JP2005054323A - 模様付き生地類及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】デニム生地のデザイン性・ファッション性を向上させる。
【手段】デニム生地1をエンボス加工することにより、その表面に凸部5より成る模様を形成する。このデニム生地1を脱色液に浸漬し、次いで、デニム生地1の表面を例えばゴム手袋の指先で擦る。すると、凸部5の頂面は一様に脱色され、凸部5の周囲の部分には素材色が残る。その結果、凸部5の模様が素材色で描かれたのと同じ状態になる。凹部6のうち面積の広い部分は擦り作用を受けて脱色される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生地類及び生地類への模様類の加工方法に関するものである。
織地や編地、人工皮革のような生地の表面に、図柄や文字、商標、ロゴ、ワンポイントマーク等の様々の模様類を施すことが行われている。生地の表面に模様類を施す方法には、染めやプリントが多いが例えば全体が何らかの色に染められている有色生地や、染色された糸で織られた有色生地については、染めやプリントで模様類を施すことはできない。
また、デニム生地よりなるズボン(ジーパン)やジャンパー(ジージャン)、ベストのようないわゆるジーンズ製品においては、表面の一部を白っぽく擦り切り処理したものが好まれており、擦り切れ状態を現出する方法として、ストーンウォッシュ法やサンドブラスト法が採用されている。
また、雄型又は雌型若しくは雌雄対の型で布地類を加熱しつつ押圧することにより、布地類に立体的模様を加工すること(エンボス加工すること)が行われている。
そして、特許文献1には、雄型(凸型)と雌型(凹型)とでデニム生地を加熱下で挟圧することにより、デニム生地の表面に立体的な凸部模様(エンボス模様)を形成し、次いで、凸部模様の表面を研磨具で削り取ることが記載されている。この方法では、デニム生地の表面のうち凸部模様の頂面部分の形状だけが擦り切れた白い形態となって現れる。
また、特許文献2(特開平9−250078号公報)や特許文献3(特開昭52−121592号公報)には、金型を使用して生地にエンボス加工を施すにおいて、熱転写を利用することにより、エンボス加工と同時に彩色することが記載されている。
特開2003−171865号公報 特開平9−250078号公報 特開昭52−121592号公報
特許文献1の技術は、生地の表面部を削り取ることによって模様類を表すものであるため、生地の強度が必然的に低下するのみならず、精細な図柄は表現し難いという問題である。また、模様類は白っぽく毛羽立った状態に現れるに過ぎないため、高いデザイン性を確保し難いという点も問題である。
他方、特許文献1や特許文献2の技術は、染められていない生地類にしか使用できず、デニム生地のように素材色を有する生地には適用できないため、素材色を活かしたデザインは表現できないという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑み成されたもので、耐久性に優れると共にファッション性・デザイン性に富み、更に様々の用途に展開できる生地類を提供することを課題とするものである。
本願発明は生地類とその加工方法とを含んでいる。このうち生地類の発明は、原反のような中間品の形態又は衣服等の製品の形態を成しておりかつ表面には模様類が施されている。そして、特徴として、前記模様類が、生地の表面に染色等によって施されている素材色を脱色処理することによって形成されている。
この場合、脱色によって模様類を形成する基本態様として、素材色を模様類の状態に脱色して、素材色によって模様類の輪郭を形成する態様と、模様類を除いた部分を脱色して、素材色によって模様類を形成する態様との2つの態様がある。また、脱色箇所の全体をそのままにしておく態様と、脱色箇所の一部又は全部に彩色を施す態様とがある。
