JPH08107644A - 回転電機の回転子とその製造方法 - Google Patents

回転電機の回転子とその製造方法

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JPH08107644A
JPH08107644A JP6241698A JP24169894A JPH08107644A JP H08107644 A JPH08107644 A JP H08107644A JP 6241698 A JP6241698 A JP 6241698A JP 24169894 A JP24169894 A JP 24169894A JP H08107644 A JPH08107644 A JP H08107644A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発電による界磁コイルからの発熱を効率良く
放熱し、発電機の発電効率を上げる。 【構成】 この発明に係わる車両用交流発電機の回転子
は、界磁コイル３１の外周に巻装する外周テープ３６を
形成するシート状基材３６１に穴を設けたものである。
外周テープ３６は、基材３６１と、この基材に含浸させ
た樹脂から成っている。回転子の製造の加熱処理工程に
おいて、界磁コイル３１に巻かれた外周テープの樹脂が
溶融し、界磁コイル相互間を埋め、界磁コイル３１を略
一体化するように、再び硬化する。したがって、穴下部
のコイルはほとんど露出し、冷却性が高まる。また、遠
心力によるコイルの巻き崩れを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、車両に用いられる交
流発電機等の回転電機の回転子とその製造方法に関する
ものである。
【０００２】
【従来の技術】図１０は、従来の車両用交流発電機の回
転子を示す断面図であり、図１１は回転子のコイルアセ
ンブリの斜視図である。図において１は図示しない交流
発電機のブラケットに支持される回転軸、２ａ、２ｂは
界磁鉄心で、外周部に複数の磁極爪と内周部に筒部を有
し、前記磁極爪を噛み合わせるように対向させて前記回
転軸１に嵌着される。３はコイルアセンブリ（コイル組
立部品）（以下コイルＡＳＳＹと呼ぶ）、３１は界磁コ
イルで、ボビン（巻枠）３２に内周テープ３４を巻いた
後に巻かれ、さらに外周テープ３５を巻いて構成され、
界磁鉄心２ａ、２ｂと一体的に回転軸１に固着される。
また、界磁コイル３１の巻始め３１ａは、ボビン３２の
側面に設けられた溝に沿って引き出され、巻線部との間
には側面テープ３３が介在している。４ａ、４ｂは冷却
ファンで、界磁鉄心２ａ、２ｂの側面に固着されてい
る。５は集電装置で、界磁鉄心２ａ、２ｂと一体的に回
転軸１に嵌着される。
【０００３】ボビン３２は例えば耐熱性を有するナイロ
ン製である。テープ３５は、コイルに対向する面は接着
性を有し、一方の面は作業性向上の為、非接着面となっ
ている。この為、基材となる不織布に接着性を有するエ
ポキシ樹脂を含浸させた後、一方の面に非接着性のエポ
キシ樹脂を塗布して構成する。また、コイルＡＳＳＹを
組み立て後、加熱する工程により、前記の樹脂が溶融
し、再び硬化することで、界磁コイルを略一体化してい
る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
車両用交流発電機の回転子は、界磁コイルの内周と外周
とが、テープで完全に覆われており、発電による巻線の
発熱に対する放熱が遮られ、冷却性が悪く、発電機の性
能低下につながっていた。また、冷却性向上のため、外
周テープを廃止すると、界磁コイルに遠心力が加わる
と、巻き崩れが発生し、界磁コイルが断線するおそれが
あった。
【０００５】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、界磁コイルの冷却性を高める
とともに、遠心力による界磁コイルの巻き崩れを防止す
ることができる車両用交流発電機の回転子を得ることを
目的としており、さらにこの回転子の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる回転電
機の回転子は、界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁
コイルの外周に巻装する外周テープを形成するシート状
基材に、穴を設けたものである。
