JPH0789953B2 - 光学活性2−(4−フエノキシフエノキシ)プロパン−1−オ−ルの生化学的製法 - Google Patents

光学活性2−(4−フエノキシフエノキシ)プロパン−1−オ−ルの生化学的製法

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JPH0789953B2
JPH0789953B2 JP12194485A JP12194485A JPH0789953B2 JP H0789953 B2 JPH0789953 B2 JP H0789953B2 JP 12194485 A JP12194485 A JP 12194485A JP 12194485 A JP12194485 A JP 12194485A JP H0789953 B2 JPH0789953 B2 JP H0789953B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は下記式(I)で示される(±)−2−(4−フ
ェノキシフェノキシ)−プロパン−1−オールの生化学
的光学分割法に関する。更に詳しくは微生物が生産する
エステラーゼを(±)−2−(4−フェノキシフェノキ
シ)プロパン−1−オールの有機カルボン酸(炭素数1
〜18個の飽和または不飽和のカルボン酸)エステルに作
用させて不斉加水分解して、光学純度の高い光学活性2
−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オール
とその対掌体のエステルを得ることによる工業的に有利
な2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オ
ールの生化学的光学分割法に関する。
従来技術及び問題点 上記式(I)で示される2−(4−フェノキシフェノキ
シ)プロパン−1−オールは、例えば優れた有害生物防
除活性を有する式(II) で示される新規なエーテル化合物の重要な中間体であ
る。
上記式(II)で示されるエーテル化合物は、これを家畜
または家禽用の飼料または飲料水に混入させ、家畜また
は家禽に接食させるか、経口的に投与することにより有
効成分をそれらの排泄物中に混在させ、これによって排
泄物または排泄物による堆肥に発生するハエ類を駆除す
ることができ、よって特に公衆衛生上極めて有用な化合
物である。
上記式(II)で示されるエーテル化合物は、不斉炭素を
1ケ有することから、2種の光学異性体が存在する。そ
の中、(S)−配置を有するエーテル化合物は、(R)
−配置のものに比し、約4倍の活性(家バエでの羽化阻
害活性)を有することから、その合成中間体としての光
学活性な一般式(I)で示される2−(4−フェノキシ
フェノキシ)プロパン−1−オールの有利な取得法の開
発が望まれている。
一般的な光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プ
ロパン−1−オールを得る方法としては、光学活性な乳
酸をエチルエステルとし、これにp−トルエンスルホン
酸クロリドを作用させてトシルエステルとした後、アル
カリ条件下でフェノキシフェノールと反応させて光学活
性な2−(4−フェノキシフェノキシ)プロピオン酸の
エチルエステルを得、更にこれをリチウムアルミニウム
ハイドライドで還元する方法などが考えられる。
しかし、この様な方法は工程数が長く、原料に高価な光
学活性原料を使用せねばならない為工業的に実施するに
は不利である。
発明の構成 このような状況の下に、本発明者らは工業的に有利な
(±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−
1−オールの光学分割法を確立すべく研究を重ねた結
果、下記微生物由来のエステラーゼを(±)−2−(4
−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールの有機
カルボン酸(炭素数1〜18個の飽和または不飽和の有機
カルボン酸)エステルに作用させることにより極めて光
学純度の高い光学活性2−(4−フェノキシフェノキ
シ)−プロパン−1−オールとその体掌体のエステルが
得られることを見い出し、これに種々の検討を加え本発
明を完成するに至った。
次に本発明を詳細に説明する。
本発明方法において原料として使用される(±)−2−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールの
有機カルボン酸(炭素数1〜18個の飽和の有機カルボン
酸)エステルの製造は、エステル製造の常法、例えば
(±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−
1−オールに有機カルボン酸の無水物を反応させる方
法、あるいは有機カルボン酸クロライドを有機塩基の存
在下で反応させるなどにより容易に製造することができ
る。
本発明で使用されるエステラーゼを生産する微生物とし
ては、(±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロ
パン−1−オールの有機カルボン酸エステルを不斉加水
分解する能力を有するエステラーゼ(ここで、エステラ
ーゼとはリパーゼを含む広義のエステラーゼを意味す
る。)を生産する微生物であり、具体例としては、シュ
