JPH08114733A - 少心光ファイバケーブルおよびその製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の少心光ファイバケーブルと同様に製造
時の光ファイバテープ心線の劣化を防ぎ、なおかつ接続
作業などの際の口出し作業性の良好な少心光ファイバケ
ーブルとその製法を提供する。 【構成】 数本の光ファイバ素線を並列集合させ、一括
被覆を施してなる光ファイバテープ心線の表面に、保護
断熱層を設け、テンションメンバと並列集合させてポリ
エチレン樹脂のシースを一括被覆してなる少心光ファイ
バケーブルにおいて、保護断熱層としてプラスチックテ
ープを用いる。また、数本の光ファイバ素線を並列集合
させ、一括被覆を施してなる光ファイバテープ心線の表
面にプラスチックテープを巻回することによって、ある
いはプラスチックテープを縦添え巻きすることによって
保護断熱層を設け、ついで、この保護断熱層を施した光
ファイバテープ心線をテンションメンバと並列集合させ
てポリエチレン樹脂のシースを一括被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光屋外線、光宅内配
線、少心加入用ケーブルなどに用いられる少心光ファイ
バケーブルに関し、口出し時の作業性を向上させ、製造
工程を簡素化した少心光ファイバケーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の少心光ファイバケーブルとして
は、図１に断面図を示したような例が知られている。図
１中符号１に示されるものは光ファイバテープ心線であ
る。この光ファイバテープ心線１は、光ファイバ素線２
を複数本並列させ、この光ファイバ素線２…の周囲に紫
外線硬化型樹脂などの一括被覆を施してなるものであ
り、この光ファイバテープ心線１の周囲には、ナイロン
よりなる保護断熱層３が被覆されている。

【０００３】また、図１中符号４に示されるものは、副
テンションメンバであり、この副テンションメンバ４、
４は、単鋼線からなるものである。この副テンションメ
ンバ４、４と前記光ファイバテープ心線１…とが並列集
合された周囲には、ユニットシース５がポリエチレン樹
脂の押し出し成形によって一括被覆され、光ファイバユ
ニット６をなしている。

【０００４】なお、前記光ファイバユニット６の中央に
は、溝１０、１０が上下に対向して設けられている。こ
の溝１０、１０は、このような少心光ファイバケーブル
の接続などの際に口出しを容易に行なえるように、ユニ
ットシース５を引裂きやすくするためのものである。

【０００５】さらに、上記光ファイバユニット６の凹部
分には、光ファイバユニット支持部材７が、半ばはめ込
まれたように設けられており、この光ファイバユニット
支持部材７は、金属撚線やＦＲＰロッドよりなる主テン
ションメンバ８の周囲に、ポリエチレン樹脂よりなる支
持部材シース９が被覆されてなるものである。この光フ
ァイバユニット支持部材７と前記光ファイバユニット６
とは、前記のように光ファイバユニット６の凹部分に光
ファイバユニット支持部材７が半ばはめ込んだ状態を保
ちながら、互いに撚り合わせられて一体化され、少心光
ファイバケーブルをなしている。

【０００６】上記のような少心光ファイバケーブルにあ
っては、ユニットシース５を設ける際には、ポリエチレ
ン樹脂の押し出し成形を行なっているが、このような押
し出し成形によるポリエチレン樹脂被覆は、２００℃の
高温下で行なわれるのが常である。そのため、光ファイ
バテープ心線１…の周囲に直接ポリエチレン樹脂のユニ
ットシース５を被覆した場合、光ファイバテープ心線１
…は加熱されたポリエチレン樹脂が冷却固化するまでの
間、高温にさらされることになる。光ファイバテープ心
線１…の一括被覆に用いられている紫外線硬化型樹脂
は、１２０〜１３０℃で劣化し、もろくなってしまうの
で、従来の少心光ファイバケーブルにおいては、光ファ
イバテープ心線１…の周囲に、上記のような保護断熱層
３を設けることによって、光ファイバテープ心線１…が
ポリエチレン樹脂の押し出し成形の際に高熱によって劣
化することを防いでいた。

