JP5347099B2 - 皮革凹凸捺染 - Google Patents

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Description

本発明は、皮革表面に凹凸を形成するとともに捺染を行う皮革凹凸捺染に関するものである。
皮革を利用するうえで皮革表面に各種の加飾操作を施し、利用者に一層の快適な使用感を感じさせることが行われる。具体的には、なめしによる着色、植物染料染め、刺繍、縫製、革編み、ビーズ細工、描画などが知られている(非特許文献1 皮革ハンドブック、日本皮革技術協会編 2005年1月30日 樹芸書房発行 465頁)。そのほか、スタンプを利用するから押し技法、切り込み技法、金箔押し技法などが中世ヨーロッパで開発された(前掲書471頁以降)。わが国では、製革法として、なめし操作を利用する姫路革、脳漿なめし(銀面を削り、脳をあえ、乾燥させる。焼きごてによる面つくりにより柔軟な肌理を作り出し、煙を用いて染めを行う)、ふすべ革(なめしを行った後の鹿の白革に着色をほどこす)、漆皮(革を糸でさし縫いしたうえに漆がけを行ったもの)、染め革(多彩な染め革文様が施されたもの)などが知られている(前掲書479頁以降)。
これらは、いずれも皮革の利用として発展形成されてきた美術工芸に関する技術である。
皮なめしから始まって皮革を製造する皮革産業は、靴やバックなど皮革製品の利用の促進や自動車産業、衣料産業、家具などの他分野へ利用が進められ、生産される皮革にはなめし作業などの製革工程の高度化、得られる革製品の高級化が求められている。
この範疇に入るものとして、多くの開発が行われている。
(1) 塗装に関して
革を製造する際には、再なめし工程に続き、革を染色することが行なわれる。
塗装工程は革を製造する最終工程に設けられている。この作業を通じて広範囲の特性又は効果が革に付与される。
(a) この作業は通常塗料(仕上げ剤)を適用して革表面に皮膜(塗膜)を形成する。其の機能は以下の通りである。
(イ)色調の最終調整(色あわせ)
(ロ)色イメージの形成
(ハ)艶出しつや消しなど色以外の視覚効果
(ニ)平滑性の改善
(ホ)感触の改善
(へ)耐久性の付与
(ト)化学的抵抗性の付与
(チ)撥水性、帯電防止能、防汚性の付与
(b) 仕上げ剤の成分
(イ)顔料や染料などの着色料(この場合の染料はドラム染色に用いるものとは相違し、耐光性の強い染料を使用する)
(ロ)バインダー 革の皮膜形成成分であり、カゼインなどの天然高分子、ニトロセルロースなどの改質天然高分子、アクリル系又はウレタン系などの合成高分子が用いられる。
(ハ)バインダー添加成分、可塑剤及び添加剤など
(c) 塗膜の形式
(イ)塗膜の透明度により、透明度の高いアニリン仕上げ、アニリン仕上げと顔料仕上げの中間のセミアニリン仕上げ、不透明な顔料仕上げがある。
(ロ)いろいろなバインダーの複合使用で素材革、仕上げ剤、塗装方法、塗装後の処理がセットとなって特徴を生かす。
(ハ)エナメル仕上げ、パール仕上げ、メタリック仕上げ等のファッション性の強い特殊な効果を意図する。
(2) 塗装後の処理
塗装後の処理には塗膜の定着と製品革としての要求特性を付与するための補助的な作業をさす。
(a) アイロン・プレス
塗膜面を高温の平滑面を押圧することにより塗膜を固定し、平滑性と艶出し効果を得る。これには、ロールアイロン(塗装面を加熱平滑板に密着させ、裏側ローラーを用いて押圧する。)、プレスアイロン(塗装面を加熱平滑高圧プレスする。)が知られている。
これらを用いて皮革表面の加工が行なわれており、凹凸や模様を形成する方法としては以下の手段が知られている。
(イ)型押し(凹凸模様を持つ型板を加熱押圧することにより、革に人工的な凹凸模様をつける。機械はプレスアイロンを用いる。安定でシャープな凹凸模様を実現する上では、塗装よりむしろ素材革のなめし、再なめしの役割が大きい。)
(ロ)しぼ付け(革の銀面を内側にして鈍角での折り曲げ作業(もみ作業を)繰り返すことにより、銀面にしわ模様をつける。比較的薄い塗膜の仕上げ(例えば、ボックス仕上げ)では多用される。)
(ハ)ポリッシング (革表面をフェルト又はストーンで摩擦して銀面層の目止めと平滑さを改善する。)
(ニ)グレージング (メノウなどのロールで銀面層を強く加圧摩擦する。圧力と摩擦熱により銀面に特有の平滑性、光沢、色調の深みを与える。)(以上、前掲書42頁から50頁)
以上の記載から近年の皮革産業がその製品の高度化及び充実化を行い、各工程に応じた解決策を講じてきたことが理解できる。皮革表面に染色を行う工程では皮革全体を何色に染色をするかという工程であり、この段階で皮革表面に図柄を描いて染色するという意図はない。塗装後の仕上げ処理である皮革表面に凹凸模様をつける型押しにしても皮革製造の最終段階になって、皮革表面全体に施す型押しであって、彩色とは別に行うものである。型押しは単純な形状のものに限られるし、型押しは型押しに用いる道具を製作しておく必要があり、その部分に応じて自由に皮革の表面の形状を形成するということは意図していない。この点から考えれば、自由に図柄や描画を行うことができること、図柄や描画にしたがって色分け彩色を行うこと、図柄や描画に応じて皮革凹凸模様を形成すること、さらにこれらを立体化するということが図られているものではない。
皮革の量産体制のもとに図柄や描画により、皮革表面の形状を意図するように形成する場合には、図柄や描画は自由な形状で、比較的に簡単な操作で形成できること、図柄や描画に応じて意図する色を利用することができること、図柄や描画を単に皮革の表面に形成できるだけでなく、皮革表面に凹凸を形成するなどして立体的に際立った状態で皮革の表面を形成することが要求されている。
我々が生活を送るうえで、又は産業に従事するうえで必要とされる衣服にあっては、色、柄、形態、生地、及び縫製仕上げに関する審美的品質、衣料サイズ、着用快適性、取り扱い容易性、及び付加的機能などの機能的品質、並びに原産国やメーカー、ブランドによる外在的品質を保証することが必要とされる。これらのいずれも品質のいずれもが激しい競争下にあって技術は進歩してきた。
とりわけ、色、柄については利用者の多くの人が積極的に努力して改良が進められてきた。色や柄をつける場合には、布や織物ではなく繊維や糸の状態で染めてから行う先染め、布の状態にしてから染める後染めがある。染め方には、染料の溶液に布や糸を浸して染める浸染と布に印刷をするようにして染める捺染(プリント)がある。
捺染は布に対して行われる後染めである。染料はにじみが生じないように糊状にして用いる。色糊が印捺されると染料は布にしみこんでいく、スチーミング(蒸熱処理)により染料は固着され、余分な糊は水洗除去する。捺染には以下の方法が知られている。
(1) スクリーン捺染(デザインにしたがって柄の部分がすけたスクリーンを作る。スクリーン部分は現在ポリエステル製である。染料糊が、このすけた部分を通り、下にある布に印捺される。平面のスクリーンを使う場合をフラットスクリーン捺染で、手作業によるハンドスクリーン捺染と機械化された自動スクリーン捺染がある。機械には色数だけのスクリーンをセットし、布は一定の距離を進むと、一時停止し、スクリーンと接して印捺が行われる。複雑な多色の柄を染めることが可能である。円筒形のスクリーンを使用するロータリースクリーン捺染といわれ、止まらずに流れる布にスクリーンが回転しながら、連続的な模様を印捺する。)
(2) ローラー捺染(円筒形ローラーに彫られた窪みに色糊が入り込み、ローラを回転させながら、布に圧着して模様を印捺する。色数だけのローラが必要である。ストライプなどの単純な連続模様に適している。)
(3) 転写捺染(分散性の昇華性を利用した方法で、転写紙に印刷した模様を布に密着させ、乾熱プレスにより布に模様を写す方法)
(4) インクジェットプリント(コンピュータでデザインした色柄が、多色同時にそのまま、予めスクリーン型を作るといったこともなく、印捺できるので、小ロットに有効。色糊に比べインクは流動性があり、にじみやすいこと、低速度であることなどの課題が指摘されている。)
