JPH0770499A

JPH0770499A - 分岐サイクロデキストリンを用いたインキ並びにプリント体及びその製法

Info

Publication number: JPH0770499A
Application number: JP5157137A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Kato; 芳雄加藤
Original assignee: Color Fastener Kogyo Kk
Current assignee: Color Fastener Kogyo Kk
Priority date: 1993-06-28
Filing date: 1993-06-28
Publication date: 1995-03-14

Abstract

(57)【要約】【目的】香料等機能性物質の機能成分を充分に生かす
ことができるインキとこのインキを塗布したプリント体
およびその製法を提供すること。【構成】香料等の機能性物質は成分が抽出され、水溶
性の分岐サイクロデキストリンに包接されて粉末化され
る。この粉体は水性エマルジョン樹脂に溶けやすく大量
に混合でき、インキとして用いられる。このインキを布
地等プリント体にプリントすれば、このプリント体は、
機能性物質の機能成分が充分に生かして機能成分の放散
あるいは吸収を行い、かつ長期に渡り持続できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、香料等を包接した分岐
サイクロデキストリンを用いたインキ並びにプリント体
及びその製法に関する。

【０００２】

【従来の技術】香料、香味料、抗菌性物質、酸化防止物
質、消臭性物質（以下、機能性物質と略称する）の抽出
液あるいは粉体は、布地、不織布、紙等にプリントある
いはコートし付着させ、包接物質の機能性を付与させる
ことが行われている。

【０００３】このような目的には、機能性物質のエキス
等をマイクロカプセル（以下ＭＣと略称する）化したも
のを、バインダーで付着させる方法が行われている。

【０００４】また、他の方法として繊維原糸に機能性物
質のエキスを包含させた繊維での布地や不織布などがあ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ＭＣに
よる方法は、その特性上、壁材が割れたり、ひびが入り
内包成分が付着工程で揮散放出されたり、付着した製品
も使用にあたってＭＣが容易に剥離したり、摩擦や洗濯
で容易にＭＣが破損し易く、耐久性が悪いものであっ
た。この性能を向上させるためにＭＣと被塗物との結合
を強固にするようバインダーを調整すると、風合が損な
われるなどもあり、バインダーのノウハウが難しい割に
機能を十分に発揮できるものが得られていない。

【０００６】また、繊維原糸に機能性物質のエキスを包
含させた方法では、エキスの含有濃度が低くてよく、Ｍ
Ｃより耐久度があるが、反面、放散量が少なく機能性の
発揮効果が低く、また、エキスの種類、濃度が限定され
汎用化しにくい等の難点があり、多岐用途への利用にま
で至っていない。さらに、該繊維も繰り返しの洗濯に耐
えることができない。

【０００７】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、機能性物質の機能を十分に生かすこと
ができるインキとこのインキを塗布したプリント体及び
その製法の提供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の分岐サイクロデキストリンを用いたインキ
は、香料等の機能性物質の機能成分を抽出した抽出体
と、該抽出体を包接した水溶性を有する分岐サイクロデ
キストリンの分子構造を有する粉体と、該粉体を溶解す
べく所定比で混合される水性エマルジョン樹脂とからな
ることを特徴としている。また、前記インキがプリント
される布地等のプリント体を得ることができる。

【０００９】さらに、分岐サイクロデキストリンを用い
たインキの製造方法では、香料等の機能性物質の機能成
分を抽出した後、分岐サイクロデキストリンの分子構造
を有し、前記抽出体を包接し、粉体を形成し、該粉体に
対し水性エマルジョン樹脂を所定比で混合して前記抽出
体の成分を有する液体を形成することを特徴とする。

【００１０】また、前記インキによりプリント体は、ス
クリーンを用いプリント体上にスキーズプリントした
後、プリント体上のインキを遠赤外線ヒーターで所定時
間熱し乾燥させた後、プリント体上のインキを熱板プレ
スヒータにより発泡焼き付けして得ることができる。

【００１１】

【作用】香料等の機能性物質の機能成分は抽出体として
抽出され、該抽出体は水溶性を有する分岐サイクロデキ
ストリンの分子構造を有する粉末基材に包接される。そ
して、該粉体は水に溶けやすい性質を有しており、水性
エマルジョン樹脂に容易かつ大量に混合したインキが得
られる。このインキを布地等にプリントしたプリント体
を得ることができ、スキーズプリントおよび乾燥、発泡
の各工程を経てプリント体上にインキを定着させること
ができる。これにより、機能性物質の成分が長期間に渡
り維持することができる。

