JPH077604B2 - コンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

コンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルム

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JPH077604B2
JPH077604B2 JP4370390A JP4370390A JPH077604B2 JP H077604 B2 JPH077604 B2 JP H077604B2 JP 4370390 A JP4370390 A JP 4370390A JP 4370390 A JP4370390 A JP 4370390A JP H077604 B2 JPH077604 B2 JP H077604B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、特定の架橋高分子微粒子を含有する、コンデ
ンサ誘電体用として適した二軸延伸ポリエステルフィル
ムに関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
ポリエチレンテレフタレートを主とするポリエステルフ
ィルムは、機械的性質、電気的性質、耐熱性等に優れる
ことから、コンデンサの誘電体として広く用いられてい
る。プラスチックフィルムコンデンサには、フィルム表
面にアルミニウムや亜鉛を真空蒸着し素子に巻き取る蒸
着コンデンサーと、導電性の金属箔とプラスチックフィ
ルムとを重ね巻きして素子を作成する箔巻きコンデンサ
とがある。双方のコンデンサともフィルムに要求される
特性は同様であり、フィルム取扱い時の作業性、素子の
巻回性や偏平化する際のつぶれ性等が要求され、そのた
めには、フィルムの摩擦係数の低下が必要となる。
摩擦係数を低下させるために従来から多くの方法が提案
されているが、最も一般的に採用されているのはフィル
ム中に不活性微粒子を存在させる方法である。この方法
には大別すると2つの方法がある。
1つは析出法と呼ばれる方法で、エステル交換触媒を利
用し重合反応系内で微粒子を析出させるものである。今
1つの方法は添加法と呼ばれる方法であり、カオリン,
タルク,炭酸カルシウム等をそのまま、あるいは微粒子
化した後ポリエステル合成時あるいはフィルム成型時に
添加する方法である。かかる方法による微粒子に基きフ
ィルム表面には多くの突起が生成し、作業性(ロール巻
き時のシワ、ズレ発生等が無いこと)及び加工性(コン
デンサの素子巻き性や偏平性)は改良されるものの、反
面、絶縁耐力が低下しコンデンサ素子として好ましくな
いものとなる。逆に絶縁耐力を高めるために微粒子の含
有量を低下したり、粒子径を小さくしたりするとフィル
ム表面が平坦化し作業性、加工性が悪化するようにな
る。
微粒子の存在が絶縁耐力を低下させる原因としては、二
軸延伸製膜時に微粒子の周辺に形成される空隙の存在が
考えられており、これが、作業性,加工性との両立を妨
げる大きな障害となっている。
ところで、近年、コンデンサの小型化、軽量化のため、
蒸着コンデンサーが多く使用され、同時にフィルムの薄
物化が進行している。この場合、特にフィルム強度が大
きいことが要求される。すなわち蒸着加工において最近
は従来にも増して加工速度や、張力の増大が要求される
ようになり、強度が弱いとフィルムが伸びてしまい製品
として好ましくないものとなる。高強度のフィルムは、
通常、二軸延伸製膜時の延伸倍率を高めることにより得
られるが、この場合微粒子の周辺に生ずる空隙が増大し
絶縁耐力の低下が著しくなり、コンデンサ誘電体として
極めて好ましくないものとなる。
従ってコンデンサ誘電体用としての作業性、加工性及び
電気的性質が優れ、かつ、強度の高いフィルムが特に要
望されていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記実情に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、
ある特定の平均粒径および粒径化を有し、分子中に特定
の構造単位を有する架橋高分子微粒子を含有する高強度
フィルムにより、上記目的が達せられることを見出し本
発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、平均粒径が0.05〜3.0μm、
粒径比が1.2〜5.0である、エチレングリコール単位を有
する架橋高分子粒子を0.01〜4重量%含有するポリエス
テルフィルムであって、該フィルムの縦および横方向の
F−5値の和が22kg/mm2以上であることを特徴とするコ
ンデンサ用二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、テレフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸又