これらの技術を駆使して得られる布地の表面に描かれる図柄は自由度が高い。
又、図柄にあわせて彩色が可能となっている(非特許文献2 藤原康晴ら著衣生活の科学2006年3月20日 財団法人放送大学教育振興会発行11頁から21頁、42から44頁抜粋)。すなわち、図柄や描画と彩色は一致して描くことによって本来の目的を達成している。
一般の利用者から見ると、技術的に完成を見た、慣れ親しんできた友禅染は図柄と彩色が一致している点で着物などに採用され、又、その状態が見る人に大きな印象を与えることとなるので、きわめて人気が高い。
繊維織物産業に見られる友禅染を皮革表面に絵が出したいという要求は根強いものがある。しかしながら、織物であることと皮革であることによる材料の相違に基づき、繊維織物産業で用いられてきた友禅染のもつ雰囲気を皮革の表面に描き出そうとすると、単に皮革の表面に色つきの描画を行っただけでは十分に表現されたということができない。友禅染のもつ雰囲気を皮革の表面に描き出そうとすると、技術的な困難性は高く、実現をされていない。繊維織物産業に見られるように、意図する形状の絵柄を皮革表面に形成することができ、個々の絵柄に応じて彩色を施すことができた上に、何か他の手段を付加しないと友禅染のもつ雰囲気を皮革の表面に描き出したということができない。この何か他の手段が何であるかということを考えてみると、彩色の状態を際立たせるうえで、絵柄や図柄に高低差を設けることができれば、皮革表面の立体化が可能となり、皮革は従来の利用分野のみならず新しい利用分野を切り開き、利用が一層促進されることとなる。
皮革表面に意図する形状の図柄や絵柄を皮革表面に比較的に簡単な操作で形成することができ、個々の絵柄に応じて彩色を施すことができ、絵柄に高低差を設けることとなる立体化が可能となる皮革ができたとして、この皮革をそのままカーシートや自動車内装部品として利用できるかという点については専門家の見るところでは無理であるとされる。その理由はカーシートや自動車内装部品が使用される自動車内は高温になること、直射日光のもとにさらされることも多いことなどである。カーシートや自動車内装部品についてはこれらの過酷な条件をクリアーすることができる皮革でなければならない。前記の通常に用いられる皮革が完成したとしてもカーシートや自動車内装部品として用いることができる皮革の開発が求められることとなる。
以上の要求を満足する発明であって、技術的に完成されているという発明は、存在しない。従来技術に関し、関連する発明を以下に紹介する。
(1) 皮革に友禅染の絵柄を形成することを意図している発明
(a)特許第68997号明細書(特許文献1):硼砂と蓚酸による皮革を処理し、膠と染料による捺染を行うことを適用するもの。染料により処理を述べるものの描画が自由にできて、彩色を施すことができる友禅染の技法が皮革表面で可能であるかという点については不明である。技術的に完成されていない。
(b)特許第71187号明細書(特許文献2):タンニンなめしを行い、糊料を添加し、白土などのコロイド溶液で下地塗りを行い、友禅染を染め出す。染料により処理を述べるものの描画が自由にできて、彩色を施すことができる友禅染の技法が皮革表面で可能であるかについては前記と同じ理由により不明である。技術的に完成されていない。
(c)特開昭47−43301号公報(特許文献3)
金銀などの金属粉などを含むアクリル樹脂又はウレタン樹脂層を添加し、ナイロン樹脂層をコーチングし、友禅染型などで柄付けし,蒸熱、水洗、再なめし、乾燥工程の処理。この記載から友禅染型などで柄付けできるということはできないし、その後の記載内容も技術的の完成されているものではない。
(d)特開昭51−9701号公報(特許文献4):合成樹脂粉末などによるコーチングし、さらに染色性、接着性ある樹脂をコーチングし、友禅染め型による柄付け、糸目部分を収縮させることによる立体観をの形成できるという。この記載から友禅染型などで柄付けできるということはできないし、その後の記載内容も技術的に完成されているものではない。
(2) 皮革表面の凹凸形成に関する発明
(a)特開昭51−12901号公報(特許文献5):刻印後、染色し、アクリル樹脂を塗布し、艶出しを行なう皮革表面の立体感形成法。刻印そのものは既存技術である。刻印で得られる皮革表面の形状は刻印に対応して形状は柔らか味がない形状となる。自由に描画することができるというものではないし、染色も多色を用いることというものではない。立体感は刻印により得られるものであり、新規な皮革表面の形成方法ではない。
(b)特開昭52−66601号公報(特許文献6):刻印後、水溶性レジンペーストの利用。
刻印そのものは既存技術である。刻印で得られる皮革表面の形状は刻印に対応して形状は柔らか味がない形状となる。刻印を用いる場合には自由に描画することができるというものではないし、染色も多色を用いることを意味していない。新規な皮革表面の形成方法ではない。
(c)プレスにより立体形成を行うもの
プレスによる立体形成は、特開平1−232990号公報(特許文献7)、特開平5−31267号公報(特許文献8)、特開平7−059960号公報(特許文献9)などにより知られているが、意図する形状の絵柄を皮革表面に形成することができ、個々の絵柄に応じて彩色を施すことができ、絵柄に高低差を設けることとなる立体化が可能というものではない。
(d)エンボス加工を行うもの:特開2000−104100号公報(特許文献10):表面処理を行ってエンボス加工を行うもの
特許4114907号明細書(特許文献11):皮革の塑性変形に皮革のコラーゲン蛋白質とチオール基と加水分解コラーゲン等とのジサルファイト結合により皮革のコラーゲン蛋白質とシスチン結合による網掛け固定安定化をはかり、転写スクリーン、シルクスクリーン又はインクジェットプリントを用いても模様化と立体化を図るもの。
意図する形状の絵柄を皮革表面に形成することができ、個々の絵柄に応じて彩色を施すことができ、絵柄に高低差を設けることとなる立体化が可能となるというものではない。
(3) 皮革表面に衣装意匠模様の形成に関する発明
(a)特開51−79701号公報(特許文献12):意匠模様を印刷し、皮革表面に貼り付け、加熱装着するもの。積層技術を利用して層形成を行うものである。皮革そのものは変化していないので、積層による不自然な感じを与えるものである。
(4) 層形成にインクジェットを用いるもの。
(a)特開2007−277483号公報(特許文献13):ウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂を含む塗装層が形成された天然皮革上に、ウレタン樹脂インクで、模様部と非模様部からなる画像が形成された天然皮革である。インクジェットで彩色,層形成を行う場合には何回も操作を施して厚みをつけなければならないし、皮革そのものは変化していないので、層を厚くすることによる不自然な感じを与えるものである。
(b)特開2008−31467号公報(特許文献14):皮革表面にアニオン性のベースコート層を有し、このベースコート層上にインクジェットによるカチオン性のインク受容層を有し、このインク受容層上にトップコート層を有し、インク受容層に顔料が付与されることにより画像が形成されている皮革着色物とする。インクジェットで彩色,層形成を行う場合には何回も操作を施して厚みをつけなければならないし、皮革そのものは変化していないので、層を厚くすることによる不自然な感じを与えるものである。
(c)特開2007−284466号公報(特許文献15)
意匠性が付与された、皮革特有の柔軟性を保ちつつ引っ張りにより、硬化膜が割れることなく追従する模様形成皮革。インクジェットで彩色,層形成を行う場合には何回も操作を施して厚みをつけなければならないし、皮革そのものは変化していないので、層を厚くすることによる不自然な感じを与えるものである。
(5) 自動車用シートでカーバーに装飾溝を形成するもの
特開2003−71164号公報(特許文献16):装飾溝の形成は限定的であり、シートの模様を形成することはできない(同公報中図6)。
