JPH0796664B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物

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JPH0796664B2
JPH0796664B2 JP63282207A JP28220788A JPH0796664B2 JP H0796664 B2 JPH0796664 B2 JP H0796664B2 JP 63282207 A JP63282207 A JP 63282207A JP 28220788 A JP28220788 A JP 28220788A JP H0796664 B2 JPH0796664 B2 JP H0796664B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L57/00Compositions of unspecified polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G79/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing atoms other than silicon, sulfur, nitrogen, oxygen, and carbon with or without the latter elements in the main chain of the macromolecule
    • C08G79/02Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing atoms other than silicon, sulfur, nitrogen, oxygen, and carbon with or without the latter elements in the main chain of the macromolecule a linkage containing phosphorus
    • C08G79/025Polyphosphazenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しく言う
と、硬化速度、表面硬度、透明性などの特性に優れると
ともに、諸特性のバランスに優れて、たとえばインクリ
ボンのバックコーティング層形成材、カード、フィル
ム、成形品等の各種保護膜の形成材、各種光学機器のコ
ーティング材、磁性材料バインダーなどに幅広く好適に
利用することのできる硬化性樹脂組成物に関する。
[従来技術および発明が解決しようとする課題] 硬化性樹脂または硬化性樹脂組成物は、熱線や活性エネ
ルギー線の照射などにより容易に硬化することから、各
種コーティング材、保護膜形成材、充填硬化材などに広
く用いられている。
特に、硬化性ホスファゼン化合物は、表面硬度などの機
械的特性、耐熱性などに優れることから、その有用性が
認められている。
たとえば、特開昭61−47406号公報においては、歯科重
合硬化性ホスファゼン化合物およびこの歯科重合硬化性
ホスファゼン化合物と、たとえば2,2′−ビス(アクリ
ロキシジフェニル)プロパン、2,2′−ビス(メタクリ
ロキシジフェニル)プロパン、2,2′−ビス[4−(3
−メタクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニ
ル]プロパンなどの他の重合性単量体とを混合してなる
硬化性樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、この硬化性樹脂組成物は用途が歯科修復
材、歯科充填材に限定されたものであるので、機械的強
度や接着力の向上は図られているものの、硬化速度や透
明性などの特性については、未だ改善の余地がある。
また、一般的に、従来の硬化性樹脂および硬化性樹脂組
成物は、いずれも硬化速度、表面硬度、透明性および硬
化収縮率などの全ての点において充分に満足できるもの
ではなく、また諸特性のバランスは良好であるとは言い
難い。
この発明は前記の事情に基いてなされたものである。
この発明の目的は、硬化速度、表面硬度、透明性などの
特性に優れるとともに、諸特性のバランスの著しく向上
した硬化性樹脂組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、硬化性ホスファゼン化合物と特定の化合物とを
配合してなる硬化性樹脂組成物は、硬化速度、表面硬
度、透明性などの特性に優れるとともに、諸特性のバラ
ンスに優れることを見い出して、この発明に到達した。
この発明の構成は、硬化性ホスファゼン化合物と、ペン
タエリスリトールアクリレート系化合物および/または
ビス(4−アクリロキシジアルコキシフェニル)プロパ
ン系化合物とを配合してなることを特徴とする硬化性樹
脂組成物である。
