JPH0769345B2 - 自動車の衝突センサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、加速度検出器装置と、この加速度検出器装
置の出力信号の評価回路を備え、加速度検出器装置の出
力信号が限界しきい値を越した時、前記評価回路が受動
安全装置、例えば膨らむ空気枕、安全ベルトを締め付け
る装置等の作動信号を出力する自動車の衝突センサに関
する。

〔従来の技術〕

自動車の乗客を保護するため受動安全装置を作動させる
そのような衝突センサは、ドイツ特許第2207831号明細
書により周知である。この衝突センサは加速度検出器、
例えばピエゾ結晶を有し、その感度軸は走行方向のほぼ
水平面内にある。ピエゾ結晶の出力信号は評価回路に導
入され、その中で出力信号をしきい値に関して評価した
後、一回あるいは二回積分する。自動車の衝突で、評価
された信号が、一回積分の場合の限界速度に相当する一
定のしきい値を超えると、または二回積分の場合の限界
距離に相当する一定のしきい値を越えると、始動信号が
受動安全装置に出力するので、この装置を作動させる。
受動安全装置は、例えば、空気枕あるいは自動車の乗客
用安全ベルトを締めるベルト締付装置である。

受動安全装置を使用する外に、最近の自動車は所謂能動
安全装置も備えている。これ等の能動安全装置は、特に
車体が車両の衝突時に一定の程度まで変形し、大部分の
衝突エネルギを吸収する、所謂衝撃吸収部を有すること
により実現されている。しかし、衝撃吸収部の構造設計
により、加速度検出器から出力する出力信号が遅れて反
応し、それに応じて受動安全装置を遅れて作動させる恐
れがある。能動安全装置と受動安全装置が最適に動作す
ることを保証する衝突センサが望ましい。

〔発明の課題〕

それ故、この発明の課題は、衝撃吸収部を構造設計する
場合、個々の車両に簡単に合わせることができ、受動安
全装置の確実で、終始一貫し、適時な作動を保証し、可
能な全ての走行角度で前方衝突と後方衝突の間を区別で
きる能力を有する、冒頭に述べた種類の衝突センサを提
供することにある。

〔課題を解決する手段〕

上記の課題は、この発明により、冒頭に述べた種類の衝
突センサにあって、前記加速度検出器が走行方向Ｒに対
して異なった角度＋φ，−φに向いた感度軸A1,A2を有
する二つまたはそれ以上の加速度検出器1,2;1′,2′で
構成され、その場合、加速度検出器1,2;1′,2′の一方
の感度軸A1が走行方向Ｒに対して左側にある場合、角度
が正＋φであり、加速度検出器1,2;1′,2′の一方の感
度軸A2が走行方向Ｒに対して右側にある場合、角度が負
−φであり、個々の車両の衝撃緩衝部の構造に応じてこ
れ等の角度＋φ，−φが選択され、各加速度検出器1,2;
1′,2′の出力信号の振幅を第一回路装置5,7,9,11;6,8,
10,12中で評価し、第二回路装置13,14;15,16;27中で作
動評価し、その場合、一方の回路装置5,7,9,11;6,8,10,
12の出力端で作動評価すべき信号が第一の大きいしきい
値REF2より大きく、同時に他方の回路装置6,8,10,12;5,
7,9,11の出力端で走行方向Ｒに関して逆符号を有し、信
号が第二の小さいしきい値REF1より大きい信号が出力す
る場合にのみ、前記受動安全装置に作動信号を導入し、
衝突の方向を確実に識別し、後方衝突の時の安全装置の
作動が抑制されることによって解決されている。

この発明による他の有利な構成は、特許請求の範囲の従
属請求項に記載されている。

〔作用〕

上記の解決策によれば、衝突センサには方向を定めた感
度軸を有する複数、一般には二つの加速度検出器があ
る。これ等の検出器は、衝撃吸収部の構造に応じて、自
動車等中に互いに一定角度で配設されている。各加速度
検出器に対して、評価回路中に信号処理用の固有なチャ
ンネルがあり、評価回路が論理回路に関連し、少なくと
も一つの評価回路の出力端に第一の大きいしきい値電圧
よりも大きい信号が出力し、同時に少なくとも一つの他
の評価回路の出力端に逆符号の角度位置を有する車両の
走行方向に関して第二の小さいなしきい値電圧より大き
い信号が出力した時のみ作動信号が出力する。

この設計を用いると、その時の自動車等の角度に依存す
る特異な構造を衝突に対して考慮できる。従って、可能
な全ての走行角度でも前方衝突と後方衝突の間を区別で
きる。前記の両検出器は、主にその感度軸が自動車の走
行方向に対して鋭角をなすように組み込まれている。両
方の鋭角は同じでも、異なっていてもよい。多くの場
合、感度軸が走行方向に対して＋30°または−30°を向
く二つの加速度検出器を使用すると有利である。例えば
＋30°と−45°の配置は、車両の衝撃吸収部を特別に形
成するのに有利である。

