JPH0781116B2 - 安定性と接着性に優れた嫌気性接着剤 - Google Patents
安定性と接着性に優れた嫌気性接着剤Info
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- JPH0781116B2 JPH0781116B2 JP5203387A JP5203387A JPH0781116B2 JP H0781116 B2 JPH0781116 B2 JP H0781116B2 JP 5203387 A JP5203387 A JP 5203387A JP 5203387 A JP5203387 A JP 5203387A JP H0781116 B2 JPH0781116 B2 JP H0781116B2
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- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J4/00—Adhesives based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; adhesives, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09J183/00 - C09J183/16
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- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は保存安定性と接着性に優れた一液性の嫌気性接
着剤に関するものである。即ち、室温での長期保存にお
いても増粘やゲル化がなく、各種材質に対する接着性に
も優れた高性能の嫌気性接着剤を提供するものである。
着剤に関するものである。即ち、室温での長期保存にお
いても増粘やゲル化がなく、各種材質に対する接着性に
も優れた高性能の嫌気性接着剤を提供するものである。
嫌気性接着剤は空気または酸素の存在下では硬化せず液
状を保っているが、空気または酸素を遮断すると硬化す
るという性質ももっており、その特異な性質を利用して
各種ボルト・ナットのゆるみ止めやパイプ等のシールに
広く利用されている。この嫌気性接着剤は、基本的には
嫌気重合性単量体と有機過酸化物から成り、それに重合
促進剤、その他の各種添加物を加えて調製される一液性
のアクリル系無溶剤型接着剤であり、以下のような性能
が要求されている。即ち、 (1)保存安定性がすぐれていること (2)接着速度が速いこと (3)破壊トルク強度等の接着強度に優れており、絶え
ず振動や衝撃がかかる過酷な条件下でもゆるみ等を生じ
ないこと (4)ステンレス、クロムメッキ等不活性表面を有する
被着体に対しても良好な接着性を示すこと (5)皮膚等人体に対する刺激性が少ないこと 等である。これらの要求を満たすため従来から多くの検
討がなされている。
状を保っているが、空気または酸素を遮断すると硬化す
るという性質ももっており、その特異な性質を利用して
各種ボルト・ナットのゆるみ止めやパイプ等のシールに
広く利用されている。この嫌気性接着剤は、基本的には
嫌気重合性単量体と有機過酸化物から成り、それに重合
促進剤、その他の各種添加物を加えて調製される一液性
のアクリル系無溶剤型接着剤であり、以下のような性能
が要求されている。即ち、 (1)保存安定性がすぐれていること (2)接着速度が速いこと (3)破壊トルク強度等の接着強度に優れており、絶え
ず振動や衝撃がかかる過酷な条件下でもゆるみ等を生じ
ないこと (4)ステンレス、クロムメッキ等不活性表面を有する
被着体に対しても良好な接着性を示すこと (5)皮膚等人体に対する刺激性が少ないこと 等である。これらの要求を満たすため従来から多くの検
討がなされている。
保存安定性を改良した例としては、安定化剤としてキノ
ン抑制剤の使用(特公昭38−3595号公報)、シュウ酸の
使用(特公昭47−32751号公報)、キレート化剤により
嫌気性接着剤中に微量に存在する重金属イオンの影響を
除去して安定化する方法(特公昭49−31306号公報、同5
1−20555号公報)、ニトロソフェノール類を安定化剤と
して使用する方法(特公昭61−42757号公報)等があ
る。
ン抑制剤の使用(特公昭38−3595号公報)、シュウ酸の
使用(特公昭47−32751号公報)、キレート化剤により
嫌気性接着剤中に微量に存在する重金属イオンの影響を
