JPH0785412A - 磁気ヘッド装置及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み立てる際にヘッドコアが破損し難い構造
を有し、さらには自動組立に容易に対応し得る磁気ヘッ
ド装置を作製する。 【構成】 フロントコア１と、バックコア２と、コイル
ボビン３及び４と、コイルボビン３及び４とからなる磁
気回路部が構成され、更にこの磁気回路部と、一対のス
ライダ８及び９が配されて磁気ヘッド部１０が構成され
る。フロントコア１とバックコア２とは、コイルボビン
３及び４内で重ね合わされ、熱収縮性を有するゴムを材
料としたコ字形状を有するコア押え部材７によって隙間
なく押圧保持されて磁気的結合が図られている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク駆動装置
等に搭載された磁気ヘッド装置及びその製造方法に関
し、特に、記録媒体に書込み・読出しを行う磁気ギャッ
プを有するフロントコアにこれとは別体のバックコアを
接合することにより磁気回路を構成してなる磁気ヘッド
装置及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばフロッピーディスク等の円盤形状
の磁気ディスクは、取り扱いが比較的簡単で、しかも大
容量の信号が記録できることから、各種コンピュータ、
ワードプロセッサ等の外部記憶装置として使用範囲が拡
大されつつある。

【０００３】この種の磁気ディスク装置に搭載される磁
気ヘッドとしては、記録再生用磁気ギャップの後方両側
に一対の消去用磁気ギャップを配置し、オフトラックが
あった際にも記録トラックと記録トラックの間隔を保証
するタイプのいわゆるトンネル・イレーズ型や、トンネ
ル・イレーズの代わりにリード／ライト・ギャップの上
流側でトラック前幅を消去する先行イレーズ型の磁気ヘ
ッドが広く用いられている。

【０００４】従来のフロッピーディスク用の磁気ヘッド
装置においては、図８に示すように、記録再生用磁気ギ
ャップと消去用磁気ギャップとを有するフロントコア１
０１と、略々Ｅ字状のバックコア１０２と、コイルボビ
ン１０３及び１０４に巻回されるコイル導体１０５及び
１０６とから磁気回路部が構成されると共に、フロント
コア１０１の磁気記録媒体摺動面の長手方向両側に沿っ
て、この磁気回路部を挟み込むように、磁気記録媒体に
対するあたりを確保するための一対のスライダ１０８及
び１０９が配されて磁気ヘッド部１１０が構成されてい
る。

【０００５】ここで、フロントコア１０１とバックコア
１０２とは、コイルボビン１０３及び１０４内で重ね合
わされ、金属製のくの字形状を有する押えバネ１０７で
押圧保持されて磁気的結合が図られている。

【０００６】そして、図９に示すように、この磁気ヘッ
ド部１１０が、スライダ１０８及び１０９の外周囲に設
けられた磁気シールド部材１１３と共にジンバル１１１
上に固定され、このジンバル１１１の下側からフレキシ
ブル・プリント基板１１２が設置されて上記磁気ヘッド
装置が構成されている。

【０００７】上記磁気ヘッド装置は、図１０に示すよう
に、ディスクカートリッジ１２０に開設された平面長方
形状をなす記録再生用開口部１２１内に、２つの磁気ヘ
ッド部１１０Ａ及び１１０Ｂを上下方向から挟み込むよ
うに臨ませ、これらの磁気ヘッド部１１０Ａ及び１１０
Ｂの摺動面を、ディスクカートリッジ１２０内に回転可
能に収納されているフロッピーディスク１２２に接触さ
せるように設けられる。そして、磁気ヘッド部１１０Ａ
及び１１０Ｂは、フロッピーディスク１２２の径方向
（シーク方向）に亘って移動操作され、フロッピーディ
スク１２２に対して情報信号の記録及び再生を行う。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記磁気回
路部は、先ずコイルボビン１０３及び１０４を各々フロ
ントコア１０１の脚部１０１ａ及び１０１ｂに装着し、
続いてバックコア１０２をコイルボビン１０３及び１０
４に挿入した後、コイルボビン１０３及び１０４内の微
小間隙に超小型の押えバネ１０７を挿入することにより
組み立てられている。

