JPH077924U - 木目模様シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 段ボール構造体または板紙からなるシート素
材に、樹木を薄く剥がした皮状薄板を接着し、１ｍｍ以
下の厚みに形成された皮状薄板の貼付けにより、少なく
とも一面に木目を表して木目模様シートを構成した。 【効果】 合板に皮状薄板を接着した従来の木目模様シ
ートと比較した場合、軽量であって取り扱いやすいこと
はもとより、切断や折り曲げ、湾曲が自由になし得る
し、接着も簡単になし得ることから、工作性が非常に良
好であって、殊に、組立て用一セットのパーツとして提
供した場合、ユーザーにおいて、木製品に類した木目を
有する製品を簡単に組み立てることができる。主な素材
が安価な段ボール構造体または板紙であっても、木の温
もりや臭いが感じられ、抵抗なく高級な木として捉えら
れる。また、皮状薄板により結露が防止されるので、内
部の水分がコントロールされる箱製品の組み立てが可能
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、段ボール構造体（フルート構造を有する紙段ボールや、機能性段 ボール、又はプラスチック段ボール）、若くは板紙を素材とした木目模様シート に関する。

【０００２】

【従来の技術】

木目模様は、自然に折りなす樹木の年輪が不規則に表れ、殊に、枝の付け根や こぶが木取りされると、変化に富んだ非常に美しい木目が表れることから、建築 や家具、調度品等に木材を使用するときには、極力その木目の美が活かされる。 また、木肌を表したときには、木の独特な臭いが漂い神経を静め、或いは楽しま せる。

【０００３】 木目を活かす手段として、銘木のままであれば高価となるために、銘木を薄く 剥ぎ取った皮状薄板を貼りあわせることが多くなっている。その場合には、下地 となる素材に、種類の異なる安価な木材、或いは合板や集成材等が使用される。 このように、合板に皮状薄板が貼られた木目模様シートはあったが、段ボール構 造体や板紙に皮状薄板を貼った木目模様シートはなかった。

【０００４】 従来、段ボール構造体や板紙を素材とする木目模様シートとしては、表面に木 目模様を印刷により表したり、或いは、木目模様を印刷した紙を張り合わせたも のが使用されていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の木目模様シートのうち、素材が合板であるときには、本物 の木目模様が表出されており、また、歪曲しない特性を有するので、建築材料と して例えば天井板に多用される。家具調度品にも使用されるが、曲げ加工ができ ないために、殊に、日用大工的に、あるいは子供の工作として調度品等の小物類 には細工しにくいという問題があった。

【０００６】 素材が段ボール構造体または板紙であるときには、印刷により木目模様が表さ れているために、感情的に自然の美や温かみを感じるには抵抗がある。しかも、 木の臭いは全く感じられないので、本物嗜好には適しない。また、化粧ケース、 弁当箱、菓子箱等の素材とするには、耐水性に問題があるし、紙の弱い材質から 接着強度が得られない。

【０００７】 この考案は、上記のような実情に鑑みて、素材が木板であると抵抗なく感じら れるにもかゝわらず、切断や折り曲げを伴う細工が容易であり、また、木の温も りや臭いが感じられる木目模様シートを提供することを目的とした。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案は、段ボール構造体または板紙からな るシート素材に、樹木を薄く剥がした皮状薄板を接着し、１ｍｍ以下の厚みに形 成された皮状薄板の貼付けにより、少なくとも一面に木目を表して木目模様シー トを構成した。

【０００９】 加えて、折り目に沿って皮状薄板に切込みを形成すると、折り目に沿って裂け ることがなく、折り曲げやすい。

【００１０】

【作用】

シート素材が切断や曲げ加工をなしやすい段ボールまたは板紙であり、それに 貼り付けられる木の皮状薄板が、その加工の支障とならない程度に、１ｍｍ以下 の厚みであることから、箱等の製品としての組み立てが容易であり、また、安価 に製造できる。

【００１１】 外面の皮状薄板により、木の臭いが発生することはもとより、銘木の高級感を 出すことができ、一方、容器の内側に設けた場合は、内容物（例えば、ご飯など ）から生じた結露による余分な水分が吸収されるために、水分コントロールに適 する。さらに、皮状薄板自体がシート素材の補強となる。

【００１２】

【実施例】

次に、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１３】 図１および図２は、一実施例を示したもので、その木目模様シートＳは、シー ト素材１が段ボールであって、その両面に木製の皮状薄板３，３が接着される。 しかし、一面にのみ貼ることもある。

【００１４】 シート素材１は、それぞれ段ボール原紙からなる中芯５と、その両面のライナ ー７，７とからなる最も多用される両面段ボールであるが、この考案では、他の 段ボール構造であつても良いことはもちろん、プラスチック段ボールや、その他 片面にアルミ蒸着フィルム及び／又は発泡樹脂シートを貼った断熱段ボール、或 いはアルミ印刷を施した断熱段ボール、さらには片面にフィルム等をラミネート した防湿段ボールなど、に代表される機能性段ボールであっても良い。

【００１５】 段ボール構造に関しては、片面段ボールのように湾曲させやすい場合には、円 筒形の製品、例えば、筒形のごみ箱や、弁当や、すし飯等を入れるわっぱ等の素 材に適している。このような場合には、片面段ボールで筒形部を造ると、そのま までは、内外いずれかの面に中芯が露出するので、その面に木の薄板またはその 他の素材、例えばプラスチックシートを貼り付ける。また、端面も段ボール構造 として見えないように、例えば、フレームの被着等により、体裁的に処理するこ とが望ましい。

