JPH0791510A - オートテンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高ダンピング性能を得る。 【構成】 固定部材１の軸部１ｂと回動部材２のボス部
２ｂとの間に、ゴム部材６，…を介装する。よって、初
期ねじりによりゴム部材６，…が変形して軸部１ｂの外
周面とボス部２ｂの内周面との圧着性がよくなる。ま
た、アルミニウム合金製のボス部２ｂにゴム部材６，…
が接触することになるので、それらの間の摩擦係数が高
くなるし、ゴム部材６，…のたわみ抵抗によりダンピン
グ効果が大きくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オートテンショナ、特
に自動車エンジンによる補機類駆動のためのＶベルト等
に所定の張力を付与しかつ該張力の変動に応じてダンピ
ング力を自動的に変化させるようにしたオートテンショ
ナに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば米国特許第４４７３３６２号明細
書及び図面に記載されるように、駆動プーリと複数の従
動プーリとの間に巻き掛けられたベルトのプーリ間スパ
ンを押圧して、駆動プーリの回転力を全ての従動プーリ
に伝達させるためにオートテンショナが用いられること
は知られている。

【０００３】このようなオートテンショナは、図６及び
図７に示すように、例えば自動車エンジン等の固定体
に、軸部ａを有する固定部材ｂが固定され、該固定部材
ｂの軸部ａにその先端側から摺動部材としての筒状樹脂
ブッシュｃを介して回動部材ｄのボス部ｅが摺動回転可
能に外嵌合されている。ボス部ｅは、軸部ａ先端に固定
したプレート部材ｆにより摺動部材としての板状樹脂部
材ｇを介して抜止めされ、先端にボス部ｅの軸心と平行
な軸心でプーリｇを回転自在に支持するアーム部ｈが突
設されている。上記固定部材ａと回動部材ｄとの間に
は、ねじりコイルばねｉが介装され、上記回動部材ｄの
回動付勢力によりプーリｊにベルト（図示せず）を押圧
させて所定の張力を付与するのみならず、該張力の変動
に応じてダンピング力を変化させるようになされてい
る。

【０００４】従って、プーリｊにベルトが巻き掛けられ
た状態では、上記筒状樹脂ブッシュｃと回動部材ｄのボ
ス部ｅとの間にはベルト力（ベルトからプーリｊにかか
る反力）とねじりコイルばねｉの付勢力とがあわさって
大きなダンピング力が発生している。そして、この状態
で、上記ベルトの張力が減少方向に変動すると、ベルト
力の減少によりダンピング力が小さくなり、このことで
プーリｊのベルトへの追随姓が高くなってベルトの張力
低下が防止される。一方、ベルトの張りに対してはベル
ト力の増大によりダンピング力も大きくなり、このこと
でプーリｊに大きな抵抗力が付与されてベルトのばたつ
きが防止される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ブッシュｃ
と回動部材ｄのボス部ｅとの接触部分の形状は互いに円
形であり、スプリング力による押付け力が一定であれ
ば、摩擦係数も略一定となり、ダンピングも一定となっ
てしまうという問題があった。一方、回転変動によるベ
ルト張力変動の増大を防止するために、ダンピング性能
の高いオートテンショナの要求がある。

【０００６】本発明はかかる点に鑑みてなされたもの
で、ダンピング性能に優れるオートテンショナを提供す
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、固定部材の軸
部に回動部材のボス部が回動可能に嵌合され、該ボス部
に、ベルトを押圧するプーリがボス部の軸心と平行な軸
心でアーム部材を介して回転自在に支承され、上記固定
部材と回動部材との間に、該回動部材を固定部材に対し
所定方向に回動付勢するねじりコイルばねがスプリング
サポートを介して介装され、上記回動部材の回動付勢力
により上記プーリにベルト押圧させて所定の張力を付与
し、かつ上記張力の変動に応じてダンピング力を変化さ
せるようにしたを前提とする。

【０００８】請求項１の発明は、上記固定部材の軸部と
回動部材のボス部との間に、ゴム部材が介装されている
構成とする。

【０００９】請求項２の発明においては、ゴム部材は、
軸線方向において複数層設けられている。

【００１０】

【作用】請求項１の発明によれば、固定部材の軸部と回
動部材のボス部との間にゴム部材を介装しているので、
初期ねじりによりゴム部材が変形して軸部の外周面とボ
ス部の内周面との圧着性がよくなり、また、ボス部２ｂ
にゴム部材が接触することになるので、それらの間の摩
擦係数が高くなるし、ゴム部材のたわみ抵抗によりダン
ピング効果が大きくなる。

【００１１】請求項２の発明によれば、回動部材が回動
できる角度の範囲が広くなるし、ダンピング機能の調整
も可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に沿って詳細に
説明する。