【０００９】このように、上述の作業には精密な押えバ
ネ１０７が必要であり、しかも緻密な組立作業であるの
で、この作業の自動化は不可能であった。また、この作
業を人手によって行うには熟練を要し、作業能率の低下
の原因となっている。

【００１０】更に、フロントコア１０１は磁気ヘッドの
構成上極めて薄く形成する必要があり、従って特に脚部
１０１ａ及び１０１ｂの機械的強度が弱く、押えバネ１
０７の挿入時に脚部１０１ａ及び１０１ｂの破損事故が
多発し大きな問題となっている。

【００１１】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、組み立てる際にヘッド
コアが破損し難い構造を有し、さらには自動組立に容易
に対応し得る磁気ヘッド装置を提供することにある。

【００１２】また更に、本発明の目的とするところは、
ヘッドコアが破損し難く、さらには容易に自動組立が可
能となる磁気ヘッド装置の製造方法を提供することにあ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、フロントコア
１とバックコア２とを重ね合わせて磁気回路を構成して
なる磁気ヘッド装置において、フロントコア１とバック
コア２とが熱収縮性を有するゴム板である押え部材７の
弾性力により固定されて構成される。

【００１４】また、本発明は、フロントコアとバックコ
アを重ね合わせて脚部をコイルボビンに挿入し、これら
コアとコイルボビンの間に熱収縮性を有するゴム板より
なる押え部材を挿入した後、加熱して前記押え部材を熱
収縮させ、フロントコアとバックコアを固定して作製す
る。

【００１５】

【作用】本発明に係る磁気ヘッド装置及びその製造方法
においては、コイルボビン３及び４内に挿入された熱収
縮性を有するゴム板であるコア押え部材７を加熱するこ
とで、このコア押え部材７の厚みが増してコイルボビン
３及び４内で重ね合わされているフロントコア１及びバ
ックコア２が隙間なく確実に固定される。

【００１６】この場合、コイルボビン３及び４内にゴム
製であるコア押え部材７を挿入する作業において、フロ
ントコア１及びバックコア２を傷つけることがないの
で、従来の極めて小さい金属製の押えバネ１０７を挿入
する場合に要求されるような緻密さが不要となる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明に係る磁気ヘッド装置及びその
製造方法の実施例を図１〜図７を参照しながら説明す
る。以下、フロッピーディスク駆動装置に搭載される磁
気ヘッド装置を例に挙げて説明する。

【００１８】本実施例に係る磁気ヘッド装置において
は、図１に示すように、フロントコア１と、バックコア
２と、コイルボビン３及び４と、コイルボビン３及び４
に巻回されるコイル導体５及び６とからなる磁気回路部
が構成され、更にこの磁気回路部と、磁気記録媒体に対
するあたりを確保するための一対のスライダ８及び９が
配されて磁気ヘッド部１０が構成される。

【００１９】ここで、フロントコア１とバックコア２と
は、コイルボビン３及び４内で重ね合わされ、熱収縮性
を有するゴムを材料としたコ字形状を有するコア押え部
材７によって隙間なく押圧保持されて磁気的結合が図ら
れている。

【００２０】そして、図２に示すように、この磁気ヘッ
ド部１０が、スライダ８及び９の外周囲に設けられた磁
気シールド部材１３と共にジンバル１１上に固定され、
このジンバル１１の下側からフレキシブル・プリント基
板１２が設置されて上記磁気ヘッド装置が構成される。

【００２１】ところで、上記磁気回路部のうち、フロン
トコア１は、記録再生用磁気ギャップ及び消去用磁気ギ
ャップを有している。この消去用磁気ギャップは、上記
記録再生用磁気ギャップで記録される記録トラックの両
端部を消去する構成となっており、フロッピーディスク
に記録される各記録トラック間には、いわゆるガードバ
ンドが形成され、たとえ若干のオフトラック状態となっ
たとしても良好な記録再生特性が得られるようになって
いる。

【００２２】一方、バックコア２は、フロントコア１の
記録再生ヘッド部及び消去ヘッド部のコア形状に対応し
て、略々コ字形状のコア部材を非磁性材を介して側面側
で接合したかたちとなっており、従って略々Ｅ字形状を
なしている。このように、バックコア２を略々Ｅ字形状
とすることにより、フロントコア１の脚部１ａ及び１ｂ
の長さを長くすることなくコア同士の接合面積を確保す
ることが可能となり、電磁変換特性の向上が図れる。

