
性が不十分であった。なお、米国において、浸漬クロム
酸処理した鋼板が洗剤印刷用として開発されたが、耐食
性に劣るため、使用されなくなったという経緯がある。
【0008】この点を改善するために研究を重ねた結
果、この3価クロム酸化物を主体とする皮膜中にMgやCa
などのアルカリ土類金属および/またはAlの酸化物を比
較的多量に存在させると皮膜が化学的に安定化して、耐
食性が層向上し、印刷用塗料との密着性も改善されるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0009】ここに、本発明は、鋼板表面に塗布法によ
り形成された3価クロム酸化物を主体とする 0.1〜1.0
μm厚の皮膜を有し、この皮膜がアルカリ土類金属およ
びアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属 (Me
とする) の酸化物をMe/Crの金属換算モル比が 0.1〜1.
5 となる量で含有していることを特徴とする印刷用表面
処理鋼板を要旨とする。
【0010】上記の皮膜は、さらにSi/Cr金属換算モル
比が1.0 以下となる量のSiO2を含有していてもよい。な
お、「印刷用」とは、印刷および/または塗装を施すた
めの表面処理鋼板であることを意味する。
【0011】本発明の印刷用表面処理鋼板は、クロム酸
および/または重クロム酸イオンと、この6価クロムイ
オンを3価クロムに還元するのに十分な量の還元剤とを
含有し、さらにアルカリ土類金属およびアルミニウムよ
りなる群から選ばれた少なくとも1種の金属 (Meとす
る) のイオンを、Me/Crの金属換算モル比が 0.1〜1.5
となる量で含有する水溶液を鋼板表面に塗布した後、焼
付けのために加熱することにより製造できる。
【0012】塗布に用いる水溶液は、さらにSi/Cr金属
換算モル比が1.0 以下となる量のSiO2を含有していても
よい。本発明の印刷用表面処理鋼板の母材鋼板は特に制
限されない。しかし、印刷用鋼板として最もよく使われ
るのは冷延鋼板であるので、本発明でも冷延鋼板が一般
に使用される。
【0013】本発明によれば、この母材鋼板の表面 (通
常は両面) に、3価クロム酸化物を主体とし、Me/Crモ
ル比が 0.1〜1.5 となる量のアルカリ土類金属および/
またはアルミニウムの酸化物を含有する、 0.1〜1.0 μ
m厚の皮膜が形成される。この皮膜は、鋼板に対して安
定した密着性を示し、良好な耐食性を付与することがで
き、しかも溶接性および塗料や印刷インキとの密着性も
良好である。そのため、溶接による製缶が可能であっ
て、缶表面に塗装や印刷を行うこともできる。また、皮
膜が上記の酸化物皮膜のみからなるため、従来のTFS
のような金属クロム層の形成のための電解めっき工程を
必要とせず、塗布法のみで皮膜を形成することができ
る。
【0014】「3価クロム酸化物を主体とする皮膜」と
は、水和していてもよいCr2O3 またはその複合酸化物か
らなる皮膜のことである。本発明によれば、この皮膜は
塗布法により6価クロム化合物の水溶液の塗布と焼付に
より形成される。電解の手法は、本発明では採用しな
い。なぜなら、電解のための専用装置が必要となり、コ
スト高となる上、皮膜中のアルカリ土類および/または
両性金属酸化物の比率を一定値に制御することが電解法
では困難となるからである。塗布法であれば、単に塗布
液中にアルカリ土類および/または両性金属化合物を所
定割合で添加するだけで、皮膜中のこれら金属酸化物の
比率を正確に制御できる。
【0015】酸化クロム皮膜の膜厚は 0.1〜1μmであ
る。0.1 μm未満では、皮膜が防錆膜として機能するに
は薄すぎ、耐食性が不十分となる。1.0 μmより厚膜に
なると、母材鋼板との皮膜密着性が低下するために、耐
食性がやはり不十分となり、塗料密着性も低下する。膜
厚は、好ましくは 0.4〜1.0 μm、さらに好ましくは0.
