JPH0780239B2 - フイルムの延伸方法及びその装置 - Google Patents

フイルムの延伸方法及びその装置

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JPH0780239B2
JPH0780239B2 JP63107561A JP10756188A JPH0780239B2 JP H0780239 B2 JPH0780239 B2 JP H0780239B2 JP 63107561 A JP63107561 A JP 63107561A JP 10756188 A JP10756188 A JP 10756188A JP H0780239 B2 JPH0780239 B2 JP H0780239B2
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cooling
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憲男 高木
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はフイルムの延伸方法及びその装置に関し、更に
詳しくはフイルムの走行安定性を高めたフイルムの延伸
方法及びその装置に関する。
〈従来技術〉 熱可塑性ポリマーのフイルムを長さ方向に延伸する一般
的な装置は、周速の異なる2組のロール群からなり、低
速側のロールは加熱し、高速側のロールは冷却する手段
を備えた装置である。走行フイルムは、この低速側のロ
ールで加熱され、ついで高速側のロールに至る間に延伸
され、続いて高速側ロールで冷却される。この場合、低
速側ロールによる加熱で走行フイルムを延伸温度まで高
める方式、いわゆるロール加熱方式と、該加熱を走行フ
イルムの余熱にとどめ、延伸ゾーンに赤外線ヒーターの
如き非抵触ヒーターを設けて該ヒーターでフイルムを延
伸温度に高める方式、いわゆる赤外線加熱方式とに分け
られる。
かかる延伸装置の高速側ロール(冷却ロール)は通常鏡
面に研磨されており、製膜速度すなわち延伸後のフイル
ム走行速度を高めて行くと、延伸されたフイルムが最初
の冷却ロール表面で小きざみに蛇行し、そして速度が早
くなるにつれて蛇行の幅が大きく、また蛇行速度も早く
なる傾向にある。このため、延伸フイルムをロール状に
巻く時、巻き上げたフイルムロールの端面は延伸速度に
比例して不揃いになり、又長さ方向に延伸した該フイル
ムを、引続いて、テンターにおいてフイルム端部をテン
タークリップで把持して幅方向に延伸する際、フイルム
の蛇行幅を事前に検知してクリップの位置が追随出来る
ように制御しているが、蛇行幅が大きかったり、蛇行速
度が速いとクリップ位置がその蛇行に追随出来ず、クリ
ップがフイルムを把持出来なかったり、把持位置が設定
以上にフイルムの中央寄りであったりすることがしばし
ば生じる。かかる把持不良を生じると、多くの場合フイ
ルムはテンター内で切断し、生産性での大きなマイナス
因となる。従って冷却ロール上でフイルムが蛇行しない
ような延伸装置が求められている。
この蛇行の原因は定かではないが、次の原因が推定され
る。すなわち、高速で走行する高温の延伸フイルムが冷
却ロールに最初に接触した時、フイルムと冷却ロールと
の間に空気が巻込まれるため均一な熱的接触が出来ず、
そのためフイルムに応力の斑を生じる。この時フイルム
とロール表面との間に空気の層があるため、この空気層
が潤滑作用を奏して蛇行する。
そして、蛇行を低減する一つの方策としては延伸フイル
ムが冷却ロールに均一な熱的接触をし、フイルムに応力
の斑を生じないこと、他の方策としては蛇行を容易にす
る潤滑層を排除することが考えられるが、いずれもフイ
ルムとロール間に巻込まれる空気層を除くことに工夫を
要する。
例えば、特開昭63−28626号は走行フイルムと冷却ロー
ルとの間に巻込まれる空気が完全に逃げきれないことに
起因する三角状欠点を解消する方法として、ロール表面
がセラミックであり、その表面粗さが0.02μRa2μ
