JPH0771459B2 - 機能性食品素材とその製造方法 - Google Patents

機能性食品素材とその製造方法

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JPH0771459B2
JPH0771459B2 JP3139767A JP13976791A JPH0771459B2 JP H0771459 B2 JPH0771459 B2 JP H0771459B2 JP 3139767 A JP3139767 A JP 3139767A JP 13976791 A JP13976791 A JP 13976791A JP H0771459 B2 JPH0771459 B2 JP H0771459B2
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保 中村
直延 小川
勝彦 田村
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三協食品工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マグネシウムやカル
シウムを高濃度に含むとともに、その吸収促進機能も備
えた機能性食品素材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在の食生活におけるカルシウム源とし
ては、小魚や骨粉、あるいはカルシウム製剤としての炭
酸カルシウムや乳酸カルシウム、さらに牛乳、チーズな
どがよく知られている。また、マグネシウム源として
は、豆類、海藻類、緑黄野菜などが知られている。さら
に、最近では、カゼインホスホペブチド(以下CPPと
いう)がカルシウムの体内吸収を促進することが明らか
になり、上に挙げたカルシウム源とは別の機能性食品と
して利用されつつある。ただし、このCPPはあくまで
もカルシウムの吸収促進剤であって、他のカルシウム源
と併用して、はじめてその効果を期待できるものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来は、
カルシウム源とその吸収促進剤とが別々だったので、例
えば、CPPを飲んでもカルシウムを積極的に摂取しな
い限りカルシウムの効率的な吸収ができないという問題
があった。また、特に最近カルシウムを重視する余り、
マグネシウムが軽んじられ、強いては成人病、特に心臓
病の一因になっていると考えられている。また、マグネ
シウムが不足すると疲労を来し、ストレスが蓄積し健康
上問題であると言われている。この発明の目的は、マグ
ネシウムやカルシウム源であるとともに吸収促進機能を
持たせて、それらを効率よく摂取できるようにした食品
素材とその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の食品素材は、
マグネシウム又は、マグネシウム及びカルシウムを含む
カゼインに蛋白分解酵素を作用させた点に特徴を有す
る。また、この発明の食品素材の製造方法は、カゼイン
を水中に懸濁し、攪拌しながら水酸化マグネシウム
は、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムを加えて
溶解するとともに、水酸化マグネシウムの添加量をカゼ
イン100部に対して重量で2〜3部、水酸化マグネシ
ウム及び水酸化カルシウムの添加量をカゼイン100部
に対して重量で1〜3部とした溶液に、蛋白分解酵素を
作用させた点に特徴を有する。
【0005】
【実施例】
当該機能性食品を得るためには、カゼインをマグネシウ
と結合させてコロイド状にしたものを用いる。この時
のカゼインとマグネシウムの好ましい量的関係は、水酸
マグネシウムの添加量が、カゼインに対して重量で
〜3%ぐらいである。
【0006】(実験例1) この実験例1では、酸カゼイン10gを水洗いして水を
加え、全体量が100g(10%溶液)となるようにす
る。このようにした溶液に水酸化マグネンウムを加えて
溶解し、その溶解状態を観察した結果が表1である。
【0007】
【表1】
【0008】上記の結果から、水酸化マグネシウムの添
加量は、カゼインに対して重量で〜3%が好ましいこ
とが明らかである。もし、水酸化マグネシウムの量が足
りなければカゼインがほとんど溶けないし、反対に水酸
マグネシウムの量が多すぎると、加熱時にカゼインが
凝固して製造工程の上で不都合が生じてしまう。したが
って、上記のように水酸化マグネシウムの添加量は、カ
ゼインに対して〜3%が最も好ましい。
【0009】(実験例2)この実験例2では、カゼインナトリウム10gに水を加
えて100gとする。これに無水物の塩化マグネシウム