生地の表面を凹凸加工する(エンボス加工する)ことによって模様を形成すると立体感があり、デザイン性・ファッション性が高い。請求項2の発明は、エンボス加工によって表面に模様類が形成されている生地において、その特徴を利用している。
すなわち請求項2の発明では、凸部の頂面は略満遍なく脱色されている一方、凹部のうち凸部の周縁部は非脱色部になっており、この非脱色部によって凸部の輪郭が形成されており、更に、凹部のうち形状が複雑に入り組んだ部分は脱色されないか脱色の程度が低くて、凹部のうち面積の広い部分は凸部の頂面と同様に強く脱色されており、前記脱色箇所は脱色したままであるか又は少なくとも一部が着色処理されている。
本願発明において「満遍なく脱色」「略満遍なく脱色」とは、例えば凸部の頂面の面積の大部分に脱色処理が施されているという面的広がりを意味しており、必ずしも全体にわたって完全に脱色されていることを意味するものではない(そのような態様も含んでいるが)。従って、例えば凸部の頂面の全体に脱色処理が施されているものの、場所によって脱色の程度がまちまちで斑状になっているような態様も含んでいる。また、多少の脱色残しが存在しても良い。
加工方法の発明は、請求項3に記載したように、雌型又は雄型若しくは雌雄対の型を用いて生地を型押しすることにより(すなわちエンボス加工することにより)、生地の表面に凸部模様又は凹部模様を形成し、次いで、前記生地を脱色液に浸漬した状態又は脱色液で濡らした状態でその表面を擦って、素材色を凸部模様又は凹部模様の状態に脱色することを特徴としている。
生地をエンボス加工する方法として、請求項4の発明では、生地を、模様類が形成されている金型等の型にて、ウレタンゴムのような弾性体より成るベース板に強く押圧することにより、生地に凹凸よりなる模様を形成している。
本願発明の生地は、請求項6に記載したように、脱色処理することなく消費者の手元にわたる製品も含まれている。すなわちこの製品としての生地は、その表面のうちの少なくとも一部に、当該表面に凹凸加工を施すことによって模様類が形成されており、脱色液への浸漬や洗濯等による脱色加工で少なくとも凸部の頂面を脱色すると模様類が明瞭に現れるようになっている。
なお、本願発明でいう「生地」には、原反のように製品化する前の素材としての中間品と、衣服のように裁断・縫製されて製品化されたものとの両方を含んでいる。従って、本願発明の加工方法には、消費者に販売される前の段階で加工する場合と、模様類が付されていない製品を購入した消費者から委託を受けて模様類のみを加工する場合との両方を含んでいる。
また、本願発明において「凹凸」とは、模様類が主として凸部として表現されている態様と、模様類が凹部として表現されている態様と、凹凸が渾然一体となって模様類を表現している態様とのいずれをも含むものである。
本願発明では、生地の素材色(地色)を脱色して模様類を表すものであるため、繊維を傷付けることはない。このため高い耐久性を確保できる。また、削り加工に比べて精細に加工できるため、精細な模様類を表現することができ、その結果、高いデザイン性・ファッション性を確保することができる。
また、脱色箇所に様々の色彩を付与することができるため、カラフルな模様類を現出することができ、この面でも、高いデザイン性・ファッション性を確保することができる。なお、本願発明において着色には、艶出し加工や蛍光剤塗布加工なども含んでいる。
さて、特許文献1のように単に生地を摺り切り処理したに過ぎない場合は、擦り切り処理は嗜好的に限られるため服や簡易バッグ類にしか適用できず、このため用途が限られる。
これに対して本願発明の生地は高いデザイン性・ファッション性を確保できるため、衣類のみでなく様々の用途に使用できる。例えば、ハンドバッグ類、帽子類、壁飾り(壁掛け)、アクセサリー類、間仕切パネル用の表皮材、椅子やソファーの表皮材、ベッドカバー、化粧壁材、緞帳等の様々の用途に適用することができる。