前記硬化性ホスファゼン化合物としては、次式(I): NP(X)p(Y)q ……(I) [ただし、(I)式中、XおよびYは、それぞれ重合硬
化性基又は非重合硬化性基であって、それらは同一であ
ってもよいし、互いに異なっていてもよいが、少なくと
も一方は重合硬化性基であり、p及びqはそれぞれ0以
上の数で、それらの合計は2であり、nは3以上の整数
である。] で表わされる化合物を用いることができる。
前記式(I)における重合硬化性基については、加熱操
作あるいは紫外線や電子線などの照射により重合する不
飽和結合を有する基であれば特に制限はないが、たとえ
ばアクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基など
を含む基、特に硬化速度の点からアクリロイルオキシ基
およびメタクリロイルオキシ基を好ましいものとして挙
げることができる。
一方、前記式(I)における非重合硬化性基としては、
たとえば水素原子、ハロゲン原子、フェノキシ基、ハロ
ゲン化フェノキシ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコ
キシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン化アル
キルアミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
また、硬化物の耐水性、耐摩耗性および撥水性などの向
上を図るために、たとえば次式; −OCH2(CF2nZ [ただし、式中、nは1〜4の整数であり、Zは水素原
子またはフッ素原子である。] または、 −OCH(CF3 で示されるフッ化物を導入するともできる。
このフッ化物としては、たとえば2・2・2−トリフル
オロエタノール、2・2,3・3−ペンタフルオロ1−プ
ロパノール、2・2,3・3,4・4・4−ヘプタフルオロ1
−ブタノール、2・2,3・3−テトラフルオロ1−プロ
パノール、2・2,3・3,4・4,5・5−オクタフルオロ1
−ペンタノール、1・1・1,3・3・3−ヘキサフルオ
ロ2−プロパノールなどが挙げられる。
さらに、硬化性樹脂組成物の使用上、接着性などが強く
要求される場合には、たとえば、−O(CH2nCOOH(n
=1〜15)で示される飽和カルボン酸化合物、−OC6H4
(CH2nCOOH(n=0または1もしくは2)、−OC6H3
(COOH)および−OC6H3(R)COOH(R=OHまたはOCH
3)などの炭素環式カルボン酸化合物を導入することも
できる。
飽和カルボン酸化合物の具体例としては、たとえばヒド
ロキシ酢酸、4−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシプロ
ピオン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、16−ヒドロキシ
パルミチン酸などが挙げられる。
炭素環式カルボン酸化合物の具体例としては、たとえば
p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢
酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、4−ヒドロ
キシフタル酸、2・3−ジヒドロキシ安息香酸、4−ヒ
ドロキシ3−メトキシ安息香酸などが挙げられる。
この発明においては、前記式(I)中のXおよび/また
はYが次式(II): [ただし、式(II)中、Rは炭素数1〜12のアルキレン
基、Zは水素原子またはメチル基である。] で表わされる基であることが好ましい。
前記式(II)におけるRは、直鎖状アルキレン基であっ
てもよいし、分枝鎖を有するアルキレン基であってもよ
い。好ましいアルキレン基としてはエチレン基を挙げる
ことができる。
前記式(II)で表わされる基の具体例としては、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレー
ト、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロ
キシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメ
タクリレート、6−ヒドロキシ−3−メチルヘキシルメ
タクリレート、5−ヒドロキシヘキシルメタクリレー
ト、3−ヒドロキシ−2−t−ブチルプロピルメタクリ
レート、3−ヒドロキシル−2,2−ジメチルヘキシルメ
タクリレート、3−ヒドロキシ−2−メチルエチルプロ
ピルメタクリレート及び12−ヒドロキシドデシルメタク
リレートなどのメタクリレート類中の水酸基から水素原
子を除いた残基(以下、メタクリレート残基のように表
記することがある。)、ならびに2−ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブ
チルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレー
