JPH078088A - コンバインの分草装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 分草杆の姿勢切り換え装置を、軽快に操作す
る。 【構成】 分草姿勢切り換え装置１０を、操縦席５ａ近
くの位置に揺動操作自在に設けた揺動操作レバー１５
と、その揺動操作レバー１５と分草杆９とを機械的に連
係する連係機構１６とから構成し、この連係機構１６中
に、揺動操作レバー１５の操作位置に拘らず所定以上の
外力の作用で、分草作用姿勢にある分草杆９の格納姿勢
側への姿勢変化を許す融通部２１を設けるとともに、分
草杆９の格納姿勢位置と分草作用姿勢位置との間におけ
る揺動操作レバー１５の揺動操作を、分草杆９側に対し
て伝達する連動状態と、分草杆９の位置とは関係なく揺
動操作レバー１５の揺動操作位置を変更可能な非連動状
態とに切り換え自在な連動状態変更機構２２を設けてあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、農作業用に用いられる
コンバインの分草装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のコンバインで用いられている一
般的な分草装置は、分草杆の姿勢を変更するための分草
姿勢切り換え装置を分草杆の取り付け位置近くに配設し
ていたため、分草杆の姿勢変更の必要が生じる都度、操
縦者が機体の既刈側に設けられている操縦部から降り
て、機体の未刈側に廻り込んで姿勢変更操作を行なわな
ければならないという煩わしさがあった。このような不
便を解消するために従来では、前記分草杆の姿勢を変更
するための分草姿勢切り換え装置を、手動操作用の揺動
操作レバーと、分草杆とを機械的に連動連結することに
よって構成し、かつ、その揺動操作レバーを運転席から
手の届く範囲に配設することによって、運転席に位置し
たままで分草杆の姿勢変更を行えるようにしていた（例
えば、実開昭６４−２４９３０号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来構造のよう
に、分草杆と揺動操作レバーとを機械的に連係した従来
のものは、雑草や藁屑などの夾雑物や泥土が多量に付着
しやすい分草杆の姿勢変更装置を、伝動モータや油圧機
構などの駆動手段を用いて構成する場合に比べて、部品
点数少なく、格別の駆動手段を要さず構造的に簡素に構
成することができる点で有利である。上記構造の従来の
コンバインでは、分草杆と揺動操作レバーとを機械的に
連係するにあたり、作業中の畦との衝突や仕切り壁など
と衝突により分草杆が破損、あるいは変形してしまうよ
うな不都合を避けるため、分草杆の揺動自在な支持構造
部分に摩擦板と付勢バネとを用いた摩擦保持構造を採用
していた。このため、この種の従来の分草装置では、分
草杆の姿勢切り換え操作が重く、軽快な操作を望みにく
いものであった。又、揺動操作レバーを分草杆の作用姿
勢に切り換えたとき、そのレバーの一部が引き起こし装
置の上部から突出するなど、刈り取り搬送茎稈の引き起
こし搬送の弊害になったり、その突出によって他物と接
触しやすくなるなどの問題があった。本発明の目的は、
操縦部に位置したままで分草杆の姿勢切り換えを行うた
めの分草姿勢切り換え装置を備えたコンバインの分草装
置において、揺動操作レバーと分草杆との機械的な連係
構造をもつ分草姿勢切り換え装置を、軽快に操作するこ
とができ、しかも、簡単な構成で、かつ、揺動操作レバ
ーが他物と接触することを避けやすい構造によって構成
することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の技術手段は、走行機体の未刈側の側部
に、機体横外側方に張り出した分草作用姿勢と走行機体
側に引き寄せられた格納姿勢とに姿勢切り換え自在な分
草杆を配設してあるとともに、前記分草杆の姿勢を前記
各姿勢に切り換え操作する分草姿勢切り換え装置を備え
ているコンバインの分草装置において、前記分草姿勢切
り換え操作装置を、操縦部近く位置に揺動操作自在に設
けた揺動操作レバーと、その揺動レバーと前記分草杆と
を機械的に連係する連係機構とから構成し、この連係機
構中に、前記揺動操作レバーの操作位置に拘らず所定以
上の外力の作用で、前記分草作用姿勢にある分草杆の前
記格納姿勢側への姿勢変化を許す融通部を設けるととも
に、前記分草杆の格納姿勢位置と分草作用姿勢位置との
間における揺動操作レバーの揺動操作を、前記分草杆側
に対して伝達する連動状態と、分草杆の位置とは関係な
く揺動操作レバーの揺動操作位置を変更可能な非連動状
態とに切り換え自在な連動状態変更機構を設けたことで
ある。

