JPH0774272B2 - 全芳香族共重合ポリアミド及びその成型物 - Google Patents

全芳香族共重合ポリアミド及びその成型物

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JPH0774272B2 JP1050029A JP5002989A JPH0774272B2 JP H0774272 B2 JPH0774272 B2 JP H0774272B2 JP 1050029 A JP1050029 A JP 1050029A JP 5002989 A JP5002989 A JP 5002989A JP H0774272 B2 JPH0774272 B2 JP H0774272B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、強度,モジュラス等の機械的物性に優れ、耐
熱性,難燃性、耐薬品性に富んだ、新規な全芳香族ポリ
アミド(アラミド)に関するものである。さらに詳しく
は、有機極性溶媒に可溶な、プロセス性の良好な、共重
合アラミドに関する。
[従来技術] アラミドは、高強力,高モジュラス、及び、高い耐熱性
を生かして、繊維、フイルム等に、幅広く用いられる。
とりわけ、パラ型のアラミドである、ポリ−p−フェニ
レレンテレフタラミド(PPTA)は、産業用資料、保護具
等に、その特徴を生かしアラミドの主流を成している。
然しながら、PPTAの製造,紡糸成型についてみれば、分
子の剛直性に起因する問題があり、例えば、重合反応溶
媒として、生体への毒性が強いヘキサメチルホスホルト
リアミドを使用しなければならないことや、濃硫酸によ
って、液晶性の紡糸原液を調製し、いわゆる液晶紡糸を
行わなければならない。しかも、この硫酸を中和するた
め、大量の中和剤を必要とし、製品中にこれら中和剤か
らの無機イオンが混入し、製品の品質を損なう。又、工
程的にも不利である。
これに対して、重合溶媒として一般的な有機極性溶媒を
用い、等方性の紡糸原液を調製しプロセスの簡略化を図
る試みも提案されている。具体的には、エーテル結合を
分子鎖中に共重合し、溶解性を改良する方法(例えば、
特開昭51−76386号、特開昭51−134743号、特開昭51−1
36916号、特開昭61−252229号、特開昭62−27431号、特
開昭62−225530号、特開昭62−177022号、特開昭62−17
7023号各公報など)が数多く提案されている。これらの
うち、p−フェニレンジアミン(PPDA)と、3,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル(3,4′DAPE)とを共重合し
た、共重合アラミドは、強度、剛性率、耐薬品性に優れ
たポリマーであり、一般的な有機極性溶媒である。N−
メチルピロリドン(NMP)等を重合反応溶媒として用い
ることができ、しかも、この重合反応後のポリマー溶液
を直接用いて、紡糸等の成型ができ、プロセスの大幅な
改善が可能となる。
このような、柔軟な結合種であるエーテル結合をポリマ
ー鎖中に導入することは、溶解性向上の点で有効な手段
であるが、ポリマーの一次構造からも類推できるよう
に、耐熱性,剛性率,難燃性等の物性で、十分な性能を
発揮するに至っていない。更に高度の機械的物性、耐熱
性、難燃性を求めた場合、しかも、有機溶媒に可溶で、
簡便な製造プロセスが採用できるアラミドは、未だ提供
されていないのが現状である。
さらに、近年にいたっては、安全性の観点より従来に増
して難燃性、不燃性が要求され、とりわけ、安全保護
具、航空機内装用の素材には特に必要な性能である。こ
の点においても既存のアラミドは、難燃性、不燃性能が
不十分であるため、利用分野が制限されるのが実状であ
る。
[発明の目的] 本発明の目的は生体への毒性の少ない有機溶媒に可溶
で、製糸安定性にすぐれ、且つ高度の機械的物性、耐熱
性、および難燃性、不燃性を有するアラミドを提供する
ことにある。
[発明の構成] 重合段階での有機溶媒への溶解性を維持して、より優れ
た機械的物性,耐薬品性,難燃性を持つ共重合アラミド
