JPH0794716A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JPH0794716A
JPH0794716A JP23678393A JP23678393A JPH0794716A JP H0794716 A JPH0794716 A JP H0794716A JP 23678393 A JP23678393 A JP 23678393A JP 23678393 A JP23678393 A JP 23678393A JP H0794716 A JPH0794716 A JP H0794716A
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浩一 村岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱処理時間を短縮して、熱的負荷を軽減する
とともに、ゲート耐圧を向上させた半導体装置の製造方
法を提供することを目的とする。 【構成】 シリコン基板11上にゲ−ト酸化膜13を介
して金属窒化物層及び金属層を含む積層構造を有するゲ
ート電極18を形成する工程と、還元性気体、酸化性気
体及び窒素を含む雰囲気中で熱処理することによりシリ
コン基板11表面の酸化を行なう工程とを具備し、前記
熱処理工程の前後において、金属窒化物層15及び金属
層16の酸化によりそれぞれ形成される金属酸化物層の
膜厚が金属窒化物層15及び金属層16の膜厚の20%
以下となるように制御された昇温速度及び降温速度で昇
降温を行なうことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置の製造方法
に関し、特にゲート電極形成後のシリコンの酸化工程を
改良した半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体装置の電極や配線の材料と
して、多結晶シリコンが広範に使用されている。しかし
ながら、半導体装置の高集積化、高速化に伴い、電極や
配線の抵抗による信号伝達の遅延が重大な問題となって
きている。特に、大容量、高集積化が進展しているMO
SLSIの分野では、ゲート電極に使用されている多結
晶シリコンは第1層配線と共用になるので、ここでの多
結晶シリコンの抵抗値が半導体装置の高速動作の障害と
なっている。
【0003】このようなことから、多結晶シリコンに代
わる電極配線材料として、熱的な安定性と電気的低抵抗
を有する高融点金属のシリサイドが使用されつつある。
また、最近ではW、Mo等の高融点金属そのものをゲー
ト電極として使用する試みもなされている。W、Mo等
の高融点金属は、その電気抵抗率が多結晶シリコンより
も2桁低く、またシリサイドの抵抗率の1/4〜1/3
であり、低抵抗の電極配線材料として有望視されてい
る。
【0004】上述した高融点金属(例えばW)をゲート
電極の一構成材として用いた半導体装置としては、従来
より図9(a)に示す構造のものが知られている。即
ち、図中の参照数字1はp型シリコン基板を示し、この
p型シリコン基板1には素子領域を電気的に分離するた
めのフィールド絶縁膜2が形成されている。このフィー
ルド絶縁膜2で分離されたp型シリコン基板1の表面に
は、互いに電気的に分離されたソース、ドレインとなる
+ 型拡散層3a、3bが形成されている。
【0005】これら拡散層3a、3b間のチャンネル領
域を含む前記基板1の表面上には、ゲート酸化膜4を介
して、多結晶シリコン層5、金属窒化物層(例えばTi
N層)6及びタングステン(W)層7からなるゲート電
極8が設けられている。なお、前記ゲート電極8を構成
する金属窒化物層6は、タングステン層7と多結晶シリ
コン層5との密着性を向上させると共に、タングステン
層7と多結晶シリコン層5とが反応して抵抗率が1桁上
昇するのを防止するための反応障壁として作用する。
【0006】ところで、従来より採用されている多結晶
シリコンからなるゲート電極の形成工程では、5〜50
nmといった薄いゲート酸化膜の欠陥やゲート電極のエ
