JP2003127206A - ポリエステルシートの成形方法 - Google Patents

ポリエステルシートの成形方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート状に押出された溶融ポリエステルを、
マイクロクラック表面の冷却ロールに密着させ固化させ
てシートを製造する際に、昇華物がマイクロクラックの
溝内部に堆積する速度を低いレベルに維持でき、高品質
のフィルムを高速で安定して生産できる方法を提供す
る。 【解決手段】 オリフィス状口金から押出された溶融ポ
リエステルシートを、表面に多数のマイクロクラック通
路が形成されている冷却ロール上に落下させ、且つ、密
着させ、該冷却ロール上で固化させてポリエステルシー
トを製造する方法であって、溶融ポリエステルシートと
接触する冷却ロールの表面1mm2 におけるマイクロク
ラック部分の総面積Ac(mm2 )が、特定の範囲であ
り、冷却ロール内部に導入される冷却水温度Ti(℃)
と冷却ロール外部に排出される冷却水温度To(℃)の
温度差を特定の範囲に制御して冷却ロールのマイクロク
ラック通路内にポリエステルからの昇華物の付着を防止
しつつポリエステルシートを連続的に形成することを特
徴とするポリエステルシートの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルシート
の成形方法に関し、更に詳しくはマイクロクラックが表
面に形成されている冷却ロールを用いてポリエステルシ
ートを押出成形する際に、マイクロクラックの内部に付
着する低分子量化合物等の付着速度を低いレベルに抑え
ることができると共に、シートの冷却不足による冷却ロ
ールへのシートの粘着を防止して冷却ロールからのシー
トの剥離性を良好な状態に維持することで、平滑性に優
れた良好な品質のシートを、長時間高速で安定して生産
できるポリエステルシートの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合体シートを成形する方法として、オ
リフィス状の口金から押出された溶融重合体のシート状
物を静電密着法や気体押圧法によって、冷却ロール面に
密着させ固化させる方法が従来から知られている。この
方法では、冷却ロールとして表面が平滑に仕上げられて
いる(鏡面仕上)ものが通常用いられるが、冷却ロール
面に溶融重合体のシート状物を密着させる際に、冷却ロ
ール面とシート状物との間に巻込まれる空気の排出が必
要となる。
【0003】巻込まれる空気の排出は、シート成形速度
が高速化するに伴って困難になり、その結果種々の問題
が生じる。即ち、静電密着法を採用した場合は、巻込ま
れた空気が泡状に介在するため、シート表面欠陥の原因
になりシートの平滑性が低下する問題が生じる。また、
気体押圧法を採用した場合は、巻込まれた空気の介在が
シートと冷却ロールとの熱伝達不足の原因となり、その
結果シートの冷却不足が生じる。シートが冷却不足にな
ると、その間溶融ポリエステルに含まれる低分子量化合
物の昇華が持続するため、低分子量化合物の冷却ロール
面への堆積が顕著になり、これがシート面に転写して、
オレンジ肌様の欠点となる問題が生じる。
【0004】また、冷却ロール表面への低分子量化合物
の堆積量が増加すると熱伝達不足が更に顕著となり、高
速度でのシート成形が不能に陥る。
【0005】このような問題に対し、例えば特開昭62
−196118号公報で提案されている冷却ロールをマ
イクロクラックが形成されている表面(マイクロクラッ
ク表面)のものに変えることによって改良する方法が提
案されている。即ち、静電密着法の場合は巻込み空気が
マイクロクラックの溝を通じて散逸するので、泡状の欠
点が改良でき、シート成形速度を大幅に高速化できる。
また、気体押圧法の場合も巻込み空気がマイクロクラッ
クの溝を通じて散逸するので、シートと冷却ロールとの
熱伝達速度の低下を防止でき、オレンジ肌様欠点の発生
も回避できる。
【0006】しかしながら、マイクロクラック表面の冷
却ロールを用いてポリエステルシートを押出成形する方
法では、マイクロクラックの通気抵抗が経時的に増加
し、巻込まれた空気がマイクロクラックの溝を通じて散
逸する機能が短時間で低下する新たな問題が生じる。こ
の原因はマイクロクラックの溝の内部に、シート状物か
ら昇華した低分子量化合物が堆積して、目詰まりを生じ
