JPH07871B2 - 皮革様シ−ト状物の表面仕上法 - Google Patents

皮革様シ−ト状物の表面仕上法

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JPH07871B2
JPH07871B2 JP61183869A JP18386986A JPH07871B2 JP H07871 B2 JPH07871 B2 JP H07871B2 JP 61183869 A JP61183869 A JP 61183869A JP 18386986 A JP18386986 A JP 18386986A JP H07871 B2 JPH07871 B2 JP H07871B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はシート状物、とりわけ皮革様シート状物の表面
を異色感を強調した面に仕上げる方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕 従来、シート状物として、例えば皮革様シート状物の表
面に着色層を付与する方法として、着色剤を含む組成液
をスプレー法あるいはグラビヤ印刷法でシート状物の表
面に塗布することが行われてきた。更に、皮革様シート
状物の表面を良好な着色仕上面とする方法として、特開
昭55-22071号公報には着色材組成液をスプレー法で点状
に塗布する、特公昭47-18424号公報および特公昭48-280
42号公報には易染性ポリマーを表面に塗布して染色す
る、特公昭59-33715号公報および特開昭59-228088号公
報には表面に凹凸模様を付与した後、凹部または凸部に
重合体溶液または分散液を塗布して仕上げるなどの方法
を提案した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来のシート状物表面に凹凸による立体感に加えて、色
差感あるいは異色感を付与した立体感を出すには、従来
の表面仕上法を単に組み合わせたものでは良好な仕上面
とすることはできない。特に異色感を強調しようとすれ
ば彫刻ロールを用いてグラビヤ印刷法による多色刷りを
行う必要があるが、シート状物の表面構成重合体やその
表示構造によつて多色刷りが制限されたり、実質上でき
ない場合も生ずる。更にグラビヤ印刷法では模様が画一
的になり、自然な変化を付与することもできない。
本発明は、従来の表面仕上法では達成できない凹凸によ
る立体感に加えて、色差感あるいは異色感を付与した立
体感を有し、更に視覚的柔軟性および重厚感を付与した
表面仕上げを行うことにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、少なくとも基体の表面が顔料を含有する弾性
ポリマーを主体とする重合体の多孔質または非多孔質で
なるシート状物に着色仕上げを行うに際し、重合体表面
に易染性ポリマーまたは易染性ポリマーを含む弾性ポリ
マーを主体とする重合体を塗布して易染性重合体層を形
成し、該表面に凹凸模様の形押しを行つた後、凸部を
バフィングして易染性重合体の少なくとも一部を除去
し、次いで染色し、乾燥するあるいは染色し、乾燥し
た後、表面に凹凸模様の形押しを行い、次いで凸部をバ
フィングして易染性重合体の少なくとも一部を除去す
る、の何れかの工程によつて表面の凹部と凸部で色調に
差異を付与し、次いで仕上げることを特徴とする皮革様
シート状物の表面仕上法である。
すなわち、本発明は繊維集合体または弾性ポリマーを主
体とする重合体を含有した繊維集合体の一面に、弾性ポ
リマーを主体とする重合体の多孔質被覆層または非多孔
質被覆層を付与してなるシート状物あるいは弾性ポリマ
ーを主体とする重合体の単一多孔質層でなるシート状物
など、表面が弾性ポリマーを主体とする重合体でなるシ
ート状物を基体とし、該基体シート状物の表面にあらか
じめ顔料を含む弾性ポリマーを主体とする重合体を塗布
した表面、または基体シート状物表面が顔料により着色
されている場合には基体シート状物表面に直接、易染性
ポリマーまたは易染性ポリマーを含む弾性ポリマーを主
体とする重合体の溶液または分散液をグラビヤ法、スプ
レー法あるいはナイフコート法などの方法で塗布し、乾
燥して非多孔質層を形成する。塗布量は固形分で0.3〜5
0g/m2、好ましくは1〜30g/m2の量である。塗布量が少
ないと着色効果がなくなるが、塗布量が多くなると染色
後の易染性ポリマーが硬めになり耐屈曲疲労性、風合
い、折れしわ形態などが悪くなるばかりでなく、凸部の
易染性ポリマー層をバフィングにより十分に除去するこ