の冷却ロールを用いることを提案している。セラミック
の多孔質性と表面の粗面化により、巻込み空気の排出を
容易にしている。
しかし、セラミックは一般に金属に比べて熱伝導率が低
く、多孔質性が高い程更に低下する傾向にあって、フイ
ルムを急速にしかも均一に冷却するには適当でない。高
速で延伸している時、フイルムが充分な早さで冷却され
ないと、ロールの表面でも延伸が継続し、延伸の斑を生
じたり、スリキズを生じる等の新たな問題を生じること
がある。
延伸フイルムの蛇行を軽減する他の方法は、特公昭37−
7143号で提案されている静電ピンニングの方法であり、
加熱ロール又は/及び冷却ロール上のフイルムに静電荷
を付加して、フイルムをロールに静電的に密着して蛇行
を防止するものである。この方法は延伸速度が遅い間は
蛇行の抑制効果を有するものの、それ以上の高速領域に
おいては静電気の密着作用でフイルムを密着することは
出来なくなり、期待する効果が得られない。
〈発明の目的〉 本発明の目的は、かかる従来方法及びその装置の問題を
軽減し、走行フイルムと冷却ロールとの空気層を効果的
に排除して、フイルムの走行を安定化し、横方向の均一
な延伸とテンター内でのフイルム切断を大幅に改善する
方法及びその装置を提供することにある。
〈発明の構成,効果〉 本発明の目的は、本発明によれば、 1.走行フイルムを低速加熱ロール群と高速冷却ロール群
の間で両者の周速差を利用して延伸する方法において、
延伸したフイルムを冷却する上記高速冷却ロール群の最
初のロールに、表面がマイクロクラック構造でかつ該マ
イクロクラックの真空漏洩法によって測定される通気抵
抗が1,000秒以下である冷却ロールを用いることを特徴
とするフイルムの延伸方法: 2.低速加熱ロール群と高速冷却ロール群とを設け、両者
の周速差を利用して走行フイルムを長手方向に延伸する
装置であって、該高速冷却ロール群の最初のロールが、
表面がマイクロクラック構造でかつ該マイクロクラック
の真空漏洩法によって測定される通気抵抗が1,000秒以
下である冷却ロールからなることを特徴とするフイルム
の延伸装置によって達成される。
以下、本発明を図面を引用して説明する。
第1図は本発明の実施態様を示す延伸装置のロール配置
図である。
第2図は本発明の延伸装置の冷却ロール表面に存在する
マイクロクラックの斜視図で、電子顕微鏡の観察像をス
ケッチした図である。
第3図はマイクロクラックの通気抵抗を測定する装置の
模式図である。
第4図は通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図である。
第1図において、10は走行フイルムであり、矢印は走行
方向を示す。11,12,13,14は夫々加熱ロールであり、延
伸における低速側のロール群を構成する。15,16,17は夫
々冷却ロールであり、延伸における高速側のロール群を
構成する。18は赤外線ヒーターである。走行フイルム10
は加熱ロール11,12,1314で加熱され、更に赤外線ヒータ
ー18で加熱されて延伸温度になる。加熱ロール14と冷却
ロール15の周速差で、走行フイルムは長手方向に延伸さ
れる。このとき、延伸倍率はこの周速差を調節すること
で制御される。そして、延伸されたフイルムは冷却ロー
ル15,16,17で冷却される。
本発明においては、上記冷却ロール群の最初の冷却ロー
ル15に、表面にマイクロクラックが形成された冷却ロー
ルを用いることに特徴がある。他の冷却ロール16、17は
表面にマイクロクラックが形成された冷却ロールでもよ
く、また従来の冷却ロールでもよい。
かかる冷却ロールの表面を形成するマイクロクラック
は、第2図から明らかなように、平坦面に微細で無秩序
な多数の溝を設けた構造からなり、表面から深部に向っ
て溝が形成されている。
冷却ロールはその表面に延伸フイルムを拡げて冷却する
が、クラック表面のロールではフイルムとロールと間に
存在する空気が比較的深いクラックの溝を通って外部に
逃げることが第2図から理解できよう。
本発明におけるマイクロクラックは非規則的に形成され