信号の演算処理は、衝突センサ中で、アナログか、デジ
タルか、あるいはアナログとデジタルの組み合わせで行
われる。

加速度検出器の出力信号の評価は、出力信号をしきい値
と比較する信号処理用のチャンネル中の差動増幅器回路
で簡単に行われる。このようなしきい値は、例えば最小
の限界速度であってもよい。一つのチャンネルでこのし
きい値に達し、他のチャンネルで、より小さい第二の基
準値も同じように越すと、出力信号が発生する。この組
み合わせにより、より大きい信号振幅を有するチャンネ
ルが出力信号を発生する前に、両方の信号処理チャンネ
ルが一つの基準値を越えなければならないことが達成さ
れる。

後方衝突または側部衝突では、両方の信号処理チャンネ
ルの両方（後方衝突の時）で、または一方（側部衝突の
時）でこの基準値を越えないと、出力信号が出力されな
い。

以前の研究とは異なり、この発明による検出器の構造で
は、加速度検出器の感度軸を車両等の走行方向に調整す
る必要がない点で優れている。むしろ、今まで有効であ
った規則から離れ、使用する加速度検出器の感度軸を自
動車の走行方向に対して多少鋭角にすることは、受動安
全装置の適時作動に有利である。

この検出器の構造により、評価が面内で行われ、両方の
検出器の感度特性により衝突方向を確実に検出できる。

角度範囲180°±90°の後方衝突での作動は、比較器13
〜16を結び付けて抑圧される。これは、側部衝突や後方
衝突で、比較器14または16が低いレベルの信号を出力す
るので、比較器13または15の信号の通過が阻止されるこ
とによって行われる。

〔実施例〕

この発明を実施例で図面に基づきより詳しく説明する。

第２図に市販の構成部品である二つの加速度検出器１と
２を有する衝突センサのブロック回路が示してある。両
検出器は第１図にそれぞれA2とA2で示す向きにした感度
軸を有する。この図から分かるように、感度軸は矢印Ｒ
で示す自動車の走行方向に対してそれぞれ角度＋φまた
は−φに設定されている。この場合では、両方の角度は
それぞれ±30°である。加速度検出器１と２は、それぞ
れ前記感度軸の回りのある範囲でcosφ特性に応じて応
答するもので、この領域は、第１図に二つの扇形領域で
示してある。

二つの加速度検出器１と２の出力信号は同じ構成の信号
チャンネル３と４で評価される。

各加速度検出器の出力信号は、先ず前置フィルタ回路５
または６に、次いで積分回路７または８に導入される。
各積分回路にはそれぞれしきい値ａを定めるしきい値回
路９または10が設けてあり、しきい値ａ以上で信号整形
回路５または６から出力された信号が積分する。各積分
回路に対して更に零点設定器11または12も設けてある。
各信号整形回路５または６から出力された信号は、対応
する加速度検出器１または２に作用する加速度または減
速度に関係するので、積分回路７と８の出力信号は速度
に依存する信号Ｖとなる。

速度に依存するこの信号は、それぞれ二つの比較器13と
14あるいは15と16に導入され、その中でしきい値と比較
される。しきい値REF1とREF2はそれぞれ比較器14または
13および16または15の第二入力端に印加される。しきい
値REF2はしきい値REF1より大きい。これ等のしきい値は
受動安全装置、例えばエヤーバッグを作動させる二つの
限界速度に対応する。これ等のしきい値は実験値に基づ
き決定され、車両形式に応じて異なる。比較器14と16で
は、積分回路７または８の出力信号Ｖをしきい値REF1と
比較し、比較器13と15では積分回路７または８の出力信
号Ｖをしきい値REF2と比較する。加速度検出器１の信号
チャンネルの比較器13の出力信号と加速度検出器２の信
号チャンネルの比較器16の出力信号は、アンドゲート17
に導入される。同じ様に、比較器14と15の出力端は第二
アンドゲート18に接続されている。両方のアンドゲート
17と18の出力端はオアゲート19に接続し、このオアゲー
トの出力端は受動安全装置の作動回路に接続している。

記述した例では、比較器13〜16をアンドゲート17と18を
介して結合することにより、受動安全装置が加速度検出
器の信号に応じて作動する。加速度検出器の感度軸の空
間配置と上記の信号結合により、受動安全装置は角度範
囲０〜±90°の前方衝突の場合にのみ、しかも最も早い
可能な時点で、従って車両の乗客にとって最も望ましい
時点で作動する。