【００１２】

【実施例】図１は、分岐サイクロデキストリン（Ｇ−Ｃ
Ｄ）を示す分子構造図である。図示の如く、既存のサイ
クロデキストリン（ＣＤ）にマルトースを酵素で結合さ
せたマルトシルＣＤを主成分としている。

【００１３】既存のＣＤの環構造には包接作用があり、
外部の各種の分子を環の空洞内に包み込む性質がある。
また、このＧ−ＣＤは、水溶性の高いマルトースが付加
されているため、水への溶解性が飛躍的に向上されてい
る。

【００１４】したがって、このＧ−ＣＤによれば、ＣＤ
の特徴である包接性を維持した上に各種の有機溶剤にも
非常によく溶ける易水溶性の他、耐熱性、耐光性、徐放
性がある。

【００１５】このＧ−ＣＤを粉末基材とし、各種機能性
物質が包接粉末化することができる。機能性物質として
は、前述した香料、香味料、抗菌性物質、酸化防止物
質、消臭性物質がある。

【００１６】そして、本発明のインキは、水性エマルジ
ョン樹脂にこのＧ−ＣＤを混合して得られる。水性エマ
ルジョン樹脂は、ポリエチレン、酢酸ビニール共重合体
のものや、ポリアクリル酸エステル重合体を用いる。こ
のＧ−ＣＤによれば、機能を発揮させるのに充分な量の
機能性物質を水性エマルジョン樹脂液に配合することが
できる。

【００１７】以下、図２に本発明のＧ−ＣＤを用いたイ
ンキ並びにプリント体の製造工程のフローチャートを示
す。図示の如く、Ｇ−ＣＤの粉末と水性エマルジョン樹
脂、および純水を所定比で混合させた後（ＳＰ１）、混
練し（ＳＰ２）、顔料で着色する（ＳＰ３）ことにより
Ｇ−ＣＤインキを製造できる。

【００１８】このＧ−ＣＤインキを用いることにより、
被プリント物に対し例えばスクリーンプリントすること
ができる。この場合の被プリント物は、布地、不織布、
紙等である。スクリーンを用いてスキージによりプリン
トを施した後（ＳＰ４）、遠赤外線ヒータで所定時間、
１次加熱し（ＳＰ５）、熱板プレスヒータにより所定時
間、２次加熱する（ＳＰ６）ことによりＧ−ＣＤのプリ
ント体を製造できる。

【００１９】そして、上記工程で作成されたプリント体
は、乾燥工程、加熱においても機能が低下することがな
い。また、Ｇ−ＣＤ自体は、安定徐放性、光熱安定性、
耐摩擦損失性、耐洗濯性においていずれも優れた特性を
有しており、これに樹脂膜が保護する形となるため、そ
の特性を長期に渡り維持させることができる。

【００２０】尚、樹脂膜を発泡スポンジ体に形成するこ
とができ、この場合には、発泡過程でのポーラス度の調
整を行えるため、この調整により用途に応じて徐放特性
の度合いを調整できる。尚、機能性物質が吸収特性を有
するものであっても同様に調整できる。

【００２１】次に、上記Ｇ−ＣＤに包接させる機能性物
質の例を説明する。まず、芳香料があり、香水やヒノキ
（木材）等の原料では、芳香効果がある。これはアロマ
テラピック効果による芳香療法にも適用できる。また、
香味料としてのワサビ、とうがらしは、抗菌性、温暖刺
激性がある。さらに茶葉および脱脂大豆は消臭性があ
る。他、Ｇ−ＣＤと共に遠赤外線セラミックパウダーと
の併合使用も可能である。

【００２２】次に、上述したインキの具体的製造方法に
ついて説明する。該インキは、以下の如く用途に応じて
所定の配合比で製造する。（１）発泡プリント用ポリエチレン、酢酸ビニール共重合体系の水性エマル
ジョン樹脂…１０部香味料エキス包接・マルトシルサイクロデキストリン
パウダー…１〜２部純水…１〜１．５部（２）ラバーライクプリント用（伸縮性を有するプリン
ト体用）ウレタン系エマルジョン樹脂…１０部香味料エキス包接・マルトシルサイクロデキストリン
パウダー…１〜２部純水…１〜１．５部