ているが、その形成状況は後述する真空漏洩法によって
測定される通気抵抗が1,000秒以下、好ましくは1〜500
秒となるものである。この通気抵抗が1,000秒を越える
と、延伸フイルムの走行安定性向上があまり期待できな
い。
本発明における通気抵抗とは、マイクロクラックの表面
に真空域を設けたとき、マイクロクラックの溝を通じて
空気が流入し、この時真空吸引を停止すると真空度が低
下するが、この真空度が一定値から他の一定値まで低下
するに要する時間をもって表わす。通気抵抗の具体的な
測定法は、第3図にその概略図を示すように、真空計32
の付いた容器31の一端に真空コック33を介して真空ポン
プ34を接続し、他端に真空ホース35を介してゴムの吸盤
(例えば株式会社妙徳製FPM,PFYK−40)36を付ける、真
空コック33から吸盤36までの有効な真空容積を100ccと
する。第4図に吸盤部分の拡大断面の模式図を示すよう
に、直径40mmの吸盤(36,42)を冷却表面44に押しあて
るに当り、吸盤の外周面のみが接触するように直径30mm
のポーラスなシート(例えば日本精線株式会社製のナス
ロン低密度焼結体8−L−500)43を吸盤の中央に置い
て押しあてる。次いで真空ポンプ34により100ccの該容
積を−700mmHg以下の真空にしてコック33を閉じると、
吸盤部分のマイクロクラックの溝を通じて真空計に空気
が流入するため真空度が低下するが、その時真空度が−
700mmHgから−650mmHgに低下するに要する時間をもって
通気抵抗と定義する。なお通気抵抗の測定に先立って、
測定器の真空漏をチェックするため、磨かれたガラス板
の通気抵抗が100,000秒以上であることを確認する。
マイクロクラックの形成状況は顕微鏡によって観察する
ことが出来、その溝幅は通常0.1〜100μが都合よく、特
に、0.5〜20μの範囲が最適である。溝幅が0.1μ未満の
狭い場合は一般に通気抵抗が大きく、フイルムとロール
との間の空気を排出する作用が小さい。一方溝幅が100
μを越える場合はフイルムにスリキズ状の欠点を発生し
易い傾向にあり、適当でない。
本発明における冷却ロール表面のマイクロクラックは比
較的平滑な表面にクラックが網状に形成されたものであ
る。その代表的な例はマイクロクラックメッキである
が、クロムメッキ又はニッケルメッキによって形成され
る。
その製造法は、例えばクロムメッキが生成される際に生
じるメッキの内部応力が、あるいは内部欠陥が、このメ
ッキを化学的又は電気化学的にエッチングする時に、部
分的に溶解速度に差異を生じ、あるいは内部応力が解放
されてクラックを発生する。要すれば、その後表面を研
磨するが、基本的に比較的平滑な平面にクラックの網状
組織がランダム構造で形成されるものと説明できる。
一般にクロムメッキは内部応力が高いため、熱履歴を受
けると時としてマイクロクラック状の溝を発生する場合
があるが、これらは多くの場合通気抵抗が20,000秒以上
で、実際の延伸フイルムの走行安定性の向上に寄与して
いない。
マイクロクラック構造の平坦部の表面粗さは、0.5S乃至
更に高度の鏡面でもよいが、フイルムの表面特性に悪影
響を与えない範囲で1Sないし2S程度の粗面でも問題な
い。
本発明の延伸装置は、冷却ロール表面に上述のマイクロ
クラックが形成されている点を除いては従来の延伸装置
の構造をとることができる。また、その延伸装置は延伸
フイルムに静電荷を付与するピンニング手段を併用する
ことができる。なお、フイルムをピンニングする針状
(又は線状)電極は公知である。さらにまた、本発明の
延伸装置は延伸フイルムの一部または全部を冷却ロール
に押圧するニップロールと併用することも出来る。
本発明において延伸処理に供するフイルムは熱可塑性ポ
リマーからなり、長手方向の延伸性を有するもの(例え
ば未延伸フイルム)である。この熱可塑性ポリマーは特
に制限されないが、結晶性ポリマー特に芳香族ポリエス
テル,ポリエーテルエーテルケトンが好ましく挙げられ
る。この芳香族ポリエステルやポリエーテルエーテルケ
