JPH077692Y2 - 田植機の植付制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は苗載台を左右に往復摺動させ乍ら植付爪によっ
て連続的に苗を植付ける田植機の植付装置に関する。

「従来の技術」 従来、実開昭58-80811号公報または実公昭61-24020号公
報に示す如く、走行車に対してローリング支点軸を中心
に植付部をローリング自在に取付けると共に、植付部を
走行車側に連結させる左右ローリング規制バネと、該ロ
ーリング規制バネの走行車側連結位置を変更させるバネ
圧調節手段を設ける技術があった。

「考案が解決しようとする課題」 前記従来技術は、植付部の対地左右傾斜を検出するロー
リングセンサを設け、植付け田面に対して植付部が左右
に傾斜したことを検出し、その後で植付部を略水平に戻
す制御を行うだけであり、苗載台の左右移動によって植
付部が傾いた後、植付部の傾きをローリングセンサによ
って検出し、植付部の姿勢が修正されることになるか
ら、植付部の傾動に対して植付姿勢の修正が遅れて行わ
れ易く、植付部が傾いたときに苗が植付けられる不具合
がある。また、左右サイドフロートによって植付部の左
右傾きを検出する技術も知られているが、前記と同様
に、植付部が傾くまではサイドフロートによって左右傾
きを検出することがなく、植付部が傾いたときにサイド
フロートによって左右傾きが検出されるから、植付姿勢
の修正が遅れ、植付部が傾いた状態で苗の植付が行われ
る不具合があった。

「課題を解決するための手段」 然るに、本考案は、走行車に対してローリング支点軸を
中心に植付部をローリング自在に取付けると共に、植付
部を走行車側に連結させる左右ローリング規制バネと、
該ローリング規制バネの走行車側連結位置を変更させる
バネ圧調節手段を設ける田植機の植付制御装置におい
て、植付部の左右往復摺動自在な苗載台の左右移動量を
検出する苗載台移動量センサを備え、該センサの検出結
果に基づき前記バネ圧調節手段を自動制御して苗載台の
左右移動量に比例させてローリング規制バネ力を自動的
に変化させるコントローラを設けたことを特徴とする。

「作用」 従って、苗載台の左右移動量の検出によってローリング
規制バネ力を変更させるから、苗載台の左右移動によっ
て植付部がローリングするのを未然に防止し得、従来の
ような苗載台の左右移動によって植付部が傾いてから植
付姿勢が修正される不具合をなくし得、苗の植付け深さ
を略一定に保つ植付け精度の向上並びに苗載台の左右移
動速度を早くする植付け作業速度の高速化などを容易に
図り得るものである。

「実施例」 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。第１図
は植付部の正面図、第２図は乗用田植機の側面図、第３
図は同平面図を示し、図中（１）は作業者が搭乗する走
行車であり、エンジン（２）を搭載する車体フレーム
（３）を後端をミッションケース（４）に連設させ、前
記ミッションケース（４）の前部両側にアクスルケース
（５）を介して水田走行用前輪（６）を支持させると共
に、前記ミッションケース（４）の後部両側に伝動ケー
ス（７）を連設し、前記伝動ケース（７）後端部に水田
走行用後輪（８）を支持させる。そして前記エンジン
（２）等を覆うボンネット（９）両側に予備苗載台（1
0）を取付けると共に、ステップ（11）を形成する車体
カバー（12）によって前記伝動ケース（７）等を覆い、
前記車体カバー（12）上部に運転席（13）を取付け、其
の運転席（13）の前方で前記ボンネット（９）後部に操
向ハンドル（14）を設ける。