特許文献1において擦り切れ箇所に彩色することは理論的には可能であるが、擦り切れ箇所は毛羽立っているため彩色しても風合いはさほど良くないと考えられる。これに対して本願発明では、生地の脱色箇所は染められていない生地の表面と同じ状態であるため、彩色しても人に違和感を与えることはなく、この面からも、カラフルな模様類を表ひことが可能となって商品価値を格段に向上させることができる。
ところで、本願発明において、生地に脱色によって模様類を形成する方法としては、例えば、模様がくり抜かれたマスクを生地に当てた状態で脱色液に浸漬する方法や、非模様箇所に脱色阻止剤を塗布しておいてから脱色液に浸漬し、それから脱色阻止剤を除去するという方法も採用できる。
他方、請求項3のようにエンボス加工と擦り作用とを利用して脱色処理すると、立体的な模様類とすることができてデザイン性・ファッション性により優れている。また、例えば図1や図2から容易に理解できるように、凸部模様の周囲の箇所で脱色作用が不均一になることにより、一種のボカシのような作用が発揮されており、この点からもより高い立体感を得ることができる。その結果、高いデザイン性を確保できる。
生地にエンボス加工を施す方法としては、雌型と雄型とで生地類を挟圧する方法も採用できるが、この場合、挟圧条件によっては生地が千切れる虞がある。これに対して請求項4のように雄型又は雌型で生地を弾性体性のベースに押圧する方法を採用すると、生地の千切れを確実に帽子できる利点である。
本願発明で使用する型の素材は金属には限らず(すなわち金型を使用することには限らず)、合成樹脂製の型や木製の型、或いは陶器製の型やセメント製の型など様々の素材の型を使用できる。単一素材でなく複合素材を使用することも可能である。
請求項6のように構成すると、消費者が洗濯や着用、或いは薬剤の使用によって生地を脱色処理できるため、消費者が自分の好みに応じたデザインとすることができ、その結果、他人との差別化を図って自己表現の一助と成すことができる利点である。
次に、本発明の具体的形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態(図1〜図3)
図1は、第1実施形態に係るデニム生地1の平面図であり、表面に、花(バラ)の図柄と蝶の図柄とが凸部模様として表現されている。図1には、模様の精細さを理解せしめる目安として、目盛りを並記している。
図2は図1の部分拡大図であり、この場合も目盛りを並記している。デニム生地1は、表面層と裏地層との複層構造になっており、表面層はブルー等の色に染められた糸を使用している。図2では、参考までに、縦糸2と横糸3の並び方向を模式的に並記している。
デニム生地1の表面には、縦糸2と横糸3との絡みにより、ごく低い高さの多数の波群が細かいピッチで並列状に並んだ形態の波目模様が生じる。図2では、波の延び方向を符合4で示している。この符合4から分かるように、波目の延び方向は縦糸2及び緯糸3の両方に対して傾斜している。
既述のとおり、模様類はエンボス加工によって凸部模様として表現されている。すなわち、デニム生地1の表面には凸部5と凹部6とが存在しており、凸部5が模様になっている。そして、凸部5の頂面の全体を完全に又は大きく脱色する一方、凹部6のうち頂面の周囲の箇所は素材色のままか又は脱色の程度を低くすることにより、模様類を浮き上がった状態に形成している。
なお、図1及び図2において、符号6はその表示を明瞭ならしめるため白抜き四角形の中に表している(白い四角は模様ではない)。
デニム生地1における凹部6のうち凸部5の周縁の部分は、全く又は殆ど脱色されていない。すなわち素材色が残っている。このように素材色が脱色されずに残ることにより、凸部5から模様類が現されている。
デニム生地1における凹部6のうち広く広がる部分は強く脱色されており、いわば海峡や狭い湾のように狭くなっている部分は全く又は殆ど脱色されていない。つまり、凹部6はその全体に素材色が均質に残っている訳ではなく、完全に脱色された部分や殆ど脱色されていない部分など、脱色の程度に違いが生じている。その結果、凹部6では脱色の程度の違いが濃淡となって現れている。この点は本願発明の特徴の1つである。