トン以外の具体例としてはナイロン,ポリオレフィン,
ポリエーテルケトン,ポリエーテルスルホン等を挙げる
ことができる。
本発明の延伸方法及びその装置は冷却ロール表面をマイ
クロクラック化することによって、フイルムと冷却ロー
ルとの間に巻込まれた空気を効率的に排出することが出
来るため、フイルムと冷却ロールとの熱的接触性が向上
し、その結果均一な延伸が行われ、更に延伸フイルムの
蛇行が改善される。
〈実施例〉 以下、本発明を具体例をもって更に説明する。
実施例 延伸装置としては第1図に示したロール配置の装置を用
い、常法により押出し急冷した厚さ200μ,幅400mmのポ
リエチレンテレフタレートフイルム(10)を、80℃に加
熱した速度の遅い加熱ロール群(11,12,13,14)に搬送
して加熱し、ついで速度の早い冷却ロール群(15,16,1
7)に至る間に赤外線ヒーター(18)で加熱しつつ加熱
ロール(14)と冷却ロール(15)の間で3.7倍に延伸
し、冷却ロール(15,16,17)で冷却した。
本実施例では冷却ロール(15)の表面にマイクロクラッ
ク加工を施してある。このマイクロクラックは厚さ100
μのクロムメッキを電解エッチングし、次いで軽い表面
研磨を行って形成し、マイクロクラックの溝幅は約5
μ,通気抵抗は約40秒であった。
前記ポリエステルフイルムの延伸速度を徐々に高めて行
き、延伸速度と冷却ロール15におけるフイルムの蛇行幅
との関係を求めたところ第5図の実線で示す結果が得ら
れた。
比較例 冷却ロール15として表面が鏡面であるロールを用いる以
外はすべて実施例と同じ装置で、実施例と同様に行った
ところ、延伸速度とフイルムの蛇行幅の関係は第5図の
点線で示す通りであった。
本発明の方法によればフイルムの蛇行幅が大幅に減少す
ることが解る。
なお、上記実施例では冷却ロール15のみをマイクロクラ
ック表面としたが、他の冷却ロールもマイクロクラック
表面とすれば、フイルムの走行安定性を更に向上するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施態様を示す延伸装置のロール配
置図。 第2図は本発明の延伸装置冷却ロール表面に存在するマ
イクロクラックの斜視図。 第3図はマイクロクラックの通気抵抗を測定する装置の
模式図。 第4図は通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図。 第5図は延伸フイルムの蛇行幅と延伸フイルムの速度と
の関係を示す図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走行フイルムを低速加熱ロール群と高速冷
    却ロール群の間で両者の周速差を利用して延伸する方法
    において、延伸したフイルムを冷却する上記高速冷却ロ
    ール群の最初のロールに、表面がマイクロクラック構造
    でかつ該マイクロクラックの真空漏洩方法によって測定
    される通気抵抗が1,000秒以下である冷却ロールを用い
    ることを特徴とするフイルムの延伸方法。
  2. 【請求項2】低速加熱ロール群と高速冷却ロール群とを
    設け、両者の周速差を利用して走行フイルムを長手方向
    に延伸する装置であって、該高速冷却ロール群の最初の
    ロールが、表面がマイクロクラック構造でかつ該マイク
    ロクラックの真空漏洩法によって測定される通気抵抗が
    1,000秒以下である冷却ロールからなることを特徴とす
    るフイルムの延伸装置。
  3. 【請求項3】低速加熱ロールと高速冷却ロールの間で、
    かつ走行フイルムに接触しない位置にヒーターを設けて
    いる請求項2記載の延伸装置。
JP63107561A 1988-05-02 1988-05-02 フイルムの延伸方法及びその装置 Expired - Lifetime JPH0780239B2 (ja)

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