JP2006299446A - 布地の脱色模様形成方法及び脱色模様製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デニム布地あるいはデニム布地製品に脱色模様を形成する加工方法であって、デニム布地裏面に両面テープの一の面を貼り合わせ、両面テープの他の面を、所定の模様を彫り込んだ型板に貼り合わせ、平面部を有する摩擦部材でデニム布地表面を型板に押しつけるように擦り、その後に脱色及び水洗することを特徴とするデニム布地の脱色模様形成方法とした。
【選択図】 図1
Description
この濃紺の縦糸は糸の芯まで染められておらず、着用することや様々な加工を行うことで糸の表側の染料を剥がし、独特の着古し感を生じさせて楽しまれている。
特開2003−171865号公報には、糸の芯まで染めていないことに着目し、エンボス加工にて凸部を形成し、凸部の染料を擦り落とす技術を開示するが、染料が落ちるまで布地を擦ることになり布地をいためる問題があった。
また、特開2005−54323号公報には脱色による模様形成方法を開示するが、布地にエンボス加工するものである。
しかし、最近のデニム布地は縦横自在に伸びる生地も多くあり、エンボス加工により凹凸が形成しにくく、凸部を擦る際に生地が伸びて変形する問題もあった。
また凸部が脱色されると模様部の色が薄くなるので模様に立体感がなくなる。
そこで、本願発明者は伸びやすい生地であっても脱色模様の形成が出来て、模様部を染色の色に濃く浮き出した新しい脱色模様を検討した。
その結果、模様を彫り込んだ型板に布地がずれないように貼り合わせ、デニム布地の表面を軽く擦るだけで彫り込み以外の部分に脱色剤が浸み込み易くなることを見いだしたことにより本発明に至った。
一方、模様を彫り込んだ彫り込み部上の布地は型板との間に挟まれた状態で擦られないことから比較的削られず、繊維も乱れて荒くならない。
このことから、模様の彫り込み部と平面部に削り量と繊維の荒さ具合の差が生じて、この差が脱色剤の浸み込み易さの差、脱色性の差となり、脱色処理により模様を形成する。
布地と型板とは両面テープで貼り合わせたため摩擦部材で布地を擦っても、互いの位置がずれることは無いため、型板の模様が正確に布地に転写する。
このデニム布地製品は、デニム布地裏面に両面テープの一の面を貼り合わせ、両面テープの他の面に剥離紙を貼り付け、目安糸をステッチ縫いした脱色模様形成用布地材と、模様彫り込み型板とを、個人で加工するニーズ向けのセットにしても良い。
摩擦処理したデニム布地は、布地表面の繊維を削り、荒くした部分は薬剤が浸透しやすいため、脱色処理における脱色性の差により模様を形成出来る。
模様を形成するにあたり、従来の技術のように染料が落ちるまで布地表面を模様状に擦り削るのではなく、擦ることで脱色しやすい部位を模様状に形成し、脱色剤を用いて模様状に脱色するため、繊維をあまり傷めることなく模様を形成出来る。
また、両面テープでデニム布地と型板をずれないように貼り合わせて摩擦処理するため、例え縦横に伸びる布地であっても模様の位置ずれを生じさせることなく正確に形成することが出来る。
型板は、模様を彫り込み部で形成することで、周囲の染色を落とし、染色の色に浮き出させた、意匠性の高い模様をデニム布地に形成できる。
まず、図1(イ)に示すように染色済みのデニム布地10の、模様を形成する面10aの裏面10bに両面テープ11を貼り付ける。
デニム布地10は、デニム布地、あるいは、デニム布地を用いたジーンズ等の布製品の布地部分を用い、図ではわかりやすくするため方形で描いてある。
この布製品は脱色を行うことが出来るものであれば、商品とする布製品の他に、消費者の手持ちの布製品や、加工業者へ消費者が持ち込んだ布製品であっても良い。
両面テープ11の大きさは、少なくとも後で使用する型板の、模様とその模様周囲を覆う大きさとして、好ましくは後に出てくる摩擦工程において摩擦部材で擦る範囲を覆う大きさが良い。