【０００７】また、上記保護断熱層３の形成には、成形
性に優れ、温度によらず安定した機械的強度を保つこと
から、ナイロン１２を用いるのが一般的であった。

【０００８】ところで、このような少心光ファイバケー
ブルにあっては、接続作業などにおいて口出しを行なう
際に、ユニットシース５については溝１０、１０を利用
して引裂いて除去していたが、保護断熱層３について
は、ナイロン１２の優れた強度のため、逆に専用の工具
を用いなければ除去することが容易でなく、このような
特殊な工具の使用が不可欠となってしまい、作業性が低
いという問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の課題
は、光ファイバテープ心線の劣化を防ぎ、なおかつ口出
しの際の作業性が良好であって、製造効率の高い少心光
ファイバケーブルとその製法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】かかる課題は、数本の光
ファイバ素線を並列集合させ、一括被覆を施してなる光
ファイバテープ心線の表面に、保護断熱層を設け、テン
ションメンバと並列集合させてポリエチレン樹脂のシー
スを一括被覆してなる少心光ファイバケーブルにおい
て、前記保護断熱層としてプラスチックテープを用いる
ことによって解決される。

【００１１】以下、本発明を図１を利用して詳しく説明
する。本発明の少心光ファイバケーブルが、従来の少心
光ファイバケーブルと異なるところは、本発明の少心光
ファイバにおいては、従来の少心光ファイバケーブルに
おける保護断熱層３が、樹脂被覆ではなくプラスチック
テープによって形成されている点である。

【００１２】本発明の少心光ファイバケーブルにおいて
は、数本の光ファイバ素線を並列集合させ、一括被覆を
施してなる光ファイバテープ心線１…の周囲に、プラス
チックテープを用いて保護断熱層３を形成する。

【００１３】このような少心光ファイバケーブルにおけ
る上記プラスチックテープとしては、ポリエチレンテレ
フタレート、ナイロン、ポリエチレン、アラミドなどよ
りあらかじめ形成したものを用いるのが好適である。ま
た、このようなプラスチックテープを用いて、従来のナ
イロンによる樹脂被覆と同様の断熱効果を奏するために
は、０．２〜０．３mm厚さのプラスチックテープを用い
て光ファイバテープ心線上に一重の巻回による被覆を行
なうことが望ましい。

【００１４】上述のプラスチックテープによる保護断熱
層３は、前記プラスチックテープを架線方向に対して斜
めに用いて前記光ファイバテープ心線１…に巻回するこ
とによって被覆される。あるいはまた、この保護断熱層
３は、前記プラスチックテープを架線方向に対して平行
に用いて前記光ファイバテープ心線１…に縦添え巻きす
ることによって被覆される。

【００１５】次に、上記のように保護断熱層３を施した
光ファイバテープ心線１…と副テンションメンバ４、４
とを並列集合し、これらの周囲にポリエチレン樹脂を押
し出し加工によって被覆してユニットシース５を設け、
光ファイバユニット６とする。

【００１６】上記のようにして光ファイバユニット６が
形成され、この光ファイバユニット６と、主テンション
メンバ８の周囲にポリエチレン樹脂の支持部材シース９
が被覆されてなる光ファイバユニット支持部材７とを、
前記光ファイバユニット６の凹部分に光ファイバユニッ
ト支持部材７を半ばはめ込んだ状態に保ちながら、互い
に撚り合わせて一体化し、少心光ファイバケーブルをな
すものである。

【００１７】また、本発明の少心光ファイバケーブルの
製法にあっては、光ファイバテープ心線１…にユニット
シースを被覆するポリエチレン樹脂の押し出し加工の際
に、オンラインでプラスチックテープによる被覆を行な
い、保護断熱層３を設けるようにする。

