JPH0787977A - コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するdna断片 - Google Patents

コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するdna断片

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JPH0787977A
JPH0787977A JP5200707A JP20070793A JPH0787977A JP H0787977 A JPH0787977 A JP H0787977A JP 5200707 A JP5200707 A JP 5200707A JP 20070793 A JP20070793 A JP 20070793A JP H0787977 A JPH0787977 A JP H0787977A
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JP
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dna
dna fragment
plasmid
promoter function
fragment
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JP5200707A
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Masayuki Inui
将之 乾
Miki Kobayashi
幹 小林
Yasurou Kurusu
泰朗 久留主
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ブレビバクテリウム・フラバムMJ233か
ら単離されたアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ
をコードする遺伝子に由来する179塩基対よりなるコ
リネ型細菌内でプロモーター機能を有するDNA断片。 【効果】 このプロモーター機能を有するDNAを、タ
ンパク質をコードする構造遺伝子とともにプラスミドベ
クターに組み込み宿主コリネ型細菌に導入したときに、
該構造遺伝子が高発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコリネ型細菌内のアセト
ヒドロキシ酸イソメロレダクターゼをコードする遺伝子
に由来するコリネ型細菌内でプロモーター機能を有する
新規なDNAを含むDNA断片に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレビバクテリウム属細菌を含むコリネ
型細菌は、アミノ酸、有機酸、プリンヌクレオチド等を
生産する工業的に有用な微生物であるが、組換えDNA
技術の導入による菌株育種改良は、エシリヒア・コリ
Escherichia coli)等に比べて遅れ
ている。特に、プラスミドベクターに挿入された構造遺
伝子のコリネ型細菌内での発現のために必要なプロモー
ター構造に関する知見は極めて少なく、コリネ型細菌を
宿主として用いて構造遺伝子を発現させようとする場合
かなり問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、プラスミドベクターに挿入された構造遺伝子をコリ
ネ型細菌内で確実に発現せしめるようなプロモーター機
能を有する新規なDNA断片を取得することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、コリネ型
細菌内でプロモーター機能を有するDNA断片を鋭意検
索した結果、先に提案したコリネ型細菌内のアセトヒド
ロキシ酸イソメロレダクターゼ(EC1.1.1.8
6)をコードする構造遺伝子(以下これを「ilvC」
ということがある;この遺伝子の詳細については特願平
5−68153号明細書参照)上流の179bpのDN
A断片がプロモーターとして機能することを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、コリネ型細菌内のアセ
トヒドロキシ酸イソメロレダクターゼをコードする構造
遺伝子(ilvC)に由来するコリネ型細菌内でプロモ
ーター機能を有する後記配列表の配列番号:1に示され
る179bpの塩基配列を含むDNA断片である。以
下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0006】本明細書において、「プロモーター機能を
有するDNA」とは、遺伝子の転写を開始するためにR
NAポリメラーゼが特異的に結合するDNA上の領域で
あって、タンパク質をコードする構造遺伝子とともにプ
ラスミドベクターに組み込まれ宿主コリネ型細菌に導入
された時に、該構造遺伝子の発現強度の増加作用を有す
るDNAを意味する。
【0007】本発明のプロモーター機能を有するDNA
断片は、その塩基配列が決定された後においては合成す
ることができるが、通常はコリネ型細菌内のアセトヒド