ードモナス(Pseudomonas)属、クロモバクテリウム(C
hromobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacte
r)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、キャンディ
ダ(Candida)属、アクロモバクター(Achrombacter)
属、ノカルディア(nocardia)属、フラボバクテリウム
(Flavobacterium)属、トルロプシス(Tolulopsis)
属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、バチル
ス(Bacillus)属、エスケリシア(Escherichia)属、
ミクロコッカス(micrococcus)属、ハンセヌラ(Hanse
nula)属、ムコール(Mucor)属、コリネバクテリウム
(Corynebacterium)属、ミコバクテリウム(Mycobacte
rium)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、サ
ーモマイセス(Thermomy−ces)(フミコラ(Humicol
a))属、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギラス(A
spergillus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)
属、ジオトリカム(Geotricum)属、トリコデルマ(Tri
codema)属、アスネトバクター(Acinetobacter)属、
アエロモナス(Aeromonas)属、ベアウベリア(Beauver
ia)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、エンテロバク
ター(Enterobacter)属、ペニシリウム(Penicllium)
属、セラチア(Serratia)属、エルビニア(Erwinia)
属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ヒコマ
イセス(Phycomyces)属、プロピオニバクテリウム(Pr
opionibacterium)属、メタリジウム(Metarrhizium)
属、パエシロマイセス(Paecilomyces)属、サッカロミ
コプシス(Saccaromycopsis)属、ベエルティシリウム
(Verticillium)属、キサントモナス(Xanthomonas)
属に属する微生物が挙げられる。
これらの各属に属する代表的な菌株名を下記に例示する
が、本発明の微生物はこれらの例示に限定されるもので
はない。
(1) ノカルディア・エリスロポリス(nocardiaeryt
hroporis) IFO−12682及びIFO−12320 (2) アルスロバクター・シンプレックス(Arthroba
cter simplex) IFO−12069 (3) フラボバクテリウム・アルボレッセンス(Flav
obacterium arborescens) IFO−3750 (4) トルロブシス・キャンディダ(torulopsis can
dida) IFO−0380 (5) ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brev
ibacterium ammoniagenes) IFO−12072 (6) バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheni
formis) IFO−12197 (7) バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaelicu
s) IO−3528 (8) エスケリシア・コリ(Escherichia coli) IFO
−3301 (9) ハンセヌラ・サチュルヌ(Hansenula saturnu
s) IFO−0117 (10) ミクロコッカス・バリアンス(Micrococcus va
rians) IFO−3765 (11) クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromobact
erium viscosum) ATCC−6918 (12) シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomo
nas fluorescens) IFO−3081 (13) アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arth
robacter ureafaciens) ATCC−7562 (14) アルカリゲネス・フェーカリス(Alcaligenes
faecalis) IFO−12669 (15) キャンディダ・ユテリス(Candida utilis)IF
O−0988 (16) アクロモバクター・スペシーズ(Achromobacte
r.sp.) ATCC−21910 (17) ムコール・プシラス(Mucor pusillus)IFO−9
856 (18) コリネバクテリウム・グルタミカム(Coryneba
kterium glutamicum) ATCC−13287 (19) ミコバクテリウム・フライ(Mycobacterium ph