はそのエステルと、エチレングリコールを主たる出発原
料として得られるポリエステルを指すが、他の第三成分
を含有していてもかまわない。この場合、ジカルボン酸
成分としては例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、アジピン酸、
セバシン酸、及びオキシカルボン酸成分、例えばp−オ
キシエトキシ安息香酸などの一種又は二種以上を用いる
ことができる。グリコール成分としては、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコ
ールなどの一種又は二種以上を用いることができる。い
ずれにしても、本発明のポリエステルとは繰り返し構造
単位の80%以上がエチレンフタレート単位又はエチレン
−2,6−ナフタレン単位を有するポリエステルを指す。
本発明の大きな特徴は、分子中にエチレングリコール単
位を有し、かつ延伸により適度に変形し得る架橋高分子
粒子をフィルムに含有させる点にある。
ポリエステルの添加粒子として常用されている無機粒子
は延伸時に強い力がかかってもそれ自身変形することな
く、粒子周辺に空隙を生じてしまう。この現象は有機粒
子の中でも耐熱性を優先させた高架橋度の粒子の場合に
も観察される。
しかしながら本発明者が知見したところによれば、ポリ
エステルと比較的馴じみが良くしかも延伸追随性があ
り、フィルム中で特定の粒径比すなわち変形度を有する
架橋高分子粒子の場合には空隙の発生も少なく絶縁耐力
が極めて優れていることが明らかとなった。本発明で用
いる架橋高分子粒子は分子中にエチレングリコール単位
を有するものであるが、かかる構成により、ポリエステ
ルとの親和性が増し、その一部はポリエステルと反応し
強固な結合を持った粒子としてのポリエステル中に埋没
させることができ、粒子変形の効果と相まって、粒子と
ポリエステルとの界面に生ずる空隙を抑制する効果をも
たらすことが明らかとなった。架橋高分子粒子中のエチ
レングリコール単位の含有率は通常3〜38重量%の範囲
であり、好ましくは5〜25重量%の範囲である。エチレ
ングリコール単位の含有率が3重量%未満ではポリエス
テルとの親和性効果が不充分となり、特に高倍率での延
伸で若干の空隙が生じたり、ポリエステルに配合した時
に粒子間で凝集を起こしたりして好ましくないものとな
る。
本発明のフィルム中の粒子は延伸前、ほぼ真球(通常、
粒径比が1.0〜1.1の範囲)であるが、該粒子がフィルム
中で本発明の要件を満足するよう変形するには、架橋高
分子粒子自身の変形のしやすさと延伸条件との適度な組
合せを必要とする。本発明では高強度のフィルムを必要
とするため、比較的強い延伸応力が粒子にかかり、粒子
の変形が起こりやすい条件となるが、変形度が本発明の
範囲を超え、大となると(すなわち粒径比が5.0を越え
ると)、フィルム表面に形成される突起が小さくなり、
作業性,加工性等の改良効果が発現出来なくなる。逆に
変形し難い架橋高分子粒子を配合し、粒子変形度が本発
明の下限を下回ると(すなわち粒径比が1.2未満となる
と)粒子周辺の空隙が極めて大きくなり好ましくない状
態となる。
いずれにしても本発明においては、架橋高分子粒子に延
伸応力を作用させることにより粒径比が1.2〜5.0、好ま
しくは1.3〜4.0、更に好ましくは1.4〜3.0の粒子とする
が、この条件に見合う粒子として次のような粒子が好適
に使用できる。すなわち、分子中にエチレングリコール
単位を有するモノマー、例えば下記一般式(I)で示さ
れる化合物を重合させるか、該化合物と共重合可能な化
合物とを共重合させることにより製造される粒子が好ま
しい。
ただし、上記式中、R1は水素原子またはC1〜C4の直鎖ま
たは分岐鎖アルキル基を示し、R2は水素原子または を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(I)で示される化合物の中でも、本発明におい
ては、特にエチレングリコースモノアクリレート、エチ
レングリコールメタクリレート、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等
が好ましく用いられる。また、これらの化合物と共重合
可能な化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル、メクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、スチレ
ン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
本発明ではこれらの粒子の中から易変形性が得られるよ
う特にその組成を選定する必要があるが、そのためには
架橋高分子のガラス転移温度が低くなるよう具体的には
110℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃
以下となるよう共重合成分を選定すると良い。
更に、架橋度も易変形性に大きな影響を与えるが本発明
においては耐熱性が許容される範囲で比較的架橋度を低
くしたものが好ましい。具体的には架橋剤としての役割
を果す化合物すなわち分子中に2個以上の脂肪族の不飽
和結合を有する化合物の成分比が5〜20%、好ましくは
7〜15%の範囲とするのが良い。
以上、例示した化合物を重合させることにより本発明に
架橋高分子粒子を得ることができるが、重合に際しては
ソープフリー重合法を採用することが好ましい。
例えば水媒体中に水溶性の重合開始剤を所定量溶解した
後、あらかじめ常法により精製した一般式(I)で示さ
れる化合物およびビニル化合物とを均一に混合し添加す
る。浴比(モノマー/水の割合)は、通常1/30〜1/5の
範囲である。浴比が1/30未満ででは生産性が劣るため好
ましくない。また、浴比が1/5以上では凝集粒子が生成
し易くなるため好ましくない。
次に攪拌下、重合開始剤の分解開始温度以上、好ましく
は40〜80℃で6〜8時間重合する。その際、モノマー組
成によっては、一部、凝集粒子が生成する場合もあるの
で、この場合は粒子の分散安定性を保持するため分散安
定剤として臨界ミセル濃度以下の極く微量の界面活性剤
を添加してもよい。なお、水溶性の重合開始剤としては
過酸化水素、過硫酸カリウムあるいは過硫酸カリウム−
チオ硫酸ナトリウム等のレドックス系開始剤を用いるこ
とができる。
得られた架橋高分子粒子を含む水スラリーはポリエステ
ル製造工程に添加するため、通常エチレングリコールス
ラリーに置換するが、このためには、該粒子を含む水ス
ラリーを遠心分離後、水洗した後、該粒子をエチレング
リコールに分散させ、蒸留により水分量を1%以下とす
るか、該粒子を含む水スラリーに直接エチレングリコー
ルを加え蒸留により水分量を1%以下とする。
何れにしても本発明の架橋高分子粒子は最終的にエチレ
ングリコールスラリーとして調製することが好ましい。
なお、本発明で用いるこれら架橋高分子粒子の平均粒径
は、0.05〜3.0μm、好ましくは、0.1〜2.0μmの範囲
である。
平均粒径が0.05μm未満ではフィルムの取扱い作業性や
加工性の改良効果が不充分であるし、逆に3.0μmを越
えるとフィルムの表面粗さが大きくなり過ぎ、コンデン
サー素子が大型化して好ましくない。
なお、本発明で用いる架橋高分子粒子はその粒度分布が
シャープであることが好ましく、そのシャープさを表す
パラメータγ値(定義は後述)は通常1.5以下、好まし
くは1.4以下、更に好ましくは1.3以下である。
また、架橋高分子粒子のポリエステルフィルム中の配合
量は0.01〜4重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜0.
5重量%の範囲である。配合量が0.01重量%未満では作
業性,加工性が不充分である。一方、4重量%を越える
とフィルム表面粗度が大きくなり過ぎ、電気特性が劣る
ようになり好ましくない。
本発明で用いる架橋高分子粒子をポリエステルに配合す
る方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を
採用し得る。例えばポリエステル製造工程のいずれかの
段階、好ましくはエステル化又はエステル交換反応終了
後重縮合反応開始前の段階で添加してもよいし、粒子と
ポリエステルチップとを直接ブレンドしてもよい。
以上の方法によって得たポリエステルは、そのまま、あ
るいは他のポリエステルで希釈して製膜することにより
目的のフィルムを製造することができる。希釈に用いる
他のポリエステルとしては、全く粒子を含有しないポリ
エステル、又はコンデンサとしての電気特性を低下させ
ることのない他の粒子を少量含有するポリエステルを挙
げることが出来るがいずれにしても最終的に得られるフ
ィルム中にかかる架橋高分子粒子が0.01〜4重量%含有
されている必要がある。
本発明における今一つの特徴はかかるポリエステルフィ
ルムを得る際、高倍率延伸を行ない高強度のフィルムと
する点にある。
従来、ポリエステルフィルムを二軸延伸する方法とし
て、例えば未延伸フィルムを縦方向に延伸した後、横
方向に延伸するいわゆる縦、横逐時延伸法、横,縦逐
時延伸法、通常の二軸延伸フィルムを再延伸する縦−
横−縦又は横−縦−横延伸法、同時二軸延伸法等が知
られているが、本発明においてはこれらの延伸法のいず
れかを採用し高強度化フィルムとする。
具体的には二軸延伸後のフィルムの縦方向、横方向のF
−5値(5%伸長時の応力を示す。)の和が22kg/mm2
上であることが必要であり、好ましくは23〜28kg/mm2
あり、就中縦方向のF−5伸が11kg/mm2以上であるポリ
エステルフィルムが好ましい。