ロ酸イソメロレダクターゼをコードする構造遺伝子を含
むDNA断片(以下これを「ilvC断片」ということ
がある)から確認取得することができる。上記ilvC
断片の供給源となる微生物は、コリネ型細菌であれば特
に限定されるものではないが、一般的には、ブレビバク
テリウム・フラバムMJ−233(FERM BP−1
497)およびその由来株が有利に使用される。
【0008】これらの供給源微生物からilvC断片を
調製するための基本的操作の一例を述べれは次のとおり
である。すなわちilvC断片は、上記コリネ型細菌、
例えばブレビバクテリウム・フラバム(Breviba
cterium flavum)MJ−233(FER
M BP−1497)株の染色体上に存在し、この染色
体を適当な制限酵素で切断することにより生ずる切断断
片の中から以下に述べる方法で分離、取得することがで
きる。
【0009】先ず、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233株の培養物から染色体DNAを抽出する。この
染色体DNAを適当な制限酵素、例えばBglII及びE
coRIを用いて染色体DNAを完全に分解する。得ら
れるDNA断片を平滑末端処理後、大腸菌における発現
ベクター、例えばpKK233−3(ファルマシア社
製)に挿入し、このベクターを用いてアセトヒドロキシ
酸イソメロレダクターゼ構造遺伝子が欠損したイソロイ
シン及びバリン要求性大腸菌変異株エシェリヒア・コリ
Escherichia coli)ME8315
〔国立遺伝学研究所、遺伝実験生物保存研究センター;
〒411、静岡県三島市谷田1111番地〕を形質転換
し、選択培地に塗抹することにより、形質転換株を取得
する。得られる形質転換株よりプラスミドDNAを抽出
し、制限酵素で解析することにより挿入されたブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233株染色体由来のil
vC断片を確認・取得することができる。
【0010】かくして得られるilvC断片をさらに適
当な制限酵素を用いて切断し、得られるDNA断片を大
腸菌で複製可能なベクタープラスミドに挿入し、このベ
クタープラスミドを通常用いられる形質転換法、例え
ば、塩化カルシウム法、電気パルス法等による形質転換
により前記イソロイシン及びバリン要求性大腸菌変異株
に導入し、選択培地に塗抹する。
【0011】得られる形質転換体よりプラスミドDNA
を抽出し制限酵素で解析することにより、挿入されたブ
レビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色体由来
のilvC断片を確認・取得することができる。このよ
うにして得られるilvC断片の一つは、上記ブレビバ
クテリウム・フラバムMJ−233株の染色体DNAを
制限酵素EcoRIの完全分解により切り出し、さらに
それを制限酵素BglIIで切断することによって得られ
る大きさが約2.1kbのDNA断片を挙げることがで
きる。
【0012】この約2.1kbのアセトヒドロキシ酸イ
ソメロレダクターゼをコードする構造遺伝子を含むDN
A断片を、各種の制限酵素で切断したときの認識部位数
及び切断断片の大きさを下記表1に示す。
【0013】
【表1】 表 1 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) PvuII 1 1.55 0.55 SalI 2 0.95 0.65 0.5 EcoRV 1 1.1 1.0 StuI 1 1.8 0.3 DraI 1 1.4 0.7
【0014】なお、本明細書において、制限酵素による
「認識部位数」は、DNA断片又はプラスミドを制限酵
素の存在下で完全分解し、それらの分解物はそれ自体既
知の方法に従い1%アガロースゲル電気泳動および5%
ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離可能な断
片の数から決定した値を採用した。
【0015】また、「切断断片の大きさ」及びプラスミ
ドの大きさは、アガロースゲル電気泳動を用いる場合に
は、エシェリヒア・コリのラムダファージ(λ pha
ge)のDNAを制限酵素HindIII で切断して得ら
れる分子量既知のDNA断片の同一アガロースゲル上で
の泳動距離で描かれる標準線に基づき、また、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動を用いる場合には、エシェリヒ
ア・コリのファイ・エックス174ファージ(φx17
4 phage)のDNAを制限酵素Hae IIIで切断
して得られる分子量既知のDNA断片の同一ポリアクリ
ルアミドゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基づ
き、切断DNA断片又はプラスミドの各DNA断片の大
きさを算出する。プラスミドの大きさは、切断断片それ
ぞれの大きさを加算して求める。なお、各DNA断片の
大きさの決定において、1kb以上の断片の大きさにつ
いては、1%アガロースゲル電気泳動によって得られる