について鋭意研究した結果PPDA,3,4′−DAPEに加えハロ
ゲン化ベンチジンを第三の成分としたジアミンと、テレ
フタル酸ハライド(TPC)とのアラミドが良好な性能を
持つ事を見いだし本発明に至った。
即ち、本発明は(1) 主たる繰り返し単位が 但し、Xはハロゲン元素、m,nは4以下の整数 からなり、ジアミン成分(A)、(B)、(C)が、図
1で示した範囲内(CDEFGH)であり、且つ、ハロゲン濃
度が0.5重量%以上である全芳香族共重合ポリアミド。
(2) ジアミン成分(A)が、クロロベンチジン基で
あるである請求項(1)の全芳香族共重合ポリアミド。
(3) ジアミン成分(A)が、3,3′−ジクロロベン
チジン基である請求項(2)の全芳香族共重合ポリアミ
ド。
(4) 請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳
香族共重合ポリアミドからなる成型物である。
本発明においてジアミン成分A,B,Cは構成成分として必
須の要件である。成分Aで示されるハロゲン化ベンチジ
ンとしては、例えば、3−クロロベンチジン,3−ブロモ
ベンチジン,3,3′−ジクロロベンチジン、3,3′−ジブ
ロモベンチジン、3,3′−ジフルオロベンチジン、2,2′
−ジクロロベンチジン、2,2′−ジフルオロベンチジ
ン、3,3′,5,5′−テトラフルオロベンチジン、3,3′,
5,5′−テトラクロロベンチジン等が挙げられるが合
成、製造の容易性から、3,3′−ジクロロベンチジンが
好ましい。
ジアミン成分A,B,Cの構成比率は重合反応時の溶解性を
左右する。NMPのごとき有機溶媒を用いる本発明におい
ては、第一図に示した領域CDEFGHである。ここにD〜H
の各点は下記組成を示す。
この領域内の組成では、反応溶媒への溶解性が優れ、高
い重合度を持つポリマーが得られる。また、得られた成
型物の性能も特に優れており、工業的価値も高い。とり
わけ、難燃性,不燃性を付与するためには、アラミド中
のハロゲン濃度を高くする事が効果的であり、例えば、
0.5重量%以上好ましくは、1.0重量%以上が良い。
このアラミドを製造する方法は、溶融重合,固相重合,
界面重合,溶液重合などがあるが、溶液重合法が好まし
い。また、反応溶媒としては、一般に公知の有機極性溶
媒として知られる、ジメチルホルムアミド,ジメチルア
セトアミド,N−メチルピロリドン,N−メチルカプロラク
タム,ジメチルスルホン,テトラメチル尿素等から選ば
れた少なくとも一種を主成分として用いることができ
る。
この場合、溶解性を高めるために重合の前,途中,終了
時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えな
い。このような塩としては例えば塩化リチウム,塩化カ
ルシウム等があげられる。又、酸成分とジアミン成分と
の比は実質的に等モルで反応させるが重合度の制御のた
め何れかの成分を過剰に用いることもできる。さらに末
端封鎖剤として単官能性の酸成分,アミノ成分等を使用
しても良い。
さらに反応によって生成する塩化水素のごとき酸を捕束
するため脂肪族や芳香族のアミン,第四級アンモニウム
塩を併用できる。
反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、たと
えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシ
ウム,酸化カルシウム等を添加し中和反応する。
重合反応において生成するポリマーの溶媒に対する濃度
は重要である。均質な高重合度のポリマーを得るには生
成ボリマー濃度として20重量%以下が好ましい。とりわ
け数%から10%の範囲が安定したポリマーを得るのに好
都合である。
反応条件は特別な制限を必要としない。酸ハライドとジ
アミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例え
ば−25℃〜100℃好ましくは−10℃〜80℃である。反応
系に混入する水等、反応を阻害する異物は避けなければ
ならないのは言うまでもない。