除去して安定化する方法(特公昭49−31306号公報、同5
1−20555号公報)、ニトロソフェノール類を安定化剤と
して使用する方法(特公昭61−42757号公報)等があ
る。
接着強度を改良した例としては、分子中にカルボキシル
基を有する(メタ)アクリレート単量体を用いる方法
(特公昭52−41317号公報、同54−12942号公報)、重合
性酸性リン酸エステルを添加する方法(特公昭52−3969
4号公報、特開昭58−83075号公報)、ポリリン酸を添加
する方法(特開昭60−32868号公報)等がある。
基を有する(メタ)アクリレート単量体を用いる方法
(特公昭52−41317号公報、同54−12942号公報)、重合
性酸性リン酸エステルを添加する方法(特公昭52−3969
4号公報、特開昭58−83075号公報)、ポリリン酸を添加
する方法(特開昭60−32868号公報)等がある。
更に、不活性表面を有する被着体に対する接着性の改良
は主に、金属石けん(特公昭38−3595号公報)や有機イ
ソシアネート化合物(特公昭45−9680号公報)等で被着
体を前処理する方法がとられてきた。
は主に、金属石けん(特公昭38−3595号公報)や有機イ
ソシアネート化合物(特公昭45−9680号公報)等で被着
体を前処理する方法がとられてきた。
これらの方法は、いずれも嫌気性接着剤の性能を向上さ
せる上で有効な方法であるが、先に述べたような要求を
全て満たすものでなく以下のような欠点を有している。
即ち、キノン抑制剤は接着速度を速めるために強力な重
合促進剤を使用した系ではほとんど安定化効果はなく、
保存安定化を高めるために多量に使用した場合は、接着
速度や接着強度が低下する。シュウ酸は優れた安定化効
果を示すが、ステンレス、クロムメッキ等の不活性表面
を有する被着体に対しては接着性が大幅に低下し、場合
によっては接着しなくなる。また、破壊トルク強度を高
める目的で分子中にカルボキシル基を有する((メタ)
アクリレート単量体を使用した場合、特公昭54−12942
号公報に記載の如く(メタ)アクリレート単量体の沸点
が250℃以上のものは皮膚刺激性は少なくなるが、被着
体の金属表面を腐食する等の欠点を有してしる。重合性
酸性リン酸エステルの添加は、得られる嫌気性接着剤の
接着速度を低下させ、特公昭52−39694号公報に記載の
如く高温での加熱硬化を必要とする。ポリリン酸の添加
は嫌気性接着剤の安定性と接着強度を向上させるが、最
近の焼きつき防止やメッキ等の金属表面処理技術の進歩
により、被着体の表面状態が変化してステンレス、クロ
ムメッキ等の不活性表面を有する被着体に対しては接着
速度が非常に遅くなることが判明した。この傾向は、ポ
リリン酸を添加した系で更に安定性を良くするために、
キレト化剤やニトロソフェノール類を併用した場合も同
様であり、保存安定性、接着強度は良好であるが、不活
性表面を有する被着体に対して接着速度が遅いという欠
点が生じる。
せる上で有効な方法であるが、先に述べたような要求を
全て満たすものでなく以下のような欠点を有している。
即ち、キノン抑制剤は接着速度を速めるために強力な重
合促進剤を使用した系ではほとんど安定化効果はなく、
保存安定化を高めるために多量に使用した場合は、接着
速度や接着強度が低下する。シュウ酸は優れた安定化効
果を示すが、ステンレス、クロムメッキ等の不活性表面
を有する被着体に対しては接着性が大幅に低下し、場合
によっては接着しなくなる。また、破壊トルク強度を高
める目的で分子中にカルボキシル基を有する((メタ)
アクリレート単量体を使用した場合、特公昭54−12942
号公報に記載の如く(メタ)アクリレート単量体の沸点
が250℃以上のものは皮膚刺激性は少なくなるが、被着
体の金属表面を腐食する等の欠点を有してしる。重合性
酸性リン酸エステルの添加は、得られる嫌気性接着剤の
接着速度を低下させ、特公昭52−39694号公報に記載の
如く高温での加熱硬化を必要とする。ポリリン酸の添加
は嫌気性接着剤の安定性と接着強度を向上させるが、最
近の焼きつき防止やメッキ等の金属表面処理技術の進歩
により、被着体の表面状態が変化してステンレス、クロ
ムメッキ等の不活性表面を有する被着体に対しては接着
速度が非常に遅くなることが判明した。この傾向は、ポ
リリン酸を添加した系で更に安定性を良くするために、
キレト化剤やニトロソフェノール類を併用した場合も同
様であり、保存安定性、接着強度は良好であるが、不活
性表面を有する被着体に対して接着速度が遅いという欠
点が生じる。