そして、凹部6の形状の複雑さは凸部5の形状の複雑さと表裏を成すもので、凸部5の形状が複雑になると凹部6の形状も複雑で入り込んだ状態になる。そして、デニム生地1の表面では、凹凸の平面形状が複雑な部分ほど、色の濃淡が鮮明に現れる。
また、既述のとおり、デニム生地1の表面にはその全体に細かい波目が存在しているため、凸部5においても凹部6においても、脱色箇所には波の谷の部分の素材色が僅かながら筋目として残っている。このように、脱色箇所に薄い筋目の群が平行に延びていることにより、デニム生地1のもつ風合いが強調されて、より高いファッション性を得る効果が発揮されている。
図3のうち分図(A)は図2のA−A視線の箇所における凹凸を模式的に示す断面図であり、分図(B)は、図2のB−B視線の箇所における凹凸を模式的に示す断面図である。
また、図3のうち分図(A′)は、(A)の箇所における素材色の脱色の程度を示し、分図(B′)は、(B)の箇所における素材色の脱色の程度を示している。分図(A′)(B′)において、Hのラインは高い脱色率を示し、Lのラインは低い脱色率を示している(なお、既述のとおり脱色部ではデニム生地の波目に起因した筋目が淡い素材色として残っているが、図3ではこの点は捨象している)。
この図3から理解できるように、凹部6のうち凸部5の周囲に位置する部分(山麓に譬えられる部分)は非脱色部となり、また、凹部6であっても形状が入り組んでいる部分(海峡や湾に譬えられる部分)は非脱色部になっている。このように、凸部模様の周囲に帯状の非脱色部が存在することにより、模様類は浮き上がった状態に表現されて、高い美的効果が発揮される。
なお、脱色部と非脱色部との境界はクリアーに表われている部分もあるし、淡く変化している部分もある(このように淡く変化している部分は、図3の(A′)(B′)では傾斜線として現れる)。このような脱色の程度の不均一性によってボカシのような効果が発揮されており、本願発明はこの面でも優れた美感を呈している。
第2実施形態(図4〜図7)
次に、上記したデニム生地1の加工方法である第2実施形態を図4〜図7に基づいて説明する。本実施形態では、デニム生地1に立体的な模様類を形成するために、谷部に相当する部分を突設した雄型(凸型)7と、ベース板8とを備えた型押し装置(エンボス加工装置)が使用される。ベース板8はウレタンゴムのような硬質ゴムから成っており、テーブル9に固定されている。
そして、図4に示すように、未加工のデニム生地1を、その表面が雄型7と重なるように配置してから、図5に示すように、雄型7でデニム生地1をベース板8に高い圧力で押圧しつつ加熱することにより、デニム生地1に凸部模様を形成する。デニム生地1の加熱手段としては、雄型7を加熱したり、高周波加熱を利用したり、高圧蒸気を噴霧したりするなど、様々の方法を採用できる。
デニム生地1に凹凸の模様類を形成してから、図6に示すようにデニム生地1を脱色液10に浸漬し、受け台11に載せたデニム生地1の表面を適度の圧力で満遍なく擦る。これにより、デニム生地1の素材色を部分的に脱色させる。脱色液10としては例えば塩素溶液を使用できる。なお、脱色液10は槽に入れられている。擦り工程は、デニム生地1を脱色液10から引き上げて、テーブルに載せた状態で行うことも可能である。
この脱色工程で注意すべきは、凸部5の頂面箇所や凹部6のうちの広い部分に強い擦り力が作用するように、いわば上っ面を撫でるように擦ることである。凸部5の頂面箇所や凹部6のうちの広い部分に強い擦り力を作用させる方法の例を図7で示している(なお、図7ではデニム生地の凹凸は省略している)。
このうち(A)に示す方法は人手を利用したもので、作業者がゴム手袋(或いはビニル手袋)12を装着して、ゴム手袋12の指先をデニム生地1の表面に軽く当てて、デニム生地1を撫でるようにして面方向に満遍なく動かす。
