JP3391885B2 - 皮革様シート状物とその製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は靴、鞄、衣料等の用途に
適した皮革様シート状物と製造方法に関するものであ
る。より詳しくは、表面に銀面と立毛面とが混在した新
規な皮革様シート状物とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より銀面を有する皮革用シート状物
については様々な提案がなされ、多くの素材が生み出さ
れてきた。これらの多くはシボ模様の凹凸部でツヤ感、
色調に差がなく凹凸感、立体感に欠ける単調な外観であ
るため高級感のある外観の商品を生み出すための素材と
しては物足りないものであった。近年、これを改良する
試みも繰り返しなされ、数多くの提案がなされている。
まずシボ模様の凹部をマット調にし、凹凸のツヤ差をつ
くり、凸部を際だたせることで立体感を表現する試みが
特公昭59−34821号公報、特公昭59−3371
5号公報に提案されている。また、凹凸部の色調を変え
ることで異色感、立体感を生み出す試みが特開昭63−
42980号公報に提案されている。さらに、スエード
調皮革状物の立毛面に弾性重合体の溶液または分散液を
シボ模様状に塗布し、凹凸感、異色感を表現しようとす
る試みが特公平5−45717号公報、特公平3−42
358号公報に提案されている。また、表面被覆層を有
する繊維質シートに凹凸模様を付与し凸部の被覆層をバ
フィングにより除去し繊維立毛を形成させ、立毛と銀面
の混在した表面とすることが特開昭63−50580号
公報に提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、衣料用、靴用、
鞄用等に使用する銀付皮革様シート状物は、従来の凹凸
の色差、立体感に欠ける単調な外観のため低級品にしか
使用しなくなり、凹凸の色差、立体感等の高級な外観を
有するものに対する要求が高まっている。しかし、たと
えば特公昭59−34821号公報、特公昭59−33
715号公報のようにシボ模様の凹部をマット調にし凹
凸部の艶差を作る方法では、艶感の単調さはなくなるも
のの凹凸の色差までは表現できてなく、単調な外観であ
ることには変わりない。また、特開昭63−42980
号公報のように凹凸部の色調を変えるのみの方法では、
シボ模様に異色感がでて微妙な立体感、変化のある外観
は得られるが、その程度はわずかなものしか表現できな
い。あえて凹凸に際だった色差をつけると不自然な外観
となり高級感とは異なるものとなる。さらに特公平5−
45717号公報、特公平3−42358号公報のよう
にスエード調皮革状物の立毛面にシボ模様状に樹脂液を
塗布する方法、特開昭63−50580号公報のように
凸部に立毛を形成する方法では樹脂による銀面と立毛面
が混在し、変化のある興味ある外観は得られるが、これ
だけでは実質的にシボ模様に皮革様の凹凸はなく十分な
立体感は表現できず、目標とする立体感、凹凸の色差、
を有する高級な外観の皮革様シート状物は得られていな
い。本発明は、樹脂による銀面と立毛面が混在し、十分
な立体感、凹凸の色差を有する優美な外観の皮革様シー
ト状物とその製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明者等は、これらの問題点
を解決し優美な外観を有する皮革様シート状物について
鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。すなわち
本発明は、表面に凹凸模様を有する皮革様シート状物に
おいて、凸部は弾性重合体被膜により覆われており、凹
部には凸部の高さより低い繊維立毛を有していることを
特徴とする皮革様シート状物であり、また、一面に繊
維立毛を有する繊維質基体層の立毛表面に易溶解除去性
高分子溶液を塗布・乾燥する工程、該表面にエンボシ
ングにて凹凸模様を形成する工程、凸部に付着してい
る易溶解除去性高分子の一部を除去する工程、易溶解
除去性高分子を除去した凸部に弾性重合体の溶液または
分散液を塗布・乾燥する工程、易溶解除去性高分子を
溶解除去する工程、を必須とする皮革様シート状物の製
造方法である。
【0005】本発明の繊維質基体層は、通常繊度の繊