かかるF−5値を有するフィルムを得るための延伸倍率
は延伸温度や延伸方法にも左右され一義的に定めること
はできないが、例えば縦方向の総合延伸倍率が4.0倍以
上、横方向の総合延伸倍率は3.7倍以上とすることによ
り達成される。
このような延伸条件下、本発明の要件を満足しない粒子
を用いると、粒子周辺に大きな空隙を生じさせ、コンデ
ンサとしての絶縁耐力を著しく低下させるようになる。
ところが驚くべきことに本発明の架橋高分子粒子の場合
には粒子周辺の空隙はほとんど生ずることなく、コンデ
ンサ誘電体用フィルムとして優れた特性を維持したまま
高強度化を為し遂げることができる。更に本発明の高強
度化したフィルムは高温時におけるCR値(静電容量と抵
抗の積)を大幅に改良することが出来る。高強度がCR値
を向上させる理由としてはフィルムの分子配向が大きく
なることにより電気抵抗が増加するためと考えられる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に詳細に本発明を説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中
「部」とあるのは「重量部」を示す。
また、本発明の諸物性は以下の方法に従い測定した。
(1)平均粒径 走査型電子顕微鏡にて粒子を観察し、粒子毎に最大径と
最小径を求め、その相加平均を粒子1個の粒径とした。
粒子の平均粒径はかかる粒径の体積分率50%の点の粒径
(μm)で表わした。
(2)粒度分布のシャープさγ 平均粒径の測定法を同様にして粒度分布を求めた。分布
の大粒子側から積算を行ない下記式から粒度分布のシャ
ープさγを算出した。
(3)粒径比 走査型電子顕微鏡または透過型顕微鏡にて粒子を観察
し、粒子の最大径dmaxと最小径dminの比をもって示し、
粒子100個の平均値で表した。
(4)エチレングリコール単位 架橋高分子粒子中のエチレングリコール単位とは−CH2-
CH2‐0−を指し、その割合は下記式より求めた。
(5)F−5値 5%伸長時の応力、kg/mm2で表わし、測定はインストロ
ン引張試験機を用いて行った。
二軸延伸フィルムからフィルムの縦方向の長さ150mm、
幅方向の長さ6.25mmのサンプル片を5枚切り出し、引張
速度50mm/min、つかみ間隔および標点間隔50mmにて引張
試験を行った。
得られたS−S曲線から5%伸長時の荷重を読み取り次
式に従ってF−5値を算出し5点の平均値を求めた。
(6)高温のCR値 静電容量Cの測定はゼネラルラジオ社製「RLCデジブリ
ッジ」を用い、1KHz,0.3VrmSの条件下で行い、電気抵抗
Rの測定は横川ヒュレットパッカード社製超絶縁抵抗計
を用い直流100Vを印加した後1分後の測定値を読みとっ
た。両者の積がCR値(ΩF)であり、測定は125℃で行
った。
(7)絶縁耐力 東洋精機製100KV交流耐圧試験機(OEL−72034)を用い
電圧上昇度を0.1KV/秒とし、二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの絶縁破壊電圧を測定した。この値が高いほど絶縁
耐力が優れている。
実施例−1 〔架橋高分子粒子の製造〕 脱塩水120部に水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム0.32
部と分散安定剤としてエマールO(ラウリル硫酸ナトリ
ウム:花王アトラス社製法)を0.0004部添加し均一に溶
解した後、エチレングリコールモノメタクリレート5
部,メチルメタクリレート4部,ジビニルベンゼン1部
の均一溶液を加えた。
次に窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温し、70
℃−6時間重合を行った。反応率は99%で得られた架橋
高分子粒子の粒径は0.86μm、粒径比は1.04であった。
生成した架橋高分子粒子の水スラリーにエチレングリコ
ール190部を加え、加熱、減圧下で水を留去した。得ら
れた架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリー中の
水分量は0.3重量%であった。
〔ポリエステルフィルムの製造〕
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール60
部及び酢酸マグネシウム四水塩0.09部を反応器にとり、
加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交
換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に平均
粒径0.3μmの該架橋高分子粒子のエチレングリコール
スラリー6部を添加した後、エチルアシッドフォスフェ
ート0.04部と三酸化アンチモン0.035部を添加し4時間