この目安糸12aはある程度の太さと硬さ、そして摩擦工程における擦り易さを備えた一般的な糸で、その材質と太さは適度な摩擦量で切れることで摩擦作業の目安となる。
目安糸12aはステッチ縫い12においてデニム布地10の端で糸の端部12cを余らせている。
デニム布地10は、先ず、このように両面テープ11を貼り付けてステッチ縫い12を施した脱色模様形成用布地材20に加工する。
この脱色模様形成用布地材20は、両面テープ11のデニム布地10の反対面に、その接着面を保護する剥離紙を備えたものとしたときは、ステッチ縫い12はその剥離紙ごと縫い付けたものとして、この剥離紙は、次の型板へ布地材20を貼り付ける工程に布地材20を送る前に剥がす。
布地材20の両面テープ外側面に剥離紙を備えた場合は、後述する型板と、そして、脱色剤、摩擦部材等と組み合わせて、これを消費者が脱色模様付け装飾部材キットとして購入することで、個人的に模様の脱色加工を楽しめるようにしても良い。
その時の型板は、その形成している模様をインターネット等の通信手段で受け付けた消費者の好みの模様としたり、あるいは、例えば木材等の比較的柔らかい材料で形成して、消費者が手工具でその表面を彫り込むことで、自由に好みの模様を形成するものでも良い。
消費者の手持ちや、加工店への持ち込みのジーンズ等にこの模様の脱色加工を行う場合には、デニム布地の裏面に両面テープを貼り付け、布地と両面テープとをステッチで縫い合わせて布地材とする。
剥離紙を備えない両面テープを布地と貼り合わせた場合には、デニム布地10と両面テープ11とをステッチ縫い12で縫い合わせた布地材20を、そのまま次の型板への布地材の貼付工程へ送る。
型板30は、模様面31を模様状に彫り込んで模様32を形成している。
また、型板30は、その側面33にステッチ縫い12と同間隔にマーカー線34を備え、作業者はこのマーカー線34とステッチ縫い12の端とを位置合わせすることで、正確に布地材20と型板30とを貼り合わせることが出来る。
この摩擦は型板30の模様32の上部分を中心に行う。
この時、両面テープ11により型板30と布地材20とを貼着していることから、例えデニム布地10が縦横に伸縮性の高い布地であっても、摩擦時にデニム布地10が伸びて型板30とがずれることがない。
デニム布地10と型板30が貼着してずれないことから、デニム布地10は必ずしも上側にある必要は無く、広い平面状の摩擦部材を下側に置き、そして型板を布地材を挟んでその摩擦部材側に押しつけながら擦る摩擦形態であっても良い。
型板30に向けてデニム布地10を摩擦部材40で擦ると、デニム布地10は型板30の模様32の彫り込んでいない平面部32b上の部分ほど削られ、又繊維が荒くなるが、彫り込み部32a上の部分は削られにくく、繊維も荒くなりにくいことから、デニム布地10には型板30の模様32のに対応した摩擦度合いの差が生じる。
デニム布地10は、表面を削り、繊維を荒くした部分は、後の脱色工程で脱色剤が浸み込み易くなる。
デニム布地10は、脱色に最適となる摩擦度合いとなるまで摩擦するが、布地材20に備えている目安糸12aは、デニム布地10が脱色に最適となる摩擦度合いとなった時に切れて切断部12cを生じるようにその材質と太さを設定している。
これにより、簡単にデニム布地10の摩擦度合いを判断出来る。
この摩擦工程は、型板30に向けて布地材20を摩擦部材40で擦るだけであり、高価で大がかりな装置を全く必要としない非常に簡単な構成となっている。
そして、このように摩擦度合いの指標となる目安糸12aをステッチ縫い12で布地材20に均等に配設することで、摩擦のし過ぎによる穴あけ等の失敗を防止し、例え初めて行う人であっても簡単にデニム布地を最適の摩擦状態に出来る。
目安糸は、脱色により得られる模様の濃さ(白さ)程度毎に複数の太さを設定して、その中から好みのものを選択してステッチ縫いとすることも出来る。