【００１６】 シート素材１が複両面段ボールや複々両面段ボールのように、フルートの段を 多くして断面の目を細かくすると、丈夫となるので板材として使用しやすくなる 。加えて、皮状薄板３の特性が加わり、強度が増加し、糊付けがしやすくなり、 板材としての適性が高まる。時には釘付けも可能となる。

【００１７】 図面に示す木目模様シートＳは、これも板材としての使用を念頭においたもの で、端面処理のために、一方の皮状薄板３の端部を折り曲げることにより、端面 でも木材として感じられるよう、その折り薄板３ａを端面に接着してある。また 、その端部においては、中芯５を欠除して両ライナー７，７の間に木製の縁芯材 ９を挾んで接着してある。

【００１８】 端部をこのようにすると、板材として丈夫となるだけでなく、接着や釘付けを なしやすくなる。製品を組み立てる幾つかの形状の木目模様シートＳ，Ｓ，・・ を一セットとして提供すれば、ユーザーにおいて組み立てやすい。また、この縁 芯材９が折り薄板３ａの接着対象となっている。しかし、ユーザーにおいて、例 えば壁材として適当な寸法に切断して使用するときには、このような端面処理は 不要である。

【００１９】 木目模様シートＳを素材として箱等の製品を組み立てるときには、このような 接着や釘付けの他に、段ボール特性として折り曲げが可能であることが大きな特 徴となる。しかし、皮状薄板３の材質によっては、例えば、桧等では粘りに欠け ることから、折り曲げにより裂けることがあり、それを防止するために、折り曲 げの位置に沿って皮状薄板３に切込み１１，１１を入れ、裂ける不都合が防止さ れている。

【００２０】 切込み１１は、曲げる側に開口するＶ字形に形成され、底部に一部１１ａが残 される。一方、外側に曲げるときは単なる切込みでもよい。なお、皮状薄板３の 表面にプラスチックの極薄い皮膜を形成しておくと、これによっても、裂ける不 都合を防止できる。

【００２１】 皮状薄板３，３は、例えば、桧、杉、桜、けやき、松等の銘木またはそれに近 い木材を薄く剥がし皮状に成形したもので、表面にはその木目１３が表れている 。厚みが１ｍｍ以下であって、裂ける不都合を防止するために、裏面に和紙等の 裏打紙１５を予め接着したものが使用され、その裏打紙１５でライナー７，７に 接着される。

【００２２】 接着層１７については、用途に応じて酢酸ビニール系の接着剤や澱粉糊を使用 する。或いは、ライナー７，７の原紙に、予め熱溶着性樹脂のフィルムまたは皮 膜による接着層１７を形成し、それに熱溶着すると量産に適する。

【００２３】 さらには、この接着層１７が、水分を遮断する防水層を形成するものであれば 一層望ましい。そのためには、例えば防水性接着剤を使用したり、エキストルー ジョン法による熱溶着性樹脂フィルム層を形成する。接着層１７がこのような防 水層であれば、皮状薄板３を外側面に貼った容器では、冷蔵庫に入れた際にも外 部からの水分の浸入を防止し、一方、皮状薄板３を内側面に貼った容器では、内 容物がご飯などの水分を含むものであっても内部からの水分の浸入を防止し、い ずれの場合も防水効果により容器が潰れる等の事故を防止してくる。

【００２４】 図３は、シート素材１が板紙である場合であって、その両面に皮状薄板３，３ を接着し、その間に接着層１７を有し、皮状薄板３には折り目に沿って切込み１ １が形成されている。また、この場合も、端面処理は必ずしも要しないが、一方 の皮状薄板３の端部を他の皮状薄板３の上に反転させ、その反転薄板３ｂが接着 される。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案の木目模様シートによれば、次のような優れた 効果がある。

【００２６】 合板に皮状薄板を接着した従来の木目模様シートと比較した場合、軽量であっ て取り扱いやすいことはもとより、切断や折り曲げ、湾曲が自由になし得るし、 接着も簡単になし得ることから、工作性が非常に良好であって、殊に、組立て用 一セットのパーツとして提供した場合、ユーザーにおいて、木製品に類した木目 を有する製品を簡単に組み立てることができる。

【００２７】 主な素材が安価な段ボール構造体または板紙であっても、木の温もりや臭いが 感じられ、抵抗なく高級な木として捉えられる。また、皮状薄板により結露が防 止されるので、内部の水分がコントロールされる箱製品の組み立てが可能である 。

【図面の簡単な説明】

【図１】シート素材が段ボールである木目模様シートを
破断して示す斜視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線矢視の拡大断面図である。

【図３】シート素材が板紙である木目模様シートの拡大
断面図である。

【符号の説明】

Ｓ 木目模様シート １ シート素材 ３ 皮状薄板 １１ 切込み １１ａ 切込みが残る一部 １３ 木目 １５ 裏打紙 １７ 接着層

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 段ボール構造体または板紙からなるシー
   ト素材に、樹木を薄く剥がした皮状薄板を接着し、１ｍ
   ｍ以下の厚みに形成された皮状薄板の貼付けにより、少
   なくとも一面に木目を表したことを特徴とする木目模様
   シート。
2. 【請求項２】 折り目に沿って皮状薄板に切込みを形成
   したことを特徴とする請求項１記載の木目模様シート。
3. 【請求項３】 皮状薄板を接着する接着層が防水層を形
   成していることを特徴とする請求項１又は２記載の木目
   模様シート。
4. 【請求項４】 段ボール構造体が保温性（断熱性）又は
   防水・防湿性等の機能性を有する段ボール構造体である
   ことを特徴とする請求項１ないし３記載の木目模様シー
   ト。