維、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロ
ニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールなど
の合成繊維、再生セルロースなどの化学繊維、天然繊
維、あるいは特殊形態の繊維、例えば、ポリエステル、
ポリアミド、ポリアクリロニトリルなどの極細繊維、あ
るいは少なくとも1成分を溶解除去することにより極細
繊維束状繊維や特殊多孔繊維などに変成することのでき
る混合紡糸あるいは複合紡糸より得られた多成分繊維か
ら選ばれた繊維で構成されたニードルパンチや高速流体
流により絡合処理された繊維絡合不織布、繊維立毛編織
布、不織布と織編布の積層布等の布帛、またはこれらの
布帛に弾性重合体溶液を含浸し、次いで弾性重合体の非
溶剤中で凝固させ、多成分繊維を極細繊維束状繊維や特
殊多孔繊維に変成したシート状物等を使用することがで
きる。繊細で優美な立毛表面とするためには、少なくと
も表面部を構成する繊維は極細繊維または極細繊維の束
状繊維であることが好ましい。また、得られる皮革様シ
ート状物の風合いの点から、極細繊維またはその束状繊
維の繊維絡合不織布に弾性重合体を多孔質状に含有した
シート状物であることが好ましい。
【0006】本発明の繊維質基体層の好ましい製法とし
ては、性質の異なる少なくとも二種の合成重合体を紡糸
して得た海島構造、または多芯の芯鞘構造の混合繊維
(混合紡糸法および複合紡糸法で得られる)または分割
型繊維を延伸し、必要があれば熱固定、捲縮、切断して
得たステープル繊維、あるいはフィラメント繊維を用
い、湿式法または乾式法でウエブを作成し、ニードルパ
ンチング法または流体噴射絡合法で繊維絡合不織布を作
る。次いで繊維絡合不織布にはポリウレタンエラストマ
ー、アクリルニトリル−ブタジェン共重合体、スチレン
−ブタジェン共重合体、ポリアクリル酸エステル、アク
リル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合
体、シリコンゴム等から選ばれた少なくとも一種の弾性
重合体あるいは弾性重合体に他の重合体を混ぜた弾性重
合体を主体とする重合体の溶液または分散液を含浸し、
湿式法または乾式法で凝固し、水洗し、乾燥して繊維絡
合不織布に弾性重合体または弾性重合体を主体とした重
合体を含有せしめた繊維質シートとする。
【0007】繊維質シートの構成繊維を極細繊維または
/およびその束状繊維の状態にするには重合体を含有せ
しめる前の繊維絡合不織布、また重合体を含有せしめた
繊維質シートにした後、混合繊維の海成分または鞘成分
を溶剤あるいは分解剤で処理して繊維から除去すること
によって島成分または芯成分が極細繊維または/および
その束状繊維に変成する。また分割型繊維では繊維を構
成せる一成分の膨潤剤または/および物理的あるいは機
械的に処理して各成分に分割することにより極細繊維ま
たは/およびその束状繊維に変成する。また極細繊維の
絡合不織布の他の製造方法は、合成重合体をメルトブロ
ーン法またはフラッシュ紡糸法で紡糸して極細繊維のウ
ェブとし絡合処理して作る。これらの極細繊維は紡糸法
を規制することにより単繊度0.3dr以下とする。立
毛外観、風合い、表面の平滑性、繊維絡合の強さ等から
単繊度0.1dr以下とすることが好ましい。極細繊維
束状繊維においては単繊度0.1〜0.003drの範
囲がさらに好ましい。
【0008】上記基体質基体層の表面をサンドペーパー
または布帛でバフィングして表面に繊維立毛を形成す
る。繊維立毛は均一でスエード調のライティングエフェ
クトのある優美な外観のものが好ましい。このため、使
用するペーパーは目の細かいもの、できれば240番以
上であることが好ましい。極細繊維の立毛の形成はバフ
ィングの接触圧力を小さくし高速回転させる。あるいは
研磨用サンドまたはエメリーの粒子を小さくするなどの
条件を設定することで達成できる。
【0009】次に極細繊維の立毛面に易溶解除去性高分
子の溶液または分散液を塗布する。本発明でいう易溶解
除去性高分子とは、皮革様シート状物を構成する繊維や
弾性重合体を溶解や膨潤しない有機溶剤や水、熱水等に
可溶で、凸部に付与する弾性重合体の溶液によって溶解