【０００５】

【作用】上記の技術手段を講じたことによる作用は次の
通りである。 ａ．分草杆と揺動操作レバーとを機械的に連係したもの
でありながら、その連係機構中に、揺動操作レバーの操
作位置に拘らず所定以上の外力の作用で、前記分草作用
姿勢にある分草杆の前記格納姿勢側への姿勢変化を許す
融通部を備えたものであるから、分草杆が畦などの他物
に接触しても、所定以上の外力を受けると格納姿勢側に
姿勢変化する。 ｂ．又、連係機構中に、揺動操作レバーの揺動操作を分
草杆側に対して伝達する連動状態と、分草杆の位置とは
関係なく揺動操作レバーの揺動操作位置を変更可能な非
連動状態とに切り換え自在な連動状態変更機構を設けて
あるので、分草杆を格納姿勢から分草作用姿勢に姿勢変
更するために、一旦、揺動操作レバーを引き起こし装置
から上方あるいは側方に大きくはみ出す状態に操作して
も、その後に、揺動操作レバーを分草杆に対して非連動
状態にして、他物との干渉を避けやすい引き起こし装置
の裏面側箇所などの位置に、隠れる状態となるように操
作位置を変更できる。 ｃ．分草杆の姿勢に影響を与えることなく揺動操作レバ
ーの操作姿勢を変更して、常に引き起こし装置の裏面側
などに隠れる状態とすることができるので、揺動操作レ
バーそのものを、他物との引っかかりを考慮して短く構
成する必要なく、充分に長くして、極力操縦部に近づけ
た状態に構成することができる。

【０００６】

【発明の効果】上記技術手段を講じた本発明の効果は次
の通りである。 イ．揺動操作レバーを分草杆との非連動状態にして引き
起こし装置裏面側に隠れる状態に操作位置を変更できる
ので、揺動操作レバーに対する他物の引っかかりを抑制
できる。つまり、揺動操作レバーを、分草杆の作用姿勢
でも格納姿勢でも、その分草杆の姿勢に係わりなく他物
との接触を避け易い位置に退避させることができる。 ロ．揺動操作レバーを充分長くして、そのレバー比を充
分大きくすることができるとともに、そのレバーの延出
端を操縦席に充分近づけて構成することができるので、
操縦部からの操作を楽に軽快に行いやすい利点がある。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面の記載に基づ
いて説明する。図１〜図３は、本発明のコンバインの分
草装置の一実施例を示し、左右一対のクローラ式走行装
置１上の機枠２に脱穀選別装置４、及び操縦部５などを
搭載設置し、その前方位置に、引き起こし装置６、刈り
取り装置７、及び縦搬送装置８などからなる前処理装置
３が上下昇降調節自在に設けられた、周知の自脱型の二
条刈コンバインに、後述する分草装置を取り付けたもの
である。