ッジ形状に起因するゲート耐圧劣化を回復するために、
酸化雰囲気(例えば乾燥酸素)中で熱処理を行い、多結
晶シリコン層の露出面やソース、ドレイン領域の基板上
にシリコン酸化層を新たに成長させる工程を行ってい
る。この工程は、ゲート後酸化工程と呼ばれている。
【0007】しかしながら、一般にW、Mo等の高融点
金属は、酸化雰囲気中での熱処理に対する耐性がないた
め、前述した図9(a)に示すゲート電極構造では従来
のようなゲート後酸化工程を適用することができないと
いう問題があった。
【0008】上記問題を解決する方法として、還元性気
体(例えば水素)及び酸化性気体(例えば水蒸気)を含
み、かつ窒素を含む気体を希釈気体とした雰囲気中で熱
処理することで、ゲート電極を構成する金属層及び金属
窒化物層の酸化を招くことなくシリコン酸化膜を形成で
き、それによってゲート耐圧を向上させることの可能な
シリコン選択酸化技術がよく知られている(特開平3−
119763)。
【0009】この場合、還元性気体としてはH2 を、酸
化性気体として水蒸気(H2 O)を、窒素を含む気体と
してN2 を用いた場合には、それらの混合比率を次のよ
うに設定することが望ましいと言われている。即ち、H
2 、H2 O、N2 の分圧をPH2、PH2O 、PN2とする
と、PN2/PH2O を0.5〜1.0×109 にし、かつ
logPN2を−22〜14にする。更に、より好ましい
条件としては、温度を800〜900℃にすることがよ
く、この際PH2/PH2O を1.0×103 〜1.0×1
4 にし、かつlogPN2を−2〜2にするものであ
る。このような雰囲気条件で熱処理することにより、ゲ
ート電極を構成する金属を酸化することなくシリコンの
みを酸化することが可能となる。
【0010】しかしながら、最近の精力的な研究によ
り、この種の方法にあっては以下のような問題の生じる
事が明らかとなった。まず上記選択酸化条件ではPH2O
が低いためシリコンの酸化速度が非常に遅く、ゲート電
極の耐圧性向上に必要なシリコン酸化膜を得るためには
高温で長時間加熱する必要があり、熱的負荷が大きくな
る。また、上記選択酸化条件は温度安定後のアニール中
の場合であり、基板の昇温並びに降温時において選択条
件を満たさないため、ゲート電極における金属層及び金
属窒化物層の酸化を招くことが明らかになった。
【0011】例として、図9(a)に示すようなタング
ステン層7/TiN層6/多結晶シリコン層5のゲート
電極構造において、ガス分圧をH2 :H2 O:N2
0.164:1×10-4:0.836のままで昇降温速
度を±45℃/分にし、900℃で120分加熱を行っ
た。この時のH2 O分圧と基板温度の時間的変化を図1
0に示す。しかし、このような熱処理によると、図9
(b)に示すように、多結晶シリコン層5及び側壁部と
シリコン基板1の表面だけでなく、ゲート電極側面のT
iN層6が酸化され、約10nmのTiO2 膜9が形成
されることが確認された。また、このようにして形成さ
れたゲート電極においては、その後、ゲ−ト電極側壁に
側壁膜を形成することが困難となったり、TiN層自体
の反応障壁性が劣化したり、イオン注入時のマスクとし
ての機能が損なわれたりするという問題が生じた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたもので、ゲ−ト電極を構成する
金属層の酸化を抑制しつつ、ゲート後酸化を行なうこと
を可能とし、かつ熱処理時間の短縮による熱的負荷の軽
減、及びゲ−ト耐圧の向上を達成し得る半導体装置の製
造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリコン基板
上にゲ−ト絶縁膜を介して金属窒化物層及び金属層を含
む積層構造を有するゲート電極を形成する工程と、還元
性気体、酸化性気体及び窒素を含む雰囲気中で熱処理す
ることにより前記シリコン基板表面の酸化を行なう工程
と、前記熱処理の工程の前後において前記雰囲気中で前
記シリコン基板の昇降温を行なう工程工程とを具備し、