【００１３】図１及び図２はこの実施例に係るオートテ
ンショナを示し、該オートテンショナは、例えば自動車
エンジン等の固定体に固定可能な固定部材１と、該固定
部材１に組付けられて回動可能に支持された回動部材２
と、上記固定部材１と回動部材２との間に介装され、該
回動部材２を固定部材１に対し所定方向に回動付勢する
捩りコイルばね３とを備えている。

【００１４】上記固定部材１は、有底筒状のリヤカップ
部１ａと、該リヤカップ部１ａの底部中央から軸心方向
に延びる円筒状の軸部１ｂとを有する。そして、上記リ
ヤカップ部１ａの壁部には、該壁部を半径方向に貫通す
る基端側係止孔１ｃが形成されている。

【００１５】上記回動部材２は、開口部が上記リヤカッ
プ部１ａの開口部と対向するフロントカップ部２ａと、
該フロントカップ部２ａの底部中央から軸心方向に延
び、かつ固定部材１の軸部１ｂにその先端側から外嵌合
されるボス部２ｂと、上記フロントカップ部２ａの外周
に突設され、先端にボス部２ｂの軸心と平行な軸心でプ
ーリ４が回転自在に支持されたアーム部２ｃとを有し、
上記ボス部２ｂにおいて固定部材１に回動可能に支持さ
れる。また、上記プーリ４には、例えば自動車エンジン
における補機類伝動用のＶベルト等のような所定の張力
を付与すべきベルトが巻き掛けられるようになされてい
る。さらに、上記フロントカップ部２ａの壁部には、該
壁部を半径方向に貫通する先端側係止孔２ｄが形成され
ている。

【００１６】上記捩りコイルばね３は、本体が左巻き
で、基端側及び先端側の各端部３ａ，３ｂが何れも本体
から半径方向外方に向けて突出する形状とされている。
上記基端側端部３ａは固定部材１のリヤカップ部１ａ壁
部における基端側係止孔１ｃに、また先端側端部３ｂは
回動部材２のフロントカップ部２ａ周壁における先端側
係止孔２ｄにそれぞれ半径方向に貫通して係止されてお
り、このことで各端部３ａ，３ｂは各々の係止孔１ｃ，
２ｄにより周方向の移動が規制されている。そして、捩
りコイルばね３は、両端部３ａ，３ｂが係止された状態
で本体が拡径する方向に動作することにより、回動部材
２を図２の反時計回り方向に回動付勢するようになされ
ている。

【００１７】また、上記捩りコイルばね３の基端側とボ
ス部２ｂとの間には、円筒状のスプリングサポート５が
介装されている。このスプリングサポート５の内周面は
ボス部２ｂの外周面に摺接可能とされている。さらに、
スプリングサポート５の筒状部５ａの基端側開口縁には
リヤカップ部１ａの底部表面に接する外向きフランジ５
ｂが形成されている。そして、外向きフランジ５ｂが捩
りコイルばね３の押圧力でリヤカップ部１ａの底部表面
に押付けられることにより、スプリングサポート５は固
定部材１側に固定される。また、この固定状態におい
て、フロントカップ部２ａが図２の時計回り方向に回動
したとき、捩りコイルばね３の本体が縮径することで、
スプリングサポート５は締付けられてその内周面がボス
部２ｂの外周面に圧接するようになり、このことでもダ
ンピング力が発生するようになされている。

【００１８】上記固定部材１又は回動部材２のうち、固
定部材１は合成樹脂で、また回動部材２はアルミ合金等
の金属でそれぞれ形成されている。そして、上記固定部
材１の軸部１ｂ外周面と回動部材２のボス部２ｂ内周面
とは、共に先端側がわずかながら小径となる断面テーパ
状に形成され、別部材を介さずに直接に互いに摺接する
ようになされている。そして、軸部１ｂには円周方向に
等角度間隔で凹部１ｄ，…が形成され、該凹部１ｄ，…
にゴム部材６，…が装填され、それによって上記固定部
材１とスプリングサポート５との間に、ゴム部材６，…
が円周方向に等角度間隔で介装されるようになってい
る。

【００１９】上記軸部１ｂに外嵌合されたボス部２ｂ
は、該軸部１ｂの先端に固定したプレート部材７により
抜止めされている。

【００２０】上記プレート部材７は金属製で、図２に示
すように、円板状をなし、その中央部には軸部１ｂの先
端部が嵌合されている。そして、上記プレート部材７の
ボス部２ｂ側には、該ボス部２ｂの先端面に摺接してそ
のスラスト荷重を受ける板状樹脂部材８が一体に接合さ
れている。