【０００８】前記分草装置は、機体の未刈側において、
前処理装置３における引き起こし装置６の前端部近くか
ら、走行装置１の後端部にわたって設けられた分草杆９
と、その分草杆９の姿勢を、機体横外側方に張り出した
分草作用姿勢と、機体側に引き寄せた格納姿勢とに切り
換え操作するための分草姿勢切り換え装置１０とから構
成されている。前記分草杆９は、図１に示すように、前
端部がフック状に曲げられ、引き起こし装置６の前端近
くの分草具支持杆１１に前後軸芯Ｐ１まわりで回動自在
に枢支されているとともに、後端部が、走行装置１の後
端部近くで機枠２に対して、別の前後軸芯Ｐ２まわりで
回動自在に枢支され、かつ、その中間部が、伸縮調節可
能な揺動部材１２に連結されている。この揺動部材１２
は、引き起こし装置６への入力用伝動ケース１３の下端
部近くに設けた取り付けブラケット１４に揺動自在に枢
着され、かつ、取り付けブラケット１４に形成された円
弧状長孔１４ａに揺動部材１２と一体の連結ピン１２ａ
を挿入し、その連結ピン１２ａと前記取り付けブラケッ
ト１４との間で、前記連結ピン１２ａに一端側を反力受
けされたバネの付勢力によって、前記取り付けブラケッ
ト１４に摩擦板を押し付け付勢するように構成してあ
り、取り付けブラケットに対する相対姿勢が摩擦により
保持されるように構成してある。

【０００９】前記分草姿勢切り換え装置１０は、操縦部
５に設けられた操縦席５ａに座る操縦者の手が届く範囲
に設けられた揺動操作レバー１５と、その揺動操作レバ
ー１５と前記分草杆９とを連係する連係機構１６とから
構成されている。前記揺動操作レバー１５は、引き起こ
し装置６の裏面側で前記入力用伝動ケース１３の上端部
に連設したレバーケーシング１７内の枢支軸１８に揺動
操作自在に枢支されている。前記連係機構１６は、前記
レバーケーシング１７内で、揺動操作レバー１５の枢支
軸１８に遊嵌された操作盤１９と、その操作盤１９に一
端側を連結したロッド２０と、そのロッド２０の他端側
に連結されている前記揺動部材１２とから構成され、か
つ、その連係機構１６中に、後述する融通部２１と連動
状態変更機構２２とを設けてある。連係機構１６中の融
通部２１は、前記揺動部材１２を摩擦保持する機構（バ
ネ及び摩擦板）で構成してある。この融通部２１は、前
記揺動部材１２を摩擦保持する機構部分での摩擦抵抗
が、所定以上の外力、すなわち、通常の分草作用によっ
て生じる程度の外力よりは大きく、かつ、分草杆９が損
傷あるいは変形するような大きな外力よりは小さく設定
されていて、前記の大きな外力が作用したときに、揺動
部材１２及びそれに連結されている分草杆９が格納姿勢
側に変位することを許すように構成されている。

【００１０】又、前記連動状態変更機構２２は、前記揺
動操作レバー１５の筒状の杆身の内部に軸線方向で移動
自在な操作体２３を内装するとともに、前記操作盤１９
側に、前記操作体２３の一部に形成された係止突起２３
ａが係入するガイド溝２４を形成することによって構成
されている。つまり、前記ガイド溝２４は、前記レバー
ケーシング１７内に設置した枢支軸１８の半径方向に沿
う第１溝２４ａと周方向に沿う第２溝２４ｂとで構成さ
れ、前記係止突起２３ａが第１溝２４ａに係入している
ときに揺動操作レバー１５と操作盤１９とが一体的に揺
動操作される連動状態となり、前記係止突起２３ａが第
２溝２４ｂに位置しているときには、揺動操作レバー１
５と操作盤１９とが、相対揺動可能な非連動状態となる
ように構成されている。