ることによるもので、この目詰まりを頻繁に取除く必要
が生じ、生産性の面で問題となる。
【0007】加えて、近年はコストダウンを図る目的で
シート成形速度が速くなり、それに比例して押出量もア
ップしており、冷却ロールの冷却能力もアップする必要
がある。マイクロクラック表面の冷却ロールは、鏡面仕
上げの冷却ロールに比較して、冷却ロール表面とシート
状物の接触面積がクラック部分だけ少なくなり冷却能力
が低下する。冷却ロールの冷却能力が不足すると、冷却
過程でのシート温度が上がりシート状物から昇華する低
分子量化合物の量が増え、マイクロクラックの溝の内部
に低分子量化合物が堆積して目詰まりを生じると共に、
シート状物が冷却ロールに粘着して冷却ロールからシー
トが剥離出来なくなり、シート成形速度を下げざるを得
なくなる。このように、マイクロクラック表面の冷却ロ
ールでは、冷却能力が不足すると平滑性に優れた良好な
品質のシートを長時間高速で安定して生産できなくなる
問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解消し、マイクロクラックの溝の目詰まりによる通気
抵抗の上昇速度を低いレベルに抑えることに加えて、シ
ート状物の冷却を問題とならない範囲に制御することに
より、シートを高速でしかも中断頻度を少ない状態で生
産することができ、かつ設備が大掛かりにならない方策
を提案することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、溶融ポリエ
ステルシートと接触する冷却ロールの表面におけるマイ
クロクラック部分の総面積を特定の範囲とし、更に冷却
ロール外部に排出される冷却水温度と冷却ロール内部に
導入される冷却水温度の差を特定の範囲に保つことによ
りマイクロクラック通路内でのポリエステルからの昇華
物の付着を防止できることを知見して本発明に到達し
た。
【0010】即ち本発明は、オリフィス状口金から押出
された溶融ポリエステルシートを、表面に多数のマイク
ロクラック通路が形成されている冷却ロール上に落下さ
せ、且つ、密着させ、該冷却ロール上で固化させてポリ
エステルシートを製造する方法であって、溶融ポリエス
テルシートと接触する冷却ロールの表面1mm2 におけ
るマイクロクラック部分の総面積Ac(mm2 )が、下
記式(1)の範囲の冷却ロールを使用することで、冷却
ロールのマイクロクラック通路内にポリエステルからの
昇華物の付着を防止しつつポリエステルシートを連続的
に成形することを特徴とするポリエステルシートの製造
法である。
【0011】
【数4】0.01≦Ac≦0.3・・・(1) (式(1)でAcは溶融ポリエステルシートと接触する
冷却ロールの表面1mm 2 におけるマイクロクラック部
分の総面積(mm2 )を表わす。)更に、上記冷却ロー
ルを使用して、冷却ロール内部に導入される冷却水温度
Ti(℃)と冷却ロール外部に排出される冷却水温度T
o(℃)の温度差を下記式(2)の範囲に制御すること
で、冷却ロールのマイクロクラック通路内にポリエステ
ルからの昇華物の付着を防止する効果が更に向上する。
【0012】
【数5】1≦To−Ti≦10・・・(2) (式(2)で、Toは冷却ロール外部に排出される冷却
水温度(℃)、Tiは冷却ロール内部に導入される冷却
水温度(℃)を表わす。)尚、冷却ロール外部に排出さ
れる冷却水温度(To℃)は下記式(3)の範囲である
ことが好ましい。
【0013】
【数6】5≦To≦Tg−20・・・(3) (式(3)で、Tgはポリエステルのガラス転移温度
(℃)を表わす。)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】(ポリエステル)本発明においてポリエス
テルとは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主成
分とする線状飽和ポリエステルであり、例えばポリエチ
レンテレフタレート(PET)と、ポリエチレン−2,
6−ナレフタレンジカルボキシレート(PEN)のよう
な芳香族ポリエステルが好ましい。また、本発明におけ
るポリエステルは、共重合成分を50重量%未満含む共
重合体であってもよく、またポリエステル同士の混合物
や、ポリエステルと少割合の他樹脂との混合物であって
もよい。