前記昇降温の工程は、前記金属窒化物層及び前記金属層
の酸化によりそれぞれ形成される金属酸化物層の膜厚が
前記金属酸化物層及び前記金属層の膜厚の20%となる
昇温速度及び降温速度以上の速度で行なうことを特徴と
する半導体装置の製造方法を提供する。
【0014】本発明の方法において、ゲート電極は、多
結晶シリコン層、金属窒化物層、及び金属層の積層構造
とすることが出来る。金属層としては、タングステン、
モリブデン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
ム、ニッケル、コバルト、モリブデン、タンタル、チタ
ン等を用いることが出来る。金属窒化物層は、金属層と
多結晶シリコン層との間の障壁層をなすものであって、
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、バ
ナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、レニウム等の窒
化物を用いることが出来る。
【0015】また、本発明の方法における熱処理工程に
おいては、昇温速度及び降温速度は、金属窒化物層及び
金属層の酸化により形成される金属酸化物層の膜厚が金
属層の膜厚の20%以下となるような速度である。この
ような昇温速度及び降温速度で行なうことにより、シリ
コンの酸化を行なうとともに金属窒化物層及び金属層の
酸化を抑制するような熱処理を行なうことが可能であ
る。
【0016】更に、本発明は、シリコン基板上にゲ−ト
絶縁膜を介して金属窒化物層及び金属層を含む積層構造
を有する電極を形成する工程と、還元性気体、酸化性気
体及び窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより前記
シリコン基板表面の酸化を行なう工程と、前記熱処理の
工程の前後において前記シリコン基板の昇降温を行なう
工程工程とを具備し、前記昇降温の工程に先立ち、或い
は該工程中に、前記金属窒化物層及び前記金属層中の金
属の酸化反応における自由エネルギ−窒化がゼロ又は正
となるように、前記雰囲気中に含まれる気体の分圧を制
御することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供す
る。
【0017】例えば、昇降温において、ガス分圧比を、
変化している温度に対応した選択酸化条件の中に含まれ
るように変化させることで、昇降温時の金属窒化物層及
び金属層の酸化を抑えることが可能である。
【0018】本発明は、更に、シリコン基板上にゲ−ト
絶縁膜を介して金属窒化物層及び金属層を含む積層構造
を有するゲート電極を形成する工程と、還元性気体及び
窒素を含む還元雰囲気中で熱処理する第1の熱処理工程
と、酸化性気体及び窒素を含む酸化雰囲気中で熱処理す
る第2の熱処理工程とを具備することを特徴とする半導
体装置の製造方法を提供する。
【0019】
【作用】本発明の方法では、ゲ−ト後酸化のための熱処
理工程を、シリコンの酸化を行なうとともに金属窒化物
層及び金属層の酸化を抑制するように制御された条件で
行なっている。即ち、熱処理を還元性気体、酸化性気体
及び窒素を含む雰囲気中で行なうとともに、昇温速度及
び降温速度を適切に制御している。それによって、金属
層の酸化により形成される金属酸化物層の膜厚を金属窒
化物層及び金属層の膜厚の20%以下とすることが可能
である。
【0020】昇温速度及び降温速度と金属酸化物層の膜
厚との関係について、以下に説明する。まず、時間t0
とt1 との間にT0 からT1 へ昇温する時に金属窒化物
層及び金属層が酸化される膜厚ΔtOX↑は、下記数1に
示す式(1)により表わされる。なお、温度T=At+
B(A,Bは定数、Aは昇温及び降温の速度勾配を表わ
す)で表わされ、酸化速度R=Cexp(−Ea/k
T)(C=C´PH2O n 、nは約1)で表わされる。
【0021】
【数1】
【0022】降温する時に金属窒化物層及び金属層が酸
化される膜厚ΔtOX↓も同様に計算することが出来る。
従って、昇温する時に金属窒化物層及び金属層が酸化さ