6〜0.9 μmの範囲内である。
【0016】本発明の表面処理鋼板の皮膜は、3価クロ
ム酸化物を主体とする皮膜中に、アルカリ土類金属およ
び/またはアルミニウム (Me) の酸化物を含有する。こ
れらの金属酸化物を皮膜中に含有させることにより、皮
膜の安定性が高まり、母材との密着性が高まる結果、耐
食性が著しく向上すると共に、塗料密着性も改善され、
良好な印刷や塗装が可能となる。アルカリ土類金属酸化
物としてはカルシウムおよびマグネシウムの酸化物が好
ましい。
【0017】これらの金属酸化物の皮膜中の比率は、Me
/Crの金属換算モル比で 0.1〜1.5の範囲内に限定す
る。なお、アルカリ土類金属酸化物およびアルミニウム
酸化物の2種以上が皮膜中に存在する場合は、Meはこれ
ら2種以上の金属の合計量である。従って、本発明の表
面処理鋼板の表面皮膜は、上記の金属酸化物のモル量が
3価クロム酸化物のモル量より多い場合を含んでいる
が、本発明では便宜上、皮膜を「3価クロム酸化物を主
体とする皮膜」と表記する。このモル比が0.1 未満で
は、皮膜の安定化が妨げられ、母材への密着性が劣化
し、耐食性が著しく低下する。また、このモル比が1.5
を越えると、塗布に用いる6価クロム化合物を含有する
塗布液の安定性が失われ、金属化合物の沈澱を生じてし
まう。Me/Crモル比は、好ましくは 0.7〜1.2 、より好
ましくは 0.9〜1.0 の範囲内である。
【0018】この皮膜中には、上記のアルカリ土類金属
および/またはアルミニウムの酸化物に加えて、Si/Cr
金属換算モル比が1.0 以下となる量のSiO2を含有させて
もよい。それにより、耐食性および塗料密着性がさらに
改善される。しかし、SiO2の配合量が過度になって、Si
/Crモル比が1.0 を越えると、塗料密着性はかえって阻
害されるようになる。SiO2を配合する場合、その配合量
は好ましくはSi/Crモル比が 0.3〜0.7 の範囲内となる
量である。
【0019】次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法に
ついて説明する。表面処理は、前述したように塗布法に
より行われる。塗布により形成する皮膜の主成分は3価
クロム酸化物であるが、この化合物は水に難溶性である
ので、塗布作業に使用できない。そのため、塗布液とし
ては、水に易溶性の6価クロム化合物 (即ち、クロム酸
またはクロム酸塩もしくは重クロム酸塩) の水溶液を使
用し、塗布液に還元剤を一緒に含有させて、塗布から焼
付け終了までの間に6価クロム化合物を還元させ、3価
クロム酸化物を主体とする皮膜を形成させる。
【0020】従って、塗布に用いる水溶液 (以下では、
塗布液という) は、クロム酸イオン(CrO4 2-) および/
または重クロム酸イオン(Cr2O7 2-) と、還元剤と、アル
カリ土類金属および/またはアルミニウムイオンとを含
有する。クロム酸または重クロム酸イオンの供給源とな
る6価クロム化合物としては、無水クロム酸、クロム酸
塩および重クロム酸塩がある。このうち好ましいのは、
他に金属イオンを含有しない無水クロム酸、クロム酸ア
ンモニウムおよび重クロム酸アンモニウムであり、中で
も無水クロム酸の使用が特に好ましい。
【0021】また、クロム酸または重クロム酸のアルカ
リ土類金属塩 (例、クロム酸マグネシウム、重クロム酸
マグネシウム等) も6価クロム化合物として好適であ
る。これらの化合物は、クロム酸または重クロム酸イオ
ンの供給源であると同時に、アルカリ土類金属イオンの
供給源ともなる。従って、例えば、これらの1種もしく
は2種以上の化合物と還元剤を水に溶解させるだけで、
本発明で用いる塗布液を調製することができる。
【0022】還元剤は、溶液状態にある6価クロム化合
物を塗装後の乾燥焼付け時に3価のクロム酸化物に還元
させるために塗布液中に含有させる。還元剤としては有
機還元剤が好ましい。有機還元剤としては、多価カルボ
ン酸類 (マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸
等) 、多価アルコール類 (エチレングリコール、グリセ
リン、ポリエチレングリコール類など) 、アミン類 (モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン等) が使用できる。特に好ましい還元剤はエ
チレングリコールである。
【0023】還元剤の配合量は、6価クロムイオンを3
価クロムに還元するのに十分な量、即ち、焼付け後の皮
膜中に有毒な6価クロム化合物が残存しないような量と
する。この量は、一般にモル比で金属Crモル量に対して
1倍以上である。一方、還元剤は焼付け中に分解する
が、過度に還元剤を添加すると、焼付け後も皮膜中に還
元剤が残存し、やはり耐食性を低下させることがある。