また、図中（15）は多条植え用の苗載台（16）並びに複
数の植付爪（17）などを具備する植付部であり、前高後
低の合成樹脂製の前傾式苗載台（16）を下部レール（1
8）及びガイドレール（19）を介して植付ケース（20）
に左右往復摺動自在に支持させると共に、クランク運動
させる植付ケース（21）並びに植付爪駆動軸（22）を介
して植付ケース（20）に前記植付爪（17）を取付ける。
そして前記植付ケース（20）の下方に植付用均平フロー
ト（23）（24）（24）を、植付深さ調節リンク（25）を
介して支持すると共に、前記各植付ケース（20）…をパ
イプフレーム（26）などを介し植付ミッションケース
（27）に連設し、トップリンク（28）及びロアリンク
（29）を含む三点リンク機構（30）を用いて前記走行車
（１）後側にこの植付ミッションケース（27）を介して
植付部（15）を連結させ、植付部（15）を昇降させる油
圧シリンダ（31）を前記ミッションケース（４）後部と
トップリンク（28）との間に介設させ、前記油圧シリン
ダ（31）の伸縮動作で植付部（15）を昇降させる一方、
前記植付部（15）を降下させて各フロート（23）（24）
を着地させ、左右に往復移動させる苗載台（16）から一
株分の苗を植付爪（17）によって順次取出して植付ける
ように構成している。

また図中（32）は走行変速レバー、（33）は植付昇降レ
バー、（34）は植付深さ感度調節レバー、（35）は走行
クラッチペダル、（36）（36）は左右ブレーキペダルで
ある。

第４図に示す如く、前記トップリング（28）及びロアリ
ンク（29）の後端にピン（37）（38）を介してヒツチプ
レート（40）を連結すると共に、前記ヒツチプレート
（40）にローリング支点プレート（41）を着脱自在に係
止させ、その支点プレート（41）にローリング支点軸
（42）を介して植付ミッションケース（27）を連結支持
し、前記支点軸（42）を中心に植付部（15）を左右に揺
動自在に支持させて植付部（15）の水平保持を図るよう
に構成してある。

また、左右外側の植付ケース（20）（20）の前部外側面
に基板（43）を固設し、ガイドレール（19）を介して苗
載台（16）を支える支柱（44）基端を前記基板（43）に
一体連結させると共に、前記基板（43）に一体連結する
サイドフレート（45）を機外側方に略水平に延設し、未
植側田面に植付走行軌跡を形成する筋引マーカ（46）を
前記サイドフレーム（45）先端に起伏自在に支持させ
る。

さらに、前記支点プレート（41）の上端部にモータ及び
軸受台（47）（48）を固設し、バネ圧調節要素である正
逆ローリングモータ（49）を前記モータ台（47）に設置
すると共に、前記モータ（49）により正逆回転するネジ
軸（50）の軸受（51）を前記軸受台（48）に設置してい
る。そして前記ネジ軸（50）に結合させるバネ支点部材
である移動体（52）の取付板（53）と、苗載台（16）の
中立位置時前記移動体（52）に対し左右（以下左右方向
は全て正面視）に等距離の左右支柱（44）（44）とを、
左右のローリング規制バネ（54a）（54b）でそれぞれ連
結し、第１図に示す如く苗載台（16）が左側（ａ）矢印
方向に移動するとき左側規制バネ（54a）のバネ力を順
次大、また苗載台（16）が右側（ｂ）矢印方向に移動す
るとき右側規制バネ（54b）のバネ力を順次大とさせ
て、前記支点軸（42）を中心とした苗載台（16）の横移
動による重量変化に対し植付部（15）の水平姿勢を保持
させるように構成している。

一方第５図にも示す如く、前記左サイドフレーム（45）
に取付板（55）を介してポテンショメータ式苗載台移動
量センサ（56）を設けていて、該センサ（56）の検出軸
（57）に基端を取付ける揺動リンク（58）の先端を長孔
（59）及びピン（60）を介して苗載台（16）の裏面に連
結させて、苗載台（16）の左右移動量を前記センサ（5
6）により感知するように構成している。

