JP3548766B2 - 銀付ヌバック調皮革様シート物及びその製造方法 - Google Patents

銀付ヌバック調皮革様シート物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、靴、衣料、袋物、家具、車輌用などの用途に適した皮革様シート物に関し、更に詳しくはシート表面が主として銀面層を有する凸部と極細繊維立毛を有する凹部とからなり、谷マット調で、ライティング効果と山谷の独特の色彩を特徴とするソフトな銀付ヌバック調皮革様シート物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、繊維質と高分子弾性体とからなる皮革様シート物としては、大別して、繊維質基材に高分子弾性体を含有して成る基材表面を、サンドペーパーなどにより研磨し立毛させたスェード、またはヌバック調、基材表面に縦穴多孔に成形した高分子弾性体の最表面を研削して孔を開口させた樹脂立毛のヌバック調、そして一面に高分子弾性体を付与して仕上げをした銀付調が知られている。そして、天然皮革の持つ独特の高品位な触感と外観及び機能に少しでも近ずけようと、または従来に無い特徴を付与しようとする提案が種々なされてきた。
【0003】
例えば、特公昭63−61435号公報では極細繊維立毛及び高分子弾性重合体立毛の混合立毛層より成る基材表面にシボ模様を有する新構造シート物が、特公平6−33577号公報では基材表面に弾性重合体を処理した後、必要によりエンボシングを行いバフィングし、面積収縮を付与し、折れしぼを発生させる銀摺調皮革状物の製造方法が提案されている。また、特公平7−871号公報では基体表面に易染性重合体層を形成した後、該表面に凹凸模様の形押しを行い、しかる後に凸部をバフィングする表面仕上法が、特開平6−158556号公報では繊維質基材に球状微粉体含有の重合体を処理し、エンボス加工を行い起毛処理を施すことによるヌバック調シート材が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法ではシート物の凸部が立毛しており、高級外観として好まれる山艶調のシート物は得られない。たとえ熱ロールプレスなどを行い照かりを発生させても、外部摩擦により直ちに寝た立毛が再び起きて照かりは消滅してしまうか、さもなければ立毛が死んでライティング効果が出なくなってしまうという問題が発生する。また、弾性重合体を処理した後にエンボス加工しバフィングすると、凹部にエンボスで加圧された弾性重合体の銀面の一部が残り、谷艶調の品位の不十分な外観となってしまう。
【0005】
また、特開平3−161577号公報では繊維シート表面に熱プレスで凹凸を形成した後に高分子弾性体を含浸、凝固させ、表面を立毛させるスェード調立毛シート状物の製造方法が提案されている。しかし、この方法は高分子弾性体を付与する前に凹凸模様を形成させるため、シート表面の繊維が凹凸形成時に突っ張り、緩慢な凹凸の大柄模様は可能であっても、めりはりのある凹凸模様や山羊、カンガルー柄などの高級外観に相応しい微細な小柄模様を形成させることは極めて困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はシート物表面の凸部に、品位ある山艶感または色彩を有し、凹部はマット調で、しかもライティング効果を有する、従来に無い高級感のある立毛を持った新規な皮革様シート物を提供することにあり、また、大柄はもちろん高級外観に相応しい微細な小柄模様の形成も可能な上記皮革様シート物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、銀面層を有する凸部と極細繊維立毛を有する凹部とが混在する銀付ヌバック調皮革様シート物において、凸部銀面層は0.2デニール以下の極細立毛繊維が弾性重合体(B)により固定された複合層であり、該シートの全表面積の5〜80%を占め、かつ凸部銀面の大部分が面積0.05〜20mmの非連続層となるような銀面層を形成し、一方凹部には0.2デニール以下で立毛長60〜200μmの極細繊維立毛が存在する銀付ヌバック調皮革様シート状物によって達成され、またこのシート状物を作る具体的な方法として、本発明によれば、表面の平均単繊度が0.2デニール以下の極細繊維を主体とする絡合繊維質基材と弾性重合体(A)から成るシート物の表面を予め起毛処理し、表面に極細繊維の立毛を形成させた後、エンボス加工を施し凹凸を形成させ、次に該シート物表面それぞれの凸部に弾性重合体(B)の溶液または分散液を塗布し、塗布する面積がシート物の全表面積の5〜80%であり、かつ凸部塗布面の大部分が面積0.05〜20mmの非連続層となるような銀面層を形成させ、次いで該シート物凹部の少なくとも一部の極細繊維を立毛させることを特徴とする銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法が提供される。