ト、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、6−ヒドロ
キシ−3−メチルヘキシルアクリレート、5−ヒドロキ
シヘキシルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−t−ブ
チルプロピルアクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジ
メチルヘキシルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−メ
チルエチルプロピルアクリレート及び12−ヒドロキシド
デシルアクリレートなどのアクリレート類中の水酸基か
ら水素原子を除いた残基を挙げることができる。特に好
ましい基は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート残基
及び2−ヒドロキシエチルアクリレート残基である。
前記各種のヒドロキシアルキルメタクリレート残基とヒ
ドロキシアルキルアクリレート残基とを比較した場合、
架橋速度の大きい点からヒドロキシアルキルアクリレー
ト残基の方が好ましい。
前記式(I)で表わされる硬化性ホスファゼン化合物は
nが3以上の整数のものであるが、nが3〜18のものが
好ましく、特に3及び4の環状化合物、またはその混合
物が好適である。
前記硬化性ホスファゼン化合物は、公知の方法に従って
製造することができる。
たとえば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンと2−
ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させると、ヘ
キサクロロトリホスファゼンの塩素の一部あるいは全部
が2−ヒドロキシエチルメタクリレート残基で置換され
たホスファゼン化合物を得ることができる。なお、ここ
で、塩素は全部置換されているのが好ましいが、一部の
塩素が残留していてもよい。
この反応の際に、第三級アミンを用いると、脱塩化水素
反応を促進する上で有利である。この第三級アミンとし
は、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、
トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、
トリ−n−ブチルアミン、およびピリジンなどを挙げる
ことができる。これらの中でもピリジンが好適である。
また、この反応は、通常は、有機溶媒中で行われる。
使用に供される有機溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロホルム、シクロヘキサン、塩化メ
チレンおよびテトラヒドロフランなどを挙げることがで
きる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
なお、この発明においては、ホスファゼン化合物を製造
する際の出発物質であるクロロホスファゼン化合物とし
て、ジクロロホスファゼンの三量体(ヘキサクロロシク
ロトリホスファゼン)、四量体(オクタクロロシクロテ
トラホスファゼン)あるいは、そのオリゴマーを用いる
のが好ましい。このようなトリマー、テロマーあるいは
オリゴマーを用いて得られたホスファゼン化合物は、被
膜(ホスファゼン化合物の硬化体)中の架橋密度を容易
に制御することができるからである。
この発明の硬化性樹脂組成物は、前記硬化性ホスファゼ
ン化合物とともに、ペンタエリスリトールアクリレート
系化合物および/またはビス(4−アクリロキシジアル
コキシフェニル)プロパン系化合物を含有する。
前記ペンタエリスリトールアクリレート系化合物として
は、たとえばペンタエリスリトールトリアクリレート、
ジペンタエリストールペンタアクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート、ジベンタエリスリト
ールモノヒドロキシペンタアクリレートなどが挙げられ
る。
これらの中でも、好ましいのはペンタエリスリトールト
リアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで
ある。
これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用し
てもよい。
前記ペンタエリスリトールアクリレート系化合物は、た
とえばペンタエリスリトールとアクリル酸とを反応させ
て得ることができる。
前記ビス(4−アクリロキシジアルコキシフェニル)プ
ロパン系化合物の好適例としては、次式(III); [ただし、式(III)中、R1はメチレン基、エチレン基
およびプロピレン基のいずれかであり、R2は水素原子ま
たは炭素数1〜6のアルキル基であり、R3およびR4は共
にメチル基である。さらに、aおよびbはそれぞれ2で
ある。] で表わされる化合物が挙げられる。
これらのなかでも、ペンタエリスリトールアクリレート