第３図には、第１図と同じように自動車に装備された二
つの加速度検出器１′と２′を備えた衝突センサの第二
実施例が示してある。加速度検出器１′と２′の出力信
号はそれぞれ出力端が前置フィルタ回路23と24に接続す
る前置増幅器21と22に導入される。両方の前置フィルタ
回路の出力信号はサンプル・ホールド回路25に入力して
記憶され、次いでアナログ・デジタル変換器26に導入さ
れる。このアナログ・デジタル変換器のデジタル化され
た出力信号はサンプル・ホールド回路25とアナログ・デ
ジタル変換器26の機能を同時に制御するマイクロプロセ
ッサ27で演算処理される。

【図面の簡単な説明】

第１図、自動車中で異なった向きの感度軸を有する二つ
の加速度検出器の構成の模式図、 第２図、第１図に従って指向させた二つの加速度検出器
を備えたこの発明による第一実施例の衝突センサのブロ
ック回路図、 第３図、第１図に従って指向させた二つの加速度検出器
を備えたこの発明による第二実施例の衝突センサのブロ
ック回路図。 図中引用記号： 1,2,1′,2′……加速度検出器 3,4……信号チャンネル 5,6,23,24……前置フィルタ回路 7,8……積分回路 9,10……しきい値回路 11,12……零点設定回路 13,14,15,16……比較器 17,18……アンドゲート 19……オアゲート 21,22……前置増幅器 25……サンプル・ホールド回路 26……アナログ・デジタル変換器 27……マイクロプロセッサ A1,A2……感度軸 φ……走行方向に対する感度軸の角度 Ｒ……走行方向 REF1,REF2……基準値 Ｖ……出力信号

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加速度検出器装置と、この加速度検出器装
   置の出力信号の評価回路を備え、加速度検出器装置の出
   力信号が限界しきい値を越した時、前記評価回路が受動
   安全装置、例えば膨らむ空気枕、安全ベルトを締め付け
   る装置等の作動信号を出力する、自動車の衝突センサに
   おいて、前記加速度検出器が走行方向（Ｒ）に対して異
   なった角度（＋φ，−φ）に向いた感度軸（A1,A2）を
   有する二つまたはそれ以上の加速度検出器（1,2;1′,
   2′）で構成され、その場合、加速度検出器（1,2;1′,
   2′）の一方の感度軸（A1）が走行方向（Ｒ）に対して
   左側にある場合、角度が正（＋φ）であり、加速度検出
   器（1,2;1′,2′）の一方の感度軸（A2）が走行方向
   （Ｒ）に対して右側にある場合、角度が負（−φ）であ
   り、個々の車両の衝撃緩衝部の構造に応じてこれ等の角
   度（＋φ，−φ）が選択され、各加速度検出器（1,2;
   1′,2′）の出力信号の振幅を第一回路装置（5,7,9,11;
   6,8,10,12）中で評価し、第二回路装置（13,14;15,16;2
   7）中で作動評価し、その場合、一方の回路装置（5,7,
   9,11;6,8,10,12）の出力端で作動評価すべき信号が第一
   の大きいしきい値（REF2）より大きく、同時に他方の回
   路装置（6,8,10,12;5,7,9,11）の出力端で走行方向
   （Ｒ）に関して逆符号を有し、信号が第二の小さいしき
   い値（REF1）より大きい信号が出力する場合にのみ、前
   記受動安全装置に作動信号を導入し、衝突の方向を確実
   に識別し、後方衝突の時の安全装置の作動が抑制される
   ことを特徴とする衝突センサ。
2. 【請求項２】衝突センサは二つの加速度検出器（1,2;
   1′,2′）を有し、加速度検出器の感度軸（A1,A2）が自
   動車等の走行方向（Ｒ）に対して鋭角（φ）をなすこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の衝突センサ。
3. 【請求項３】前記走行方向（Ｒ）に対する感度軸（A1,A
   2）の角度は一つの共通な面内にあることを特徴とする
   特許請求の範囲第２項に記載の衝突センサ。
4. 【請求項４】前記走行方向（Ｒ）に対する感度軸（A1,A
   2）の角度は互いに逆向きで等しいことを特徴とする特
   許請求の範囲第２項または第３項に記載の衝突センサ。
5. 【請求項５】加速度検出器（1,2）にそれぞれ一つの積
   分回路（7,8）が後続し、積分回路の出力端が積分回路
   （7,8）のその時の出力信号を複数の基準値（REF1,REF
   2）と比較するそれぞれ複数の比較器（13〜16）に接続
   し、比較器の出力端を論理結合回路（17〜19）に接続し
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１〜４項の何
   ずれか１項に記載の衝突センサ。
6. 【請求項６】加速度検出器（１′,2′）の出力信号に対
   する作動評価回路（25〜27）はマイクロプロセッサ（2
   7）を有することを特徴とする特許請求の範囲第１〜４
   項の何ずれか１項に記載の衝突センサ。
7. 【請求項７】前記走行方向（Ｒ）に対する感度軸（A1,A
   2）の角度は共通な面内にないことを特徴とする特許請
   求の範囲第２項記載の衝突センサ。