【0008】
本発明で使用する絡合繊維質基材とは、不織布、織物、編み物等の表面平均単繊度が0.2デニール以下の極細繊維を主体とするシート物であり、特に不織布である場合が最終製品の質感が高く望ましい。構成する極細繊維の素材としては、通常のシート物に用いられるもので、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。極細繊維としては従来公知の製造方法、例えば直接紡糸法、メルトブロー法から得られるもの、或いはブレンド紡糸法等による海島型複合繊維の海成分を溶出または分解することによって得られるものが使用できる。
【0009】
本発明の弾性重合体(A)とは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレア、スチレンブタジエンエラストマー、アクリロニトリルブタジエンエラストマー等が挙げられるが、好ましくはポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレアエラストマー等のポリウレタン系エラストマーである。これらは水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液として前記絡合繊維質基材に含浸、凝固される。なお、ソフトな風合いを得るためには、極細繊維のまわりに糊剤等をあらかじめコーティングした状態で、また、海島型複合繊維などであれば極細化する前に弾性重合体を含浸、凝固させた後、糊剤や海成分を除去して、繊維を極細化させることが有効である。
【0010】
本発明においては、弾性重合体(A)が含有された上記絡合繊維質基材を予め起毛処理し、極細繊維による立毛表面を形成させる必要がある。起毛処理はサンドペーパーやブラシ、砥石などを用いて常法により行うことができる。通常、天然皮革のような極細繊維立毛によるヌバック感を得ようとすると、繊維を逆立たせて起きた状態にしたときの弾性重合体含有基材表面からの立毛高さ(立毛長と呼ぶ)が40μm以上300μm以下の非常に短い表面状態にしなければならない。この立毛長は、好ましくは60μm以上200μm以下である。300μmを超えると均質で品位あるヌバック感を得ることが出来ない。立毛長をコントロールする方法としては、例えばサンドペーパーの目の粗さを変えたり、基材に予め変性シリコンなどの滑剤を処理することによって行うことができる。
【0011】
天然皮革のようなヌバック感を得ようとすると、一般には立毛長が100μm以下の非常に短い状態にまで加工しなければならず、短く均質に立毛するのが困難である。しかし、本発明においては、凹部から立毛を発現させることにより40〜300μmまでの立毛長によって全体としてヌバック感を得ることが可能となった。
【0012】
このようにして作成した極細繊維立毛の絡合繊維質基材の表面にエンボス加工により凹凸を形成させる。エンボスの柄は大柄から小柄まで通常使用しているものであれば使用可能である。エンボス加工では立毛繊維の大部分を基材表面に寝かせるか、あるいは一部弾性重合体中に埋もれさせることによって、基材表面を密な状態にする。よって、この時点ではライティング効果は殆ど得られない。基材表面を密な状態にすることは、次工程での銀面層の形成を容易にするため必要となる。凹凸形成の程度は、主にエンボスの温度、ラインスピード、絡合繊維質基材に含有する弾性重合体(A)の性質によって決まるが、エンボス温度が低すぎると凹凸の耐久性が極端に悪化し、立体感の無いものになり、一方エンボス温度が高すぎると立毛繊維が強固に弾性重合体中に埋め込まれるため、後工程の作用によってもライティング効果が復元しなくなるので注意が必要である。
【0013】
次に、凹凸が形成された該絡合繊維質基材のそれぞれの凸部に弾性重合体(B)の溶液または分散液を塗布し、銀面層を形成させる。塗布する基材は、あらかじめ染料や顔料などで着色されていてもよい。塗布する方法としては、特に、基材表面の凹部にまで弾性重合体(B)の溶液または分散液が、塗布または浸透しないような方法であることが必須である。この点から、グラビアメッシュロールなどで一定間隙をつけて塗布する方法が望ましい。塗布する面積は、基材の全表面積の5%〜80%であり、好ましくは10%〜50%の範囲内である。5%より小さいと凸部銀面から得られる意匠性が乏しいものになるばかりか、表面に露出する繊維量が多く、目的とするヌバック感が得られない。また、80%を超えるとヌバック調としてのライティング効果が得られず、また、表面が突っ張った硬い風合いになってしまう。また、凸部塗布面の大部分が面積0.05〜20mm、好ましくは0.1〜10mm以上の非連続層となるような銀面層を形成させる必要がある。凸部塗布面積が0.05mm未満では、銀面としての性質、艶感や耐摩耗性が不十分となってしまう。また、20mmを超えるとライティング効果が薄れたりしわの入り方が品位のないものになってしまう。なお、本発明で言う面積とは、基材表面の法線方向への投影面積を言う。