この方法において、ゴム手袋12の指先は撓み変形可能でありながら凹部6の狭い凹みには入り込まない程度の弾性であるため、ゴム手袋12の指先はデニム生地1の表面のうち凸部5の頂面箇所と凹部6の広い面積の部分だけに集中的に当たる一方、凹部6のうち凸部5の麓の部分や狭く入りくんだ部分には当たらない。その結果、図1及び図2のような模様が表出される。
図7(B)に示す例ではブラシ12を使用している。すなわち、ブラシ13を人手又は機械によって水平方向に往復移動させながら、デニム生地の表面を擦っていく。このようにブラシ13を使用する場合、デニム生地1にあまり強く当てないことが重要である。
図7(C)に示す例では、ゴムや樹脂のような若干の弾性を備えたパッド14を使用している。パッド14は人手で操作しても良いし、機械的に動かしても良い。第1実施形態の模様のように凹部6も脱色する場合は、パッド14は、凹部6のうちの広い部分にも当たり得るような面積に設定する必要がある(例えば直径2〜4cm程度)。
図7(d)に示す例では、水平旋回式のブラシ15を使用している。このブラシ15は機械的に回転させつつ水平動させることになる。この場合も、ブラシ15の毛が凹部6の狭い部分に深く入り込まないように設定することが必要である。
第3実施形態(図8)
図8に示す第3実施形態では、生地1の表面に凹凸模様を形成するエンボス加工方法として、模様に相当する部分を彫り込み形成した雌型17を使用している。弾性体製のベース板8を使用する点は第1実施形態と同じである(なお、図8〜図12、図19はデニム生地に限らないので単に「生地」と表示するが、符号は第1〜第2実施形態と同様の「1」を使用している)。
第2実施形態や第3実施形態のように弾性体製のベース板8を使用して生地1に型押し(エンボス加工)を行うと、生地1を破断することなく精細な模様を形成できる利点がある。また、両者とも、凹凸は主として生地1の表面に形成され、裏面は殆どフラットな状態に形成できるため、衣服として着用した場合にゴワゴワした感じを受けない利点がある。
第4実施形態(図9)
図8に示す第4実施形態では、雄型7と雌型17とで生地1を挟圧することによって凹凸模様を形成している。生地1の破断を回避できれば、このうような方法も採用できる。
第5実施形態(図10)
図10では第5実施形態を示している。(A)は型押し工程を示す図、(B)は脱色工程を示す図である。
この実施形態では、型押し方法(エンボス加工方法)として、外周面に突起状又は彫り込み状模様を形成した金属製ロータリー型18を使用しており、このロータリー型18と受けローラ19との間に生地1の原反を通している。受けローラ19の表面は硬質ゴムのような弾性体製のベース板8で構成されている。
凹凸よりなる模様類が形成された生地1は、送りローラ群19を介して脱色槽20の内部に送られ、ここで脱色される。脱色作用は、受け台21に載せられた生地1の表面を脱色用ローラ22で擦ることによって行われる。脱色用ローラ22はブラシ式でも良いが、軟質ゴム製とするのが好ましいと言える。脱色用ローラ22を複数設けても良い。
この実施形態は、ロール状に巻いた長尺の生地1の原反に模様類を連続的に形成することができるため、大量生産に適している。
第6実施形態(図11)
上記した各実施形態では模様類はエンボス加工によって形成したが、本願発明では、エンボス加工せずに脱色にて模様を形成できる。その例を図11で第7実施形態として示している。
すなわち、この実施形態は、上面に模様類が形成された型(例えば金型)23を脱色液10に浸漬して、この型23の表面に生地1を重ね合わせて、生地1の表面を満遍なく擦るものであり、すると、生地1の表面には、型23の凸部に対応した形状の脱色部(模様)が形成される。
生地1を擦る手段としては、(A)のようにパッド24を使用しても良いし、(B)のようにローラ25を使用しても良い。この図11の方法は、版画の印刷方法と逆の着想であると言える。パッド24やローラ25等の擦り具で擦り処理するに先立って、非脱色部に擦り具が当たらないように、生地1を柔らかいゴムラーラで型23に押さえることにより、当該生地1に凹凸を形成するのが好ましい。