lei) IFO−3158 (20) サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae) ATCC−7753 (21) サッカロマイセス・カルスベルゲンシス(Sacc
haromyces carlsbergensis) ATCC−9080 (22) サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces
lanuginosus) IFO−9788 (フミコラ ラヌギノサ,HUmicola lanuginosa) (23) リゾブス・ジャポニカス(Rhizopus japonicu
s) IFO−4758 (24) アスペルギラス・オリーゼ(Aspergillus・ory
zae) ATCC−14605 (25) アスペルギラス・フラバス(Aspergillus flav
us) ATCC−11492 (26) ストレプトマイセス・グリセウス・サブスピー
シーズ・グリセウス(Streyptomyces griceussubsp.gri
seus) IFO−3430 (27) ストレプトマイセス・カスガエンシス(Strept
omyces kasugaensis) IFO−13851 (28) ジオトリカム・カンディダム(Geotricum cand
idum) IFO−4597 (29) トリコデルマ・ビリデ(Trichoderima virid
e) IFO−5720 (30) アシネトバクター・カルコアセチカス(Acinet
obacter calcoaceticus) IFO−12552およびIFO−13006 (31) アエロモナス・ハイドロフィラ・サブスピーシ
ーズ・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila subsp.h
ydrophila) IFO−12978 (32) ベアウベリア・バシアナ(Beauveria bassian
a) ATCC−26037 (33) ロドトルラ・ミヌタ・バル・デキセンシス(Rh
odotorula minuta var.texensis) IFO−0879 (34) エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobact
er aerogenes) IFO−13534 (35) ペニシリウム・カネセンス(Penicillium cene
scens) IFO−7108 (36) セラチア・マルセセンス(Serratia marcescen
s) IFO−12648 (37) エアビニア・キャロトボラ サブスピーシーズ
キャロトボラ(Erwinia carotovora subsp. carotovor
a) IFO−14082 (38) スタフィロコッカス・アウレウス(Staphyloco
ccus aureus) IFO−3060 (39) フィコマイセス・ニテンス(phycomyces niten
s) IFO−9422 (40) プロピオニバクテリウム・アクネス(Propioni
bacterium acnes) ATCC−11827 (41) メタリジウム・アニソプリエ(Metarrhizium a
nisopliae) ATCC−16085 (42) キサントモナス・オリーゼ(Xanthomonas oryz
ae) IFO−3312 (43) サッカロミコプシス・リポリティカ(Saccharo
mycopsis lipolytica) ATCC−34088 (44) ベルティシリウム・フランギコーラ(Verticil
lium fungicola) IFO−30616 (45) パエシロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces
lilacinus) ATCC−13307 これらの菌株はいずれもAmerican Type Culure Collect
ion(ATCC)あるいは大阪市の財団法人醸酵研究所(IF
O)に存在され、これらの保存機関より入手することが
できる。
また、これらの微生物起源のエステラーゼのなかには市
販されているものがあり、容易に入手することができ
る。市販エステラーゼの具体例としてはシュードモナス
属のリパーゼ(天野製薬製)、ムコール属のリパーゼ
(リパーゼM−AP(天野製薬製))、キャンディダ・シ
リンドラッセのリパーゼ(リパーゼMY(名糖産業
製))、アルカリゲネス属のリパーゼ(リパーゼPL(名
糖産業製))、アクロモバクター属のリパーゼ(リパー
ゼAL(名糖産業製))、アルスロバクター属のリパーゼ
(リパーゼ合同BSL(合同酒精製))、同じくアルスロ
バクター属のリパーゼ(新日本化学工業製)、クロモバ
クテリウム属のリパーゼ(東洋醸造製)リゾブス属のリ
パーゼ(リパーゼサイケン100(大阪細菌研究所製))
などがあげられる。
上記のような微生物起源由来のエステラーゼにおいて、
工業規模での実施時には、入手のし易さ、光学純度の点
でシュードモナス(Pseudomonas)属、ムコール(Muco
r)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、エ
スケリシア(Escherichia)属、アルスロバクター(Atr
hrobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バ
チルス(Bacillus)属、ノカルディア(Nocardia)属、
キャンディダ(Condida)属、アクロモバクター(Achro
mobacter)属、フラボバクテリウム(Flavobacteriu
m)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、ミク
ロコッカス(Micrococcus)属、トルロプシス(Tolulop
sis)属、ハンセヌラ(hansenula)属、アシネトバクタ
ー(Acinetobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)
属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、トリコデルマ(Tri
choderma)属、ジオトリカム(Geotricum)属、ベアウ
ベリア(Beauveria)属、ストレプトマイセス(Strepto
myces)属、ミコバクテリウム(Mycobacterium)属、サ
ッカロマイセス(Saccharomyces)属、アスペルギラス
(Aspergillus)属に属する微生物の生産するエステラ
ーゼがより好ましい。更により高い光学純度を与える点
で、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、アル
スロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物の生産
するエステラーゼがより好ましい。
本発明方法において、使用されるエステラーゼを生産す
る微生物の培養は、通常、常法に従って液体培養を行な
うことにより培養液を得る。たとえば滅菌した液体培地
〔かび類、酵母類用に麦芽エキス・酵母エキス培地(水
1にペプトン5.0g、可溶性デンプン10.0g、麦芽エキ
ス3.0gおよび酵母エキス3.0gを溶解し、pH6.2とす
る)、放線菌用には滅菌した液体培地(水1に可溶性
デンプン10.0g、NZアミン(タイプA)2.0g、肉エキス
1.0gおよび酵母エキス1.0gを溶解し、pH7.2とする)、
細菌用には滅菌した液体培地(水1に可溶性デンプン
10.0g、ペプトン5.0gおよび酵母エキス5.0gを溶解しpH
6.8とする〕に微生物を接種し、通常20〜40℃で1〜3
日間往復または回転振盪培養を行なう。また必要に応じ
て固体培養や嫌気培養を行なってもよい。さらに、この
ような培養に際し、誘導物質としてオリーブ油、大豆油
などの天然油脂、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レエートなどの非イオン系界面活性剤を培地に添加する
ことにより酵素の生産量を向上させることもできる。
本発明方法における(±)−2−(4−フェノキシフェ
ノキシ)プロパン−1−オールの有機カルボン酸(炭素
数1〜18個の飽和または不飽和のカルボン酸)エステル
不斉加水分解は、上記微生物を培養した培養液、培養液
から分離した菌体、エステラーゼを含有する培養液、
あるいは各種酵素分離法によって菌体または培養液か
ら分離した粗製エステラーゼ、精製エステラーゼおよび
エステラーゼ含有抽出液または濃縮液と、(±)−2−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールの
有機カルボン酸エステルとを混合し、撹拌または振盪す
ることにより行なわれる。また、固定化菌体あるいは固
定化エステラーゼを使用することもできる。
不斉加水分解を行なう条件としては、反応温度は10〜70
℃が適当であり、好熱菌の培養液または好熱菌の培養に
より得られた耐熱性エステラーゼでは50〜65℃、中温菌
の培養液または特に耐熱性を有しないエステラーゼでは
20〜50℃が好ましい。
反応時間は通常3〜70時間であるが、反応温度を高めた
り酵素量を増加させるなどにより反応時間の短縮も可能
である。
反応中のpHは好アルカリ性菌の培養液アルカリ性エステ
ラーゼではpH8〜11、好アルカリ性でない微生物の培養
液や耐アルカリ性を有しないエステラーゼではpH5〜8
が好ましい。また、加水分解によって生成する有機カル
ボン酸を中和し、反応中のpHを一定に保つために緩衝液
の使用や、反応進行に伴ないアルカリ水溶液を滴下する
ことが好ましい。
緩衝液としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムな
どの無機酸塩の緩衝液、酢酸ナトリウム、クエン酸ナト
リウムなどの有機酸塩の緩衝液をあげることができる。
基質である(±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)
プロパン−1−オールの有機カルボン酸エステルの使用
濃度は反応液に対し0.5〜80重量%であり、工業的実施
時には10〜50重量%が好適である。
また、原料となる(±)−2−(4−フェノキシフェノ
キシ)プロパン−1−オールの有機カルボン酸エステル
において、有機カルボン酸としては、取扱いの容易さや
反応性の点から炭素数2〜12のカルボン酸が好ましく、
さらに、経済性や入手の容易さを考慮すると酢酸が好ま
しい。
次に、このようにして不斉加水分解反応を行った後、遊