を加えて攪拌し、その溶解状態を観察したが、その結果
は表2に示すとおりである。
【0010】
【表2】
【0011】上記の結果から、無水物の塩化マグネシウ
ムの添加量は、カゼインナトリウム溶液に対して2%以
下が好ましい。塩化カルシウムについても同様な結果を
得ているが、この場合は3%以下が好ましかった。ま
た、両者を併用した場合もその使用量は、合計で3%以
下が好ましかった。
【0012】(実験例3)この実験例3では、実験例1と同様に、カゼイン10%
の溶液に対して、重量比3%になるように水酸化カルシ
ウムと水酸化マグネシウムとを組みあわせる。これをカ
ゼイン溶液で溶解したが、その結果は表3に示す通りで
ある。
【0013】
【表3】
【0014】上記の結果から、水酸化カルシウムと水酸
化マグネシウムとを併用できること明らかである。ただ
し、水酸化マグネシウムの割合が多くなると、その溶解
性がやや悪くなるが、特に支障を来すほどのことではな
い。(実験例4) この実験例4は、酵素反応とカゼインの状態変化、すな
わちカゼインの分解度に関するものである。
【0015】(供試酵素) (酵素名) (メーカー名) (酵素起源) トリプシン メルク社 豚膵臓 アクチナーゼ 科研製薬 Str.griseus ビオプラーゼ ナガセ生化学 Bac.subtilis コクラーゼ 三共 Asp.orizae
【0016】(酵素反応条件) 水洗いしたカゼイン100gに900gの水を加えて1
0%溶液とし、それに水酸化カルシウム2gとリン酸二
ナトリウム2.5gを加えて溶解してそれを殺菌する。
この溶液を所定の温度に冷却した後、上記酵素を0.1
g添加した。ただし、トリプシンを用いたときは上記溶
液を37℃で反応させ、その他の酵素を用いたときは4
0℃で反応させた。 ここでは、水酸化カルシウムを添加
したが、水酸化マグネシウムを用いても、酵素反応とカ
ゼインの状態変化は結果は、同様である。
【0017】(分解度の測定) 上記反応液を経時的に5gサンプリングし、それに温水
70〜80mlを加えて溶解し、酢酸を加えてpH4.
6に調整するとともに100mlに定容した。それを濾
紙No.5Cで濾過し、その濾液25ml中の窒素の増
加分を測定し、同様に酵素未反応溶液の全窒素と盲検値
との差(カゼイン態窒素)に対する比を分解度とした。
そして、各酵素によるカゼインの加水分解は表4のよう
に進んだ。
【0018】
【表4】
【0019】酵素反応溶液のSDS電機泳動を行い、分
解状態を推移を検討した。その一例が写真1である。
【0020】(実施例1) カゼイン1kgに5倍量の水を加え、これに、水酸化カ
ルシウム20g、水酸化マグネシウム5g、リン酸二カ
リウム20g、クエン酸ナトリウム10gを加えて完全
に溶解する。この溶液を殺菌した後37℃に冷却し、ト
リプシン1gを 添加して4時間作用させる。そして、酵
素失活後、乳糖300gを加えて溶解し、常法に従って
噴霧乾燥して粉末の食品素材を得た。この粉末の食品素
材は、分解度33%で風味が優れている。また、粉末な
ので計量や混合がしやすいなど取扱が簡単であるととも
に保存性もきわめてよい。さらに、水に溶けやすく均一
なコロイド溶液に復元するので、この粉末素材は様々な
食品に利用できる。しかも、この食品素材は、カルシウ
ムを1%余り、マグネシウムを約0.2%含有するの
で、マグネシウム及びカルシウムの補給源として有効で
あることはもちろん、その吸収も促進されるので、健康
にも優れた機能を発揮する。
【0021】(実施例2) カゼイン1kgに5倍量の水を加え、これに、水酸化カ
ルシウム15g、水酸化マグネシウム5g、クエン酸ナ
トリウム20gを加えて完全に溶解する。この溶液を殺
菌した後40℃に冷却し、アクチナーゼ1gを添加して
5時間作用させる。そして、酵素失活後、デキストリン
500gを加えて溶解し、常法に従って噴霧乾燥して粉
末の食品素材を得た。このようにして得た食品素材は、
分解度22%で製菓、製パン等のマグネシウム及びカル
シウム強化剤あるいは機能性食品素材として利用でき
る。
【0022】(実施例3) カゼイン1kgに5倍量の水を加え、これに、水酸化マ
グネシウム20g、クエン酸ナトリウム20gを加えて
完全に溶解する。この溶液を殺菌した後40℃に冷却
し、ビオプラーゼ1gを添加して5時間作用させる。そ
して、酵素失活後、常法にしたがって噴霧乾燥して粉末
の食品素材を得た。このようにして得た食品素材は、分
解度が35%で、製菓、製パン、その他あらゆる商品の
マグネシウム強化材あるいは機能性食品素材として利用
できる。
【0023】(実施例4) カゼインナトリウム1kgに6倍量の水を加え、これ
に、塩化カルシウム15 g及び塩化マグネシウム5gを
加えて攪拌し、均一なコロイド溶液にする。これにコク