れる膜厚ΔtOX↑と降温する時に金属窒化物層及び金属
層が酸化される膜厚ΔtOX↓の合計の膜厚をΔtOXとす
ると、下記の式を満たす必要がある。
【0023】ΔtOX=ΔtOX↑+ΔtOX↓≦0.2t
(t:金属窒化物層及び金属膜厚)この式を実際に
計算し、PH2O と昇降温速度との関係を求めたところ、
図7に示す結果を得た。この図において、4つの点(白
丸で示す)を滑らかに結んで形成される曲線、及びそれ
より高昇温速度側の領域で昇降温するとよいことがわか
る。
【0024】なお、通常の常圧条件では、金属窒化物層
の方が金属層より酸化され易いので、金属窒化物層の膜
厚のみを考えるとよい。このように、金属窒化物層及び
金属層の酸化を抑制することにより、低抵抗のゲ−ト電
極を得ることが出来るとともに、また熱処理時間の短縮
により熱的負荷軽減並びにスループットの向上につなが
り、良好なゲート絶縁耐性を有する半導体装置を製造す
ることができる。
【0025】なお、Siのみ酸化し、W及びTiNは酸
化しない水素と水蒸気の分圧については、以下のことが
言える。即ち、まずSi、W及びTiNの酸化反応は、
次の反応式で示される。
【0026】 Si+2H2 O=SiO2 +2H2 …(1) ΔG1 °(T) W +2H2 O=WO2 +2H2 …(2) ΔG2 °(T) TiN+2H2 O=TiO2 +2H2 +1/2N2 …(2) ΔG2 °(T) なお、ΔG1 °(T)、ΔG2 °(T)、ΔG2 °
(T)は、各反応式におけるギブスの自由エネルギ−で
ある。
【0027】Siのみ酸化し、W及びTiは酸化されな
いための水素と水蒸気の分圧の条件は、以下の式で表わ
される。 ΔG1 °(T)≧−4.575×T×2log(PH2/PH2O )…(1) ΔG2 °(T)≦−4.575×T×2log(PH2/PH2O )…(2) ΔG2 °(T)≦−4.575×T ×{1/2[logPN2+2log(PH2/PH2O )]} …(3) 例えば、昇降温時において、ΔGn °(T)はΔGn °
(T´)に変化するため(T>T´)、各気体の分圧の
範囲は、図8に示すように変化する。その変化する範囲
内に実験条件が入るように分圧を変化させることによ
り、W及びTiを酸化することなく、Siのみを酸化す
ることが可能である。即ち、図8における直線1、2、
3、1´、2´、3´はそれぞれ上記不等式の等号を表
わすものであり、直線1と2と3に囲まれた領域がW及
びTiを酸化することなく、Siのみを酸化する範囲で
ある。なお、昇温時においても、同様のことが言える。
【0028】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて詳細に説明する。図1(a)〜(e)は、本発明の
第1の実施例に係るゲ−ト電極の形成工程を示す断面図
である。まず、図1(a)に示すように、例えばp型シ
リコン基板11表面に選択酸化によりフィールド酸化膜
12を形成した後、熱酸化処理を施してフィールド酸化
膜12で分離されたシリコン基板11の表面に厚さ5〜
30nmのシリコン酸化膜13を形成した。
【0029】次いで、図1(b)に示すように、シリコ
ン酸化膜13上に、不純物が添加された厚さ50nmの
多結晶シリコン層14を推積した後、基板11を473
Kの温度に保持した状態で、N2 とArの混合ガス中で
Tiをターゲットとしたスパッタリングを行なうことに
より、多結晶シリコン層14上に厚さ50nmのTiN
層15を推積した。続いて、LPCVD法により水素
(H2 )、モノシラン(SiH4 )及び六フッ化タング
ステン(WF6 )の混合ガスを用い、H2 を0.173
Torr、SiH4 を0.013Torr、WF6
0.065Torrの各分圧に保持し、420℃の基板
温度でTiN層15上に厚さ約150nmのW層16を
推積した。
【0030】引き続き、W層16、TiN層15及び多
結晶シリコン層14を通常のフォトリソグラフィと反応
性イオンエッチング(RIE)を用いて順次選択的にエ
ッチングすることにより、図1(c)に示すように、ゲ