特開58−168550号公報(特許文献17):キルティング模様を形成するものの、シートの模様を形成することはできない(同公報中図1)。
特開2007−159628号公報(特許文献18)シートに引込ライン部を設けるもの。
特許第68997号明細書 特許第71187号明細書 特開昭47−43301号公報 特開昭51−9701号公報 特開昭51−12901号公報 特開昭52−66601号公報 特開平1−232990号公報 特開平5−31267号公報 特開平7−059960号公報 特開2000−104100号公報 特許4114907号明細書 特開昭51−79701号公報 特開2007−277483号公報 特開2008−31467号公報 特開2007−284466号公報 特開2003−71164号公報 特開昭58−168550号公報 特開2007−159628号公報 非特許文献1 皮革ハンドブック、日本皮革技術協会編 2005年1月30日 樹芸書房発行 465頁 藤原康晴ら著衣生活の科学2006年3月20日財団法人放送大学教育振興会発行11頁21頁、42から44頁、
本発明の一つの課題は、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け及び彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成すること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどによる場合は得られる結果から見て好ましくなく、皮革本体を変化させて形成されるものであり、皮革の形状変化により凹凸を形成して得られる模様全体が、その凹凸形状により立体化されている新規な皮革を提供することである。
本発明のもう一つの課題は、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄をすることができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成すること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどによる場合は得られる結果から見て好ましくなく、皮革本体を変化させて形成されるものであり、皮革の形状変化により凹凸を形成して得られる模様全体が、その凹凸形状により立体化されている新規な皮革本体を変化させて形成されるものであり、模様全体に立体化されている新規な皮革であり、耐光性及び日光堅牢度を有しており、同時に耐高温性を有する特性を備えた新規な皮革を提供することである。
本発明者らは前記課題について鋭意研究し、以下のことがらを見出し、前記課題を解決した。
(1) 前記皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたシュリンク糊を、シルクスクリーンを介して塗布した後、前記特定の部分及び特定部分に隣接する部分に、染料を糊に混ぜ合わせて、各染料ごとに合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布した後、皮革全体を取り出して、蒸気蒸しし、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色した後、同時に染料を塗布した他の部分では凸部を形成し、いずれの糊を洗浄除去し、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行うことにより、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記銀面側凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記銀面側凸部を形成した部分に相当する部分は銀面側凸部にそって裏面側に凹みが形成されており、少なくとも銀面側凹部は染料により染色されている皮革を得ることができる。
(a)具体的には、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたシュリンク糊を塗布し、その後に蒸気蒸しを行ったことにより、銀面の特定の部分を収縮させることができる。そして、特定部分の皮革の収縮は垂直方向及び水平方向に対して起こる。その結果、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分に隣接する部分は、それに引きよせられるようにして収縮しない状態で凸部を形成し、皮革表面全体は凹部及び凸部からなる皮革表面が形成される。自由に描かれている描画を表現できていると同時に、色分け彩色が行われている。収縮部分である凹部に隣接して高さを有している凸模様を形成されており、この凹凸模様については、積層などと相違して、皮革本体の変化により形成されたものであり、模様全体は凸部を中心にして立体化が図られている。形成される凸部は収縮された凹部の繊維により引っ張られるようにして凸部を形成しているため、型押しにより形成される形状のように、角張った形状にならず角がとれた丸味を帯びたものとなる。側壁の部分は型押しとは相違して垂直ではなく、傾斜を有している。全体から受ける感じは型押しにより形成される皮革表面より柔らか味があり、深みを有する凸部を形成している。凹部は形成される模様の縁取の作用をすることができる。従来、このような皮革の表面は存在せず、新規な皮革表面の形状を形成することができる。
(b)前記の処理対象とする皮革は、なめし、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革であり、前記の操作で得られた皮革の表面を更に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー(エマルジョンラッカー)等での塗装を施すことにより、服飾用皮革、収納物品用皮革又は建築内装用皮革として用いることができる。
(2) 耐光性及び耐高温性を有する皮革の場合には、前記(1)の場合に用いていた染料を顔料に置き換えること及び皮革表面に形成する塗膜層を厳しい条件に耐えることができるようにすることにより、同様に行うことができる。
(a)前記皮革表面である銀面の特定の部分に収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを、シルクスクリーンを介して塗布した後、前記特定の部分及び特定部分に隣接する部分に、顔料をバインダーに混ぜ合わせて、各顔料に合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布した後、皮革全体を取り出して、蒸気蒸しし、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色した後、同時に顔料を塗布した部分からは凸部を形成し、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行うことにより、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記銀面側凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記銀面側凸部を形成した部分に相当する部分は銀面側凸部にそって裏面側に凹みが形成されており、少なくとも銀面側凹部は顔料により着色されている皮革をえることができる。
(b)具体的には、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを塗布し、その後に蒸気蒸しを行ったことにより、銀面の特定の部分は収縮させることができる。そして、特定部分の皮革の収縮は垂直方向及び水平方向に対して収縮が起こる。その結果、皮革表面である銀面の特定の部分に隣接する部分は、それに引きよせられるようにして、収縮しない状態で凸部を形成し、皮革表面全体では凹部及び凸部が形成される。自由に描かれている描画を表現できていると同時に、色分け彩色が行われている。収縮部分である凹部に隣接して高さを有している凸模様を形成されており、この凹凸模様については、積層などと相違して、皮革本体の変化により形成されたものであり、模様全体は凸部を中心にして立体化が図られている。形成される凸部は収縮された凹部の繊維により引っ張られるようにして凸部を形成しているため、型押しにより形成される形状のように、角張った形状にならず角がとれた丸味を帯びたものとなる。側壁の部分は型押しとは相違して垂直ではなく、傾斜を有している。全体から受ける感じは型押しにより形成される皮革表面より柔らか味があり、深みを有する凸部を形成している。凹部は形成される模様の縁取の作用をすることができる。従来、このような皮革の表面は存在せず、新規な皮革表面の形状を形成したものということができる。