【0016】また、ポリエステルには公知の熱安定剤、
酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、紫外線
吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、遮光剤、フィラー類
等が添加されていてもよい。
【0017】(冷却ロール表面)本発明では、オリフィ
ス状口金から押出された溶融ポリエステルシートを、表
面に多数のマイクロクラック通路が形成されている冷却
ロール上に落下させ、且つ、密着させ、冷却ロール上で
固化させてポリエステルシートを製造するが、本発明に
おける冷却ロールは、溶融ポリエステルシートと接触す
る冷却ロールの表面1mm2 におけるマイクロクラック
部分の総面積Ac(mm2 )が、下記式(1)の範囲の
ものである。
【0018】
【数7】0.01≦Ac≦0.3・・・(1) (式(1)でAcは溶融ポリエステルシートと接触する
冷却ロールの表面1mm 2 におけるマイクロクラック部
分の総面積(mm2 )を表わす。) このAcの値が0.01未満であると、シート成形速度
の高速化が不十分となり、またAcの値が0.3を超え
るとシート成形の際に冷却ロール上で固化させたポリエ
ステルシートが冷却ロールから剥離しない不都合が生じ
る。
【0019】Acの下限値はシート成形速度を高速化す
るため0.02であることが好ましく、上限値はポリエ
ステルシートの冷却ロールからの剥離を良好なものとす
るため0.2であることが好ましい。
【0020】本発明におけるマイクロクラック部分の総
面積Ac(mm2 )は、溶融ポリエステルシートと接触
する冷却ロールの表面の少なくとも一ヶ所の1mm2
部分を測定すれば良いが、溶融ポリエステルシートと接
触する冷却ロールの表面の少なくとも4箇所(冷却ロー
ルの幅方向は中央部の1箇所とし、円周方向は角度90
°で直交する4箇所とする。合計1×4=4箇所)の平
均値であることが好ましく、12箇所(冷却ロールの幅
方向は中央部、および両端部と中央部との中間の計3箇
所とし、円周方向は角度90°で直交する4箇所とす
る。合計3×4=12箇所)の平均値であることが特に
好ましい。
【0021】本発明におけるマイクロクラックは非規則
的に形成されているが、この形成状況は後述する真空漏
洩法によって測定される通気抵抗が10000秒以下、
更には5000秒以下、特に1000秒以下であること
が好ましい。最も好ましい通気抵抗の範囲は2〜500
秒である。通気抵抗が10000秒を超えるとシート成
形速度の向上は期待できない。
【0022】(通気抵抗)本発明における通気抵抗と
は、粗面の表面に真空領域を設けたとき、粗面の溝を通
じて空気が流入し、この時真空吸引を停止すると真空度
が低下するが、この真空度が一定値から他の一定値まで
低下するに要する時間を持って表す。通気抵抗の具体的
な測定法は、第1図にその概略図を示すように、真空計
12の付いた容器11の一端に真空コック13を介して
真空ポンプ14を接続し、他端に真空ホース15を介し
てゴムの吸盤(例えば株式会社妙徳製FPM.PFYK
−40)16を付ける。真空コック13から吸盤16ま
での有効な真空容積を100ccとする。第2図に吸盤
部分の拡大断面の模式図に示すように、直径40mmの
吸盤(16,22)を冷却ロール表面24に押し当て、
吸盤の外周面が接触するように直径30mmのポーラス
なシート(例えば日本精線株式会社製ナスロン低密度焼
結体8−L−500)23を吸盤の中央に置いて押し当
てる。次いで真空ポンプ14により100ccの該容器
を−93.1kPa(−700mmHg)以下の真空に
してコック13を閉じると、吸盤部分の粗面の溝を通じ
て真空系に空気が流入するため真空度が低下するが、こ
の時真空度が−93.1kPaから−86.45kPa
(−700mmHg)から−650mmHg)に低下す
るに要する時間をもって通気抵抗と定義する。なお通気
抵抗の測定に先立って測定器の真空漏れをチェックする
ために、磨かれたガラス板の通気抵抗が20000秒以
上であることを確認する。
【0023】(冷却ロールの冷却水温度)本発明におい
て、冷却ロール内部に導入される冷却水温度Ti(℃)
と冷却ロール外部に排出される冷却水温度To(℃)の
温度差は下記式(2)の範囲であることが好ましい。
【0024】