ート電極18を形成した。
【0031】次に、水素(H2 )と水蒸気(H2 O)を
含み、窒素(N2 )をキャリアガスとした混合ガス雰囲
気中(全圧1気圧)において、シリコンの酸化速度向上
のために水蒸気分圧をWO2 が還元され、TiNが酸化
される条件にまでに上げた。この条件のガス分圧は、H
2 :H2 O:N2 =0.164:1×10-3:0.83
5である。この分圧条件で100℃/分の昇温速度で9
00℃に昇温し、30分加熱を行なった後、−70℃/
分の降温速度で降温した。この時の基板温度の時間変化
を図2に示す。なお、H2 O分圧は、一定とした。
【0032】以上の条件の下での酸化処理によると、図
1(d)に示すように、多結晶シリコン層14の側壁部
とシリコン基板11の表面が酸化されるだけでなく、T
iN層15の露出した側壁も酸化され、TiO2 膜17
が形成されるが、その厚さは約5nmと非常に薄いこと
が確認された。これは、上述の酸化処理方法は、従来の
方法に比べ、プロセス時間が160分から46分にまで
短縮でき、且つTiN層酸化抑制に有効であることを示
している。
【0033】また、レジスト剥離アッシャーによって酸
化されたW表面は、還元され、良好なW表面になること
もわかった。更に、本方法によりゲート電極18のエッ
ジ領域の酸化膜が約5nm厚くなっていることが確認さ
れた。
【0034】続いて、フィールド酸化膜12及びゲート
電極18をマスクとしてn型不純物、例えば砒素をイオ
ン注入し、活性化することにより、図1(e)に示すよ
うに、シリコン基板11の表面領域にソース、ドレイン
となるn+ 型拡散層19a、19bが形成された。
【0035】本実施例によれば、酸化処理工程におい
て、ゲート構造におけるW層及びTiN層の側壁の酸化
を最少にとどめることが出来ると共に、プロセス時間の
短縮が可能であり、更に、良好なゲート電極絶縁耐性を
有するMOS型半導体装置を製造することができること
が確認された。
【0036】また本実施例に関し、ゲート電極構造にお
いて、TiN酸化の限界条件までPH2O を下げ(ガス分
圧はH2 :H2 O:N2 =0.164:1×10-4
0.836)、昇温速度150℃/分、降温速度−90
℃/分の高速昇降温速度条件で120分間熱処理するこ
とで、TiN層の側壁の酸化を更に抑制することが可能
である。この方法によると、TiN層側壁の酸化物の膜
厚を1nm以下にすることが可能である。基板の昇降温
速度は、上記した値に限るものではなく、少なくとも電
極を形成する金属層の露出面の酸化を膜厚の20%以内
に抑制する範囲であれば、本発明の目的が達成される。
【0037】次に、本発明の第2の実施例に係る半導体
装置の製造工程について、図3(a)〜(c)を参照し
て説明する。まず、W層16、TiN層15及び多結晶
シリコン層14を通常のフォトリソグラフィと反応性イ
オンエッチング(RIE)を用いて、順次選択的にエッ
チングすることにより、図3(a)に示すゲート電極1
8を形成した。
【0038】次いで、水素(H2 )と水蒸気(H2 O)
を含み、窒素(N2 )をキャリアガスとした混合ガス雰
囲気中(全圧1気圧)において、昇温時にそれぞれのガ
スの分圧比を昇温時におけるTiO2 の還元条件になる
ように予め設定した。その分圧比はH2 :H2 O:N2
=1:10-8:10である。ちなみにこの条件は、WO
2 の還元条件でもある。このTiO2 の還元雰囲気中で
150℃/分の昇温速度を保ちつつ900℃に上げ、温
度が一定になると同時にガス分圧比をTiN酸化限界条
件であるH2 :H2 O:N2 =0.164:1×1
-4:0.836にまで変化させ、120分加熱を行っ
た。次に、ガス分圧比を元のH2 :H2 O:N2 =1:
10-8:10に変化させた後、−90℃/分で降温し
た。この時のH2 O分圧と基板温度の時間変化を図4に
示す。
【0039】このような熱処理工程によれば、図3
(b)に示すように多結晶シリコン層14の側壁部とシ
リコン基板11の表面のみが酸化され、露出したTiN
層15及びW層の側壁には、酸化膜は形成されていなか