系化合物、とりわけ、入手容易なジペンタエリスリトー
ルモノヒドロキシペンタアクリレートを30〜50モル%含
むジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物が
硬化性等の点から好ましい。
さらに具体的には、たとえば2,2ビス(4−アクリロキ
シジメトキシフェニル)プロパン、2,2′ビス(4−ア
クリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′ビス
(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、
などが挙げられる。
これらの中でも、特に好ましいのはビス(4−アクリロ
キシジアルコキシフェニル)プロパン構造を有する化合
物である。
前記硬化性ホスファゼン化合物[以下(A)成分と称す
ることがある。]と、前記ペンタエリスリトールアクリ
レート系化合物および/または前記ビス(4−アクリロ
キシジアルコキシフェニル)プロパン系化合物[以下、
この両者を(B)成分と称することがある。]との配合
比は、[(A)成分]:[(B)成分]の重量比で、通
常、90:10〜5:95であり、好ましくは80:20〜40:60であ
る。前記(A)成分の配合比が5重量%よりも少ない
と、この発明の硬化性樹脂組成物により得られる硬化物
の機械的強度が低下することがある。一方、90重量%よ
りも多いと、この発明の硬化性樹脂組成物の硬化速度が
充分に向上しないことがある。
この発明の硬化性樹脂組成物は、前記(A)成分および
前記(B)成分のほかに、必要に応じて硬化促進剤を含
有していてもよい。
前記硬化促進剤としては、例えば、紫外線、あるいは可
視光線を用いた硬化方法を利用する場合、光重合開始剤
として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、ジベンゾイル、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾ
インエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−
メトキシベンゾフェノン、ベンゾイルパーオキサイド、
ジーtert−ブチルパーオキサイド及びカンファキノンな
どを添加することが好ましい。これらの光重合開始剤は
単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いても
よく、その使用量は、通常、硬化性樹脂組成物100重量
部に対して、0.05〜10.0重量部の範囲で選ばれる。
また、加熱硬化方法や常温硬化方法を利用する場合に
は、重合開始剤として過酸化物系の化合物、アミン系の
化合物を単独又は組み合わせて使用することが好まし
い。過酸化物系の化合物の例としては、ベンゾイルパー
オキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒ
ドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテ
ート、ジアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
トなどを挙げることができる。
また、アミン系の化合物の例としては、N,N−ジエタノ
ール−p−トルイジン、ジメチル−p−トルイジン、p
−トルイジン、メチルアミン、t−ブチルアミン、メチ
ルエチルアミン、ジフェニルアミン、4,4′−ジニトロ
ジフェニルアミン、o−ニトロアニリン、p−ブロモア
ニリン、2,4,6−トリブロモアニリンなどを挙げること
ができる。
この場合、過酸化物系の化合物及びアミン系の化合物の
合計の使用量は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して
通常0.05〜5.0重量部の範囲で選ばれる。
この発明の硬化性樹脂組成物は、前記(A)成分および
(B)成分、必要に応じて前記硬化促進剤とともに、さ
らに必要に応じて、たとえば増感剤、レベリング剤、帯
電防止剤などの添加剤を含有していてもよい。
この発明の硬化性樹脂組成物は、通常、適当な基材に塗
布した後に硬化させることができる。
前記基材の形成材料については特に制限がなく、具体的
には、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル系樹脂、
ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニリデン樹脂、ポリアルキレンテレフタレート、ポリア
リレート、ポリアリーレンスルフィドなど、あるいはこ
れら樹脂成分を主成分とする樹脂組成物もしくはこれら
に繊維強化材、無機充填材などを配合した複合材料、さ
らには、金属、セラミックス、ガラス、木材などが挙げ
られる。
これらの中でも、樹脂を用いる場合にはポリエステル、
ポリカーボネート、ポリアミド樹脂などの耐熱性の比較