以上のことから、保存安定性、各種材質に対する接着速
度、接着強度等の全ての点において優れた性能の嫌気性
接着剤の開発が強く望まれている。
度、接着強度等の全ての点において優れた性能の嫌気性
接着剤の開発が強く望まれている。
本発明は、保存安定性および各種材質に対する接着速
度、接着強度の優れた各種性能面でのバランスのとれた
嫌気性接着剤を提供することを目的とする。
度、接着強度の優れた各種性能面でのバランスのとれた
嫌気性接着剤を提供することを目的とする。
本発明者等は前記問題点を解決するため鋭意検討の結
果、特定の二価の有機スズ化合物を嫌気重合可能な単量
体、有機過酸化物、重合促進剤からなる溶液に単に添加
するだけで、得られる嫌気性接着剤の接着性を保持した
まま保存安定性が著しく改善されることを見出した。更
に、より安定性を向上させるためのシュウ酸や、保存安
定性と接着強度を向上させるためのポリリン酸等を添加
した系でも、該スズ化合物の存在によって保存安定性は
もとより、不活性表面を有するステンレス、クロムメッ
キ等の被着体に対する接着性も非常に良好であることを
見出し本発明に至ったものである。即ち、本発明は嫌気
性接着剤な単量体、有機過酸化物、重合促進剤からな
る、空気の存在下では硬化しないが空気を遮断すること
により硬化する一液性の嫌気性接着剤において、該嫌気
性接着剤の総量に対して少なくとも0.01重量%の下記一
般式(1) R1COOSnOOCR2 ……………(1) (式中、R1,R2はC1〜C20のアルキル基を示す。) で表わされる二価の有機スズ化合物が添加されているこ
とを特徴とする保存安定性と接着性に優れた嫌気性接着
剤に関するものである。
果、特定の二価の有機スズ化合物を嫌気重合可能な単量
体、有機過酸化物、重合促進剤からなる溶液に単に添加
するだけで、得られる嫌気性接着剤の接着性を保持した
まま保存安定性が著しく改善されることを見出した。更
に、より安定性を向上させるためのシュウ酸や、保存安
定性と接着強度を向上させるためのポリリン酸等を添加
した系でも、該スズ化合物の存在によって保存安定性は
もとより、不活性表面を有するステンレス、クロムメッ
キ等の被着体に対する接着性も非常に良好であることを
見出し本発明に至ったものである。即ち、本発明は嫌気
性接着剤な単量体、有機過酸化物、重合促進剤からな
る、空気の存在下では硬化しないが空気を遮断すること
により硬化する一液性の嫌気性接着剤において、該嫌気
性接着剤の総量に対して少なくとも0.01重量%の下記一
般式(1) R1COOSnOOCR2 ……………(1) (式中、R1,R2はC1〜C20のアルキル基を示す。) で表わされる二価の有機スズ化合物が添加されているこ
とを特徴とする保存安定性と接着性に優れた嫌気性接着
剤に関するものである。
嫌気重合可能な単量体としては、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールロパントリ(メタ)
アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA・エチレンオキサイド付加物のジ(メ
タ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)ア
クリレート類、ジフェニル(メタ)アクリロイルオキシ
エチルフォスフェート、ジブチル(メタ)アクリロイル
オキシエチルフォスフェート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート
類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、エポキシ化
合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られるエポキシ
(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル基を分子中
に含有する可溶性エラストマー類、およびヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシクロルプロピル(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート等の水酸基を有するモノ(メタ)アクリレー
ト類等があげられ、一種または二種以上を組み合わせて
用いることができる。また、以上の嫌気重合性単量体の