った。また、ゲート電極18のエッジ領域の酸化膜は、
約5nm厚くなっていることが確認された。
【0040】続いて、フィールド酸化膜12及びゲート
電極18をマスクとしてn型不純物、例えば砒素をイオ
ン注入し、活性化することにより、図3(c)に示すよ
うに、シリコン基板11の表面領域にソース、ドレイン
となるn+ 型拡散層19a、19bを形成した。
【0041】以上説明した第2の実施例によれば、熱処
理工程によりゲート構造における金属電極構造のシリコ
ン以外の部分の側壁の酸化を抑制することができ、良好
なゲート電極絶縁耐性を有する半導体装置を製造するこ
とができることが確認された。
【0042】また本実施例に示した昇降温時のH2 /H
2 O/N2 分圧は、以下の条件の範囲内で変化させるこ
とが可能である。即ち、室温と処理温度の間の昇降温時
において、変化する温度に対応してPH2/PH2O 並びに
logPN2を制御し、絶えずシリコンの選択酸化条件を
満たす様にすることで金属層及び金属窒化物層の酸化を
抑制することも可能である。
【0043】次に、本発明の第3の実施例に係る半導体
装置の製造工程について、図5(a)〜(c)を参照し
て説明する。まず、W層16、TiN層15及び多結晶
シリコン層14を通常のフォトリソグラフィと反応性イ
オンエッチング(RIE)を用いて順次選択的にエッチ
ングすることにより、図5(a)に示すゲート電極18
を形成した後、フィールド酸化膜12及びゲート電極1
8をマスクとしてn型不純物、例えば砒素をイオン注入
し、図5(b)に示すように、n+ 拡散層19a、19
bを形成する。
【0044】次いで、水素(H2 )と水蒸気(H2 O)
を含み、窒素(N2 )をキャリアガスとした混合ガス雰
囲気中(全圧1気圧)において、それぞれのガスの分圧
比を昇温時におけるTiO2 の還元条件になるように変
化させた。その分圧比はH2:H2 O:N2 =1:10
-8:10である。このようなTiO2 の還元雰囲気中で
150℃/分の昇温速度を保ちつつ温度を1000℃に
上げ、温度が一定になると同時にガス分圧比をH2 :H
2 O:N2 =0.164:1×10-4:0.836に変
化させ、1分間加熱を行った。次に、ガス分圧比をH
2 :H2 O:N2=1:10-8:10に変化させた後、
−90℃/分で降温した。この時、ゲート電極エッジ領
域の酸化膜が約5nmほど厚くなっていることを確認し
た。
【0045】このような熱処理工程によれば、図5
(c)に示すように、W層16/TiN層15の酸化な
しに多結晶シリコン層14の側壁部とシリコン基板11
の表面のみを酸化できると同時に、高温で短時間の熱処
理のため、ソース・ドレインとなるn+ 型拡散層19
a、19bを過大に広げることなく、イオン注入した不
純物の活性化を行うことができる。
【0046】以上説明した第3の実施例によると、シリ
コンの選択酸化と同時に拡散層の活性化を行なっている
ため、工程数を増やす事なく良好なゲート電極絶縁耐性
を有する半導体装置を製造することが可能である。
【0047】次に、本発明の第4の実施例に係る半導体
装置の製造工程について説明する。まず、W層/TiN
層/多結晶シリコン層を通常のフォトリソグラフィと反
応性イオンエッチング(RIE)を用いて順次選択的に
エッチングすることによりゲート電極18を形成する。
次いで、昇温時のガス雰囲気を水蒸気(H2 O)と窒素
(N2 )の混合ガス(全圧1気圧)とし、それぞれのガ
スの分圧比をH2 O:N2 =0.01:10に設定す
る。このような酸化性雰囲気中で150℃/分の昇温速
度を保ちつつ900℃に昇温し、温度一定で10分間加
熱処理する。これにより、W層/TiN層/多結晶シリ
コン層表面は酸化され、ゲート酸化膜は厚くなった。
【0048】次に、ガスをH2 :N2 =1:10(全圧
1気圧)に変化させた後、この還元性雰囲気中で更に1
0分間加熱処理を行った後、−90℃/分の降温速度で
降温した。このように酸化性雰囲気から還元性雰囲気に
変えることにより、W層/TiN層表面の酸化膜は完全