第６図に示す如く、前記移動量センサ（56）で検出され
る出力電圧の変化に基づいてローリングモータ（49）の
正逆転を行わしめるローリング設定器（61）を備えるも
ので、該設定器（61）と前記移動量センサ（56）を入力
接続させるローリング制御回路（62）を備え、前記ロー
リングモータ（49）に正逆回路（63）（64）を介し制御
回路（62）を出力接続させて、前記苗載台（16）の左右
移動に伴う移動量センサ（56）の検出出力でもってロー
リングモータ（49）の正逆転制御を行わしめて、左右の
規制バネ（54a）（54b）の前記移動体（52）を中心とし
た苗載台（16）間の引張りバネ力を大小に調節して本機
側に対する植付部（15）の水平姿勢を常時維持させるよ
うに構成している。

上記から明らかなように、走行車（１）に対してローリ
ング支点軸（42）を中心に植付部（15）をローリング自
在に取付けると共に、植付部（15）を走行車（１）側に
連結させる左右ローリング規制バネ（54a）（54b）と、
該ローリング規制バネ（54a）（54b）の走行車（１）側
連結位置を変更させるバネ圧調節手段であるローリング
モータ（49）を設ける田植機の植付制御装置において、
植付部（15）の左右往復摺動自在な苗載台（16）の左右
移動量を検出する苗載台移動量センサ（56）を備え、該
センサ（56）の検出結果に基づき前記ローリングセンサ
（49）を自動制御して苗載台（16）の左右移動量に比例
させてローリング規制バネ（54a）（54b）力を自動的に
変化させるコントローラであるローリング制御回路（6
2）を設けている。

本実施例は上記の如く構成するものにして、以下第７図
の動作線図に基づきこの作用を説明する。

而して前記移動体（52）は苗載台（16）の移動方向と逆
方向に常に移動するようにしたもので、今第１図におけ
る苗載台（16）及び移動体（52）の中立位置より苗載台
（16）が左（ａ）矢印方向に移動するとき前記モータ
（49）の正転駆動によって移動体（52）は右（ｂ）矢印
方向に移動して左規制バネ（54a）の引張りバネ力を大
・右規制バネ（54b）の引張りバネ力を小に調節して、
植付部（15）における左側部の支持力を順次大・右側部
の支持力を順次小とさせて、苗載台（16）移動時の重量
変化に伴う植付部（15）の傾きを規制するものである。
そして同様に苗載台（16）が左移動端から右（ｂ）矢印
方向に移動するときローリングモータ（49）を逆転駆動
して移動体（52）を右移動端から左（ａ）矢印方向に移
動させて、右規制バネ（54b）の引張りバネ力を順次大
・左規制バネ（54a）の引張りバネ力を順次小に調節し
て植付部（15）の傾きを規制させその水平維持を図るも
のである。

また該構成の場合前記設定器（61）での設定の仕方によ
り、第８図に示す如く規制バネ（54a）（54b）のバネ力
を自由に変更することも容易に可能にできるもので、第
８図の場合苗載台（16）の中立位置近傍ではモータ（4
9）の制御を行わず移動体（52）を中立に保ち、苗載台
（16）が左右移動端近傍に至るときモータ（49）を正逆
転して移動体（52）を移動させ規制バネ（54a）（54b）
の引張りバネ力を通常状態より大或いは小に調節するよ
うにしたものである。

第９図は植付部（15）の左右傾きを左右の筋引マーカ
（46）より感知するようにした構成例を示すもので、前
記植付ケース（20）に取付けるバリオーム式ローリング
センサ（65）の検出アーム（66）に前記マーカ（46）の
基端アーム（67）をリンク（68）を介して連動連結さ
せ、先端のマーカ体（46a）を田面に接地させる前記マ
ーカ（46）が植付部（15）のローリングにより傾きを変
化させるとき前記センサ（65）によりこれを検出するよ
うに構成したもので、該構成の場合植付部（15）中心よ
り最大離れたマーカ体（46a）により植付部（15）の傾
きの検出を行うことにより、例えば植付部（15）の中心
に対し植付部（15）が水平状態より微小角度（α）傾い
てもマーカ体（46a）では大きな上下変位量（ｔ）（例
えばα＝0.5°に対しｔ＝16mm）となって精度の高い植
付部（15）の傾き（α）の検出が可能にできるものであ
る。