【００１８】上記のような製法によれば、製造工程をよ
り簡素化することができ、したがって生産性を向上させ
ることができる。

【００１９】さらに、このような少心光ファイバケーブ
ルでは、前記のプラスチックテープとして厚さを一定に
形成したものを用いるため、保護断熱層３の被覆厚の公
差を厳密に検査する必要がなく、また、スタート余長と
するべき部分と製品となる部分との境が明確である。さ
らに、前記のプラスチックテープによる保護断熱層３は
従来のナイロンによるものに比して容易に切断すること
ができるので、スタート余長を削除する作業が容易であ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の少心光フ
ァイバケーブルは、数本の光ファイバ素線を並列集合さ
せ、一括被覆を施してなる光ファイバテープ心線の表面
に、プラスチックテープによる保護断熱層を被覆し、テ
ンションメンバと並列集合させてポリエチレン樹脂のシ
ースを一括被覆してなる少心光ファイバケーブルであ
る。

【００２１】また、本発明の少心光ファイバケーブルの
製法は、数本の光ファイバ素線を並列集合させ、一括被
覆を施してなる光ファイバテープ心線に、プラスチック
テープを巻回すること、あるいは縦添え巻きすることに
よって保護断熱層を被覆し、ついで、この保護断熱層を
施した光ファイバテープ心線をテンションメンバと並列
集合させてポリエチレン樹脂のシースを一括被覆するも
のである。

【００２２】よって、本発明の少心光ファイバケーブル
においては、保護断熱層にナイロンよりも取扱いが容易
なプラスチックテープを用いることによって製造効率が
向上し、また、従来品と同様に光ファイバテープ心線が
熱によって劣化することを防ぐことができる。さらに、
接続作業などにおいて口出しを行なう際に、ポリエチレ
ン樹脂よりなるシースを除去した後、プラスチックテー
プによる保護断熱層は容易に除去することができ、樹脂
被覆層除去のための特殊な工具を必要としないので作業
性が著しく向上する。

【００２３】また、本発明の少心光ファイバケーブルの
製法にあっては、光ファイバテープ心線にユニットシー
スを被覆するポリエチレン樹脂の押し出し加工の際に、
オンラインでプラスチックテープによる被覆を行ない、
保護断熱層を設けるようにしたことによって、製造工程
をより簡素化することができ、したがって生産性が向上
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の少心光ファイバケーブルの一例を示す断
面図である。

【符号の説明】

１…光ファイバテープ心線、２…光ファイバ素線、３…
保護断熱層、４…副テンションメンバ、５…ユニットシ
ース。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 末広 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉工場内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 数本の光ファイバ素線を並列集合させ、
   一括被覆を施してなる光ファイバテープ心線の表面に、
   保護断熱層を設け、テンションメンバと並列集合させて
   ポリエチレン樹脂のシースを一括被覆してなる少心光フ
   ァイバケーブルにおいて、前記保護断熱層として、プラ
   スチックテープを用いたことを特徴とする少心光ファイ
   バケーブル。
2. 【請求項２】 数本の光ファイバ素線を並列集合させ、
   一括被覆を施してなる光ファイバテープ心線にプラスチ
   ックテープを巻回して保護断熱層を設け、ついで、この
   保護断熱層を施した光ファイバテープ心線をテンション
   メンバと並列集合させてポリエチレン樹脂のシースを一
   括被覆する少心光ファイバケーブルの製法。
3. 【請求項３】 数本の光ファイバ素線を並列集合させ、
   一括被覆を施してなる光ファイバテープ心線にプラスチ
   ックテープを縦添え巻きして保護断熱層を設け、つい
   で、この保護断熱層を施した光ファイバテープ心線をテ
   ンションメンバと並列集合させてポリエチレン樹脂のシ
   ースを一括被覆する少心光ファイバケーブルの製法。