ラーゼ1gを加えて40℃で1時間作用させる。そし
て、酵素失活後、常法にしたがって噴霧乾燥して粉末の
食品素材を得た。このようにして得た食品素材は、分解
度25%で、上記各実施例と同様に利用できるものであ
る。
【0024】
【発明の効果】この発明の機能性含有食品素材は、マグ
ネシウム又は、マグネシウム及びカルシウムを含み、そ
れらミネラルの供給源として利用でき、そのうえカルシ
ウムの人体への吸収促進効果を有する。特に、マグネシ
ウムとカルシウムを同時に含んだ食品素材から、マグネ
シウムとカルシウムとをバランス良く摂取することがで
きる。また、粉末化した食品素材は、計量や混合がしや
すいなど取扱が簡単であり、保存性もきわめて良い。し
かも、水に溶けやすく均一なコロイド溶液に復元するの
で、様々な食品に利用できる。この発明の製造方法によ
れば、マグネシウムやカルシウムが多量に含まれ、しか
もカルシウムの吸収促進機能を備えた食品素材を確実に
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、酵素反応溶液のSDS電機泳動を行っ
た実際の分解状態の状態を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−154644(JP,A) 特開 昭58−170440(JP,A) 特開 平2−138223(JP,A) 特開 昭62−93300(JP,A) 特開 昭60−199827(JP,A)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウムを含むカゼインの部分加水
    分解物を主成分とする機能性食品素材。
  2. 【請求項2】マグネシウム及びカルシウムを含むカゼイ
    ンの部分加水分解物を主成分とする機能性食品素材。
  3. 【請求項3】 カゼインを水に懸濁し、これに水酸化マ
    グネシウム又は、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシ
    ウムを加えて溶解するとともに、その溶液に蛋白分解酵
    素を作用させた請求項1又は2に記載の機能性食品素
    材。
  4. 【請求項4】 カゼインを水に懸濁し、これに水酸化マ
    グネシウム又は、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシ
    ウムを加えて溶解し、その溶液にクエン酸塩及び/又は
    リン酸塩を加えて安定化させるとともに、それに蛋白分
    解酵素を作用させた請求項3の機能性食品素材。
  5. 【請求項5】 カゼインナトリウムを水溶性のマグネシ
    ウム塩又は、マグネシウム塩及びカルシウム塩とともに
    溶解し、その溶液に蛋白分解酵素を作用させた請求項1
    又は2の機能性食品素材。
  6. 【請求項6】 蛋白分解酵素としてトリプシン、または
    微生物起源の蛋白分解酵素、又は植物起源の蛋白分解酵
    素あるいはそれらを併用したことを特徴とする請求項1
    又は2の機能性食品素材。
  7. 【請求項7】 カゼインを温水中に懸濁し、攪拌しなが
    ら水酸化マグネシウムを加えて溶解するとともに、水酸
    化マグネシウムの添加量をカゼイン100部に対して重
    量で2〜3部とした溶液に、蛋白分解酵素を作用させた
    ことを特徴とするマグネシウムを含有した機能性食品素
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】 カゼインを温水中に懸濁し、攪拌しなが
    ら水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムを加えて溶
    解するとともに、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシ
    ウムの添加量をカゼイン100部に対して重量で1〜3
    部とした溶液に、蛋白分解酵素を作用させたことを特徴
    とするマグネシウム及びカルシウムを含有した機能性食
    品素材の製造方法。
  9. 【請求項9】 カゼインを温水中に懸濁し、攪拌しなが
    ら溶解する水酸化マグネシウム又は、水酸化マグネシウ
    ム及び水酸化カルシウムの添加量はカゼイン100部に
    対して重量で1〜3部とした溶液に、5部以下のリン酸
    塩(ナトリウム又はカリウム塩)及び/又はクエン酸塩
    を加えた後、蛋白分解酵素を作用させた請求項7の機能
    性食品素材の製造方法。
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