に還元されたが、多結晶シリコン層側面の酸化膜並びに
ゲート酸化膜は還元されずに残すことが可能であった。
【0049】このように、酸化と還元を交互に行うこと
で、シリコンの選択酸化と同様の効果をもたらす事がで
きる。図6に、W層表面の酸化量と、WOX 還元後のW
表面の平坦度を示す。W膜の膜厚に対し20%以下の酸
化量であれば、還元後の凹凸は10nm以下に抑えるこ
とが可能である。
【0050】以上説明した第4の実施例によると、、水
の分圧を高くすることで酸化速度を向上させることが可
能であるとともに、その酸化量を一定限度に抑えること
で、還元後のゲート表面の平坦度が保たれるので、プロ
セス時間を短縮することが出来、かつ良好なゲート電極
絶縁耐性を有する半導体装置を製造することが可能であ
る。
【0051】以上、本発明の種々の実施例について説明
したが、本発明は、上記実施例に限られるものではな
く、金属層としてPt、Pd、Rh、Ru、Niなどを
用い、金属窒化物層としてZrN、HfN、WNx など
を用いた金属積層構造に対しても適用可能である。ま
た、ゲ−ト電極は、シリコン層、金属窒化物層、金属層
の積層構造に限られることはなく、ゲ−ト絶縁膜上に金
属窒化物層、金属層をこの順に積層したメタルゲ−ト構
造としてもよい。その他、本発明の主旨を逸脱しない範
囲で種々変形して適用可能であることは言うまでもな
い。
【0052】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によれば、多
層構造を有するゲート電極の熱処理の昇温及び降温速度
を制御することにより、ゲート電極を構成する金属窒化
物層及び金属層の酸化を招くことなく、ゲ−ト後酸化を
行なうことが可能である。それによって、熱処理時間を
短縮して、熱的負荷を軽減するとともに、ゲート耐圧を
向上させた半導体装置を高歩留りで製造することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体装置の製造
工程を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施例における熱処理工程の基
板温度と水蒸気分圧の時間変化を示す特性図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る半導体装置の製造
工程を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施例における熱処理工程の基
板温度と水蒸気分圧の時間変化を示す特性図。
【図5】本発明の第3の実施例に係る半導体装置の製造
工程を示す断面図。
【図6】本発明の第4の実施例における熱処理工程のW
層表面の酸化量とWOx 還元後のW表面の平坦度を示す
特性図。
【図7】水蒸気分圧と昇降温速度との関係を示す特性
図。
【図8】気体の分圧と酸化の有無の関係を示す特性図。
【図9】従来の半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図10】従来の半導体装置の製造工程における熱処理
工程の基板温度と水蒸気分圧の時間変化を示す特性図。
【符号の説明】
1…p型シリコン基板 2…フィールド絶縁膜 3a、3b…n+ 型拡散層 4…ゲート酸化膜 5…多結晶シリコン 6…窒化金属層 7…W層 8…ゲート電極 9…TiO2 膜 11…p型シリコン基板 12…フィールド酸化膜 13…シリコン酸化膜 14…多結晶シリコン層 15…TiN層 16…W層 17…TiO2 膜 18…ゲート電極 19a、19b…n+ 型拡散層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリコン基板
上にゲ−ト絶縁膜を介して金属窒化物層及び金属層を含
む積層構造を有するゲート電極を形成する工程と、還元
性気体、酸化性気体及び窒素を含む雰囲気中で熱処理す
ることにより前記シリコン基板表面の酸化を行なう工程
と、前記熱処理の工程の前後において前記雰囲気中で前
記シリコン基板の昇降温を行なう工程とを具備し、前記