や膨潤しない高分子であり、さらに、エンボス型押し時
の高温、例えば180℃の温度で溶融しない高分子であ
る。すなわち立毛表面に塗布された易溶解除去性高分子
の被膜は、極細繊維の立毛面を侵すことなく覆うことに
より後工程のエンボス型押しに於いて、立毛面を溶融し
銀面化することを保護するものである。このような高分
子として、例えば水溶性高分子としては、ポリビニルア
ルコール、ゼラチン、デンプン等が挙げられる。該高分
子の塗布量は立毛の状態により異なるが、表面に存在す
る極細繊維の立毛が完全に覆われる量でかつ表面が薄い
被膜を形成しうる量が必要である。一般には固形分で1
0g/m2以下、好ましくは2〜4g/m2の量である。塗
布量が少ない場合は立毛の仮固定が不十分となり、エン
ボス加工による凹凸模様の賦与時に立毛が寝かせられて
熱固定されたりして製品において凹部の立毛性が悪くな
る。また塗布量が多い場合は充分な深さの凹凸模様の賦
与が困難になるとか、凸部に付着した高分子のバフィン
グによる除去が困難になるとか、後工程での溶解除去が
困難となる等の問題を生ずる。極細繊維立毛面に塗布す
る方法はロールコート法、ナイフコート法、スプレー
法、転写法の何れでもよいが、塗布の均一性からグラビ
アコート法が好ましい。
【0010】易溶解除去性高分子を乾燥した後、易溶解
除去性高分子を塗布した極細繊維の立毛面に、皮革模様
の凹凸模様をつける。方法としては加熱したエンボスロ
ールにて通常の方法にて型押しする。処理条件は基体に
含浸された弾性重合体の種類、および立毛面に塗布され
た易溶解除去性高分子の種類によって異なるが、100
〜200℃の範囲、通常150℃前後で処理する。皮革
模様の種類は特に限定はされないが、凹凸の深さの差は
少なくとも立毛高さより大きいもので、一般には凹凸部
の深さの差が300〜800μmであることが好まし
い。凹凸の差が少ない場合は後工程のバフィングが困難
となり、製品の銀面と立毛面とのコントラストが少なく
目的とする外観の特徴が得られにくい。
【0011】次に型押しされた基体の凸部に塗布されて
いる易溶解除去性高分子被膜の一部を、サンドペーパー
またはエメリーペーパーにより、凸部に極細繊維の立毛
が露出するまでバフィングを行い立毛部を形成する。こ
の立毛部が後に塗布される弾性重合体と一体化されて最
終製品で銀面となるため、ペーパーは240番以上の目
の細かいものを使用するのが好ましい。目の荒いペーパ
ーで処理した立毛部は後工程での銀面化が困難となる。
また立毛部の面積は用途に応じて自由に選択することが
できる。立毛部の面積が少ない場合は、立体感はあるが
全体にはスエード調の強い外観となり、反対に多い場
立体感は少ないが銀面感の強い外観となる。
【0012】次に、バフィングされた表面にポリウレタ
ンエラストマー、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリ
ル酸エステル共重合体、ポリエステルエラストマー等か
ら選ばれた少なくとも一種の弾性重合体の溶液または分
散液を塗布する。塗布量はバフィングされた凸部の極細
繊維立毛面が弾性重合体の薄い皮膜になる量である。一
般には固形分1〜10g/m2、好ましくは2〜5g/m2
の量である。塗布量が少ない場合は銀面の形成が悪く、
塗布量が多い場合は風合いが悪くなる。また弾性重合体
の溶液または分散液に顔料を添加しても、また易染性の
弾性重合体を使用してもよい。塗布する方法はロールコ
ート法、ナイフコート法、転写法、スプレ−法の何れで
もよいが、弾性重合体を凸部に選択的に付与しやすい点
でグラビアロールを用いたロールコート法が好ましい。
【0013】次に基体表面に塗布されている易溶解除去
性高分子を溶解除去する。除去する方法はウインス法、
ジッガー法、パッド法の何れでもよいが、基体を柔軟化
できるウインス法が好ましい。処理温度は易溶解除去性
高分子の種類によっても異なるが、例えば、水溶性高分
子の場合、種類に応じて50〜90℃の範囲で選べばよ
い。基体に塗布されている易溶解性高分子が溶解し除去
できれば処理時間は特に指定しない。また染料を添加す
ることにより染色も行うことができる。使用する染料
維の種類に応じて酸性染料、金属錯塩染料、分散染料