的高い熱可塑性樹脂が好ましい。
また、前記基材の形状についても特に制限はなく、たと
えば、単層もしくは多層のフィルム状またはシート状で
あってもよいし、各種成形品にした後の形状であっても
よい。
この発明の硬化性樹脂組成物を前記の基材上に塗布する
には、たとえばスピンナー法、スプレー法、ロールコー
ター法、ディッピング法などの公知の塗布方法を採用す
ることができる。
そして、この発明の硬化性樹脂組成物を塗布する際の作
業性を向上させるためには、稀釈剤を用いることができ
る。
前記希釈剤としては、たとえばメチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化
水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サンなどのエーテル類などの有機溶剤やエチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類などが挙げられ
る。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上
を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ケトン類、アルコール類またはこれら
の混合溶剤が好ましく、特にメチルイソブチルケトンま
たはイソプロピルアルコールあるいはブチルアルコール
を含有する混合溶剤を好適に用いることができる。
前記希釈剤を用いる場合における前記希釈剤とこの発明
の硬化性樹脂組成物との混合割合については特に制限は
ないが、通常、[稀釈剤]:[硬化性樹脂組成物]の重
量比で1:9〜9:1の範囲で選ばれる。特に、9:1〜5:5の割
合で混合すると、作業性の点で好適である。
この発明の硬化性樹脂組成物を硬化させる方法には、た
とえば常温硬化方法、加熱硬化方法、電子線、紫外線、
X線、γ線あるいは可視光線を照射して硬化させる方法
などをいずれも好適に採用することができる。これらの
中でも、紫外線を照射する方法は特に好適である。紫外
線を照射する方法を採用するときには、波長200〜550nm
の範囲内にある紫外線を0.1秒間以上、好ましくは0.5〜
60秒間照射することが望ましい。また、照射光線の積算
光量は、通常、30〜5,000mj/cm2である。
この発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化
膜は、硬化速度、表面硬度、透明性などの特性に優れる
とともに、諸特性のバランスに優れて、基材の表面特性
を著しく改善することのできるものである。
また、この硬化膜は、基材面に必ずしも表面処理を行っ
たり、プライマーを用いて下塗りすることなしに、この
発明の硬化性樹脂組成物を塗布することにより、しかも
1回の塗布で、所望の優れた特性を発揮する。
この硬化膜の厚みは、0.01μm〜1000μmの範囲にある
ことが好ましい。この厚みが0.01μm未満であると、表
面硬度などの機械的強度が充分ではないことがある。一
方、1000μmを超えると、基材自体が有する可撓性の低
下を招くとこがある。
この発明の硬化性樹脂組成物は、たとえば、インクリボ
ンのバックコーティング層形成材、各種カード、フィル
ム、成形品などの保護膜形成材、各種光学機器のコーテ
ィング材、磁性材料のバインダーなどに好適に使用する
ことができる。
さらに、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラ
スなどで成形された窓材料、照射器具、装飾品などの光
透過性材料の被覆材、木材、合板、化粧合板、家具など
の被覆材、歯科用充填材、繊維などへの含浸材、機械部
品、電気・電子部品などの被覆材などにも好適に使用す
ることができる。
[実施例] 次に、この発明の実施例および比較例を示し、この発明
についてさらに具体的に説明する。
硬化性ホスファゼン化合物の製造例1 温度計、撹拌装置、滴下ロートおよびコンデンサーを取
り付けた1のフラスコに、ヘキサクロロシクロトリホ
スファゼン(以下、3PNCと略す。)58.0g(0.167モ
ル)、トルエン50mlおよびピリジン158g(2.0モル)を
投入し、撹拌を開始した。
次に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HE
MAと略す。)143g(1.1モル)を滴下ロートから徐々に
滴下した。
温浴にて、60℃に加熱を行ない、撹拌下に反応を8時間
行なった。
次いで、析出した結晶およびろ液中の溶媒を減圧蒸留に
より除去し、残液を充分に乾燥させて、黄色液状の硬化
性ホスファゼン化合物(A)136gを得た。
収率は91%であった。
硬化性ホスファゼン化合物の製造例2 温度計、撹拌装置、滴下ロートおよびコンデンサーを取
り付けた1のフラスコに、テトラヒドロフラン100ml
および金属ナトリウム11.6g(0.5モル)を投入した。さ
らに、これに2,2,2−トリフルオロエタノール55.5g(0.