【数8】1≦To−Ti≦10・・・(2) (式(2)で、Toは冷却ロール外部に排出される冷却
水温度(℃)、Tiは冷却ロール内部に導入される冷却
水温度(℃)を表わす。) 冷却ロール外部に排出される冷却水温度To(℃)と冷
却ロール内部に導入される冷却水温度Ti(℃)の温度
差(To−Ti:以下『冷却水温度差』と略記する)が
10℃を超えると、冷却ロールでの冷却能力が低下して
冷却過程でのシート温度が上がりシート状物から昇華す
る低分子量化合物の量が増え、マイクロクラックの溝の
内部に低分子量化合物が堆積して目詰まりを生じると共
に、シート状物が冷却ロールに粘着して冷却ロールから
シートが剥離出来なくなり、シート成形速度を下げざる
を得なくなることがある。加えて、冷却ロール幅方向に
温度差が発生して得られたシートの品質が幅方向で異な
るなどの不具合が生じることがある。
【0025】また、冷却水温度差が1℃より低くするに
は、冷却ロールに流す冷却水の水量を必要以上に多くす
る必要があり、冷却装置、ポンプなどの設備が大型化し
て、設備コスト、運転コストが大きくなる不具合が生じ
る。
【0026】冷却水温度差の上限は、8℃であることが
本発明の効果が一層顕著になるため好ましく、6℃であ
ることが特に好ましい。また、冷却水温度差の下限は、
2℃であることがシートの品質が優れたものになるため
好ましく、3℃であることが特に好ましい。
【0027】尚、本発明方法では、冷却ロール外部に排
出される冷却水温度(To℃)が下記式(3)の範囲で
あることが好ましい。
【0028】
【数9】5≦To≦Tg−20・・・(3) (式(3)で、Tgはポリエステルのガラス転移温度
(℃)を表わす。) Toを5℃〜Tg−20℃に維持することにより、冷却
ロールのマイクロクラックの溝に昇華物が付着し堆積す
るのを有効に防止することができる。Toは10℃〜T
g−25℃の範囲が更に好ましく、15℃〜Tg−30
℃の範囲が特に好ましい。
【0029】(冷却ロールの直径とシェル厚み)本発明
において、冷却ロールの直径は0.6m以上4.0m以
下で、冷却ロールのシェルの厚みが5mm以上30mm
以下の範囲であることが好ましい。
【0030】冷却ロールの直径およびシェル厚みは、シ
ートの冷却能力を左右するものであり、得られるシート
の品質に大きく影響する。
【0031】冷却ロールの直径は、0.6m未満では、
冷却能力が不足することがあり、マイクロクラックの溝
の目詰まりが早くなり、冷却ロールからの剥離性が悪く
なる。4.0m以上では、冷却能力は充分であるが、ロ
ールが大きくマイクロクラックの表面加工が困難とな
り、その加工費が増大する。実用的な冷却ロールの直径
の下限は、0.8m以上が好ましく、1.0m以上が特
に好ましい。直径の上限は3.5m以下が好ましく、
3.0m以下が特に好ましい。
【0032】一方、冷却ロールのシェル厚みは、5mm
未満では冷却ロールの強度が充分に維持できなくなるこ
とがあり、ロールの変形によりシートの平面性が悪化す
る。30mm以上では冷却水からの熱伝達が悪くなりシ
ートの冷却不足が発生することがある。実用的な冷却ロ
ールのシェル厚みの下限は7mm以上、好ましくは9m
m以上で、上限は25mm以下、好ましくは20mm以
下である。
【0033】(冷却ロールへのシートのキャスト方法と
その速度)本発明において、溶融ポリエステルシートに
静電荷を付加してクーロン力で冷却ロール面に密着する
静電密着法や、気体の押圧空気を主体とする気体の静圧
をシート状物に作用させて、冷却ロール面に押圧し成形
する方法を併用することが好ましい。特に、気体押圧法
によるポリエステルシートの製膜に本発明を用いた場
合、シートと冷却ロールとの熱伝達低下を抑制でき、シ
ートの冷却不良やオレンジ肌様欠点の発生を回避でき
る。
【0034】更に、本発明において、オリフィス状の口
金から溶融ポリエステルシートを押出す際に、オリフィ
ス状の口金の周辺に排気設備を設置し、溶融ポリエステ
ルシートからの昇華物を排気する方法を併用すること
が、マイクロクラックの内部に付着する低分子量化合物
等の付着速度を低いレベルに抑えることができるため好
ましい。
【0035】また、本発明におけるシート成形速度は、
冷却ロールの周速で30m/分以上であることが好まし
い。この上限は特に制限はないが、250m/分である
ことが好ましい。