このようにして得られるアラミドはアルコール,水とい
った非溶媒に投入して、沈澱せしめ、パルプ状にして取
り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成
型に供することもできるが、重合反応によって得た溶液
をそのまま成型用溶液として用いることができる。
特に本発明の組成のアラミドは溶解性に優れたものであ
り、重合反応中にポリマーが析出することがないので紡
糸等の成型用溶液として直接用いることができる。
成型法としては、先にのべたパルプ状あるいは粉体状と
したのち圧縮成型する方法、流延,キャスト法によるポ
リマー溶液からの製膜、湿式法による紡糸、製膜等が挙
げられる。
溶液から成型する場合、凝固浴中に押し出し、成型物を
一旦固化せしめ、次いで水洗,延伸,熱処理を行うこと
によって繊維,フイルムを得ることができる。このばあ
い凝固浴としては有機極性溶媒/水系が好ましく用いら
れる。
[発明の効果] 本発明のアラミドは、溶媒に対する溶解性が高く強度、
モジュラス等の機械的物性に優れ耐熱性、耐薬品性、難
燃性に富む成型品を提供する。
[実施例] 以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明がこれに限定されないのは言うまでもない。また
実施例でいう部とは重量部をいい重合度の目安となる対
象粘度ηinhは98.5重量%の濃硫酸に濃度0.5g/dlで溶か
した溶液を30℃にて通常の方法で測定したものである。
実施例1 十分に乾燥した攪拌装置付きの三つ口フラスコにN−メ
チルピロリドン(NMP)1888.5部、3,3′−ジクロロベン
チジン(DCB;成分A)33.534部、及びp−フェニレンジ
アミン(PPDA;成分B)23.687部、3,4′−ジアミノジフ
ェニルエーテル(3,4′−DAPE;成分C)17.545部を常温
下で添加し、窒素中で溶解した後攪拌しながらTPC88.94
5部を添加した。重合反応の進行に従って粘度は徐々に
上昇した。最終的には80℃で60分間反応せしめたとこ
ろ、透明性に優れた粘調なポリマー溶液が得られた。つ
いで、この生成物に22.5重量%の水酸化カルシュウムを
含有するNMP143.824部を添加し中和反応を行った。
得られたポリマー溶液から析出せしめたポリマーについ
て測定した結果、ηinhは3.59であった。
該アラミド溶液を孔径0.17mm孔数25ケのキャップを備え
たシリンダーにとり、80℃に保ちつつ、NMP30重量%の
水溶液である凝固浴中へ押しだした。紡糸した繊維は水
洗、乾燥したのち、熱板上、300℃及び460℃で全延伸倍
率9.5で二段延伸し、全繊度37deのフィラメントを得
た。
この繊維の機械的物性は強度23.8g/de,伸度2.6%,モジ
ュラス910g/deであった。つぎに、このフィラメントを1
00本集束させて、銅線で作った直径10mmのコイルの中に
セットし45度に保って下部から火災をあて燃焼状態を観
察したところ火災の伝ぱんは認められず不燃性の繊維で
あった。また元素分析によるとポリマー中の塩素含有量
は7.3重量%であった。参考のため、PPTA(ポリ−p−
フェニレンテレフタルアミド)繊維についても同様の評
価をしたところ、火災は伝ぱんし、10cmの試験片は4回
着火することによって燃焼し尽した。
実施例2 DCB50モル%,PPDA40モル%、3,4′−DAPE10モル%とな
るようにジアミン成分を計量し重合した。
即ち、DCB33.811部、PPDA11.449部、3,4′−DAPE5.300
部をNMP1932.7部にとり室温で溶解したのち、53.737部
のTPCを攪拌しながら添加し、室温で60分間、続いて80
℃で60分間重合した。重合の進行とともに粘調になるが
反応系は透明性がよく、濁りは認められなかった。
反応終了後、水酸化カルシウム22.5重量%を含むNMPス
ラリー液86.892部を徐々に添加し、中和反応を終了し
た。得られたポリマーから析出して得たポリマーについ
て測定したηinhは3.36であった。このポリマー溶液を
用いて実施例1で示した方法で紡糸延伸(全延伸倍率3.