従って、還元剤の量はモル比で金属Crモル量の2倍以下
とすることが好ましい。好ましい還元剤の配合量は、金
属Crモル量の 1.3〜1.8 倍の範囲内である。
【0024】アルカリ土類金属イオンおよびアルミニウ
ムイオンの供給源は、クロム酸またはクロム酸塩もしく
は重クロム酸塩の水溶液に可溶性の任意のアルカリ土類
金属およびアルミニウム化合物でよい。例えば、前述し
たように、クロム酸または重クロム酸のアルカリ土類金
属塩を、クロム酸イオンまたは重クロム酸イオンとアル
カリ土類金属イオンの両者の供給源として使用できる。
また、アルカリ土類金属およびアルミニウムの酸化物ま
たは水酸化物も使用できる。これらの酸化物または水酸
化物は水には溶解しにくいが、酸性のクロム酸水溶液に
は溶解する。しかし、易溶性の酸化物または水酸化物
(即ち、非常に微細なもの) を使用することが好まし
い。さらには、アルカリ土類金属やアルミニウムの塩化
物、硫酸塩、アンモニウム塩といった塩類も使用でき
る。
【0025】アルカリ土類金属イオンおよび/またはア
ルミニウムイオンは、水溶液中に含まれるクロム酸また
は重クロム酸イオンに対して、Me/Cr金属換算モル比が
0.1〜1.5 となる割合で配合する。
【0026】塗布液中には、さらにSi/Cr金属換算モル
比が1.0 以下となる量のSiO2を含有していてもよい。こ
のSiO2としてはコロイド粒径のシリカ (以下、コロイド
状シリカという) を使用する。コロイド状シリカとして
は、気相シリカ (熱分解法で得られたコロイド状シリ
カ) も使用できるが、コロイダルシリカ (水性シリカま
たはシリカゾルともいう) の方が、水溶液中での分散性
に優れていることから好ましい。
【0027】塗布液は、例えば、無水クロム酸、クロム
酸塩および/または重クロム酸塩を水に溶解させた水溶
液中に、アルカリ土類金属および/またはアルミニウム
化合物と還元剤とを添加して溶解させ、必要によりコロ
イド状シリカを加えて分散させることにより調製でき
る。塗布液の濃度は、6価クロム化合物の濃度がCrO3
算濃度で20〜200 g/L 、好ましくは50〜100 g/L 、特に
75〜85 g/Lの範囲内がよい。なお、還元剤を添加すると
溶液中の6価クロム化合物の還元が進むこともあるの
で、還元剤の添加はあまり早くに行わない方がよい。
【0028】母材鋼板への塗布液の塗布法としては、ロ
ールコート、スプレー法、浸漬法、カーテンフローコー
トなど、均一な塗布が可能な任意の公知の塗布法を利用
することができる。塗布後の焼付けのための加熱条件
は、膜厚によっても異なるが、一般に 120〜400 ℃で20
秒〜2分間の範囲内である。焼付けは、熱風オーブン、
誘導加熱などの周知の乾燥・焼付け装置を利用して実施
できる。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。実施例中、部は特に指定のない限り重量部であ
る。
【0030】無水クロム酸 (CrO3) 70部を水1000部に溶
かしたクロム酸水溶液中に、易溶性の水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムの1種もし
くは2種を種々の量で添加して溶解させた後、場合によ
りコロイダルシリカ (日産化学社製、スノーテーックス
O、平均粒子径20 nm)を加えて十分に攪拌した後、有機
還元剤としてエチレングリコール (EG) 20重量部を添
加および混合して、表1に示す組成 (配合量はCrO31モ
ル当たりのモル比) の塗布液を調製した。
【0031】塗布液の安定性を評価するために、調製し
た各塗布液 (還元剤を添加した後)を室温で48時間放置
して、金属化合物の沈殿の有無を目視観察した。金属化
合物の沈殿が認められたものを×、認められないものを
○とした。
【0032】上記の各塗布液を、最終仕上げ焼鈍のすん
だ冷延鋼板 (板厚0.35 mm)の両面にロールコーターによ
り塗布し、270 ℃の熱風オーブンで1分間焼き付けて種
々の膜厚の皮膜を形成させた。得られた表面処理鋼板の
耐食性、溶接性、および印刷用塗料との塗料密着性を次
の試験法により評価した。また、皮膜中の6価クロムイ
オンの残存の有無をX線光電子分光法により判定した。
【0033】[試験法]耐食性 :印刷用表面処理鋼板に要求される水準の耐食性
を満たしているか否かの評価である。耐食性は、表面処
理鋼板の試験片に対して、湿潤乾燥繰り返し (湿度85
%、温度25℃の湿潤環境下24時間と大気中での乾燥環境
下24時間との繰り返し) による加速腐食試験を1週間継
続した後の表面の錆の発生状況 (錆発生面積率) から判
断した。この錆発生面積率が5%以下では、印刷用表面
処理鋼板としての耐食性に問題がないので○とし、錆発
生面積率が5%超の場合を×と評価した。