(c)処理対象とする皮革は、なめし、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革であり、得られる皮革の表面を更にベースコート、カラーコート及びトップコート塗装をすることにより、目的とする皮革が完成される。ベースコート及びカラーコートには、水性ウレタン樹脂と水性アクリル樹脂を使用し、トップコートには水性ウレタン樹脂を使用する。カーシート材料又は自動車用内装部品材料として用いることができる。
本発明によれば、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、シュリンクしたい部分をシュリンクさせて皮革凹凸模様を形成すること、描画や図柄に応じた色分け、彩色と皮革凹凸模様をずれることなく正確に多色プリントした凹凸模様の皮革を得られること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどにより凹凸を形成する外観形状の皮革には自由度がなく、又、時として剥がれることもあり、結果から見て好ましくない問題点を有しているが、そのような問題点もなく、皮革自体の形状を変化させて形成されるものであり、模様全体に立体化が図られている新規な皮革を得ることができる。
本発明のもう一つの効果は、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、シュリンクしたい部分をシュリンクさせて皮革凹凸模様を形成すること、描画や図柄に応じた色分け、彩色と皮革凹凸模様をズレることなく正確に多色プリントした凹凸模様の皮革を得られること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどにより凹凸を形成する外観形状の皮革には自由度がなく、又、時として剥がれることもあり、結果から見て好ましくない問題点を有しているが、そのような問題点もなく、皮革自体の形状を変化させて形成されるものであり、模様全体に立体化が図られている新規な皮革を得ることができ、耐光性及び日光堅牢度を有しており、同時に耐高温性を有する特性を備えた新規な皮革を得ることができる。
本発明の一つは、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記凸部を形成した部分に相当する部分は凸部にそって凹みが形成されており、少なくとも凹部は染料により染色されている皮革である。
本発明の具体例として示す図2は本発明で得られた皮革の状態を示している。図2上部の図は皮革に描き出された染料により染色された描画の平面図及び図2下部の図は皮革に描き出された染料により染色された描画の白線で示された部分の断面図であり、皮革により形成される凹凸形状をみることができる。図3は前の図の染色された描画を斜上より写した図である。図2の下部の図及び図3はいずれも皮革により形成される凹凸部の状態を把握することができる。
図2上部の図は皮革に描き出された染料により染色された描画の平面図であり、全体を把握することができる。
図2では皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分は3で示されている。特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分1は花を形成する部分であり、凸部は立体的に浮き上がらせて立体的に見せている。他の凹部4は花の輪郭を表現している。凹部3及び4は色違いとなっている。又凹部4は輪郭であるから凹部3より幅を小さめに設定し、シュリンク(収縮)の幅も小さめにしている。凹部3及び4の高さの相違は3の幅を広くすると共に収縮剤の使用量を多くしていることによる。
前記凸部は単色又は多色染料により染色されている皮革である。凸部は単色又は多色で染色されていることを意味する。多色とすることにより豊かな色合いを採用することができる。
同じく、凹部に関しても濃淡又は色違い多色染料を用いて種々な表現を行うことができる。
前記皮革の操作は以下の通りである。
処理対象となる皮革は、皮なめし、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革である。皮なめし、再なめし、染色及び加脂処理は既に知られている操作であり、一般的に用いられている操作である。
本発明では皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成するための手段として、シルクスクリーンを用いるオート捺染による。繊維織物産業では既に実用化が図られているものである。現在のシルクスクリーンにはシルクは用いられておらず、4フッ化エチレン重合体(具体的には、テフロン(登録商標)など)を用いている。皮革を固定して設置した台の上に、移動可能なシルクスクリーンを用いたオート捺染台を固定する。シルクスクリーンを用いたオート捺染台は左右及び上下の移動が容易にできるようになっている。
染料を含む糊がシルクスクリーンを用いたオート捺染台の上部より供給され、シルクスクリーンの下に挟み込まれている型紙を通して染料を含む糊は皮革表面に塗布される。
又、自動洗浄装置も敷設されており、必要に応じてシルクスクリーンは洗浄される。皮革を固定して設置した台の下には蒸気が通るように配管されており、この蒸気の効果により染料により、染め上げられた皮革を乾わかすことができる。
図1に用いるシルクスクリーン装置の全体を示した。
具体的な手順は以下の通りである。
(1) 皮革を収縮させる薬剤を皮革表面に配する工程
皮革表面の銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤及び染料を混ぜ合わせたシュリンク糊を、シルクスクリーンを介して皮革表面に塗布する。特定の部分とは皮革の収縮させたい部分(凹ませたい部分)であり、予め、描画や図柄により決められた部分である。皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたシュリンク糊をコマ(ゴムヘラ)により刷る。この後に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたシュリンク糊を配した皮革を乾かす。
(2) 染料を皮革表面に配する工程
次に特定部分に隣接する部分(凸状にしたい部分)に、各染料に合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布する。シルクスクリーンは色に応じて換える。特定部分に隣接する部分(凸状にしたい部分)は多色刷りとすることが可能であり、染料に応じて刷り上げる操作が同じように繰り返される。
(3) 皮革の収縮させたい部分(特定部分)を収縮させる工程
前記(1)及び(2)の工程を終了した皮革に皮革の収縮させたい部分(特定部分)を収縮させる工程
(1)及び(2)の工程を終了した皮革全体を台より取りはずして、蒸気蒸しを行う。皮革のシュリンク糊をのせた部分を、より強く安定して凹ますこと、染料を皮革表面に定着させるために、蒸気室に皮革を収納し、蒸気をあてて蒸し上げる。シュリンクするには、蒸気は一般に100℃以下90℃位で10分から30分程度、好ましくは20分程度で蒸せば良いが、染料を皮革表面に定着させるために、100℃以下90℃位で40分から50分程度、好ましくは45分程度で蒸す。蒸し上げると皮革の表面は凹んだ状態となる。この操作により収縮させたい皮革の部分を収縮させることができる。
