JPH0776885A - 建物ユニットの上下階接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建物ユニットの上下階接合構造において、接
合作業性を向上するとともに、接合精度を向上するこ
と。 【構成】 建物ユニット１１の上下階接合構造におい
て、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２１の上
枠材３２の接合端面と、上階建物ユニット１１を構成す
る壁パネル２１の下枠材３３の接合端面のそれぞれに、
それらの接合領域の長手方向に沿って連続するとともに
互いに凹凸係合する凹凸係合部６０を設けてなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ユニット建物を構成す
る上下階の建物ユニット間で、互いに接合される上下の
壁パネル同士、床パネルと壁パネル等のための接合構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建物の工業生産方式としてユニッ
ト工法がある。このユニット工法は、建物を構成する複
数の建物ユニットを工場で生産した後、建築現場に輸送
し、予め構築してある基礎上にて互いに水平方向、鉛直
方向に隣接して据付けるものである。

【０００３】然るに、上下階の建物ユニットを接合して
複層階建物を構成するに際しては、特開昭 55-119846号
公報に記載の如く、下階建物ユニットを構成する壁パネ
ルの上枠材の上面に、上階建物ユニットを構成する床パ
ネルの下枠材を載置し、それらの上枠材と下枠材をボル
ト、ナットによって締結することにて、それらの壁パネ
ルと床パネルとを接合することとしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術
には、下記、の問題点がある。 上階建物ユニットと下階建物ユニットの接合に際し、
後者に対する前者の位置出しを行なう必要があるが、上
記従来技術においては、接合端面が単純な平面どうしで
あり、係止する部分が全くないため、この位置出し作業
が容易でない。即ち、上階建物ユニットを下階建物ユニ
ット上で水平方向にずらし移動することにて下階建物ユ
ニットに対する上階建物ユニットの位置出しを行なう必
要があり、接合作業性が悪い。

【０００５】下階建物ユニット側の上枠材と上階建物
ユニット側の下枠材とが、両者の接合領域の長手方向に
沿って部分的にボルト、ナットによって締結されるに過
ぎない。このため、下階建物ユニット側の上枠材と上階
建物ユニット側の下枠材はボルト、ナットによって締結
されない部分で、それらの外側面間にそれらの曲がり等
に起因する段差を生ずる等、接合精度が悪い。この下階
建物ユニット側の上枠材と上階建物ユニット側の下枠材
の外側面間段差は、これらの枠材に貼り設けられる上下
の壁面段差となって現われ、美観を損なう。

【０００６】本発明は、建物ユニットの上下階接合構造
において、接合作業性を向上するとともに、接合精度を
向上することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、下階建物ユニットのパネル上端部材の接合端面上
に、上階建物ユニットのパネル下端部材の接合端面を搭
載して接合する建物ユニットの上下階接合構造におい
て、下階建物ユニットのパネル上端部材の接合端面と、
上階建物ユニットのパネル下端部材の接合端面のそれぞ
れに、それらの接合領域の長手方向に沿って連続すると
ともに互いに凹凸係合する凹凸係合部を設けてなるよう
にしたものである。

【０００８】請求項２に記載の本発明は、請求項１に記
載の発明において更に、前記凹凸係合部が、一方の接合
端面の一部にて突出するテーパ凸部と、他方の接合端面
の一部にて該テーパ凸部に対応して陥没するテーパ凹部
とを備え、テーパ凸部の高さがテーパ凹部の深さより小
とされてなるようにしたものである。

【０００９】請求項３に記載の本発明は、請求項１又は
２に記載の発明において更に、前記凹凸係合部の凹凸係
合状態下で、凸部の頂面と凹部の底面との間に弾性シー
ル部材が挟圧されてなるようにしたものである。

【００１０】請求項４に記載の本発明は、請求項１、２
又は３記載の発明において更に、前記パネル上端部材と
パネル下端部材のそれぞれが、それらが備える凸部の頂
面と凹部の底面のそれぞれにて当該パネルの他の構成部
材に釘打ち固定されてなるようにしたものである。