結果を採用し、約0.1kbから1kb未満の断片の大
きさについては4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
よって得られる結果を採用した。
【0016】一方、上記したブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233の染色体DNAを制限酵素Eco
I、BglIIによって切断することにより得られる大き
さが約2.1kbのDNA断片(ilvC断片)につい
ては、その塩基配列をプラスミドpUC118及び/ま
たはpUC119 (宝酒造製)を用いるジデオキシヌク
レオチド酵素法(dideoxy,chain,ter
mination法,Sanger,F.et.a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,74,p5463,1977)により決定すること
ができる。このようにして決定した約2.1kbのDN
A断片の塩基配列中に338個のアミノ酸をコードする
1014塩基対より成るオープンリーディングフレーム
が存在し(特願平5−68153号明細書参照)、該オ
ープンリーディングフレームの上流部分がプロモーター
機能を有すると考えられた。
【0017】次に、該オープンリーディングフレームの
上流部分のプロモーター機能を有すると考えられるDN
A領域の上流および下流の配列に相当する適当な塩基配
列、例えば後記配列表の配列番号:2および配列番号:
3に示される塩基配列を化学合成し、これをプライマー
DNAとして用いて、プロモーター機能を有すると考え
られるDNA領域を増幅することができる。プライマー
DNAの合成は、例えばアプライド・バイオシステムズ
社製DNA合成機394型を用いて合成でき、DNA領
域の増幅は、例えばDNAサーマルサイクラー408型
(宝酒造社製)を用いてNature,324,p16
3(1986年)に記載の方法により行うことができ
る。
【0018】かくして得られる増幅DNAをコリネ型細
菌内で自律増殖可能なプロモーター検出用ベクターに組
み込むことによって該増幅DNAのプロモーター機能を
確認することができる。「コリネ型細菌内で自律増殖可
能なプロモーター検出用ベクター」としては、例えば、
コリネ型細菌内で自律増殖可能なDNA断片(a)と、
プロモーターが欠失している発現されるべきタンパク質
をコードする構造遺伝子を含むDNA断片(b)(以下
これを「発現されるべき遺伝子」と略称することがあ
る)とを保有するプラスミドであれば特に制限はない。
このプラスミド検出用ベクターの具体例としては、コリ
ネ型細菌内で自律増殖可能なDNA断片(a)としてブ
レビバクテリウム・スタチオニス(Brevibact
erium stationis)IFO12144
(FERM BP−2515)由来のプラスミドpBY
503を制限酵素KpnIで切り出すことによって得ら
れる約6kbのDNA断片およびプロモーターが欠失し
ている発現されるべきタンパク質をコードする構造遺伝
子を含むDNA断片(b)としてエシェリヒア・コリの
トランポゾンTn9由来のクロラムフェニコール耐性遺
伝子であるクロラムフェニコールアセチルトランスフェ
ラーゼ(CAT)をコードする構造遺伝子を保有するプ
ラスミドpPR3(特開平3−147792号明細書参
照)を挙げることができる。
【0019】次に、上記プラスミド検出用ベクターを用
いてプロモーター機能を有するDNA断片の検出法を述
べる。先ず、上記プラスミド検出用ベクターを、それ自
体既知の通常用いられる形質転換法、例えば電気パルス
法〔Agricultural and Biolog
ical chemistry,54,443,(19
90)参照〕等でコリネ型細菌、例えばブレビバクテリ
ウム・フラバムMJ−233(FERM BP−149
7)へ導入し、形質転換株を適当な培地で培養し、プロ
モーターが欠失している発現されるべき遺伝子(b)が
発現しないことを確認しておく。ここで、プロモーター
が欠失している発現されるべき遺伝子(b)の発現の有
無および発現強度の測定は、該遺伝子(b)が薬剤耐性
遺伝子である場合はその薬剤を含有する選択培地で培養
し、形質転換株の薬剤感受性を調べることで容易に行う
ことができる。また発現の有無および発現強度は、形質
転換株を通常用いられる培地で培養し、培地中の発現さ
れるべき遺伝子(b)の発現産物を、該遺伝子の発現産
物の性質を利用して調べることもできる。
【0020】なお、プラスミド検出用ベクターの宿主コ
リネ型細菌への導入に際して、ブレビバクテリウムMJ
−233由来菌株を宿主として用いる場合には、本菌株
が保有するプラスミドpBY502(特開昭63−36
787号明細書参照)の存在により形質転換が困難にな
る場合があるので、そのような場合には、本菌株より上
記プラスミドpBY502を除去することが望ましい。
そのようなプラスミドを除去する方法としては、例え
ば、継代培養を繰り返すことにより自然に失わすことも
可能であるし、人為的に除去することも可能である「B
act.Rev.,36、361〜405 (1972)
参照」。
【0021】次に、発現されるべき遺伝子(b)がコリ
