JPH0810445Y2 - コイルスプリングの位相合せ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車のショックアブソーバなどに使用さ
れるコイルスプリングのその端面を基準とした円周方向
の位置出しを自動的に行うコイルスプリングの位相合せ
装置に関する。

〔従来の技術〕

自動車のショックアブソーバに使用されるコイルスプ
リングは、第６図及び第７図に示すように、コイル状の
ままで両端が切断された構造で、このコイルスプリング
（１）は第８図に示すように、ショックアブソーバの本
体（２）に組み付けられる。ショックアブソーバの本体
（２）はシリンダ部（３）と、シリンダ部（３）の先端
から突出するピストンロッド（４）と、シリンダ部
（３）の先端近くの外周に固定された皿状のスプリング
受け（５）を有し、スプリング受け（５）の上にコイル
スプリング（１）が載置される。本体（２）のスプリン
グ受け（５）の上面には、コイルスプリング（１）の一
端が嵌まる凹段部（６）が形成され、この凹段部（６）
にコイルスプリング（１）の切断された一端部（1a）を
嵌め込むことで、コイルスプリング（１）をスプリング
受け（５）上で本体（２）に対して正常な姿勢に位置決
めして本体（２）に組み付けるうようにしている。

なお、第８図に示すようにショックアブソーバの本体
（２）に組付けられたコイルスプリング（１）は、上方
から不図示の押え皿で押圧され、圧縮された状態でピス
トンロッド（４）にナットなどで固定化される。本体
（２）のスプリング受け（５）に支持されるコイルスプ
リング（１）の端部（1a）はスプリング受け（５）に対
応した形状であり、コイルスプリング（１）の別の端部
（1b）はコイルスプリング（１）を押圧する押え皿に対
応した形状で、コイルスプリング（１）は本体（２）の
スプリング受け（５）に対応した形状の端部（1a）がス
プリング受け（５）に嵌るよう方向規制して組み付けら
れる。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記ショックアブソーバの組立は産業ロボットなどを
使って益々自動化される傾向にあるが、本体（２）にコ
イルスプリング（１）を挿入する工程の自動化が難しい
という問題が残されている。すなわち、コイルスプリン
グ（１）を本体（２）に挿入する際に、コイルスプリン
グ（１）の端部（1a）が本体（２）のスプリング受け
（５）の凹段部（６）に正確に嵌まるようにコイルスプ
リング（１）の周方向の位置出し、つまり、スプリング
受け（５）に対するコイルスプリング（１）の位相合せ
をしておく必要があるが、この位相合せを簡単な機構
で、自動的に正確に行う適当な装置が無く、そこで、本
体（２）にコイルスプリング（１）を手動で挿入してい
る。そのため、ショックアブソーバ組立の完全自動化が
難しく、完全自動化のためにコイルスプリング（１）の
その端面を基準とした正確で簡単な自動位相合せ装置の
開発が要望されていた。

本考案はかかる要望に応じるもので、コイルスプリン
グの端面を基準とした位相合せを簡単な機構で自動的に
行い得るコイルスプリングの位相合せ装置を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、コイルスプリング
を斜めに保持して、その中心線を中心に回転させる一対
の傾斜した平行な回転ローラと、一対の回転ローラの傾
斜下端部側の所定位置に配置され、一対の回転ローラで
保持されて回転するコイルスプリングの傾斜下端部に当
接して従動回転すると共に、コイルスプリングの傾斜下
端部の先端面が側方より当接することでコイルスプリン
グの回転を停止させるカムフォロアと、カムフォロアに
当接したコイルスプリングの端部を検知する光学スイッ
チとを具えたことを特徴とする。

〔作用〕

上記本考案装置における傾斜した一対の回転ローラを
回転させて、その上にコイルスプリングを供給すると、
コイルスプリングは回転ローラ上を滑ってコイルスプリ
ングの傾斜下端部がカムフォロアに当り、その位置で１
回転するまでにコイルスプリングの傾斜下端部の端面が
カムフォロアに当ってコイルスプリングの回転が停止
し、コイルスプリングの端面を基準とした位置出し、つ
まり、コイルスプリングの位相合せが自動的に行われ
る。この位相合せの完了は、光電スイッチのコイルスプ
リング端部の検知信号で判断される。

〔実施例〕

以下、実施例について第１図乃至第５図を参照しなが
ら説明する。

同図の実施例は第６図のコイルスプリング（１）の自
動位相合せ装置で、これは所定の傾斜角θで平行に傾斜
させた一対の回転ローラ（10）（11）でコイルスプリン
グ（１）を、その位相合せの基準となる一端部（1a）が
下位になるよう保持して一方向に回転させ、コイルスプ
リング（１）の傾斜下端部（1a）が一対の回転ローラ
（10）（11）の傾斜下端部の略中間の所定位置に配置し
たカムフォロア（12）に当てることで、コイルスプリン
グ（１）の回転を停止させ、この回転停止をカムフォロ
ア（12）の両側方に配置した光電スイッチ（13）で検知
して、コイルスプリング（１）の位相合せを完了するよ
うにしたものである。

詳しく具体的に説明すると、第１図及び第２図におけ
る（14）は装置本体、（15）は装置本体（14）に所定の
傾斜角θで固定された支持台、（16）（17）は支持台
（15）上に平行に固定された一対のローラ支持ボックス
で、それぞれ回転ローラ（10）（11）を回転可能に支持
する。一対の回転ローラ（10）（11）は同一方向に同期
同速で回転し、例えば一方の回転ローラ（10）が対応す
るローラ支持ボックス（16）に内蔵したモータ（図示せ
ず）で回転駆動されるとすると、他方の回転ローラ（1
1）は回転ローラ（10）で回転させられるコイルスプリ
ング（１）の回転力にて従動回転するようにしてある。
また、（18）は支持台（15）の傾斜上部に固定された部
品取付け用のブラケットで、これにカムフォロア（12）
が回転可能に取付けられ、光電スイッチ（13）が固定さ
れる。