55モル)を滴下し、還流下にナトリウムが消失するまで
反応を行なった。
次に、3PNC39.6g(0.111モル)をトルエン100mlに溶解
した溶液を前記の反応溶液中に滴下し、還流下で反応を
2時間続けた。その後、反応液の温度を室温まで冷却し
てから、これに、HEMA191g(1.47モル)を滴下ロートか
ら徐々に滴下した。
温浴にて、60℃に加熱し、その温度で8時間撹拌しなが
ら反応を行なった。
次いで、析出した結晶および触媒を濾別して、得られた
ろ液中の溶媒を減圧蒸留により除去し、残液を充分に乾
燥させて、黄色液状のホスファゼン化合物(B)88gを
得た。
収率は93%であった。
(実施例1) 前記硬化性ホスファゼン化合物の製造例1で得られた硬
化性ホスファゼン化合物(A)を用いて、次の組成を有
する反応硬化性コーティング剤(A)を調製した。
反応硬化性コーティング剤(A)の組成 硬化性ホスファゼン化合物(A) 30g ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・ジペンタ
エリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(40
モル%)混合物[日本化薬製DPHA]) 20g イソプロピルアルコール 20g メチルイソブチルケトン 30g ブタノール 20g 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合
開始剤) 1g この反応硬化性コーティング剤(A)につき、硬化収縮
率を求めた。
なお、硬化収縮率は、反応硬化性コーティング剤(A)
の固形分にベンゾフェノン5重量%の割合で添加してな
るコーティング剤に紫外線を照射して、硬化前の密度CA
(ハバード比重びん法による測定値。)および硬化後の
密度CB(比重計による測定値。)から、次式にしたがっ
て算出した。
硬化収縮率=[1−CB/CA)]×100 結果を第1表に示す。
また、反応硬化性コーティング剤(A)を、スプレーコ
ーティング法によりポリエステル製シートに塗布し、乾
燥後、紫外線を90mj/cm2照射して硬化塗膜A(膜厚8μ
m)を得た。
得られた硬化塗膜Aにつき、硬化必要最小光量、表面硬
度、鉛筆硬度および光線透過率の評価を行なった。
結果を第1表に示す。
なお、各項目の評価に使用した機器、評価方法は次の通
りである。
硬化必要最小光量: 紫外線硬化機[アイグラフィックス社製「UBO31−5A
型」] 光量計 [オーク製作所製「UV−350」型] 表面硬度:テーバー摩耗試験機CS−10;500g、100回転 鉛筆硬度:9H;9Hの鉛筆でこすっても傷がつかない。
8H;8Hの鉛筆でこすっても傷がつかないが、Hの鉛筆で
こすると、傷がつく。
H;Hの鉛筆でこすっても傷がつかないが、2Hの鉛筆でこ
すると、傷がつく。
光線透過率:JIS K−7105に準拠。
(実施例2) 前記実施例1において、硬化性ホスファゼン化合物
(A)を用いてなる反応硬化性コーティング剤(A)に
代えて、前記硬化性ホスファゼン化合物の製造例2で得
られた硬化性ホスファゼン化合物(B)を用いて反応硬
化性コーティング剤(B)を調製したほかは、前記実施
例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
(実施例3) 前記硬化性ホスファゼン化合物の製造例1で得られた硬
化性ホスフェゼン化合物(A)と市販の硬化性樹脂[日
本化薬製「R−551:2,2′ビス(4−アクリロキシジエ
トキシフェニル)プロパン]とを用いて、次の組成を有
する反応硬化性コーティング剤(C)を調製した。
反応硬化性コーティング剤(C)の組成 硬化性ホスファゼン化合物(A) 30g 市販硬化性樹脂[日本化薬製「R−551:2,2′ビス(4
−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン] 20g イソプロピルアルコール 20g メチルイソブチルケトン 30g ブタノール 20g 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合
開始剤) 1g 以後、前記実施例1において、反応硬化性コーティング
剤(A)に代えて、反応硬化性コーティング剤(C)を
用いたほかは、前記実施例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