離した光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プロ
パン−1−オールと未反応の対掌体エステルを分離回収
する。この分離回収に際しては、溶媒抽出、分別蒸留、
カラムクロマトグラフィー、再結晶などの操作を適宜採
用することができる。たとえば反応液をエーテル、酢酸
エチル、ベンゼンなどの有機溶媒で抽出し、この抽出物
を分別蒸留し光学活性2−(4−フェノキシフェノキ
シ)プロパン−1−オールとその対掌体のエステルを分
離取得するか、または抽出物をシリカゲルのカラムクロ
マトグラフィーにかけ、たとえばヘキサン−酢酸エチル
(5:1)溶液で溶出することにより、先ず光学活性2−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールの
有機カルボン酸エステルが分離され、ついでヘキサン−
酢酸エチル(2:1)溶液で溶出を行なうことによりその
対掌体の遊離の1−(4−フェノキシフェノキシ)プロ
パン−2−オールが分離される。
また、以上のようにして分離された光学活性2−(4−
フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールのエステ
ルは、さらに加水分解することにより容易に光学活性2
−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オール
に導くことができる。加水分解の方法としては、たとえ
ば光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン
−1オールの有機カルボン酸エステルを苛性ソーダまた
は苛性カリの水、メタノールまたはエタノールの溶液に
加え、室温(20℃〜30℃)で撹拌することにより、容易
に光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン
−1−オールを取ることができる。
又、光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパ
ン−1−オールのエステルから上記の方法によって得ら
れる光学活性2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパ
ン−1−オールの光学純度が不充分な場合には、不斉加
水分解の反応時間を長くし、高い水解率(少なくとも水
解率50%以上)にすることにより高い光学純度の2−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールを
得ることができる。
発明の効果 本発明方法によれば光学活性2−(4−フェノキシフェ
ノキシ)プロパン−1−オールが高い収率および光学純
度で取得することができ工業的にもきわめて有利であ
る。
次に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが本
発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1 (±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)−プロピル
アセテート5.00g(17.5ミリモル)クロモバクテリウム
属のリパーゼ(東洋醸造製)150mgを0.2M濃度のリン酸
塩緩衝液(pH6.8)15mlに加え、40℃で撹拌しつつ反応
させた。この時反応の進行に伴ない1N苛性ソーダ液を加
え、pHを6.8に保持した。5時間反応を行った後、反応
物をトルエンで抽出した。抽出液をガスクロマトグラフ
ィー(カラム:Silicon DC−QF−1 2.6m,ガラムカラ
ム。カラム温度:280℃)で分析した結果、2−(4−フ
ェノキシフェノキシ)−1−プロピルアセテート:70.6
%、2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−
オール:29.4%であり、他の成分は全く認められなかっ
た。
次いで該抽出液を濃縮した後、シリカゲルを充填したカ
ラムクロマトグラフィーに付し、2−(4−フェノキシ
フェノキシ)−1−プロピルアセテート3.53g及び2−
(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オール1.
25g(比旋光度:▲〔α〕24 D▼=32.70(クロロホルム,
C=1.00))を得た。
ここで得られた2−(4−フェノキシフェノキシ)プロ
パン−1−オールを光学活性カラムを用いた液体クロマ
トグラフィー(カラム:Sumipax OA−2300,住化分析セン
ター(株)製)で光学異性体分析を行った結果、 S−(+)−体/R−(−)−体=95.0/5.00 であった。
実施例2 実施例1において(+)−2−(4−フェノキシフェノ
キシ)−1−プロピルアセテートおよびリパーゼの使用
量を各々2倍にし反応時間を4時間とした以外は実施例
1と同様にして反応させた。反応後、反応液を実施例1
と同様にして処理してガスクロマトグラフィーにて分析
した結果、2−(4−フェノキシフェノキシ)−1−プ
ロピルアセテート:75.0%、2−(4−フェノキシフェ
ノキシ)プロパン−1−オール:25.0%であった。
次いで、該反応液を実施例1と同様にして処理し、シリ