【0036】(オリフィス状の口金)本発明においてオ
リフィス状の口金とは、例えばTダイ、フィッシュテー
ルダイ、Iダイ等で、直線状の開口部を有する口金であ
るが、口金先端に幅方向オリフィスに平行にパイプを埋
め込める口金が好都合である。
【0037】(ポリエステルシートの厚み)本発明にお
いてポリエステルシートの厚さは1000μm以下に適
用するのが好適である。一般的に1000μmを超過す
ると、シート成形速度が遅くなり、本発明の特徴である
シート成形速度を高速化できるメリットがなくなるが、
1000μmを超過していても差し支えはない。シート
厚みの好ましい範囲としては5〜700μmの範囲であ
ることが、更に好ましくは10〜500μmである。
【0038】本発明で成形されたシートは引き続き二軸
延伸工程で延伸し、必要に応じて更に熱固定や熱緩和等
の熱処理を施して二軸配向ポリエステルフィルムにする
ことができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
る。本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。尚、各特性値は下記の方法
によって測定した。
【0040】(1) マイクロクラック部分の総面積
(Ac) 冷却ロール表面の1mm2 の部分を光学顕微鏡(ユニオ
ン光学株式会社製・RMP型ロールスコープ)にて倍率
100倍で観察し、得られた映像を画像処理/解析装置
(株式会社ニレコ製・LUSEX5000)によりデー
タ処理して、マイクロクラック部分の総面積(Ac)を
求める。データ処理システムにはルーゼックスIIを用い
る。
【0041】マイクロクラック部分の総面積Ac(mm
2 )の測定個所は、溶融ポリエステルシートと接触する
冷却ロールの表面の4箇所(冷却ロールの幅方向は中央
部の1箇所とし、円周方向は角度90°で直交する4箇
所)とし、各測定値の平均値をマイクロクラック部分の
総面積(Ac)とした。
【0042】(2) 真空漏洩法による通気抵抗 本発明における通気抵抗とは、粗面(冷却ロールの表
面)に真空吸引により一定真空度の真空領域を設け、真
空吸引を停止した後、粗面の溝を通じて空気が流入し、
真空度が一定値から他の一定値まで低下するのに要する
時間のことである。
【0043】この時通気抵抗の具体的な測定法は、第1
図にその概略図を示すように、真空計12の付いた容器
11の一端に真空コック13を介して真空ポンプ14を
接続し、他端に真空ホース15を介してゴムの吸盤(例
えば株式会社妙徳製FPM.PFYK−40)16を付
ける。真空コック13から吸盤16までの有効な真空容
積を100ccとする。第2図に吸盤部分の拡大断面の
模式図に示すように、直径40mmの吸盤(16,2
2)を冷却ロール表面24に押し当て、吸盤の外周面が
接触するように直径30mmのポーラスなシート(例え
ば日本精線株式会社製ナスロン低密度焼結体8−L−5
00)23を吸盤の中央に置いて押し当てる。次いで真
空ポンプ14により100ccの該容器を−93.1k
Pa(−700mmHg)以下の真空にしてコック13
を閉じると、吸盤部分の粗面の溝を通じて真空系に空気
が流入するため真空度が低下する。この時真空度が−9
3.1kPaから−86.45kPa(−700mmH
gから−650mmHg)に低下するに要する時間を通
気抵抗と定義する。なお通気抵抗の測定に先立って測定
器の真空漏れをチェックするために、磨かれたガラス板
の通気抵抗が20000秒以上であることを確認する。
【0044】また、通気抵抗の測定は、冷却ロール幅方
向の中央部を回転方向に90度のピッチで4箇所とし、
その平均値を冷却ロールの通気抵抗とする。
【0045】(3) ポリエステルのガラス転移温度
(Tg) サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封
入する。サンプルを封入したアルミニウム製パンを示差
熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)
に装着し、25℃から300℃まで20℃/分の速度で
昇温させた後、300℃で5分間保持し、次いでこのパ
ンを示差熱量計から取出し、直ちに氷の上に移して急冷
する。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から
10℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:
℃)を測定する。
【0046】(4) シートまたはフィルム厚み マイクロメータで10個所測定し、その平均値をシート
またはフィルムの厚みとする。
【0047】(5) 冷却ロール内部に導入される冷却
水温度(Ti) 冷却ロール内部に導入される冷却水の配管内に温度検出
端を装着し測定する。
【0048】(6) 冷却ロール外部に排出される冷却
水温度(To) 冷却ロール外部に排出される冷却水の配管内に温度検出
端を装着し測定する。
【0049】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
(PET:Tg=79℃)を口金先端温度を280℃に
設定してあるTダイから、厚さ140μmの溶融ポリエ
ステルシート状物として押出し、これを表面温度25℃
に維持してあるマイクロクラック表面の回転冷却ドラム
に静電密着法により密着させ冷却させながらシート成形
速度を50m/分から除々に上昇させながらポリエステ
ルシートを製膜した。
【0050】用いた冷却ロールは、表面のマイクロクラ
ック部分の総面積Acが、溶融ポリエステルシートと接
触する冷却ロールの表面1mm2 当り、ロール幅方向の
中央部において、円周方向に角度90°で直交する4箇
所で0.051mm2 、0.052mm2 、0.048
mm2 および0.049mm2 (平均値で0.050m
2 )であった。また、冷却ロールの直径は2.0m、
冷却ロールの幅は1.0m、冷却ロールのシェルの厚み
は10mmのものを用いた。シート成形最高速度は18
0m/分であり、得られたポリエステルシートは欠点の
ない良好なシートであった。その時の冷却ロール内部に
導入した冷却水温度(Ti)は24℃、冷却ロール外部
に排出した冷却水温度(To)は27℃、冷却水温度差
(To−Ti)は3℃であった。
【0051】得られたポリエステルシートは、引続いて
縦方向に3.4倍、横方向に4.0倍逐次二軸延伸し、
この条件で7日間、二軸延伸ポリエステルフィルムの製
膜が可能であった。この間切断等のトラブルもなく製膜
できた。また、得られた二軸延伸フイルムは表面欠点が
なく透明平滑な高品質フイルムであった。
【0052】[実施例2〜4]用いたポリエステルの種
類、冷却ロールの表面のマイクロクラック部分の総面積
Ac、冷却ロールの直径、冷却ロールのシェルの厚み、
冷却ロール内部に導入した冷却水温度(Ti)、冷却ロ
ール外部に排出した冷却水温度(To)、冷却水温度差
(To−Ti)、成形したシートの厚み、シート成形最
高速度を表1に示すものに変えた以外は実施例1と同様
にポリエステルシートおよび二軸延伸ポリエステルフィ
ルムを製膜した。
【0053】シート成形最高速度で得られたポリエステ
ルシートおよび二軸延伸ポリエステルフィルムの品質、
連続製膜期間およびこの間の製膜状況を表1に示す。い
ずれの結果も切断等のトラブルもなく製膜でき、得られ
た二軸延伸フイルムは表面欠点がなく透明平滑な高品質
フイルムであった。
【0054】[比較例1]鏡面仕上の冷却ロールを使用
する以外は実施例1と同様に製膜したが、シート成形最
高速度は60m/分で、60m/分を超えると冷却ロー
ルとシート状物との間に巻き込まれた空気によりシート
表面に欠陥が発生し、シート成形速度を上げることがで
きなかった。60m/分時の冷却ロール内部に導入した
冷却水温度(Ti)は24℃、冷却ロール外部に排出し
た冷却水温度(To)は26℃、冷却水温度差(To−
Ti)は2℃で、この条件で8日間、二軸延伸ポリエス
テルフィルムの製膜が可能であった。
【0055】[比較例2]クラック総面積0.005m
2の冷却ロールを使用する以外は実施例1と同様に製
膜したが、シート成形最高速度は70m/分で、70m
/分を超えると冷却ロールとシート状物との間に巻き込
まれた空気によりシート表面に欠陥が発生し、シート成
形速度を上げることができなかった。70m/分時の冷
却ロール内部に導入した冷却水温度(Ti)は24℃、
冷却ロール外部に排出した冷却水温度(To)は26
℃、冷却水温度差(To−Ti)は2℃で、この条件で
2日間、二軸延伸ポリエステルフィルムの製膜が可能で
あった。
【0056】[比較例3〜6]比較例3ではロール表面