昇降温の工程は、前記金属窒化物層及び前記金属層の酸
化によりそれぞれ形成される金属酸化物層の膜厚が前記
金属酸化物層及び前記金属層の膜厚の20%となる昇温
速度及び降温速度以上の速度で行なうことを特徴とする
半導体装置の製造方法を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】本発明の方法において、ゲート電極は、多
結晶シリコン層、金属窒化物層、及び金属層の積層構造
とすることが出来る。金属層としては、タングステン、
モリブデン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
ム、ニッケル、コバルト、タンタル、チタン等を用いる
ことが出来る。金属窒化物層は、金属層と多結晶シリコ
ン層との間の障壁層をなすものであって、チタン、ジル
コニウム、ハフニウム、タングステン、バナジウム、ニ
オブ、タンタル、クロム、レニウム等の窒化物を用いる
ことが出来る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】更に、本発明は、シリコン基板上にゲ−ト
絶縁膜を介して金属窒化物層及び金属層を含む積層構造
を有する電極を形成する工程と、還元性気体、酸化性気
体及び窒素を含む雰囲気中で熱処理することにより前記
シリコン基板表面の酸化を行なう工程と、前記熱処理の
工程の前後において前記シリコン基板の昇降温を行なう
工程とを具備し、前記昇降温の工程に先立ち、或いは該
工程中に、前記金属窒化物層及び前記金属層中の金属の
酸化反応における自由エネルギ−窒化がゼロ又は正とな
るように、前記雰囲気中に含まれる気体の分圧を制御す
ることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【数1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン基板上にゲ−ト絶縁膜を介して金
    属窒化物層及び金属層を含む積層構造を有するゲート電
    極を形成する工程と、還元性気体、酸化性気体及び窒素
    を含む雰囲気中で熱処理することにより前記シリコン基
    板表面の酸化を行なう工程と、前記熱処理の工程の前後
    において前記雰囲気中で前記シリコン基板の昇降温を行
    なう工程工程とを具備し、前記昇降温の工程は、前記金
    属窒化物層及び前記金属層の酸化によりそれぞれ形成さ
    れる金属酸化物層の膜厚が前記金属酸化物層及び前記金
    属層の膜厚の20%となる昇温速度及び降温速度以上の
    速度で行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】シリコン基板上にゲ−ト絶縁膜を介して金
    属窒化物層及び金属層を含む積層構造を有する電極を形
    成する工程と、還元性気体、酸化性気体及び窒素を含む
    雰囲気中で熱処理することにより前記シリコン基板表面
    の酸化を行なう工程と、前記熱処理の工程の前後におい
    て前記シリコン基板の昇降温を行なう工程工程とを具備
    し、前記昇降温の工程に先立ち、或いは該工程中に、前
    記金属窒化物層及び前記金属層中の金属の酸化反応にお
    ける自由エネルギ−窒化がゼロ又は正となるように、前
    記雰囲気中に含まれる気体の分圧を制御することを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】シリコン基板上にゲ−ト絶縁膜を介して金
    属窒化物層及び金属層を含む積層構造を有するゲート電
    極を形成する工程と、還元性気体及び窒素を含む還元雰
    囲気中で熱処理する第1の熱処理工程と、酸化性気体及
    び窒素を含む酸化雰囲気中で熱処理する第2の熱処理工
    程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
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