【００２３】上記実施例に係る磁気ヘッド装置の製造方
法としては、図３に示すように、先ずフロントコア１と
バックコア２とを、コイル導体５及び６を巻回したコイ
ルボビン３及び４の貫通孔３ａ及び４ａ内でいわゆる段
重ねの状態で重ね合わせ、更に、貫通孔３ａ及び４ａに
はコア押え部材７を挿入し、フロントコア１とバックコ
ア２とを押圧保持することで上記磁気回路部を作製す
る。

【００２４】ところで、コア押え部材７は、熱収縮性を
有するゴムを材料とするゴム板を用い、このゴム板から
所定サイズの略々コ字形状に打ち抜いたものである。こ
のゴム板は、加熱によって寸法が縮小、厚みが増加する
特性を有する。

【００２５】上記ゴム板は、例えば住友電気工業社製
の、商品名スミチューブ等の熱収縮性を有するのチュー
ブを利用して作製する。このスミチューブは、ポリオレ
フィンやポリフッ化ビニリデン等を材質とし、加熱する
ことで内径方向に収縮する特性を有している。

【００２６】上記スミチューブの熱収縮の様子を図５に
示す。図５Ａに示すように、このスミチューブを長さＬ
に切り出したチューブ２１（ゴム厚ｄ）を所定の温度に
加熱すると、図５Ｂに示すように、長さはＬのままで、
内径は約半分、ゴム厚は約２倍（約２ｄ）となる。

【００２７】上記コア押え部材を作製する工程を図６に
示す。先ず、図６Ａに示すチューブ２１を、その長手方
向に切り開いて展開し、図６Ｂに示す板状部材２２を作
製する。次に金型を用いて、図６Ｃ及びＤに示すよう
に、板状部材２２の縦方向と平行に所定サイズの略々コ
字形状に打ち抜く。このコア押え部材７は、図６Ｅに示
すように、加熱すると、横の長さｓは不変で、脚部７ａ
及び７ｂの長さｈ及び厚みｄが各々約半分（約ｈ／２）
及び約２倍（約２ｄ）となる特性を有する。なお、上述
のように、コア押え部材７の脚部７ａ及び７ｂの長さは
加熱後ほぼ半分となることを考慮して、予め長めにして
おく必要がある。

【００２８】上述の特性を利用して、上記磁気回路部を
作製する工程を図７に示す。先ず、図７Ａに示すよう
に、フロントコア１の脚部１ａ，１ｂ及びバックコア２
を貫通孔３ａ及び４ａに挿入する。続いて、図７Ｂに示
すように、コア押え部材７の脚部７ａ及び７ｂを各々貫
通孔３ａ及び４ａに挿入する。そして、図７Ｃに示すよ
うに、所定の温度に加熱膨張させてコア押え部材７の脚
部７ａ及び７ｂの弾性力でフロントコア１とバックコア
２とを固定する。

【００２９】なお、上記磁気回路部の加熱方法として
は、恒温槽中での加熱や、赤外線スポットの利用、ハン
ダゴテ等による直接加熱等の方法が用いられる。

【００３０】そして、図３に示すように、フロントコア
１の磁気記録媒体摺動面の長手方向両側に沿って、この
磁気回路部を挟み込むように、一対のスライダ８及び９
を配して磁気ヘッド部１０を作製する。

【００３１】更に、図４に示すように、図中斜線で示す
磁気ヘッド部１０の底面部１０ａをジンバル１１に対し
所定位置に位置決めした後、フロッピーディスクとの対
向面となる磁気ヘッド搭載面１１ａに瞬間接着剤で仮止
めする。そして、この磁気ヘッド部１０に対して、接着
強度補強のために、各スライダ８及び９の両壁面と磁気
ヘッド搭載面１１ａとの間に亘って紫外線硬化樹脂がを
塗布した後、スライダ８及び９の外周囲に設けられた磁
気シールド部材１３と共にジンバル１１に固定する。そ
の後、このジンバル１１の下側からフレキシブル・プリ
ント基板１２を配置して上記磁気ヘッド装置を作製す
る。