【００１１】上記のように構成された分草姿勢切り換え
装置１０の用い方について、図４に基づいて説明する。 [1] つまり、図４（イ）に示すように、揺動操作レバー
１５をほぼ水平に位置させた状態では、分草杆９は格納
姿勢に操作された状態にあり、操作体２３の係止突起２
３ａはガイド溝２４の第１溝２４ａに係入している。こ
の状態から揺動操作レバー１５を持ち上げると、揺動操
作レバー１５と操作盤１９とは、図４（ロ）に示すよう
に一体に揺動して、分草杆９は、分草作用姿勢に切り換
えられる。 [2] 次に、操作体２３の頭部を押して係止突起２３ａを
第２溝２４ｂに移行させると、図４（ハ）に示すよう
に、操作盤１９は動かさずに、揺動操作レバー１５だけ
を第２溝２４ｂの他端側に移行させることができる。こ
の状態では、分草杆９が前記の分草作用姿勢にあるに拘
らず、揺動操作レバー１５を、見かけ上分草杆９の格納
姿勢操作位置に相当する、ほぼ水平姿勢に復帰させられ
る。 [3] 上記[2] の状態で、分草杆９に所定以上の外力が作
用すれば、揺動操作レバー１５はレバーケーシング１７
の開口端ａで位置規制され、前記係止突起２３ａは第２
溝２４ｂに位置しているため、操作盤１９だけが図４
（イ）の状態に強制復帰させられることになる。 [4] 又、上記[2] の状態で、分草杆９に前記のような所
定以上の外力が作用しなかった場合には、分草杆９を格
納姿勢に戻すため、揺動操作レバー１５を図４（ロ）の
位置に操作する。このとき係止突起２３ａは第２溝２４
ｂに位置していた状態から、第２溝２４ｂ端部に達する
と、操作体２３の戻しバネ２５の作用で第１溝２４ａに
移行させられる。従って、係止突起２３ａが第１溝２４
ａに移行した後に揺動操作レバー１５を操作すれば、揺
動操作レバー１５と操作盤１９とを一体に操作し、図４
（イ）の状態とすることができる。

【００１２】〔別実施例〕 (1) 前記連動状態変更機構２２は、操作体２３とガイド
溝２４の係合に限らず、揺動操作レバー１５と操作盤１
９との係脱を任意に行える構造であれば如何なる構成を
採用してもよく、例えば、揺動操作レバー１５と操作盤
１９とを所定の位置で互いに係合させるとともに、揺動
操作レバー１５を操作盤１９に対する遠近方向に弾性変
位自在に構成し、操作盤１９に対する揺動操作レバー１
５の離間方向への動きで互いの係合を解除できるように
して、揺動操作レバー１５の相対回動を可能に構成する
などの任意の構成を採用してもよい。 (2) 前記融通部２１は、揺動部材１２に対して付設する
構造に限らず、操作盤１９の揺動に摩擦抵抗与える構造
など、分草杆９の分草作用姿勢を保持し得る構成であれ
ば、いかなる構造を採用してもよい。

【００１３】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの全体を示す側面図

【図２】分草姿勢切り換え装置の全体を示す背面図

【図３】連動状態変更機構の部分断面図

【図４】連動状態変更機構の作用説明図

【符号の説明】

９ 分草杆 １０ 分草姿勢切り換え装置 １５ 揺動操作レバー １６ 連係機構 ２１ 融通部 ２２ 連動状態変更機構

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体の未刈側の側部に、機体横外
   側方に張り出した分草作用姿勢と走行機体側に引き寄せ
   られた格納姿勢とに姿勢切り換え自在な分草杆（９）を
   配設してあるとともに、前記分草杆（９）の姿勢を前記
   各姿勢に切り換え操作する分草姿勢切り換え装置（１
   ０）を備えているコンバインの分草装置であって、 前記分草姿勢切り換え装置（１０）を、操縦部５近く位
   置に揺動操作自在に設けた揺動操作レバー（１５）と、
   その揺動操作レバー（１５）と前記分草杆（９）とを機
   械的に連係する連係機構（１６）とから構成し、この連
   係機構（１６）中に、前記揺動操作レバー（１５）の操
   作位置に拘らず所定以上の外力の作用で、前記分草作用
   姿勢にある分草杆（９）の前記格納姿勢側への姿勢変化
   を許す融通部（２１）を設けるとともに、前記分草杆
   （９）の格納姿勢位置と分草作用姿勢位置との間におけ
   る揺動操作レバー（１５）の揺動操作を、前記分草杆
   （９）側に対して伝達する連動状態と、分草杆（９）の
   位置とは関係なく揺動操作レバー（１５）の揺動操作位
   置を変更可能な非連動状態とに切り換え自在な連動状態
   変更機構（２２）を設けてあるコンバインの分草装置。