ネ型細菌内で発現していないことが確認できたプラスミ
ド検出用ベクター、例えばpPR3の発現されるべきC
AT遺伝子の上流部位を適当な制限酵素、例えばBam
HIで解裂し、該部位に前記ilvC断片由来の増幅D
NAをDNAリガーゼ処理により連絡し、コリネ型細菌
へ電気パルス法等により導入する。得られる形質転換株
を培養し、前記した発現されるべき遺伝子(b)の確認
法により、形質転換株の該遺伝子の発現の有無及び強度
を調べることにより、挿入されたDNA断片のプロモー
ター機能を確認することができる。
【0022】かくして得られる本発明のプロモーター機
能を有するDNA断片としては、後記配列表の配列番
号:1に示される179塩基対より成るDNAを挙げる
ことができる。上記した後記配列表の配列番号:1に示
される塩基配列を包含して成る本発明のプロモーター機
能を有するDNA断片は、天然のコリネ型細菌染色体D
NAから分離されたilvC断片に由来するもののみな
らず、通常用いられるDNA合成機、例えばアプライド
・バイオシステムズ社製394型を用いて合成されたも
のであってもよい。
【0023】また、前記の如くブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233の染色体DNAから増幅して得られ
る本発明のDNA断片は、プロモーター機能を実質的に
損なうことがない限り、塩基配列の一部の塩基が他の塩
基と置換されていてもよく又は削除されていてもよく、
或いは新たに塩基が挿入されていてもよく、さらに塩基
配列の一部が転位されているものであってもよく、これ
らの誘導体のいずれもが、本発明のプロモーター機能を
有するDNA断片に包含されるものである。
【0024】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明するが、下記の実施例は本発明について具体的認識を
得る一助としてのみ挙げたものであり、これによって本
発明の範囲は何ら限定されるものではない。
【0025】実施例1ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233由来のコリ
ネ型細菌内でプロモーター機能を有するDNA及びアセ
トヒドロキシ酸イソメロレダクターゼをコードする構造
遺伝子を含むDNA断片(ilvC断片)のクローン化 (A)ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233の全
DNAの抽出 半合成培地A培地〔組成:尿素2g,(HN4 2 SO
4 7g、K2 HPO40.5g、KH2 PO4 0.5
g、MgSO4 0.5g、FeSO4 ・7H2 O6m
g、MnSO4 4〜6H2 O 6mg、酵母エキス2.
5g、カザミノ酸5g、ビオチン200μg、塩酸チア
ミン200μg、グルコース20g、蒸留水1リット
ル〕1リットルに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233 (FERM BP−1497)を対数増殖期後
期まで培養し、菌体を集めた。得られた菌体を10mg
/mlの濃度にリゾチームを含む10mM NaCl−
20mMトリス緩衝液(pH8.0)−1mM EDT
A−2Na溶液15mlに懸濁した。次にプロテナーゼ
Kを、最終濃度が100μg/mlになるように添加
し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナト
リウムを最終濃度が0.5%になるように添加し、50
℃で6時間保温して溶菌した。この溶菌液に、等量のフ
ェノール/クロロホルム溶液を添加し、室温で10分間
ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×
g、20分間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、
酢酸ナトリウムを0.3Mとなるように添加した後、2
倍量のエタノールをゆっくりと加えた。水層とエタノー
ル層の間に存在するDNAをガラス棒でまきとり、70
%エタノールで洗浄した後、風乾した。得られたDNA
に10mMトリス緩衝液(pH7.5)−1mM ED
TA・2Na溶液5mlを加え、4℃で一晩静置し、以
下の実験に用いた。
【0026】(B)組換え体の創製 上記(A)項で得たブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233の全DNA溶液の90μlを制限酵素Eco
I及びBglII 50unitsを用い、37℃で1時
間反応させ完全分解した。このEcoRI及びBglII
分解DNAに平滑末端処理後、クローニングベクターp
KK223−3(ファルマシア社製)を制限酵素Eco
RIで切断し平滑末端処理したものを混合し、50mM
トリス緩衝液(pH7.6)、10mMジチオスレイト
ール、1mM ATP、10mMMgCl2 及びT4D
NAリガーゼ1unitの各成分を添加し(各成分の濃
度は最終濃度である)、4℃で15時間反応させ、結合
させた。