【0034】溶接性:2枚の試験片を加圧力2kgf/c
m2 、電流値150 Aでシーム溶接し、接合部の接合が完
全か否かを目視判定することにより○、×で評価した。塗料密着性 :試験片の片面にアクリル樹脂系の印刷用塗
料 (東洋インク社製シルクスクリーン) を乾燥膜厚で15
μmの厚みにロールコーターにより塗布し、150℃×20
秒間の焼付けを行った後、塗膜に1mm角のごばん目を刻
みつけ、テープ剥離試験により残った升目の数により、
次の基準で評価した。 ○:剥離なし (剥離した升目数が0) ×:剥離発生 (剥離した升目数が1以上) 以上の試験結果も表1に併せて示した。
【0035】
【表1】
【0036】表1からわかるように、本発明の表面処理
鋼板は、電解法を採用せず、従って、皮膜は金属クロム
層を持たず、鋼板表面を単に3価クロム酸化物を主体と
する層だけで被覆したにもかかわらず、印刷用表面処理
鋼板に要求される水準の耐食性、溶接性および塗料密着
性を兼ね備えており、表面の印刷も可能であった。
【0037】これに対し、試験No.1、2、19、22、25の
ように、CrO31モルに対して水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムおよび水酸化カルシウムの合計量が0.1
モル未満であると、皮膜の耐食性が不十分となった。ま
た、No.9、21、24、27のように、上記の合計量が1モル
を越えると、塗布液が不安定となり、水溶液から金属化
合物が沈澱し、塗布液が使用できなくなった。No.15 、
16では、SiO2の添加量が過大になり、塗料密着性が低下
した。No.17 では還元剤のEG (エチレングリコール)
が少なすぎ、皮膜中に有毒な6価クロムが残存した。一
方、No.18 では還元剤が多すぎ、皮膜中に還元剤が残存
して、耐食性が低下した。No.3では膜厚が薄すぎて耐食
性が不十分となった。また、No.4は膜厚が1.0 μmを越
えたため、皮膜の密着性が低下して耐食性と塗料密着性
も低下した。
【0038】
【発明の効果】本発明は従来の印刷用母材として使用さ
れていた、ぶりきあるいはTFSに代わる表面処理鋼板
であり、印刷用表面処理鋼板に要求される耐食性や溶接
性を十分に満たし、また塗料密着性も良好であるので、
その上に塗装や印刷を施すことができる。しかも、本発
明の表面処理鋼板は、TFSとは異なり、金属クロム層
を有していないので、電解法ではなく、塗布と焼付けと
いう塗布法により製造でき、専用の電解装置を必要とし
ないので、ぶりきやTFSより低コストで製造すること
ができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に塗布法により形成された3価
    クロム酸化物を主体とする 0.1〜1.0 μm厚の皮膜を有
    し、この皮膜がアルカリ土類金属およびアルミニウムか
    ら選ばれた少なくとも1種の金属 (Meとする) の酸化物
    をMe/Crの金属換算モル比が 0.1〜1.5 となる量で含有
    していることを特徴とする、印刷用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 前記皮膜がさらにSi/Cr金属換算モル比
    が1.0 以下となる量のSiO2を含有している、請求項1記
    載の印刷用表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 クロム酸および/または重クロム酸イオ
    ンと、この6価クロムイオンを3価クロムに還元するの
    に十分な量の還元剤とを含有し、さらにアルカリ土類金
    属およびアルミニウムよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種の金属(Meとする) のイオンを、Me/Crの金属換
    算モル比が 0.1〜1.5 となる量で含有する水溶液を鋼板
    表面に塗付した後、焼付けのために加熱することからな
    る、請求項1記載の印刷用表面処理鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水溶液がさらにSi/Cr金属換算モル
    比が1.0 以下となる量のSiO2を含有している、請求項3
    記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10329199A (ja) * 1997-06-03 1998-12-15 Furukawa Electric Co Ltd:The 樹脂組成物押出用スクリーンメッシュ、その製造方法およびそれを用いた押出品の製造方法
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