【０００７】また、外周テープに穴を設けたものであ
る。
【０００８】また、外周テープを形成するシート状基材
に突出部を設けたものである。
【０００９】また、外周テープを形成するシート状基材
に凹部を設けたものである。
【００１０】また、外周テープを形成するシート状基材
を網状シートで構成したものである。
【００１１】また、加熱処理により溶融する樹脂製の外
周テープを用いたものである。
【００１２】また、界磁鉄心に巻枠を介して巻装された
界磁コイルの内周部、側面部、外周部を連続して巻装す
るテープを、少なくともコイルの巻き始め部と巻き終わ
り部に設けたものである。
【００１３】さらに、テープは、テープを形成するシー
ト状基材に穴または突出部または凹部を設けたものか、
あるいはテープに穴を設けたものである。
【００１４】また、界磁鉄心に巻枠を介して巻装された
界磁コイルを固定するために、樹脂を含浸または塗布さ
せた紐部材を備えたものである。
【００１５】加えて、回転電機の回転子の製造方法とし
ては、穴を有するシート状基材あるいは網状基材に樹脂
を含浸または塗布し、穴または網目を樹脂で埋めてテー
プを形成する工程と、界磁鉄心に巻枠を介して巻装され
た界磁コイルの外周に、上記テープを巻装する工程と、
上記樹脂を溶融させる加熱処理工程とを有して製造する
ようにしたものである。
【００１６】また、界磁鉄心に巻枠を介して巻装された
界磁コイルの外周に、樹脂製のテープを巻装する工程
と、上記樹脂製のテープを溶融させる加熱処理工程とを
有して製造するようにしたものである。
【００１７】
【作用】上記のように構成された回転電機の回転子にお
いては、外周テープを形成するシート状基材または外周
テープに穴を設けたので、外周テープの通気性が高くな
り、発電によって界磁コイルから発生する熱が巻線外に
放出されると同時に、遠心力によるコイルの巻き崩れを
防止する。
【００１８】また、外周テープを形成するシート状基材
に突出部または凹部を設けたので、発電によって界磁コ
イルから発生する熱の放熱面積が拡大され、冷却性が高
まる。
【００１９】また、外周テープを形成するシート状基材
を網状シートで構成したので、界磁コイルの露出部が増
加し、冷却性が高まるとともに、遠心力によるコイルの
巻き崩れを防止する。
【００２０】また、加熱処理により溶融する樹脂製の外
周テープを用いたので、界磁コイルの外周に巻装後、加
熱処理を施すことで、溶融した樹脂が界磁コイルに含浸
し、再び硬化することにより、コイルの巻き崩れを防止
するとともに、コイルは全面的に露出され、冷却性が高
まる。
【００２１】また、界磁コイルの内周部、側面部、外周
部を連続して巻装するテープを、少なくともコイルの巻
き始め部と巻き終わり部に設けたので、部品点数が少な
くできるとともに、通気性が高い構造であるためコイル
の冷却性が高まり、さらに遠心力によるコイルの巻き崩
れを防止する。
【００２２】また、樹脂を含浸または塗布させた紐部材
により界磁コイルを固定したので、界磁コイルの露出部
が増加し、冷却性が高まるとともに、遠心力によるコイ
ルの巻き崩れを防止する。
【００２３】
【実施例】
実施例１．以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図１は、この発明の一実施例である車両用交流発
電機の回転子の要部断面図である。図１において、２
ａ、２ｂ、３、３１、３１ａ、３２、３３、３４は前記
従来例と同様のものであり、その説明を省略する。３６
は本発明による外周テープである。図２は図１に示され
るコイルＡＳＳＹ３の斜視図である。図３は、外周テー
プ３６を示す図で、シート状基材３６１、この基材に含
浸させた樹脂３６２、含浸後、一方の面に塗布した樹脂
３６３から成っている。ここで、基材３６１は、例えば
不織布で構成され、樹脂３６２、３６３は、例えばエポ
キシなどで、少なくとも一方は接着性を有する。また、
３６１ａは、シート状基材３６１に形成された穴で、樹
脂３６２の含浸後は樹脂で埋められる。図４は穴３６１
ａの形状例である。
【００２４】この実施例による回転子の製造の加熱処理
工程において、界磁コイル３１に巻かれた外周テープの
樹脂３６２、３６３が溶融し、界磁コイル相互間を埋め
る状態となり、界磁コイル３１を略一体化するように、
再び硬化する。したがって、穴３６１ａ部はほとんど露
出し、見かけ上、界磁コイル３１の表面粗さが粗くな
り、かつ冷却用空気との伝熱抵抗が小さくなることで冷