【0027】 (C)ilvC断片を含むプラスミドの選択 上記遺伝子(ilvC)の選択は、前記大腸菌変異株エ
シェリヒア・コリME8315を用いて行った。上記
(B)項で得られたプラスミド混液を用い、塩化カルシ
ウム法(Journal of Molecular
Biology,53,159,1970)により前記
エシェリヒア・コリME8315を形質転換し、アンピ
シリン50mgを含む選択培地〔K2 HPO4 7g、K
2 PO4 2g、(NH4 2 SO 4 1g、MgSO4
・7H2 O 0.1g、グルコース20g、ロイシン2
0mg、チアミン1mg及び寒天16gを蒸留水1リッ
トルに溶解〕に塗抹した。
【0028】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、アガロースゲル電気泳動を
用いて調べたところ、プラスミドpKK223−3の長
さ4.6kbのDNA断片に加え、長さ約2.1kbの
挿入DNA断片が認められた。長さ約2.1kbのDN
A断片を各種の制限で切断したときの認識部位数および
切断断片の大きさは前記表1に示したとおりであった。
このDNA断片の制限酵素切断点地図を図1に示す。
【0029】また、上記で得たプラスミドを各種制限酵
素で切断して認識部位数および切断断片の大きさを測定
した。その結果を下記の表2に示す。
【0030】
【表2】 表2 プラスミドpKK223−IR 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) SalI 4 4.05、1.2、0.95、0.5 PvuII 2 4.2、 2.5 EcoRV 1 6.7 上記の制限酵素により特徴づけられるプラスミドをpK
K223−IRと命名した。
【0031】以上によりアセトヒドロキシ酸イソメロレ
ダクターゼをコードする遺伝子を含む大きさが約2.1
kbのDNA断片(BglII−EcoRI断片)を得る
ことができた。
【0032】実施例2コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するDNA及び
アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼをコードする
構造遺伝子の塩基配列の決定 実施例1の(C)項で得られたアセトヒドロキシ酸イソ
メロレダクターゼをコードする構造遺伝子を含む長さ約
2.1kbのDNA断片について、その塩基配列をプラ
スミドpUC118及びpUC119を用いるジデオキ
シヌクレオチド酵素法(dideoxy chain
termination法)(Sahger,F.et
al.,Proc.Nat.Acad.Sci.US
A 74,5463,1977)により図2に示した戦
略図に従って決定した。
【0033】その塩基配列中のオープンリーディングフ
レームの存在から、アセトヒドロキシ酸イソメロレダク
ターゼをコードする構造遺伝子は、338個のアミノ酸
をコードする1014の塩基対より構成され、該オープ
ンリーディングフレームの上流にプロモーター機能を有
すると考えられる配列番号:1に示される179塩基対
よりなる配列が存在した。
【0034】実施例3コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するDNA断片
の単離 (A)DNA領域の増幅に使用するプライマーの合成 実施例2において決定したアセトヒドロキシ酸イソメロ
レダクターゼをコードする構造遺伝子の上流の179b
pの配列に基づいて、該DNA領域のみをPCR法によ
り特異的に増幅するために下記のプライマーを合成した
(アンダーライン部分は制限酵素BamHI部位)。 5’−CCGGATCCACAGCAATTAATCT
GATTGC−3’(配列番号:2) 5’−CCGGATCCGGGAGAAAATCTCG
CCTTTC−3’(相補鎖;配列番号:3) プライマーの合成は、アプライド・バイオシステムズ社
製394型DNA合成機を用いて行った。
【0035】 (B)プロモーター機能を有するDNA領域の増幅 反応液〔50mM KCl、10mM Tris・HC
l(pH8.8)、1.5mM MgCl2 、100μ
g/ml gelatin、200μM dNTPs、
250pmol primers〕に2.5units
のTaqポリメラーゼ1ngのDNAを添加し、ディネ
ーチャー94℃1分間、アニーリング37℃2分間、ポ
リメイゼーション72℃3分間の反応を25回繰り返す
ことにより、DNAを増幅させた。増幅DNAの確認は
4%アガロースゲルにより179bpのDNAを視認す
ることにより行った。
【0036】実施例4プロモーター機能を有するDNAのプラスミドpPR3
への導入 特開平3−147792号明細書の記載に基づいて調製
したプラスミドpPR3 0.5μgに制限酵素Bam
HI(5units)を37℃で1時間反応させ、プラ
スミドDNAを完全分解した。実施例3で調製したプロ
モーター機能を有するDNAとプラスミドDNA Ba
HI分解物を混合し、制限酵素を不活性化するために
65℃で10分間加熱処理をした後、該失活溶液中の成
分が最終濃度として各々50mMトリス緩衝液pH7.