とが困難となり、凹部と凸部の色差感、濃度感が出なく
なる。また易染性ポリマーは所望する染料に対する平衡
染着量が少なくとも30mg/g、好ましくは50mg/gであり、
かつシート状物の構成材料と同一条件で染色した場合
に、シート状物の構成材料の染料吸着量D1と易染性ポリ
マーの染料吸着量D2との関係が3D1≦D2を満足すること
が異色感を付与するのに好ましい。
すなわち、本発明の方法により得られる皮革様シート状
物は、凸部は主として顔料着色された表面であるため透
明感を有さないのに対して、凹部は染料着色された易染
性ポリマー層であるため透明感を有したものとなる。ま
た、易染性ポリマー層の厚みは約50μm以下(密度はほ
ぼ1g/cm3)であるため、凹部では染料による着色層を通
して下部の顔料着色層がやや透けて見え、しかも凸部の
易染性ポリマー層をバフィングにより除去することによ
り、凸部の周辺では易染性ポリマー層の厚みが連続的に
変化するため、凸部と凹部の色の違いに明瞭な境界線は
なく連続的に変化して見える。凸部と凹部は単なる色の
違いのみではなく透明感の違いによる影響と相俟って、
独特の色差感あるいは異色感による立体感とともに視覚
的柔軟性と重厚感を有するものとなる。凹部を顔料着色
層、凸部を染料着色層とした場合には、視覚的柔軟性と
重厚感は得られない。
本発明で使用する易染性ポリマーは所望する染料に易染
性であればよく、例えば、金属錯塩染料を使用する場
合、易染性ポリマーとしてソフトセグメントにポリエチ
レンオキサイド鎖を有するポリウレタンエラストマー、
ポリビニルピロリドン、N−メトキシメチル化ナイロン
などが用いられる。また分散染料では第3級窒素原子を
分子内に多く含むポリウレタンエラストマー、ポリカー
ボネート系ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエ
ラストマーなどが用いられる。また易染性ポリマーと混
合して用いる弾性ポリマーは、例えばソフトセグメント
にポリエステル、ポリエーテルあるいはラクトン開環重
合したポリラクトンなどを用いたポリウレタンエラスト
マー、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル共
重合体などが用いられる。
シート状物の表面に易染性重合体層を形成した後、所望
の凹凸模様を形押しする。凹凸模様は皮革の表面模様、
任意の模様、幾何学模様に彫刻した金属ロール、金属
板、金属ベルトを用い、通常皮革様シート状物の模様付
けに使用している加熱エンボス法が適用できる。形押し
による凹凸の深さは、凸部をバフイングして易染性重合
体層の少なくとも一部を除去するうえから30μm以上、
好ましくは50μm以上である。深さが30μmに満たない
場合には凸部だけ易染性重合体を除去することが難し
く、立体感、異色感を付与し、強調することができなく
なる。
また、易染性重合体層を形成したシート状物の染色方法
および染色条件はシート状物の形状、構成材料、染料の
部属によつて通常実施の方法および条件で選定する。例
えば、ジツガー染色機、ウインス染色機、サーキユラー
染色機などを用いて、常圧染色あるいは高圧染色で染色
する。また構成材料および所望する色調によつて染料の
種類および染料濃度を決定する。染色したシート状物は
ソーピングし、乾燥することによつて、表面着色したも
のとなる。
次に、凸部表面のバフイングはメツシユの細かい、好ま
しくは#240番以上のメツシユの細かいサンドペーパー
またはエメリーペーパーを用いる。または布帛を用いて
凹凸模様を付与した表面の凸部をバフイングして易染性
重合体の少なくとも一部を除去する。
更に、凸部表面をバフイングして易染性重合体の少なく
とも一部を除去した面はそのままでもよいが、光沢む
ら、表面強さむらなどを生ずるのを防ぐための仕上げ処
理を行うことが好ましい。表面仕上げは、例えば重合体
溶液あるいは分散液を塗布する。塗布する重合体はポリ
ウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポ
リアクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル共重合
体、ポリカーボネートなどから選ばれた少なくとも1種
の重合体である。該重合体には易染性重合体層の着色を
阻害しない範囲で染料または/および顔料を添加しても
よい。添加量は重合体に対して0.1〜15.0重量%、好ま
しくは0.3〜12.0重量%の着色剤を添加して得た着色重
合体組成液である。表面に塗布する塗布量は固形分で0.