却性が高まる。
【００２５】実施例２．上記実施例１では、外周テープ
３６の基材３６１に穴を形成しているが、外周テープ３
６自体に穴を形成してもよく、同様の効果を得ることが
できる。
【００２６】実施例３．また、図５に示すように、外周
テープ３６の基材３６１に、突出部３６１ｂを複数個形
成してもよく、この実施例によれば界磁コイルの放熱面
積を拡大することができ、同様の効果を得ることができ
る。
【００２７】実施例４．また、図６に示すように、外周
テープ３６の基材３６１に、凹部３６１ｃを複数個形成
してもよく、前記実施例３と同様の効果を得ることがで
きる。
【００２８】実施例５．また、外周テープ３６の基材を
網状シートで構成してもよく、テープの強度を保ち、か
つ、コイルの露出部を増やすことができる。
【００２９】実施例６．上記実施例１では、外周テープ
３６を基材３６１と樹脂で構成しているが、樹脂のみで
構成してもよく、同様の効果を得ることができる。
【００３０】実施例７．図７は、この発明の実施例７で
あるコイルＡＳＳＹを示すもので、３７は界磁コイルの
内周から側面を経て外周に巻かれるテープであり、少な
くとも巻き始め部３１ａと巻き終わり部３１ｂに設けら
れ、テープ自体は従来のテープと同様である。この実施
例によれば、側面テープ３３を廃止でき、部品数削減が
計られると共に、さらに放熱性の高いものを得ることが
できる。
【００３１】実施例８．なお、上記実施例７のテープ外
周部に、実施例１に示される複数個の穴を有するシート
状基材を構成しても、同様の効果を得ることができる。
【００３２】実施例９．なお、上記実施例７のテープの
外周部に複数個の穴を形成してもよく、同様の効果を得
ることができる。
【００３３】実施例１０．上記実施例７のテープに、実
施例３に示される突出部を数個有する基材を構成して
も、同様の効果を得ることができる。
【００３４】実施例１１．上記実施例７のテープに、実
施例４に示される凹部を数個有する基材を構成しても、
同様の効果を得ることができる。
【００３５】実施例１２．図８は、この発明の実施例１
２であるコイルＡＳＳＹを示すもので、３８は、例えば
熱収縮タイプの紐にエポキシ等の樹脂を含浸または塗布
させた紐部材で、例えば格子状に界磁コイルを固定して
いる。この実施例によれば、回転子の製造の加熱処理工
程により、樹脂が溶融、硬化するだけでなく、紐自身が
収縮することで、界磁コイルをさらに強固に固定でき
る。
【００３６】実施例１３．また、図９に示すように、紐
部材でボビンごと数カ所巻く構成とすれば、簡易な構成
で、同様の効果を得ることができる。また、ボビン外側
面に、紐部材のガイド３２ａを設けることで、ボビン自
体の廻動を防止できる。
【００３７】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、界磁
コイルの巻き崩れを防止する外周テープに通気性を持た
せたので、巻線の冷却性が良く、かつ回転による遠心力
などから巻線を保護することができる回転電機の回転子
が得られる。
【００３８】また、外周テープを形成するシート状基材
に突出部または凹部を設けたので、発電によって界磁コ
イルから発生する熱の放熱面積が拡大される効果を奏す
る。
【００３９】また、界磁コイルの内周部、側面部、外周
部を連続して巻装するテープを設けたので、部品点数を
減らすことができる。
【００４０】さらに、樹脂を含浸または塗布させた紐部
材で界磁コイルを固定したので、高い冷却性を持ち、か
つ遠心力によるコイルの巻き崩れが生じない回転電機の
回転子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の一実施例である車両用交流発電機
の回転子の要部を示す断面図である。
【図２】 この発明の一実施例である車両用交流発電機
の回転子のコイルＡＳＳＹを示す斜視図である。
【図３】 この発明の一実施例である車両用交流発電機
の回転子の外周テープを示す斜視図である。
【図４】 この発明の一実施例である車両用交流発電機
の回転子の外周テープの基材に形成される穴形状の例を
示す図である。
【図５】 この発明の実施例３を示す外周テープの斜視
図である。
【図６】 この発明の実施例４を示す外周テープの斜視
図である。
【図７】 この発明の実施例７を示すコイルＡＳＳＹの
斜視図である。
【図８】 この発明の実施例１２を示すコイルＡＳＳＹ
の斜視図である。