型板は、布地材を貼り付けられるものであれば必ずしも平板状でなくてもよく、例えば専用型ではない身の回りの立体物を型として利用しても良い。
そして、目安糸が切れない範囲であれば、複数の型板を交換して使用しても良く、その場合には両面テープを一部、あるいは全部、型板から剥がし、そして布地材を別の型板に貼って摩擦処理する。
このように目安糸の端部12bを引くことで簡単に布地材を型板30から引き剥がせる。
そして、両面テープ11を目安糸12aとともにデニム布地10から取り外し、図1(ホ)に示すように例えばトレー51に入れて、次亜塩素酸ナトリウム等の脱色剤50をスプレー52で吹き付けたり、塗布、浸漬する等して脱色(漂白)処理する。
デニム布地10は、型板30の平面部32b上で擦られることで削り具合、繊維の荒さ具合の大きい部分の脱色はより促進される。
一方、型板30の彫り込み部32a上で擦られることで削り具合が少なく、繊維が整っている部分には脱色剤の浸透性が低いことから脱色は進まない。
これにより、布地10には彫り込み部32aの模様状に染色の色を浮き出させた模様10cが形成される。
布地10をトレー51から取り出して洗浄し、脱色模様形成加工を終了した状態を図1(ヘ)に示す。
模様10cは色の違いを表現するため、縁取って濃く描いてある。
この模様は両面テープで布地と型板のずれを防止して、ステッチの切れ具合を目安にして摩擦し最適の脱色状態としていることから、模様のコントラストが高い。
10a デニム布地の模様を形成する面
10b 布地裏面
10c 布地模様
11 両面テープ
12 ステッチ
12a 目安糸
12b 目安糸端部
12c 切断部
20 脱色模様形成用布地材
30 模様彫り込み型板
31 型板模様面
32 模様
32a 模様彫り込み部
32b 模様平面部
33 型板側面
34 マーカー
40 摩擦部材(紙やすり)
50 脱色剤
51 トレー
52 スプレー
Claims (5)
- デニム布地あるいはデニム布地製品に脱色模様を形成する加工方法であって、
デニム布地裏面に両面テープの一の面を貼り合わせ、両面テープの他の面を、所定の模様を彫り込んだ型板に貼り合わせ、
平面部を有する摩擦部材でデニム布地表面を型板に押しつけるように擦り、
その後に脱色及び水洗することを特徴とするデニム布地の脱色模様形成方法。 - デニム布地裏面に両面テープの一の面を貼り合わせ、デニム布地と両面テープとを目安糸でステッチ縫いした後に型板に貼り合わせることを特徴とする請求項1記載のデニム布地の脱色模様形成方法。
- 所定の模様を彫り込んだ型板にマーカー線を形成し、これにデニム布地のステッチ縫い目を合わせるようにしたことを特徴とする請求項2記載のデニム布地の脱色模様形成方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の脱色模様形成方法を用いて、
型板の彫り込み部に対応する部分をほとんど脱色せず、その周囲を強く脱色することで浮き出し模様にしたことを特徴とするデニム布地製品。 - デニム布地裏面に両面テープの一の面を貼り合わせ、両面テープの他の面に剥離紙を貼り付け、目安糸をステッチ縫いした脱色模様形成用布地材と、模様彫り込み型板とをセットにしたことを特徴とする脱色模様付け装飾部材キット。
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JP2005120433A JP2006299446A (ja) | 2005-04-19 | 2005-04-19 | 布地の脱色模様形成方法及び脱色模様製品 |
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- 2005-04-19 JP JP2005120433A patent/JP2006299446A/ja not_active Ceased
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