【００１１】

【作用】請求項１に記載の本発明によれば、下記、
の作用がある。 下階建物ユニットのパネル上端部材の接合端面上に、
上階建物ユニットのパネル下端部材の接合端面を載せる
だけで、両者の凹凸係合部が互いに凹凸係合することを
介して、上階建物ユニットは下階建物ユニットに対する
所定の取付位置に自然に位置付けられる。従って、接合
作業性が良い。

【００１２】下階建物ユニットのパネル上端部材の接
合端面と、上階建物ユニットのパネル下端部材の接合端
面の両者の凹凸係合部は、それらの接合領域の長手方向
に沿って連続する。従って、下階建物ユニットのパネル
上端部材と上階建物ユニットのパネル下端部材は、全長
において段差の発生を矯正されて接合され、接合精度は
良い。

【００１３】請求項２に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 凹凸係合部がテーパ状であることから、下階建物ユニ
ットのパネル上端部材の接合端面上に、上階建物ユニッ
トのパネル下端部材の接合端面を載せる際に、それらの
テーパ凸部とテーパ凹部とが互いにガイドして導き合う
結果、接合作業性は更に向上する。

【００１４】このとき、テーパ凸部の高さがテーパ凹部
の深さより小とされてなることにより、凹凸係合部の凹
凸係合状態下で、テーパ凸部の頂面がテーパ凹部の底面
に突き当たることがない。即ち、下階建物ユニットのパ
ネル上端部材の接合端面と、上階建物ユニットのパネル
下端部材の接合端面とは完全に隙間なく接触（密着）し
て接合するものとなる。

【００１５】請求項３に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 凹凸係合部の凹凸係合状態下で、凸部の頂面と凹部の
底面との間に弾性シール部材が挟圧されてなることによ
り、上下のパネル間のシール性を向上できる。

【００１６】請求項４に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 パネル上端部材とパネル下端部材のそれぞれが、それ
らが備える凸部の頂面と凹部の底面のそれぞれにて当該
パネルの他の構成部材に釘打ち固定されてなることによ
り、それらパネル上端部材の接合端面とパネル下端部材
の接合端面に釘頭の存在がなく、それらのパネルを組付
けできる。このため、それらのパネル組付後に、それら
のパネル上端部材の接合端面とパネル下端部材の接合端
面のそれぞれを仕上削りでき、接合精度は更に向上し得
る。

【００１７】

【実施例】図１は本発明の一実施例である上下壁パネル
の接合構造を示す模式図、図２はユニット建物を示す模
式図、図３は建物ユニットを示す模式図である。

【００１８】ユニット建物１０は、図２に示す如く、複
数の建物ユニット１１を基礎１２の上部にて水平方向及
び鉛直方向に接合するとともに、それら建物ユニット１
１の上部に屋根ユニット１３を搭載することにて構築さ
れる。

【００１９】ここで、建物ユニット１１は、壁パネル２
１と床パネル２２と天井パネル２３とを互いに取着して
構成される。そして、建物ユニット１１は、壁パネル２
１の内面部上に、床パネル２２と天井パネル２３の各外
縁部を突合せ配置して取着する。また、建物ユニット１
１は、床パネル２２の外縁部沿いで壁パネル２１が配置
されない部分には大断面の床梁２５を設け、この床梁２
５を両側の壁パネル２１、２１に取着するとともに、こ
の床梁２５に床パネル２２と天井パネル２３を取着して
支持することとしている。

【００２０】このとき、壁パネル２１は、図３に示す如
く、両側の柱３１、３１と上下の枠材３２、３３を四角
枠組し、上下の枠材３２、３３間に複数のスタッド３４
を設けることにて壁枠組３５を形成するとともに、この
壁枠組３５内に断熱材を充填し、更に、この壁枠組３５
の両面に外壁面材３７、内壁面材３８を取着することに
て構成される。

【００２１】また、床パネル２２は、図３に示す如く、
両端の端根太４１、４１と両側の側根太４２、４２を四
角枠組し、両端の端根太４１、４１間に複数の床根太４
３を架け渡すことにて床枠組４４を形成するとともに、
この床枠組４４内に断熱材を充填し、更に、この床枠組
４４に床面材４６を取着することにて構成される。