他に、耐熱性を向上させる目的でトリス(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタ)
アクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、ジアリル
フタレート、フェニルマレイミド等の単量体を一部併用
することもできる。
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールロパントリ(メタ)
アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールA・エチレンオキサイド付加物のジ(メ
タ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)ア
クリレート類、ジフェニル(メタ)アクリロイルオキシ
エチルフォスフェート、ジブチル(メタ)アクリロイル
オキシエチルフォスフェート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート
類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、エポキシ化
合物に(メタ)アクリル酸を付加して得られるエポキシ
(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル基を分子中
に含有する可溶性エラストマー類、およびヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシクロルプロピル(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート等の水酸基を有するモノ(メタ)アクリレー
ト類等があげられ、一種または二種以上を組み合わせて
用いることができる。また、以上の嫌気重合性単量体の
他に、耐熱性を向上させる目的でトリス(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタ)
アクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、ジアリル
フタレート、フェニルマレイミド等の単量体を一部併用
することもできる。
有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド類、ケ
トンパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、
ジアシルパーオキサイド類およびパーオキシエステル類
等があげられるが、特にt−ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイド
ロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類が最も
好適である。添加量は嫌気重合性単量体100重量部に対
して0.1〜1重量部が適当である。
トンパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、
ジアシルパーオキサイド類およびパーオキシエステル類
等があげられるが、特にt−ブチルハイドロパーオキサ
イド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイド
ロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類が最も
好適である。添加量は嫌気重合性単量体100重量部に対
して0.1〜1重量部が適当である。
重合促進剤としては、O−ベンゾイックスルフィミドが
代表的であり、これと複素環第2級アミン、複素環第3
級アミン、芳香族第3級アミン、アリールスルホニルヒ
ドラジドおよび水から選ばれる1種または2種以上との
組み合わせが好適である。添加量は、嫌気重合性単量体
100重量部に対して合計0.2〜10重量部が好ましい。
代表的であり、これと複素環第2級アミン、複素環第3
級アミン、芳香族第3級アミン、アリールスルホニルヒ
ドラジドおよび水から選ばれる1種または2種以上との
組み合わせが好適である。添加量は、嫌気重合性単量体
100重量部に対して合計0.2〜10重量部が好ましい。
本発明で使用される二価の有機スズ化合物は次の式
(1) R1COOSnOOCR2 ……………(1) (式中、R1,R2はC1〜C20のアルキル基を示す。) であらわされ、具体的には酢酸第一スズ、オレイン酸第
一スズおよびオクチル酸第一スズなどがあげられる。添