等を用いて通常の染色方法により染色を行なう。この溶
解除去処理により易溶解除去性高分子が基体層表面より
除去され凹部に極細繊維の立毛が現れる。
【0014】乾燥した後、基体の銀面部となる凸部のみ
平滑化する。平滑化の方法は加温または加熱した鏡面ま
たは梨地の金属面に密着させ平滑面とする。あるいはエ
ンボシングにて皮革模様のしぼを付与してもよい。処理
条件(温度、圧力、速度)は凸部に塗布されている弾性
重合体の種類により設定するが一般には温度120〜1
80℃の範囲で処理する。処理条件、特に圧力が高い場
合には凹凸模様が平坦化され立体感が低下すると共に凹
部の立毛まで平滑化され立毛面が失われる。また、処理
条件が弱い場合は凸部に銀面感を十分付与することが困
難となる。好ましくは高温でクリアランスをとったスリ
ットエンボスがよい。得られたシート状物はさらに、柔
軟処理、もみ処理を加えることにより風合いが向上す
る。
【0015】こうして仕上げたシート状物は、凹凸模様
の表面に、凸部は弾性重合体皮よりなる銀面を有し、凹
部は基体層から連続した立毛を有する立毛面と銀面が混
在している皮革様シート状物となる。
【0016】
【実施例】つぎに、本発明の実施態様を具体的な実施例
で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の部および%は断りのない
限り重量に関するものである。
【0017】実施例−1 6−ナイロン(島成分)とポリエチレン(海成分)から
なる繊度6drの混合紡糸繊維の絡合不織布にポリエス
テル系ポリウレタン90%、ポリエーテル系ウレタン1
0%の混合ポリウレタンの13%N,N−ジメチルホル
ムアミド(以下DMF)溶液を含浸し、DMF水溶液に
浸漬して凝固し、次いでトルエン中で処理して繊維中の
ポリエチレンを溶解除去し、6−ナイロンの極細繊維束
状繊維(顕微鏡写真から求めた平均単繊度0.008d
r)の絡合不織布にポリウレタンエラストマーが多孔質
構造となって含有した繊維質シートを得た。この繊維質
シートの一面を研削し厚さを0.8mmとし、他の面を粒
度400番のサンドペーパーでバフィングを行い、表面
のポリウレタンエラストマーはほとんど研削除去せず
に、表面に存在した繊維だけを起毛して、極細繊維立毛
が形成された繊維質シート(1)を得た。
【0018】次いで立毛面にポリビニルアルコール(以
下PVA)10%水溶液を120メッシュのグラビアロ
ールを用いて1回塗布し温風で乾燥した。塗布量は固形
分で3g/m2であり立毛面は完全に薄い被膜で覆われて
いた。次に、シュリンク模様のエンボスロールを用いて
型押しし、基体表面に凹部の深さ300〜500μmの
凹凸模様を形成した。次に、凸部を粒度400番のサン
ドペーパーでバフィングを行い、凸部に付着しているP
VA被膜の一部を削除した。次にバフィングされた凸部
に易染性のポリウレタン樹脂をイソブタノール、DM
F、アセトン、シクロヘキサノンの混合溶剤にて濃度8
%に溶解した溶液を150メッシュのグラビアロールを
用いて4回塗布し温風で乾燥した。塗布量は固形分で約
4g/m2であった。次に、ウインス染色機で90℃の温
水中で60分間リラックスし、表面に残存しているPV
Aを溶解除去した後、さらに茶色の金属錯塩染料で90
℃の温水で60分間染色し、ソーピング、水洗した後乾
燥した。この繊維質シートの表面の凸部は若干銀面感が
感不足であったが、凹部は極細繊維の立毛面であった。
さらに、凸部を平滑化するため150℃に加温した鏡面
ロールに接触してカレンダー掛けした。得られた皮革様
シート状物は凸部は銀面感があり、凹部は立毛の長さ3
0〜50μmの極細繊維の立毛面を有し凹凸部の深さ1
50〜250μmで立体感があり凹部はマット調で凹凸
部に濃度差のある良好外観であった。
【0019】比較例−1 実施例−1において、エンボス型押しの深さを20〜5
0μmに変更する以外は同様にして皮革様シート状物を
得た。得られた皮革様シート状物は、表面の凹凸部の差
が少なく、立体感がなく凹部に若干の立毛面が見られた
が全体的に銀面感の強いものであり、目的とした銀面と
立毛面の混在した皮革様シート状物は得られなかった。
【0020】実施例−2 実施例−1で得られた繊維質シ−ト(1)をウインス染