【0014】
塗布する弾性重合体(B)は、それ自体従来公知のものはすべて使用可能であるが、繊維の風合いや変色などを考慮にいれ、例えば1,6−ヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネートから合成されたポリウレタン、あるいはイソホロンジイソシアネートなどの脂環族系ジイソシアネートから合成されたポリウレタン系エラストマーが好ましい。また、後工程で染色を行う場合には、ジオール成分にポリエチレングリコールなどの染色性向上成分を共重合したポリウレタンを用いると、凸部銀面の発色性が高まり、高級な外観表現を行う上で有用である。なお、顔料などの着色剤、撥水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加することもできる。
【0015】
本発明では、前記工程によって形成させた弾性重合体(B)によるシート表面の凸部の銀面層は実質的に立毛させず、シート表面の凹部にある極細繊維の少なくとも一部を立毛させなければならない。凹部はエンボス加工によって大部分の極細繊維が強固に寝ており、ライティング効果が得られないか、あっても十分でない状態となっている。よって、該シート凹部に、極細繊維が再び立毛してライティング効果を得るに十分な応力、例えば屈曲、剪断、伸長応力等を与える必要がある。その方法としては、基材表面に高圧流体を吹きつけて立毛させる方法、基材の幅方向の線上に屈曲させて長さ方向へ連続的に処理することによって立毛させる方法、タンブラー揉みなどの揉み加工を応用する方法、または、液流染色などで発生する流体や基材同士の摩擦、屈曲を利用する方法が挙げられ、本発明の目的を達成することができる。なお、本発明では凸部銀面層は、実質的に研削されない。よって、スェード調あるいはヌバック調の極細繊維立毛を形成させるときの通常の起毛処理、例えばサンドペーパーや砥石などを使用する方法では、凸部銀面層が優先的に研磨されて起毛するため、本発明の目的の使用には適さない。
【0016】
【作用】
本発明の方法では、あらかじめ起毛処理した表面の平均単繊度が0.2デニール以下の極細繊維を主体とする絡合繊維質基材と弾性重合体(A)から成るシート物の表面に、エンボス加工を施し凹凸を形成させるため、大柄から小柄まで任意のエンボス模様に適用できる。また、該シート物表面の凸部に弾性重合体(B)の溶液または分散液を塗布し、塗布する面積がシート物の全表面積の5〜80%であり、かつ凸部塗布面の大部分が面積0.05〜20mmの非連続層となるような銀面層を形成させるので、銀面としての性質、耐摩耗性を十分に持たせる事が可能であり、しかもシート物全面が樹脂表面では無いため、凹部極細繊維層を中心にシート物が屈曲し、風合いが通常の銀付調シート物に較べ非常にソフトである。また、凸部を実質的に研削すること無く、凹部の極細繊維を立毛させるため、きめ細かいライティング効果が得られ、ヌバック調としての性格を発現でき、しかも凸部の銀面層は、艶感や色合い等を自由に設定でき、凹部は極細繊維立毛の谷マット調外観が得られるため、独特の品位ある皮革様シート物を得ることができる。
【0017】
【実施例】
以下実施例により更に詳しく説明する。なお、実施例中の部及び%は重量部及び重量%を意味する。
【0018】
実施例1
島成分がナイロン6、50部と海成分が低密度ポリエチレン50部からなる単糸7.0デニール、繊維長51mmのブレンド紡糸繊維を使い、ニードルパンチングによって絡合繊維質基材を得た。この絡合繊維質基材にポリエステル、エーテル系ポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液(濃度16%)を含浸し、10%のジメチルホルムアミド水溶液中に浸漬して凝固させた。ついで80℃のトルエン中でこの基材をディップ、ニップを繰り返し処理してポリエチレンを溶解除去して繊維を極細化した。得られた極細繊維の平均単繊度は0.0033デニールであった(シート物A)。このシート物の表面に400メッシュのサンドペーパーで起毛処理を行い立毛長60μmの極細繊維による立毛表面を形成させた(シート物B)。
【0019】