加量は、前述の嫌気重合性単量体、有機過酸化物および
重合促進剤からなる嫌気性接着剤の総量に対して少なく
とも0.01重量%以上である。これ未満の量では本発明の
目的とする効果が充分得られない。一般的に嫌気性接着
剤は空気遮断効果と被着体の金属との接触による酸化還
元系の形成によって硬化が進むとされており、従って金
属化合物の添加は本来保存安定性を著しく悪くするので
あるが、本発明のスズ化合物の場合は全く別の作用効果
を示す。即ち、極く少量の添加で嫌気性接着剤の保存安
定性が著しく向上し、室温で長期保存してもゲル化や増
粘をひき起こさない。また、安定化効果に加えて接着性
についても優れた効果を発揮する。即ち、嫌気性接着剤
の安定性や接着強度等の性能をより高めるために、シュ
ウ酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル等の各種添加剤
が添加されるが、これによって逆に、最近のステンレス
やメッキ材質等の不活性金属には接着速度が著しく遅く
なる傾向がある。この場合にも本発明の有機スズ化合物
が共存していれば接着速度は低下せず、不活性金属には
もとより各種材質に対しても良好な接着速度を有するも
のである。接着性に対する効果については、本発明以外
のスズ化合物、たとえば、ジブチルスズジラウレート、
テトラ−n−ブチルスズ等の四価のスズ化合物にもみら
れることを本発明者等は見出したが、安定性と接着性の
両者に効果を有するのは本発明の二価の有機スズ化合物
に特有のものである。
(1) R1COOSnOOCR2 ……………(1) (式中、R1,R2はC1〜C20のアルキル基を示す。) であらわされ、具体的には酢酸第一スズ、オレイン酸第
一スズおよびオクチル酸第一スズなどがあげられる。添
加量は、前述の嫌気重合性単量体、有機過酸化物および
重合促進剤からなる嫌気性接着剤の総量に対して少なく
とも0.01重量%以上である。これ未満の量では本発明の
目的とする効果が充分得られない。一般的に嫌気性接着
剤は空気遮断効果と被着体の金属との接触による酸化還
元系の形成によって硬化が進むとされており、従って金
属化合物の添加は本来保存安定性を著しく悪くするので
あるが、本発明のスズ化合物の場合は全く別の作用効果
を示す。即ち、極く少量の添加で嫌気性接着剤の保存安
定性が著しく向上し、室温で長期保存してもゲル化や増
粘をひき起こさない。また、安定化効果に加えて接着性
についても優れた効果を発揮する。即ち、嫌気性接着剤
の安定性や接着強度等の性能をより高めるために、シュ
ウ酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル等の各種添加剤
が添加されるが、これによって逆に、最近のステンレス
やメッキ材質等の不活性金属には接着速度が著しく遅く
なる傾向がある。この場合にも本発明の有機スズ化合物
が共存していれば接着速度は低下せず、不活性金属には
もとより各種材質に対しても良好な接着速度を有するも
のである。接着性に対する効果については、本発明以外
のスズ化合物、たとえば、ジブチルスズジラウレート、
テトラ−n−ブチルスズ等の四価のスズ化合物にもみら
れることを本発明者等は見出したが、安定性と接着性の
両者に効果を有するのは本発明の二価の有機スズ化合物
に特有のものである。
本発明においては更に必要に応じて、着色剤、増粘剤、
チクソトロピック剤、可塑剤、光増感剤、酸化防止剤等
を適量混合することも可能である。次に本発明を実施
例、比較例によって更に詳細に説明する。尚、部は全て
重量部を示す。
チクソトロピック剤、可塑剤、光増感剤、酸化防止剤等
を適量混合することも可能である。次に本発明を実施
例、比較例によって更に詳細に説明する。尚、部は全て
重量部を示す。
〔実施例1〜7、比較例1〜10〕 嫌気重合性単量体としては、ヒドロキシプロピルメタク
リレートとビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物のジメタクリレート1:1混合物100部、重合開始剤とし
てクメンハイドロパーオキサイド0.3部および表1記載
の硬化促進剤、安定剤および有機スズ化合物おり嫌気性
接着剤を調製した。得られた嫌気性接着剤について、82
℃ゲル化安定性、鉄、クロムメッキ、ステンレスのボル
ト・ナットへの接着試験を行った結果を表1に示す。表
1、比較例1〜10で明らかな如く、安定剤を使用しない
が、ヒドロキノンの如きキノン類を安定剤として用いた