6、10mM MgCl2 、1.0mMジチオスレイト
ール、1mM ATP及びT4DNAリガーゼ1uni
tsになるように各成分を強化し、16℃で15時間保
温した。この溶液を用いてエシェリヒア・コリHB10
1コンピテントセル(宝酒造製)を形質転換した。
【0037】形質転換株50μg/ml(最終濃度)の
カナマイシンを含むL培地(トリプトン10g、酵母エ
キス5g、NaCl 5g、純水11、pH7.2)で
37℃にて24時間培養し、生育株として得られた。こ
れらの生育株のプラスミドをアルカリ−SDS法「T.
Maniatis,E.F.Fritsch、J.Sa
mbrook;“Molecular clonin
g”(1982)90−91参照」により抽出した。
【0038】得られたプラスミドは電気パルス法によ
り、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233(FE
RM BP−1497)プラスミド除去株へ形質転換
し、アルカリ−SDS法を用いてプラスミドを抽出し
た。このプラスミドの制限酵素SalI、PvuII、
EcoRV等の制限酵素パターンによってpPR3に前
記増幅DNAが組み込まれていることを確認し、このプ
ラスミドを“pPR3−IR”と命名した。
【0039】実施例5プロモーター強度の測定 実施例4でプラスミドpPR3に挿入したプロモーター
の強度を、クロラムフェニコールアセチルトランスフェ
ラーゼ(CAT)の活性を測定することによって調べ
た。
【0040】プラスミドpPR3を保有するブレビバク
テリウム・フラバムMJ−233株とプラスミドpPR
3−IRを保有するブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233株をそれぞれ、実施例1の(A)項に記載の半
合成培地A培地にカナマイシンを50μg/mlを加え
た培地10mlの入った試験管で一晩前培養し、その培
養液を上記の培地100mlの入った三角フラスコで約
6時間培養後集菌し、CAT活性測定に用いた。CAT
活性測定は、W.V.Shawらの方法「J.Bact
eriolgy Jan.(1968)28−36参
照」により行った。その結果、pPR3−IRを有する
MJ−233株は、プロモーターの挿入されていないp
PR3を有するMJ−233株の約10倍のCAT活性
を持っていた。
【0041】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:179 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:ブレビバクテリウム・フラバム 菌株名:MJ233 配列の特徴 特徴を表す記号:Promoter 存在位置:1−179 特徴を決定した方法:E 配列 ACAGCAATTA ATCTGATTGC ACCTGCTGCA TAAATGTGAC TAGTCAAACA CCGTCTAATT 60 ACATGTGTGT GGTAGAACAA TAATGTAGTT GTCTGCCCAA CCGAGTGACA CTCCCACGAT 120 TTACAGTGGG GGCAGACATC TTTTCACCAA AATTTTTACG AAAGGCGAGA TTTTCTCCC 179
【0042】配列番号:2 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CCGGATCCAC AGCAATTAAT CTGATTGC
【0043】配列番号:3 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CCGGATCCGG GAGAAAATCTC GCCTTTC
【図面の簡単な説明】
【図1】コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するD
NAおよびアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼを
コードする構造遺伝子を含む大きさが約2.1kbのD
NA断片の制限酵素切断点地図。
【図2】コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するD
NAおよびアセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼを
コードする構造遺伝子を含む大きさが約2.1kbのD
NA断片の塩基配列決定のための戦略図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:13) (72)発明者 湯川 英明 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱油化株式会社筑波総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コリネ型細菌内のアセトヒドロキシ酸イ
    ソメロレダクターゼをコードする遺伝子に由来するコリ
    ネ型細菌内でプロモーター機能を有する下記の塩基配
    列: ACAGCAATTA ATCTGATTGC ACCTGCTGCA TAAATGTGAC TAGTCAAACA CCGTCTAATT 60 ACATGTGTGT GGTAGAACAA TAATGTAGTT GTCTGCCCAA CCGAGTGACA CTCCCACGAT 120 TTACAGTGGG GGCAGACATC TTTTCACCAA AATTTTTACG AAAGGCGAGA TTTTCTCCC 179 を含むDNA断片。
JP5200707A 1993-08-12 1993-08-12 コリネ型細菌内でプロモーター機能を有するdna断片 Pending JPH0787977A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010500884A (ja) * 2006-08-18 2010-01-14 ネステク ソシエテ アノニム ビフィドバクテリウム属菌における遺伝子再構築(GeneticRemodeling)
JP2022547466A (ja) * 2019-09-02 2022-11-14 シージェイ チェイルジェダング コーポレイション 新規なプロモーター及びそれを用いた標的物質生産方法

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