【００３２】上記実施例に係る磁気ヘッド装置及びその
製造方法においては、コイルボビン３及び４内に挿入さ
れた熱収縮性を有するゴム板であるコア押え部材７を加
熱することで、このコア押え部材７の厚みが増してコイ
ルボビン３及び４内で重ね合わされているフロントコア
１及びバックコア２が隙間なく確実に固定される。

【００３３】この場合、コイルボビン３及び４内にゴム
製であるコア押え部材７を挿入する作業において、フロ
ントコア１及びバックコア２を傷つけることがないの
で、従来の極めて小さい金属製の押えバネ１０７を挿入
する場合に要求されるような緻密さが不要となる。

【００３４】従って、自動組立を導入することが可能と
なるので、作業能率が大幅に向上し、コストの低減化を
図ることができる。また、従来の金属製の押えバネ１０
７と比較して、上記ゴム製の押えバネ７は形状が単純で
あるので、押えバネ作製用の金型の製品コストの低減化
も図ることができる。

【００３５】なお、本発明は上記実施例に限定されるこ
となく、フロッピーディスク用磁気ヘッドのみならず、
フロントコアとバックコアとを重ね合わせて磁気的及び
機械的な結合を図るタイプの磁気ヘッド全てに適用可能
である。

【００３６】

【発明の効果】本発明に係る磁気ヘッド装置によれば、
フロントコアとバックコアとを重ね合わせて磁気回路を
構成してなる磁気ヘッド装置において、上記フロントコ
アと上記バックコアとを熱収縮性を有するゴム板である
押え部材の弾性力により固定して構成したので、組み立
てる際にヘッドコアが破損し難い構造を有し、さらには
自動組立に容易に対応することが可能となる。

【００３７】また、本発明に係る磁気ヘッド装置の製造
方法によれば、フロントコアとバックコアを重ね合わせ
て脚部をコイルボビンに挿入し、これらコアとコイルボ
ビンの間に熱収縮性を有するゴム板よりなる押え部材を
挿入した後、加熱して前記押え部材を熱収縮させ、フロ
ントコアとバックコアを固定して作製するので、ヘッド
コアが破損し難く、さらには容易に自動組立が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係る磁気ヘッド装置の磁気ヘッド部
の構成を模式的に示す垂直断面図である。

【図２】本実施例に係る磁気ヘッド装置の構成を模式的
に示す斜視図である。

【図３】本実施例に係る磁気ヘッド装置の磁気ヘッド部
の作製工程を模式的に示す斜視図である。

【図４】本実施例に係る磁気ヘッド装置の作製工程を模
式的に示す斜視図である。

【図５】本実施例に係る磁気ヘッド装置を作製する際に
使用するゴムチューブの特徴を模式的に示す斜視図であ
る。

【図６】本実施例に係る磁気ヘッド装置を作製する際に
使用するゴムチューブの作製方法を模式的に示す斜視図
である。

【図７】本実施例に係る磁気ヘッド装置の磁気ヘッド部
の作製工程を模式的に示す垂直断面図である。

【図８】従来例に係る磁気ヘッド装置の作製工程を模式
的に示す斜視図である。

【図９】従来例に係る磁気ヘッド装置の構成を模式的に
示す斜視図である。

【図１０】従来例に係る磁気ヘッド装置を用いてフロッ
ピーディスクに記録及び再生を行う様子を模式的に示す
斜視図である。

【符号の説明】

１ フロントコア ２ バックコア ３，４ コイルボビン ７ コア押え部材 ８，９ スライダ １０ 磁気ヘッド部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロントコアとバックコアを重ね合わせ
   て磁気回路を構成してなる磁気ヘッド装置において、 上記フロントコアと上記バックコアとが熱収縮性を有す
   るゴム板よりなる押え部材により固定されていることを
   特徴とする磁気ヘッド装置。
2. 【請求項２】 フロントコアとバックコアを重ね合わせ
   て脚部をコイルボビンに挿入し、これらコアとコイルボ
   ビンの間に熱収縮性を有するゴム板よりなる押え部材を
   挿入した後、 加熱して前記押え部材を熱収縮させ、フロントコアとバ
   ックコアを固定することを特徴とする磁気ヘッド装置の
   製造方法。