【００２２】また、天井パネル２３は、図３に示す如
く、両端の枠材５１、５１と両側の枠材５２、５２を四
角枠組し、両端の枠材５１、５１間に複数の野縁５３を
架け渡すことにて天井枠組５４を形成するとともに、こ
の天井枠組５４の下面に天井面材５５を取着することに
て構成される。

【００２３】然るに、ユニット建物１０にあっては、上
下の建物ユニット１１を用いて２階建物を構築するに際
し、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２１の上
枠材３２の接合端面上に、上階建物ユニット１１を構成
する壁パネル２１の下枠材３３の接合端面を搭載して接
合するものとなる。

【００２４】そして、本発明にあっては、図１に示す如
く、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２１の上
枠材３２の接合端面と、上階建物ユニット１１を構成す
る壁パネル２２の下枠材３３の接合端面のそれぞれに、
それらの接合領域の長手方向に沿って連続するとともに
互いに凹凸係合する凹凸係合部６０を設けた。

【００２５】また、凹凸係合部６０は、下階建物ユニッ
ト１１を構成する壁パネル２１の上枠材３２の接合端面
の幅方向中央部にて突出するテーパ凸部６１と、上階建
物ユニット１１を構成する壁パネル２１の下枠材３３の
接合端面の幅方向中央部にて陥没するテーパ凹部６２と
でなり、テーパ凸部６１の高さをテーパ凹部６２の深さ
より小としている。

【００２６】また、凹凸係合部６０は、その凹凸係合状
態下で、テーパ凸部６１の頂面６１Ａとテーパ凹部６２
の底面６２Ａとの間に弾性シール部材６３を挟圧するよ
うになっている。弾性シール部材６３は、凹凸係合作業
前に、テーパ凸部６１とテーパ凹部６２の一方に予め貼
着される。

【００２７】また、壁パネル２１の上枠材３２と壁パネ
ル２１の下枠材３３のそれぞれは、それらが備えるテー
パ凸部６１の頂面６１Ａとテーパ凹部６２の底面６２Ａ
のそれぞれにて、当該パネル２１の柱３１、スタッド３
４に釘打ち固定される。６４は釘である。

【００２８】尚、凹凸係合部６０は、上記実施例におけ
ると逆に、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２
１の上枠材３２の接合端面にテーパ凹部を設け、上階建
物ユニット１１を構成する壁パネル２１の下枠材３３の
接合端面にテーパ凸部を設けても良い。

【００２９】また、ユニット建物１０にあっては、上下
の建物ユニット１１を構成する各壁パネル２１の上枠材
３２と下枠材３３のそれぞれを上述の如く凹凸係合部６
０を介して接合した後、図１に示す如く、上階建物ユニ
ット１１における壁パネル２１の外壁面材３７の下端部
と下枠材３３との間に挟んである防水シート６５を、下
階建物ユニット１１における壁パネル２１の外壁面材３
７上に被着固定化せしめる。

【００３０】以下、本実施例の作用について説明する。 下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２１の上枠
材３２の接合端面上に、上階建物ユニット１１を構成す
る壁パネル２１の下枠材３３の接合端面を載せるだけ
で、両者の凹凸係合部６０が互いに凹凸係合することを
介して、上階建物ユニット１１は下階建物ユニット１１
に対する所定の取付位置に自然に位置付けられる。従っ
て、接合作業性が良い。

【００３１】下階建物ユニット１１を構成する壁パネ
ル２１の上枠材３２の接合端面と、上階建物ユニット１
１を構成する壁パネル２１の下枠材３３の接合端面の両
者の凹凸係合部６０は、それらの接合領域の長手方向に
沿って連続する。従って、下階建物ユニット１１を構成
する壁パネル２１の上枠材３２と上階建物ユニット１１
を構成する壁パネル２１の下枠材３３は、全長において
段差の発生を矯正されて接合され、接合精度は良い。

【００３２】凹凸係合部６０がテーパ状であることか
ら、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル２１の上
枠材３２の接合端面上に、上階建物ユニット１１を構成
する壁パネル２１の下枠材３３の接合端面を載せる際
に、それらのテーパ凸部６１とテーパ凹部６２とが互い
にガイドして導き合う結果、接合作業性は更に向上す
る。