5〜15g/m2、好ましくは1〜10g/m2の量である。また重
合体液を塗布する方法としては刻目を有するグラビヤロ
ールを用いることが好ましい。
本発明で表面着色したシート状物は、更に仕上げのため
に、鏡面仕上げを施した金属面または梨地模様の微細な
凹凸面仕上げを施した金属面を有する加熱ロールまたは
加熱ベルト面にシート状物の表面凸部を接触させて凸部
の頭を少し平滑化すると共に、光沢を出したりまたは光
沢を少なくしたりして仕上げる方法。あるいは光沢調整
重合体組成液を表面凸部の頭部に塗布して光沢を調整し
て仕上げる方法を付加することも好ましい。
〔実施例〕
次に、本発明の実施態様を実施例で説明する。なお実施
例中の部および%はことわりのない限り重量に関するも
のである。
実施例1 ポリエチレンテレフタレート極細繊維束繊維の絡合不織
布にポリエチレンアジペートグリコール、4,4′−ジフ
エニルメタンジイソシアネートおよびエチレングリコー
ルを反応させて得たポリエステル系ポリウレタンが多孔
質構造で含有している繊維質シートの一面に、ポリウレ
タンに対して3%の茶色系顔料を添加した着色組成液を
ロールコート法で2回塗布して下塗り層を形成し、次い
で易染性重合体としてポリオキシエチレン系ポリウレタ
ン溶液をロールコート法で固形分で約12g/m2の量を塗布
した後、乾燥し、皮絞模様のエンボスロール(平均深さ
150μm)を用い、温度155℃で加熱エンボスを行つて表
面に皮絞凹凸模様を付与した(凹部の平均深さ約85μ
m)。
次に、シート状物の表面凸部を#400サンドペーパーで
バフイングし、易染性重合体の大部分を除去した後、黄
色系1:2型金属錯塩染料2.5%owf濃度の水浴でジツガー
染色機による染色を95℃で60分間行い、ソーピングし、
水洗して乾燥した。染色したシート状物の表面は凹部が
金茶色、凸部が黄味がかつた茶色の二色感のある面であ
つた。
更に、表面の光沢調節のために、鏡面仕上げの加熱カレ
ンダー面に表面凸部を接触させ、凸部を少し平らにする
と共に光沢を付与した。得られたシート状物は天然皮革
の皮絞模様と同様に落付いた色調で、凹部は透明感のあ
る表面着色層を通して下部の茶色系顔料の色がわずかに
透けて見えることにより深みのある色調であり、立体感
の強調された視覚的重厚感のあるものであり、靴あるい
は鞄用原反として適したものであつた。
比較のために、上記シート状物の易染性重合体除去のバ
フイングを行わないで染色・仕上げを行つたものは凹部
も凸部も同じ色調と透明感を有しており、色調と質感に
よる立体感は得られなかつた。
実施例2 ナイロン−6極細繊維束繊維の絡合不織布に、ポリエチ
レンアジペートグリコール、4,4′−ジフエニルメタン
ジイソシアネートおよびエチレングリコールを反応させ
て得たポリエステル系ポリウレタンが多孔質構造で含有
してなる表面平滑化した厚さ1.0mmの繊維質シート状物
の一面に、ポリウレタンに対して1%の茶色系顔料を添
加したベージユ色のポリエーテル系ポリウレタン水分散
液(固形分濃度15%)を固形分で10g/m2の量をロールコ
ーテイング法で塗布し、乾燥して得た基体を用い、基体
の表面にポリエチレンオキサイド/1,6−ヘキサンジオー
ルポリカーボネートグリコール、イソホロンジイソシア
ネートおよびイソホロンジアミン/ヒドラジンを反応し
て得た易染性ポリウレタンエラストマー(金属錯塩染料
に対する平衡染着量295mg/g)を、イソプロピルアルコ
ール/セロソルブ/トルエンの混合溶剤組成液に溶解し
たポリウレタンエラストマー10%溶液を用い、ポリウレ
タン量で5g/m2の量をグラビアロール法で塗布して易染
性重合体層を形成した後、このシート状物は、ウインス