【図９】 この発明の実施例１３を示すコイルＡＳＳＹ
の斜視図である。
【図１０】 従来の車両用交流発電機の回転子を示す断
面図である。
【図１１】 従来の車両用交流発電機の回転子のコイル
ＡＳＳＹを示す斜視図である。
【符号の説明】
１ 回転軸、２ａ、２ｂ 界磁鉄心、３ コイルＡＳＳ
Ｙ、３１ 界磁コイル、３１ａ 巻始め部、３１ｂ 巻
終わり部、３２ ボビン、３３ 側面テープ、３４ 内
周テープ、３５ 外周テープ、３６ 外周テープ、３６
１ 基材、３６２ 含浸樹脂、３６３ 塗布樹脂、３７
テープ、３８ 紐部材、４ａ、４ｂ ファン、５ 集
電装置。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する外周テープを備え、この外周テープを形成
    するシート状基材に穴を設けたことを特徴とする回転電
    機の回転子。
  2. 【請求項２】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する外周テープを備え、この外周テープに穴を
    設けたことを特徴とする回転電機の回転子。
  3. 【請求項３】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する外周テープを備え、この外周テープを形成
    するシート状基材に突出部を設けたことを特徴とする回
    転電機の回転子。
  4. 【請求項４】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する外周テープを備え、この外周テープを形成
    するシート状基材に凹部を設けたことを特徴とする回転
    電機の回転子。
  5. 【請求項５】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する外周テープを備え、この外周テープを形成
    するシート状基材を網状シートで構成したことを特徴と
    する回転電機の回転子。
  6. 【請求項６】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの外周に巻装され、界磁コイルの巻き崩
    れを防止する樹脂製の外周テープを備え、上記樹脂製の
    外周テープは加熱処理により溶融することを特徴とする
    回転電機の回転子。
  7. 【請求項７】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルの内周部、側面部、外周部を連続して巻
    装し、界磁コイルの巻き崩れを防止するテープを備え、
    このテープを少なくともコイル巻き始め部と巻き終わり
    部に設けたことを特徴とする回転電機の回転子。
  8. 【請求項８】 テープは、請求項１〜請求項４のいづれ
    かに記載の外周テープを用いたことを特徴とする請求項
    ７記載の回転電機の回転子。
  9. 【請求項９】 回転軸に嵌着された界磁鉄心、 この界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界磁コイル、 この界磁コイルを固定する、樹脂を含浸または塗布させ
    た紐部材を備えたことを特徴とする回転電機の回転子。
  10. 【請求項１０】 穴を有するシート状基材あるいは網状
    基材に樹脂を含浸または塗布し、穴または網目を樹脂で
    埋めてテープを形成する工程と、界磁鉄心に巻枠を介し
    て巻装された界磁コイルの外周に上記テープを巻装する
    工程と、上記樹脂を溶融させる加熱処理工程を含むこと
    を特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
  11. 【請求項１１】 界磁鉄心に巻枠を介して巻装された界
    磁コイルの外周に、樹脂製のテープを巻装する工程と、
    上記樹脂製のテープを溶融させる加熱処理工程を含むこ
    とを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
JP24169894A 1994-10-05 1994-10-05 車両用交流発電機の回転子 Expired - Lifetime JP3504352B2 (ja)

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