場合は短時間でゲル化している。シュウ酸を安定剤とし
て用いた場合、安定性は向上しているがクロムメッキは
全く接着しなくなり、ステンレスに対しても接着速度が
遅くなっている。また、四価の有機スズ化合物やシュウ
酸第一スズの如き環状構造を有する二価の有機スズ化合
物を用いた場合、各種材質に対する接着性は良好である
がゲル化安定性が著しく悪くなっている。これに対して
実施例1〜7の如く、本発明の二価の有機スズ化合物を
0.01重量%以上用いた場合は、安定性、各種材質に対す
る接着性共に良好である。
リレートとビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物のジメタクリレート1:1混合物100部、重合開始剤とし
てクメンハイドロパーオキサイド0.3部および表1記載
の硬化促進剤、安定剤および有機スズ化合物おり嫌気性
接着剤を調製した。得られた嫌気性接着剤について、82
℃ゲル化安定性、鉄、クロムメッキ、ステンレスのボル
ト・ナットへの接着試験を行った結果を表1に示す。表
1、比較例1〜10で明らかな如く、安定剤を使用しない
が、ヒドロキノンの如きキノン類を安定剤として用いた
場合は短時間でゲル化している。シュウ酸を安定剤とし
て用いた場合、安定性は向上しているがクロムメッキは
全く接着しなくなり、ステンレスに対しても接着速度が
遅くなっている。また、四価の有機スズ化合物やシュウ
酸第一スズの如き環状構造を有する二価の有機スズ化合
物を用いた場合、各種材質に対する接着性は良好である
がゲル化安定性が著しく悪くなっている。これに対して
実施例1〜7の如く、本発明の二価の有機スズ化合物を
0.01重量%以上用いた場合は、安定性、各種材質に対す
る接着性共に良好である。
尚、各接着剤の性能試験はJAI−6−1979に準じて次の
ように行った。
ように行った。
○82℃ゲル化安定性 嫌気性接着剤約5gをガラス製試験管に入れ、82℃温浴中
で時々振りながら増粘およびゲル化の有無を観察した。
100分以上異常がなければその接着剤は室温で1年以上
安定であり、逆に20分以内に増粘やゲル化を引き起こす
ものは室温短時間でゲル化することを本発明者等は確認
している。
で時々振りながら増粘およびゲル化の有無を観察した。
100分以上異常がなければその接着剤は室温で1年以上
安定であり、逆に20分以内に増粘やゲル化を引き起こす
ものは室温短時間でゲル化することを本発明者等は確認
している。
○セットタイム M10のボルトのネジすじ上に接着剤を塗布し、ナットを
ねじこんで締めつけトルクを加えない状態で23℃で放置
し、接着の開始によってナットが手で動かなくなるまで
の時間を測定し、セットタイムとした。
ねじこんで締めつけトルクを加えない状態で23℃で放置
し、接着の開始によってナットが手で動かなくなるまで
の時間を測定し、セットタイムとした。
○戻しトルク強度 同上の接着したボルト・ナットを更に23℃で24時間放置
した後、トルクレンチにて破壊トルク強度および脱出ト
ルク強度を測定した。破壊トルク強度は、回転によって
最初に接着が破壊される時のトルクを示し、脱出トルク
強度はその後1/4、1/2、3/4、1回転時のそれぞれのト
ルクの平均値とした。
した後、トルクレンチにて破壊トルク強度および脱出ト
ルク強度を測定した。破壊トルク強度は、回転によって
最初に接着が破壊される時のトルクを示し、脱出トルク
強度はその後1/4、1/2、3/4、1回転時のそれぞれのト
ルクの平均値とした。
〔実施例8〜10、比較例11〜17〕 嫌気重合性単量体としてテトラエトレングリコールジメ
タクリレート100部、重合開始剤としてクメンハイドロ
パーオキサイド0.3部、硬化促進剤としてO−ベンゾイ
ックスフィミド0.87部と1,2,3,4−テトラヒドロキノリ
ン0.63部および表2記載の有機スズ化合物と安定剤より
嫌気性接着剤を調製した。得られた嫌気性接着剤の物性
を測定した結果を表2に示す。表1の場合と同様に、本
発明の有機スズ化合物を用いた実施例8〜10の組成の
み、保存安定性と接着性の両者に優れていることが明ら
かである。
タクリレート100部、重合開始剤としてクメンハイドロ
パーオキサイド0.3部、硬化促進剤としてO−ベンゾイ
ックスフィミド0.87部と1,2,3,4−テトラヒドロキノリ
ン0.63部および表2記載の有機スズ化合物と安定剤より
嫌気性接着剤を調製した。得られた嫌気性接着剤の物性
を測定した結果を表2に示す。表1の場合と同様に、本
発明の有機スズ化合物を用いた実施例8〜10の組成の