第7実施形態(図12)
図12では第7実施形態を示している。各分図で工程を示しており、(B)は(A)の平面図、(E)は(D)の平面図である。分図(B)(E)においてドットで表示しているのは生地1の素材色である。
この実施形態では、先ず、生地1の表面に凹凸模様をエンボス加工にて形成する。次いで、(A)に太線で表示し(B)に平行斜線で表示するように、凸部5の頂面のみに脱色阻止剤26を塗布する。次いで、(C)に模式的に示すように、例えば脱色液を表面に高圧で噴射するといった適宜の方法により、凹部6の素材色を脱色する。
それから脱色阻止剤26を除去する。これにより、凸部5の頂面箇所は素材色のままに残る。この方法では、模様類を凸部に表している場合は、模様類は素材色で表されることになり、模様類を凹部として表している場合は、模様類は脱色部で現されることになる。
第8〜第11実施形態(図13〜図16)
図13〜図16では模様類の例を示している。各例ともデニム生地1に模様類を施している。図13の第8実施形態では花弁の模様を表しており、図14の第9実施形態では花付き枝の模様を表しており、図15の第10実施形態ではワニ皮柄とハイビスカス状の花とを組み合わせた模様としており、図16の第11実施形態では麦の穂をあしらった模様としている。
これらの実施形態や第1実施形態から容易に理解できるように、本願発明によると各種の生地類に精細な模様類を形成することができ、その結果、生地類の商品価値を格段に向上できるのである。
例えば、図13において花弁の部分をピンクや赤や黄に着色したり、図16において穂先の部分を黄色く着色するというように、着色もごく簡単に行える。生地の表面の全体を着色してもよい。
いうまでもないが、着色は1色には限らず、複数の色彩を施すこともできる。また、色に濃淡を付けたり重ね塗りしたりすることもごく容易に行える。このようにしてカラフルな模様類とすることにより、商品価値をより一層向上させることができるのと共に、使用者(消費者)の生活を潤いのあるものとすることができる。
第12実施形態(図17)
図17では、模様類の他の態様例と他の加工例とを示している。この実施形態は、型を使用せずに脱色によってある種の地模様を形成したものである。(A)は第1例の加工法を示す図、(B)は第2例で加工した生地の平面図、(A)は第2例の加工法を示す図、(B)は他第2例の加工後の生地の平面図である。
第1例では、(A)に示すように、脱色液10に浸漬した生地1の表面を、比較的硬い毛のブラシ(タワシでも良い)27で一方向に擦っている。すると、(B)に示すように、生地1の表面には脱色部が多数の筋となって現れる。
第2例では、ブラシ27を水平旋回させながら移動させつつ生地1の表面を擦っており、このため、生地1の表面には複雑に交叉した多数の筋がランダムに現れて、マスクメロンの表面のような形態をなしている。これらから容易に理解できるように、本願発明における模様類とは、特定のイメージを想起する形態には限らず、あらゆる美粧表現を含んでいる。
ブラシ27の動かし方を変えることにより、様々の模様を形成できる。また、ブラシ27の移動を人手で行うと、各生地1ごとに模様の態様が微妙に異なるため、他人との差別化を求めている人の要求に応えることもできる。ブラシに代えて、パッドやゴム手袋、或いはヘラ等の他の器具で生地1の表面を擦ることが可能である。ヘラ状や棒状の器具を使用して、生地の表面に文字やキャラクターを表現することも可能である。
その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えば模様類をエンボス加工する場合は、凹凸の崩れを防止して立体性を保持する手段として、生地を糊で固めたり、生地に樹脂を含浸させたりしても良い。
また、模様となる凸部の高さや均一である必要はなく、高さの異なる凸部を形成して、クリアーに現れる模様とスカシのようにぼんやり現れる模様とを形成することも可能である。