重縮合を行い、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレ
ートを得た。
得られたポリエステルのチップを280℃で溶融押出し、
冷却ロールで急冷固化させ、無定形フィルムを得た。次
いで該無定形フィルムを縦方向に85℃で4.4倍、横方向
に105℃で4.0倍の延伸を行い、220℃で熱固定して、厚
み4μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得ら
れたフィルムの縦方向のF−5値は13.2kg/mm2,横方向
のF−5値は11.3kg/mm2であった。またフィルム中の架
橋高分子粒子は充分な分散を示し、粒子周辺の空隙は全
く見られず良好なものであった。更に該フィルムをコン
デンサーとして素子巻きし、加工適性を評価した所、素
子巻き時にシワや巻きズレの発生は見られず良好であっ
た。更に該素子を偏平化した時の形状も良好であり、全
く問題なくコンデンサー素子を形成出来た。
実施例−2 実施例−1の架橋高分子粒子の製造においてメチルメタ
クリレートに代え、スチレンを3.7倍、又ジビニルベン
ゼンを1.3部にして重合を行なう他は実施例−1と同様
にして平均粒径0.73μmの架橋高分子粒子を得た。該粒
子を用いて、実施例−1のポリエステルフィルムの製造
における延伸倍率を縦方向に85℃で4.5倍、横方向に105
℃で4.3倍とする他は実施例−1と同様にして二軸延伸
ポリエステルフィルムを得た。
比較例−1 実施例−1の架橋高分子粒子の製造においてエチレング
リコールモノメタクリレート、メチルメタクリレート、
及びジビニルベンゼンを各2部,5部,3部にする他は実施
例−1と同様にして平均粒径0.91μmの架橋高分子粒子
を得た。次に該粒子を用いて実施例−1と同様にしてポ
リエステルフィルムを得た。
比較例−2 実施例−2の架橋高分子粒子の製造においてエチレング
リコールモノメタクリレートに代えてメチルメタクリレ
ートを用いる他は実施例−2と同様にして架橋高分子粒
子を得た。更に該粒子を用い実施例−2と同様にしてポ
リエステルフィルムを得た。
比較例−3 実施例−1において縦延伸倍率を3.5倍、横延伸倍率を
3.3倍とする他は実施例−1と同様にしてポリエステル
フィルムを得た。
比較例−4 実施例−1において架橋高分子粒子の代りにSiO2粒子を
用いる他は実施例−1と同様にしてポリエステルフィル
ムを得た。
比較例−5 実施例−1の架橋高分子粒子の製造において、エチレン
グリコールモノメタクリレート、メチルメタクリレー
ト、及びジビニルベンゼンを各5部,4.8部,0.2部とする
他は同様にして平均粒径0.85μmの重合し、該粒子を用
いて実施例−1と同様にしてポリエステルフィルムを得
た。
以上、得られた結果をまとめて下記表−1に示す。
実施例1および2のフィルムは、表−1の結果から明ら
かな通り、コンデンサ用の誘電体として極めて有用なフ
ィルムである。これに対し比較例−1のように粒子が硬
く、粒子変形度が小さい架橋高分子粒子の場合には粒子
周辺に大きな空隙が生じ、特に絶縁耐力が劣り好ましく
ないものとなる。
また比較例−2のようにエチレングリコール単位を含有
しない架橋高分子粒子の場合は、ポリエステルとの親和
性が劣るため粒子周辺の空隙の発生と同時に粒子同志の
凝集が生じ、コンデンサ用フィルムとして劣るものであ
る。比較例−3は延伸倍率が低くフィルムのF5値が本発
明の範囲を満たさない場合の例であるが、この場合、絶
縁耐力は優れるもののCR値において劣るものであった。
なお比較例−4は無機粒子の例としてシリカ粒子(Si
O2)を用いた場合のものであるが、ポリエステルの親和
性に劣り、しかも粒子変形性が全くないため、粒子周辺
には大きな空隙が生じ絶縁耐力が劣るものであった。
比較例−5は架橋高分子粒子の架橋度が低く、粒子が極
めて軟かい場合の例であるが、この場合、延伸による粒
子変形度が本発明の上限を越えてしまい、表面の突起形
成が不充分となり、コンデンサ素子巻き時にシワが入っ
てしまいコンデンサ誘電体としては劣るものであった。
〔発明の効果〕
本発明のフィルムは、優れた機械的特性、蒸着加工適
正、素子巻き特性および電気特性を有しており、コンデ
ンサ用フィルムとして極めて有用であり、その工業的価
値は高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が0.05〜3.0μm、粒径比が1.2〜
    5.0である、エチレングリコール単位を有する架橋高分
    子粒子を0.01〜4重量%含有するポリエステルフィルム
    であって、該フィルムの縦および横方向のF−5値の和
    が22kg/mm2以上であることを特徴とするコンデンサ用二
    軸延伸ポリエステルフィルム。
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