み、保存安定性と接着性の両者に優れていることが明ら
かである。
〔実施例11〜15、比較例18〜22〕 表3に示す組成の有機スズ化合物、各種安定剤および強
度付与剤を添加した嫌気性接着剤を調製し、物性を測定
した結果を表4に示す。表4、比較例18〜22から明らか
な如く、安定剤兼強度付与剤としてポリリン酸を添加し
た場合、破壊トルク強度は向上するがクロムメッキに対
する接着速度が遅くなっている。また、ヒドロキシクロ
ルプロピルメタクルレートの酸性リン酸エステルを強度
付与剤として使用した場合、クロムメッキに対する接着
速度、安定性共に不良である。これに対して、実施例11
〜15で示された如く、本発明の有機スズ化合物が共存す
ることによって接着性、安定性共良好である。
度付与剤を添加した嫌気性接着剤を調製し、物性を測定
した結果を表4に示す。表4、比較例18〜22から明らか
な如く、安定剤兼強度付与剤としてポリリン酸を添加し
た場合、破壊トルク強度は向上するがクロムメッキに対
する接着速度が遅くなっている。また、ヒドロキシクロ
ルプロピルメタクルレートの酸性リン酸エステルを強度
付与剤として使用した場合、クロムメッキに対する接着
速度、安定性共に不良である。これに対して、実施例11
〜15で示された如く、本発明の有機スズ化合物が共存す
ることによって接着性、安定性共良好である。
実施例、比較例で明らかな如く、嫌気性接着剤に特定の
二価の有機スズ化合物を添加することにより、保存安定
性が良好となり、各種材質の金属に対して著しく接着性
が改善された。
二価の有機スズ化合物を添加することにより、保存安定
性が良好となり、各種材質の金属に対して著しく接着性
が改善された。
Claims (1)
- 【請求項1】嫌気重合可能な単量体、有機過酸化物およ
び重合促進剤からなる空気の存在下では硬化しないが、
空気を遮断することにより硬化する一液性の嫌気性接着
剤において、該嫌気性接着剤の総量に対して少なくとも
0.01重量%の下記一般式(1) R1COOSnOOCR2 ……………(1) (式中、R1,R2はC1〜C20のアルキル基を示す。) で示される二価の有機スズ化合物が添加されていること
を特徴とする保存安定性と接着性に優れた嫌気性接着
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5203387A JPH0781116B2 (ja) | 1987-03-09 | 1987-03-09 | 安定性と接着性に優れた嫌気性接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5203387A JPH0781116B2 (ja) | 1987-03-09 | 1987-03-09 | 安定性と接着性に優れた嫌気性接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63218781A JPS63218781A (ja) | 1988-09-12 |
JPH0781116B2 true JPH0781116B2 (ja) | 1995-08-30 |
Family
ID=12903499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5203387A Expired - Fee Related JPH0781116B2 (ja) | 1987-03-09 | 1987-03-09 | 安定性と接着性に優れた嫌気性接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0781116B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115949811A (zh) * | 2022-12-07 | 2023-04-11 | 毫厘机电(苏州)有限公司 | 能够提升粘合剂塑化强度的水接头结构及其工艺方法 |
-
1987
- 1987-03-09 JP JP5203387A patent/JPH0781116B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63218781A (ja) | 1988-09-12 |
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Legal Events
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