【００２３】また、上述したプリント加工の具体例を説
明する。プリントは、７０〜１００メッシュのスクリーン、あ
るいはパターン穴が形成されたステンレス０．１〜０．
５ｍ／ｍ板を通してスキーズプリントする。熱処理について、１次加熱は、８０度遠赤外線コンベア乾燥…１分２次加熱は、１３０度熱板プレス処理…１０秒

【００２４】次に、上記製造方法によるプリント体を図
示する。図３は、上記発泡プリント用のインキを用い、
スキーズプリント及び熱処理した後のプリント体１０を
示している。プリント体１０は、布地、不織布、紙等で
あり、このプリント体上にスキーズプリントにより所定
の形および配列で複数箇所にインキ１１が乾燥固着され
ている。この図のプリントは円形状であり、発泡により
プリント体１０上面に厚みをもって形成されている。
尚、該インキ１１は、乾燥により機能性物質の機能を維
持しつづけることができ、複数回の洗濯に耐えることが
できる。

【００２５】以下、プリント体１０と機能性物質の組合
せ例を説明する。ひのき…枕カバー、肌着、シーツにプリントし、森林
浴気分を味わえる。トウガラシ…サポータにプリントして温暖効果を得
る。ワサビ…不織布シートにプリントし、食品のカビ発生
を抑える。香水…下着、肩パット、不織布シートにプリントし
て、香りを得る。脱脂大豆…不織布シートにプリントして、自動車運転
席での脱臭効果を得る遠赤外線セラミック…サポータや靴の中敷にプリント
して、血行促進を図れる。

【００２６】また、プリント体１０上でのインキ１１の
プリント形状は、図３に示すような星型を配列したもの
の他、各種形状の配列で形成することができる。さらに
他の変形例としては、プリント形状が図柄を描いたもの
であってもよい。また、図５は前述したサポータ２０を
示す図であり、両端のゴム部２１間のサポート体２２部
分に前記トウガラシの機能性物質が混合されたインキ２
３をプリントしてなる。該サポータ２０は伸縮性がある
ため、インキ２３は、ラバーライクプリント用のインキ
を用いている。

【００２７】以上説明したように、各種の機能性物質を
包接したＧ−ＣＤインクを各種媒体に固着することによ
り、機能性物質の機能を長期間に渡り維持し続けること
ができる。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、水溶性を有する分岐サ
イクロデキストリンの分子構造を有する粉末基材に香料
等の機能性物質の抽出体が包接され、該粉体は水に溶け
やすい性質を有しており、水性エマルジョン樹脂に容易
かつ大量に混合したインキが得ることができる。これに
より、機能性物質の成分が多く配合されたインキを得ら
れ、また、該インキをプリントすることにより、機能性
物質の成分を有するプリント体を得られる。また、この
プリント体は、インキをスキーズプリントおよび乾燥し
た後、発泡されることによりプリント体上に定着される
から、樹脂材が機能性物質の成分を保護することとな
り、機能性物質の成分の放散あるいは吸収等の機能を長
期間に渡り維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】分岐サイクロデキストリンの分子構造を示す
図。

【図２】本発明の分岐サイクロデキストリンを用いたイ
ンキとプリント体の製造過程を示すフローチャート。

【図３】本発明によるプリント体を示す図。

【図４】同プリント体の変形例を示す図。

【図５】同プリント体の変形例を示す図。

【符号の説明】

１０，２０…プリント体、１１，２３…インキ。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】香料等の機能性物質の機能成分を抽出し
た抽出体と、該抽出体を包接し、水溶性を有する分岐サイクロデキス
トリンの分子構造を有する粉末基材と、該粉末基材を溶解すべく所定比で混合される水性エマル
ジョン樹脂とからなることを特徴とする分岐サイクロデ
キストリンを用いたインキ。
【請求項２】前記請求項１記載のインキがプリントさ
れる布地等のプリント体。
【請求項３】香料等の機能性物質の機能成分を抽出し
た後、分岐サイクロデキストリンの分子構造を有し、前記抽出
体を包接した粉体を得た後、該粉体に対し水性エマルジョン樹脂を所定比で混合して
前記抽出体の成分を有する液体を製造することを特徴と
する分岐サイクロデキストリンを用いたインキの製造方
法。
【請求項４】前記請求項３記載のインキをスクリーン
を用いプリント体上にスキーズプリントした後、プリント体上のインキを遠赤外線ヒーターで所定時間熱
し乾燥させた後、前記インキを熱板プレスヒータによりプリント体上に発
泡焼き付けする分岐サイクロデキストリンを用いたイン
キにより作成されるプリント体。