(比較例1) 前記硬化性ホスファゼン化合物の製造例1で得られた硬
化性ホスフェゼン化合物(A)を用いて、次の組成を有
する反応硬化性コーティング剤(D)を調製した。
反応硬化性コーティング剤(D)の組成 硬化性ホスファゼン化合物(A) 50g イソプロピルアルコール 20g メチルイソブチルケトン 30g ブタノール 20g 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合
開始剤) 1g この反応硬化性コーティング剤(D)につき、前記実施
例1と同様にして硬化収縮率を求めた。
結果を第1表に示す。
また、この反応硬化性コーティング剤(D)を、スプレ
ーコーティング法によりポリエステル製シートに塗布
し、乾燥後、紫外線を250mj/cm2照射して硬化塗膜D
(膜厚8μm)を得た。
得られた硬化塗膜Dにつき、前記実施例1と同様にし
て、硬化必要最小光量、表面硬度、鉛筆硬度および光線
透過率の評価を行なった。
結果を第1表に示す。
(比較例2) 前記硬化性ホスファゼン化合物の製造例1で得られた硬
化性ホスファゼン化合物(A)とトリメチロールプロパ
ントリアクリレートとを用いて、次の組成を有する反応
硬化性コーティング剤(E)を調製した。
反応硬化性コーティング剤(E)の組成 硬化性ホスファゼン化合物(A) 30g トリメチロールプロパントリアクリレート 20g イソプロピルアルコール 20g メチルイソブチルケトン 30g ブタノール 20g 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合
開始剤) 1g この反応硬化性コーティング剤(E)につき、前記実施
例1と同様にして硬化収縮率を求めた。
結果を第1表に示す。
また、この反応硬化性コーティング剤(E)を用いて、
前記実施例1と同様にして硬化塗膜を形成し、得られた
硬化塗膜Eにつき、前記実施例1と同様にして、硬化必
要最小光量、表面硬度、鉛筆硬度および光線透過率の評
価を行なった。
結果を第1表に示す。
(評価) 第1表から明らかなように、この発明の硬化性樹脂組成
物は、比較例の硬化性樹脂組成物に比較して、硬化必要
最小光量、表面硬度、鉛筆硬度、光線透過率および硬化
収縮率のバランスに優れていることを確認した。
(実施例4) 前記実施例1で用いた反応性コーティグ剤(A)をバー
コーター(#20)にて、3mm厚のポリカーボネート板、
アクリル板にそれぞれ塗布し、溶媒を乾燥後、紫外線を
100mj/cm2照射し、硬化被覆膜を形成した。
この硬化膜の耐摩耗性[ヘーズ低下]を評価した。結果
を第2表に示す。
(実施例5) 実施例1の反応硬化性コーティング剤(A)において、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合
開始剤)1gのかわりにキュメンハイドロパーオキサイド
[日本油脂製、パークミルH]0.2gおよびジチオ尿素0.
4gを用いたコーティング材を木板にディップコートによ
り塗布後、溶媒を乾燥した。
その後真空下、40℃で2時間、60℃で6時間熱硬化させ
て被覆木板を得た。
スチールウールで摩擦しても傷がつかなかった。
[発明の効果] この発明によると、 (1) 表面硬度、透明性、耐摩耗性、基材との密着性
などの特性に優れる硬化性ホスファゼン化合物に、ペン
タエリスリトールアクリレート系化合物および/または
ビス(4−アクリロキシジアルコキシフェニル)プロパ
ン系化合物とを選択配合することによって、硬化性ホス
ファゼン化合物が有する優れた特性の低下を招くことな
く硬化速度の大幅な向上による生産の向上を図ることが
できて、しかも表面硬度、透明性、耐摩耗性、基材との
密着性などの特性に優れるとともに、 (2) 諸特性のバランスに優れて、種々の用途に好適
に利用することができる、 という利点を有する工業的に有用な硬化性樹脂組成物を
提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬化性ホスファゼン化合物と、ペンタエリ
    スリトールアクリレート系化合物および/またはビス
    (4−アクリロキシジアルコキシフェニル)プロパン系
    化合物とを配合してなることを特徴とする硬化性樹脂組
    成物。
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