カゲルクロマトグラフィーに付し、2−(4−フェノキ
フェノキシ)プロパン−1−オール2.13g(S−(+)
−体/R−(−)−体=97.5/2.5比旋光度:▲〔α〕24 D
▼=34.40(クロロホルム,C=1.00)を得た。
実施例8 アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter
ureafaciens)(ATCC−7562)から高い酵素生産性を示
すコロニーを選択しながら酵素高生産株を得た。かくし
て得られたアルスロバクター・ウレアファシエンスの酵
素高生産株を5容量のミニジャファメンターを用い、
通常の細菌培養用の培地に大豆粕抽出液とオリーブ油2
%を加え、30℃で31時間通気培養を行った(培養液3
)。
遠心分離により菌隊を除去した後、培養液をアセトンに
よる溶媒沈殿操作(アセトン55%〜アセトン80%の間の
分画)を行い、沈殿した酵素蛋白質を遠心分離によって
分離し、更に凍結乾燥を行い10.6gの乾燥酵素を得た。
かくして得られた乾燥酵素1.0gと(±)−2−(4−フ
ェノキシフェノキシ)−1−プロピルカプリレート40g
を0.1M濃度のリン酸塩緩衝液(PH6.8)180mlに加え、48
℃で撹拌しつつ反応させた。この時反応の進行に伴ない
2N苛性ソーダ液を加え反応中pHを6.8に保持した。
8時間反応を行った後、反応物をトルエンで抽出した。
抽出液を実施例1と同じ条件でガスクロマトグラフィー
で分析した結果、2−(4−フェノキシフェノキシ)プ
ロパン−1−オール:35.0%、2−(4−フェノキシフ
ェノキシ)−1−プロピルカプリレート:65.0%であっ
た。
次いで該抽出物を実施例1と同様にしてクロマトグラフ
ィーにより分離し、2−(4−フェノキシフェノキシ)
プロパン−1−オール9.21g(S−(+)−体/R−
(−)−体=90.5/9.5)を得た。
実施例4 実施例3において、(±)−2−(4−フェノキシフェ
ノキシ)−1−プロピルカプリレートに代えて(±)−
2−(4−フェノキシフェノキシ)−1−プロピルプロ
ピオネートを用い、またその反応スケールを1/5にした
以外は実施例3と同様の条件で反応させた。反応液を実
施例1と同様にして処理した後ガスクロマトグラフィー
で分析した結果、2−(4−フェノキシフェノキシ)プ
ロパン−1−オール:40.2%、2−(4−フェノキシフ
ェノキシ)−1−プロピルプロピオネート:59.8%であ
った。
反応液を実施例1と同様にしてクロマトグラフィーに付
し、2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−
オール2.61g(S−(+)−体/R−(−)−体=88.5/1
1.5)を得た。
実施例5〜14 (±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)−1−プロ
ピルアセテート0.5g(1.75ミリモル)および表1に示す
各酵素(使用量を表1に示す)を0.2M濃度のリン酸塩緩
衝液(pH6.8)20mlに加え、40℃で撹拌しつつ加水分解
反応を行なった(反応時間を表1に示す)。反応液を実
施例1と同様に処理し、加水分解率および該加水分解反
応により得られた光学活性2−(4−フェノキシフェノ
キシ)プロパン−1−オールのS−(+)−体とR−
(−)−体との比を測定した。
結果を表1に示す。
実施例12〜29 500ml三角フラスコに液体培地〔細菌類用には、水1
に可溶性デンプン10.0g、ペプトン5.0gおよび酵母エキ
ス5.0gを溶解し、pH6.8としたもの。酵母類用には、水
1に可溶性デンプン10.0g、ペプトン5.0g、麦芽エキ
ス3.0gおよび酵母エキス3.0gを溶解し、pH6.2としたも
の。放線菌類用には、水1に可溶性デンプン10.0g、N
Zアミン“タイプA"2.0g、肉エキス1.0gおよび酵母エキ
ス1.0gを溶解しpH7.2としたもの〕100mlを入れて滅菌し
た後、表2に記載した各微生物を斜面培養から1白金耳
接種し、30℃で46.0時間回転振盪培養した。次いでこれ
に(±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)−1−プ
ロピルアセテート2.0g(6.99ミリモル)を添加し、30℃
で撹拌しつつ表2に示す時間加水分解反応を行なった。
以後、実施例1と同様にして、抽出、分離、分析を行な
い、加水分解率および該加水分解率で得られた光学活性
2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オー
ルのS−(+)−体とR−(−)−体との比を測定し
た。結果を表2に示す。
実施例30 (±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)−1−プロ
ピルアセテート8.00g/28.0ミリモル)およびクロモバク
テリウム属のリパーゼ(東洋醸造)0.25gを0.2M濃度の
リン酸塩緩衝液(pH6.8)20mlに加え、40℃で撹拌しつ
つ反応させた。この時反応の進行に伴ない1N苛性ソーダ
液を加え、pHを6.8に保持した。40時間反応を行なった
後、反応物をトルエンで抽出した。抽出液を実施例1と
同様にガスクロマトグラフィーで分析した結果、2−
(4−フェノキシフェノキシ)−1−プロピルアセテー