2)して全繊度73デニールの繊維を得た。この繊維は、
強度14.3g/de、伸度1.8%、モジュラス890g/deの優れた
機械的物性を示した。燃焼性の簡易評価(実施例1参
照)によると、本ポリマーも不燃性のポリマーであっ
た。又、ポリマー中の塩素は、11.17重量%であった。
実施例3 DCB40モル%,PPDA30モル%、3,4′−DAPE30モル%とな
るようにジアミン成分を計量し重合した。
即ち、DCB48.633部、PPDA12.022部、3,4′−DAPE22.262
部をNMP1905.6部にとり室温で溶解したのち、75.289部
のTPCを攪拌しながら添加し、室温で60分間、続いて80
℃で60分間重合した。重合の進行とともに粘調になるが
反応系は透明性がよく、濁りは認められなかった。
反応終了後、水酸化カルシュム22.5重量%を含むNMPス
ラリー液121.78部を徐々に添加し、中和反応を終了し
た。得られたポリマーから析出して得たポリマーについ
て測定したηinhは2.30であった。このポリマー溶液を
用いて実施例1で示した方法により、300℃、460℃の2
段で延伸(全延伸倍率22.0)して全繊度29デニールの繊
維を得た。この繊維は、強度12.5g/de、伸度2.0%、モ
ジュラス790g/deの優れた機械的物性を示した。ポリマ
ー中の塩素含有量は8.9重量%で難燃性に優れた繊維で
あった。
実施例4 DCB60モル%,PPDA20モル%、3,4′−DAPE20モル%とな
るようにジアミン成分を計量し重合した。
即ち、溶解性を上げるため塩化カルシュム19.374部をNM
P1937.4部にとり溶解せしめ次いで、DCB37.709部、PPDA
5.320部、3,4′−DAPE9.852部を投入して室温で溶解し
たのち、49.944部のTPCを攪拌しながら添加し、室温で6
0分間、続いて80℃で60分間重合した。重合の進行とと
もに粘調になるが最終反応物はやや濁りのある黄色の溶
液となった。
反応終了後、水酸化カルシュム22.5重量%を含むNMPス
ラリー液80.759部を徐々に添加し、中和反応を終了し
た。得られたポリマーから析出して得たポリマーについ
て測定したηinhは3.83であった。このポリマー溶液を
用いて実施例1で示した方法により、300℃、440℃の2
段で延伸(全延伸倍率2.50)して全繊度90デニールの繊
維を得た。この繊維は、強度17.3g/de、伸度1.8%、モ
ジュラス830g/deであり機械的性能に優れたものであっ
た。同様に測定した塩素含有量は11.2重量%であり、不
燃性の繊維であった。
実施例5 DCB5モル%,PPDA45モル%、3,4′−DAPE45モル%となる
ようにジアミン成分を計量し重合しηinh3.56のポリマ
ーをえた。
次いで、実施例1と同様に300℃、490℃で全延伸倍率を
20.0として得られた33deのこの繊維は、強度23.5g/de、
伸度3.9%、モジュラス780g/deの優れた機械的物性を示
した。燃焼性の簡易評価(実施例1参照)によると、本
ポリマーは10cmの燃焼に12回の着火が必要であった。
尚、ポリマー中の塩素は、1.3重量%であった。
実施例6〜12 比較例1〜5 次いで組成を種々変更してポリマー溶液の溶解性を評価
した。何れも組成を変更した以外は実施例1の方法によ
った。
ポリマーの溶液濁度は重合初期,中期に濁る場合を×、
反応後期で濁る場合を△、濁りがなく透明性の良い溶液
は○で表示した。何れも目視によって判定した。尚、表
1の参考例は本発明の範囲外の組成の場合である。
【図面の簡単な説明】
図1はA(ハロゲン化ベンチジン)、B(PPDA)、C
(3,4′−DAPE)の3成分系組成物(モル比)を示す。
三角図中の実線で囲まれた部分のCDEFGHは本発明の範囲
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主たる繰り返し単位が 但し、Xはハロゲン元素、m,nは4以下の整数 からなり、ジアミン成分(A)、(B)、(C)のモル
    比が、三角図に示したC点(0、0、100)、D点(6
    5、0、35)、E点(65、30、5)、F点(45、50、
    5)、G点(15、65、20)、H点(0、60、40)の範囲
    内(CDEFGH、境界線を含む)であり、且つ、ジアミン成
    分(A)のハロゲン基が占める全芳香族共重合ポリアミ
    ド中のハロゲン濃度が0.5重量%以上である全芳香族共
    重合ポリアミド。
  2. 【請求項2】ジアミン成分(A)が、クロロベンチジン
    基である請求項(1)の全芳香族共重合ポリアミド。
  3. 【請求項3】ジアミン成分(A)が、3,3′−ジクロロ
    ベンチジン基である請求項(2)の全芳香族共重合ポリ
    アミド。
  4. 【請求項4】請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の
    全芳香族共重合ポリアミドからなる成型物。
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