(4) 前記の染料を用いて染色する皮革では、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色が終了した皮革からバインダー(シュリンク糊の糊の部分)を洗浄除去する工程を行う。又、染料をつけた凸部を形成する部分のバインダー(糊)を洗浄除去する。
(5) 前記(4)の処理を終了した皮革を、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行う。
(6) (5)の操作が終了した皮革の表面を更に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン、溶剤ラッカー、水性ラッカー(エマルジョンラッカー)等での塗装を施して皮革の仕上げを行う。水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー(エマルジョンラッカー)等での塗装にはスプレー塗装が採用される。
前記皮革を収縮させる薬剤は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性物質及びロダン及びロダン化合物(チオシアン酸、チオシアン酸塩、チオシアン酸カリウムなど)を用いることができる。特にロダン化合物(チオシアン酸塩)が有効とされる。ロダン化合物を用いる場合には、ロダン化合物及びバインダーとして澱粉のりを含むシュリンク糊(SRK−WSN 古川化学工業株式会社製)を用いる。このシュリンク糊を皮革の収縮させたい部分に付着させる。シュリンク糊は粘性が高く、シルクスクリーンによる絵柄や図柄を貼り付ける場合には、適当でない場合には、水を30から50%(重量)添加して粘度調整を行う。
皮革の染色には酸性染料や含金酸性染料(金属錯塩酸性染料)等の皮革用の染料を用いることができる。
酸性染料とは染色の際に染料を酸性にして染める染料である。具体的には以下の染料をあげることができる。
青色には、C.I.Acid Blue 184、C.I.Acid Blue 187、C.I.Basic Blue 3、C.I.Basic Blue 9などがある。
緑色には、C.I.Acid Green 40、C.I.Acid Green 16、C.I.Acid Green 25、
赤色には、C.I.Acid Red 283. C.I.Acid Red 257、C.I.Acd Red 199、C.I.Acid Red 133などがある。
黄色には、C.I.Acid Orange 95、C.I.Acid Orange 74、C.I.Acid Orange 33などがある。
含金酸性染料(金属錯塩酸性染料)とは、酸性染料の分子中に金属を持つ酸性染料より堅牢度の高い染料である。具体的には以下の染料がある。
Kayakalan Black 2RL(日本化薬株式会社製)
Kayanol Milling Blue BW(日本化薬株株式会社製)
Lanasyn Red S−G (クラリアント株式会社製)
Lanasyn Yellow S−2GL (クラリアント株式会社製)
Lanasyn Black BRL (クラリアント株式会社製)
これらの染料は澱粉を含む糊と混ぜあせて用いる。濃い色を使用する場合の染料の量は7〜8%、色を薄くする場合には0.001%程度で良く、求める色により調整する。また、7〜8%以上に染料を増やしてもそれ以上濃くはならない。粘度を調整するうえで水により希釈して用いる。
皮革を収縮させる部分を染色したい場合には、前記シュリンク糊(SRK−WSN 古川化学工業株式会社製)に、色付けをしたい色の染料を添加して一緒に用いる。
以上の操作により得られる皮革は、収縮させる部分を染色と同時に収縮させ、皮革銀面側の凹部を形成する同時に皮革銀面側の凸部を形成すると同時に染色した状態で得られ、その後、皮革銀面側に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー(エマルジョンラッカー)等による塗装を施した皮革である。
皮革としての風合い及び表皮を自然のままに保ち続けた仕上がりであり、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄をすることができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成すること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどによる場合は得られる結果から見て好ましくなく、皮革本体を変化させて形成されるものであり、模様全体に立体化が図られている新規な皮革である。
これらの特性を有していることから、服飾用皮革、収納物品用皮革、建築内装用皮革などとして広い範囲に使用することができる。
以下に他の耐光性及び日光堅牢度を有しており、同時に耐高温性を有する特性を備えた皮革について説明する。
本発明の他の一つは、皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記凸部を形成した部分に相当する部分は凸部にそって凹みが形成されており、少なくとも凹部は顔料により着色されている皮革である。
顔料により着色されているので、皮革は耐光性及び日光堅牢度を有しており、同時に耐高温性を有する特性を備えた皮革である。
図4上部の図は皮革に描き出された顔料により着色された描画の平面図及び図4下部の図は皮革に描き出された顔料により着色された描画の白線で示された部分の断面図であり、皮革により形成される立体形状である凹凸の形状をみることができる。
特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分1及び2は図柄を形成する部分である。この図ではカラー表示がなされていないので明確に示されていないが、濃淡二色で表現されている。図3は凹部を形成した部分に一色、凸部は二色で表現されており、合計で三色による表現となっている。凸部を形成した部分を立体的に浮き上がらせて皮革全体を立体的に見せている。濃淡二色の使用は他の色と他の色の組み合わせでもよく、これはシルクスクリーンに利用する型の形状を特定することにより行うことができる。
前記凸部は単色又は多色顔料により着色されている皮革である。多色として白、黒、赤、黄、青等を使用することにより豊かな色合いを採用することができる。
同じく、凹部に関しても濃淡又は色違い多色顔料を用いて種々な表現を行うことができる。
先に説明した皮革においても同様であるが、如何に凹凸形状について図面により更に詳細に説明する。
図5は皮革表面シュリンクによる凹部及びそれに隣接する凸部を示す断面図である。凹部は水平に引かれた線から下、790.26μmであり(深度)、凹凸部間の高低差となっている。なだらかに凹凸部が形成されている状態を見ることができる。
図11は型押しによる凹部及びそれに隣接する凸部を示す断面図である。型押しにより形成される凹部は水平に引かれた線から下、162.44μm、175.57μm、199.43μmであり(深度)、シュリンクの場合より変化が少ない凹凸を形成している。
図6は皮革表面がシュリンクによる凹部及びそれに隣接する凸部を示す平面図である。三本のシュリンクによる凹部が形成されている状態をみることができる。凹部はたて側に線が入っており、凸部にはよこしまが形成されている状態を見ることができる。両者の状態を比較すると組織が変化している状態を見ることができる。
図7は図6に示されている皮革表面のシュリンク凹部の状態を拡大したSEM写真である。中央にシュリンク凹部を見ることができる。中央部の両側はいずれも皮革の表面は変化を受けていない状態を把握することができる。
図8はシュリンク部断面を示すSEM写真である。中央右にシュリンク部線維が溶解されて、構造は解されている状態を見ることができる。その結果、上下方向及び左右の水平方向が中央部付近でかたまりを形成し、密な状態となっている。それにしたがって、シュリンク部の上下及び左右に向かって周囲は引っ張り込まれている状態を把握することができる。結果としてこの部分を中心に凹部が形成され、凸部が形成されている当初の部分を観察することができる。