【００２１】上記のように構成すれば、オートテンショ
ナのプーリ４にベルトが巻き掛けられて、該オートテン
ショナにおける回動部材２のボス部２ｂ内周面と固定部
材１の軸部１ｂ外周面との間、及びボス部２ｂ外周面と
スプリングサポート５内周面との間に、それぞれベルト
力と捩りコイルばね３の付勢力とが合わさってダンピン
グ力が生じている状態において、上記ベルトの張力が減
少すると、ベルト力の減少により固定部材１の回動部材
２に対するダンピング力が小さくなる。すると、回動部
材２が回動し易くなってプーリ４のベルトに対する追随
性が高くなり、このことでベルトの張力低下を速やかに
防止することができるようになる。一方、ベルトの張り
に対してはベルト力の増大により上記ダンピング力も大
きくなり、このことでプーリ４に大きな抵抗力を付与し
てベルトのばたつきを防止することができるようにな
る。

【００２２】この場合、特に、固定部材１の軸部１ｂと
回動部材２のボス部２ｂとの間にゴム部材６，…を介装
しているので、初期ねじりによりゴム部材６，…が変形
して軸部１ｂの外周面とボス部２ｂの内周面との圧着性
がよくなる。また、アルミニウム合金製のボス部２ｂに
ゴム部材６，…が接触することになるので、それらの間
の摩擦係数が高くなるし、ゴム部材６，…のたわみ抵抗
によりダンピング効果が大きくなる。

【００２３】上記実施例では、固定部材の軸部外周面に
凹部を形成し、そこにゴム部材を装填するようにしてい
るが、図３及び図４に示すように、固定部材１１の軸部
１１ａと回動部材１２のボス部１２ａとに互いに係合す
る係合凸部１１ｂ，…及び係合凸部１２ｂ，…を形成
し、それらの間にゴム部材１３，…を介装するようにす
ることもできる。即ち、軸部ａの下部に係合凸部１１ｂ
…が所定間隔をもって規則的に形成されている。それに
対応してボス部２ａにも係合凸部１２ｂ，…が形成さ
れ、該係合凸部１２ｂ，…が軸部１１ａの係合凸部１１
ｂと係合凸部１１ａとの間に係合せしめられ、軸部１１
ａの係合凸部１１ｂ，…とボス部１２ａの係合凸部１２
ｂ，…との間にゴム部材１３，…が介装され、ゴム部材
１３，…の内端部が位置するようになっている。また、
ボス部１２ａには、係合凸部１２ｂ…に隣接して、ゴム
部材１３，…の外端部が係合する切欠部１２ｃ，…が形
成されている。尚、１４はねじりコイルばねである。

【００２４】また、上記実施例は、ゴム部材を軸線方向
において１層設けただけであるが、２層、３層等の複数
層構造とすることもできる。３層構造の場合は、例えば
図５に示すように、固定部材２１の軸部２１ａと回動部
材２２のボス部２２ａとの間に、２つの中間部材２３，
２４を設け、各中間部材２３，２４がプレート部２３，
２４ａと該プレート部２３ａ，２４ａより上下に立設さ
れた壁部２３ｂ，２３ｃ，２４ｂ，２４ｃとを有し、ま
た、軸部２１ａ及びボス部２２ａに壁部２１ｂ，２２ｂ
を形成し、該壁部間にゴム部材２５，…が介装されるよ
うになっている。

【００２５】

【発明の効果】請求項１の発明は、上記のように、固定
部材の軸部と回動部材のボス部との間にゴム部材を介装
しているので、初期ねじりによりゴム部材が変形して軸
部の外周面とボス部の内周面との圧着性がよくなり、ま
た、回動部材のボス部にゴム部材が接触することになる
ので、それらの間の摩擦係数が高くなるし、ゴム部材の
たわみ抵抗によりダンピング効果が大きくなる。

【００２６】請求項２の発明は、回動部材が回動できる
角度の範囲が広くなるし、ダンピング機能の調整も可能
となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】オートテンショナの断面図である。

【図２】同正面図である。

【図３】変形例の断面図である。

【図４】図３におけるIV-IV 線断面図である。

【図５】他の変形例の要部斜視図である。

【図６】従来例の断面図である。

【図７】同正面図である。

【符号の説明】

1,11,21 固定部材 1b,11a,21a 軸部 2,12,22 回動部材 2b,12a,22a ボス部 3,14 ねじりコイルばね 6,13,25 ゴム部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定部材の軸部に回動部材のボス部が回
   動可能に嵌合され、該ボス部に、ベルトを押圧するプー
   リがボス部の軸心と平行な軸心でアーム部材を介して回
   転自在に支承され、上記固定部材と回動部材との間に、
   該回動部材を固定部材に対し所定方向に回動付勢するね
   じりコイルばねがスプリングサポートを介して介装さ
   れ、上記回動部材の回動付勢力により上記プーリにベル
   ト押圧させて所定の張力を付与し、かつ上記張力の変動
   に応じてダンピング力を変化させるようにしたオートテ
   ンショナにおいて、 上記固定部材の軸部と回動部材のボス部との間に、ゴム
   部材が介装されていることを特徴とするオートテンショ
   ナ。
2. 【請求項２】 ゴム部材は、軸線方向において複数層設
   けられているところの請求項１記載のオートテンショ
   ナ。