染色機を用い、茶色系金属錯塩染料イルガランブラウン
(チバ・ガイギー社製)5%owf、助剤レベランNK−D
(丸菱油化社製)2g/l、浴比1:50、温度90℃、染色時間
60分の条件で染色し、次いで温水でソーピングして乾燥
した。
次いで、染色したシート状物の表面に皮絞模様のエンボ
スロール(凹部の平均深さ150μm)を用い、ロール温
度170℃、シリンダー空気圧力10kg/cm2で加熱形押しを
行い、表面に皮絞凹凸模様を付与した(凹部の平均深さ
90μm)。しかる後、表面凹部を#400サンドペーパー
でバフイングして易染性重合体の大部分を除去した。
しかる後、上記易染性ポリウレタンエラストマーの10%
溶液を、ポリウレタン量で約2g/m2の量を200メツシユの
グラビアロールで塗布し、光沢を付与した表面とした。
得られたシート状物の表面は凹部が透明感の高い明るい
茶色であり、凸部がやや濃いめのベージユ色である同系
色による異色感を付与した表面であると共に立体感が強
調されたものであつた。
更に、シート状物の表面凸部を鏡面仕上げの加熱カレン
ダー面に接触させて、凸部の頭部を少し平らにすると共
に光沢を付与した後、柔軟剤処理、揉み処理して仕上げ
た。得られたシート状物は天然皮革の皮絞模様と同様に
落付いた色調で立体感の強調された視覚的重厚感のある
ものであり、靴用原反あるいは鞄用原反として適したも
のであつた。
比較のために、表面凸部のバフイングを行わずに上記と
同じ仕上げ処理を行つて得たシート状物は視覚的重厚感
および立体感のないものであつた。
〔発明の効果〕
本発明の表面仕上法で得られるシート状物は、エンボス
による凹凸模様に加え、凹部と凸部で色調による差異を
付与することができ、さらに凹部では下部の顔料着色層
の色調が透明着色層の色調に影響することにより、凹部
と凸部で質感と色調の深み感の差異をも付与することが
できるため、異色感と共に立体感が強調された表面仕上
面となり、視覚的重厚感を容易に付与することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも基体の表面が顔料を含有する弾
    性ポリマーを主体とする重合体の多孔質または非多孔質
    でなるシート状物に着色仕上げを行うに際し、重合体表
    面に易染性ポリマーまたは易染性ポリマーを含む弾性ポ
    リマーを主体とする重合体を塗布して易染性重合体層を
    形成し、該表面に凹凸模様の形押しを行った後、凸部
    をバフィングして易染性重合体の少なくとも一部を除去
    し、次いで染色し、乾燥する、あるいは染色し、乾燥
    した後、表面に凹凸模様の形押しを行い、次いで凸部を
    バフィングして易染性重合体の少なくとも一部を除去す
    る、の何れかの工程によって表面の凹部と凸部で色調に
    差異を付与し、次いで仕上げることを特徴とする皮革様
    シート状物の表面仕上法。
  2. 【請求項2】易染性ポリマーの平衡染着量が少なくとも
    30mg/gである特許請求の範囲第1項記載の皮革様シート
    状物の表面仕上法。
  3. 【請求項3】仕上げが表面凸部を加熱した平滑金属面に
    接触させて凸部の頭部を平らにする処理を行う特許請求
    の範囲第1項または第2項記載の皮革様シート状物の表
    面仕上法。
  4. 【請求項4】仕上が表面に光沢調整重合体組成液を塗布
    して光沢を調整する特許請求の範囲第1〜3項記載のい
    ずれかの皮革様シート状物の表面仕上法。
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