図9はシュリンク部断面のさらなに拡大した図である。中央部付近の溶解して、形成されるかたまりの周囲の状況を把握できる。
図12は型押しによる形成される表面の平面図である。型の模様が付いているが組織が変化している状態を読み取ることはできない。
図13は、型押しに谷部断面図であり、図14は型押し谷部断面図の拡大図である。型により湾曲している状態をはあくできるが、型押しにより形成される凹部付近は前記シュリンクの場合と相違して、組織の変化は認められない。
前記皮革の操作は以下の通りである。
処理対象となる皮革は、皮なめし、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革である。皮なめし、再なめし、染色及び加脂処理は既に知られている操作であり、一般的に用いられている操作である。
本発明では皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成するための手段として、シルクスクリーンを用いるオート捺染による。繊維織物産業では既に実用化が図れているものである。現在のシルクスクリーンにはシルクは用いられておらず、4フッ化エチレン重合体(具体的には、には、テフロン(登録商標)など)を用いている。皮革を固定して設置した台の上に、移動可能なシルクスクリーンを用いたオート捺染台を固定する。シルクスクリーンを用いたオート捺染台は左右及び上下の移動が容易にできるようになっている。
顔料を含む塗料がシルクスクリーンを用いたオート捺染台の上部より供給され、シルクスクリーンの下に挟み込まれている型紙を通して顔料は塗布される。
又、自動洗浄装置も敷設されている必要に応じてシルクスクーンは洗浄される。皮革を固定して設置した台の下には蒸気が通るように配管されており、この蒸気の効果により顔料により、着色された皮革を乾かすことができる。
図1に用いるシルクスクリーンの図を示した。
具体的な手順は以下の通りである。
(1) 皮革を収縮させる薬剤を皮革表面に配する工程
皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを、シルクスクリーンを介して塗布する。特定の部分とは皮革の収縮させたい部分(凹ませたい部分)であり、予め、描画や図柄により決められた部分である。皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーをコマ(ゴムヘラ)により刷る。この後に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを配した皮革を乾かす。
(2) 顔料を皮革表面に配する工程
次に特定の部分(凹ませたい部分)及び特定部分に隣接する部分(凸状にしたい部分)に、各顔料に合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布する。シルクスクリーンは色に応じて換える。特定部分に隣接する部分(凸状にしたい部分)は多色刷りとすることが可能であり、顔料に応じて刷り上げる操作が同じように繰り返される。
(3) 皮革の収縮させたい部分(特定部分)を収縮させる工程
前記(1)及び(2)の工程を終了した皮革に皮革の収縮させたい部分(特定部分)を収縮させる工程
(1)及び(2)の工程を終了した皮革全体を台より取りはずして、蒸気蒸しを行う。皮革のバインダーをのせた部分を、より強く安定して凹ますために、蒸気室に皮革を収納し、蒸気をあてて蒸し上げる。蒸気は一般に100℃以下90℃位で10分から30分程度、好ましくは20分程度で蒸す。蒸し上げると皮革の表面は凹んだ状態となる。この操作により収縮させたい皮革の部分を収縮させることができる。
(4) 前記(3)の処理を終了した皮革では、顔料を用いており、バインダーとして水性ウレタン樹脂又は水性アクリル樹脂を用いて顔料を皮革表面にベースコート、カラーコートとして固定しており、引き続き顔料を皮革表面に固着させる必要がある。バインダーは顔料を皮革表面に固着させているので、除去する操作は行わない。
乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行う。
(5) (4)の操作が終了した皮革の表面をトップコートとして更に水性ウレタン樹脂での塗装を施して皮革の仕上げを行う。水性ウレタン樹脂又は水性アクリル樹脂での塗装にはスプレー塗装が採用される。
水性ウレタン又は水性アクリル樹脂を塗布するときの塗布量は以下の範囲で使用され、ベースコート、カラーコートには水性ウレタン樹脂及び水性アクリル樹脂を、トップコートには水性ウレタン樹脂を塗布する。
ベースコート塗布量は、10.0〜80.0g/m
カラーコート塗布量は、10.0〜80.0g/m
トップコート塗布量は、10.0〜80.0g/m(2回塗装)
前記皮革を収縮させる薬剤とは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性物質及びロダン及びロダン化合物(チオシアン酸、チオシアン酸塩、チオシアン酸カリウムなど)である。特にロダン化合物(チオシアン酸塩)が有効とされる。
特にロダン化合物(チオシアン酸塩)が有効とされる。ロダン化合物を用いる場合には、シュリンク剤(Penezol RP:古川化学工業株式会社製)とインスタントバインダー(水性ポリウレタン)を混ぜて使用する。シュリンク剤とインスタントバインダーの混合割合は凡そ1対1(重量比)である。さらに増粘剤を添加して適度の粘度の調整を行なうことができる。
顔料としては皮革用に用いている以下C.I.Noの顔料を用いることができる。以下に示す顔料は1例であり、その他の顔料も適宜使用することができる。また、C.I.Noが同じであれば、DIC、東洋インキ、BASF、スタール等の顔料メーカーの販売する顔料を適宜用いることができる。
Pigment White 6(白):WHITE(無機顔料)
Pigment Black 7(黒):BLACK(有機顔料)
Pigment Yellow 42(黄色):YELLOW(無機顔料)
Pigment Yellow 110(黄色):YELLOW(有機顔料)
Pigment Red 161(赤): RED(無機顔料)
Pigment Red 177(赤色):RED(有機顔料)
Pigment Blue 15−2(青色):BLUE(有機顔料)
Pigment Green 7(緑色):GREEN(有機顔料)
顔料については使用するバインダーなどに合わせて粒度を定める。一般的には(粒度♯1500から♯2600)とする。
バインダーには水性ウレタン樹脂及び水性アクリル樹脂を用いる。
混合割合は適宜決定することができる。一般的には1対1程度である。
以上の操作により得られる皮革は、収縮及び捺染を施し水性ウレタン樹脂及び水性アクリル樹脂を塗装した皮革である。皮革としての風合い及び表皮を自然のままに保ち続けた仕上がりであり、皮革表面に比較的に簡単な操作で自由に描画や図柄を形成することができること、描画や図柄に応じて好みとする色分け、彩色を行うこと、皮革凹凸模様を形成すること、得られる凹凸模様については、材料の積み重ねなどによる場合は得られる結果から見て好ましくなく、皮革本体を変化させて形成されるものであり、模様全体に立体化が図られている新規な皮革である。
これらの特性を有していることから、自動車用カーシート材料及び自動車用内装部品材料用として利用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の具体的な内容を明らかにする。しかしながら、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
皮革を染料により染色する場合
皮革を染料により染色し、凹部及び凸部を形成した結果を示す図2上部の図により、凹部及び凸部の形成の手順を説明する。
皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分3、4には、ロダン化合物を含むシュリンク糊(SRK−WSN)を塗布した。前記ロダン化合物のほか、澱粉を含んでいる
次に3を白色染料及び澱粉を含む塗布剤を、シルクスクリーンを介して皮革表面に付けた。4には黒色染料及び澱粉を含む塗布剤を、シルクスクリーンを介して皮革表面に付けた。
花の部分を赤色染料及び青色染料を、澱粉を含む塗布剤としてシルクスクリーンを介して皮革表面に付けた。左側(赤色)、右側(青色)である。
前記の染料を用いて染色する皮革では、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色が終了した皮革から糊を洗浄除去した。又、染料をつけた他の部分の糊も洗浄除去した。
処理を終了した皮革を、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行った。
更に、皮革の表面を更に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー(エマルジョンラッカー)等をスプレー塗装して皮革の仕上げを行った。
得られた皮革を図2として示した。
平面図は図2上部の図である。図2下部では上部の図の断面を示している。図2では皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分は3で示されている。特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分1は花を形成する部分であり、凸部は立体的に浮き上がらせて立体的に見せている。他の凹部4は花の輪郭を表現している。凹部3及び4は色違いとなっている。又凹部4は輪郭であるから凹部3より幅を小さめに設定し、シュリンク(収縮)の幅も小さめにしている。凹部3及び4の高さの相違は3の幅を広くすると共に収縮剤の使用量を多くしていることによる。
凹部及び凸部形成されている状態を斜上から観察した状態については図3に示した。凹部及び凸部の状態を把握することができる。
皮革を顔料により着色する場合
皮革を顔料により着色し、凹部及び凸部を形成した結果を示す図4上部の図により、凹部及び凸部の形成の手順を説明する。
皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分3には、シュリンク剤(Penezol RP ロダン化合物の水溶液)とインスタントバインダー(水性ウレタン樹脂及び/又は水性アクリル樹脂)を混ぜて塗布した。
次に3には黒色顔料を含む塗布剤を、シルクスクリーンを介して皮革表面に塗布た。1及び2には他の黒色顔料に白色顔料を配合して各々が濃淡になるよう塗布剤を塗布した。各顔料にはインスタントバインダー(水性ウレタン樹脂及び/又は水性アクリル樹脂)を含んでいる状態で塗布した。
この状態で蒸気蒸しを行なった。90℃程度の蒸気によりを20分程度で蒸した。蒸し上げるとシュリンクさせたい部分の皮革の表面は凹んだ状態となった。
この皮革を、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行った。さらに皮革の表面を更に水性ウレタン塗装を施して皮革の仕上げを行った。水性ウレタン塗装にはスプレー塗装を行なった。
水性ウレタン又は水性アクリル樹脂を塗布するときの塗布量は以下の範囲で使用され、ベースコート、カラーコートには水性ウレタン樹脂及び水性アクリル樹脂を、トップコートには水性ウレタン樹脂を塗布する。
ベースコート塗布量は、40.0±2.0g/m
カラーコート塗布量は、40.0±2.0g/m
トップコート塗布量は、40.0±2.0g/m(2回塗布)
図4は本実施例で得られた皮革の状態を示している。平面図は図4上部の図である。図4下部では上部の図の断面を示している。図3では皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分は3で示されている。特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分1及び2は図柄を形成する部分である。この図ではカラー表示がなされていないので明確に示されていないが、濃淡二色で表現されている。図3は凹部を形成した部分に一色、凸部は二色で表現されており、合計で三色による表現となっている。凸部を形成した部分を立体的に浮き上がらせて皮革全体を立体的に見せている。濃淡二色の使用は他の色と他の色の組み合わせでもよく、これはシルクスクリーンに利用する型の形状を特定することにより行うことができる。
皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを塗布し、その後に蒸気蒸しを行ったことにより、銀面の特定の部分は収縮させることができる。そして、特定部分の皮革の収縮は垂直方向及び水平方向に対して収縮が起こる。その結果、皮革表面である銀面の特定の部分に隣接する部分は、それに引きよせられるようにして、収縮しない状態で凸部を形成し、皮革表面全体では凹部及び凸部が形成される。 図4に凹部の状態を示した。特定部分の皮革の収縮は垂直方向及び水平方向に対して収縮が起こる状態を示している。
同じく図5には、前記皮革裏面は前記凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記凸部を形成した部分に相当する部分は凸部にそって凹みが形成されている状態を示している。
実施例2と同様にしてカーシートの皮革を製造し、これをカーシートに実際に用いた場合を図12として示した。背中部分と腰の部分に用いられている。腰の部分は照明の関係で光ってよく見ることができないが、背中の部分の図柄と同じである。薄く形成されている凹凸により描き出される図柄は左右、上下に自由に描き出されており、カーシートの図柄としては従来見ることができない形態である。凹凸による起伏がなだらかであり、反射光も穏やかな状態を示している。
後述した皮革についての堅牢試験を行った結果を以下に示す。又発明の皮革が十分に堅牢試験の項目を満たしていることを説明する。
(堅牢試験結果)
以下のように形成したサンプル皮革の塗膜について以下の測定を行い、評価を行なう。
サンプル皮革
(イ)量産革
シュリンクさせず、ベースコート、カラーコート、トップコートをロールコーター塗装およびスプレー塗装した一般使用のシート用皮革。
(ロ)A
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、ベースコート、カラーコート、トップコートをスプレー塗装した皮革。
(ハ)B
下地をペーパー掛け(バフ掛け)後、シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、ベースコート、カラーコート、トップコートをスプレー塗装した皮革。塗装方法はAと同一方法。
(ニ)C
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、ベースコート、カラーコート、トップコートをスプレー塗装した皮革。塗装方法はAと同一方法で、Aとの模様が相違するものである。
(ホ)D
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、凸部顔料塗装をシルクスクリーンで行い、トップコートをスプレー塗装した皮革。
(へ)E
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、凸部顔料塗装、凹部顔料塗装をシルクスクリーンで行ない、トップコートをスプレー塗装した皮革。
(ト)F
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、凸部顔料塗装をシルクスクリーンで行ない、カラーコート、トップコートをスプレー塗装した皮革。
(チ)G
シュリンク剤の塗布をシルクスクリーンで行いシュリンクし、凸部顔料塗装、凹部顔料塗装をシルクスクリーンで行ない、カラーコート、トップコートをスプレー塗装した皮革。
Figure 0005347099

(1) テーバー磨耗試験