のクラック総面積が0.40mm2の冷却ロールを使用
し、比較例4ではロールの冷却水温度差が11℃となる
条件で製膜し、比較例5ではシェル厚みが35mmの冷
却ロールを使用して製膜し、比較例6ではロールの直径
が0.5mの冷却ロールを使用して製膜し、その他の条
件は表1に記載する条件で、表1に記載されていない条
件は実施例1と同様にしてポリエステルシートを製膜し
た。その結果、比較例3、4、5、6では短時間の間に
冷却ドラムにポリエステルシートが粘着して表面欠点が
発生し、冷却ドラムに張り付いた。
【0057】
【表1】
【0058】尚、表1のポリエステルの種類の欄で、P
ETはポリエチレンテレフタレートであることを、PE
Nはポリエチレン−2,6−ナレフタレンジカルボキシ
レート(Tg:121℃)であることを示す。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、マイクロクラック表面
の冷却ロールを用いてポリエステルシートを製膜する際
に、溶融ポリエステルに含まれる低分子量化合物がマイ
クロクラックの溝内部に堆積する速度を低いレベルに抑
えることができると共に、シートの冷却不足による冷却
ロールへのシートの粘着を防止して、冷却ロールからの
シートの剥離性を良好な状態に維持することで高品質の
フィルムを高速で安定して生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロクラックの通気抵抗を測定する装置の
模式図。
【図2】通気抵抗測定装置の吸盤部分の拡大断面を示す
模式図。
【符号の説明】
11:容器 12:真空計 13:真空コック 14:真空ポンプ 15、21:真空ホース 16、22:吸盤 23:ポーラスなシート 24:冷却ロール表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 陽 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4F207 AA24 AG01 AR06 KA01 KA17 KK65 KM16 KM20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オリフィス状口金から押出された溶融ポ
    リエステルシートを、表面に多数のマイクロクラック通
    路が形成されている冷却ロール上に落下させ、且つ、密
    着させ、該冷却ロール上で固化させてポリエステルシー
    トを製造する方法であって、溶融ポリエステルシートと
    接触する冷却ロールの表面1mm2 におけるマイクロク
    ラック部分の総面積Ac(mm2 )が、下記式(1)の
    範囲の冷却ロールを使用することで、冷却ロールのマイ
    クロクラック通路内にポリエステルからの昇華物の付着
    を防止しつつポリエステルシートを連続的に成形するこ
    とを特徴とするポリエステルシートの製造法。 【数1】0.01≦Ac≦0.3・・・(1) (式(1)でAcは溶融ポリエステルシートと接触する
    冷却ロールの表面1mm 2 におけるマイクロクラック部
    分の総面積(mm2 )を表わす。)
  2. 【請求項2】 冷却ロール内部に導入される冷却水温度
    Ti(℃)と冷却ロール外部に排出される冷却水温度T
    o(℃)の温度差を下記式(2)の範囲に制御する請求
    項1に記載のポリエステルシートの成形方法。 【数2】1≦To−Ti≦10・・・(2) (式(2)で、Toは冷却ロール外部に排出される冷却
    水温度(℃)、Tiは冷却ロール内部に導入される冷却
    水温度(℃)を表わす。)
  3. 【請求項3】 冷却ロール外部に排出される冷却水温度
    (To:℃)が下記式(3)の範囲である請求項2に記
    載のポリエステルシートの成形方法。 【数3】5≦To≦Tg−20・・・(3) (式(3)で、Tgはポリエステルのガラス転移温度
    (℃)を表わす。)
  4. 【請求項4】 冷却ロールの直径が0.6m以上4.0
    m以下、冷却ロールのシェルの厚みが5mm以上30m
    m以下である請求項1または2記載のポリエステルシー
    トの成形方法。
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