またこの場合植付部（15）の支持高さが変化すると、植
付部（15）の傾き（α）が同じでも前記マーカ（46）に
おけるセンサ（65）の検出値は異なるもので、そのため
植付部（15）つまり中央植付ケース（20）に圃場面との
高さを検出する超音波式など高さセンサ（69）を設け
て、該センサ（69）で検出される支持高さと前記センサ
（65）で検出されるマーカ（46）の傾き変化の両方に基
づき植付部（15）の傾き（α）を検出することによりこ
の検出での精度を一層向上させることができる。

なお、前述実施例にあってはローリングモータ（49）の
正逆転制御を行う構成を示したが、回転速度を変速制御
する構成或いはこれらを組み合わせる構成でも良い。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、走行車（１）
に対してローリング支点軸（42）を中心に植付部（15）
をローリング自在に取付けると共に、植付部（15）を走
行車（１）側に連結させる左右ローリング規制バネ（54
a）（54b）と、該ローリング規制バネ（54a）（54b）の
走行車（１）側連結位置を変更させるバネ圧調節手段
（49）を設ける田植機の植付制御装置において、植付部
（15）の左右往復摺動自在な苗載台（16）の左右移動量
を検出する苗載台移動量センサ（56）を備え、該センサ
（56）の検出結果に基づき前記バネ圧調節手段（49）を
自動制御して苗載台（16）の左右移動量に比例させてロ
ーリング規制バネ（54a）（54b）力を自動的に変化させ
るコントローラ（62）を設けたもので、苗載台（16）の
左右移動量の検出によってローリング規制バネ（54a）
（54b）力を変更させるから、苗載台（16）の左右移動
によって植付部（15）がローリングするのを未然に防止
でき、従来のような苗載台（16）の左右移動によって植
付部（15）が傾いてから植付姿勢が修正される不具合を
なくすことができ、苗の植付け深さを略一定に保つ植付
け精度の向上並びに苗載台（16）の左右移動速度を早く
する植付け作業速度の高速化などを容易に図ることがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は植付部の正面説明図、第２図は乗用田植機の全
体側面図、第３図は同平面図、第４図は植付部の側面説
明図、第５図は同部分説明図、第６図は電気回路図、第
７図乃至第８図は動作線図、第９図はローリングセンサ
部の説明図である。 （15）……植付部 （16）……苗載台 （49）……ローリングモータ（バネ圧調節要素） （52）……移動体（支点部材） （54a）（54b）……規制バネ （56）……移動量センサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中野 実 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 岡田 正 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 安原 勝彦 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 田中 勝士 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 残間 茂雄 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (72)考案者 中島 英夫 大阪府大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマ ー農機株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−119719（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−80811（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭61−24020（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】走行車（１）に対してローリング支点軸
   （42）を中心に植付部（15）をローリング自在に取付け
   ると共に、植付部（15）を走行車（１）側に連結させる
   左右ローリング規制バネ（54a）（54b）と、該ローリン
   グ規制バネ（54a）（54b）の走行車（１）側連結位置を
   変更させるバネ圧調節手段（49）を設ける田植機の植付
   制御装置において、植付部（15）の左右往復摺動自在な
   苗載台（16）の左右移動量を検出する苗載台移動量セン
   サ（56）を備え、該センサ（56）の検出結果に基づき前
   記バネ圧調節手段（49）を自動制御して苗載台（16）の
   左右移動量に比例させてローリング規制バネ（54a）（5
   4b）力を自動的に変化させるコントローラ（62）を設け
   たことを特徴とする田植機の植付制御装置。