次にカンガルー柄のエンボスロールを使い、温度170℃でエンボス加工し、表面に凹凸を形成させ、厚み1.2mmのシート物を得た。このシート物の表面にグラビア塗布機(110メッシュ、間隙0.8mm)で易染性のポリウレタンNE8876・28H(大日精化工業(株)製)の溶液(濃度10%)を塗布し、乾燥することを4回繰り返した。得られたシート物は凸部の一つ一つに面積0.1〜0.7mmの銀面層を有し、塗布された銀面の全面積は、シート表面積の20%であった。なお、シート物の凹部は極細繊維立毛が寝て固定された状態になっているため、ライティング効果は殆ど見られなかった。
【0020】
次にこのシート物をサーキュラー型の液流染色機によって茶色の含金酸性染料で染色し、130℃で乾燥した後、タンブラー揉み機で十分揉み処理を行い、シート物表面に剪断応力を与えて凹部の寝かされた極細繊維を立毛させた。できたシート物の表面は、凸部が濃色に染まり、適度な艶感を持ち、凹部はマット調の極細繊維立毛面を有しており、ライティング効果が有り、通気性、透湿性の優れる高級なシート物であり、各種靴、鞄用途に適するものであった。
【0021】
更に、このシート状物の表面側を厚さ0.5mmにスライスし、スライス面を400メッシュのサンドペーパーで研磨し、フッ素系撥水剤で撥水処理を施し、スキー手袋を作成した。できたスキー手袋はライティング効果による自然なムラ感が有り、外観、風合い、機能的に非常に優れたものであった。
【0022】
実施例2
島成分がカーボン粒子6%を含むナイロン6を50部と海成分が低密度ポリエチレン50部からなるブレンド紡糸繊維から得た絡合繊維質基材にポリエステル、エーテル系ポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液(濃度14%)を含浸し、10%のジメチルホルムアミド水溶液中に浸漬して凝固させた。次いで80℃のトルエン中でこの基材をディップ、ニップを繰り返し処理してポリエチレンを溶解除去して繊維を極細化した。得られた極細繊維の平均単繊度は0.0027デニールであった。このシート物の表面に240メッシュのサンドペーパーで起毛処理を行い立毛長180μmの極細繊維による立毛表面を形成させた。
【0023】
このシート物をウィンス染色機によって黒色の染料で染色し、乾燥した。次いでシープ柄のエンボスロールで温度170℃でエンボス加工し、厚み1.25mmのシート物を得た。このシート物の表面にグラビア塗布機(110メッシュ、間隙0.85mm)で、黒の顔料の入ったポリウレタンNE8855・20N(大日精化工業(株)製)の8%溶液を3ロール、艶調整剤の入ったカーボネート、シリコン系のポリウレタンNY324の8%溶液を2ロール塗布した。得られたシート物は、凸部の一つ一つに面積0.5〜1.5mmの銀面層を有し、塗布された銀面の全面積は、シート表面積の40%であった。
【0024】
次に、このシート物に高圧液流を吹きつけると同時に屈曲を与えて凹部の極細繊維をほぐし、引き続きタンブラー揉み機で揉み処理を行った。できたシート物はライティング効果を持ち、通気性、透湿性が優れ、また、谷部の黒みが強く、落ちついた品位と質感を持ったシート物であり、各種靴、鞄用途に適するものであった。
【0025】
実施例3
実施例1において、シート物Aの表面に240メッシュのサンドペーパーで起毛処理を行い、立毛長180μmの極細繊維による立毛表面を形成させ、穴柄のエンボスロールを使い表面に凹凸を形成させること、及びグラビア塗布間隙を0.7mmとする以外は、実施例1と同様の工程を経てシート物を得た。このシート物の凸部には面積1mm以上の銀面層を有し、塗布された銀面の全面積は、シート表面積の70%であった。できたシート物はライティング効果による適度なムラ感と山艶谷マット調の品位あるシート物で靴用途に適するものであった。
【0026】
比較例1
実施例1においてシート物Bの表面にポリウレタン溶液のグラビア塗布を先に行い、次いでエンボス加工を行った。このままではライティング効果が得られないので表面をサンドペーパーでバフィングした後、染色工程から同様の処理を行った。できたシート物は表面の凸部のバフィング面積及び極細繊維立毛長の調整が非常に難しく、締まりのない立毛面に成るばかりか、凹凸の立体感に乏しく、凹部が照かり気味で品位の無い物であった。
【0027】
比較例2
実施例1において、ナイロン6と低密度ポリエチレンから成る12分割の相互配列形複合繊維(単糸5.3デニール、ポリエチレン抽出後0.44デニール)を使用する以外は、実施例1と同様の工程でシート物を得た。得られたシート物はきめ細かいライティング効果が得られず、また、凸部の繊維が反発して弾性重合体がムラなく塗布できず、不十分な銀面層しか得ることができなかった。
【0028】
比較例3