例えば第1実施形態の場合、凹部の広い面積の部分にやや高い部分(いわば海嶺に譬えられる部分)を形成することにより、凹部にスカシ状の模様を形成することが可能であり、逆に、凹部に、海溝に譬えられるより深い溝状の部分を形成すことにより、凹部の広い面積の部分に素材色を筋状に残すこともできる。
更に、本願発明の適用対象はデニム生地には限らず、綿糸や麻等や天然繊維や化繊、混紡繊維等の各種の繊維を素材として織地又は編地、或いは人造皮革(合成皮革)のような各種の生地に適用できる。なお、生地の素材色は1色である必要はなく、複数の素材色が並列状に並んでいたり、チェック柄として構成されているなどしても良い。
第1実施形態に係る生地の平面図である。 図1の部分拡大図である。 第1実施形態において、生地の凹凸と脱色の程度との関係を示す図である。 第2実施形態の工程の一部を示す図である。 第2実施形態の工程の一部を示す図である。 第2実施形態の工程の一部を示す図である。 第2実施形態の脱色工程の例を示す図である。 第3実施形態を示す図である。 第4実施形態を示す図である。 第5実施形態を示す図である。 第6実施形態を示す図である。 第7実施形態を示す図である。 第8実施形態を示す図である。 第9実施形態を示す図である。 第10実施形態を示す図である。 第11実施形態を示す図である。 第11実施形態を示す図である。
符号の説明
1 生地
2 縦糸
3 緯糸
5 凸部
6 凹部
7 雄型
8 ベース板
10 脱色液
11 擦り具の一例としてのゴム手袋
13 擦り具の一例としてのパッド
15 雌型
18 ロータリー型

Claims (6)

  1. 原反のような中間品の形態又は衣服等の製品の形態を成しておりかつ表面には模様類が施されている生地類であって、
    前記模様類が、生地の表面に染色等によって施されている素材色を脱色処理することによって形成されていることを特徴とする、
    生地類。
  2. 生地の表面に凹凸加工を施すことにより、当該生地の表面に模様類が形成されており、
    凸部の頂面は略満遍なく脱色されている一方、凹部のうち凸部の周縁部は非脱色部になっており、この非脱色部によって凸部の輪郭が形成されており、更に、凹部のうち形状が複雑に入り組んだ部分は脱色されないか脱色の程度が低くて、凹部のうち面積の広い部分は凸部の頂面と同様に強く脱色されており、前記脱色箇所は脱色したままであるか又は少なくとも一部が着色処理されていることを特徴とする、
    請求項1に記載した生地類。
  3. 原反の形態又は衣服等の製品の形態を成すと共に表面は素材色となっている生地類の表面に模様類を加工する方法であって、
    雌型又は雄型若しくは雌雄対の型を用いて生地を型押しすることにより、生地の表面に凸部模様又は凹部模様を形成し、次いで、前記生地を脱色液に浸漬した状態又は脱色液で濡らした状態でその表面を擦って、素材色を凸部模様又は凹部模様の状態に脱色することを特徴とする、
    生地類の加工方法。
  4. 生地を、模様類が形成されている金型等の型にて、ウレタンゴムのような弾性体より成るベース板に強く押圧することにより、生地に凹凸よりなる模様を形成していることを特徴とする、
    請求項3に記載した生地類の加工方法。
  5. 素材生地を所望の状態に脱色してから、脱色箇所の全部又は一部に彩色を施していることを特徴とする、
    請求項3又は請求項4に記載した生地類の加工方法。
  6. 衣服等の製品の形態を成している生地類であって、
    その表面のうちの少なくとも一部に、当該表面に凹凸加工を施すことによって模様類が形成されており、脱色液への浸漬や洗濯等による脱色加工で少なくとも凸部の頂面を脱色すると模様類が明瞭に現れるようになっていることを特徴とする、
    生地類。
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