【００３３】このとき、テーパ凸部６１の高さがテーパ
凹部６２の深さより小とされてなることにより、凹凸係
合部６０の凹凸係合状態下で、テーパ凸部６１の頂面６
１Ａがテーパ凹部６２の底面６２Ａに突き当たることが
ない。即ち、下階建物ユニット１１を構成する壁パネル
２１の上枠材３２の接合端面と、上階建物ユニット１１
を構成する壁パネル２１の下枠材３３の接合端面とは完
全に隙間なく接触（密着）して接合するものとなる。

【００３４】凹凸係合部６０の凹凸係合状態下で、テ
ーパ凸部６１の頂面６１Ａとテーパ凹部６２の底面６２
Ａとの間に弾性シール部材６３が挟圧されてなることに
より、上下の壁パネル２１、２１の間のシール性を向上
できる。

【００３５】壁パネル２１の上枠材３２と壁パネル２
１の下枠材３３が、それらが備えるテーパ凸部６１の頂
面６１Ａとテーパ凹部６２の底面６２Ａのそれぞれにて
当該パネル２１の柱３１、スタッド３４に釘打ち固定さ
れてなることにより、それら上枠材３２、下枠材３３の
接合端面に釘頭の存在がなく、それらの壁パネル２１を
組付けできる。このため、それらの壁パネル２１の組付
後に、それらの上枠材３２、下枠材３３の接合端面のそ
れぞれを仕上削りでき、接合精度は更に向上し得る。

【００３６】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の接
合構造によって接合した下階建物ユニットのパネル上端
部材と、上階建物ユニットのパネル下端部材とを、更に
ボルト、ナットとによって強固に締結するものであって
も良い。

【００３７】また、本発明が適用されるユニット建物に
あっては、建物ユニットとして、床パネルの外縁側上面
部に壁パネルを立設するものを用いても良い。このと
き、上下階の接合は、下階建物ユニットの壁パネル上端
部材の接合端面上に、上階建物ユニットの床パネル下端
部材の接合端面を搭載して接合するものとなる。従っ
て、下階建物ユニットの壁パネル上端部材の接合端面と
上階建物ユニットの床パネル下端部材の接合端面のそれ
ぞれに、本発明の凹凸係合部を設けるものとなる。

【００３８】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、建物ユニ
ットの上下階接合構造において、接合作業性を向上する
とともに、接合精度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例である上下壁パネルの
接合構造を示す模式図である。

【図２】図２はユニット建物を示す模式図

【図３】図３は建物ユニットを示す模式図である。

【符号の説明】

１１ 建物ユニット ２１ 壁パネル ３２ 上枠材（パネル上端部材） ３３ 下枠材（パネル下端部材） ６０ 凹凸係合部 ６１ テーパ凸部 ６１Ａ 頂面 ６２ テーパ凹部 ６２Ａ 底面 ６３ 弾性シール部材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下階建物ユニットのパネル上端部材の接
   合端面上に、上階建物ユニットのパネル下端部材の接合
   端面を搭載して接合する建物ユニットの上下階接合構造
   において、 下階建物ユニットのパネル上端部材の接合端面と、上階
   建物ユニットのパネル下端部材の接合端面のそれぞれ
   に、それらの接合領域の長手方向に沿って連続するとと
   もに互いに凹凸係合する凹凸係合部を設けてなることを
   特徴とする建物ユニットの上下階接合構造。
2. 【請求項２】 前記凹凸係合部が、一方の接合端面の一
   部にて突出するテーパ凸部と、他方の接合端面の一部に
   て該テーパ凸部に対応して陥没するテーパ凹部とを備
   え、 テーパ凸部の高さがテーパ凹部の深さより小とされてな
   る請求項１記載の建物ユニットの上下階接合構造。
3. 【請求項３】 前記凹凸係合部の凹凸係合状態下で、凸
   部の頂面と凹部の底面との間に弾性シール部材が挟圧さ
   れてなる請求項１又は２記載の建物ユニットの上下階接
   合構造。
4. 【請求項４】 前記パネル上端部材とパネル下端部材の
   それぞれが、それらが備える凸部の頂面と凹部の底面の
   それぞれにて当該パネルの他の構成部材に釘打ち固定さ
   れてなる請求項１、２又は３記載の建物ユニットの上下
   階接合構造。