一対の回転ローラ（10）（11）の中心間距離Ｌと傾斜
角θはコイルスプリング（１）を落下させずに安定して
保持し、かつ安定して回転させるように設定され、例え
ば中心間距離Ｌは、第３図に示すように、コイルスプリ
ング（１）の外径程度に設定され、傾斜角θは約45°に
設定される。

カムフォロア（12）は一対の回転ローラ（10）（11）
上を滑り落ちるコイルスプリング（１）のストッパー機
能を具えるもので、これは一対の回転ローラ（10）（1
1）の傾斜下端部の略中間で、コイルスプリング（１）
の傾斜下端部（1a）の回転軌道の箇所に、軸方向をコイ
ルスプリング（１）の回転軌道と直交させて配置され
る。

光電スイッチ（13）は例えば透過式のもので、カムフ
ォロア（12）の両側方に固定配置した一対の投光器（13
a）と受光器（13b）を有する。投光器（13a）と受光器
（13b）は後述するように、カムフォロア（12）の外周
一部にコイルスプリング（１）の傾斜下端部（1a）の端
面（ｍ）が当接したときに、この端面（ｍ）の在る先端
部を光学的に検出するよう配置される。

次に、上記実施例によるコイルスプリング（１）の自
動位相合せ動作を説明する。

一対の回転ローラ（10）（11）上にコイルスプリング
（１）を産業ロボットなどで自動供給すると、コイルス
プリング（１）は傾斜した回転ローラ（10）（11）上を
滑り、第４図に示すように、コイルスプリング（１）の
傾斜下端部（1a）のいずれかの箇所がカムフォロア（1
2）の周面に当たって、コイルスプリング（１）の滑り
落ちが止まる。この時点で回転ローラ（10）（11）を回
転させると、或いは回転ローラ（10）（11）を常時回転
させておくと、コイルスプリング（１）は傾斜下端部
（1a）がカムフォロア（12）に当った位置で保持されて
回転をする。この回転方向はコイルスプリングの傾斜下
端部（1a）の端面（ｍ）を先頭にして行われ、コイルス
プリング（１）の回転でカムフォロア（12）はコイルス
プリング（１）の傾斜下端部（1a）に接触して従動回転
する。コイルスプリング（１）がカムフォロア（12）に
当って360°回転するまでのいずれかの時点で、第３図
の鎖線及び第５図に示すように、コイルスプリング
（１）の傾斜下端部（1a）の端面（ｍ）がカムフォロア
（12）の外周位置に達し、端面（ｍ）がカムフォロア
（12）の外周に当ってコイルスプリング（１）の回転が
停止する。同時にカムフォロア（12）に当ったコイルス
プリング（１）の傾斜下端部（1a）の端面（ｍ）の在る
先端部分が光電スイッチ（13）の投光器（13a）と受光
器（13b）の光路を遮って、コイルスプリング（１）の
端面（ｍ）を基準とした位相合せが完了したことが検知
される。光電スイッチ（13）の検知信号で産業ロボット
などを駆動させて、回転ローラ（10）（11）から位相合
せされたコイルスプリング（１）の自動取り出しが行わ
れ、回転ローラ（10）（11）には次のコイルスプリング
（１）が供給される。

なお、本考案は自動車のショックアブソーバのコイル
スプリングの位相合せ装置に限らず、自動車以上の機械
装置に使用される比較的大きなコイルスプリングで、端
がコイル状のままで切断されたものであれば有効に適用
できる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、傾斜した一対の回転ローラ上にコイ
ルスプリングを供給し、前後して回転ローラを回転させ
ると、コイルスプリングは回転ローラ上を滑ってコイル
スプリングの傾斜下端部が所定位置のカムフォロアに当
り、その位置で１回転するまでにコイルスプリングの傾
斜下端部の端面がカムフォロアに当って停止して、コイ
ルスプリングの端面を基準とした位相合せが自動的に行
われる。従って、本考案装置を自動車のショックアブソ
ーバなどの組立装置に使用すれば、組立装置の完全自動
化を容易にする効果がある。また、コイルスプリングの
自動位相合せは、一対の回転ローラ、１個のカムフォロ
ア、位相合せ完了を検知する光電スイッチなどを組み付
けた簡単な機構で実施できて、設備投資的に有利なコイ
ルスプリングの位相合せ装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２図は第１
図の装置のＡ矢視からの平面図、第３図は第１図のＢ矢
視からの要部拡大正面図、第４図及び第５図は第１図の
装置のコイルスプリング位相合せ動作時の各状態での一
部省略部分を含む部分側面図である。 第６図はコイルスプリングの平面図、第７図は第６図の
コイルスプリングの正面図、第８図は第６図のコイルス
プリングを組付けたショックアブソーバの部分断面を含
む部分正面図である。 １……コイルスプリング、10、11……回転ローラ、12…
…カムフォロア、13……光電スイッチ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−286619（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−42906（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コイルスプリングを斜めに保持して、その
   中心線を中心に回転させる一対の傾斜した平行な回転ロ
   ーラと、一対の回転ローラの傾斜下端部側の所定位置に
   配置され、一対の回転ローラで保持されて回転するコイ
   ルスプリングの傾斜下端部に当接して従動回転すると共
   に、コイルスプリングの傾斜下端部の先端面が側方より
   当接することでコイルスプリングの回転を停止させるカ
   ムフォロアと、カムフォロアに当接したコイルスプリン
   グの端部を検知する光学スイッチとを具備してなるコイ
   ルスプリングの位相合せ装置。