JPH0791459B2 - 芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物 - Google Patents

芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物

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JPH0791459B2
JPH0791459B2 JP2254191A JP25419190A JPH0791459B2 JP H0791459 B2 JPH0791459 B2 JP H0791459B2 JP 2254191 A JP2254191 A JP 2254191A JP 25419190 A JP25419190 A JP 25419190A JP H0791459 B2 JPH0791459 B2 JP H0791459B2
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和久 平野
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、低融点、高溶剤溶解性という特長により作業
性に優れ、かつ靭性、耐熱性、耐吸水性に優れる芳香族
炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、熱硬化性耐熱性樹脂としては、ビスマレイミド、
アミン変性ビスマレイミド等が広く知られている。ビス
マレイミドは、耐熱性に優れているものの融点が高く、
かつ融点以上での溶融粘性が低すぎ、また、溶剤溶解性
が悪いという欠点を有しており、各種バインダーとして
用いる場合、制約が多く非常に使いずらいものである。
加えて、その硬化物は、非常に硬くて脆く、各種基材と
の密着性も悪いという欠点を有している。そのため、一
般には、芳香族ジアミンと反応させて、アミン変性ビス
マレイミドにして用いられている。このアミン変性によ
り、融点の低下、溶融粘性の向上、各種基材との密着性
の向上ははかれるものの、溶剤溶解性の向上には不充分
であるのみならず、マレイミド単独の硬化物より耐熱性
が劣るという欠点があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者は、ビスマレイミド本来の耐熱性を損うことな
しに、低融点化、高溶剤溶解性、低吸水性並びに靭性の
付与を目的として鋭意研究した結果、ポリイミド樹脂中
に一定量の芳香族炭化水素基を導入することにより耐熱
性を損うこと無しに、低融点、高溶剤溶解性、低吸水
性、高靭性のポリイミド樹脂が得られるとの知見を得、
さらにこの知見に基づき種々の研究を進めて本発明を完
成するに至ったものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、芳香族系ジアミン化合物又はポリアミン化合
物及びエチレン型炭素−炭素二重結合をもつジカルボン
酸又はこれらの誘導体から誘導される不飽和ビスイミド
部分と芳香族炭化水素とホルムアルデヒドとを酸触媒の
存在化で反応させて得られる芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド反応物部分とが結合した構造を有することを特徴
とする芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物に関す
るものである。
本発明における不飽和ビスイミドと変性剤である芳香族
炭化水素の割合は、不飽和イミド置換された芳香核に対
する芳香族炭化水素核のモル比が0.02〜0.3となる事が
好ましく、0.02以下では溶剤溶解性、低吸水性、靭性の
付与効果が小さく、一方0.3以上では融点が高くなりす
ぎ、加えて、耐熱性も低下する。
この様な芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂を製造する
には、通常、芳香族ジアミンと芳香族炭化水素ホルムア
ルデヒド樹脂、ジメチロール化芳香族炭化水素、ジメト
キシメチル化芳香族炭化水素、ジハロゲノメチル化芳香
族炭化水素等の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド反応物
を酸触媒の存在化求核反応させ芳香族炭化水素変性ポリ
アミンとした後、さらにエチレン型炭素−炭素二重結合
を有するジカルボン酸無水物とを常法により反応させる
ことにより得られるが、これに限定されるものではな
い。
前記の芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂用変性剤であ
る芳香族炭化水素ホルムアルデヒド反応物を得るための
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレン等
の低級アルキルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、クロロト
ルエン、ジクロロトルエン、クロロキシレン、ブロモキ
シレンなどのハロゲン化ベンゼン又はハロゲン化低級ア
ルキルベンゼンなどである。
ここで用いられる芳香族系ジアミン又はポリアミンとし
ては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミ
ン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4′
−ジアミノジフェニルメタン、1,3,5−トリアミノベン
ゼン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシラン、
ビス(4−アミノフェニル)メチルフォスフィンオキサ
イド、ビス(3−アミノフェニル)メチルフォスフィン
オキサイド、ビス(4−アミノフェニル)フェニルフォ
スフィンオキサイド、ビス(4−アミノフェニル)フェ
ニルアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレン
ジアミン、1,1−ビス(p−アミノフェニル)フタラ
ン、6,6′−ジアミノ−2,2′−ジピリジル、4,4′−ジ
アミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノアゾベンゼ
ン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,1
−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−
ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)シクロヘキサ
ン、2,5−ビス(m−アミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール、2,5−ビス(p−アミノフェニル)−1,3,4
−オキサジアゾール、2,5−ビス(m−アミノフェニ
ル)チアゾロ(4,5−α)チアゾール、5,5′−ジ(m−
アミノフェニル)−2,2′−ビス(1,3,4−オキサジアゾ
リル)ジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェ
ニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,6−ジアミノピ
リジン、トリス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキ
シド、ビス(4−アミノフェニル)N−メチルアミン、
1,5−ジアミノナフタリン、3,3′−ジメチル−4,4′−
ジアミノビフェニル、3,3′−ジメトキシベンジジン、
2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス
(β−アミノ−tert−ブチル)トルエン、ビス(p−β
−アミノ−tert−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p
−β−メチル−α−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−
p−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼ
ン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニルジアミン、
4,4′−ビス(p−アミノフェニル)−2,2′−ジチアゾ
ール、m−ビス(4−p−アミノフェニル−2−チアゾ
リル)ベンゼン、2,2′−ビス(m−アミノフェニル)
−5,5′−ジベンズイミダゾール、4,4′−ジベンズアニ
リド、4,4′−ジアミノフェニルベンゾエート、N,N′−
ビス(4−アミノベンジル)−p−フェニレンジアミ
ン、3,5−ビス(m−アミノフェニル)−4−フェニル
−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。更に、本発明
の芳香族系アミン化合物には、メラミン、シクロヘキサ
ンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナ
ミン等のトリアジン環化合物なども含まれる。また、こ
れらは単独であっても、2種以上混合したものであって
も良い。
ここで用いられる芳香族炭化水素ホルムアルデヒド反応
物としては、芳香族炭化水素とホルムアルデヒドを酸触
媒の存在下に反応させたものであるが、その後中和洗浄
し、減圧下にジアリルメタン類及び他の低沸点留分を除
去して製造されたものが好ましく、含酸素率8%以上で
ジアリルメタンの様な反応性の無い2核体成分は極力無
いことが好ましい。
酸触媒としては、蓚酸、パラトルエンスルホン酸、キシ
レンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸や塩
酸、硫酸といった無機酸が使用出来る。
不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば無水マレイ
ン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ピロシ
ンコン酸、無水ジクロロマレイン酸等のα,β−不飽和
ジカルボン酸無水物あるいはこれらの無水物のうちの1
つと非環状、脂環または複素環状ジエン、例えば、シク
ロペンタジエン等とのディールスアルダー反応生成物等
が挙げられる。
また、該芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂中の不飽和
イミド置換された芳香核に対する芳香族炭化水素核のモ
ル比は13C−NMR等により算出出来る。
以上の如くにして得られた芳香族炭化水素変性ポリイミ
ドを、さらにジアミン、ポリアミン類と反応させアミン
/芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂としても良く、ま
た、ビニル化合物、アリル化合物、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
ェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、有機シリ
コーン化合物、有機フッ素化合物等と反応又は混合して
も良い。
さらに、硬化促進剤として、例えばアゾ化合物、有機過
酸化物等のラジカル重合開始剤、三級アミン類、四級ア
ンモニウム塩、ホスホニウム化合物、イミダゾール類、
三フッ化ホウ素化合物、アミン塩等のイオン類を添加し
ても良い。必要に応じて、これら以外の有機又は無機の
添加剤、充填剤を添加しても良い。又、これらの成分の
添加混合は単に粉砕混合でも溶液混合や溶融混合でも良
く、樹脂組成物としては、粉末、固形、液状のいずれの
形態をもとり得ることが出来る。
[実施例] 以下本発明を実施例により詳細に説明する。ここに記載
されている「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重