実施例1において、シート物Aの表面に180メッシュのサンドペーパーで起毛処理を行い、立毛長230μmの極細繊維による立毛表面を形成させる以外は、実施例1と同様の工程でシート物を得た。得られたシート物にはライティング効果が得られるが、表面が荒れ気味で、目的とするヌバック調としての品位ある外観は得られなかった。
【0029】
比較例4
実施例2において、顔料入りポリウレタン溶液をグラビア塗布する際、間隙を1.1mmとし、塗布面積がシート表面積の4%とする以外は、実施例1と同様の工程でシート物を得た。得られたシート物はヌバック調と言うよりは、むしろスェード調の外観であり、凸部銀面の多くが面積0.05mm未満で、銀面の耐久性の乏しいものであった。
【0030】
比較例5
実施例2において、顔料入りポリウレタン溶液をグラビア塗布する際、間隙を0.5mmとし、塗布面積がシート表面積の85%とする以外は、実施例1と同様の工程でシート物を得た。得られたシート物はライティング効果が殆ど得られず、風合いの硬い表面の突っ張ったものであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の銀付ヌバック調シート物は、銀付調の性格とヌバック調の性格を共に有するものであり、本発明の効果は以下のようにまとめられる。
(1)シート物表面の凹部に極細繊維立毛を有しているため、きめ細かいヌバックライクなライティング効果が得られ、通気、透湿性に優れる。
(2)主に凸部にだけ弾性重合体が塗布され銀面層を形成しており、全面樹脂表面で無いため、風合いがソフトである。
(3)凸部の銀面層は、艶感や色合いを自由に設定することができ、また、凹部は極細繊維立毛の谷マット調外観が得られるため、独特の品位あるシート物が得られる。
(4)大柄から小柄まで任意のエンボス模様に適用できる。
(5)凸部銀面層に、ぬめり剤を付与するなど、使用目的に応じて更なる付加価値を容易に与えることができる。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮革様シート物の断面図をモデル的に示したものである。
【符号の説明】
A;凸部銀面層
B;凹部極細繊維層

Claims (7)

  1. 表面に銀面層を有する凸部と極細繊維立毛を有する凹部とが混在する銀付ヌバック調皮革様シート物において、凸部銀面層は0.2デニール以下の極細立毛繊維が弾性重合体(B)により固定された複合層であり、該シートの全表面積の5〜80%を占め、かつ凸部銀面の大部分が面積0.05〜20mmの非連続層となるような銀面層を形成し、一方凹部には0.2デニール以下で立毛長60〜200μmの極細繊維立毛が存在する銀付ヌバック調皮革様シート物。
  2. 表面の平均単繊度が0.2デニール以下の極細繊維を主体とする絡合繊維質基材と弾性重合体(A)から成るシート物の表面を予め起毛処理し、表面に極細繊維の立毛を形成させた後、エンボス加工を施し凹凸を形成させ、次に該シート物表面のそれぞれの凸部に弾性重合体(B)の溶液または分散液を塗布し、塗布する面積がシート物の全表面積の5〜80%であり、かつ凸部塗布面の大部分が面積0.05〜20mmの非連続層となるような銀面層を形成させ、次いで該シート物凹部の少なくとも一部の極細繊維を立毛させることを特徴とする銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法。
  3. 極細立毛繊維が1×10−4〜5×10−2デニールである特許請求の範囲第2項記載の銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法。
  4. 塗布する弾性重合体(B)がシート物を構成する極細繊維よりも発色性の高い易染性弾性重合体である特許請求の範囲第2項記載の銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法。
  5. 該シート物凹部の少なくとも一部の極細繊維を高圧液流を吹きつけることによって立毛させる特許請求の範囲第2項〜第4項のいずれか記載の銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法。
  6. 該シート物凹部の少なくとも一部の極細繊維を揉布処理によって立毛させる特許請求の範囲第2項〜第4項のいずれか記載の銀付ヌバック調皮革様シート物の製造方法。
  7. 該シート物凹部の極細繊維の立毛長が40〜300μmである特許請求の範囲第2項〜第6項のいずれか記載の銀付ヌバック調皮革様シート状物の製造方法。
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