直径150mmの試験片をテーバー式ロータリー磨耗試験機のテーブルに取り付け、その上に荷重1kgをかけたCS−10磨耗輪を乗せて試験機を動かし(試験機の回転数は70rpmとする)、同時に集塵機も作動させる。試験回数2,000回を行い、その後の塗膜の磨耗状況を目視観察し、等級判定を行う。
評価の等級は以下の通りとする。
等級5:塗膜の摩耗が全く観察されない
等級4:塗膜の摩耗が僅かに認められるが、目立たない。
等級3:塗膜の摩耗が僅かではあるが、明らかに認められるもの。
等級2:塗膜の摩耗がやや著しいもの。
等級1:塗膜の摩耗がかなり著しいもの。
合格基準は、4級以上の場合を合格とし、自動車用シート用革として好適であると判断する。3級以下の塗膜割れ、塗膜の剥がれ等の塗膜の異常が発生した場合は不合格とし、自動車シート用革として不適であると判断する。
(2) 耐もみ試験
揉みに対する塗膜の耐久性について測定するものである。
測定手順は以下の通りである。
長さ120mm×幅25mmの試験片を2枚準備する。塗装面同士を合わせ、スコット型もみ試験機(テスター産業株式会社製)にセットする。つかみ幅は15mmとし、試験片がズレないように、挟みねじを締める。
荷重1kg、ストローク40mm、サイクル往復120回/minの速さで、もみ試験を2,000回行う。もみ試験後、試験片の塗膜の割れ、剥がれを目視観察し、等級をつける。
評価の等級は以下の通りとする。
等級5:塗膜の割れ・剥がれが全く観察されない
等級4:塗膜の割れ・剥がれが僅かに認められるが、目立たない。
等級3:塗膜の割れ・剥がれが僅かではあるが、明らかに認められるもの。
等級2:塗膜の割れ・剥がれがやや著しいもの。
等級1:塗膜の割れ・剥がれがかなり著しいもの。
合格基準は、全試験において4級以上の場合を合格とし、自動車シート用革として好適であると判断する。3級以下の塗膜の割れ、塗膜の剥がれ等の塗膜異常が発生した場合は不合格とし、自動車シート用革として不適であると判断する。
・ 結果
結果を表2に示す。
表2

Figure 0005347099

A〜C、F、Gのシュリンク皮革は、テーバー耐摩耗試験と耐もみ試験において一般使用のシート用皮革と同等の性能を持ち自動車用シート用革として好適であると判断する。
D、Eのシュリンク革は、テーバー耐摩耗試験および耐もみ試験において3級の評価があり、一般使用のシート用皮革より低い性能を持ち自動車用シート用革として不適であると判断する。
シルクスクリーンの外観を示す図 皮革に描き出された染料により染色された描画の凹部及び凸部を形成している状態を示す平面図及びその断面を示す図(平面図の白線で示されている部分の断面図) 図2の染色された描画の凹凸を形成している状態を斜上より写した図 皮革を顔料により着色した図柄の凹部及び凸部を形成している状態を示す平面図及びその断面を示す図(平面図の白線で示されている部分の断面図) 皮革表面シュリンクによる凹部及びそれに隣接する凸部を示す断面図 皮革表面がシュリンクによる凹部及びそれに隣接する凸部を示す平面図 皮革表面のシュリンク凹部の状態を示す平面図 シュリンク部断面を示す図 シュリンク部断面の拡大図 皮革を顔料により着色した図柄を自動車用シートに用いた状態を示す図 型押しによる断面を示す図 型押しによる表面平面図 型押しに谷部断面図 型押し谷部断面図の拡大図
符号の説明
1:凸部を形成した部分
2:凸部を形成した部分
3:凹部を形成した部分
4:凹部を形成した部分

Claims (17)

  1. 皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部 分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記銀面側凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記銀面側凸部を形成した部分に相当する部分は銀面側凸部にそって裏面側に凹みが形成されており、少なくとも銀面側凹部は染料により染色されていることを特徴とする皮革。
  2. 前記銀面側凸部は単色又は多色染料により染色されていることを特徴とする請求項1記載の皮革。
  3. なめしを終了した皮革を、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革表面である銀面の特定の部分に皮革を収縮させる薬剤を混ぜ合わせたシュリンク糊を、シルクスクリーンを介して塗布した後、前記特定の部分及び特定部分に隣接する部分に、染料を糊に混ぜ合わせて、各染料に合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布した後、皮革全体を取り出して、蒸気蒸しし、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色した後、同時に染料を塗布した部分からは凸部を形成し、いずれの糊を洗浄除去し、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行ことを特徴とする皮の製造方法
  4. 前記皮革表面には、染料を糊に混ぜ合わせて製造した塗料を塗布することを複数回繰り返して行なうことを特徴とする請求項3記載の皮革の製造方法
  5. 請求項1又は2のいずれか記載の皮革の表面を、更に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー及びエマルジョンラッカー塗装より選ばれる1種類以上の塗装を施してあることを特徴とする皮革。
  6. 請求項3又は4のいずれか記載の皮革の製造方法により得られる皮革の表面に、更に水性ウレタン樹脂、溶剤ウレタン樹脂、溶剤ラッカー、水性ラッカー及びエマルジョンラッカー塗装より選ばれる1種類以上の塗装を施すことを特徴とする皮革の製造方法
  7. 請求項記載の皮革からなることを特徴とする服飾用皮革。
  8. 請求項記載の皮革からなることを特徴とする収納物品用皮革。
  9. 請求項記載の皮革からなることを特徴とする建築内装用皮革。
  10. 皮革表面である銀面の特定の部分に皮革のシュリンクによる凹部を形成した部分、特定部分に隣接する部分に凸部を形成した部分を形成し、前記皮革裏面は前記銀面側凹部を形成した部分に相当する部分が平面状であり、同じく前記銀面側凸部を形成した部分に相当する部分は凸部にそって裏面側に凹みが形成されており、少なくとも銀面側凹部は顔料により着色されていることを特徴とする皮革。
  11. 前記凸部は単色又は多色顔料により着色されていることを特徴とする請求項10記載の皮革。
  12. なめしを終了した皮革を、再なめし、染色及び加脂処理を行った後の皮革表面である銀面の特定の部分に収縮させる薬剤を混ぜ合わせたバインダーを、シルクスクリーンを介して塗布した後、前記特定の部分及び特定部分に隣接する部分に、顔料をバインダーに混ぜ合わせて、各顔料に合わせて作成されたシルクスクリーンを介して塗布した後、皮革全体を取り出して、蒸気蒸しし、前記皮革表面である銀面の特定の部分にシュリンクによる凹部を形成すると共に着色した後、同時に顔料を塗布した部分からは凸部を形成し、乾燥し、味取りを行い、形成された凹凸部、及びしわの調整を行ことを特徴とする皮の製造方法
  13. 前記皮革表面には、顔料をバインダーに混ぜ合わせて製造した塗料を塗布することを複数回繰り返して行なうことを特徴とする請求項12記載の皮革の製造方法
  14. 請求項10又は11いずれか記載の皮革の表面を更に水性ウレタン塗装を施してあることを特徴とする皮革。
  15. 請求項10又は11記載の皮革の表面に、水性ウレタン樹脂を含むベースコート、カラーコート及びトップコートを施してあることを特徴とする皮革。
  16. 請求項14又は15記載の皮革からなることを特徴とする自動車用カーシート材料。
  17. 請求項14又は15記載の皮革からなることを特徴とする自動車用内装部品材料。



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