色機にて茶色の金属錯塩染料で90℃の温水で60分間
染色し、ソーピング、水洗した後乾燥し、着色した繊維
シートを得た。次いで立毛面にPVA10%水溶液を1
20メッシュのグラビアロールを用いて1回塗布し、温
風で乾燥した。塗布量は固形分で3g/m2であり、立毛
面は完全に薄い被膜で覆われていた。次に、キッド模様
のエンボスロールにて型押し表面に凹部の深さ100〜
200μmの凹凸模様を形成した。次に、凸部を粒度4
00番のサンドペーパーでバフィングを行い、凸部に付
着しているPVA被膜の一部を削除した。次にバフィン
グされた凸部に茶顔料を添加したポリエステル系ポリウ
レタン樹脂(大日精化)をDMF、アセトン、シクロヘ
キサノンの混合溶剤にて濃度6%に希釈した溶液をを1
50メッシュのグラビアロールで4回塗布し凸部を着色
した。塗布量は固形分で約3g/m2であった。次に、ウ
インス染色機にて90℃の温水にて60分間リラックス
し、表面に残存しているPVAを完全に溶解除去した
後、水洗し乾燥した。この繊維質シートの表面は凸部は
若干銀面感が不足であったが、凹部は極細繊維の立毛面
であった。さらに、凸面を平滑化するため150℃に加
温した鏡面ロールに接触してカレンダー掛けした。得ら
れた皮革様シート状物は凸部は銀面感があり凹部は立毛
の長さ30〜50μmの極細繊維の立毛面を有し凹凸部
の深さ50〜100μmで実施例−1のものに比較して
やや立体感は不足しているが、凹部はマット調で凹凸部
に色相に差のある良好な外観であった。
【0021】比較例−2 実施例−2において、PVA溶液の塗布および凸部のバ
フィングを行わない以外は同様に処理して皮革様シート
状物を得た。エンボス後の繊維シートは全体に半銀付き
調の表面であり、得られた皮革様シート状物は、凹部の
立毛面にもポリウレタン樹脂が付着しており、色相差は
やや認められるものの、銀面と立毛面の混在による立体
感は得られなかった。
【0022】比較例−3 比較例−2において、エンボス深さを300〜500μ
mと深くする以外は同様にして皮革様シート状物を得
た。得られた皮革様シート状物は、凹部の立毛面にもポ
リウレタン樹脂が付着しており、色相差はやや認められ
るものの、銀面と立毛面の混在による立体感は得られな
かった。
【0023】比較例−4 比較例−3において、PVAの塗布量を固形分で1.5
g/m2に変更する以外は同様にして皮革様シート状物を
得た。PVA塗布後の繊維質シートは立毛が完全にはP
VAで被覆されておらず、得られた皮革様シートは凹部
の立毛にもポリウレタン樹脂が一部付着しており、銀面
と立毛面の混在による立体感は得られなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明で得られた皮革用シート状物は、
銀面と立毛面を有し、凹凸面に色差があるため立体感が
あり、また、立毛面が艶消し調であるため全体にギラ感
がなく、落ち着いた良好な外観のため高級な靴用、袋物
用、衣料用等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮革様シート状物の断面模式図であ
る。
【符号の説明】
1 繊維質基体層 2 銀面状の凸部 3 立毛を有する凹部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹凸模様を有する皮革様シート状
    物において、凸部は弾性重合体被膜により覆われてお
    り、凹部には凸部の高さより低い繊維立毛を有している
    ことを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 【請求項2】 一面に繊維立毛を有する繊維質基体層
    の立毛表面に易溶解除去性高分子溶液を塗布・乾燥する
    工程、該表面にエンボシングにて凹凸模様を形成する
    工程、凸部に付着している易溶解除去性高分子の一部
    を除去する工程、易溶解除去性高分子を除去した凸部
    に弾性重合体の溶液または分散液を塗布・乾燥する工
    程、易溶解除去性高分子を溶解除去する工程、を必須
    とする皮革様シート状物の製造方法。
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