ト:40.9%、2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパ
ン−1−オール:59.1%であり、他の成分は全く認めら
れなかった。
ついで該抽出液を濃縮した後、シリカゲルを充填したカ
ラムクロマトグラフィーに付し、2−(4−フェノキシ
フェノキシ)−1−プロピルアセテート3.27gを得た。
このうち、1.0gを苛性カリのメタノール溶液(濃度10
%)5.86gに溶解し、20℃で1時間撹拌した。反応液を
水100mlで希釈した後トルエンで抽出し、得られたトル
エン層を濃縮することにより、2−(4−フェノキシフ
ェノキシ)プロパン−1−オール0.85gを得た。
該2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オ
ールを前述と同様にして光学異性体分析を行なった結
果、 S−(+)−体/R−(−)−体=0.8/99.2 (比旋光度▲〔α〕24 D▼=−35.7゜(クロロホルム,C
=1.00)であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 41/00 C12R 1:06) (C12P 41/00 C12R 1:05) (C12P 41/00 C12R 1:72) (C12P 41/00 C12R 1:025) (C12P 41/00 C12R 1:365) (C12P 41/00 C12R 1:20) (C12P 41/00 C12R 1:88) (C12P 41/00 C12R 1:13) (C12P 41/00 C12R 1:07) (C12P 41/00 C12R 1:185) (C12P 41/00 C12R 1:265) (C12P 41/00 C12R 1:78) (C12P 41/00 C12R 1:785) (C12P 41/00 C12R 1:32) (C12P 41/00 C12R 1:85) (C12P 41/00 C12R 1:66) (C12P 41/00 C12R 1:465) (C12P 41/00 C12R 1:645) (C12P 41/00 C12R 1:885) (72)発明者 松尾 憲忠 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 西田 寿美雄 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 広原 日出男 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シュードモナス(Pseudomanas)属、クロ
    モバクテリウム(Chromobacterium)属、アルスロバク
    ター(Arthrobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligene
    s)属、キャンディダ(Candida)属、アクロモバクター
    (Achrombacter)属、ノカルディア(nocardia)属、フ
    ラボバクテリウム(Flavobacterium)属、トルロプシス
    (Tolulopsis)属、ブレビバクテリウム(Brevibacteri
    um)属、バチルス(Bacillus)属、エスケリシア(Esch
    erichia)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ハン
    セヌラ(Hansenula)属、ムコール(Mucor)属、ミコバ
    クテリウム(Mycobacterium)属、サッカロマイセス(S
    accharomyces)属、アスペルギラス(Aspergillus)
    属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ジオトリ
    カム(Geotricum)属、トリコデルマ(Tricoderma)
    属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、アエロモ
    ナス(Aeromonas)属、ベアウベリア(Beauveria)属、
    ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物が生成す
    るエステラーゼを(±)−2−(4−フェノキシフェノ
    キシ)プロパン−1−オールの有機カルボン酸(炭素数
    1〜18個の飽和または不飽和のカルボン酸)エステルに
    作用させて、これを不斉加水分解して、光学活性な2−
    (4−フェノキシフェノキシ)プロパン−1−オールと
    その対掌体のエステルに分割することを特徴とする
    (±)−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロパン−
    1−オールの生化学的光学分割方法。
  2. 【請求項2】クロモバクテリウム(Chromobacterium)
    属、アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する微生
    物より得られるエステラーゼを用いる特許請求の範囲第
    一項記載の方法。
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