量%」を示す。
製造例1 4,4′−ジアミノジフェニルメタン3000部、三菱瓦斯化
学製キシレンホルムアルデヒド樹脂ニカノールG(含酸
素率15%)150部を撹拌装置、還流冷却器及び温度計を
備えたフラスコに入れ、内温を110℃まで加熱し、4,4′
−ジアミノジフェニルメタンが完全に溶解した時点でパ
ラトルエンスルホン酸40部を添加し、さらに昇温還流下
で2時間反応させた。更に、常圧脱水状態で2時間反応
させ、冷却しながらメチルセロソルブ1000部添加し、芳
香族ポリアミン溶液4150部を得た。このものの25℃にお
ける粘度は120cps、135℃,1時間後の不揮発分69%であ
った。
製造例2 三菱瓦斯化学製キシレンホルムアルデヒド樹脂ニカノー
ルG(含酸素率15%)300部とした以外は、製造例1と
同様にして液状樹脂4250部を得た。このものの25℃にお
ける粘度は200cps、135℃,1時間後の不揮発分72%であ
った。
製造例3 三菱瓦斯化学製キシレンホルムアルデヒド樹脂ニカノー
ルG(全酸素率15%)900部とした以外は、製造例1と
同様にして液状樹脂4650部を得た。このものの25℃にお
ける粘度は1000cps、135℃,1時間後の不揮発分74%であ
った。
製造例4 三菱瓦斯化学製キシレンホルムアルデヒド樹脂ニカノー
ルG(全酸素率15%)1600部とした以外は、製造例1と
同様にして液状樹脂5450部を得た。このものの25℃にお
ける粘度は12000cps、135℃,1時間後の不揮発分は76%
であった。
実施例1 アセトン1925部を製造例1と同様の反応装置に入れ、無
水マレイン酸600部を添加完全溶解後、40℃以下に保ち
ながら製造例1で得られた芳香族炭化水素変性ポリアミ
ン溶液825部を90分かけて滴下し、滴下終了後同温で1
時間保った。その後、トリエチルアミン165部、酢酸ニ
ッケル4水和物19.5部を加え、さらに無水酢酸800部を
加え、還流温度で2時間反応させた。反応終了後真空下
で溶剤を速やかに留去し、70℃の温水1500部を添加して
10分間撹拌混合した。その後、静置し上澄みの水層を除
去した。更に、同温度で撹拌しながら90℃の温水1500部
を添加し、90℃で10分間撹拌混合した後静置し、上澄み
の水層を除去した。その後、この操作を2回繰返した
後、メタノール500部を添加し、70℃で10分間撹拌後、
上澄みを除去した後、脱水脱溶剤し、固形樹脂980部を
得た。
このものの融点は79℃であり、不飽和ポリイミド置換さ
れた芳香核に対する芳香族炭化水素核のモル比は、13C
−NMRより0.03であった。
実施例2 製造例2で得られた芳香族炭化水素変性ポリアミン溶液
を825部を用いた以外は、実施例1と同様にして、固形
樹脂970部を得た。
このものの融点は92℃であり、不飽和ポリイミド置換さ
れた芳香核に対する芳香族炭化水素核のモル比は、13C
−NMRより0.06であった。
実施例3 製造例3で得られた芳香族炭化水素変性ポリアミン溶液
を825部を用いた以外は、実施例1と同様にして、固形
樹脂990部を得た。
このものの融点は110℃であり、不飽和ポリイミド置換
された芳香核に対する芳香族炭化水素核のモル比は、13
C−NMRより0.19であった。
実施例4 製造例4で得られた芳香族炭化水素変性ポリアミン溶液
を825部を用いた以外は、実施例1と同様にして行なっ
たが、粘度が高くなりすぎて撹拌できず、取り出しが不
可能であった。
以上の実施例で得られた芳香族炭化水素変性ポリイミド
樹脂について、樹脂特性(第1表)、溶剤溶解性(第2
表)、赤外線吸収スペクトル(第1図)及び加熱重量変
化曲線(第2図)を示した。
以上の実施例で得られた固形樹脂及び比較例としてアミ
ン変性ビスマレイミドを用いて以下の配合、成形、後硬
化条件によりテストピースを作製し、成形品の耐熱性評
価を行なった。その結果を第3表に示す。
(配合) 実施例の樹脂 15部 ジアミノジフェニルメタン 6部 ガラス繊維(3mmチョップ) 20部 炭酸カルシウム 65部 但し、アミン変性ビスマレイミドでは、ジアミノジフェ
ニルメタンは配合しない。
(成形) 温度 180℃,圧力 200kg/cm2,時間 10分 (後硬化) 170℃ 6時間,200℃ 4時間,250℃ 3時間 各温度間の昇温時間は1時間 [発明の効果] 本発明による芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物
は、低融点で溶剤溶解性が良好であり、従って優れた作
業性を有しており、例えば成形材料用素材、有機繊維粘
結剤、ゴム配合剤、砥石粘結剤、無機繊維粘結剤、電子
電気部品被覆剤、積層板用樹脂、摩擦材用粘結剤、摺動
部材粘結剤などに用いることにより、優れた耐熱性と靭
性を有する製品を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例で得られた樹脂の赤外線吸収スペクト
ルを示す。第2図は前記樹脂とビスマレイミドそれぞれ
の加熱重量変化のグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族系ジアミン化合物又はポリアミン化
    合物及びエチレン型炭素−炭素二重結合をもつジカルボ
    ン酸又はこれらの誘導体から誘導される不飽和ビスイミ
    ド部分と芳香族炭化水素とホルムアルデヒドとを酸触媒
    の存在化で反応させて得られる芳香族炭化水素ホルムア
    ルデヒド反応物部分とが結合した構造を有することを特
    徴とする芳香族炭化水素変性ポリイミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】不飽和イミド置換された芳香核に対する変
    性される芳香族炭化水素核のモル比が、0.02〜0.3であ
    ることを特徴とする請求項1記載の芳香族炭化水素変性
    ポリイミド樹脂組成物。
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